JPH06321620A - 高靱性セラミック材料 - Google Patents

高靱性セラミック材料

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JPH06321620A
JPH06321620A JP5135046A JP13504693A JPH06321620A JP H06321620 A JPH06321620 A JP H06321620A JP 5135046 A JP5135046 A JP 5135046A JP 13504693 A JP13504693 A JP 13504693A JP H06321620 A JPH06321620 A JP H06321620A
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pores
sintering
ceramic material
ceramic
porosity
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JP5135046A
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English (en)
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Hideyuki Tomita
秀幸 富田
Tsuguhisa Itou
承央 伊藤
Masahiko Saito
政彦 齋藤
Seiji Shimanoue
誠司 島ノ上
Misao Iwata
美佐男 岩田
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Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B38/00Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof
    • C04B38/0051Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof characterised by the pore size, pore shape or kind of porosity

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Abstract

(57)【要約】 【構成】直径が3μm以下で球形の気孔をセラミック焼
結体全体に対し体積比で1〜3%の割合で分散させる。 【効果】強化成分を添加することなく単一材料で高靱化
が可能で、かつ従来のセラミック製造プロセスをそのま
ま用いることができるので製造が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高靱性セラミック材料
に係り、特にセラミックス中に偏析や結晶成長に由来す
る強度に影響を与えない程度の形状、大きさをもつ気孔
を適当量生成させることにより、従来のセラミックスに
比べて破壊靱性値を大幅に向上させた高靱性セラミック
材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
科学技術の進歩につれて、より苛酷な環境下で使用でき
る材料が必要になってきた。
【0003】セラミックスは高温耐熱、耐蝕、耐摩耗性
等、優れた機能と特性から注目され、これまでに勢力的
に研究されており、特に、高強度を有し、耐熱性に非常
に優れるセラミックス材料は、金属材料に代って、車載
用エンジン部品及び部材をはじめ、各分野で徐々に使用
されつつある。
【0004】しかしながら、セラミックスは金属に比べ
破壊靱性値が非常に低く、破壊が脆性的であり、一旦ど
こかで破壊が始まればそれは止まることなく破滅的に進
行してしまう。すなわち、セラミックスは脆性材料であ
るため、信頼性、安全性に欠ける。セラミックスの最大
の問題はここにあり、多くの研究者によってセラミック
スの高靱化が試みられ、粒子分散型、ウィスカー強
化型、長繊維強化型、等による高靱性材料の研究が行
なわれてきた。
【0005】例えばではAl23/ZrO2、ZnO
/ZrO2、Si34/SiC(富田、粒子分散による
セラミックスの高靱化、セラミックス、21、198
6)、ではSi34/SiC(W)、Al23/SiC
(W)、Al23/ZrO2/SiC(W)(井上他、ウィス
カーによるセラミックスの高靱化、セラミックス、2
1、1986)又、においてはSiC/SiC繊維、
SiC/炭素繊維、Si34/炭素繊維(新原、スーパ
ーファインセラミックス制御技術ハンドブック、サイエ
ンスフォーラム)等によって高靱化がなされてきた。
【0006】しかしながら、上記の各方法では強化成分
を添加するため、場合によっては従来のセラミックスの
特性を損なう可能性があり、また単一材料ではないため
製造が容易でないという欠点があった。
【0007】一方、従来のセラミックスの焼結において
は焼結体中に残存する気孔は欠陥と見なされ、いかにし
て気孔率を低下させ、緻密な焼結体を得るかということ
を念頭に研究開発が進められてきた。そのため、単一の
セラミック材料では、緻密で高強度な焼結体は得られる
反面、破壊靱性値が上がらないというのが現状であっ
た。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、高靱性材の様な強化成分を添加することなく単一
材料で高靱化が可能で、製造が極めて容易な高靱性セラ
ミック材料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の高靱性セラミッ
ク材料では、直径が3μm以下で球形の気孔をセラミッ
ク焼成体全体に対し体積比で1〜3%の割合で分散させ
ることを特徴とする(請求項1)。
【0010】本発明のセラミック材料としては、従来よ
り利用されているセラミック構造材料であれば種類を問
わないが、特に、シリコンナイトライド(Si34)、
アルミナ(Al23)、ムライト(3Al23・2Si
2)であることが好ましい(請求項3〜5)。
【0011】また、上記セラミック焼結体の結晶粒径
は、Si34では0.3〜2.7μm、Al23では
2.0〜6.5μm、3Al23・2SiO2では1.
5〜7.2μmの範囲であることが望ましく、特にSi
34が0.5〜0.9μm、Al23が3.3〜5.8
μm、3Al23・2SiO2が3.2〜6.4μmの
範囲であることが強度面からより望ましい。
【0012】本発明の高靱性セラミック材料は、従来の
セラミック材料を緻密化して製造するプロセスにおい
て、焼成温度を従来より20〜50℃程度低くする、焼
成時間を従来より0.5〜4.5時間程度短くするだけ
で、従来の製造方法と全く同様に製造することが可能で
ある。
【0013】また、焼結方法でホットプレス焼結、HI
P焼結を用いる場合には、圧力条件を従来より3〜10
%程度低めに設定することでも同様に製造可能である。
【0014】また、本発明の高靱性セラミック材料にお
ける気孔の分布状態としては、セラミック焼結体中に不
均一に分布している方が、クラックのピン止め効果が働
くため好ましい(請求項2)。
【0015】気孔をセラミック焼結体中に不均一に分布
させるには、高融点の焼結助剤を添加することによって
局所的に焼結の進行の速い部分と遅い部分とを形成し、
気孔が排出移動する状況を局部的に変えることによって
達成可能である。具体的に、高融点の焼結助剤として
は、Nd23、Al23、La23、CeO2、Y23
等があるが特にNd23やLa23が好ましく、その添
加量としては全体量に対し8〜12wt%程度が望まし
い。
【0016】
【作用】本発明者らは、従来より欠陥とみなされてき
た、セラミックス焼結体中に残存する気孔の大きさ、
形、量を制御することにより、逆に破壊靱性値を高める
事ができるという事実を見い出し、本発明を想到したも
のである。すなわち、今までなされてこなかった、偏析
や結晶成長に由来する強度に影響を与えない程度の形
状、大きさをもつ気孔を意図的に適当量生成させること
により、破壊靱性値を向上させるものである。
【0017】本発明において生成される気孔は、i)強
度に影響を与えない程度の形状で、ii)強度に影響を与
えない程度の大きさを持ち、なおかつiii)強度に影響
を与えない程度の量の範囲でなければならない。
【0018】以下、上記のi)〜iii)について説明す
る。
【0019】i)強度に影響を与えない程度の気孔形状 図1において、気孔径状が球状の場合、応力が等方的に
分散されるのに対し、球形でない場合は、曲率の小さい
部分に応力が集中し、より破壊に至る可能性が高い。従
って強度に影響を与えない程度の形状とは、球形である
ことが必要である。
【0020】ii)強度に影響を与えない程度の気孔の大
きさ 線形破壊力学において、図2に示すような半無限媒体に
2aの長さの亀裂が存在する時、この材料を破壊をする
のに必要な応力σfは次式で与えられる。
【0021】
【数1】
【0022】上記の式より、従来の代表的なセラミック
構造材料の破壊靱性値(KIC)、曲げ強度、2aの値は
表1のようになる。
【0023】
【表1】 表1より、曲げ強度に影響を与えない程度の気孔サイズ
は3μm以下が好ましいことが分かる。
【0024】iii)強度に影響を与えない程度の気孔量
(気孔率)の範囲 気孔率とセラミックスの強度の関係は経験的に次式で与
えられる。 Δf=Δf0exp[−kp] Vは気孔率、kは無次元の定数である。
【0025】上式より、気孔率と強度の関係は図3の様
になる。
【0026】図3のグラフより、気孔率が0%の状態か
ら急激に強度は低下をし、その低下率は徐々に小さくな
り、ある一定の気孔率(グラフ−A)を超えるとほとん
ど強度の低下はなくなって収束する。
【0027】しかしながら、気孔率0%とは単結晶の状
態のことを指しているため多結晶体のセラミックスにお
いてはあり得ず、1%程度の気孔は免れない。又実際、
多くの多結晶体では1〜3%程度の気孔率があっても強
度的にはそれほど大きくは低下しないことが経験上明ら
かであり、図3のグラフにおいてA点の強度よりも十分
大きいと思われる。
【0028】以上i)〜iii)の条件を満たすような気孔
であれは、セラミックス中に存在していても強度には全
く影響がないことが分る。本発明ではこの様な気孔の生
成を特にその量(気孔率)を制御することにより、セラ
ミックスの高靱化を達成するものである。
【0029】次に、破壊靱性値を向上させる要因は下記
の2つに大別することができる。 (1)主クラックと分散粒子との直接的な相互作用 (2)主クラック先端付近にプロセスゾーンを形成する
機構
【0030】(1)としては主クラック前縁の湾曲、主
クラック面の偏向、クラックのピン止め作用等があり、
(2)ではマイクロクラッキング、応力誘起相転移、破
面架橋等がある。
【0031】本発明の、セラミックス中に偏析や結晶成
長に由来する強度に影響を与えない程度の形状、大きさ
をもつ気孔を適当量生成させたセラミックスにおいて、
その破壊靱性向上に寄与する要因は気孔によるクラック
のピン止めと偏向であると推定される。
【0032】次に、気孔率と強度、破壊靱性値との関係
を図4に示す。ここで、図4における気孔率とは上記の
iii)に定義した範囲の気孔率である。
【0033】セラミックス中における気孔は欠陥の一種
と捕えることができる。従って従来の焼結技術はいかに
して緻密な焼結体を得るかということを念頭に進歩して
きた。しかしながら、上述したように、セラミックス中
に残存する気孔が強度に影響を与えない形状と大きさで
あれば一定範囲内の気孔は強度に影響を与えない。
【0034】一方、破壊靱性値も緻密化するに従い上昇
するが、気孔を一定以下にしてしまうと逆に低下してし
まう。(図−C点)何故なら適当量の気孔が存在してい
るとクラックはそこでピン止めされ、更には偏向しなが
ら進行するが、気孔が少すぎるとクラックは停止させる
ことなく脆性的に破壊に至るからである。したがって、
強度の低下を最小限に抑え、破壊靱性値が最も高くなる
気孔率の範囲が存在する。(図A〜B点)
【0035】本発明では焼結条件を制御することによ
り、セラミックス中に強度に影響を与えない程度の形
状、大きさをもつ気孔を適当量意図的に生成することに
より、高靱化を達成した。
【0036】
【実施例1】 Si34−1 Si34原料は宇部興産(株)製SN−E10(中心粒
径0.79μm、α分率>95%)と電気化学(株)製SN
−P21C(中心粒径0.69μm、α分率93.1%)を使用
した。
【0037】焼結助剤はE10にはAl23(住友化学
(株)製AKP−30、中心粒径0.37μm)とY2
3(三菱化成(株)製YF、中心粒径1.46μm)をそれ
ぞれ3mol%、5mol%添加、或いはNd23(日
産希元素化学(株))とY23(YF)をそれぞれ5m
ol%、3mol%づつ添加し、P21Cには、CeO
2(日産希元素化学(株)製) とY23(YF)をそれ
ぞれ5mol%、3mol%添加、あるいはLa2
3(日本イットリウム(株)製)とY23(YF)をそ
れぞれ4mol%、4mol%づつ添加した。
【0038】上記原料を表2に示すように所定量秤量し
た後、トリクレン(東亜合成(株)、トリクレンR)に
て湿式混合を16時間行った。この際、分散剤としてA
L−M(味の素(株))を使用し、玉石はSi34製、φ
15mm(ニッカトー(株))、玉石比を1.5とした。
【0039】
【表2】
【0040】湿式混合後100℃のオーブン中で18時
間乾燥し、その後乾式粉砕を48時間行った。この時湿
式混合時に使用した玉石を同一比にて使用した。更に目
開き500μmのステンレス製の篩を通し、これを坏土
とした。
【0041】得られた坏土は温度1750℃、圧力33
0kg/cm2、時間1時間(Nd23−Y23系)或
いは2時間(Al23−Y23、La23−Y23、C
eO2−Y23系)HP焼結を行った(No.1〜
4)。
【0042】なお、比較例として、温度1800℃、圧
力330kg/cm2、時間2時間(Nd23−Y23
系)或いは3時間(Al23−Y23、La23−Y2
3、CeO2−Y23系)の条件でHP焼結して、気孔
率を1%未満にしたもの(No.5〜8)、温度175
0℃、圧力330kg/cm2、時間45分(Nd23
−Y23系)或いは90分(Al23−Y23、La2
3−Y23、CeO2−Y23系)の条件でHP焼結を
行い気孔率を4%以上にしたもの(No.9〜12)も
併せて製造した。
【0043】得られた焼結体は走査型電子顕微鏡(日立
製作所(株)製、S−450)にて100個の気孔形
状、大きさを評価し、気孔率は画像処理装置(オリンパ
ス光学工業(株)、XL−500)を用いて気孔部と緻
密部との面積比により算出した。更に、3点曲げ強度
(JIS R1601)と破壊靱性値(JIS R16
07)の測定を行った。
【0044】以下、表3に本実施例のSi34と従来S
34の特性比較を示す。
【0045】
【表3】
【0046】ここで、気孔率はアルキメデス法による
気孔率、気孔率は画像解析装置を使用した測定値であ
る。気孔率が気孔率に比べ約1/10程度にすぎな
いのはアルキメデス法では開気孔を全体積中のポアと想
定するのに対し、画像処理装置を用いた測定法は閉気孔
をも含めた気孔率を算出できるためである。以後、セラ
ミックスの特性表にはアルキメデス法による気孔率を気
孔率、画像処理装置を用いた気孔率を気孔率として
付記する。(なお、本発明で規定する気孔率1〜3%は
画像処理装置を用いた気孔率を意味する。)
【0047】1〜4は本実施例によって得られたSi3
4であり、5〜8は従来の気孔率が1%未満のSi3
4である。表3より本実施例のものでは、曲げ強度はほ
ぼ同程度でありながら破壊靱性値が大幅に向上した。特
にNd23−Y23系、La23−Y23系の焼結助剤
系を利用したSi34はその向上が著しい。
【0048】1〜4のSi34と5〜8のSi34を比
較すると、気孔径は2〜3μm程度で一致しているのに
対し、気孔率は1〜4のSi34の方がわずかながら高
いこと(1.8〜2.4%)が特徴的である。
【0049】また、9〜12は、気孔率が3%を超える
ものであり、曲げ強度、破壊靱性値が本実施例のものに
比べて共に低下していることが分かる。
【0050】従って本実施例のSi34では、従来の緻
密化Si34の焼成条件と比較して焼成温度を50℃低
下させ、焼成時間を1時間低下させて気孔率を1〜3%
にすることにより高靱化を達成できることが判明した。
【0051】以下、本発明による気孔生成のプロセス
と、高靱化のプロセスを示す。 (i) Si34を焼結する場合、Si34のSiと焼結助
剤中のOとが反応してSiO2を生成し、液相となる。
気孔は液相を通して系外へ排出されるが、完全に緻密化
する前に焼結を止めれば気孔は残る。そこで焼結条件を
制御することで適当量の気孔を残存させることができ
る。
【0052】このような気孔が残存した焼結体におい
て、クラックは図5に示す様に気孔にぶつかって停止
し、(ピン止め効果)偏向しながら進行するため、破壊
靱性値を向上できる。
【0053】(ii)表4にSi34の焼結に使用した焼結
助剤のおおよその融点を示した。
【0054】
【表4】
【0055】Nd23とLa23の2つはSi34の焼
結温度1750℃に比べ、かなり高い融点をもつ。Si
34の焼結はSi34と焼結助剤の表面が十分活性化さ
れなければならない。Al23やCeO2は融点が焼結
温度に近いため、十分活性化され、 一様に焼結が進行
する。それに対し、Nd23やLa23は融点がかなり
高いため、局所的に焼結の進行の早い部分と遅い部分が
現われる。気孔は液相を通して排出されるため、進行の
早い部分から先に排出され、遅い部分へ追い出される。
したがって焼結体の気孔の分布が不均一になる。
【0056】図6に、気孔を不均一に分布させたSi3
4と均一に分散させたSi34のクラックの進展状況
を示す。
【0057】図6より気孔が均一に分布しているSi3
4においてはクラックはほぼ直線的に進行しているの
に対し(図6(b))、不均一に分布させたSi34
はクラックは偏向を起こしている(図6(a))。
【0058】これは、図7(a),(b)に示すよう
に、気孔の多い部分(B)を進行するクラックは緻密な
部分(A)にぶつかると停止し(ピン止め効果)、更に
負荷が加わると偏向して進むためと考えられる。
【0059】従って融点の高い焼結助剤を使用し、焼結
条件を制御することによって気孔を不均一に分散させる
ことによっても、マクロ的にもミクロ的にも破壊靱性値
の向上に効果がある。
【0060】
【実施例2】 Si34−鋳込み成形品 Si34原料は宇部興産(株)製SN−ESP(中心粒
径0.75μm、α分布率>95%)とSN−E10を使用
した。
【0061】焼結助剤はAl23(AKP−30)とY
23(YF)を5mol%:3mol%にて添加した。
【0062】上記原料を表5に示すように所定量秤量し
た後、有機バインダー(中京油脂(株)、バインドセラ
ム)を添加し、水中にて湿式混合を16時間行った。こ
の際玉石はAl23製、φ12×13.5lのシリンダー形
状の物(日本化学陶業)を使用し、玉石比は1とした。
【0063】
【表5】
【0064】得られた泥漿は石膏型(日東石膏製、特級
石膏)へ流し込み、成形、乾燥後、温度550℃にて2
時間脱脂を行った
【0065】脱脂済の成形体は温度1750℃、N2
囲気下で1.5時間常圧焼結した(No.1,2)。
【0066】なお、比較例として温度1750℃、N2
雰囲気下で6時間常圧焼結して緻密化させた従来のSi
34も併せて製造した(No.3、4)。
【0067】焼結体の評価方法は実施例の場合と同様
にした。表6に本実施例により得られたSi34(1〜
2)と従来Si34(3〜4)の特性表を示す。尚、
1、3はESP、2、4はE10使用。
【0068】
【表6】
【0069】本焼結体の高靱化のメカニズムは実施例
の(i)と同様である。
【0070】
【実施例3】 Al23 Al23粉末は昭和電工(株)製AC160(中心粒径
0.41μm)を用いた。
【0071】Al23粉末を25×60×15mm形状
になる様に200kg/cm2の圧力で金型を用いて成
形し、更に、冷間静水圧プレスで1500kg/cm2
の圧力を加え、成形体とした。
【0072】成形体は400℃にて2時間脱脂した後、
大気雰囲気下で1650℃、1時間常圧焼結を行った。
【0073】なお、比較例として大気雰囲気下で167
0℃、2時間常圧焼結を行った従来Al23も併せて製
造した。
【0074】得られた焼結体は実施例と同様の評価方
法を用いて評価した。
【0075】表7に、本実施例のAl23(1)と比較
例のAl23(2)の特性表を示す。
【0076】
【表7】
【0077】Al23の様な酸化物セラミックスの場
合、焼結の過程で粒成長が起こり、気孔は粒界へ排出さ
れる。粒界の気孔は容易に拡散して網の目の様になって
粒界を通路として焼結体の外へ拡散され、結果として無
気孔の焼結体が得られる。
【0078】焼結条件を制御し(本実施例では焼成温度
を20℃低下させ、かつ焼成時間を1時間減少させた)
完全に緻密化する前に、適当量の気孔を残して焼結を完
了すれば気孔によってクラックはピン止め、偏向の効果
を受けて破壊靱性値は向上する。
【0079】
【実施例4】 3Al23・2SiO2 3Al23・2SiO2原料は秩父セメント(株)製M
P40(中心粒径1.54μm、Al23/SiO2モル比
=1.50)を用いた。
【0080】3Al23・2SiO2粉末を25×60
×15mm形状になる様に200kg/cm2の圧力で
金型を用いて成形し、更に冷間静水圧プレスで1500
kg/cm2の圧力を加え、成形体とした。
【0081】成形体は400℃にて2時間脱脂した後、
大気雰囲気下で1650℃、1時間常圧焼結を行った。
【0082】得られた焼結体は実施例と同様の評価方
法を用いて評価した。
【0083】表8に、本実施例の3Al23・2SiO
2(1)と従来3A l23・2SiO2(2)(大気雰
囲気下で1650℃、90分常圧焼結を行ったもの)の
特性表を示す。
【0084】
【表8】
【0085】本焼結体の破壊靱性向上のメカニズムは実
施例と同様である。
【0086】
【発明の効果】本発明によれは、偏析による強度に影響
を与えない程度の気孔を生成することにより高靱性のセ
ラミックスが得られる。このセラミックスは強度や耐熱
性等従来のセラミックスの持っていた特性を損ねること
はないので、その用途は車載用エンジン部品をはじめ多
岐にわたると考えられる。
【0087】更に、本発明により得られたセラミックス
は、その構造からKICの向上以外に次の様な効果が得ら
れる。
【0088】耐摩耗性の向上 本発明によって得られたセラミックスには数μm程度の
気孔が存在している。こうした材料を潤滑剤と共に摺動
部材として使用した場合、気孔中に潤滑剤が保存され
る。この潤滑剤は部品の摺動中に極微量ずつ気孔より供
給され、その結果セラミック部品の耐摩耗性が向上す
る。
【0089】耐熱衝撃性の向上 本発明によって生成された気孔は応力に対して最も効果
的にそれを分散させ得る形状を持っている。したがって
熱衝撃による応力が発生した場合、気孔が応力を分散、
吸収し破壊に至りにくい。
【0090】この様な特性を生かし、構造材料を始め、
加工用超硬工具、摺動部材、溶融金属用ダイカスト部材
等の用途展開が可能である。
【0091】また本発明の高靱性セラミック材料は、焼
結条件をのみを制御することにより容易に得られるた
め、従来のホットプレス焼結、HIP焼結、常圧焼結等
の焼結方法を利用して容易に製造することができる。さ
らにプレス成形、鋳込み成形等の成形プロセスも、成形
体中に気孔が存在していれば利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気孔形状と強度との関係を説明するための図で
ある。
【図2】気孔の大きさと強度との関係を説明するための
図である。
【図3】気孔率と強度との関係を示すグラフである。
【図4】気孔率と強度、破壊靱性値との関係を示すグラ
フである。
【図5】気孔によるクラックの進行方向を示す図であ
る。
【図6】Si34のクラック進展状況を示す組織写真で
あり、(a)は気孔を不均一に分布させたSi34
(b)は気孔を均一に分散させたSi34である。
【図7】(a)は気孔の多い部分と緻密な部分とが有る
場合のクラックの進展状況を示す図であり、(b)は
(a)のC部分の拡大図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 承央 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 齋藤 政彦 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 島ノ上 誠司 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 岩田 美佐男 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直径が3μm以下で球形の気孔がセラミッ
    ク焼結体全体に対し体積比で1〜3%の割合で分散して
    いることを特徴とする高靱性セラミック材料。
  2. 【請求項2】上記気孔がセラミック焼結体中に不均一に
    分散していることを特徴とする請求項1記載の高靱性セ
    ラミック材料。
  3. 【請求項3】上記セラミック焼結体がシリコンナイトラ
    イド(Si34)であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の高靱性セラミック材料。
  4. 【請求項4】上記セラミック焼結体がアルミナ(Al2
    3)であることを特徴とする請求項1又は2記載の高
    靱性セラミック材料。
  5. 【請求項5】上記セラミック焼結体がムライト(3Al
    23・2SiO2)であることを特徴とする請求項1又
    は2記載の高靱性セラミック材料。
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