JPH0632977A - 耐溶剤性容器 - Google Patents

耐溶剤性容器

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JPH0632977A
JPH0632977A JP20725692A JP20725692A JPH0632977A JP H0632977 A JPH0632977 A JP H0632977A JP 20725692 A JP20725692 A JP 20725692A JP 20725692 A JP20725692 A JP 20725692A JP H0632977 A JPH0632977 A JP H0632977A
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JP
Japan
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modified
weight
resin
polyolefin
elastomer
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Pending
Application number
JP20725692A
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English (en)
Inventor
Tadashi Sezume
忠司 瀬詰
Yukihiko Yagi
幸彦 八木
Kazuhiro Maekawa
和弘 前川
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
Application filed by Tonen Sekiyu Kagaku KK, Tonen Chemical Corp filed Critical Tonen Sekiyu Kagaku KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐溶剤性、耐油性、耐衝撃性及び機械的強度
等に優れたポリアミド樹脂組成物からなる耐溶剤性容器
を提供する。 【構成】 ポリアミド樹脂と、カルボキシル基やエポキ
シ基を有する変性用モノマーによる変性ポリオレフィン
と、変性オレフィン系エラストマーとをそれぞれ所定量
含有してなる樹脂成分に、所定量の無機フィラーを配合
してなる組成物から得られる耐溶剤性容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミド系樹脂組成
物からなる耐溶剤性容器に関し、特に耐溶剤性、耐油
性、耐衝撃性及び機械的強度等に優れたポリアミド樹脂
組成物からなる耐溶剤性容器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリア
ミド樹脂は機械的強度、耐熱性、ガスバリア性等に優れ
ているので、各種の金属容器やガラス容器を代替するプ
ラスチック容器に適している。特に、溶剤容器、工具箱
等の工業容器用の樹脂として注目されている。
【0003】しかしながら、ポリアミド樹脂は、耐水
性、成形性、耐衝撃性等に劣るという問題がある。特
に、耐衝撃性に劣るため、過酷な条件下での使用が予想
される工業用の容器しとて十分な強度を有していないと
いう問題がある。
【0004】以上のような不足する特性は一般にポリオ
レフィンが保有するものである。しかしながら、ポリオ
レフィン樹脂は、耐溶剤性及び耐油性に劣るため、エン
ジンオイル等の油分により容易に膨潤やクラック等が生
じるという問題がある。そこで、ポリアミド樹脂層と、
変性ポリオレフィン層と、ポリオレフィン層とからなる
多層構造の容器が用いられているが、各層間の接着性が
十分でないと、機械的強度や耐衝撃性が低下しやすく、
また多層構造の欠陥に伴い耐溶剤性、耐油性及び耐水性
の低下等が生じやすい。さらに加工工程が複雑となるた
め、製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】そのため、ポリアミド系樹脂による単層容
器が望まれているが、ポリアミドとポリオレフィンと
は、相溶性が良好でないという問題がある。そこで、ポ
リアミドとポリオレフィンとの相溶性を向上させること
を目的しとて、不飽和カルボン酸又はその無水物等によ
る変性ポリオレフィンを添加することが考えられるが、
単に変性ポリオレフィンを添加しただけでは、耐溶剤性
容器として要求される機械的強度、耐衝撃性、耐溶剤性
及び耐油性の全てを良好なレベルとするのが困難である
という問題がある。
【0006】したがって本発明の目的は、耐溶剤性、耐
油性、耐衝撃性及び機械的強度等に優れたポリアミド樹
脂組成物からなる耐溶剤性容器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、ポリアミド樹脂と、カルボキシ
ル基やエポキシ基を有する変性用モノマーによる変性ポ
リオレフィンと、変性オレフィン系エラストマーとをそ
れぞれ所定量含有してなる樹脂成分に、所定量の無機フ
ィラーを配合してなる組成物から得られる容器は、耐溶
剤性、耐油性、耐衝撃性及び機械的強度等に優れてお
り、耐溶剤性容器として好適であることを見出し、本発
明に想到した。
【0008】すなわち本発明の耐溶剤性容器は、(a) ポ
リアミド樹脂50〜90重量%と、(b) 変性ポリオレフィ
ン、あるいは前記変性ポリオレフィンを1重量%以上含
有するポリオレフィン樹脂組成物2〜40重量%と、(c)
変性オレフィン系エラストマー、あるいは前記変性オレ
フィン系エラストマーを1重量%以上含有するオレフィ
ン系エラストマー組成物2〜40重量%と、前記(a) +
(b) +(c) の合計100 重量部に対して、(d) 無機フィラ
ー3〜80重量部とを含有する組成物からなることを特徴
とする。
【0009】本発明を以下詳細に説明する。本発明の耐
溶剤性容器は、基本的には(a) ポリアミド樹脂と、(b)
変性ポリオレフィンと、(c) 変性オレフィン系エラスト
マーとを含有する樹脂成分に、(d)無機フィラーを配合
してなる組成物からなる。以下各構成成分について説明
する。
【0010】(a) ポリアミド樹脂 本発明において(a) ポリアミド樹脂としては、ヘキサメ
チレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレ
ンジアミン、2,2,4-又は2,4,4,−トリメチルヘキサメチ
レンジアミン、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シク
ロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタ
ン)、m−又はp−キシリレンジアミンのような脂肪
族、脂環族又は芳香族のジアミンと、アジピン酸、スベ
リン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テ
レフタル酸、イソフタル酸のような脂肪族、脂環族又は
芳香族のジカルボン酸とから製造されるポリアミド、6
−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−ア
ミノドデカン酸のようなアミノカルボン酸から製造され
るポリアミド、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタ
ムのようなラクタムから製造されるポリアミド、及びこ
れらの成分からなる共重合ポリアミド、又はこれらのポ
リアミドの混合物等が挙げられる。具体的にはナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610 、ナイロン9、ナイロン
6/66、ナイロン66/610 、ナイロン6/11、ナイロン
6/12、ナイロン12、ナイロン46、非晶質ナイロン等が
挙げられる。これらの中では、剛性、耐熱性の良好な点
でナイロン6及びナイロン66が好ましい。
【0011】上記ポリアミド樹脂の分子量は特に制限さ
れないが、通常相対粘度ηr (JISK6810、98%硫酸中で
測定)が0.5 以上のものが用いられ、中でも2.0以上の
ものが機械的強度が優れている点で好ましい。
【0012】(b) 変性ポリオレフィン (b) 変性ポリオレフィンは、カルボキシル基、あるいは
エポキシ基を有するモノマーによる変性ポリオレフィン
である。
【0013】上記変性ポリオレフィンにおいて、変性対
象となるポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレ
ン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペン
テン-1等のα−オレフィンの単独重合体、エチレンとプ
ロピレン又は他のα−オレフィンとの共重合体、もしく
はこれらのα−オレフィンの2種以上の共重合体等が挙
げられる。これらの中では、低密度ポリエチレン、線状
低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン等のポリエチレン及びポリプロピレンが好まし
い。ポリプロピレンはホモポリマーに限られず、プロピ
レン成分を50モル%以上、好ましくは80モル%以上含む
他のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体
も使用することができる。プロピレンに共重合するコモ
ノマーとしてはエチレンその他のα−オレフィンがあ
り、エチレンが特に好ましい。
【0014】上記ポリエチレンのメルトインデックス
(MI、190 ℃、2.16kg荷重)は、0.1〜100 g/10 分が好
ましく、特に0.5 〜50g/10 分が好ましい。
【0015】また、ポリプロピレンのメルトフローレー
ト (MFR 、230 ℃、2.16kg荷重)は、0.1 〜100g/10 分
が好ましく、特に0.5 〜50g/10 分が好ましい。
【0016】このようなポリオレフィンの変性用モノマ
ーとしては、カルボキシル基あるいはエポキシ基を含有
するモノマーが挙げられる。
【0017】カルボキシ基含有モノマーとしては、不飽
和カルボン酸又はその無水物が好ましく、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、エンド−ビシクロ−[2,2,1] −5
−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物 (無水ハイミッ
ク酸) 等のジカルボン酸無水物等が挙げられ、特にジカ
ルボン酸及びその無水物が好ましい。
【0018】また、エポキシ基含有モノマーとしては、
例えばメタクリル酸グリシジルエステル、アクリル酸グ
リシジルエステル等が挙げられる。
【0019】さらに、下記一般式(1) :
【化1】 (式中、RはH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1つ以上有する炭
素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、nは1〜4の整
数を表す。) で表されるアクリルアミド基とエポキシ基
とを有するグリシジル化合物も変性用モノマーとして用
いることができる。
【0020】好ましいグリシジル化合物としては、下記
一般式(2) で表されるものが挙げられる。
【化2】 (式中、RはH又は炭素数1〜6のアルキル基であ
る。)
【0021】このようなグリシジル化合物は、例えば特
開昭60-130580 号に示される方法により製造することが
できる。
【0022】上記変性用モノマーによる変性ポリオレフ
ィンはブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム
共重合体又は交互共重合体のいずれでもよい。
【0023】変性ポリオレフィン中の変性用モノマーの
含有量は0.05〜5重量%、好ましくは0.1 〜3重量%の
範囲内となるようなものであるのが好ましい。変性用モ
ノマーによる変性量が0.05重量%未満では、ポリオレフ
ィンとポリアミド樹脂との相溶性の向上に十分な効果が
なく、また5重量%を超えると機械的強度が低下する。
【0024】変性ポリオレフィンの製造は溶液法又は溶
融混練法のいずれでも行うことができる。溶融混練法の
場合、ポリオレフィン、変性用モノマー及び触媒を押出
機や二軸混練機等に投入し、150 〜250 ℃の温度に加熱
して溶融しながら混練する。また溶液法の場合、キシレ
ン等の有機溶剤に上記出発物質を溶解し、60〜140 ℃の
温度で攪拌しながら行う。いずれの場合にも、触媒とし
て通常のラジカル重合用触媒を用いることができ、例え
ば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジター
シャリーブチル、過酸化アセチル、ターシャリーブチル
ペルオキシ安息香酸、過酸化ジクミル、ぺルオキシ安息
香酸、ペルオキシ酢酸、ターシャリーブチルペルオキシ
ピバレート、2,5-ジメチル-2,5- ジターシャリーブチル
ペルオキシヘキシン等の過酸化物類や、アゾビスイソブ
チロニトリル等のジアゾ化合物類等が好ましい。触媒の
添加量は変性用モノマー 100重量部に対して1〜 100重
量部程度である。
【0025】上述したような変性ポリオレフィンの溶融
粘度は、変性ポリプロピレンの場合、メルトフローレー
ト (MFR 、230 ℃、2.16kg荷重) が0.1 〜500 g/10 分
であるのが好ましく、変性ポリエチレンの場合、メルト
インデックス (MI、190 ℃、2.16kg荷重) が0.1 〜50g
/10 分であるのが好ましい。
【0026】本発明においては、上述したような変性ポ
リオレフィンを、未変性のポリオレフィンで稀釈したポ
リオレフィン樹脂組成物も使用することができる。未変
性のポリオレフィンとしては、上述した変性対象のポリ
オレフィンを用いることができる。
【0027】ポリオレフィン樹脂組成物の場合、変性ポ
リオレフィンの割合は、変性ポリオレフィン+未変性の
ポリオレフィンを100 重量%として1重量%以上、好ま
しくは10重量%以上である。変性ポリオレフィンの含有
量が1重量%未満ではポリオレフィン樹脂組成物(変性
ポリオレフィン+未変性のポリオレフィン)とポリアミ
ド樹脂との相溶性の向上に十分な効果がない。
【0028】ただし、変性ポリオレフィン+未変性のポ
リオレフィンを100 重量%として、変性用モノマーの含
有量を0.05重量%以上、特に0.2 〜3重量%とするのが
好ましい。変性用モノマーの含有量が0.05重量%未満で
は、ポリオレフィン樹脂とポリアミド樹脂との相溶性の
向上に十分な効果がないため好ましくない。
【0029】(c) 変性オレフィン系エラストマー (c) 変性オレフィン系エラストマーは、カルボキシル
基、あるいはエポキシ基を有するモノマーによりオレフ
ィン系エラストマーを変性したものである。
【0030】上記変性オレフィン系エラストマーにおい
て、変性対象となるオレフィン系エラストマーとして
は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-
メチル-ペンテン等のα−オレフィンの2種又は3種以
上の共重合体ゴム、又はα−オレフィンと他種モノマー
との共重合体ゴム等が挙げられる。上記α−オレフィン
の2種又は3種以上の共重合体ゴムとしては、典型的に
はエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン
−ブテン共重合体ゴム(EBR)、及びエチレン−プロピレ
ン−ジエン共重合体ゴム(EPDM) が挙げられる。エチレ
ン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM) 中のジエ
ンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエ
ン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン等の非
共役ジエン又はブタジエン、イソプレン等の共役ジエン
を使用することができる。またα−オレフィンと共重合
する他種モノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸エ
ステル等を用いることができる。α−オレフィンと他種
モノマーとの共重合体の典型的な例としてはエチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)が挙げられる。
【0031】エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)
は、エチレンの含有率が40〜90モル%、プロピレンの含
有率が10〜60モル%であることが好ましい。より好まし
い範囲は、エチレンが50〜90モル%、プロピレンが10〜
50モル%である。
【0032】また、EPR のメルトインデックス(190
℃、2.16〓荷重)は0.5 〜15g/10分の範囲内にあるの
が好ましく、より好ましくは3〜9g/10分である。
【0033】エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)は、
エチレンの含有率が60〜97モル%、ブテン−1の含有率
が3〜40モル%であることが好ましい。より好ましい範
囲は、エチレンが80〜95モル%、ブテン−1が5〜20モ
ル%である。
【0034】また、EBR のメルトインデックス(190
℃、2.16〓荷重)は0.5 〜15g/10分の範囲内にあるの
が好ましく、より好ましくは3〜9g/10分である。
【0035】また、エチレン−プロピレン−ジエン共重
合体(EPDM) は、エチレンの含有率が40〜89モル%、プ
ロピレンの含有率が10〜59モル%、及びジエンの含有率
が1〜10モル%であることが好ましい。
【0036】さらに、EPDMのムーニー粘度ML1+8 (100
℃) は5〜100 の範囲内にあるのが好ましく、より好ま
しくは10〜50である。
【0037】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴ
ム(EPDM) 、及びエチレン−プロピレン共重合体ゴム
(EPR)は、基本的には上記の繰返し単位からなるもので
あるが、これらの共重合体の特性を損なわない範囲内
で、例えばブテン−1あるいは4−メチルペンテン−1
などのα−オレフィンから誘導される繰り返し単位など
の他の繰り返し単位を、10モル%以下の割合まで含んで
もよい。
【0038】さらに、本発明においてはオレフィン系エ
ラストマーとして、水添スチレン−ブタジエンブロック
共重合体(SEBS:スチレン−エチレン・ブチレン−
スチレンブロック共重合体)、水添スチレン−イソプレ
ンブロック共重合体(SEPS:スチレン−エチレン・
プロピレン−スチレンブロック共重合体)等のエラスト
マーも用いることができる。
【0039】上記エラストマー成分におけるスチレンの
含有率は5〜50重量%であるのが好ましく、さらに、そ
のメルトフローレート (MFR 、230 ℃、2160g荷重)
は、0.1 〜100 g/10 分の範囲内にあるのが好ましく、
より好ましくは1〜50g/10 分である。
【0040】このようなオレフィン系エラストマーの変
性用モノマーとしては、上述した変性ポリオレフィンと
同様のものを用いることができる。
【0041】変性オレフィン系エラストマー中の変性用
モノマーの含有量は0.05〜5重量%、好ましくは0.1 〜
3重量%の範囲内となるようなものであるのが好まし
い。変性用モノマーによる変性量が0.05重量%未満であ
ると、オレフィン系エラストマーとポリアミド樹脂との
相溶性の向上に十分な効果がなく、また5重量%を超え
ると機械的強度が低下する。
【0042】変性オレフィン系エラストマーの製造は上
述した変性ポリオレフィンの製造と同様に溶液法又は溶
融混練法のいずれでも行うことができる。溶融混練法の
場合、オレフィン系エラストマー、変性用モノマー及び
触媒を押出機や二軸混練機等に投入し、150 〜250 ℃の
温度に加熱して溶融しながら混練する。また溶液法の場
合、キシレン等の有機溶剤に上記出発物質を溶解し、60
〜140 ℃の温度で攪拌しながら行う。
【0043】本発明においては、上述したような変性オ
レフィン系エラストマーを、未変性のオレフィン系エラ
ストマーで稀釈したオレフィン系エラストマー組成物も
使用することができる。未変性のオレフィン系エラスト
マーとしては、上述した変性対象のオレフィン系エラス
トマーを用いることができる。
【0044】オレフィン系エラストマー組成物の場合、
変性オレフィン系エラストマーの割合は、変性オレフィ
ン系エラストマー+未変性のオレフィン系エラストマー
を100 重量%として1重量%以上、好ましくは20重量%
以上である。変性オレフィン系エラストマーの含有量が
1重量%未満では、オレフィン系エラストマーとポリア
ミド樹脂との相溶性の向上に十分な効果がない。
【0045】ただし、変性オレフィン系エラストマー+
未変性のオレフィン系エラストマーを100 重量%とし
て、変性用モノマーの含有量を0.05重量%以上、特に0.
2 〜3重量%とするのが好ましい。変性用モノマーの含
有量が0.05重量%未満では、オレフィン系エラストマー
とポリアミド樹脂との相溶性の向上に十分な効果がない
ため好ましくない。
【0046】(d) 無機フィラー 無機フィラーは、樹脂等の充填材、強化材として一般に
用いられているものであり、例えば、タルク、マイカ、
ガラス繊維、繊維結晶性ケイ酸カルシウム、炭酸カルシ
ウム、炭素繊維等が挙げられる。これらのうちでは特に
タルク、マイカガラス繊維等が好ましい。上記無機フィ
ラーの平均粒径は5μm以下が好ましい。なお、針状あ
るいは繊維状物の場合、平均繊維径が0.2 〜20μmで、
アスペクト比が20〜200 のものが好ましい。
【0047】ガラス繊維は、チョップドストランド、ロ
ービングいずれも用いることができるが、平均繊維径が
6〜20μmで、アスペクト比が100 〜1000のものが好ま
しい。また、シラン系カップリング剤及び/又はカルボ
キシル基又は酸無水物基を有するポリマーからなる結束
剤等により表面処理されているものを用いることができ
る。このような表面処理によって、ガラス繊維とポリア
ミド樹脂との接着性が改善される。
【0048】上述したような各成分の配合割合は、まず
樹脂成分については(a) ポリアミド樹脂が50〜90重量
%、好ましくは55〜85重量%であり、(b) 変性ポリオレ
フィン(あるいはそれを含有するポリオレフィン樹脂組
成物)が2〜40重量%、好ましくは5〜30重量%であ
り、(c) 変性オレフィン系エラストマー (あるいはそれ
を含有するオレフィン系エラストマー組成物) が2〜40
重量%、好ましくは5〜30重量%である。
【0049】ポリアミド樹脂が50重量%未満では、機械
的強度及び耐熱性が十分でなく、一方90重量%を超える
と、耐衝撃性が低下する。
【0050】変性ポリオレフィン(あるいはそれを含有
するポリオレフィン樹脂組成物)が2重量%未満では、
耐衝撃性が十分でなく、一方40重量%を超えると、耐油
性が低下する。
【0051】変性オレフィン系エラストマー (あるいは
それを含有するオレフィン系エラストマー組成物) が2
重量%未満では、耐衝撃性が十分でなく、一方40重量%
を超えると、耐熱性及び機械的強度が低下する。
【0052】また、(d) 無機フィラーの配合割合は、樹
脂成分 ((a) +(b) +(c) の合計)100 重量部に対し
て、3〜80重量部、好ましくは5〜50重量部である。
(d) 無機フィラーが3重量部未満では、その配合による
機械的強度の向上効果が十分でなく、また80重量部を超
えると、成形性が低下するばかりか、かえって機械的強
度が低下する。
【0053】本発明の耐溶剤性容器に使用する組成物に
は、その他にその改質を目的として、他の添加剤、例え
ば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、
帯電防止剤、離型剤、核剤等を添加することができる。
【0054】上記組成物は、上述した各成分を一軸押出
機、二軸押出機等の押出機などを用いて、220 〜300 ℃
で加熱溶融状態で混練することによって得ることができ
る。なお、(d) 成分は、最初から加えても、あるいはあ
る程度樹脂成分を溶融混練した後、加えてもよい。
【0055】上述したような組成物は、押出ブロー成
形、射出成形等の通常の成形方法により耐溶剤性容器と
することができる。
【0056】押出ブロー成形の場合、例えば、押出機と
接続した環状のオリフィスを有する押出ブロー成形ダイ
から220 〜280 ℃の温度で円筒状のパリソンを押し出し
て、このパリソンを所望の容器形状のキャビティを有す
る金型内に設置した後、ブローすることにより容器を製
造することができる。上述のようにして得られるブロー
成形耐溶剤性容器は、0.1 〜20リットル程度の容量とす
るのに好適であり、また容器の肉厚は1〜3mm程度であ
る。
【0057】射出成形の場合、例えば、所望のキャビテ
ィを有する金型内に、220 〜300 ℃で溶融状態の樹脂組
成物を射出することにより容器を製造することができ
る。上述のようにして得られる射出成形容器は、2〜40
リットル程度の容量とするのに好適であり、また容器の
肉厚は1〜3mm程度である。
【0058】なお、上述したような押出ブロー成形容器
及び射出成形容器は、所望の位置にカッティング等を施
すことにより、缶状体、箱状体等として用いることがで
きる。また、このようにして得られる各種形状の容器
に、他の構成部品(例えば、キャップ、蓋材、把手及び
注口等)を、熱融着、超音波融着及び接着剤の塗布等に
よる接着や、嵌合等により付設して用いることができ
る。
【0059】
【作用】本発明の耐溶剤性容器は、ポリアミド樹脂と、
カルボキシル基やエポキシ基を有する変性用モノマーに
よる変性ポリオレフィンと、変性オレフィン系エラスト
マーとをそれぞれ所定量含有してなる樹脂成分に、所定
量の無機フィラーを配合してなる組成物から得られるも
のであるので、耐溶剤性、耐油性、耐衝撃性及び機械的
強度等が良好であり、溶剤容器、工具箱等の工業用に好
適である。
【0060】このような効果が得られる理由については
必ずしも明らかではないが、ポリアミド樹脂と、変性ポ
リオレフィンと、変性オレフィン系エラストマーとをそ
れぞれ本発明の範囲内で配合することにより、それぞれ
が良好に相溶し、もってポリアミド樹脂の有する機械的
強度、耐熱性、ガスバリア性、耐溶剤性及び耐油性と、
ポリオレフィンの有する耐衝撃性及び機械的強度の良好
なバランスと、オレフィン系エラストマーの有する耐衝
撃性とが、それぞれ耐溶剤性容器としてバランスよく発
揮されるとともに、そのような樹脂成分に対して無機フ
ィラーを所定量配合することより、機械的強度が大幅に
改善されるためであると考えられる。
【0061】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明する。なお、原料となる樹脂成分としては以下のもの
を使用した。 [1] ポリアミド樹脂 Ny6:〔EMS(株)製、A28〕 [2] 変性ポリオレフィン ・無水マレイン酸変性ポリプロピレン CMPP:〔東燃化学(株)製、C915X、無水マレ
イン酸の付加量0.2 重量%〕 [3] 変性オレフィン系エラストマー ・無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体ゴ
ム CMEPR〔東燃化学(株)製、HA75、無水マレイ
ン酸の付加量0.8 重量%〕 [4] ポリオレフィン ・プロピレン−エチレンブロック共重合体 BPP:〔東燃化学(株)製 BJ-503 〕 [5] ガラス繊維 GF:〔旭ファイバーグラス(株)製、CS03MAFT2A〕 [6] タルク TR:〔富士タルク(株)製、LMS200〕
【0062】実施例1〜4及び比較例1〜5 第1表に示す配合割合でナイロン(Ny6)、ポリプロ
ピレン(BPP)、変性ポリプロピレン(CMPP)及
び変性オレフィン系エラストマー(CMEPR)をドラ
イブレンドし、40mmφの二軸押出機のメインホッパーか
ら投入し、また第1表に示す割合でガラス繊維(GF)
あるいはタルク(TR)を二軸押出機の途中より投入し
て、250 ℃で混練し、組成物のペレットを得た。
【0063】得られたペレットを用いて、射出成形によ
り後述する物性試験の試験片を作成し、曲げ弾性率及び
アイゾット衝撃強度の測定、及び耐エンジンオイル性の
評価を行った。結果を第2表に示す。
【0064】 第 1 表組成(重量部) 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 Ny6 60 60 60 80 CMPP 30 30 10 10 CMEPR 10 10 10 10 BPP − − 20 − GF 15 − 15 15 TR − 15 − −
【0065】 第 1 表 (続 き)組成(重量部) 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4 比較例5 Ny6 60 100 − 100 60 CMPP 30 − − − 40 CMEPR 10 − − − − BPP − − 100 − − GF − 15 15 − 15 TR − − − 15 −
【0066】 第 2 表 物 性 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 曲げ弾性率(1) 乾燥条件下 35000 26000 35000 45000 吸湿条件下 26000 18000 26000 31000 アイゾット衝撃強度(2) 23℃ 20 15 18 25 −30℃ 12 7 10 14 耐エンジンオイル性 (3) 膨潤 ○ ○ ○ ○ クラック ○ ○ ○ ○
【0067】 第 2 表 (続 き) 物 性 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4 比較例5 曲げ弾性率(1) 乾燥条件下 16000 51000 27000 35000 42000 吸湿条件下 7500 18000 27000 13000 34000 アイゾット衝撃強度(2) 23℃ NB* 8 13 3 9 −30℃ 10 7 10 3 6 耐エンジンオイル性 (3) 膨潤 ○ × ○ ○ ○ クラック ○ × ○ ○ ○ 注) *:破壊せず。
【0068】(1)曲げ弾性率:23℃において、ASTM D790
により乾燥条件下、及び吸湿条件下(50℃の温水にテ
ストピースを浸漬して50%RH飽和吸水量相当まで吸水さ
せた場合) について測定(単位はkg/cm2 )。 (2)アイゾット衝撃強度:23℃及び−30℃においてASTM
D256 により測定(単位はkg・cm/cm)。 (3)耐エンジンオイル性:JIS K7113 で使用するダンベ
ル形試験片を用い、試験片にストレスをかけることな
く、エンジンオイルに300 時間浸漬した後、膨潤及びク
ラックの有無を目視にて確認し、膨潤については全く膨
潤していないものを○、僅かに膨潤しているものを△、
明らかに膨潤しているものを×として評価し、またクラ
ックについては、クラックの全く認められないものを
○、クラックが発生しているものを×として評価した。
【0069】第2表から明らかなように、実施例1〜4
の組成物は、耐衝撃性、乾燥条件下及び吸湿条件下での
曲げ弾性率に優れており、しかもエンジンオイルに浸漬
しても膨潤もクラックも認められなかった。これに対し
て、各比較例の組成物は上記物性のうち少なくとも1つ
が大幅に劣るものであった。
【0070】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明の耐溶剤
性容器は、ポリアミド樹脂と、カルボキシル基やエポキ
シ基を有する変性用モノマーによる変性ポリオレフィン
と、変性オレフィン系エラストマーとをそれぞれ所定量
含有してなる樹脂成分に、所定量の無機フィラーを配合
してなる組成物から得られるものであるので、耐溶剤
性、耐油性、耐衝撃性及び機械的強度等がに優れてい
る。
【0071】本発明の耐溶剤性容器は、押出ブロー成形
容器、射出成形容器等種々の成形法による容器とするこ
とができる。このような本発明の耐溶剤性容器は、溶剤
用容器、各種工具箱等の工業用に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/26 LDA 7107−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) ポリアミド樹脂50〜90重量%と、
    (b) 変性ポリオレフィン、あるいは前記変性ポリオレフ
    ィンを1重量%以上含有するポリオレフィン樹脂組成物
    2〜40重量%と、(c) 変性オレフィン系エラストマー、
    あるいは前記変性オレフィン系エラストマーを1重量%
    以上含有するオレフィン系エラストマー組成物2〜40重
    量%と、前記(a) +(b) +(c) の合計100 重量部に対し
    て、(d) 無機フィラー3〜80重量部とを含有する組成物
    からなることを特徴とする耐溶剤性容器。 【0001】
JP20725692A 1992-07-10 1992-07-10 耐溶剤性容器 Pending JPH0632977A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013129800A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Toyota Boshoku Corp 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法
JP2022022260A (ja) * 2017-01-30 2022-02-03 トヨタ紡織株式会社 成形体及びその製造方法
WO2023243587A1 (ja) * 2022-06-14 2023-12-21 三井化学株式会社 フィラー含有ポリプロピレン樹脂組成物

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