JPH063660A - 液晶ディスプレイ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フラットタイプ直視型液晶ディスプレイ装置
の視角依存性を改善する。 【構成】 液晶ディスプレイ装置は、一対の基板７，８
間に液晶層９を保持した液晶パネル３と、この液晶パネ
ル３を背面入射側から照明するバックライト１と、出射
側に配置された微小結像光学系例えばマイクロレンズア
レイ板５と、このマイクロレンズアレイ板５と隣接して
設けられた透過型スクリーン板６とから構成されてい
る。マイクロレンズアレイ板５に形成されたマイクロレ
ンズ１４は液晶パネル３の各画素に対応して配列されて
いる。画素はマイクロレンズ１４により透過型スクリー
ン板６の光拡散面１５に結像される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は直視型の液晶ディスプレ
イ装置に関する。より詳しくはディスプレイの視角依存
性改善技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】本発明の背景を明らかにする為に、図５
を参照してマトリクス型液晶ディスプレイ装置の基本的
な動作を簡潔に説明する。図は一画素分を切り取って模
式的に示したものであり、左側は電圧無印加状態、右側
は電圧印加状態を表わしている。この例はＴＮモードで
あり、上下一対のガラス基板１０１，１０２によって挟
持された液晶分子１０３は電圧無印加状態で９０°の捩
れ配向となっている。この状態で、入射側の偏光板１０
４を通過した光の偏光面１０５は液晶分子１０３の長軸
に平行に入射し、液晶分子１０３の捩れ配列に沿って旋
光する。この結果入射光は偏光面が９０°回転した状態
で出射する。出射側の偏光板１０６の偏光軸は入射側の
偏光板１０４の偏光軸に対して直交して設定されている
為光は透過する。所謂ノーマリホワイトの直視型表示が
得られる。

【０００３】一方図５の右側に示す様に、十分な電圧を
印加した場合には液晶分子１０３の配列が変化し電界に
平行に整列するので前述した旋光作用が失われる。従っ
て入射光の偏光面１０５は回転を受けずそのまま通過す
る。この為直線偏光は出射側の偏光板１０６によって遮
断される。

【０００４】次に図６を参照して印加電圧と透過率の関
係を説明する。ノーマリホワイトの直視型では電圧無印
加状態で光は透過し白色表示が得られる。グラフではこ
の状態を透過率１００％として表わしている。印加電圧
を徐々に上げていくと液晶分子が立ち上がり始め透過率
が低くなっていく。液晶分子が完全に立ち上がった状態
では黒色表示が得られこの状態を透過率０％で表わして
いる。印加電圧のレベルを適宜設定する事により所望の
中間調表示が得られる。即ち、液晶への印加電圧の大き
さにより上述した旋光作用による偏光面の回転量が制御
される。画素の透過率は回転角の正弦に比例する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】画素平面に対して斜め
に入射する光については、その偏光面と液晶分子の長軸
方向とのなす角が図５に示す垂直入射の場合と異なる。
又偏光面の回転量が同一印加電圧のもとでも入射角に依
存して変化する為、例えば電圧印加時でも光の一部が透
過しコントラストを劣化させる。又入射方向によって波
長依存性がある為表示色度も変化する。以上の説明から
明らかな様に液晶ディスプレイ装置は視角依存性を持っ
ている。光が液晶セルを透過する方向と、液晶セル内の
液晶分子の配列方向とのなす角が視角によって異なる為
である。特に中間調表示の状態では視角依存性が大きく
ディスプレイ画面の視認性が著しく損なわれ、視角によ
ってコントラストの悪化、色調の劣化、あるいは表示反
転が生じる。ＴＮモードに比べ、ＳＴＮモードの液晶セ
ルでは視角依存性はある程度改善されるが中間調表示に
は向いていない。

【０００６】上述した従来の技術の課題あるいは問題点
に鑑み、本発明は直視型液晶ディスプレイ装置の視角依
存性を抑制し表示の視認性及び品位を改善する事を目的
とする。この目的を達成する為にマイクロレンズアレイ
等の微小結像光学系を利用する。なお、マイクロレンズ
アレイを用いて表示品位を高める技術が例えば特開昭６
０−２４１０２４号公報に開示されている。しかしなが
ら、この公報に開示された技術は主として表示面から見
た開口率の向上、画像鮮明度及び輝度の向上を目的と
し、視角依存性の改善には直接関連していない。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述した従来の技術の課
題あるいは問題点を解決する為に次の手段を講じた。即
ち、本発明にかかる液晶ディスプレイ装置は、一対の基
板間に液晶層を保持した液晶パネルと、この液晶パネル
を背面入射側から照明するバックライトと、出射側に配
置された微小結像光学系と、この微小結像光学系と隣接
して設けられた透過型スクリーンとから構成されてい
る。微小結像光学系は、例えばマイクロレンズあるいは
レンチキュラーレンズを液晶パネルの各画素に対応して
配列した結像光学系からなる。前記微小結像光学系は、
透過型スクリーンの出射側最外面に画素の結像が生ずる
様に構成されているとともに、前記透過型スクリーンの
出射側最外面は光拡散面を構成している。

【０００８】

【作用】バックライトからの入射光で液晶ディスプレイ
装置の各画素を照明し、マイクロレンズアレイ板あるい
はレンチキュラー板を介して透過型スクリーン面上に各
画素を結像させる。特に、液晶パネル、マイクロレンズ
アレイ板又はレンチキュラー板、透過型スクリーン板を
互いに密着して配設し全体としてフラット形状の液晶デ
ィスプレイ装置を構成している。マイクロレンズアレイ
板又はレンチキュラー板のレンズ配列ピッチは液晶ディ
スプレイ装置の画素配列ピッチと一致している。さらに
透過型スクリーン上の結像面は出射側最外面とする。こ
の様にして視角依存性が改善されたフラットタイプの液
晶ディスプレイ装置が構成できる。

【０００９】

【実施例】以下図面を参照して本発明の好適な実施例を
詳細に説明する。図１は本発明にかかる直視型フラット
タイプの液晶ディスプレイ装置を示す模式的な断面図で
ある。本装置は順に、光源となるバックライト１、下側
あるいは入射側の偏光板２、液晶パネル３、上側あるい
は出射側の偏光板４、微小結像光学系を構成するマイク
ロレンズアレイ板５、透過型スクリーン板６を積層した
フラット構造を有している。

【００１０】液晶パネル３はアクティブマトリクスタイ
プの直視型であり上下一対のガラス基板７，８の間に液
晶層９を保持した構造を有する。液晶層９に含まれる液
晶分子はツイスト配向されている。なお本発明はこの配
向モードに限られるものではなくスーパーツイスト配向
等他のモードであっても差支えない。下側のガラス基板
８の内表面には層間絶縁膜１０を介して透明な画素電極
１１が形成されている。画素電極１１はマトリクス状に
配列されており個々の画素を構成する。各画素電極１１
には薄膜トランジスタ１２が接続されており画素を駆動
する。一方上側のガラス基板７の内表面には対向電極１
３が全面的に形成されている。この対向電極１３と各画
素電極１１との間に所定の電圧を印加する事により液晶
分子が応答して光学的変化を生ずる。液晶パネル３を上
下から挟持する一対の偏光板２，４によりこの光学的変
化が透過率変化として検出される。

【００１１】マイクロレンズアレイ板５は画素に対応し
てマトリクス状に配列した微小なマイクロレンズ１４を
含んでいる。即ちマイクロレンズ１４の配列ピッチは画
素の配列ピッチに一致しており且つ画素電極１１に整合
している。このマイクロレンズアレイ板５に近接配置さ
れた透過型スクリーン板６の表面は光拡散面１５となっ
ている。この光拡散面１５は好ましくは完全拡散面であ
る。

【００１２】次に図１に示す液晶ディスプレイ装置の動
作を詳細に説明する。バックライト１からの入射光は個
々の画素を照明する。照明を受けた画素は対応するマイ
クロレンズ１４により透過型スクリーン板６の光拡散面
１５上に結像される。光拡散面１５から出射した光は散
乱され出射側の視点１６に進む。液晶ディスプレイ装置
から最終的に出射する光は散乱光であって全ての方向に
対して略均一な強度分布を有しており液晶層９の光学的
性質に起因する視角依存性を除去できる。スクリーン面
上で結像する光が画素電極１１を通過する時の角度は、
画素方向からマイクロレンズ１４の開口を見込む範囲に
制限される。この角度範囲内で若干の視角依存性を有す
る光が集光されてスクリーン面上に結像する。個々のマ
イクロレンズ１４の開口を小さくする事により画素部の
有効表示領域即ち画素電極１１を通過する入射光の角度
範囲を制限し画像劣化の程度を抑制可能とする。

【００１３】図２は本発明にかかる液晶ディスプレイ装
置の他の実施例を示す模式的な断面図である。基本的に
図１の実施例と類似した構造を有しており、対応する部
分には対応する参照番号を付して理解を容易にしてい
る。本実施例の液晶パネル３においては、個々の画素に
対応して上側のガラス基板７の内表面にカラーフィルタ
１７が形成されている。カラーフィルタ１７はＲ，Ｇ，
Ｂの三原色セグメントからなりカラー表示が可能にな
る。本発明に従って液晶パネル３の視角依存性を改善す
る事により色度の変化あるいはカラーシフトを効果的に
抑制できる。

【００１４】又本実施例では微小結像光学系としてマイ
クロレンズアレイ板に代えレンチキュラー板２５を使用
している。このレンチキュラー板２５はマトリクス状に
配列された画素の各行に対応して設けられたレンチキュ
ラーレンズ３４を備えている。図示では画像表示面の水
平方向が紙面に垂直にとられており、この画面水平方向
に沿ってレンチキュラーレンズ３４がストライプ状に配
列されている。従って、画面垂直方向は紙面及びスクリ
ーン板６と平行にとられている。一般に液晶パネル３の
視角依存性は画面水平方向と垂直方向で異なり、通常は
水平方向の視角依存性が比較的小さくなる様に設計され
ている。この様な液晶ディスプレイ装置においては画面
水平方向に沿ってレンチキュラーレンズ３４を配設した
レンチキュラー板２５を用いる事により、特に画面垂直
方向に関する視角依存性を改善する事ができる。

【００１５】さらに、本実施例では透過型スクリーン板
６とレンチキュラー板２５が互いに密着した構成となっ
ている。あるいは、透過型スクリーン板６とレンチキュ
ラー板２５を同一の材料で一体的に形成しても良い。レ
ンチキュラーレンズ３４の開口数や焦点距離を適切に設
定する事により、画素を丁度最外面の光拡散面１５上に
結像させる。

【００１６】図３及び図４を参照して画面水平方向及び
垂直方向に関する視角依存性について説明する。上下一
対の基板７，８により挟持された液晶層９は基板内表面
のラビング処理によりツイスト配向されている。通常画
面水平方向に関する視角依存性を良好にする為に、ラビ
ング方向は矢印で示す方向に設定されている。画面水平
方向に平行な側面から観察した液晶分子２９の配列を模
式的に図３の下部に示してある。今視点１６の位置が液
晶層９の厚み方向即ち液晶パネルの法線方向から一定の
角度θだけ傾いた場合を考える。即ち、ディスプレイを
画面水平方向に角度θだけ傾斜した位置から画像を観察
する事になる。液晶層９の中央付近に位置する液晶分子
に着目すると、視点１６は分子の単軸方向に沿って傾い
ている。この場合液晶層９の屈折率異方性の変化は比較
的小さい。従って画面水平方向からディスプレイを観察
した場合における視角依存性は比較的小さく広い視野角
が得られる。

【００１７】一方図４は図３に示す液晶パネル３を法線
を軸として９０°時計方向に回転した状態を示してい
る。従って、画面垂直方向と画面水平方向が入れ代わっ
ている。画面垂直方向に平行な側面から見た場合の液晶
分子２９の配列状態が図４の下部に示されている。視点
１６がパネルの法線から一定の角度θだけ傾いた場合を
考える。液晶パネル中央付近の分子に着目するとその長
軸方向に沿って視点１６が傾斜変化する事になる。従っ
て、視角に対する液晶層の屈折率異方性変化が大きくな
り比較的視野角が狭くなる。この様に、通常のラビング
処理を施した場合には画面水平方向に比べて画面垂直方
向の視角特性が犠牲になる。これを補う為に図２に示し
たレンチキュラー板を設けている。

【００１８】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、液
晶パネルの光出射側にマイクロレンズアレイ板あるいは
レンチキュラー板を配置し、さらに透過型スクリーン板
を密接する様に設けている。かかる構造により、液晶パ
ネルの各画素を透過した光は集光され透過型スクリーン
板面上に結像されるので、視角依存性を大幅に改善する
事ができるという効果がある。本発明によれば、液晶層
を略垂直に入射する光のみがスクリーン面上に集光結像
され、斜めに入射する光は結像しない様になっている。
従って、ディスプレイを斜め方向から観察しても表示色
の変化が生ぜず、モノクロ表示における着色やカラー表
示におけるカラーシフト等の不具合を防止する事ができ
るという効果がある。本発明によれば、コントラストの
視角依存性は結像面となる透過型スクリーンの光拡散面
にのみ依存している。この拡散面を完全拡散面とする事
によりＣＲＴディスプレイと略同等の画像品位が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる液晶ディスプレイ装置の一実施
例を示す模式的な断面図である。

【図２】本発明にかかる液晶ディスプレイ装置の他の実
施例を示す模式的な断面図である。

【図３】液晶パネルのラビング方向と視角依存性との関
係を示す説明図である。

【図４】同じく液晶パネルのラビング方向と視角依存性
との関係を示す説明図である。

【図５】従来のアクティブマトリクス型液晶ディスプレ
イ装置の一画素部分を切り取って示した模式図である。

【図６】従来の液晶ディスプレイ装置における透過率と
印加電圧との関係を示すグラフである。

【符号の説明】

１ バックライト ２ 偏光板 ３ 液晶パネル ４ 偏光板 ５ マイクロレンズアレイ板 ６ 透過型スクリーン板 ７ ガラス基板 ８ ガラス基板 ９ 液晶層 １１ 画素電極 １２ 薄膜トランジスタ １３ 対向電極 １４ マイクロレンズ １５ 光拡散面 ２５ レンチキュラー板 ３４ レンチキュラーレンズ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の基板間に液晶層を保持した液晶パ
   ネルと、この液晶パネルを背面入射側から照明するバッ
   クライトと、出射側に配置された微小結像光学系と、こ
   の微小結像光学系と隣接して設けられた透過型スクリー
   ンとを備えた事を特徴とする液晶ディスプレイ装置。
2. 【請求項２】 前記微小結像光学系が、マイクロレンズ
   あるいはレンチキュラーレンズを液晶パネルの各画素に
   対応して配列した結像光学系である事を特徴とする請求
   項１記載の液晶ディスプレイ装置。
3. 【請求項３】 前記透過型スクリーンの出射側最外面に
   画素の結像が生ずる様に構成するとともに、前記出射側
   最外面が光拡散面である事を特徴とする請求項２記載の
   液晶ディスプレイ装置。