JPH06308453A - 液晶光学素子 - Google Patents

液晶光学素子

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JPH06308453A
JPH06308453A JP5101497A JP10149793A JPH06308453A JP H06308453 A JPH06308453 A JP H06308453A JP 5101497 A JP5101497 A JP 5101497A JP 10149793 A JP10149793 A JP 10149793A JP H06308453 A JPH06308453 A JP H06308453A
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liquid crystal
crystal layer
incident
optical element
substrate
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JP5101497A
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Koetsu Hibino
光悦 日比野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】液晶分子の均一制御を可能とし、入射光の散乱
の問題を解消した焦点距離又は照射角可変の液晶光学素
子を提供する。 【構成】レンズ基板1、平板ガラス基板2間に均一厚さ
の液晶層3が挟持された液晶セルよりなる。一方の基板
1側では液晶分子が基板表面に対して平行な方向で、か
つ、レンズの光学的対称性に対応して対称に配向され、
他方の基板2側では液晶分子が基板表面に対して平行な
方向で基板1側の液晶分子の配向方向と垂直方向に配向
されている。また、液晶層3の厚さは該液晶層3が旋光
性を示さない範囲内に小さく設定されている。所定方向
に偏光した入射光に対して、液晶層3は凸レンズ又は凹
レンズ機能を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶セルを利用した液
晶光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、液晶の電気光学効果を利用し
て焦点距離を可変とした焦点距離可変液晶レンズよりな
る液晶光学素子が知られている。例えば、特開昭60−
50510号公報には、凹レンズ形状の透明基板と、こ
れに対向配設された平板状の透明基板と、両基板の周縁
部に配設、挟持されたスペーサとで確定された空間に、
液晶を封入してなる焦点距離可変液晶レンズが開示され
ている。この液晶レンズでは、両基板の相対向する内面
にそれぞれ透明導電膜及び水平配向処理膜が形成され、
誘電異方性が正の電界効果形液晶が封入されている。
【0003】この液晶レンズにしきい値以上の交流電圧
を印加すると、電子分極により分極している誘電異方性
が正の各液晶分子は長軸の向きを電圧印加方向に変え
る。このため、印加電圧の大きさを制御することによ
り、基板に平行に配向していた液晶分子の長軸の向きを
基板に対して垂直方向に連続的に変えることができる。
したがって、液晶分子の配向の方位に偏光した入射光に
対して、液晶レンズのみかけの屈折率は異常光に対する
値から常光に対する値まで連続的に変化する。このよう
に、印加電圧により液晶分子の配向方向を制御して液晶
レンズのみかけの屈折率を変化させることにより、レン
ズの焦点距離を異常光に対する値から常光に対する値ま
で連続的に変化させることができる。
【0004】また、実開平1−142928号公報に
は、図27に示すように、発光源81と、この発光源8
1の光照射方向を決める反射板82と、発光源81の側
近位置に配置されて照射光の屈折力を可変する液晶光学
素子90と、この液晶光学素子90の駆動回路83と、
発光源81の駆動源84とで構成された光照射角を可変
とした照明器が開示されている。この照明器において、
液晶光学素子90は、図28に示すように、凸レンズ形
状の透明基板91と、これに対向配設された平板状の透
明基板92と、両基板91、92の周縁部に配設、挟持
されたスペーサ93とで確定された空間に、液晶94を
封入した液晶レンズよりなる。なお、両基板91、92
の相対向する内面にそれぞれ透明導電膜95及び垂直配
向処理膜96が形成され、誘電異方性が負の電界効果形
液晶が封入されている。
【0005】この液晶レンズよりなる液晶光学素子90
において、電圧無印加時、液晶94の液晶分子は一対の
基板91、92間で垂直配向しており、液晶94はほぼ
常光に対する屈折率no に等しい屈折率のみを示してい
る。この状態で、発光源81が駆動源84により発光す
ると、図27に示すように、液晶光学素子90を透過し
た光束は実線矢印の範囲(θo )に拡がって照射され
る。そして、駆動回路83によりしきい値より十分に高
い交流電圧を液晶光学素子90の透明導電膜95に印加
すると、電子分極により分極している誘電異方性が負の
各液晶分子は電圧印加方向と垂直な方向に90°長軸の
向きを変える。これにより、液晶光学素子90の液晶9
4は、常光に対する屈折率no の他に、異常光に対する
屈折率neの両者を示すようになる。したがって、この
電圧印加時では、液晶光学素子90を透過した光束は、
一部の光が実線矢印の範囲(θo )に拡がると共に、残
りの光が点線矢印の範囲(θe )に拡がり、全体として
光照射角範囲が(θe )に拡がって照射されることとな
る。なお、上記点線矢印の範囲(θe )は、印加電圧の
大きさを制御することにより、θo 〜θe の間でその広
がりを任意に調整できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
液晶レンズよりなる液晶光学素子において、電圧を印加
した場合の液晶分子配向の応答・回復時間は、液晶層の
厚さのほぼ2乗に比例して長くなる。このため、上記従
来の凹レンズ基板や凸レンズ基板を用いて液晶層の厚さ
を連続的に変化させた液晶レンズは、液晶レンズの中心
部と周辺部とで液晶層の厚さが異なるので、液晶分子を
均一に制御することが難しく、入射光が散乱してしまう
という欠点がある。
【0007】これに対し、平板状基板同士を対向配設
し、その間に液晶を封入してなる液晶セルは、上記液晶
層の厚さが均一となるので、液晶分子の挙動を安定に制
御することができ、表示品質に優れる。しかし、このよ
うな平板状基板同士を対向配設させて液晶層を均一厚さ
とした液晶素子では、焦点距離や照射角の可変機能をも
たせることが従来できなかった。
【0008】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であり、液晶分子の均一な制御を可能とし、入射光の散
乱の問題を解消した焦点距離や照射角の可変機能を有す
る液晶光学素子を提供することを目的とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本第
1発明の液晶光学素子は、対向配設された一対の透明基
板間に均一厚さの液晶層が挟持された液晶セルの少なく
とも入射光側にレンズを備え、前記一方の透明基板側で
は液晶分子が該基板表面に対して平行な方向で、かつ、
前記レンズの光学的対称性に対応して対称に配向され、
前記他方の透明基板側では液晶分子が前記一方の透明基
板側での液晶分子配向と異なる方向に配向されるととも
に、前記液晶層の厚さは該液晶層が旋光性を示さない範
囲内に小さく設定されていることを特徴とするものであ
る。
【0010】なお、液晶セルの少なくとも入射光側にレ
ンズを備えるには、一対の透明基板のうちの少なくとも
入射光側の透明基板自身をレンズ形状の透明基板とした
り、あるいは一対の透明基板を平板状の透明基板とし、
かつ、入射光側の透明基板に別体としてのレンズを並設
させたりすることにより行うことができる。液晶光学素
子の構造の簡素化や小型化を求めたり、偏向角等の計算
の単純化を求めたりする観点からは、透明基板自身をレ
ンズ形状とすることが好ましい。
【0011】このレンズ形状としては、凸状又は凹状の
円筒面をもつシリンドリカルレンズ形状としたり、凸状
又は凹状の球面レンズ形状としたりすることができる。
ここで、レンズの光学的対称性に対応して対称であると
は、レンズがシリンドリカルレンズ形状の場合、レンズ
に垂直でかつ円筒面の軸芯を含む平面を中心として対称
性を有することをいい、レンズが球面レンズ形状の場
合、球面の中心軸を中心として対称性を有することをい
う。
【0012】上記課題を解決する本第2発明の液晶光学
素子は、対向配設された一対の平板状透明基板間に均一
厚さの液晶層が挟持された液晶セルの側近位置に、発散
光を放射する光源が配置されてなり、前記一方の透明基
板側の液晶分子配向と前記他方の透明基板側の液晶分子
配向とが異なる方向に配向されるとともに、前記液晶層
の厚さは該液晶層が旋光性を示さない範囲内に小さく設
定されていることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】本第1発明の液晶光学素子では、入射光側に備
えられたレンズを介して光が液晶層に斜め入射する。詳
しくは、入射光側に凸レンズが備えられれば光が収束し
ながら液晶層に斜め入射し、入射光側に凹レンズが備え
られれば光が拡がりながら液晶層に斜め入射する。ま
た、本第2発明の液晶光学素子では、液晶セルの側近位
置に配置された発散光を放射する光源からの光が拡がり
ながら液晶層に斜め入射する。このように液晶層に斜め
入射する入射光は、後述する作用原理に従って、液晶層
の入射側の界面における液晶分子の見掛けの屈折率と、
液晶層の出射側の界面における液晶分子の見掛けの屈折
率との違いに応じて、該液晶層を通過する際に所定角度
偏向される。またこのとき、液晶層への電界又は磁界の
印加状態を変化させて液晶層の液晶分子の配向状態を制
御することにより、該液晶層における屈折力が可変とさ
れ、その偏向角を可変とした偏向機能を発揮する。
【0014】すなわち、本第1発明及び第2発明の液晶
光学素子では、後述するように、液晶層の入射側の界面
において平行配向した液晶分子の長軸方向に偏光した光
が収束しながら該液晶層に斜め入射すると該液晶層は凹
レンズ機能を発揮し、同様の光が拡がりながら該液晶層
に斜め入射すると該液晶層は凸レンズ機能を発揮する。
一方、液晶層の出射側の界面において平行配向した液晶
分子の長軸方向に偏光した光が収束しながら該液晶層に
斜め入射すると該液晶層は凸レンズ機能を発揮し、同様
の光が拡がりながら該液晶層に斜め入射すると、該液晶
層は凹レンズ機能を発揮する。しかも、このような液晶
層における凹レンズ機能や凸レンズ機能は、液晶層の液
晶分子の配向状態を電界又は磁界の印加により制御する
ことにより屈折力が可変とされる。したがって、本第1
発明及び第2発明の液晶光学素子は、焦点距離を可変と
したり又は照射角を可変としたりすることのできる液晶
光学素子として機能する。
【0015】そして、本第1発明及び第2発明の液晶光
学素子においては、液晶層が均一厚さとされているた
め、上記電界又は磁界の印加による液晶分子の配向状態
を均一に制御することができ、入射光の散乱を招くこと
がない。上記した液晶層に斜め入射した入射光に対する
所定の偏向機能は、液晶層が旋光性を示さない範囲内に
液晶層の厚さが小さく設定されている場合に発揮される
もので、液晶層の厚さが厚すぎて該液晶層が旋光性を示
すようになると上記偏向機能は失われる。これは、入射
光が液晶層を進行する間に、該液晶層の旋光性により入
射光の偏光面が回転すると、液晶層の出射側での液晶分
子の見掛けの屈折率が上記偏光面の回転に応じて変化す
るので、後述する作用原理に従わなくなり、偏向機能が
失われるからである。
【0016】この液晶層の厚さは、入射光の波長を基準
として設定することができ、具体的には液晶層の厚さを
入射光の波長の同等以下とすることにより、液晶層が旋
光性を示さない範囲内とすることができる。以下、本第
1発明及び第2発明の液晶光学素子において、所定方向
に偏光した光が液晶層に斜め入射した場合に、該液晶層
が所定の偏向機能を発揮する作用原理について、(イ)
入射側の一方の透明基板では液晶分子が該一方の透明基
板の表面に対して平行な方向に配向され、出射側の他方
の透明基板側では液晶分子が該他方の透明基板の表面に
対して平行で、かつ、前記一方の透明基板側での液晶分
子の配向方向と垂直な方向に配向されている場合、及び
(ロ)入射側の一方の透明基板では液晶分子が該一方の
透明基板の表面に対して平行な方向に配向され、出射側
の他方の透明基板側では液晶分子が該他方の透明基板の
表面に対して垂直な方向に配向されている場合に分けて
説明する。
【0017】まず、本第1発明及び第2発明の液晶光学
素子において、上記(イ)の場合について、図26の光
学系に示すように、一方の透明基板1側の液晶分子の長
軸方向に偏光した光が、該一方の透明基板1と液晶層と
の第1界面(1)の法線に対して入射角θ0 をもって斜
め入射したときの作用について、(A)電界無印加状
態、(B)液晶層の液晶分子の配向方向が多少変化する
程度に電界を印加した状態、(C)上記液晶分子の配向
が完全に変化しきるまで十分に電界を印加した状態に分
けて以下説明する。なお、誘電異方性が正の液晶を用い
た場合を想定する。また、一対の透明基板1、2の屈折
率は同じと想定する。
【0018】(A)電界無印加状態では、一方の透明基
板1側で液晶分子が該基板1表面に対して平行な方向に
配向され、他方の透明基板2側で液晶分子が該基板2表
面に対して平行な方向で、かつ、該一方の透明基板1側
の液晶分子の配向方向と垂直な方向に配向されている。
入射光は一方の透明基板1と液晶層との第1界面(1)
での液晶分子の長軸方向に偏光した光だから、第1界面
(1)での液晶分子の見掛けの屈折率nL1は、異常光に
対する屈折率ne となる。すなわち、 nL1=ne …(a) となる。
【0019】また、第1界面(1)の法線に対して入射
角θ0 をもって入射した光は、第1界面(1)において
スネルの法則に従って、第1界面(1)の法線に対して
屈折角θ1 をもって屈折する。このため、第1界面
(1)での屈折角θ1 は、一方の透明基板1の屈折率を
1 とすると、スネルの法則に従って、次式(b)で計
算される。
【0020】 n1 sinθ0 =nL1sinθ1 …(b) 次に、液晶層内を伝播した光は、液晶層と他方の透明基
板2との第2界面(2)に第2界面(2)の法線に対し
て入射角θ1 をもって入射し、該第2界面(2)で第2
界面(2)の法線に対して屈折角θ2 をもって屈折す
る。この第2界面(2)における液晶分子は基板2の表
面、つまり第2界面(2)に対して平行な方向に配向さ
れているが、上記第1界面(1)での液晶分子の配向方
向と垂直な方向に配向されている。このため、第2界面
(2)での液晶分子の見掛けの屈折率nL2は、常光に対
する屈折率no となる。すなわち、 nL2=no …(c) となる。
【0021】また、第2界面(2)での屈折角(出射
角)θ2 は、他方の透明基板2の屈折率をn2 とする
と、スネルの法則に従って、次式(d)で計算される。 nL2sinθ1 =n2 sinθ2 …(d) このように、電界無印加状態で、液晶層に入射角θ0
もって斜め入射した光は、液晶層から出射角θ2 をもっ
て出射することとなる。そして、上記式(b)及び
(d)において、n1 =n2 、かつ、nL1≠nL2より、
θ0 ≠θ2 となる。したがって、液晶層にθ0 の入射角
で入射した入射光は、Δθ((θ2 −θ0 )の絶対値)
の偏向角をもって偏向されて液晶層から出射する。ま
た、 n1 =n2 ≦nL2(=no )<nL1(=ne ) より、θ1 <θ2 <θ0 となる。
【0022】したがって、本第1発明の液晶光学素子に
おいて、電界無印加状態で、入射側の第1界面(1)で
の液晶分子の長軸方向に偏光した光が収束しながら液晶
層に斜め入射した場合、凹レンズ機能が発揮される。一
方、本第1発明及び第2発明の液晶光学素子において、
電界無印加状態で、入射側の第1界面(1)での液晶分
子の長軸方向に偏光した光が拡がりながら液晶層に斜め
入射した場合、凸レンズ機能が発揮される。
【0023】なお、入射側の第1界面(1)での液晶分
子の長軸方向と垂直方向、つまり出射側の第2界面
(2)での液晶分子の長軸方向に偏光した光が液晶層に
斜め入射した場合、 n1 =n2 ≦nL1(=no )<nL2(=ne ) より、θ1 <θ0 <θ2 となる。
【0024】したがって、本第1発明の液晶光学素子に
おいて、電界無印加状態で、出射側の第2界面(2)で
の液晶分子の長軸方向に偏光した光が収束しながら液晶
層に斜め入射した場合、凸レンズ機能が発揮される。一
方、本第1発明及び第2発明の液晶光学素子において、
電界無印加状態で、出射側の第2界面(2)での液晶分
子の長軸方向に偏光した光が拡がりながら液晶層に斜め
入射した場合、凹レンズ機能が発揮される。
【0025】なお、液晶層の厚さが厚くなって、該液晶
層が旋光性を示すようになると、入射光の偏光面の回転
により、第2界面(2)での液晶分子の見掛けの屈折
率:n L2が第1界面(1)での液晶分子の見掛けの屈折
率:nL1と同じになり、したがってこの作用原理にも従
わなくなって偏向機能が失われる。(B)液晶層の液晶
分子の配向方向が多少変化する程度に電界を印加した状
態では、一方の透明基板1に平行に配向していた液晶分
子が徐々に立ち上がる。このとき、第1界面(1)での
液晶分子が透明基板1の表面、つまり第1界面(1)の
法線に対して角度αで傾いたとすると、第1界面(1)
での液晶分子の見掛けの屈折率nL1は、次式(e)で計
算される。
【0026】 nL1=(ne −no )sinα+n0 …(e) また、第1界面(1)での屈折角θ1 は、スネルの法則
に従って、上記式(b)で計算される。次に、他方の透
明基板2側の液晶分子は、電界無印加時と配向状態が変
化しないので、上記第2界面(2)での液晶分子の見掛
けの屈折率nL2、及び第2界面(2)での屈折角θ
2 は、上記(A)電界無印加状態の場合と同様に、それ
ぞれ上記式(c)及び(d)で計算される。
【0027】したがって、上記(A)電界無印加状態と
同様に、液晶層に入射角θ0 をもって斜め入射した光
は、液晶層から出射角θ2 をもって出射することとな
る。そして、上記式(b)及び(d)において、n1
2 、かつ、nL1≠nL2より、θ 0 ≠θ2 となる。した
がって、この場合もΔθ((θ2 −θ0 )の絶対値)の
偏向角をもって偏向される。ただし、上記上記(A)電
界無印加状態と比較して、偏向角Δθは小さくなる。
【0028】(C)上記液晶分子の配向が完全に変化し
きるまで十分に電界を印加した状態では、液晶層内の液
晶分子は全て透明基板1、2に対して垂直に立つので、
第1界面(1)での液晶分子の見掛けの屈折率nL1と、
第2界面(2)での液晶分子の見掛けの屈折率nL2は、 nL1=nL2=no …(f) となり、等しくなる。このため、上記式(b)及び
(d)より、θ0 =θ2 となり、偏向しなくなる。
【0029】次に、本第1発明及び第2発明の液晶光学
素子において、前記(ロ)の場合について、図26の光
学系に示すように、一方の透明基板1側から、該一方の
透明基板1側の液晶分子の長軸方向に偏光した光が斜め
入射し、該一方の透明基板1と液晶層との第1界面
(1)の法線に対して入射角θ0 をもって入射したとき
の作用について、(A)電界無印加状態、(B)液晶層
の液晶分子の配向方向が多少変化する程度に電界を印加
した状態、(C)上記液晶分子の配向が完全に変化しき
るまで十分に電界を印加した状態に分けて以下説明す
る。なお、誘電異方性が正の液晶を用いた場合を想定す
る。また、一対の透明基板1、2の屈折率は同じと想定
する。
【0030】(A)電界無印加状態では、一方の透明基
板1側で液晶分子が該基板1の表面に対して平行な方向
に配向され、他方の透明基板2側で液晶分子が該基板2
の表面に対して垂直な方向に配向されている。入射光は
一方の透明基板1と液晶層との第1界面(1)での液晶
分子の長軸方向に偏光した光だから、第1界面(1)で
の液晶分子の見掛けの屈折率nL1は、異常光に対する屈
折率ne となる。すなわち、 nL1=ne …(a) となる。
【0031】また、第1界面(1)の法線に対して入射
角θ0 をもって入射した光は、第1界面(1)において
スネルの法則に従って、第1界面(1)の法線に対して
屈折角θ1 をもって屈折する。このため、第1界面
(1)での屈折角θ1 は、一方の透明基板1の屈折率を
1 とすると、スネルの法則に従って、次式(b)で計
算される。
【0032】 n1 sinθ0 =nL1sinθ1 …(b) 次に、液晶層内を伝播した光は、液晶層と他方の透明基
板2との第2界面(2)に第2界面(2)の法線に対し
て入射角θ1 をもって入射し、該第2界面(2)で第2
界面(2)の法線に対して屈折角θ2 をもって屈折す
る。この第2界面(2)における液晶分子は基板2の表
面、つまり第2界面(2)に対して垂直な方向に配向さ
れており、第2界面(2)に入射する光はこの液晶分子
に対して入射角θ1 をもって入射することとなるので、
第2界面(2)での液晶分子の見掛けの屈折率nL2は、
次式(c’)で計算される。
【0033】 nL2=(ne −no )sinθ1 +no …(c’) また、第2界面(2)での屈折角(出射角)θ2 は、他
方の透明基板2の屈折率をn2 とすると、スネルの法則
に従って、次式(d)で計算される。 nL2sinθ1 =n2 sinθ2 …(d) このように、電界無印加状態で、液晶層に入射角θ0
もって斜め入射した光は、液晶層から出射角θ2 をもっ
て出射することとなる。そして、上記式(b)及び
(d)において、n1 =n2 、かつ、nL1≠nL2より、
θ0 ≠θ2 となる。したがって、液晶層にθ0 の入射角
で入射した入射光は、Δθ((θ2 −θ0 )の絶対値)
の偏向角をもって偏向されて液晶層から出射する。ま
た、 n1 =n2 ≦nL2(=no )<nL1(=ne ) より、θ1 <θ2 <θ0 となる。
【0034】したがって、本第1発明の液晶光学素子に
おいて、電界無印加状態で、入射側の第1界面(1)で
の液晶分子の長軸方向に偏光した光が収束しながら液晶
層に斜め入射した場合、凹レンズ機能が発揮される。一
方、本第1発明及び第2発明の液晶光学素子において、
電界無印加状態で、入射側の第1界面(1)での液晶分
子の長軸方向に偏光した光が拡がりながら液晶層に斜め
入射した場合、凸レンズ機能が発揮される。
【0035】なお、入射側の第1界面(1)での液晶分
子の長軸方向と垂直方向、つまり出射側の第2界面
(2)での液晶分子の長軸方向に偏光した光が液晶層に
斜め入射した場合、 n1 =n2 ≦nL1(=no )<nL2(=ne ) より、θ1 <θ0 <θ2 となる。
【0036】したがって、本第1発明の液晶光学素子に
おいて、電界無印加状態で、出射側の第2界面(2)で
の液晶分子の長軸方向に偏光した光が収束しながら液晶
層に斜め入射した場合、凸レンズ機能が発揮される。一
方、本第1発明及び第2発明の液晶光学素子において、
電界無印加状態で、出射側の第2界面(2)での液晶分
子の長軸方向に偏光した光が拡がりながら液晶層に斜め
入射した場合、凹レンズ機能が発揮される。
【0037】なお、液晶層の厚さが厚くなって、該液晶
層が旋光性を示すようになると、入射光の偏光面の回転
により、第2界面(2)での液晶分子の見掛けの屈折
率:n L2が第1界面(1)での液晶分子の見掛けの屈折
率:nL1と同じになり、したがってこの作用原理にも従
わなくなって偏向機能が失われる。(B)液晶層の液晶
分子の配向方向が多少変化する程度に電界を印加した状
態では、一方の透明基板1に平行に配向していた液晶分
子が徐々に立ち上がる。このとき、第1界面(1)での
液晶分子が透明基板1の表面、つまり第1界面(1)の
法線に対して角度αで傾いたとすると、第1界面(1)
での液晶分子の見掛けの屈折率nL1は、次式(e)で計
算される。
【0038】 nL1=(ne −no )sinα+n0 …(e) また、第1界面(1)での屈折角θ1 は、スネルの法則
に従って、上記式(b)で計算される。次に、他方の透
明基板2側の液晶分子は、電界無印加時と配向状態が変
化しないので、上記第2界面(2)での液晶分子の見掛
けの屈折率nL2、及び第2界面(2)での屈折角θ
2 は、上記(A)電界無印加状態の場合と同様に、それ
ぞれ上記式(c)及び(d)で計算される。
【0039】したがって、上記(A)電界無印加状態と
同様に、液晶層に入射角θ0 をもって斜め入射した光
は、液晶層から出射角θ2 をもって出射することとな
る。そして、上記式(b)及び(d)において、n1
2 、かつ、nL1≠nL2より、θ 0 ≠θ2 となる。した
がって、この場合もΔθ((θ2 −θ0 )の絶対値)の
偏向角をもって偏向される。ただし、上記(A)電界無
印加状態と比較して、偏向角Δθは小さくなる。
【0040】(C)液晶層の液晶分子の配向が完全に変
化しきるまで十分に電界を印加した状態では、液晶層内
の液晶分子は全て透明基板1、2に対して垂直に立つの
で、第1界面(1)での液晶分子の見掛けの屈折率nL1
と、第2界面(2)での液晶分子の見掛けの屈折率nL2
は、 nL1=nL2=(ne −no )sinθ1 +n0 …(g) となり、等しくなる。このため、上記式(b)及び
(d)より、θ0 =θ2 となり、偏向しなくなる。
【0041】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。な
お、実施例1〜5及び実施例7〜11は本第1発明に係
る実施例であり、実施例6及び実施例12は本第2発明
に係る実施例である。また、実施例1〜5に係る液晶光
学素子は、入射側の透明基板に凸状のシリンドリカルレ
ンズ基板を用いたものであり、実施例7〜11に係る液
晶光学素子は入射側の透明基板に凸状の球面レンズ基板
を用いたものである。
【0042】(実施例1)図1、図2に示す本実施例1
の液晶光学素子は、対向配設された一対の透明基板とし
てのシリンドリカルレンズ基板1、平板ガラス基板2
と、両基板1、2の間に挟持された液晶層3と、入射側
のシリンドリカルレンズ基板1の円筒面に対して垂直に
平行光たる入射光LINを入射させる入射手段(図示せ
ず)と、出射側の平板ガラス基板2に並設された偏光板
4とから主に構成されている。
【0043】入射側の透明基板としてのシリンドリカル
レンズ基板1は、ソーダライムガラスからなり、凸状の
円筒面1aをもつシリンドリカルレンズから形成されて
いる。また出射側の透明基板としての平板ガラス基板2
は、ソーダライムガラスからなる平板状のガラス基板か
ら形成されている。このシリンドリカルレンズ基板1の
屈折率:n1 、及び平板ガラス基板2の屈折率:n
2 は、n1 =n2 =1.530である。また、シリンド
リカルレンズ基板1は、焦点距離55mmのものであ
る。
【0044】両基板1、2の互いに対向する内表面に
は、それぞれITO膜(100Ω/□、膜厚300Å)
よりなる透明導電膜5、6が形成されている。この透明
導電膜5、6には、それぞれリード線(図示せず)が接
続されて用いられる。そして、入射側のシリンドリカル
レンズ基板1の表面に形成された透明導電膜5の表面に
は、さらにポリイミド(「SP910」東レ(株)製)
からなり厚さ約1000Åの平行配向処理膜7が形成さ
れている。また出射側の平板ガラス基板2の表面に形成
された透明導電膜6の表面にも、同じくポリイミド
(「SP910」東レ(株)製)からなり厚さ約100
0Åの平行配向処理膜8が形成されている。なお、シリ
ンドリカルレンズ基板1側に形成された平行配向処理膜
7は、液晶層3の液晶分子がシリンドリカルレンズ基板
1側で該基板1に垂直で該基板1の円筒面の軸芯を含む
平面を中心として対称に配向するように、図1の紙面と
垂直方向に配向処理されている。また、平板状ガラス基
板2側に形成された平行配向処理膜8は、シリンドリカ
ルレンズ基板1側の平行配向処理膜7の配向方向と垂直
な方向に配向処理されている。
【0045】平板ガラス基板1、2間のギャップは0.
5μmに設定され、したがって液晶層3の厚さdは0.
5μmに設定されている。なお本実施例では、図示しな
い入射手段からの入射光としてHe−Neレーザ光(波
長:λ=632nm)を用いており、したがって入射光
の波長λに対する液晶層3の厚さの比:d/λは、d/
λ=0.79である。なお、レーザ発振器から照射され
たレーザ光をコリメータレンズを通過させて入射光とし
ての平行光を得ている。
【0046】両基板1、2の周縁部はエポキシ系接着剤
よりなるシール剤9で封止され、両基板1、2の間には
密閉空間が形成されている。そして密閉空間内には、誘
電異方性が正のネマティック液晶が封入されて、液晶層
3を形成している。なお、この液晶分子の異常光に対す
る屈折率:ne は、ne =1.720であり、液晶分子
の常光に対する屈折率:no は、no =1.530であ
る。
【0047】出射側の平板ガラス基板2に並設された偏
光板4の偏光方向は、入射側のシリンドリカルレンズ基
板1側に形成された平行配向処理膜7の配向方向(図1
の紙面と垂直方向)と同一であり、したがってシリンド
リカルレンズ基板1側の液晶分子の長軸方向と同一方向
とされている。本実施例の液晶光学素子は上記したよう
に液晶層3の厚さdが0.5μmとされ、入射光の波長
λに対する液晶層3の厚さtの比:d/λが0.79と
されているので、該液晶層3は旋光性を示さない。ま
た、液晶層3の液晶分子の配向状態が、上記したように
一方の平板ガラス基板1側で平行配向とされ、他方の平
板ガラス基板2側で垂直配向とされている。したがっ
て、本実施例の液晶光学素子においては、液晶層3への
電界の印加状態を変化させて液晶層3の液晶分子の配向
状態を変化させることにより、シリンドリカルレンズ基
板1を介して該液晶層3に斜め入射した入射光を前述の
作用原理に従って該液晶層3で偏向させたり、またその
偏向角を零から所定の角度まで変化させたりすることが
でき、これにより焦点距離可変のレンズとして機能す
る。
【0048】具体的には、図示しない入射手段から一方
のシリンドリカルレンズ基板1のレンズ中心から20m
m離れた位置に入射した入射光が、シリンドリカルレン
ズ基板1と液晶層3との第1界面(1)に入射角θ0
20°で入射した場合について、以下計算する。一対の
透明導電膜5、6に電圧を印加していない状態では、前
述した本発明の作用原理(イ)の場合における(A)電
圧無印加状態に相当するので、第1界面(1)での液晶
分子の見掛けの屈折率は前記式(a)、及びne =1.
720より nL1=ne =1.720 となる。また、この第1界面(1)での屈折角θ1 は、
前記式(b)、n1 =1.530、及びθ0 =20°よ
り、 n1 sinθ0 =nL1sinθ1 1.530sin20°=1.720sinθ1 となり、これより、 θ1 =17.7° となる。また、液晶層3と他方の平板ガラス基板2との
第2界面(2)での液晶分子の見掛けの屈折率は、前記
式(c)、及びno =1.530より、 nL2=no =1.530 となる。また、この第2界面(2)での屈折率θ2 は、
前記式(d)、及びn2=1.530より、 nL2sinθ1 =n2 sinθ2 1.530sin17.7°=1.530sinθ2 となり、これより、 θ2 =17.7° となる。したがって、液晶層3に入射角θ0 =20°で
入射した入射光は、液晶層3を出射角θ2 =17.7°
で出射することとなり、液晶層3における偏向角Δθ
は、 Δθ=(θ0 −θ2 の絶対値)=2.3° となる。つまり、液晶層3は、該液晶層3の入射側の第
1界面(1)における液晶分子の長軸方向に偏光し、該
液晶層3に斜め入射した入射光に対して、凹レンズ機能
を発揮する。
【0049】そして、さらに平板ガラス基板2を伝播し
た光は、平板ガラス基板2と空気との界面で屈折して大
気に出射する。この界面においてもスネルの法則に従っ
て屈折するので、平板ガラス基板2からの出射角をθ3
とし、大気の屈折率を1とすると、 n2 sinθ2 =1・sinθ3 …(h) 1.530sin17.7°=1・sinθ3 となり、これより、 θ3 =27.7° となる。したがって、電圧無印加時の焦点距離f
OFF は、 fOFF =(20mm)/tanθ3 =38.1mm と計算される。
【0050】次に、透明導電膜5、6にしきい値より十
分に大きな電圧を印加した場合は、液晶層3の液晶分子
が全てシリンドリカルレンズ基板1、平板ガラス基板2
間で、該基板1、2の表面に対して垂直に配向するの
で、第1界面での液晶分子の見掛けの屈折率と第2界面
(2)での液晶分子の見掛けの屈折率とは同じとなり、
液晶層3により屈折角変化は生じないので、液晶層3へ
の入射角θ0 と液晶層3からの出射角θ2 とは等しく、 θ0 =θ2 =20° となり、偏向角Δθ=0°となる。そして、さらに平板
ガラス基板2を伝播した光が、平板ガラス基板2と空気
との界面で屈折して大気に出射する際の出射角θ 3 は、 n2 sinθ2 =1・sinθ3 1.530sin20°=1・sinθ3 となり、これより、 θ3 =31.6° となる。したがって、電圧印加時の焦点距離fONは、 fON=(20mm)/tanθ3 =32.5mm と計算される。
【0051】したがって、本実施例1の液晶光学素子
は、電圧のON/OFFの切り換えにより、液晶層3で
2.4度偏向させることができ、これにより焦点距離を
OFF〜fON、つまり38.1〜32.5mmまで変化
させることができる。なお、上記実施例1で、出射側の
平板ガラス基板2に並設された偏光板4の偏光方向を、
出射側の平板ガラス基板2側に形成された平行配向処理
膜8の配向方向(図1の紙面と平行方向)、つまり平板
ガラス基板2側の液晶分子の長軸方向と同一方向とする
ことも可能で、この場合は、液晶層3が凸レンズ機能を
発揮する。
【0052】また、上記実施例1で、凸状のシリンドリ
カルレンズ基板1の代わりに凹状のシリンドリカルレン
ズ基板を用いることも可能で、この場合は、液晶層3に
おける凸レンズ機能及び凹レンズ機能の凹凸が逆とな
り、また照射角可変の機能を発揮する。 (旋光性の評価)上記実施例1の液晶光学素子につい
て、液晶層3の厚さdと旋光性との関係を調べた。これ
は、本実施例1の液晶光学素子の入射光側にも偏光板4
と同一方向の偏光方向をもつ偏光板を配置し、出射光の
明るさをホトマルにより測定して行った。液晶光学素子
の入射側に配置した偏光板の偏光方向を出射側の偏光板
4と同一方向にしたので、液晶層3に旋光性があれば、
電圧ON時に暗くなる。このため、電圧ON時の明るさ
(透過率)をtONとし、電圧OFF時の明るさ(透過
率)をtOFF とし、これらより計算した透過率(%)T
(T=tON/tOFF )が、液晶層3の厚さdを種々変更
することによりどのように変化するかを調べた。その結
果を図3に示す。なお、図3の横軸は、入射光の波長:
λ(=632nm)に対する液晶層3の厚さ:dの比、
つまりd/λとした。
【0053】この結果から、液晶層3の厚さd(液晶層
3の厚さ)/(波長)の値が1.0以下、好ましくは
0.8以下であれば、液晶層3が旋光性を示さないこと
がわかる。 (実施例2)図4、図5に示す本実施例2の液晶光学素
子は、上記実施例1の液晶光学素子において、シリンド
リカルレンズ基板1側の平行配向処理膜7の配向方向を
図4の紙面と平行方向とし、平板ガラス基板2側の平行
配向処理膜8の配向方向を上記平行配向処理膜7の配向
方向と垂直な方向、つまり図4の紙面と垂直方向にし、
かつ、偏光板4の偏光方向を入射側のシリンドリカルレ
ンズ基板1側に形成された平行配向処理膜7の配向方向
(図1の紙面と平行方向)と同一にしたもので、それ以
外の構成は基本的には上記実施例1と同様である。な
お、平行配向処理膜7は、シリンドリカルレンズ基板1
の円筒面1aの中心軸芯から両外側(図4の上側及び下
側)に向かって図4の紙面と平行方向にラビング処理し
たものである。これは、一方向にラビング処理した場
合、ラビングした方向に向かって表面から液晶分子が微
小角度起き上がる(プレティルト)傾向があることを考
慮して、上記円筒面1aの中心軸芯を中心として液晶分
子がより厳密に対称に配向するようにしたものである。
【0054】本実施例2の液晶光学素子も、上記実施例
1と同様の作用、効果を奏する。 (実施例3)図6、図7に示す本実施例3の液晶光学素
子は、上記実施例1の液晶光学素子において、平板ガラ
ス基板2側の配向処理膜8としてを平行配向処理膜の代
わりに垂直配向処理膜とすること以外は前記実施例1と
同様の構成を有する。
【0055】本実施例3の液晶光学素子においても、液
晶層3への電界の印加状態を変化させることにより、液
晶層3の液晶分子の配向状態を変化させ、これにより、
前述の作用原理に従って該液晶層3に斜め入射した入射
光を偏向させたり、またその偏向角を零から所定の角度
まで変化させたりすることができる。
【0056】具体的には、図示しない入射手段から一方
のシリンドリカルレンズ基板1のレンズ中心から20m
m離れた位置に入射した入射光が、シリンドリカルレン
ズ基板1と液晶層3との第1界面(1)に入射角θ0
20°で入射した場合について、以下計算する。一対の
透明導電膜5、6に電圧を印加していない状態では、前
述した本発明の作用原理(ロ)の場合における(A)電
圧無印加状態に相当するので、第1界面(1)での液晶
分子の見掛けの屈折率は前記式(a)、及びne =1.
720より nL1=ne =1.720 となる。また、この第1界面(1)での屈折角θ1 は、
前記式(b)より、 n1 sinθ0 =nL1sinθ1 1.530sin20°=1.720sinθ1 となり、これより、 θ1 =17.7° となる。また、液晶層3と他方の平板ガラス基板2との
第2界面(2)での液晶分子の見掛けの屈折率は、前記
式(c’)より、 nL2=(ne −no )sinθ1 +no =(1.720−1.530)sin17.7°+1.530 =1.59 となる。また、この第2界面(2)での屈折率θ2 は、
前記式(d)より、 nL2sinθ1 =n2 sinθ2 1.59sin17.7°=1.530sinθ2 となり、これより、 θ2 =18.4° となる。したがって、液晶層3に入射角θ0 =20°で
入射した入射光は、液晶層3を出射角θ2 =18.4°
で出射することとなり、液晶層3における偏向角Δθ
は、 Δθ=(θ0 −θ2 の絶対値)=1.6° となる。つまり、液晶層3は、該液晶層3の入射側の第
1界面(1)における液晶分子の長軸方向に偏光し、該
液晶層3に斜め入射した入射光に対して、凹レンズ機能
を発揮する。
【0057】そして、さらに平板ガラス基板2を伝播し
た光は、平板ガラス基板2と空気との界面で屈折して大
気に出射する。この界面においてもスネルの法則に従っ
て屈折するので、平板ガラス基板2からの出射角をθ3
とし、大気の屈折率を1とすると、 n2 sinθ2 =1・sinθ3 1.530sin18.4°=1・sinθ3 となり、これより、 θ3 =28.9° となる。したがって、電圧無印加時の焦点距離f
OFF は、 fOFF =(20mm)/tanθ3 =36.2mm と計算される。
【0058】次に、透明導電膜5、6に十分な電圧を印
加した場合は、液晶層3の液晶分子が全てシリンドリカ
ルレンズ基板1、平板ガラス基板2間で、該基板1、2
の内表面に対して垂直に配向するので、第1界面での液
晶分子の見掛けの屈折率と第2界面(2)での液晶分子
の見掛けの屈折率とは同じとなり、液晶層3による屈折
角変化は生じないので、 θ0 =θ2 =20° となり、偏向角Δθ=0°となる。そして、さらに平板
ガラス基板2を伝播した光は、平板ガラス基板2と空気
との界面で屈折して大気に出射する際の出射角をθ
3 は、 n2 sinθ2 =1・sinθ3 1.530sin20°=1・sinθ3 となり、これより、 θ3 =31.6° となる。したがって、電圧印加時の焦点距離fONは、 fON=(20mm)/tanθ3 =32.5mm と計算される。
【0059】したがって、本実施例3の液晶光学素子
は、電圧のON/OFFの切り換えにより、液晶層3で
1.6度偏向させることができ、これにより焦点距離を
OFF〜fON、つまり36.2〜32.5mmまで変化
させることができる。なお、上記実施例3で、入射側の
シリンドリカルレンズ基板1に垂直配向処理膜を形成
し、出射側の平板ガラス基板2に平行配向処理膜(図6
の紙面と垂直方向、つまり偏光板4の偏光方向と同一方
向)を形成することもでき、この場合は、液晶層3が凸
レンズ機能を発揮する。
【0060】また、上記実施例3で、凸状のシリンドリ
カルレンズ基板1の代わりに凹状のシリンドリカルレン
ズ基板を用いることも可能で、この場合は、液晶層3に
おける凸レンズ機能及び凹レンズ機能の凹凸が逆とな
り、また照射角可変の機能を発揮する。 (実施例4)図8、図9に示す本実施例4の液晶光学素
子は、前記実施例3の液晶光学素子において、シリンド
リカルレンズ基板1側の平行配向処理膜7の配向方向を
図8の紙面と平行方向とし、偏光板4の偏光方向を入射
側のシリンドリカルレンズ基板1側に形成された平行配
向処理膜7の配向方向(図1の紙面と平行方向)と同一
にしたもので、それ以外の構成は基本的には上記実施例
1と同様である。なお、平行配向処理膜7は、前記実施
例2と同様に、シリンドリカルレンズ基板1の円筒面1
aの中心軸芯から両外側(図8の上側及び下側)に向か
って図4の紙面と平行方向にラビング処理したものであ
る。
【0061】本実施例4の液晶光学素子も、前記実施例
3と同様の作用、効果を奏する。 (焦点距離収差の計算)前記実施例1の液晶光学素子に
おいては、厳密にはレンズ中心からの距離に応じた焦点
距離の収差を生ずる。この焦点距離収差を低減する方法
を以下に示す。電圧印加時、シリンドリカルレンズ基板
1のレンズ中心から10mm離れた位置に平行光が入射
した場合の焦点距離fON(10mm)と、レンズ中心か
ら20mm離れた位置に平行光が入射した場合の焦点距
離fON(20mm)とが同じになれば、電圧印加時にお
ける焦点距離収差を無くすことができる。このため、ま
ず、レンズ中心から10mm離れた位置に入射した光が
シリンドリカルレンズ基板1と液晶層3との第1界面
(1)に何度の入射角θ0 で入射すれば、上記fON(1
0mm)とfON(20mm)とが同じになるかを計算す
る。fON(20mm)は前記したように32.5mmで
あり、平板ガラス基板2からの出射角がθ3なので、 fON=(10mm)/tanθ3 =32.5mm より、 θ3 =17.1° となり、これを前記式(h)に代入すれば、 n2 sinθ2 =1・sinθ3 1.530sinθ2 =1・sin17.1° より、 θ2 =11.1° となる。これを前記式(d)に代入すれば、 nL2sinθ1 =n2 sinθ2 1.530sinθ1 =1.530sin11.1° より、 θ1 =11.1° となる。これを前記式(b)に代入すれば、 n1 sinθ0 =nL1sinθ1 1.530sinθ0 =1.530sin11.1° より、 θ0 =11.1° となり、したがってレンズ中心から10mm離れた位置
に入射した光がシリンドリカルレンズ基板1と液晶層3
との第1界面(1)に入射角θ0 =11.1°で入射す
れば、上記fON(10mm)とfON(20mm)とが同
じになることがわかり、このような値を満足するように
レンズ形状を設計すれば、電圧印加時のレンズ中心から
10mmの位置と20mmの位置とにおける焦点距離収
差を無くすことができる。
【0062】そして、この場合の電圧無印加時の焦点距
離については、以下のように計算される。θ0 =11.
1°、n1 =1.530、nL1=ne =1.720を前
記式(b)に代入すれば、 n1 sinθ0 =nL1sinθ1 1.530sin11.1°=1.720sinθ1 より、 θ1 =9.9° となる。これを前記式(d)に代入すれば、nL2=no
=1.530より、 nL2sinθ1 =n2 sinθ2 1.530sin9.9°=1.530sinθ2 より、 θ2 =9.9° となり、これを前記式(h)に代入すれば、 n2 sinθ2 =1・sinθ3 1.530sin9.9°=1・sinθ3 より、 θ3 =15.3° となる。したがって、電圧無印加時の焦点距離f
OFF は、 fOFF =(10mm)/tanθ3 =36.6mm と計算される。これにより、電圧無印加時、レンズ中心
から10mmの位置と20mmの位置との間において
は、前述したようにfOFF (20mm)=38.1mm
より、 fOFF (20mm)−fOFF (10mm) =38.1−36.6=1.5mm の焦点距離収差が発生していることがわかる。
【0063】そして、この電圧無印加時の焦点距離収差
は、電圧を部分的に印加して、レンズ中心部から周辺部
に向かって徐々に電圧印加量を変化させることにより低
減又は無くすことができる。これを具体化した実施例を
以下に示す。 (実施例5)図10、図11に示す本実施例5の液晶光
学素子は、前記実施例4の液晶光学素子において、シリ
ンドリカルレンズ基板1側の透明導電膜5がレンズ中心
軸に対して対称となるように分割して形成されている。
つまり、透明導電膜5は、レンズ中心軸上に平行に延び
る中央導電膜5aと、この中央導電膜5aの両外側(図
10の上側及び下側)に間隔をおいて平行に形成された
中間導電膜5b、5bと、各中間導電膜5b、5bのそ
れぞれの外側に間隔をおいて平行に形成された周縁導電
膜5c、5cとから構成されている。また、中央導電膜
5aと、中間導電膜5b、5bと、周縁導電膜5c、5
cとにはそれぞれ別の電圧を印加できるようにされてい
る。
【0064】そして、シリンドリカルレンズ基板1の形
状は、電圧印加時に、レンズ中心から10mm離れた位
置に入射した光がシリンドリカルレンズ基板1と液晶層
3との第1界面(1)にθ0 =11.1°の入射角で入
射して、上記fON(10mm)とfON(20mm)とが
同じとなり、電圧印加時のレンズ中心から10mmの位
置と20mmの位置とにおける焦点距離収差を無くすこ
とができるように、設計されている。具体的には、シリ
ンドリカルレンズ基板1として、非球面形状を有するも
のを用いた。
【0065】本実施例5の液晶光学素子は、このように
電圧印加時における焦点距離収差を低減、又は無くすこ
とができる。また電圧無印加時においては、前述したよ
うにレンズ中心から10mmの位置における焦点距離f
OFF (10mm)と20mmの位置における焦点距離f
OFF (20mm)との間に1.5mmの収差が発生して
いる。しかし、本実施例5の液晶光学素子では、シリン
ドリカルレンズ基板1側に形成された透明導電膜5がパ
ターニングされており、それぞれ別の電圧を印加できる
ようにされている。このため、中央導電膜5aよりも中
間導電膜5b、5bに若干強い電圧を印加し、かつ、中
間導電膜5b、5bよりも周縁導電膜5c、5cに若干
強い電圧を印加することにより、液晶分子の配向状態
(角度)を制御して、電圧無印加時の上記焦点距離収差
を低減、又は無くすことが可能となる。
【0066】なお、上記したように、シリンドリカルレ
ンズ基板1と液晶層3との間の第1界面(1)に入射光
が入射する際の入射角θ0 と、液晶層3の液晶分子の配
向状態(角度)とをうまく制御することにより焦点距離
収差を低減又は無くすことができる。上記実施例5で
は、まず電圧印加時における焦点距離収差を低減又は無
くすことができるように、レンズ形状を調整することに
より上記第1界面(1)への入射光の入射角θ0 を調整
し、電圧無印加時における焦点距離収差については、液
晶層3に部分的に異なる電圧を印加して液晶分子の配向
状態を制御することにより該収差を低減又は無くす方法
を示した。一方、まず電圧無印加時における焦点距離収
差を低減又は無くすことができるように、シリンドリカ
ルレンズ基板1のレンズ形状を調整することにより上記
第1界面(1)への入射光の入射角θ0 を調整し、電圧
印加時における焦点距離収差については液晶層3に部分
的に異なる電圧を印加して液晶分子の配向状態を制御す
ることにより該収差を低減又は無くす方法も採用するこ
とができる。
【0067】(実施例6)図12、図13に示す本実施
例6の液晶光学素子は、前記実施例1の液晶光学素子に
おいて、シリンドリカルレンズ基板1の代わりに平板ガ
ラス基板1’を用い、入射側の平板ガラス基板1’の配
向処理膜7を垂直配向処理膜とし、かつ、偏光板4の偏
光方向を出射側の平板ガラス基板2に形成された平行配
向処理膜8の配向方向(図1の紙面と平行方向)と同一
にしたものである。また、入射側の平板ガラス基板1’
の側近位置には、発散光を放射する光源(半導体レー
ザ、波長λ:780mm)Pが設置されている。
【0068】本実施例6の液晶光学素子は、液晶層3の
厚さdが0.5μmとされ、入射光の波長λに対する液
晶層3の厚さtの比:d/λが0.64とされているの
で、該液晶層3は旋光性を示さない。また、液晶層3の
液晶分子の配向状態が、上記したように一方の平板ガラ
ス基板1側で垂直配向とされ、他方の平板ガラス基板2
側で平行配向とされている。したがって、本実施例6の
液晶光学素子においては、液晶層3への電界の印加状態
を変化させて液晶層3の液晶分子の配向状態を変化させ
ることにより、発散光を放射する光源Pから該液晶層3
に斜め入射した入射光を前述の作用原理(ロ)に従って
該液晶層3で偏向させたり、またその偏向角を零から所
定の角度まで変化させたりすることができ、これにより
照射角可変の光学素子として機能する。
【0069】つまり、光源Pから同心円状に拡がって放
射された発散光としての入射光LINは、平板ガラス基板
1’を通過して、平板ガラス基板1’と液晶層3との間
の第1界面(1)に所定の入射角θ0 で斜め入射する。
このため、透明導電膜5、6に電圧を印加していない状
態では、前述の作用原理(ロ)の場合における(A)の
欄に説明したように、液晶層3で所定の偏向機能が発揮
される。本実施例では、偏光板4が出射側の液晶分子の
配向方向と同一方向、つまり図12の紙面と平行方向に
偏光した光のみを通過させるので、該方向に偏光した光
に対して、液晶層3が凹レンズ機能を発揮する。このた
め、平板ガラス基板1’、2と大気との界面における屈
折を無視すれば、本実施例6の液晶光学素子は、電圧無
印加状態で、拡がりながら入射した入射光をさらに外側
に拡がるように曲げて出射させることができる。出射光
OUT は内側に所定角度曲げられて出射する。また、透
明導電膜5、6に十分な電圧を印加した状態では、前述
の作用原理(ロ)の場合における(C)の欄に説明した
ように、液晶層3による偏向機能は無くなるので、出射
光LOUT はそのまま出射する。
【0070】したがって、本実施例6の液晶光学素子
は、電圧印加の制御により照射角を可変とすることがで
きる。なお、上記実施例6で、入射光側の平板ガラス基
板1’の配向処理膜7を平行配向処理膜とし、出射光側
の平板ガラス基板2の配向処理膜8を垂直配向処理膜と
し、かつ偏光板4の偏光方向を入射光側の平板ガラス基
板1’の配向方向と同一方向とする態様とすることも可
能で、この場合は、液晶層3が凸レンズ機能を発揮し、
拡がりながら入射した入射光を内側に曲げて出射させる
ことができる。
【0071】(実施例7)図14、図15に示す本実施
例7の液晶光学素子は、前記実施例1の液晶光学素子に
おいて、シリンドリカルレンズ基板1の代わりに凸状の
球面レンズ基板10を用い、入射側の球面レンズ基板1
0の配向処理膜7をレンズ中心と中心を同じにした放射
状の平行配向処理膜とし、出射側の平板ガラス基板2の
配向処理膜8をレンズ中心と中心を同じにした同心円状
の平行配向処理膜とし、かつ、偏光板4を入射側の配向
処理膜7と同様の放射状偏光板としたものである。その
他の基本的な構成は前記実施例1の液晶光学素子と同様
である。
【0072】本実施例7の液晶光学素子も、液晶層3が
凹レンズ機能を発揮し、前記実施例1と同様の作用、効
果を奏する。なお、上記実施例7で、凸状の球面レンズ
基板10の代わりに凹状の球面れんズ基板を用いること
も可能で、この場合は、液晶層3における凸レンズ機能
及び凹レンズ機能の凹凸が逆となり、また照射角可変の
機能を発揮する。
【0073】(実施例8)図16、図17に示す本実施
例8の液晶光学素子は、前記実施例7の液晶光学素子に
おいて、入射側の球面レンズ基板10の配向処理膜7を
レンズ中心と中心を同じにした同心円状の平行配向処理
膜とし、出射側の平板ガラス基板2の配向処理膜8をレ
ンズ中心と中心を同じにした放射円状の平行配向処理膜
としたものである。なお、偏光板4は放射状偏光板をそ
のまま用いた。
【0074】本実施例8の液晶光学素子の作用、効果
は、液晶層3が凸レンズ機能を発揮すること以外は上記
実施例7と同様である。 (実施例9)図18、図19に示す本実施例9の液晶光
学素子は、前記実施例7の液晶光学素子において、出射
側の平板ガラス基板2の配向処理膜8を球面レンズ基板
10のレンズ中心と中心を同じにした同心円状の垂直配
向処理膜としたもので、それ以外の構成は基本的には前
記実施例7と同様である。
【0075】本実施例9の液晶光学素子も、液晶層3が
凹レンズ機能を発揮し、前記実施例7と同様の作用、効
果を奏する。 (実施例10)図20、図21に示す本実施例10の液
晶光学素子は、前記実施例7の液晶光学素子において、
入射側の球面レンズ基板10の配向処理膜7をレンズ中
心と中心を同じにした同心円状の平行配向処理膜とし、
出射側の平板ガラス基板2の配向処理膜8を球面レンズ
基板10のレンズ中心と中心を同じにした同心円状の垂
直配向処理膜とし、かつ、偏光板4を入射側の配向処理
膜7と同様の同心円状偏光板としたもので、それ以外の
構成は基本的には前記実施例7と同様である。
【0076】本実施例10の液晶光学素子も、液晶層3
が凹レンズ機能を発揮し、前記実施例7と同様の作用、
効果を奏する。 (実施例11)図22、図23に示す本実施例11の液
晶光学素子は、前記実施例9の液晶光学素子において、
球面レンズ基板10側の透明導電膜5がレンズ中心と中
心を同じにした同心円状に分割して形成されている。つ
まり、透明導電膜5は、レンズ中心軸上に配置された中
央導電膜5aと、この中央導電膜5aの外側に間隔をお
いて同心円状に形成された中間導電膜5bと、中間導電
膜5bの外側に間隔をおいて同心円状に形成された周縁
導電膜5cとから構成されている。なお、中央導電膜5
a、中間導電膜及び周縁導電膜5cは連結導電膜5dに
より連結されている。また、中央導電膜5aと、中間導
電膜5bと、周縁導電膜5cとにはそれぞれ別の電圧を
印加できるようにされている。
【0077】本実施例11の液晶光学素子は、前記実施
例5の液晶光学素子と同様に、焦点距離収差を低減、又
は無くすことができる。 (実施例12)図24、図25に示す本実施例12の液
晶光学素子は、前記実施例8の液晶光学素子において、
球面レンズ基板10の代わりに平板ガラス基板1’を用
い、入射側の平板ガラス基板1’の配向処理膜7を同心
円状の垂直配向処理膜としたものである。また、入射側
の平板ガラス基板1’の側近位置には、発散光を放射す
る前記実施例6と同様の光源Pが設置されている。
【0078】本実施例12の液晶光学素子は、前記実施
例6の液晶光学素子と同様に、電圧印加の制御により照
射角を可変とすることができる。なお、前述の実施例で
は、液晶層3に誘電異方性が正の液晶を用いる例につい
て示したが、誘電異方性が負の液晶を用いることもでき
る。また、前述の実施例では、液晶層3に電界を印加す
ることにより、偏向機能を変化させる例について示した
が、磁界の印加によっても同様に偏向機能を変化させる
ことが可能である。
【0079】
【発明の効果】以上詳述したように、本第1発明及び第
2発明の液晶光学素子は、液晶層が均一厚さとされてい
るため、電界又は磁界の印加による液晶分子の配向状態
を均一に制御することができ、入射光の散乱の問題を解
消することが可能である。そして、電界又は磁界の無印
加状態で、所定方向に偏光し、収束又は拡がりながら液
晶層に斜め入射する入射光に対して凹レンズ機能又は凸
レンズ機能を発しする。また電界又は磁界の印加量に応
じて液晶層の液晶分子の配向状態を確実に制御すること
により、上記凹レンズ機能又は凸レンズ機能を増減させ
たり、又は無くしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の液晶光学素子の電圧OFF状態を示
す断面図である。
【図2】実施例1の液晶光学素子の電圧ON状態を示す
断面図である。
【図3】実施例1の液晶光学素子について、液晶層の厚
さと旋光性との関係を示すグラフである。
【図4】実施例2の液晶光学素子の電圧OFF状態を示
す断面図である。
【図5】実施例2の液晶光学素子の電圧ON状態を示す
断面図である。
【図6】実施例3の液晶光学素子の電圧OFF状態を示
す断面図である。
【図7】実施例3の液晶光学素子の電圧ON状態を示す
断面図である。
【図8】実施例4の液晶光学素子の電圧OFF状態を示
す断面図である。
【図9】実施例4の液晶光学素子の電圧ON状態を示す
断面図である。
【図10】実施例5の液晶光学素子の電圧OFF状態を
示す断面図である。
【図11】実施例5の液晶光学素子の透明導電膜を示す
平面図である。
【図12】実施例6の液晶光学素子の電圧OFF状態を
示す断面図である。
【図13】実施例6の液晶光学素子の電圧ON状態を示
す断面図である。
【図14】実施例7の液晶光学素子の電圧OFF状態を
示す断面図である。
【図15】実施例7の液晶光学素子の電圧ON状態を示
す断面図である。
【図16】実施例8の液晶光学素子の電圧OFF状態を
示す断面図である。
【図17】実施例8の液晶光学素子の電圧ON状態を示
す断面図である。
【図18】実施例9の液晶光学素子の電圧OFF状態を
示す断面図である。
【図19】実施例9の液晶光学素子の電圧ON状態を示
す断面図である。
【図20】実施例10の液晶光学素子の電圧OFF状態
を示す断面図である。
【図21】実施例10の液晶光学素子の電圧ON状態を
示す断面図である。
【図22】実施例11の液晶光学素子の電圧OFF状態
を示す断面図である。
【図23】実施例11の液晶光学素子の透明導電膜を示
す平面図である。
【図24】実施例12の液晶光学素子の電圧OFF状態
を示す断面図である。
【図25】実施例12の液晶光学素子の電圧ON状態を
示す断面図である。
【図26】本発明の液晶光学素子の液晶層の光学機能を
説明する図である。
【図27】従来の液晶光学素子に係る断面図である。
【図28】従来の液晶光学素子の要部を示す拡大断面図
である。
【符号の説明】
1、1’は平板ガラス基板、10は球面レンズ基板、2
はシリンドリカルレンズ基板、3は液晶層である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向配設された一対の透明基板間に均一
    厚さの液晶層が挟持された液晶セルの少なくとも入射光
    側にレンズを備え、 前記一方の透明基板側では液晶分子が該基板表面に対し
    て平行な方向で、かつ、前記レンズの光学的対称性に対
    応して対称に配向され、前記他方の透明基板側では液晶
    分子が前記一方の透明基板側での液晶分子配向と異なる
    方向に配向されるとともに、 前記液晶層の厚さは該液晶層が旋光性を示さない範囲内
    に小さく設定されていることを特徴とする液晶光学素
    子。
  2. 【請求項2】 対向配設された一対の透明基板間に均一
    厚さの液晶層が挟持された液晶セルの側近位置に、発散
    光を放射する光源が配置されてなり、 前記一方の透明基板側の液晶分子配向と前記他方の透明
    基板側の液晶分子配向とが異なる方向に配向されるとと
    もに、前記液晶層の厚さは該液晶層が旋光性を示さない
    範囲内に小さく設定されていることを特徴とする液晶光
    学素子。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10124921A (ja) * 1996-08-30 1998-05-15 Sanyo Electric Co Ltd 光再生装置
JP2006146175A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Kenho Rin ズーム機能とフォーカス機能を備えた多層式単一レンズ
JP2007114231A (ja) * 2005-10-17 2007-05-10 Pioneer Electronic Corp 液晶レンズ
JP2009276624A (ja) * 2008-05-15 2009-11-26 Dic Corp 液晶レンズ及びそれを用いた視力補正装置
US8194228B2 (en) 2004-08-26 2012-06-05 Japan Science And Technology Agency Liquid crystal lens in which a voltage imparts optimal first-stage optical properties to the liquid crystal lens by influencing a liquid crystal layer

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