JPH06299156A

JPH06299156A - コークス炉炭化室の付着カーボン除去方法

Info

Publication number: JPH06299156A
Application number: JP8629193A
Authority: JP
Inventors: Kazuaki Furuta; 和昭古田; Yuuji Ishiharaguchi; 裕二石原口; Akikazu Nakasaki; 昭和中崎
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1993-04-13
Filing date: 1993-04-13
Publication date: 1994-10-25

Abstract

(57)【要約】【目的】比較的簡単な構造で、コークス炉炭化室内表
面の付着カーボン除去完了時点を的確に判定し、特に目
地部における過除去の無いコークス炉炭化室の付着カー
ボン除去方法を提供する。【構成】コークス炉炭化室内の表面温度を測定する温
度検出手段により、酸素含有気体の供給開始時から連続
してコークス炉炭化室内の表面温度を測定し、同測定温
度のピーク値の経過により付着カーボンの除去完了時期
を判定し、酸素含有気体の供給を停止する。これによっ
て、表面の付着カーボン除去完了時点を的確に判定する
ことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コークス炉炭化室の付
着カーボン除去方法、より詳しくは、カーボンの除去完
了を的確に判定して、カーボンの除去不足と過剰な除去
を防止する付着カーボン除去方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】コークス炉炭化装置においては、乾留生
成ガスの熱分解によって生じるカーボンや、石炭装入時
に飛散する微粉炭が炭化室の炉壁に固着して、これがコ
ークス化し付着カーボンとなる。この付着カーボンは、
炉壁面上で成長するに従い、炉壁の熱伝導率を下げ、ま
た炭化室の有効容量を減少させ、コークス炉の生産性の
低下、更には、コークス押出を不可能にする窯詰まりの
原因ともなる。

【０００３】このコークス炉の付着カーボンを除去する
ため、従来より、種々の方策が採られている。最も原始
的なものは、先端の尖ったやり状の治具を用い人力で突
き落とす方法であり、また機械的に削り取る方法とし
て、コークス押出し機ラムヘッドに装着された摺動接触
自在の刃を、炉壁に圧着させながらラムを移動させて付
着カーボンを削り落とす方法等がある。

【０００４】しかしながら、前者の人力による方法で
は、労働環境やまた施工能率上の問題があり、また、後
者の機械的に削り落とす方法では、炉壁レンガ自体を損
傷し易いという問題がある。

【０００５】この対策として、例えば、特開平３−１１
１４８７号公報に記載されてるように、コークス炉内に
酸素含有気体などの酸素含有気体を導入して炉壁に固着
したカーボンを燃焼させ、カーボンの除去完了時点を撮
像センサの映像に基づく温度又は輝度データによって判
断する方法があり、これによって、炉壁れんがに損傷を
与えることなく、効果的なカーボン除去が可能となる。

【０００６】一方、コークス炉炭化室等に付着するカー
ボンは、大別して、れんが表面に付着して上記問題の原
因となる有害なもの、またれんが目地部に侵入してシー
ル機能を高める有益なものとがあり、付着カーボンの除
去にあたっては、れんが表面に付着した有害なものは完
全に除去し、また有益なカーボンはできる限り残すこと
が望ましい。

【０００７】燃焼による付着カーボン除去は、先ず付着
したカーボン表面が燃焼し、表面が除去された後に深部
へと進み、さらに酸素含有気体を供給しつづけることに
よって、目地内に侵入したカーボンが燃焼する。したが
って、有益な目地のカーボンを残存させるためには、れ
んが表面のカーボン除去完了を的確に検出して、その時
点で酸素含有気体の供給を停止することが必要となる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
３−１１１４８７号公報に記載の方法では、燃焼させる
ための酸素含有気体の供給停止、すなわちカーボン除去
の完了の判断は、対象物の炉壁面にエアーを噴射してこ
れを撮像センサで撮像し、カーボンが付着している部分
と付着していない部分との温度差から生じる相対的な輝
度むらの有無を検出することによって行っている。この
検出方法では、壁面の一部に厚いカーボンが付着してい
る場合にはそれなりの精度はあるものの、カーボンの付
着量が少なくなると明確な輝度あるは温度変化は検出さ
れず、従って検出精度が悪くなる。また、撮像センサそ
のものが高価でかつ複雑であるために、故障が多く信頼
性にも劣る。

【０００９】そこで、本発明が解決すべき課題は、比較
的簡単な構造で、コークス炉炭化室内表面の付着カーボ
ン除去完了時点を的確に判定し、特に目地部における過
除去の無いコークス炉炭化室の付着カーボン除去方法を
提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、コークス炉炭
化室内に酸素含有気体を供給して同コークス炉炭化室内
の付着カーボンを焼却除去する方法において、前記コー
クス炉炭化室内の表面温度を測定する温度検出手段によ
り、前記酸素含有気体の供給開始時から連続してコーク
ス炉炭化室内の表面温度を測定し、同測定温度のピーク
値の経過により付着カーボンの除去完了時期を判定し、
前記酸素含有気体の供給を停止することを特徴とする。

【００１１】ここで、温度検出手段としては、特に測定
の連続性、耐久性等の点からは輻射温度計が望ましい。
この温度検出手段は、コークス炉炭化室に酸素含有気体
を供給する噴射ノズルと連動して作動するようにすれ
ば、自動運転が可能となる。

【００１２】また、温度検出手段による連続的な表面温
度の測定とは、測定場所を単発的に測定するのではな
く、その前後の温度変化が判定できる程度に測定するこ
とを言い、３〜５秒毎、正確な判断のためには、特に、
１〜２秒間隔が望ましい。

【００１３】本発明者の知見によれば、例えば、上昇管
下部れんが表面の場合、表面温度のピーク値の発生から
Ｘ＝１０秒経過後に、酸素含有気体の供給開始時点での
表面温度と同じになり、れんが表面の付着カーボンが略
完全に焼却除去れることを確認しており、このピーク値
の発生からＸ＝１０経過後した時に酸素含有気体の供給
を停止すれば、特に、カーボンの除去不足と過剰な除去
の無い優れたカーボン除去が可能となる。また、実用的
には、この酸素含有気体の供給開始時点の表面温度と同
じ温度から±２０℃程度の範囲であれば、略同様の効果
を得ることができる。

【００１４】このカーボン除去完了時期は温度検出手段
での測定結果に基づいて、マイクロコンピュータで判断
され、オペレータへのランプ点灯による表示、また、酸
素含有気体の供給を停止することによって実行される。

【００１５】さらに、このようにして検出されたデータ
から算出されたカーボン付着量、及び酸素含有気体供給
時間等から、次期の付着カーボンの除去時期及びその際
の酸素含有気体の供給量や供給時間を事前予測すること
が可能となる。

【００１６】

【作用】図２（ａ）は酸素含有気体の供給時間と表面温
度の変化、また図２（ｂ）はその時のれんが表面及び目
地内部のカーボン量を示すグラフである。

【００１７】同図に示すように、カーボンが付着した炉
壁面は、酸素含有気体の供給によってカーボンが燃焼し
てＣＯ₂となり、８１００ｋａｌ／ｋｇの熱を発生す
る。このため、その表面温度は上昇する。表面に除去す
べきカーボンが付着している間は燃焼し続け、ｔ秒間一
定の温度上昇を続けるが、焼却除去が進み、表面のカー
ボンが略無くなり、次いで目地内のカーボンが燃焼する
こととなる。しかしながら、目地内のカーボン量は、れ
んが表面の付着カーボンと比べ圧倒的に量が少なく、表
面のカーボンの燃焼完了をピークとして、燃焼による熱
の発生が減少し、徐々に表面温度が低下することとな
る。

【００１８】このようにカーボン表面の燃焼完了、すな
わち、目地内のカーボンの燃焼の開始は、ピーク値を境
に表面温度の降下という明確な変化となって表れる。本
発明では、対象物の表面温度の変化を連続的に測定する
ことによって、従来のような相対的な輝度や温度の比較
ではなく、この降下のポイントを捉え、この検出データ
によって、表面の付着カーボン除去完了時点を的確に判
定することが可能となる。

【００１９】

【実施例】図１は本発明を実施するための装置の模式図
であり、コークス炉炭化室の上昇管壁面に適用した例を
示す。

【００２０】図中、１はコークス炉炭化室の上昇管、２
はこの上昇管１内にエアーを供給するノズルで、現場移
動機械３に装着されている。輻射温度計からなる温度セ
ンサ４は上昇管の壁面温度を観察可能な位置に配置さ
れ、さらに、温度センサ４の情報は、初期温度、最高温
度、下降温度を１〜２秒毎に処理し、初期カーボン付着
量（厚さ）とカーボン焼却が終了した時間を演算するマ
イクロコンピュータ５に接続されている。６は中央計算
機（移動機械制御シーケンサ）で、マイクロコンピュー
タ５の演算結果を用いて、各移動機械７が制御され、ま
た現場移動機械３のノズル２からのエアー吹き付け停止
時期を指示制御する。

【００２１】上記構成において、コークス炉炭化室の操
業終了に伴って、製造されたコークスが図示しない押出
機により、コークス炉炭化室外へ排出され、次いで、温
度センサ４によって壁面の温度が測定され、これと同時
にノズル２からエアーが供給される。この空気によっ
て、壁面に付着したカーボンが燃焼しＣＯ₂となる。そ
の際、燃焼熱によって表面温度は図２で示した通り上昇
する。空気を供給し続けることによって、炉壁の付着カ
ーボンは燃焼し、排ガスとなって除去される。このエア
ー供給開始から１秒間隔で、温度センサ４によって壁面
の温度が継続的に観測され、その結果は逐次マイクロコ
ンピュータ５に送られる。壁面温度がピークを経過した
時点で、中央計算機６の指令によって、ノズル２からの
エアー供給が停止される。

【００２２】この制御結果はすべて記録され、次期の付
着カーボンの除去時期及びその際の酸素含有気体の供給
量や供給時間を事前予測される。

【００２３】上記図１に示す装置を、コークス稼働率１
００〜１１０％、装入炭量３０Ｔ／ｃｈの規模のコーク
ス炉使用して、送風機によってエアーを０．０７ｍ³／
ｓｅｃ供給して付着カーボンの除去を行った。

【００２４】本実施例においては、エアー供給開始後約
５０秒で約１１００℃の略定常状態となり、供給開始か
ら約１００秒後にピークを示し、それ以降低下傾向を示
した。さらに供給開始から約１１０秒後に、表面温度が
初期温度１０５０℃と同じとなった時点で、中央計算機
６の自動制御によってノズル２からのエアの供給を停止
した。この結果をもとに、実施例２及び３として、表面
温度が初期温度１０５０℃から±２０℃の時点で停止さ
せた。また、比較例１として、同様の条件で表面の温度
が、ピーク値前の１１５０℃の時点（エアー供給開始後
約１００秒）でエアーの供給を停止し、また比較例２と
して、表面の温度が初期温度よりも低下して１０３０℃
となって時点で停止した。

【００２５】冷却後炉内をファイバースコープによっ
て観察したところ、実施例１，２，３においては、れん
が表面のカーボンは略完全に除去され、かつ目地内のカ
ーボンが残存し、シール効果を維持することが確認され
た。また、比較例２では、目地内のカーボンは確認され
たものの、れんが表面のカーボンも充分に除去されない
状況であった。比較例３では、れんが表面及び目地内の
カーボンの双方が除去された状態であった。

【００２６】

【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏すること
ができる。

【００２７】（１）本発明においては、カーボンが付着
した炉壁表面の温度を連続して観測し、その温度の変化
によって、酸素含有気体の供給をコントロールするため
に、れんが表面の付着カーボンの除去完了が的確に判断
でき、目地部における有益なカーボンを除去することな
く、かつ表面部分の除去不足を無くすことができる。

【００２８】（２）同様の理由により、原料条件（石炭
の揮発分や膨張圧）や操業条件（炉温等）の差異にも対
応できる。

【００２９】（３）れんが表面の付着カーボンの除去完
了が的確に判断できることにより、カーボン焼却装置の
空気吹き付け時間の制御、設定機能等、カーボン焼却装
置の完全自動運転が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施するための装置の模式図であり、
コークス炉炭化室の上昇管壁面に適用した例を示す。

【図２】図２（ａ）は酸素含有気体の供給時間と表面温
度の変化、また図２（ｂ）はその時のれんが表面及び目
地内部のカーボン量を示すグラフである。

【符号の説明】

１上昇管２ノズル３移動機械４温度センサ５マイクロコンピュータ６中央計算機７各移動機械

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】コークス炉炭化室内に酸素含有気体を供
給して同コークス炉炭化室内の付着カーボンを焼却除去
する方法において、前記コークス炉炭化室内の表面温度を測定する温度検出
手段により、前記酸素含有気体の供給開始時から連続し
てコークス炉炭化室内の表面温度を測定し、同測定温度
のピーク値の経過により付着カーボンの除去完了時期を
判定し、前記酸素含有気体の供給を停止することを特徴
とするコークス炉炭化室の付着カーボン除去方法。