JPH06298079A - 索道の椅子式搬器の座板揺動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は索道の椅子式搬器で乗客が着座する
ための座板を自動的に着座位置あるいは跳上位置にす
る。 【構成】 椅子式搬器側にはローラ付レバーと、揺動可
能に枢着した座板と、ローラ付レバーと座板を連結した
リモートケーブルとを装備する。また、山麓停留場と山
頂停留場とにはそれぞれ搬器が移送される軌条に沿って
反転レールを並設する。こうして、搬器が山麓停留場を
通過するとローラ付レバーのローラが反転レールを転動
して揺動し、リモートケーブルで座板に伝達して座板を
跳上位置から着座位置にする。また、搬器が山頂停留場
を通過すると反対に座板を着座位置から跳上位置にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は索道の搬器のうち特に椅
子式搬器に関するもので、乗客が着座する座板を停留場
で自動的に揺動するための座板揺動装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】索道で人の輸送を目的にした搬器の形式
には主に密閉箱型の客車を懸垂した客車式のものと中空
角型鋼や丸鋼をループ状にしたフレームに座席を備えて
懸垂した椅子式のものとがある。

【０００３】この内、図７は従来の自動循環式索道設備
に使われている椅子式搬器５０の側面図を示したもので
ある。搬器５０の構成は握放索可能な握索機５１にピン
５３で懸垂フレーム５４を搬器５０の進行方向に揺動可
能に枢着し、その下には搬器フレーム５５を吊り下げ
る。さらに、この搬器フレーム５５の下部には両側より
揺動軸５７，５７を同芯上に装着し、座板５６の一方側
を枢着して実線で示した着座位置５６ａと二点鎖線で示
した跳上位置５６ｂの間を揺動できるようにする。

【０００４】まず、山麓停留場（図示していない。）に
搬器５０が到着して握索機５１が索条を放索して走行輪
５２，５２が停留場内に配設した軌条５９上を転動する
ことで搬器５０が移送される。この時、山麓停留場に到
着した空車の搬器５０の座板５６は二点鎖線で示した跳
上位置５６ｂにしているので係員は座板５６を矢印６１
の方向に転倒して実線で示した着座位置５６ａにして、
出発側で待機している乗客が乗車できるようにする。ま
た、山頂停留場では乗客が降車して空車となった搬器５
０の座板５６を係員が矢印６０の方向に起立して二点鎖
線で示した跳上位置５６ｂにする。こうして、空車の搬
器が索道線路を移動中に座板５６が雨水で濡れたり着雪
しないようにして、乗客ができるだけ快適に乗車できる
ようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したよう
に山麓停留場や山頂停留場に待機している係員が搬器５
０の座板５６を起こしたり、反対に倒したりする作業は
現行では搬器５０が６秒毎の間隔で通過し、しかも、移
動状態で行わなければならない。また、自動循環式索道
設備に用いられている椅子式搬器は乗車人員が３人もし
くは４人と多いので、それだけ座板５６が大きくなり従
来にも増して係員への負担が増加する傾向にある。本発
明はこうした係員の作業を軽減するために、座板５６の
転倒、起立を自動的に行う装置を提供することにある。

【０００６】

【問題を解決するための手段】本発明は上記した問題点
を解決するために、索道の椅子式搬器において、搬器フ
レームに揺動可能に枢着した座板と、前記搬器フレーム
を吊り下げた懸垂フレームに枢着したローラ付レバー
と、前記ローラ付レバーの揺動々作を前記座席に伝達す
るためのリモートケーブルと、停留場において搬器の移
動経路に沿って配設され、前記ローラ付レバーのローラ
が転動して、該ローラ付レバーを揺動するための反転レ
ールとよりなり、前記搬器が停留場内を通過すると、前
記座板が自動的に着座位置または跳上位置に揺動するよ
うにする。

【０００７】

【作用】山麓停留場では到着側の搬器が走行する軌条に
沿って、反転レールを並設し、山頂停留場の出発側の搬
器が走行する軌条に沿っても同様にして反転レールを並
設する。つぎに、搬器の側には先端部にローラを枢着し
たローラ付レバーを握索機の下部付近の懸垂フレームに
レバーブラケットを介して揺動可能に枢着する。このロ
ーラ付レバーの揺動々作をリモートケーブルによって座
板の揺動々作に変換する。

【０００８】このようにして、搬器が山麓停留場の到着
側を移動するとローラ付レバーのローラが上り傾斜した
反転レールに当接して転動することで上方に揺動々作
し、座板が着座位置へ倒れる。座板が着座位置になった
搬器には乗客が乗車して索道線路中を山頂停留場まで輸
送される。

【０００９】つぎに、索道線路中を移動し、山頂停留場
に到着して乗客が降車し、空車となった搬器が出発側に
転向されて移動するとローラ付レバーのローラが下り傾
斜した反転レールに当接して転動することで、ローラ付
レバーが下方に向けて揺動し、この揺動々作をリモート
ケーブルによって座板に伝達して、該座板を着座位置か
ら跳上位置に起立する。搬器は座板が跳上位置のままで
山麓停留場に向けて下り線側の索道線路中を移動する。
こうして、移動中に椅子式搬器の座板が雨水で濡れたり
着雪することを防ぐようにする。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の詳細な実施例を図を用いて説
明する。図１は本発明の座板揺動装置を装着した搬器２
０の正面図。図２は図１に示した搬器２０の側面図を示
す。前記した搬器２０は握索機２１にピン２３を介して
懸垂フレーム２９を垂下する。また、該懸垂フレーム２
９は逆Ｌ字形に屈曲して形成されており、水平部分には
板材を折り曲げて形成したジョイントプレート２９ａで
中空丸型鋼材を無端ループ状に湾曲して形成した搬器フ
レーム３０を懸垂している。

【００１１】また、前記懸垂フレーム２９の握索機２１
の下部付近にはレバーブラケット２５ａを固着して先端
にローラ２４を回転可能に枢着したローラ付レバー２５
がレバーピン２６によって、矢印４２または矢印４３の
方向に揺動自在に枢着されている。該ローラ付レバー２
５のローラ２４の軸芯の部分にはリモートケーブル２８
の一端が枢着されている。リモートケーブル２８は樹脂
等の可撓な管に複数の細いワイヤーを束ねたケーブルを
貫通して構成したもので、ある程度屈曲しても装着が可
能で、管側を固定してケーブルを軸方向に摺動すること
で作用力の伝達ができる機能を備えたものである。リモ
ートケーブル２８は懸垂フレーム２９の上部に固着され
た箱型をしたガイドブラケット２７に案内され、さら
に、搬器フレーム３０側の側面には止め金４１，４１に
よって二箇所で順番に下方に向けて係止されて先端部は
座板３１の端部に揺動可能に枢着されている。

【００１２】つぎに、図３は図２に示した搬器２０の側
面図で、特に下部の座板３１の揺動々作を説明した部分
的な拡大図である。搬器フレーム３０に止め金４１，４
１で係止したリモートケーブル２８の端部はガイド２８
ｃの部分が支持ブラケット３７によって支承され、さら
に、該支持ブラケット３７はＵボルト３８，３８で搬器
フレーム３０に固着されている。

【００１３】前記したリモートケーブル２８のガイド２
８ｃには終端部２８ｂが内挿されて矢印４４または矢印
４５の方向に摺動する。この終端部２８ｂの先端にはエ
ンドクレビス２８ａを具えて座板３１の端部に枢着す
る。

【００１４】つぎに、搬器フレーム３０の両側には各々
揺動軸３２，３２を固着延出したブラケット３２ａ，３
２ａを止めボルト３３，３３によって止める。この時、
両側の揺動軸３２，３２は搬器フレーム３０を貫通して
同芯上に対向して位置するようにする。この搬器フレー
ム３０の内側に向けて延出した揺動軸３２，３２によっ
て座板３１の一方側を枢着する。すなわち、座板３１は
揺動軸３２，３２を中心にして矢印４６または矢印４７
の方向に揺動する。従って、前記したように、座板３１
の一端がリモートケーブル２８の終端部２８ｂの先端が
エンドクレビス２８ａの部分で枢着されているので、終
端部２８ｂが二点鎖線で示した矢印４５の方向に伸出す
ると座板３１は揺動軸３２，３２を中心にして矢印４６
の方向に背板３６に当接するまで旋回して二点鎖線で示
した跳上位置３１ｂとなる。その反対に、終端部２８ｂ
が矢印４４の方向に引き込むと座板３１は矢印４７の方
向に転倒して座板３１の下面に貼着した弾性材でできた
緩衝体３５，３５，…が搬器フレーム３０に水平に渡架
した座板フレーム３４に上面から当接した位置で止まり
実線で示した着座位置３１ａになる。

【００１５】つぎに、上記した構造の搬器２０の動作な
いし操作について記す。図４は本発明の座板揺動装置を
用いた搬器２０が運行される自動循環式索道設備１の概
略構成を示す平面図である。すなわち、山麓停留場２に
枢設した滑車３と、山頂停留場６に枢設した滑車７の間
に索条１１を無端状に巻き回して緊張し、滑車３と滑車
７を矢印１２および矢印１３の方向に回転して索条１１
を循環移動する。搬器２０の握索機２１が索道線路１０
ではこの索条１１を握索して移動し、搬器２０が山麓停
留場２または山頂停留場６に到着すると握索機２１は索
条１１を放索して、該握索機２１に枢着した走行輪２
２，２２が平面視で”Ｕ”字型をした軌条４または軌条
８上を転動して矢印１４または矢印１６方向に移送され
る。

【００１６】つぎに、山麓停留場２に配設された到着側
の軌条４に反転レール５が並設され、山頂停留場６に配
設された出発側の軌条８に反転レール９が並設されてい
る。図５は、上記した山麓停留場２の軌条４に並設した
反転レール５を搬器２０が通過する状態を示す側面図で
ある。今、索道線路１０の矢印１７方向から山麓停留場
２に到着して、握索機２１が索条１１を放索した搬器２
０は高速から低速に減速移送される。こうして、低速と
なった搬器２０は反転レール５を通過すると握索機２１
の下部付近に装備されたローラ付レバー２５のローラ２
４が反転レール５上に当接して転動する。反転レール５
は搬器２０の進行方向に向かって上り傾斜しているの
で、搬器２０の移動に追従してローラ付レバー２５が矢
印４２の方向に揺動する。この揺動々作をリモートケー
ブル２８によって搬器フレーム３０に枢着した座板３１
に伝達し、揺動軸３２，３２を中心にして矢印４７の方
向に転倒して跳上位置３１ｂから着座位置３１ａにす
る。さらに、軌条４上を回送移送されて出発側に転向さ
れると、待機していた乗客が着座位置３１ａになった搬
器２０に乗車する。さらに、乗客が乗車した搬器２０は
加速移送されて循環移動する索条１１と等速になると握
索機２１が再び索条１１を握索して矢印１５方向の山頂
停留場６に向けて索道線路１０を運行される。

【００１７】つぎに、乗客が乗車した搬器２０が山頂停
留場６に到着すると握索機２１は索条１１を放索して、
該握索機２１の走行輪２２，２２が軌条８を転動して搬
器２０は減速移送されて低速になると、乗車していた乗
客は座板３１から起立して降車する。こうして、空車と
なった搬器２０は着座位置３１ａの状態で軌条８上を移
送されて出発側に転向される。

【００１８】図６は、山頂停留場６の出発側の軌条８に
並設した反転レール９を通過する状態を示した側面図で
ある。図示するように、反転レール９は搬器２０の進行
方向に下り傾斜している。従って、搬器２０が矢印４９
方向に走行するとローラ２４が反転レール９を転動して
ローラ付レバー２５が矢印４３方向にレバーピン２６を
中心にして揺動し、リモートケーブル２８によって座板
３１に伝達されて、該座板３１が矢印４６方向に起立し
て着座位置３１ａから跳上位置３１ｂになる。この状態
で空車となった搬器２０は軌条８上を加速移送されて軌
条１１と等速になると、握索機２１が再び索条１１を握
索して山麓停留場２の矢印１７方向に向けて運行され
る。このように、索道線路１０の矢印１５方向の上り線
側では搬器２０は座板３１が着座位置３１ａ、すなわ
ち、乗客が乗車する状態で運行され、反対側の矢印１７
方向の下り線側では搬器２０は乗客が乗車しないので、
座板３１は跳上位置３１ｂの状態で運行される。こうし
て、空車の搬器２０が索道線路１０を移動中に座板３１
が雨水で濡れたり着雪を少なくするのと同時に、平面方
向の受風面積を減らすことで風圧による搬器２０の揺動
も低減できる。

【発明の効果】従来から索道に用いている乗客が着座し
て乗車する椅子式搬器では、座板の一方側を搬器フレー
ムに揺動可能に枢着した構造となっている。これは、搬
器が空車の場合には待機している係員が座板を起立して
索道線路を移動中に座板に雨水が付いたり、着雪を少な
くして乗客が快適に乗車できるようにしている。

【００１９】しかし、自動循環式索道設備に用いられて
いる椅子式搬器は乗車人員が多く、従って、着座する座
板の面積も広くなり、座板を跳上たり転倒したりするた
めの労力もそれだけ大きくなっている。

【００２０】本発明は、山麓停留場および山頂停留場内
に配設された搬器が走行する軌条に搬器の進行方向に傾
斜した反転レールを並設し、搬器の側には前記した反転
レールに当接して転動するローラを枢着したローラ付レ
バーと、該ローラの軸芯と揺動する座板の一端とをリモ
ートケーブルで連結して構成したものである。

【００２１】こうして、搬器の進行によってローラ付レ
バーが揺動し、これをリモートケーブルによって座板へ
伝達することで、従来は待機している係員が行っていた
座板の跳上転倒作業を無くして、係員に対する労力を軽
減できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の座板揺動装置を装備した椅子式搬器の
正面図。

【図２】図１に示した椅子式搬器の側面図。

【図３】図２に示した座板の揺動軸を中心にした揺動々
作を示す搬器の椅子の部分を示した側面図。

【図４】本発明の搬器を用いた自動循環式索道設備の概
略構成を示す平面図。

【図５】山麓停留場で本発明の座板揺動装置の作用を説
明した模式図。

【図６】山頂停留場で本発明の座板揺動装置の作用を説
明した模式図。

【図７】従来の椅子式搬器の構成を示す側面図。

【符号の説明】

１ 自動循環式索道設備 ２ 山麓停留場 ３ 滑車 ４ 軌条 ５ 反転レール ６ 山頂停留場 ７ 滑車 ８ 軌条 ９ 反転レール １０ 索道線路 １１ 索条 １２，１３，１４，１５，１６，１７ 矢印 ２０ 搬器 ２１ 握索機 ２２，２２ 走行輪 ２３ ピン ２４ ローラ ２５ ローラ付レバー ２５ａ レバーブラケット ２６ レバーピン ２７ ガイドブラケット ２８ リモートケーブル ２８ａ エンドクレビス ２８ｂ 終端部 ２８ｃ ガイド ２９ 懸垂フレーム ２９ａ ジョイントプレート ３０ 搬器フレーム ３１ 座板 ３１ａ 着座位置 ３１ｂ 跳上位置 ３２ 揺動軸 ３２ａ ブラケット ３３ 止めボルト ３４ 座板フレーム ３５，３５，… 緩衝材 ３６ 背板 ３７ 支持ブラケット ３８，３８ Ｕボルト ３９ ピン ４０，４０ 手摺 ４１，４１ 止め金 ４２，４３，４４，４５ 矢印 ４６，４７，４８，４９ 矢印 ５０ 搬器 ５１ 握索機 ５２，５２ 走行輪 ５３ ピン ５４ 懸垂フレーム ５５ 搬器フレーム ５６ 座板 ５６ａ 着座位置 ５６ｂ 跳上位置 ５７，５７ 揺動軸 ５８ 座板フレーム ５９ 軌条 ６０，６１ 矢印

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】索道の椅子式搬器において、 搬器フレームに揺動可能に枢着した座板と、 前記搬器フレームを吊り下げた懸垂フレームに枢着した
   ローラ付レバーと、 前記ローラ付レバーの揺動々作を前記座席に伝達するた
   めのリモートケーブルと、 停留場において搬器の移動経路に沿って配設され、前記
   ローラ付レバーのローラが転動して、該ローラ付レバー
   を揺動するための反転レールとよりなり、 前記搬器が停留場内を通過すると、前記座板が自動的に
   着座位置または跳上位置に揺動するようにしたことを特
   徴とする索道の椅子式搬器の座板揺動装置。