JPH06304941A - キャストフィルムの製造方法 - Google Patents

キャストフィルムの製造方法

Info

Publication number
JPH06304941A
JPH06304941A JP11782993A JP11782993A JPH06304941A JP H06304941 A JPH06304941 A JP H06304941A JP 11782993 A JP11782993 A JP 11782993A JP 11782993 A JP11782993 A JP 11782993A JP H06304941 A JPH06304941 A JP H06304941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
component
film
monomer
hydrogenated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11782993A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiko Yamamoto
山本  和彦
Yoshinobu Suzuki
義信 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Synthetic Rubber Co Ltd filed Critical Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority to JP11782993A priority Critical patent/JPH06304941A/ja
Publication of JPH06304941A publication Critical patent/JPH06304941A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高い耐熱性と優れた力学物性、耐光性、電気
特性を持った水添ノルボルネン系樹脂を主成分とするキ
ャストフィルムを提供すること。 【構成】 下記(a)成分50〜100重量%および
(b)成分0〜50重量%を含有する重合体を溶媒に溶
解あるいは分散させた液をキャスト成形法により成形し
たフィルムを温度80〜180℃で減圧(−50〜−7
59mmHg)下または窒素気流下を通過させるキャス
トフィルム。 (a)成分:ノルボルネン誘導体(I)よりなる単量
体、または共重合性単量体との開環重合体を、さらに水
素添加して得られる水素添加重合体。 (AおよびBは水素原子または炭素数1〜10の炭化水
素基であり、XおよびYは水素原子、ハロゲン原子また
は一価の有機基であって、mは0または1である。) (b)成分:ゴム質重合体および/または上記(a)成
分以外の熱可塑性樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水添ノルボルネン系樹
脂を主成分とし、優れた耐熱性、電気特性、耐候性を有
し、自由に着色が可能なキャストフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】水添ノルボルネン系樹脂は、耐熱性、耐
光性、透明性、電気特性などにおいて優れた性能を持っ
ており、これらを活かして自動車部品、電気・電子部
品、光学部品および建材などにフィルムとして応用が検
討されている。水添ノルボルネン系樹脂を押出成形、ブ
ローイングによりフィルムを製造しているが、樹脂の軟
化温度が高いため成形温度が高くなる。そのためフィル
ムが熱劣化により着色し、物性が低下することがあり、
良好なフィルムを得るのが困難である。また、水添ノル
ボルネン系樹脂のようにガラス転移点の高い組成物をフ
ィルム化する場合、溶媒の蒸発を十分に行なうためには
高温でキャストすることが必要であるが、高温でキャス
トすると樹脂の熱劣化が起こりやすいという問題があ
る。そこで、樹脂劣化の起こらない温度範囲でキャスト
しているため、樹脂本来の耐熱性(ガラス転移温度)が
得られない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な問題点である耐熱性の低下がなく、その上着色および
物性低下がなく、均一厚みのフィルムを得ることを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、請
求項1の下記(a)成分50〜100重量%および
(b)成分0〜50重量%を含有する重合体を溶媒に溶
解あるいは分散させた液をキャスト成形法により成形し
たフィルムを温度80〜180℃で加熱する際、減圧下
および/または窒素気流下においたフィルム。 (a)成分:下記一般式(I)で表わされる少なくとも
1種のノルボルネン誘導体よりなる単量体、またはこの
単量体およびこれと共重合可能な共重合性単量体を開環
重合させて得られる開環重合体を、さらに水素添加して
得られる水素添加重合体。 一般式(I)
【0005】
【化2】
【0006】(式中、AおよびBは水素原子または炭素
数1〜10の炭化水素基であり、XおよびYは水素原
子、ハロゲン原子または一価の有機基であって、mは0
または1である。) (b)成分:ゴム質重合体および/または上記(a)成
分以外の熱可塑性樹脂。
【0007】以下、本発明について具体的に説明する。 <(a)成分>本発明のフィルムにおける樹脂成分を形
成する(a)成分は、上記の一般式(I)で表わされる
ノルボルネン誘導体よりなる単量体(以下、「特定単量
体」という。)を単独で、または特定単量体をこれと共
重合可能な共重合性単量体とともにメタセシス重合触媒
を用いて開環共重合させることによって得られる開環重
合体を、さらに水素添加して得られる水素添加重合体で
あり、以下において「水素添加重合体(a)」ともい
う。
【0008】この水素添加重合体(a)の分子量は、ポ
リスチレン換算による重量平均分子量で、通常20,0
00〜700,000、特に30,000〜500,0
00であることが好ましい。本発明において、水素添加
重合体(a)としては、例えば特開平1−132626
号公報に記載されたノルボルネン環を有する化合物の開
環(共)重合体を水素添加して得られる重合体を挙げる
ことができる。これらの特定単量体のうち、上記一般式
(I)におけるXまたはYが式−(CH2 )nCOOR
1 で表わされる基である特定単量体は、得られる重合体
が高いガラス転移温度と低い吸湿性を有するものとなる
点で好ましい。特に、この式−(CH2 )nCOOR1
で表わされる基よりなる極性置換基は、特定単量体の1
分子当たりに1個含有されることが、得られる重合体の
吸湿性が低くなる点で好ましい。また、式−(CH2
nCOOR1 で示される基のうち、nの値が小さいもの
ほど得られる重合体のガラス転移温度が高くなるので好
ましく、さらにnが0である特定単量体は、その合成が
容易である点で、また得られる重合体に良好な特性が得
られる点で好ましい。
【0009】上記の式において、R1 は炭素数1〜20
の炭化水素基であるが、炭素数が多くなるほど得られる
重合体の吸湿性が小さくなる点では好ましい。しかし、
得られる重合体のガラス転移温度とのバランスの点か
ら、炭素数が1〜4の鎖状アルキル基または炭素数が5
以上の(多)環状アルキル基であることが好ましく、特
にメチル基であることが好ましい。さらに、式−(CH
2 )nCOOR1 で表わされる基が結合した炭素原子
に、同時に炭素数1〜10の炭化水素基が置換基として
結合されている特定単量体は、得られる重合体のガラス
転移温度を低下させずに吸湿性を低下させるので好まし
い。そして、特にこの置換基がメチル基である特定単量
体は、その合成が容易な点で好ましい。本発明の用いる
水素添加重合体(a)に係る開環重合体は、特定単量体
を単独で開環重合させたものであってもよいが、当該特
定単量体と共重合性単量体とを開環共重合させたもので
あってもよい。このように共重合性単量体が使用される
場合において、開環重合体における特定単量体の割合は
5モル%以上、好ましくは20モル%以上とされる。使
用される共重合性単量体としては、メタセシス重合触媒
によって開環重合し得る単量体、および重合体の主鎖に
炭素−炭素二重結合を有する一部重合された低重合度体
を挙げることができる。
【0010】上記特定単量体のうちでは、上記一般式
(I)においてmが1であるテトラシクロドデセン誘導
体が、ガラス転移点の高い重合体が得られる点で好まし
い。一般式(I)において、mが1であるテトラシクロ
ドデセン誘導体のうち、好ましい化合物としては、8−
メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.
2,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−メチル−8−メ
トキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5
7,10〕−3−ドデセン、5−メトキシカルボニル−ビ
シクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテンなどを挙げること
ができる。特定単量体は環状オレフィン化合物と共重合
することもできる。かかる環状オレフィン化合物の具体
例としては、シクロペンタン、シクロオクテン、1,5
−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリ
エンなどのシクロオレフィン類;ビシクロ〔2.2.
1〕−2−ヘプテン、トリシクロ〔5.2.1.
2,6 〕−8−デセン、トリシクロ〔5.2.1.0
2,6 〕−3−デセン、トリシクロ〔6.2.1.
1,8 〕−9−ウンデセン、トリシクロ〔6.2.1.
1,8 〕−4−ウンデセン、テトラシクロ〔4.4.
0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、ペンタシクロ
〔6.5.1.13,6 .02,7 .09,13〕−4−ペンタ
デセン、ペンタシクロ〔6.6.1.13,6 .02,7
9,14〕−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ〔6.5.
1.13,6 .02,7 .09,13〕−11−ペンタデセン、
ジシクロペンタジエン、ペンタシクロ〔6.5.1.1
3,6 .02,7 .09,13〕−ペンタデカ−4,11−ジエ
ンなどのポリシクロアルケンを挙げることができる。
【0011】さらに特定単量体は、ポリブタジエン、ポ
リイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレ
ン−プロピレン非共役ジエン共重合ゴム、ポリノルボル
ネン、ポリペンテナマーなどの重合体の主鎖に炭素−炭
素二重結合を含んだ不飽和炭化水素系重合体の存在下で
開環重合することもできる。特定単量体とこれと共重合
可能な共重合性単量体との開環重合の方法および水素添
加の方法は、特開平1−132626号公報に記載され
る方法と同様の方法を挙げることができる。得られる水
素添加重合体(a)の水素添加率は、通常50%以上、
好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上と
される。水素添加率が50%未満の重合体は、水素添加
率が低いことにより得られるフィルムの耐光性が低下す
る。
【0012】<(b)成分>本発明では、水素添加重合
体溶液中に、さらにゴム質重合体および/または上記
(a)成分以外の熱可塑性樹脂(以下、総称して
「(b)成分」という。)を添加してもよい。(b)成
分として用いられるゴム質重合体は、ガラス転移温度が
0℃以下の重合体であって、通常のゴム状重合体および
熱可塑性エラストマーが含まれる。ゴム状重合体として
は、例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合
体;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合ゴム;
エチレン−メチルメタクリレート、エチレン−ブチルア
クリレートなどのエチレンと不飽和カルボン酸エステル
との共重合体;エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと
脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸アル
キルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレン
のランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン
−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタ
ジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリ
ロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸
アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合
体などのジエン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体
などがあり、これらは、その1種のみでなく2種以上を
用いることもできる。
【0013】上記のゴム状重合体よりなるゴム質重合体
は、そのムーニー粘度(ML1+4 、100℃)が5〜2
00であることが好ましい。ゴム質重合体として用いら
れる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン
−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重
合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合
体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレ
ンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレ
ンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、
エチレン系アイオノマー樹脂などを挙げることができ
る。これらの熱可塑性エラストマーのうち、好ましく
は、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水
素化スチレン−イソプレンブロック共重合体などであ
り、具体的には、特開平2−133406号公報、特開
平2−305814号公報、特開平3−72512号公
報、特開平3−74409号公報などに記載されている
ものを挙げることができる。ゴム質重合体は、水素添加
重合体(a)との相溶性を向上させる目的で、エポキシ
基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、酸無
水物基、オキサゾリン基などの特定の官能基によって変
性されたものであってもよい。ゴム質重合体を(b)成
分として含有させることにより、最終的に得られるフィ
ルムは一段と優れた耐衝撃性および延性を有することが
できる。
【0014】(b)成分として用いられる熱可塑性樹脂
は、ガラス転移温度が25℃以上の重合体である。具体
的には、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−ア
クリロニトリル共重合体、スチレン−無水マイレン酸共
重合体)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂など
である。上記の熱可塑性樹脂を(b)成分として含有さ
せることにより、最終的に得られるフィルムは優れた電
気特性、耐光性を有するものとなる。(b)成分の使用
できる量は、水素添加重合体(a)の通常50重量%以
下、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30
重量%以下である。また、(a)、(b)成分以外に酸
化防止剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,
6,ジメチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−
(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス
(ジ−ノニルフェニルホスファイト)、紫外線吸収剤、
例えばp−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2′
−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−
(2′−ジヒドロキシ−4′−m−オクトキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、滑剤(パラフィンフェノス、
硬化油)、帯電防止剤、例えばステアロアジトプロピル
ジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムトレート
を必要に応じて添加することができる。
【0015】本発明では、必要に応じて(b)成分や添
加剤を混合した上記水素添加重合体(a)を溶媒に溶解
または分散させて適度の濃度の液にし、適当なキャリヤ
ー上に注ぐかまたは塗布し、これを乾燥した後、キャリ
ヤーから剥離させるキャスト成形法によりフィルムを製
造する。ここで、フィルムの厚みによるが、溶液中での
水素添加重合体(a)の割合は、通常0.01〜30重
量%、好ましくは0.1〜20重量%である。溶媒とし
ては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合
物、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ン、クロロホルム、二塩化メチレン、メチルエチルケト
ンなどの一般に溶媒として用いられているものが挙げら
れる。またこれらの混合溶媒でもよい。また、水素添加
重合体(a)を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒との混
合であってもよい。なお、水素添加重合体(a)を溶解
しないものとして、水、油脂を使用してもよい。水素添
加重合体(a)を溶媒で溶解する場合、室温でも高温で
もよい。十分に撹拌することにより均一な溶液が得られ
る。なお、着色する場合には溶液にカラーを添加すれば
よい。
【0016】均一厚みのフィルムを製造する方法として
は、上記溶液を一定幅のダイスより金属ドラム、スチー
ルベント、ポリエステルフィルム、テフロンベルトなど
の上に押出し、温度、時間をかけて乾燥する。また、ス
プレー、ハケ、ロール、スピンコート、デッピングなど
で溶液を塗布し、温度、時間を任意にかけることにより
均一厚みのフィルムを製造する。なお、1回の塗布で所
望の膜厚が得られない場合は、繰返し塗布することが必
要である。本発明においてフィルムの厚みは、通常0.
5μm〜5mm、好ましくは1μm〜2mm、さらに好
ましくは5μm〜0.5mmである。
【0017】本発明においては、上記のようにして得ら
れたキャストフィルムを以下の処理に供することによ
り、さらに良好なキャストフィルムを成形することがで
きる。すなわち、キャストフィルムを水素添加重合体
(a)に対する良溶媒25〜100重量%、および水素
添加重合体(a)に対する貧溶媒0〜75重量%からな
る混合溶媒に接触させた後、水素添加重合体(a)に対
する貧溶媒からなる溶媒に接触させる工程である。ここ
で、水素添加重合体(a)に対する良溶媒としては、沸
点100℃以下の溶媒が好ましく、例えば、クロロホル
ム、テトラヒドロフラン、二塩化メチレンなどが挙げら
れ、水素添加重合体(a)に対する貧溶媒としては、メ
タノール、エタノールなどが挙げられる。
【0018】また、キャストフィルムを良溶媒と貧溶媒
との混合物または貧溶媒に接触させるときの温度は、通
常25〜80℃、好ましくは25〜60℃であり、浸漬
時間は通常1〜60秒程度である。本発明におていは、
良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶液にキャストフィルム
を接触させることによりキャストフィルムを膨潤させ、
キャストフィルムを成形するポリマーの分子間に広がり
を持たせることができる。その結果、ポリマー分子間か
ら低分子量の化合物を貧溶媒と良溶媒の混合物に移行さ
せることができる。低分子量の化合物を貧溶媒と良溶媒
の混合物に移行させた後は、キャストフィルムを貧溶媒
に接触させることにより、ポリマー分子間の広がりを元
に戻すことができる。この操作を行なうことにより、よ
り耐熱性の高いキャストフィルムを形成することができ
る。しかし、量産工程では生産性をよくするため、キャ
スト溶液の濃度を高くする(15〜35重量%)のが通
常である。キャスト溶液が高濃度のとき、乾燥条件(湿
度、時間、減圧)が十分でないため、フィルムは樹脂本
来のガラス転移温度よりも低くなる。そこで、次のよう
な雰囲気中を通過させることにより、ガラス転移温度が
著しく向上させることができる。まず、キャスト溶液を
基板上に塗布し、一次乾燥槽により成膜する。まだこの
段階では、フィルム中に溶媒が残存している。このフィ
ルムを高温槽中を通過させ、80〜180℃で加熱す
る。このとき、この高温槽を減圧下または窒素気流下に
おく。減圧の条件は、通常−50〜−759mmHg、
窒素気流は1〜100cm3 /分である。フィルムが槽
内を通過する速度はフィルムの厚みに依存するが、通常
は1〜30cm/minである(槽の大きさは100c
mである)。例えば、厚さ100μmのフィルムでは3
cm/minが最適である。1cm/min以下である
とフィルムが熱劣化する。また、30cm/minを超
えるとガラス転移温度がアップしない。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明がこれによって限定されるものではない。なお、
各特性の測定、評価は、下記の条件に従って行なった。 引張強度および伸び(TS、TE):ASTM D63
8 全光線透過率(Tt):ASTM D1003 黄色度(YI) 耐熱性:DSe法(Differntial Scaning Calorymeter
)により、20℃/minの温度上昇でガラス転移温
度Tgを測定した。 抵抗率(ρ):(Ωcm)ASTM D257 耐光性:フィードメータ(63℃、雨なし)500時間
後の変色(ΔE)を測定した。
【0020】(a)成分の製造 重合体a−1 窒素ガスで置換した反応容器内に、下記構造式(1)で
示される特定単量体8−メチル−8−メトキシカルボニ
ルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−
ドデセン500gと、1,2−ジクロロエタン200m
lと、分子量調節剤である1−ヘキセン3.8gと、触
媒として、六塩化タングステンの濃度0.05M/リッ
トルのクロロベンゼン溶液91.6mlと、パラアルデ
ヒドの濃度0.1M/リットルの1,2−ジクロロエタ
ン溶液68.7mlと、トリイソブチルアルミニウムの
濃度0.5M/リットルのトルエン溶液37mlとを加
え、60℃で10時間反応させることにより、固有粘度
(ηinh )0.56dl/g(クロロホルム中、30
℃、濃度0.5g/dl)の開環重合体450gを得
た。この開環重合体を9,000mlのテトラヒドロフ
ランに溶解し、パラジウム濃度が5重合%のパラジウム
−アルミナ触媒45gを加え、水素ガスを圧力が100
kg/cm2 となるよう仕込んで、150℃で5時間水
素添加反応させた。水素添加反応後、触媒を濾別し、濾
液を塩酸酸性の大過剰量のメタノール中に注いで、水素
添加された重合体a−1を製造した。この重合体a−1
の水素添加率は実質上100%であった。
【0021】
【化3】
【0022】実施例1〜4、比較例1、2 重合体(a−1)の二塩化メチレン溶液(濃度20%)
をダイスに通し、均一厚みの液にし、これを150℃で
乾燥して厚み100μmのフィルムを製造した(比較例
1)。このフィルム槽の幅:100cmを表1の乾燥条
件下で処理し、物性測定を行なった。実施例1〜3は減
圧下で、実施例4は減圧する代りに窒素を10cm3
分で流した。 実施例5、比較例3、4 重合体(a−1)/熱可塑性エラストマー=90/10
(重量%)のトルエン溶液(濃度25%)から、厚み2
00μmのフィルムを製造した(比較例3)。熱可塑性
エラストマー:セプトン2002(クラレ製)。このフ
ィルム槽の幅100cmを表2の条件下で処理し、物性
測定を行なった。 実施例7、比較例5 重合体(a−1)の15重量%のトルエン溶液とダイス
を通し、均一の厚みの溶液に、これを120℃で乾燥し
て、厚み150μmのキャストフィルムを作り、次い
で、キャストフィルムをテトラヒドロフラン50重量
%、およびメタノール50重量%からなる混合溶媒に6
0℃で5分間浸漬した後、メタノールに60℃で5分間
浸漬し、乾燥した。これを表2の条件下で処理し、物性
測定を行なった。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明の水添ノルボルネン系樹脂の耐熱
フィルムは、電気特性、耐光性、力学的性質においても
優れており、光学用部品用、電気・電子関係の絶縁材料
として有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 65:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)成分50〜100重量%およ
    び(b)成分0〜50重量%を含有する重合体を溶媒に
    溶解あるいは分散させた液をキャスト成形法により成形
    したフィルムを温度80〜180℃で加熱する際、減圧
    下および/または窒素気流下におくことを特徴とするキ
    ャストフィルムの製造方法。 (a)成分:下記一般式(I)で表わされる少なくとも
    1種のノルボルネン誘導体よりなる単量体、またはこの
    単量体およびこれと共重合可能な共重合性単量体を開環
    重合させて得られる開環重合体を、さらに水素添加して
    得られる水素添加重合体。 一般式(I) 【化1】 (式中、AおよびBは水素原子または炭素数1〜10の
    炭化水素基であり、XおよびYは水素原子、ハロゲン原
    子または一価の有機基であって、mは0または1であ
    る。) (b)成分:ゴム質重合体および/または上記(a)成
    分以外の熱可塑性樹脂。
JP11782993A 1993-04-21 1993-04-21 キャストフィルムの製造方法 Pending JPH06304941A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11782993A JPH06304941A (ja) 1993-04-21 1993-04-21 キャストフィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11782993A JPH06304941A (ja) 1993-04-21 1993-04-21 キャストフィルムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06304941A true JPH06304941A (ja) 1994-11-01

Family

ID=14721282

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11782993A Pending JPH06304941A (ja) 1993-04-21 1993-04-21 キャストフィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06304941A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002326240A (ja) * 2001-04-27 2002-11-12 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 光学フィルムの製造方法
EP1342745A1 (de) * 2002-03-05 2003-09-10 Lofo High Tech Film GmbH Verfahren zur Herstellung von Polyolefinfolien
JP2006305816A (ja) * 2005-04-27 2006-11-09 Univ Nihon ノルボルネン系重合体フィルムの製造方法およびノルボルネン系重合体フィルム
JP2009138129A (ja) * 2007-12-07 2009-06-25 Jsr Corp 環状オレフィン系付加(共)重合体フィルムの製造方法およびそのフィルム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002326240A (ja) * 2001-04-27 2002-11-12 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 光学フィルムの製造方法
JP4597418B2 (ja) * 2001-04-27 2010-12-15 株式会社カネカ 光学フィルムの製造方法
EP1342745A1 (de) * 2002-03-05 2003-09-10 Lofo High Tech Film GmbH Verfahren zur Herstellung von Polyolefinfolien
WO2003074592A1 (de) * 2002-03-05 2003-09-12 Lofo High Tech Film Gmbh Verfahren zur herstellung von polyolefinfolien
JP2006305816A (ja) * 2005-04-27 2006-11-09 Univ Nihon ノルボルネン系重合体フィルムの製造方法およびノルボルネン系重合体フィルム
JP2009138129A (ja) * 2007-12-07 2009-06-25 Jsr Corp 環状オレフィン系付加(共)重合体フィルムの製造方法およびそのフィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3063311B2 (ja) 水素添加重合体
WO2001014446A1 (fr) Polymeres de norbornene par ouverture de cycle, produits de leur hydrogenation et procedes de productions de ces deux types de polymeres
EP1847567A1 (en) Thermoplastic resin composition, optical film and oriented film
JP4714955B2 (ja) 環状オレフィン系付加重合体およびその製造方法
JP3143804B2 (ja) キャストフィルム
JP3833916B2 (ja) 溶融成形可能な熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物及びそれを用いた成形品又は光学フィルム
JPH06304941A (ja) キャストフィルムの製造方法
JP3175293B2 (ja) 延伸フィルム
JPH09221577A (ja) 樹脂組成物
WO2005046964A1 (ja) 表面に立体模様を有するフィルムまたはシートの製造方法および表面に立体模様を有するフィルムまたはシート
JP3018378B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2003040985A (ja) 環状オレフィン系樹脂溶融押出フィルム
JP2007106931A (ja) 光学用フィルムおよびその製造方法
JP2002020464A (ja) 射出成形品
JP2969826B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3191299B2 (ja) 塗 料
JP3123086B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物の成形方法
JP3016561B2 (ja) 耐熱性樹脂組成物
JP2952708B2 (ja) 樹脂積層体
KR101267672B1 (ko) 광학 필름, 그의 제조 방법, 편광판 및 액정 패널
JP3089686B2 (ja) 色素化合物含有樹脂組成物
JP2014091793A (ja) 脂環構造含有開環重合体の水素添加物及びその利用
JP3189312B2 (ja) 変性水添重合体の製造方法
JP5141157B2 (ja) 脂環構造含有開環重合体の水素添加物及びその利用
JPH0657150A (ja) 耐摩耗性フィルム