JPH06297127A - 軽合金製部材の製造方法 - Google Patents

軽合金製部材の製造方法

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JPH06297127A
JPH06297127A JP6045278A JP4527894A JPH06297127A JP H06297127 A JPH06297127 A JP H06297127A JP 6045278 A JP6045278 A JP 6045278A JP 4527894 A JP4527894 A JP 4527894A JP H06297127 A JPH06297127 A JP H06297127A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋳造方法や鋳造前の軽合金材料の化学組成や
金属組織等を工夫して鋳造後の塑性加工性を向上させ、
塑性加工後の部材により高い強度特性を付与することが
できる軽合金製部材の製造方法を提供する。 【構成】 Mg合金材料2を固相率60%以下の半溶融
状態とした後、その半溶融状態のまま成形型20に注入
して鋳物素材を成形し、その後、該鋳物素材に塑性加工
としての鍛造加工を施して成形品を形成するようにした
ことを特徴とし、また、鍛造加工後の成形品にT6熱処
理を施すことを特徴とし、更に、Mg合金材料が、合金
元素としてストロンチウムを0.01〜0.5重量%含有
することを特徴とし、また更に、半溶融状態に加熱する
前のMg合金材料に塑性加工を施すことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばマグネシウム
合金などの軽合金材料で形成される軽合金製部材の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えばアルミニウム合金やマグネ
シウム合金等の軽合金材料を用いて、例えば自動車用ホ
イールなど、軽量でかつある程度以上の機械的強度が要
求される部品を、効率よく鋳造成形する方法が種々開発
されてきている。このような鋳造方法の中でも、当該軽
合金材料を加熱溶解して半溶融状態とした後その半溶融
状態のまま成形型に注入し、該成形型内で凝固させて成
形するようにした、所謂、半溶融鋳造法が注目されてい
る。
【0003】この半溶融鋳造法によれば、完全に溶解さ
れた液相部分中に未溶解の固相部分が混在した半溶融状
態の軽合金溶湯をそのまま成形型内に鋳込むことによ
り、軽合金材料を完全に溶解させてその溶湯(100%
液相)を成形型内に鋳込む従来の(通常の)溶解鋳造法に
よる場合に比べて、得られた鋳物素材の金属組織につい
て、素材の表面部と内部との間での結晶粒径のバラツキ
を小さくして比較的均質な組織にすることができる。そ
して、これにより、鋳物素材全体としての機械的性質を
高めることが可能になる。尚、この場合、軽合金材料を
単に半溶融状態としただけでは、通常、軽合金溶湯中の
固相部分は樹枝状晶(デンドライト)のままとなっている
ので、鋳物素材の十分な機械的性質の向上を達成するの
は困難である。この点に関して、例えば、特公昭62−
25464号公報では、半溶融状態の合金溶湯を磁気撹
拌することにより、上記樹枝状晶の破砕を図るようにし
た軽合金製部材の製造方法が提案されている。
【0004】ところで、ある程度以上の機械的強度が要
求される強度部品を軽合金製部材で製造する製造方法と
して、軽合金材料を溶解して得られた軽合金溶湯を金型
内に鋳込んで鋳物素材を鋳造し、この鋳物素材に例えば
押出成形や鍛造等の塑性加工を施すことによって強度部
材を得る方法が考えられている。かかる方法によれば、
鋳造後の鋳物素材に塑性加工を施すことによって一般に
部材の機械的性質が改善されるので、鋳物素材を塑性加
工する際の加工率を適宜設定することにより、要求に応
じた強度特性を有する軽合金製部材を得ることも可能に
なる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は、従来の溶解鋳造法で得られた軽合金製鋳物素材の場
合には、一般に、鋳造後に塑性加工を行う際の加工性が
低いので、十分な加工率で塑性加工を行うことが難し
く、この塑性加工後の軽合金製部材に要求に応じた高い
強度特性を付与することは、現実にはなかなかに困難で
ある。特に、マグネシウム(以下、その元素記号Mgで表
示する)合金の場合、軽合金材料として従来から汎用さ
れているアルミニウム(Al)合金に比べてより軽量であ
り、各種部品の軽量化のための代替材料として有望視さ
れているが、その鋳物素材の塑性加工性が一般に低いた
め、強度部材の実用材料として十分には利用されるに至
っていないのが実状である。
【0006】そこで、本願発明は、鋳造方法や鋳造前の
軽合金材料の化学組成や金属組織等を工夫して鋳造後の
塑性加工性を向上させ、塑性加工後の部材により高い強
度特性を付与することができる軽合金製部材の製造方法
を提供することを基本的な目的としてなされたものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】本願発明
者は、かかる目的を達成するために鋭意研究を重ねた結
果、軽合金材料を原材料として鋳物素材を鋳造する際
に、半溶融鋳造法を適用することにより、上述のよう
に、従来の溶解鋳造法による場合に比べて、鋳物素材の
金属組織を均質にすることができることにより、得られ
た鋳物素材全体としての機械的性質を高めることができ
るだけでなく、同時に、この鋳物素材に塑性加工を施す
際の加工性をも向上させることができること、及び、半
溶融状態時における固相部分の平均粒径(以下、これを
固相粒径という)を微細なものとする程、得られた鋳物
素材の塑性加工性をより高めることができることを見出
だした。また、半溶融状態に加熱する前の軽合金材料
(原材料)の金属組織の平均粒径を小さくする程、半溶融
状態時における固相粒径をより微細なものとすることが
でき、そのためには、半溶融状態とする前の原材料に塑
性加工を施すことが有効であること、更に、軽合金材料
としてMg合金を用いた場合には、当該Mg合金に合金元
素としてストロンチウム(以下、その元素記号Srで表示
する)を適量含有させることにより、半溶融状態時にお
ける固相どうしの融合が抑制され、その固相粒径をより
微細なものとすることができることを見出だした。
【0008】そして、上記課題を解決する手段として、
本願の請求項1に記載された発明(以下、本願の第1の
発明という)に係る軽合金製部材の製造方法は、軽合金
材料を半溶融状態とした後、その半溶融状態のまま成形
型に注入して鋳物素材を成形し、その後、該鋳物素材に
塑性加工を施して成形品を形成するようにしたことを特
徴としたものである。
【0009】本願の第1の発明においては、軽合金材料
を原材料として鋳物素材を鋳造する際に、半溶融鋳造法
を適用することにより、従来の溶解鋳造法による場合に
比べて鋳物素材の金属組織を均質にすることができ、得
られた鋳物素材全体としての機械的性質を高めることが
できるだけでなく、同時に、この鋳物素材に塑性加工を
施す際の加工性をも向上させることができる。
【0010】また、本願の請求項2に記載された発明
(以下、本願の第2の発明という)に係る軽合金製部材の
製造方法は、上記第1の発明において、上記軽合金材料
がMg合金材料であり、該Mg合金材料の半溶融状態が固
相率60%以下であることを特徴としたものである。
【0011】本願の第2の発明においては、Mg合金材
料を原材料として鋳物素材を鋳造する際に、半溶融鋳造
法を適用することにより、従来の溶解鋳造法による場合
に比べて鋳物素材の金属組織を均質にすることができ、
特に、鋳造後の塑性加工性が一般に良くないMg合金材
料について、得られた鋳物素材全体としての機械的性質
を高めることができるだけでなく、同時に、この鋳物素
材に塑性加工を施す際の加工性をも向上させることがで
きる。
【0012】この第2の発明において、Mg合金材料の
半溶融状態時における固相率の上限値を60%としたの
は、固相率がこの値を越えると、Mg合金溶湯の流動性
が低下し過ぎて鋳造性が悪くなり、鋳巣等の鋳造欠陥が
発生し易くなるからである。尚、鋳物素材の金属組織を
比較的均質なものとするためには、Mg合金溶湯を半溶
融状態にして、つまり、溶湯中に固相部分が少なくとも
幾らかでも含まれる状態にして、鋳込むことが必要であ
るので、固相率の下限として、固相部分が存在しない0
%(つまり100%液相)の場合は除外される。
【0013】更に、本願の請求項3に記載された発明
(以下、本願の第3の発明という)に係る軽合金製部材の
製造方法は、上記第2の発明において、上記Mg合金材
料が、合金元素としてSrを0.01〜0.5重量%含有
することを特徴としたものである。
【0014】本願の第3の発明においては、軽合金材料
としてMg合金を用いた場合には、当該Mg合金に合金元
素としてSrを適量(0.01重量%〜0.5重量%)含有
させることにより、半溶融状態時における固相部分どう
しの融合が抑制され、その固相粒径をより微細なものと
することができる。そして、半溶融状態時における固相
粒径を微細なものとする程、得られた鋳物素材の塑性加
工性をより高めることができる。
【0015】この第3の発明において、Sr含有量の下
限値を0.01重量%としたのは、Sr含有量がこの値未
満の場合には、Sr添加による半溶融状態時における固
相粒径の微細化に対する十分な効果が得られないからで
ある。また、Sr含有量の上限値を0.5重量%としたの
は、Sr含有量がこの値を越えると、Mg,Al,Zn等との
化合物を生成し、部材の機械的性質に悪影響を及ぼすか
らであり、また、鋳造が困難になるからである。
【0016】また更に、本願の請求項4に記載された発
明(以下、本願の第4の発明という)に係る軽合金製部材
の製造方法は、上記第2の発明または第3の発明におい
て、上記塑性加工後の成形品にT6熱処理を施すことを
特徴としたものである。
【0017】本願の第4の発明においては、上記塑性加
工後の成形品にT6熱処理を施すことにより、成形品の
結晶粒の微細化を図ることができる。
【0018】また更に、本願の請求項5に記載された発
明(以下、本願の第5の発明という)に係る軽合金製部材
の製造方法は、上記第1の発明〜第4の発明のいずれか
一において、上記鋳物素材を上記成形品の形状に比較的
近似した半製品形状に成形することを特徴としたもので
ある。
【0019】本願の第5の発明においては、上記鋳物素
材を上記成形品の形状に比較的近似した半製品形状に成
形することにより、鋳物素材に塑性加工を施して成形品
を形成するに際して、複雑な塑性加工を行う必要をなく
することができる。
【0020】また更に、本願の請求項6に記載された発
明(以下、本願の第6の発明という)に係る軽合金製部材
の製造方法は、上記第1の発明〜第5の発明のいずれか
一において、上記塑性加工が鍛造成形であることを特徴
としたものである。
【0021】本願の第6の発明においては、上記塑性加
工として鍛造成形を採用したので、その後の熱処理(溶
体化処理)によって結晶粒の微細化を図ることができ
る。
【0022】また更に、本願の請求項7に記載された発
明(以下、本願の第7の発明という)に係る軽合金製部材
の製造方法は、上記第1の発明〜第6の発明のいずれか
一において、上記半溶融状態に加熱する前の軽合金材料
に塑性加工を施すことを特徴としたものである。
【0023】本願の第7の発明においては、上記半溶融
状態に加熱する前の軽合金材料に塑性加工を施すように
したので、この軽合金材料を加熱して半溶融状態とした
際の固相粒径を小さくすることができる。そして、この
半溶融状態時における固相粒径を微細なものとする程、
得られた鋳物素材の塑性加工性をより高めることができ
る。
【0024】また更に、本願の請求項8に記載された発
明(以下、本願の第8の発明という)に係る軽合金製部材
の製造方法は、上記第1の発明〜第7の発明のいずれか
一において、上記半溶融状態で撹拌を行うことを特徴と
したものである。
【0025】本願の第8の発明においては、上記半溶融
状態で撹拌を行うことにより、半溶融状態の合金溶湯中
の樹枝状晶の固相を確実に破砕して粒径の小さな球状体
とすることができる。
【0026】
【発明の効果】本願の第1の発明によれば、半溶融鋳造
法で鋳物素材を成形するようにしたので、塑性加工性の
高い鋳物素材を得ることができる。そして、得られた鋳
物素材に塑性加工を施して成形品を形成するようにした
ので、機械的性質の良好な成形品(軽合金製部材)を得る
ことができる。すなわち、上記鋳物素材を塑性加工する
際の加工率を適宜設定することにより、要求に応じた強
度特性を有する軽合金製部材を得ることができる。ま
た、塑性加工性の高い鋳物素材を得ることができるの
で、極力少ない回数(例えば1回)の塑性加工で、所望の
強度特性を備えた軽合金製部材を形成することができる
ようになる。
【0027】また、本願の第2の発明によれば、基本的
には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができ
る。特に、上記軽合金材料をMg合金材料としたので、
特に、鋳造後の塑性加工性が一般に良くないMg合金材
料について、従来の溶解鋳造法による場合に比べて鋳物
素材の金属組織を均質にすることができ、の鋳物素材に
塑性加工を施す際の加工性を向上させることができる。
この場合において、上記Mg合金材料の半溶融状態を固
相率60%以下としたので、Mg合金溶湯の流動性を十
分確保することができ、鋳造性が損なわれることはな
い。
【0028】更に、本願の第3の発明によれば、基本的
には、上記第2の発明と同様の効果を奏することができ
る。特に、上記Mg合金材料が、合金元素としてSrを
0.01〜0.5重量%含有するようにしたので、半溶融
状態時における固相部分どうしの融合を抑制し、その固
相粒径をより微細なものとすることができる。そして、
これにより、得られた鋳物素材の塑性加工性をより高め
ることができる。この場合において、Srの含有量を上
記範囲内としたので、Sr添加による上記固相粒径の微
細化効果を維持した上で、SrとMg,Al,Zn等との化合
物が生成して部材の機械的性質に悪影響を及ぼし、ま
た、鋳造性が損なわれることを確実に回避できる。
【0029】また更に、本願の第4の発明によれば、基
本的には、上記第2の発明または第3の発明と同様の効
果を奏することができる。特に、上記塑性加工後の成形
品にT6熱処理を施すようにしたので、成形品の結晶粒
の微細化を図ることができ、強度特性に優れた軽合金製
部材を得る上で有利となる。
【0030】また更に、本願の第5の発明によれば、基
本的には、上記第1の発明〜第4の発明のいずれか一と
同様の効果を奏することができる。しかも、その上、上
記鋳物素材を上記成形品の形状に比較的近似した半製品
形状に成形するようにしたので、鋳物素材に塑性加工を
施して成形品を形成するに際して、複雑な塑性加工を行
う必要がなくすることができる。すなわち、比較的簡単
な塑性加工で容易に上記鋳物素材から成形品を得ること
ができる。
【0031】また更に、本願の第6の発明によれば、基
本的には、上記第1の発明〜第5の発明のいずれか一と
同様の効果を奏することができる。特に、上記塑性加工
として鍛造成形を採用したので、その後の熱処理(溶体
化処理)によって結晶粒の微細化を図ることができ、強
度特性に優れた軽合金製部材を得る上で有利となる。
【0032】また更に、本願の第7の発明によれば、基
本的には、上記第1の発明〜第6の発明のいずれか一と
同様の効果を奏することができる。しかも、その上、上
記半溶融状態に加熱する前の軽合金材料(原材料)に塑性
加工を施すようにしたので、この軽合金材料を加熱して
半溶融状態とした際の固相部分の平均粒径を小さくする
ことができる。そして、これにより、得られた鋳物素材
の塑性加工性をより高めることができる。
【0033】また更に、本願の第8の発明によれば、基
本的には、上記第1の発明〜第7の発明のいずれか一と
同様の効果を奏することができる。しかも、その上、上
記半溶融状態で撹拌を行うようにしたので、半溶融状態
の合金溶湯中の樹枝状晶の固相を確実に破砕して粒径の
小さな球状体とすることができる。従って、これを鋳造
して得られた鋳物素材では、塑性加工性のより確実な向
上が達成できる。
【0034】
【実施例】以下、この発明の実施例に係る軽合金製部材
の製造方法を、軽合金材料として例えばMg(マグネシウ
ム)合金材料を採用した場合について詳細に説明する。
まず、本願発明の第1実施例に係るMg合金製部材の製
造方法について説明する。図1の(A)〜(G)は、本実施
例に係るMg合金製自動車部品(ホイール)の鋳造鍛造法
による製造方法の各工程を示している。以下、この各工
程について、図面を参照しながら順に説明する。
【0035】(1) 第1工程(図1のA) まず、図2に模式的に示す装置構造の装置台6上に設置
されたるつぼ1内に軽合金材料である下記(表1)の組成
のMg合金材(AZ80)2を入れてヒータ7,7により周
囲から加熱して半溶融状態にし、図2および図3に示す
ような撹拌プレート3を有する撹拌棒4をモータ5によ
り回転駆動することによって次の(表2)に示す製造条件
の下で混合撹拌する。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】尚、上記図2および図3に模式的に示した
装置は、図4に示す溶解実験装置21の一部を構成する
ものである。この溶解実験装置21では、ケース22の
中心部分にシリンダ23で上下動される上記装置台6上
に筒状のるつぼ1が配置され、このるつぼ1の周囲にヒ
ータ7が配設されている。上記るつぼ1は例えば軟鋼で
形成され、るつぼ1内の溶融もしくは半溶融状態の金属
2(Mg合金溶湯)の温度は、熱電対27で計測できる。
また、上記るつぼ1内の溶融もしくは半溶融状態の金属
2の表面には、ガス供給管28から保護ガスが供給され
るようになっている。撹拌棒4はその上端側がトルクセ
ンサ24を介して上記モータ5に連結されており、該モ
ータ5及び上記トルクセンサ24は、制御盤25に信号
授受可能に接続されており、該制御盤25には、トルク
リミッタ25a,トルク回転メータ25bおよび記録計2
5c等が付設されている。
【0039】この第1工程における上記るつぼ1内のM
g合金材2に対する加熱および撹拌は、さらに詳しく言
うと例えば図5の(A)〜(C)に示すように、先ず初期の
段階では同材料2が固相(α相)と液相との中間状態にな
るような温度に加熱する(図5(A))。その後、同状態で
撹拌板3により上記(表2)の条件で強制的に撹拌する
(図5(B))。その結果、図5(C)に示すように樹枝状晶
(デンドライト)の固相が破砕されて球状になる。この時
の固相率は60%以下、特に、後述するように、25〜
60%になるようにすることが好ましい。このように、
上記半溶融状態で撹拌を行うことにより、半溶融状態の
合金溶湯中の樹枝状晶の固相を確実に破砕して粒径の小
さな球状体とすることができる。従って、後述するよう
に、これを鋳造して得られた鋳物素材では、塑性加工性
のより確実な向上が達成できる。
【0040】(2) 第2工程(図1の(B),(C)) 次に、上記のようにして固相率25〜60%とされたる
つぼ1内の半溶融状態の合金材2をプランジャ9を備え
たダイキャスト用のスリーブ8内に図1の(B)から同
(C)の状態になるように注入する。
【0041】(3) 第3工程(図1の(D)) その後、上記スリーブ8をダイキャスト金型20の注入
口に嵌合し、プランジャ9を作動させて上記半溶融状態
の合金材2をダイキャスト金型20内に注入することに
よって鋳造する(ブランク製造)。
【0042】(4) 第4工程(図1の(E)) 上記のようにして半溶融鋳造が完了すると、中間成形品
としてのMg合金製鋳物素材2をダイキャスト金型20
より取り出す。
【0043】(5) 第5工程(図1の(F)) 上記のようにして鋳造成形された中間成形品たる鋳物素
材2を鍛造素材として鍛造用の下型11上にセットし、
上型10との間で鍛造成形(1回)することにより、最終
成形するとともに機械的強度を向上させる。このよう
に、鋳造後の塑性加工として、鍛造成形を採用したの
で、その後の熱処理(溶体化処理)によって結晶粒の微細
化を図ることができ、強度特性に優れた軽合金製部材を
得る上で有利となる。また、この鍛造成形では、上記鋳
物素材2は最終成形品の形状に比較的近似した半製品形
状に成形されるので、鋳物素材2に塑性加工(鍛造成形)
を施して成形品を形成するに際して、複雑な塑性加工を
行う必要がなくすることができる。すなわち、比較的簡
単な塑性加工で容易に上記鋳物素材2から成形品を得る
ことができるのである。
【0044】(6) 第6工程(図1の(G)) その後、治具12,13に支持させて細部のスピンフォ
ージ(スピニング加工)を実行した上で例えば400℃で
4時間の空冷による溶体化処理、180℃で15時間の
空冷による人工時効処理を内容とするJIS.T6熱処
理を行い、最終成形品2を得るようになっている。この
ように、上記塑性加工後の成形品にT6熱処理(特に、
溶体化処理)を施すことにより、成形品の結晶粒の微細
化を図ることができ、強度特性に優れたMg合金製部材
を得る上で有利となる。
【0045】−加工限界測定試験− 次に、以上のような製造工程において、上記第4工程
(図1の(E))を終えて得られたMg合金製鋳物素材2か
ら、例えば図6に示すような形状,寸法の圧縮試験片2
Aを切り出し、図7に示すような圧縮試験装置で圧縮試
験を行った。圧縮試験装置は、上方側押圧手段15と下
方側固定支持手段16とからなり、両者の間に上記圧縮
試験片2Aを介置して図7(A)の状態から図7(B)の状
態のように押圧手段15を下降させて圧縮試験を行な
い、その変形データから加工限界を測定する。加工限界
X%は、次式により求められる。 X=(H1−H2)/H1(%) H1・・・圧縮試験片2Aの原高さ(図7(A)参照) H2・・・圧縮変形により割れ14が発生した時の圧縮
試験片2Aの高さ(図7(B)参照)
【0046】この加工限界測定試験の結果から得られた
データを基に半溶融合金材2の固相率と加工限界との関
係を表わすと図8のようになった。尚、上記加工限界測
定試験に用いた各圧縮試験片2Aを切り出した鋳物素材
の平均結晶粒径は、略150μmであった。図8のグラ
フより、本実施例の半溶融鋳造法によると、固相率が2
5%を越えると固相率0%のもの(100%液相:通常の
溶解鋳造法により得られるもの)に比べて十分に加工限
界が向上することが分かった。すなわち、半溶融鋳造法
を適用することにより、従来の溶解鋳造法による場合に
比べて鋳物素材の金属組織を均質にすることができ、特
に、鋳造後の塑性加工性が一般に良くないMg合金材料
について、得られた鋳物素材全体としての機械的性質を
高めることができるだけでなく、同時に、この鋳物素材
に塑性加工を施す際の加工性をも向上させることができ
るのである。
【0047】また、上記半溶融鋳造より得られるMg合
金製鋳物素材の機械的特性は、従来の鋳造法によるもの
よりも良好であるため、これをさらに鍛造すると加工性
の向上が認められる(図9,図10,図11参照)。すなわ
ち、本実施例によれば、半溶融鋳造法で鋳物素材を成形
するようにしたので、塑性加工性の高い鋳物素材を得る
ことができる。そして、得られた鋳物素材に塑性加工を
施して成形品を形成するようにしたので、機械的性質の
良好な成形品(軽合金製部材)を得ることができる。そし
て、上記鋳物素材を塑性加工する際の加工率を適宜設定
することにより、要求に応じた強度特性を有する軽合金
製部材を得ることができる。また、塑性加工性の高い鋳
物素材を得ることができるので、極力少ない回数の塑性
加工で、所望の強度特性を備えた軽合金製部材を形成す
ることができるようになる。
【0048】但し、固相率が60%を越えると実際上、
合金の流動性が悪化し、逆に鋳巣等の鋳造内部欠陥が発
生しやすくなるため、半溶融状態の合金材2の固相率は
上述のように25〜60%が適している。
【0049】以上のようにして製造された固相率26%
と59%のMg合金製部材(熱処理なし)の金属組織の顕
微鏡写真を図12,図13に、また従来の固相率0%(1
00%溶解)のMg合金製部材(熱処理なし)の金属組織の
顕微鏡写真を図14に示す。これら図12〜図14の対
比からも明らかなように、半溶融撹拌により固相率を2
5%〜60%の範囲のものとした本実施例の図12(2
6%)および図13(59%)のものでは樹枝状晶(デンド
ライト)の固相が破砕されて丸みのある球状体(図中白色
部分)となっており、固相の存在により加工限界を向上
させながら、しかも同固相が樹枝状晶でなくなることに
より良好な鍛造成形性を得ることができる。また、該加
工限界を向上させ得て、しかも鍛造成形性が良くなるこ
とから、一回の鍛造加工で引張強度等十分な機械的性質
の向上効果を得ることができるようになる。さらに、図
12および図13から明らかなように、本実施例のMg
合金製部材では、固相率0%の図14の場合同様鋳巣も
全く生じていない。
【0050】次に、半溶融状態の軽合金材料から鋳物素
材を鋳造する際に、半溶融状態の軽合金溶湯を成形型内
に圧力注入するようにした第2実施例について説明す
る。本第2実施例では、下記表3に示す化学成分を有す
るマグネシウム(Mg)合金を用い、これを上述の第1実
施例で使用した溶解実験装置(図2〜図4参照)により半
溶融状態とし、この半溶融状態のMg合金溶湯を用いて
圧力注入法で鋳造を行った。尚、この第2実施例では、
第1実施例とは異なり、半溶融状態での溶湯の撹拌は行
わなかった。
【0051】
【表3】
【0052】以下、本第2実施例における圧力注入法に
よる鋳造について説明する。図15は、本実施例で用い
た鋳造実験装置を示している。この鋳造実験装置31で
は、ベース32の上方に、油圧シリンダ33に連結され
たプランジャ34の下端部に支持された金型35が配置
されている。図16に詳しく示すように、この金型35
の上部にはエア抜き孔36,…,36が形成され、これら
エア抜き孔36,…,36の上方は、溶融材の吹き抜け防
止のためのNi(ニッケル)セルメット37で覆われてい
る。そして、上記金型35の下方に半溶融状態のMg合
金溶湯2'を入れたるつぼ1を位置させ、プランジャ3
4を所定の荷重および速度で降下させることにより、図
17に示すように、金型35の成形キャビティ35a内
に半溶融状態のMg合金溶湯2が圧力注入される。この
結果、図18に示すような鋳物素材39が得られる。本
実施例では、この圧力注入条件について、例えば、プラ
ンジャ34の荷重を300kN、降下速度を30mm/se
c.とした。
【0053】上記の鋳造工程に先立ってMg合金材を半
溶融状態とする際の加熱パターンの一例を図20に示
す。また、このMg合金の半溶融状態における加熱保持
時間の固相部分の平均粒径(固相粒径)に及ぼす影響を調
べたところ、上記加熱保持時間が長くなる程、固相粒径
が大きくなることが分かった。半溶融状態での加熱温度
を600℃に保ち、この温度で2分間保持した場合の半
溶融状態時における金属組織の顕微鏡写真をを図21
に、また、上記温度で100分間保持した場合の金属組
織の顕微鏡写真を図22にそれぞれ示す。尚、倍率はい
ずれも約100倍である。これら図21,図22の比較
結果からも、半溶融状態における加熱保持時間が長くな
る程、半溶融状態時における固相粒径が大きくなること
が分かる。従って、半溶融状態時における固相部分の粒
径の粗大化を回避するためには、上記加熱保持時間を極
力短くした方が良い。
【0054】次に、半溶融状態時における固相粒径を種
々変化させ、この固相粒径の大小が鋳造素材の塑性加工
性(例えば据え込み成形性)に及ぼす影響を調べた。半溶
融状態時における固相粒径は、半溶融状態での加熱保持
時間、あるいは、後述するように、Mg合金材の半溶融
状態とする前の素材粒径を変化させることにより、種々
異なるものを得ることができる。試験結果を図23に示
す。この図23のグラフから分かるように、半溶融状態
時における固相部分の平均粒径が小さい程、据え込み成
形性が向上する。また、この関係は、固相率が25%未
満でも成立し、比較的低い固相率(25%未満)でも図2
3のグラフで示された斜線部分で示された範囲内に入っ
ていることが分かった。
【0055】次に、従来の通常の鋳造法で得られた鋳物
素材と半溶融鋳造法で得られた鋳物素材とについて、素
材の粒径分布を比較して調べた。この実験では、図4に
示す溶解実験装置21と図15に示す鋳造実験装置とを
用いて、従来の溶解鋳造法と半溶融鋳造法とでそれぞれ
鋳造を行い、図18に示すような鋳物素材を成形した。
そして、両鋳物素材に熱処理としてT6処理を施した
後、図19に示すように、各鋳物素材の表面近傍,中心
部および表面と中心との中間部の3箇所について結晶粒
度を観察した。尚、本実験での各鋳造法における鋳込み
温度は以下の通りであった。 ・ 従来の鋳造法 : 700℃ ・ 半溶融鋳造法 : 586℃
【0056】従来の溶解鋳造法による素材の鋳造組織の
観察結果を表す顕微鏡写真を図27〜図29(図27:表
面近傍,図28:中間部,図29:中心部)に、また、半溶
融鋳造法による素材の鋳造組織の観察結果を表す顕微鏡
写真を図24〜図26(図24:表面近傍,図25:中間
部,図26:中心部)にそれぞれ示す。倍率はいずれも約
100倍である。これらの図を比較して良く分かるよう
に、表面近傍ではどちらの鋳物素材でも結晶粒径はかな
り微細であるが、中間部および中心部について比較する
と、半溶融鋳造法によるものの場合は、結晶粒の粗大化
が比較的抑制されており、結晶粒径のバラツキが小さい
なっている。従って、半溶融鋳造法で鋳造することによ
り、従来の溶解鋳造法による場合に比べて、冷却速度の
影響を受けにくくなり、素材表面から内部にわたって結
晶粒径のバラツキが小さくなる(つまり、鋳物素材内部
の粒径が均一化し易くなる)ことが分かった。この結
果、鋳物素材全体としての機械的性質が高められる。ま
た、後工程で鍛造等の塑性加工を行う際にも、より良好
な塑性加工性(成形性)を有する鋳物素材を得ることが可
能になる。
【0057】次に、軽合金材としてのMg合金材にSr
(ストロンチウム)を合金元素として添加し、このSrを
含有したMg合金材を半溶融状態とした場合における、
固相部分の平均粒径(固相粒径)に及ぼすSr添加量の影
響を調べた第3実施例について説明する。本第3実施例
では、下記表4に示す化学成分を有するマグネシウム
(Mg)合金を用い、これを上記図4に示した溶解実験装
置により半溶融状態とし、この半溶融状態のMg合金溶
湯における固相粒径をそれぞれ調べた。尚、この第3実
施例においても、第1実施例とは異なり、半溶融状態で
の溶湯の撹拌は行わなかった。
【0058】
【表4】
【0059】上記各試料は、粒径が約3mmの切削チップ
状とした。このような形状に加工したのは、半溶融状態
とする際の昇温速度を高めるためであり、切削後におけ
る各試料の金属組織の粒径は20〜30μmであった。
上記各試料をるつぼ1に入れて加熱し、半溶融状態とし
た。試料加熱時における一般的な加熱パターンの一例を
図30に示す。ただし、本実施例では、以下に述べるよ
うに、半溶融温度域内の加熱保持温度に達した後の等温
保持は行わず、当該温度に達し次第直ちに空冷した。本
実施例における試料加熱条件は以下の通りであった。 ・ 昇温速度 : 120℃/分 ・ 加熱保持温度 : 600℃ ・ 保持時間 : 0分(600℃に達し次第直ちに空冷)
【0060】試験結果を図31のグラフに示す。この試
験結果から、Mg合金にSrを合金元素として添加するこ
とにより、半溶融状態時における固相部分の粒径が微細
になることがわかった。すなわち、一般に、加熱過程お
よび半溶融温度域では、図32((a)〜(c))に模式的に示
すように、時間経過に伴って、固相どうしが次第に融合
して粗大な固相を形成するようになるが、Srはこの固
相の融合を抑制する作用を有しているので、Mg合金に
対する合金元素としてSrを添加することにより、粗大
な固相の生成を抑制して固相部分の平均粒径(固相粒径)
を微細に保つことができるようになる。そして、上述の
ように(図23参照)、半溶融状態時におけるこの固相粒
径を微細なものとする程、得られた鋳物素材の塑性加工
性をより高めることができるので、上記鋳物素材を塑性
加工する際の加工率を適宜設定することにより、要求に
応じた強度特性を有する軽合金製部材を得ることができ
る。また、塑性加工性の高い鋳物素材を得ることができ
るので、極力少ない回数(例えば1回)の塑性加工で、所
望の強度特性を備えた軽合金製部材を形成することがで
きるようになるのである。
【0061】この場合において、Sr含有量の下限値を
0.01重量%としたのは、Sr含有量がこの値未満の場
合には、Sr添加による半溶融状態時における固相粒径
の微細化に対する十分な効果が得られないからである。
また、Sr含有量の上限値を0.5重量%としたのは、S
r含有量がこの値を越えると、Mg,Al,Zn等との化合物
を生成し、部材の機械的性質に悪影響を及ぼすからであ
り、また、鋳造が困難になるからである。
【0062】尚、半溶融温度域での加熱保持中に生じる
固相どうしの融合に及ぼすSr添加の効果を調べた。図
33および図34は、Sr添加量が0%で、加熱保持時
間がそれぞれ0分および30分の場合を示し、図35お
よび図36は、Sr添加量が0.018%で、加熱保持時
間がそれぞれ0分および30分の場合を示す金属組織の
顕微鏡写真である。これらの図からも、Srが添加され
たMg合金では、加熱保持時間が長く(30分:図36参
照)なっても、Srが無添加のもの(図34参照)に比べて
固相どうしの融合が抑制されており、粗大な固相が生成
されることが防止されていることが分かる。
【0063】次に、半溶融状態とする前の軽合金材料
(原材料)の結晶粒度と半溶融状態時の固相粒径との相関
関係を調べた第4実施例について説明する。本第4実施
例では、上記第2実施例で用いたものと同じ化学成分を
有するマグネシウム(Mg)合金を用い、これを上記図4
に示した溶解実験装置により半溶融状態とし、この半溶
融状態のMg合金溶湯における固相部分の結晶粒径と、
半溶融状態に加熱する前のMg合金材の結晶粒径(以下、
これを素材粒径という)との相関関係を調べた。尚、こ
の第3実施例においても、第1実施例とは異なり、半溶
融状態での溶湯の撹拌は行わなかった。
【0064】上記Mg合金材を半溶融状態とする際の加
熱条件は、以下の通りとした。 ・ 昇温速度 : 120℃/分 ・ 加熱保持温度 : 600℃ ・ 保持時間 : 2分(その後、空冷) 尚、軽合金材を加熱して半溶融状態とした場合の半溶融
温度域における材料組織の一般的な変化の様子を図40
に模式的に示す。温度が高くなる程、固相率が小さくな
り、かつこの温度域での保持時間が長くなる程、固相粒
径が大きくなっている。
【0065】また、本実施例では、半溶融状態とする前
のMg合金素材(原材料)として、結晶粒径が約250μ
m(初期粒径)の素材を用意し、この素材に、図39に示
すような方法で塑性加工(据込み加工)を加え、粒径がそ
れぞれ異なる種々の試料を製作した。この粒径がそれぞ
れ異なる各試料を製作するに際の塑性加工率と結晶粒径
との関係を図38に示す。
【0066】試験結果を図37に示す。この図37のグ
ラフから分かるように、半溶融状態とする前の素材粒径
と半溶融状態時の固相粒径との間には明確な相関関係が
あり、半溶融状態とする前の素材粒径が小さい程、半溶
融状態時の固相粒径が小さくなることが分かった。これ
は、上記図40に模式的に示すように、軽合金素材(原
材料)が加熱されて固相温度を越えると、液相部が現れ
て固相部分を取り巻き、この固相部分が島状に点在する
ようになるが、原材料の素材の結晶粒径が小さい程、上
記固相部分が細かく分散して点在するためであると考え
られる。図41および図42に、原材料の素材粒径が異
なるMg合金素材を半溶融状態とした際の金属組織の顕
微鏡写真(倍率約100倍)を示す。図41が原材料の素
材粒径が約30μmの場合を、図42が原材料の素材粒
径が150μmの場合をそれぞれ示している。半溶融状
態時の固相粒径は、原材料の素材粒径が小さい(30μ
m)Mg合金素材の方(図41)が明らかに小さくなってい
る。
【0067】本実施例によれば、上記半溶融状態に加熱
する前の軽合金材料(原材料)に塑性加工を施すようにし
たので、この軽合金材料を加熱して半溶融状態とした際
の固相部分の平均粒径を小さくすることができるのであ
る。そして、この半溶融状態時における固相粒径を微細
なものとする程、得られた鋳物素材の塑性加工性をより
高めることができるので、上記のように原材料に塑性加
工を施すことにより、得られた鋳物素材の塑性加工性を
より向上させ、ひいては、塑性加工後のMg合金部材の
機械的性質を高めることができる。
【0068】図43および図44は、半溶融鋳造法によ
り鋳造を行う他の鋳造装置の一例を示している。この鋳
造装置41は、軽合金材42を入れるコンテナ43と、
このコンテナ43と連結される一対の金型45a,45b
とを備え、上記コンテナ43の押出口46が、金型45
a,45bで形成される成形空間45cと連通している。そ
して、鋳造材料としての軽合金材42をコンテナ43内
にいれた状態で該コンテナ43の周囲を加熱ヒータ47
で取り巻き、この加熱ヒータ47を通電させてコンテナ
43内の軽合金材42を加熱し、該軽合金材42を半溶
融状態とする。この状態において、コンテナ43の上部
開口からパンチ44を下降させ、このパンチ44の圧力
によって半溶融状態の溶湯を金型成形空間45c内に注
入し、鋳造を行う。そして、この半溶融状態の溶湯の圧
力注入が終了すれば、冷却後、金型45a,45bを開い
て鋳造された成形部材を取り出すようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る軽合金製部材の製
造方法の各工程を示す製造工程図である。
【図2】 上記第1実施例に係る溶解実験装置の要部を
示す縦断面説明図である。
【図3】 上記溶解実験装置の撹拌プレートの横断面図
である。
【図4】 上記溶解実験装置の全体構成を概略的に示す
説明図である。
【図5】 上記製造工程における軽合金材料撹拌時にお
ける軽合金材料の相状態変化を模式的に示す説明図であ
る。
【図6】 第1実施例における加工限界測定実験に使用
される圧縮試験片を示す図である。
【図7】 上記加工限界測定実験方法を示す説明図であ
る。
【図8】 第1実施例におけるMg合金製部材の半溶融
状態時における固相率と成形性との関係を示す特性図で
ある。
【図9】 第1実施例におけるMg合金製部材の半溶融
状態時における固相率と引張強度および耐力との関係を
示すグラフである。
【図10】 第1実施例におけるMg合金製部材の半溶
融状態時における固相率と伸びとの関係を示すグラフで
ある。
【図11】 第1実施例におけるMg合金製部材の半溶
融状態時における固相率と引張強度との関係から見た鍛
練効果を示すグラフである。
【図12】 第1実施例に係るMg合金製部材の固相率
26%のものの金属組織の顕微鏡写真(×100)であ
る。
【図13】 第1実施例に係るMg合金製部材の固相率
59%のものの金属組織の顕微鏡写真(×100)であ
る。
【図14】 従来一般のMg合金製部材の固相率0%の
Mg合金製部材の金属組織の顕微鏡写真(×100)であ
る。
【図15】 本発明の第2実施例に係る鋳造実験装置の
説明図である。
【図16】 上記鋳造実験装置を用いて行う鋳造工程の
一部を示す縦断面説明図である。
【図17】 上記鋳造工程の一部を示す縦断面説明図で
ある。
【図18】 上記鋳造工程によって得られた鋳造素材の
斜視図である。
【図19】 図18のX−X線に沿った縦断面説明図で
ある。
【図20】 第2実施例に係るMg合金材料を半溶融状
態に加熱する際の加熱パターンの一例を示すタイムチャ
ートである。
【図21】 第2実施例に係るMg合金材料の半溶融状
態における保持時間が2分間の場合の金属組織の顕微鏡
写真(×100)である。
【図22】 第2実施例に係るMg合金材の半溶融状態
における保持時間が100分間の場合の金属組織の顕微
鏡写真(×100)である。
【図23】 第2実施例に係るMg合金製部材の限界据
込み率と半溶融状態時における固相部分の平均粒径との
関係を示すグラフである。
【図24】 第2実施例に係るMg合金製鋳物素材の表
面近傍における結晶粒度を示す金属組織の顕微鏡写真
(×100)である。
【図25】 第2実施例に係るMg合金製鋳物素材の素
材中間部における結晶粒度を示す金属組織の顕微鏡写真
(×100)である。
【図26】 第2実施例に係るMg合金製鋳物素材の素
材中心部における結晶粒度を示す金属組織の顕微鏡写真
(×100)である。
【図27】 従来例に係るMg合金製鋳物素材の表面近
傍における結晶粒度を示す金属組織の顕微鏡写真(×1
00)である。
【図28】 従来例に係るMg合金製鋳物素材の素材中
間部における結晶粒度を示す金属組織の顕微鏡写真(×
100)である。
【図29】 従来例に係るMg合金製鋳物素材の素材中
心部における結晶粒度を示す金属組織の顕微鏡写真(×
100)である。
【図30】 本発明の第3実施例に係るMg合金材料を
半溶融状態に加熱する際の加熱パターンの一例を示すタ
イムチャートである。
【図31】 上記第3実施例に係るMg合金材料のSr添
加量と半溶融状態時における固相部分の粒径との関係を
示すグラフである。
【図32】 第3実施例に係るMg合金材料の加熱過程
および半溶融温度域における一般的な相状態変化を模式
的に示す説明図である。
【図33】 Srを含有しないMg合金材料の半溶融状態
での保持時間を0分とした場合の金属組織の顕微鏡写真
(×100)である。
【図34】 Srを含有しないMg合金材料の半溶融状態
での保持時間を30分とした場合の金属組織の顕微鏡写
真(×100)である。
【図35】 Sr添加量が0.018重量%のMg合金材
料の半溶融状態での保持時間を0分とした場合の金属組
織の顕微鏡写真(×100)である。
【図36】 Sr添加量が0.018重量%のMg合金材
料の半溶融状態での保持時間を30分とした場合の金属
組織の顕微鏡写真(×100)である。
【図37】 本発明の第4実施例に係るMg合金材料の
加熱前の素材粒径と半溶融状態時における固相粒径との
関係を示すグラフである。
【図38】 上記第4実施例に係るMg合金材料の加熱
前における塑性加工率と素材結晶粒径との関係を示すグ
ラフである。
【図39】 第4実施例に係る加熱前における素材粒径
が異なる試料を製作する据え込み加工を説明する図であ
る。
【図40】 第4実施例に係るMg合金材料の加熱過程
および半溶融温度域における材料組織の一般的な相状態
変化を模式的に示す説明図である。
【図41】 第4実施例に係るMg合金材料の原材料の
素材粒径が30μmの場合における半溶融状態時とした
際の金属組織の顕微鏡写真(×100)である。
【図42】 第4実施例に係るMg合金材料の原材料の
素材粒径が150μmの場合における半溶融状態時とし
た際の金属組織の顕微鏡写真(×100)である。
【図43】 半溶融鋳造法により鋳造を行う他の鋳造装
置の一例を示す縦断面説明図である。
【図44】 上記他の鋳造装置の軽合金溶湯注入状態を
示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
1……るつぼ 2,42……マグネシウム合金材料(軽合金材料) 3……撹拌プレート 7,47……ヒータ 8……ダイキャスト用スリーブ 9……プランジャ 10……鍛造上型 11……鍛造下型 20……ダイキャスト金型 21…溶解実験装置 31…鋳造実験装置 35,45…金型 39…鋳造素材 41…鋳造装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B22D 21/04 B 8926−4E C22C 1/02 501 B 9269−4K C22F 1/16 A // C22C 23/02 (72)発明者 平原 庄司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軽合金材料を半溶融状態とした後、その
    半溶融状態のまま成形型に注入して鋳物素材を成形し、
    その後、該鋳物素材に塑性加工を施して成形品を形成す
    るようにしたことを特徴とする軽合金製部材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 上記軽合金材料がマグネシウム合金材料
    であり、該マグネシウム合金材料の半溶融状態が固相率
    60%以下であることを特徴とする請求項1記載の軽合
    金製部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記マグネシウム合金材料が、合金元素
    としてストロンチウムを0.01〜0.5重量%含有する
    ことを特徴とする請求項2記載の軽合金製部材の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記塑性加工後の成形品にT6熱処理を
    施すことを特徴とする請求項2または請求項3記載の軽
    合金製部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記鋳物素材を上記成形品の形状に比較
    的近似した半製品形状に成形することを特徴とする請求
    項1〜請求項4のいずれか一に記載の軽合金製部材の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 上記塑性加工が鍛造成形であることを特
    徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一に記載の軽合
    金製部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記半溶融状態に加熱する前の軽合金材
    料に塑性加工を施すことを特徴とする請求項1〜請求項
    6のいずれか一に記載の軽合金製部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記半溶融状態で撹拌を行うことを特徴
    とする請求項1〜請求項7のいずれか一に記載の軽合金
    製部材の製造方法。
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