JPH0636269Y2 - ハニカム触媒体のシール材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、特に自動車内燃機関における排気管のケーシ
ング内に設けられて、排気ガスを浄化するために使用さ
れるハニカム触媒体のシール材の改良に関するものであ
る。

「従来の技術」 従来のこの種シール材として、例えば実開昭58−第8242
1号公報に示すものが存する。

該従来のシール材は、具体的には図示しないが、金属細
線をメリヤス編みした筒状の金網体を成形し、該筒状金
網体の外周中央部にセラミックスファイバー帯を巻き回
して、該セラミックスファイバー帯が中心に存在するこ
ととなるように、金網体を両端部から順次折り返えして
所定巾のリング体を得、次いで、該リング体を断面Ｌ字
形状に圧縮成形することにより、その中心部に同形状の
セラミックスファイバー帯を内在させる構成となってい
る。

そして、実際の使用に際しては、この断面Ｌ字状に圧縮
成形されたシール材を、予めハニカム触媒体の両端部外
周に夫々嵌装して、該ハニカム触媒体を排気管のケーシ
ング内に設ければ、該シール材がハニカム触媒体の外周
面とケーシングの内壁面の隙間を閉塞するので、これに
より、ハニカム触媒体の外周面とケーシングの内壁面の
隙間から、未浄化の排気ガスが排出されることを防止す
るものである。

「考案が解決しようとする課題」 然し乍ら、既る従来シール材を製造する場合には、少な
くとも、ステンレス鋼線の如き金属細線をメリヤス編み
して比較的大径な筒状金網体を成形する工程と、セラミ
ックスファイバー帯を別途成形する工程と、該セラミッ
クスファイバー帯を筒状金網体の外周中央部に巻き回す
工程と、該セラミックスファイバー帯を巻き回した金網
体の両端部を順次折り返す工程と、最終的に全体を断面
Ｌ字状に圧縮成形する工程とが、時間的に経緯をおいて
個々独立して要求されるので、シール材の製造加工が徒
に煩雑となるばかりか、これに応じて、シール材自体が
コスト高となってしまう大きな問題点を有していた。

「課題を解決するための手段」 而して、本考案は、斯る従来の課題を有効に解決するた
めに開発されたもので、排気管のケーシング内に設けら
れるハニカム触媒体のシール材を前提として、ハニカム
触媒体の外周に巻装される中空の筒状体から成り、該中
空筒状体は、メリヤス編みされる金属細線と、該金属細
線をメリヤス編みする際に一緒に編み込まれる有機芯材
とから構成され、且つ筒状体の直径を、上記ケーシング
の内壁面とハニカム触媒体の外周面間の隙間より大きく
する構成を採用した。

「作用」 依って、本考案にあっては、金属細線をメリヤス編みす
る際に、有機芯材を一緒に編み込むだけで、ハニカム触
媒体の外周に巻装される中空の筒状体を容易に製造でき
ることとなるので、シール材の製造加工工程が頗る簡略
化できると共に、これに伴い、コストの低廉化も十分に
可能となる。

しかも、本考案に係る中空筒状体は、その直径がケーシ
ングの内壁面とハニカム触媒体の外周面間の隙間より大
きくなっている関係で、該中空筒状体はケーシングの内
壁面とハニカム触媒体の外周面で圧縮されて変形する
が、その中空形状は完全に圧潰されることはないので、
これにより、常時ハニカム触媒体に対するクッション作
用を発揮できる一方、金属細線と一緒に編み込まれた有
機芯材の存在により、ハニカム触媒体の外周面とケーシ
ングの内壁面の隙間は完全にシールされて、ハニカム触
媒体の外周面とケーシングの内壁面の隙間から、未浄化
の排気ガスが排出されることを完全に阻止できることと
なる。

「実施例」 以下、本考案を図示する一実施例に基づいて詳述すれ
ば、該実施例に係るシール材は、第１図Ａに示す如く、
ハニカム触媒体の外周に巻装される長さ寸法に切断され
た中空の筒状体１から成り、該中空筒状体１は、同図Ｂ
に示す如く、メリヤス編みされる金属細線２と、該金属
細線２をメリヤス編みする際に一緒に編み込まれる有機
芯材３とから構成され、且つこの中空筒状体１の直径
を、後述する排気管のケーシングの内壁面とハニカム触
媒体の外周面間の隙間より大きくしたことを特徴とす
る。

そして、本実施例にあっては、シール材を上記構成とな
すことにより、該シール材を製造する場合には、ステン
レス鋼線等の金属細線２をメリヤス編みする際に、セラ
ミックスファイバー等からなる有機芯材３を一緒に極め
て密状態に編み込むだけの一工程をもって、シール材た
る中空筒状体１を成形することを可能としたものであ
る。

依って、本実施例のシール材を使用する場合には、第２
図・第３図に示す如く、ハニカム触媒体４の両端部外周
に上記中空筒状体１を夫々巻装した状態を得て、分割型
の上下ケーシング5A・5B内にハニカム触媒体４をセット
して、該分割型の上下ケーシング5A・5Bの各フランジ部
６を溶接すれば、両端外周部に中空筒状体１が巻装され
たハニカム触媒体４は、排気管７のケーシング5A・5B内
に確実に保持されることとなる。

そして、上記フランジ部６の溶接により、分割型ケーシ
ング5A・5Bが一体化されると、既述した如く、中空筒状
体１の直径が、ケーシング5A・5Bの内壁面とハニカム触
媒体４の外周面間の隙間より大きくなっている関係で、
該中空筒状１がケーシング5A・5Bの内壁面とハニカム触
媒体４の外周面で圧縮されて、第３図に示す如く、金属
細線２のメリヤス編み部により保形された中空形状は、
例えば扁平な楕円状等に変形するが、完全に圧潰される
ことはないので、これにより、常時ハニカム触媒体４に
対する弾性クッション作用を十分に発揮することが可能
となる。

そして、斯る状態にあっては、中空筒状体１を構成する
密状態に編み込まれた有機芯材３が、各金属細線２のメ
リヤス編みの編み目を完全に閉塞することとなるので、
ケーシング5A・5B内を排気ガスが通過しても、この有機
芯材３による編み目の閉塞作用で、ハニカム触媒体４の
外周面とケーシング5A・5Bの内壁面の隙間は完全にシー
ルされて、ハニカム触媒体４の外周面とケーシング5A・
5Bの内壁面の隙間から、未浄化の排気ガスが排出される
ことを完全に阻止することが可能となる。

従って、本実施例に係る中空の筒状体１は、有機芯材３
によるシール作用と金属細線２のメリヤス編みによるク
ッション作用を同時に発揮できるばかりか、その製造加
工に際しては、従来の如き、金属細線をメリヤス編みし
て筒状金網体を成形する工程や、セラミックスファイバ
ー帯を別途成形する工程や、該セラミックスファイバー
帯を筒状金網体の外周中央部に巻き回す工程や、セラミ
ックスファイバー帯を巻き回した金網体の両端部を順次
折り返す工程や、最終的に全体を断面Ｌ字状に圧縮成形
する工程が全く不要となる。

「考案の効果」 以上の如く、本考案のシール材は、ハニカム触媒体の外
周に巻装される中空筒状体から成り、該中空筒状体は、
メリヤス編みされる金属細線と、該金属細線をメリヤス
編みする際に一緒に編み込まれる有機芯材とから構成さ
れ、且つ中空筒状体の直径を、排気管のケーシングの内
壁面とハニカム触媒体の外周面間の隙間より大きくした
ことを特徴とするものであるから、有機芯材によるシー
ル効果と金属細線のメリヤス編みによるクッション効果
とを、極めて効果的に提供できることとなった。

その上、本考案のシール材は、金属細線をメリヤス編み
する際に、有機芯材を一緒に編み込むだけで、ハニカム
触媒体の外周に巻装される中空の筒状体を容易に製造で
きることとなるので、従来のものと比較すると、製造加
工工程が頗る簡略化することが可能となって、コスト低
廉化に大いに貢献できることとなった。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは本考案の実施例に係るハニカム触媒体のシー
ル材を示す外観斜視図、同図Ｂは同シール材の要部拡大
図、第２図は中空筒状体が巻装されたハニカム触媒体を
ケーシング内に保持する前の状態を示す分解斜視図、第
３図はケーシング内にハニカム触媒体を保持した状態を
示す断面図である。 １……中空筒状体、２……金属細線、３……有機芯材、
４……ハニカム触媒体、5A・5B……分割型ケーシング、
６……フランジ部、７……排気管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】排気管のケーシング内に設けられるハニカ
   ム触媒体のシール材であって、ハニカム触媒体の外周に
   巻装される中空の筒状体から成り、該中空筒状体は、メ
   リヤス編みされる金属細線と、該金属細線をメリヤス編
   みする際に一緒に編み込まれる有機芯材とから構成さ
   れ、且つ筒状体の直径を、上記ケーシングの内壁面とハ
   ニカム触媒体の外周面間の隙間より大きくしたことを特
   徴とするハニカム触媒体のシール材。