JPH06297098A - 半凝固金属の製造法 - Google Patents

半凝固金属の製造法

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JPH06297098A
JPH06297098A JP9136793A JP9136793A JPH06297098A JP H06297098 A JPH06297098 A JP H06297098A JP 9136793 A JP9136793 A JP 9136793A JP 9136793 A JP9136793 A JP 9136793A JP H06297098 A JPH06297098 A JP H06297098A
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stirrer
semi
solid
cooling plate
cooling
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JP9136793A
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Mitsuo Uchimura
光雄 内村
Tsukasa Niide
司 新出
Kazusato Hironaka
一聡 廣中
Hiroyoshi Takahashi
広芳 高橋
Akihiko Nanba
明彦 難波
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Leotec KK
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Leotec KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ら旋スクリュー状攪拌子を用いた攪拌子回転
法により高固相率、微細初晶粒の半凝固金属を連続的に
安定して製造する。 【構成】 冷却槽冷却板の抜熱熱流束と固液界面のせん
断歪速度とにより冷却板内面に生成する凝固シェルの過
剰生長を防止し、攪拌子トルクの上昇を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、非樹枝状初晶が金属
(一般には合金)液体中に分散したスラリ状の固体−液
体金属混合物(以下に単に半凝固金属という)を連続的
に安定して製造する半凝固金属の製造法を提案するもの
である。
【0002】半凝固金属は、内部品質の良好な加工用素
材が得られること、下流の加工工程すなわち直接製品に
加工するレオフォームや、一度凝固させたのち、半融状
態に再加熱して加工するチクソキャスト、鍛造等でのニ
アネットシェィプの実現により加工エネルギーの大幅な
削減を可能にすること、新材料開発の可能性を有するこ
となど、その有用性から半凝固金属の安定した工業的生
産技術の開発が望まれている。
【0003】
【従来の技術】半凝固金属を連続的に製造する手段とし
ては、たとえば、特公昭56−20944 号公報 (非樹枝状初
晶固体分を含む合金を連続的に形成する為の装置) に開
示されているように、一定温度の溶融金属を円筒状の冷
却槽の内面と高速回転する攪拌子との隙間に導き、強い
攪拌作用を加えつつ冷却し、得られた半凝固金属をその
底部から連続的に排出させる機械攪拌方式 (以下攪拌子
回転法という) のものが知られている。また、攪拌方式
として、電磁力を用いる方法 (以下電磁攪拌法という)
も良く知られている。
【0004】さらに他の手段として、抜熱能を有し横軸
のまわりに回転する単ロールと該ロールの外周に沿う凹
曲面からなる固定壁との隙間に溶湯を供給して、ロール
の回転により発生する固液界面のせん断歪により半凝固
金属を製造する手段(以下単ロール法という)が、特開
平3−142040号公報 (連続的に半凝固金属を製造する方
法とその装置) や特開平4−238645号公報 (半凝固金属
の製造方法及び装置)などに開示されている。
【0005】これらいずれの手段も、半凝固金属中の固
相粒は、溶湯金属を冷却しながら激しく攪拌することに
よって、融体中に生成しつつある樹枝状初晶の枝部が消
失ないしは縮小して丸みを帯びた形態に変換されて形成
される。
【0006】この半凝固金属は、非樹枝状初晶粒子が細
かいほど、また固相率が高いほどその半凝固金属から得
られる製品の品質特性が優れていると云われ、その初晶
粒の大きさは冷却速度が大きいほど細かくなる。
【0007】このようなことから、半凝固金属の製造装
置としては、強冷却が可能な装置が必要であるが、強冷
却して微細初晶粒、高固相率の半凝固金属を製造する場
合、見かけ粘度が大きくなるため流動性が非常に悪くな
り、特に高固相率の半凝固金属の連続的な安定した排出
は困難になる。
【0008】上記した各手段を、この半凝固金属の排出
能の観点から検討すると、単ロール法は、生成した半凝
固金属の排出がロールの回転により促進され、ロール表
面に付着する凝固シェルはスクレーパーで削り取られる
ので、排出する半凝固金属の固相率が大きくても排出の
ための妨害要因は少なく、排出能が非常に優れた方法で
ある。しかし、攪拌子回転法や電磁攪拌法では冷却槽中
で、供給された溶湯を冷却槽の中心を回転軸とする回転
による攪拌を行うために、遠心力による冷却槽壁面への
圧力が増大し、排出能を逆に低下させることになる。し
たがって、攪拌子回転法や電磁攪拌法では、半凝固金属
の排出能増大技術の確立が特に重要な課題になる。
【0009】一方、これらの攪拌子回転法や電磁攪拌法
は、排出能の増大が実現できれば、製造した半凝固金属
をノズルを通過させるか、あるいは直接丸断面あるいは
角断面等の形状に押し出すことを可能にして、高固相率
の半凝固金属を直接加工する(レオフォーム)ことや、
ビレット化して加工することなど、半凝固金属を形状化
するには非常に優れた手段である。
【0010】このような観点から攪拌子回転法について
は半凝固金属の排出能改善手段として、この発明会社は
先に特開平4−124231号公報 (半凝固金属製造装置) に
開示したように、ら旋スクリュー形状の攪拌子を用い、
冷却槽で生成した半凝固金属を下方へ強制的に送給する
手段を取り入れた装置を提案したが、工業化するにはい
たらずいまだ改善の余地が残されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記したような状況の
もとで発明者らは攪拌子回転法についてさらに実験を進
めた結果、従来の手段では攪拌子としてパドルを採用し
てもら旋スクリューを採用しても半凝固金属排出開始後
の時間経過とともに冷却槽内面に生成する凝固シェルの
生長に起因して攪拌子のトルクが上昇し、このトルクの
上昇が半凝固金属の連続排出の妨害要因になることを知
見するに至った。
【0012】したがって、攪拌子回転法の優れた特徴を
生かすためには、凝固シェルの過剰生長を防止し攪拌子
に発生するトルクの上昇を防止して半凝固金属を連続的
に排出する技術の確立が解決すべき重要な課題になる。
このようなことから、この発明はかかる課題を有利に解
決し半凝固金属を連続的に安定して排出できる攪拌子回
転法による半凝固金属の製造法を提案することを目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明者らは前記した課題
を解決するために、攪拌子のトルク上昇機構を攪拌子の
形状を含めて研究しこの発明を達成したものである。す
なわちこの発明の要旨は以下の通りである。
【0014】 冷却板を有する筒状の冷却槽の上部よ
り注入した溶湯を、ら旋スクリュー状の攪拌子の回転下
に冷却する半凝固金属の製造方法において、該冷却板の
抜熱熱流束と固液界面のせん断歪速度により、凝固シェ
ルの過剰生長を防止し、攪拌子のトルク上昇を防止する
ことを特徴とする半凝固金属の製造法。
【0015】 冷却板の抜熱熱流束と固液界面のせん
断歪速度との関係が下記式(1) を満たす項に記載の半
凝固金属の製造法。
【数2】
【0016】 冷却板と攪拌子との間の設定クリアラ
ンスの値に応じて冷却板内面に生長する凝固シェルの厚
みを制限する項又は項に記載の半凝固金属の製造
法。
【0017】
【作用】この発明を実験結果にもとづいて以下に詳述す
る。図1に示す半凝固金属製造装置、すなわち受湯槽
5、冷却槽6、保持槽7、排出量制御用ノズル12及び
冷却槽6の冷却板8の中心において回転する攪拌子10
とそのトルクメータ3から主として構成される実験装置
により、Al 合金溶湯を用いて攪拌子10のトルク上昇
におぼす冷却槽6の冷却板8の抜熱熱流束(抜熱速
度)、固液界面のせん断歪速度及び攪拌子10の形状の
影響を検討した。
【0018】ここで、図2はこの実験に用いた攪拌子1
0の形状を示す説明図で(a) はパドルの先端にら旋スク
リューを装着したパドル・スクリュー複合型、(b) は全
体がら旋スクリューの全スクリュー型攪拌子10をそれ
ぞれ示す。
【0019】まず、排出される半凝固金属の固相率を
0.45 とし、溶湯1の注入前に設定する冷却板8と回転
する攪拌子10の隙間間隔(設定クリアランス)を 15m
m とし、排出開始からの経過時間にともなう攪拌子10
のトルク上昇におよぼす攪拌子10の形状の影響を図3
に示す。
【0020】なお、上記において排出される半凝固金属
の固相率の制御は、注入した溶湯1の冷却槽6内での滞
留時間を排出量制御用ノズル12により調整することで
行った。また、冷却槽6の冷却板8の抜熱速度は、冷却
槽6の冷却排水の温度上昇、冷却板8中に埋め込んだ熱
電対による温度の測定値等に基づいて計算した結果、攪
拌子10の図2(a) 及び(b) に示した2種類のものとも
約80万 kcal/m2h と同一であった。
【0021】図3に示すように、全スクリュー型攪拌子
10を用いることにより、攪拌子10のトルクが上昇し
始める排出開始からの経過時間が、パドル・スクリュー
複合型攪拌子10を用いた場合よりも遅くなり、攪拌子
10のら旋スクリュー化が、攪拌子10のトルク上昇防
止に有効であることが明らかになった。
【0022】この攪拌子10のトルクが上昇する理由は
冷却板8内面に生成する凝固シェルの生長により攪拌子
10と凝固シェルとのクリアランスがしだいに小さくな
ることによる。したがって、攪拌子10の形状をら旋ス
クリュー化することによりトルクの上昇開始時期が遅く
なるのは、攪拌子10をら旋スクリュー化することによ
り凝固シェルの生長速度が遅くなったことを意味する。
【0023】つぎに、設定クリアランスを20mmにした
場合の排出開始からの経過時間にともなう攪拌子10の
トルク上昇におよぼす攪拌子10の形状の影響を図4に
示す。ここで、上記図3の場合にくらべ、設定クリアラ
ンスを大きくすることは、凝固シェルが攪拌子10に接
近した時の冷却板8の抜熱速度が小さくなることを意味
する。
【0024】なお、上記において排出される半凝固金属
の固相率は 0.45 になる様に図3の場合と同様の方法で
調整した。また、冷却板8の抜熱速度は冷却板8内面に
生成する凝固シェル厚が厚くなるにしたがって小さくな
る。
【0025】図4の条件の場合、その図から明らかなよ
うに攪拌子10の形状がパドル・スクリュー複合型では
攪拌子10のトルクは上昇するのに対し、全スクリュー
型ではトルクの上昇は防止できている。
【0026】このように、攪拌子10に発生するトルク
の上昇を防止できる条件が存在する理由は、攪拌子10
の高速回転により発生する固液界面の激しいせん断歪速
度が、下記式(2)示すように冷却板8内面に生成する
凝固シェルの生長にともないしだいに大きくなり(凝固
シェルと攪拌子10との隙間間隔すなわちクリアランス
Sが小さくなるため)、その結果攪拌子10の回転によ
る凝固シェルの分断速度がしだいに増大し、一方、凝固
シェルの生長速度は凝固シェルが生長するにつれて小さ
くなくことから、凝固シェルの分断速度と凝固シェルの
生長速度が等しくなる条件が存在するためと考えられ
る。
【0027】
【数3】
【0028】したがって、図4の結果は、上記したよう
に攪拌子10に全スクリュー型を用いた場合は、パドル
・スクリュー複合型攪拌子10を用いた場合よりも凝固
シェルの生長速度が遅くなり、より小さい凝固シェル分
断速度すなわちより小さい固液界面のせん断歪速度で攪
拌子10のトルクの上昇を防止できたことになる。
【0029】そこで、凝固シェルの過剰生長防止に有利
な攪拌子10に図2(b) に示した全スクリュー型を用
い、攪拌子10のトルクの上昇を防止できる固液界面の
せん断歪速度を冷却板8の抜熱速度別に調査した。それ
らの結果をまとめて図5に示す。
【0030】ここで、固液界面のせん断歪速度は攪拌子
10の回転数を変えることで調整し、上記式(2)より
計算した。また、冷却板8の抜熱速度は冷却板8中に埋
め込んだ熱電対により測定した温度勾配と、冷却板8の
材質の伝熱係数により算出するとともに、注入した溶湯
1の冷却槽6内での温度降下と凝固シェルの生長挙動及
び冷却板8の冷却面面積とからも計算し確認した。
【0031】なお、上記式(2)において、攪拌子10
のトルクの上昇し始めるクリアランスSは、トルクの上
昇挙動の解析結果によると約 0.8 mm であり、この値は
トレーサ添加試験からも確認した。
【0032】この図5における直線は、攪拌子10のト
ルクの上昇を防止できる境界線で、各抜熱速度に応じた
凝固シェルの生長停止に必要な固液界面のせん断歪速度
の下限を示し、その直線は下記式(3)であらわされ
る。
【0033】
【数4】
【0034】図5から、攪拌子10に発生するトルクの
上昇は抜熱速度に応じて固液界面のせん断歪速度を選択
することにより防止できることが明らかである。そして
この結果から半凝固金属の初晶粒径を微細にするため抜
熱速度を大きくしたい場合、その抜熱速度に見合った固
液界面の高せん断歪速度すなわち前記式(1) を満足する
領域で操業すれば攪拌子10のトルク上昇による妨害が
なく、高固相率、微細初晶粒の半凝固金属を製造するこ
とができる。
【0035】その際、攪拌子10のトルクの上昇防止に
必要な固液界面のせん断歪速度の下限値は全スクリュー
型攪拌子10を用いることで低下させることができ、攪
拌子10の回転数に上限があることを考慮すると、攪拌
子10のら旋スクリュー化で、パドル型などに比し、よ
り高い抜熱速度の領域までの対応が可能になる。
【0036】また、安定操業を行うために、図5に示す
攪拌子10のトルク上昇がない固液界面の高せん断歪速
度領域すなわち前記式(1)を満たす領域での操業を行
うとき、設定クリアランスを十分に大きくとることによ
り、凝固シェルの生長につれて、抜熱速度、凝固シェル
生長速度は減少し、逆に上記式(2)に示すように固液
界面のせん断歪速度大きくなり、凝固シェル生長は図5
の境界線に至るまで停止し、そのときのクリアランスは
上記した 0.8 mm より大きい値になる。
【0037】このことは設定クリアランスによって攪拌
子10のトルクの上昇を防止できる条件になるように抜
熱速度の調整ができることを意味し、設定クリアランス
の適正化は安定操業を実現するために極めて重要であ
る。
【0038】つぎに、図6及び図7は排出される半凝固
金属の固相率を 0.45 に調整し、設定クリアランスを 2
0mm にした、前記図4に示した条件における排出速度及
び排出流速におよぼす攪拌子10の形状の影響を示すも
のである。
【0039】これらの図において、攪拌子10に全スク
リュー型を用いた場合の排出速度及び排出流速はパドル
・スクリュー複合型を用いた場合より大きくなってい
て、攪拌子10のら旋スクリュー化は、攪拌子10のト
ルク上昇の防止効果のみでなく生産量の増大にも効果が
あることがわかる。また、排出流速の増大は排出ノズル
におけるノズル閉塞などのトラブル減少につながり、安
定操業をより容易にする。
【0040】図8は、前記図3の実験において、冷却板
8の全抜熱量に占める溶湯の温度降下分の熱量の割合
(以下溶湯冷却効率という)におよぼす攪拌子10の形
状の影響である。図8から明らかなように、溶湯冷却効
率は全スクリュー型攪拌子10を用いることにより増大
していることがわかる。この理由は、攪拌子10の形状
をら旋スクリュー化することにより前記図3で示したよ
うに凝固シェルの成長速度が遅くなり、この凝固シェル
の成長の遅れに相当する熱量が溶湯の冷却に配分された
ためと考えられる。
【0041】以上、ら旋スクリュー状の攪拌子10を用
い、攪拌子回転法により半凝固金属を製造するにあた
り、冷却板8の抜熱速度(抜熱熱流束)に応じた固液界
面のせん剪歪速度を採用すること、図5に示した攪拌子
10のトルク上昇のない領域すなわち前記式(1)を満
足させること、さらには初期設定クリアランスに応じて
冷却板8内面に生成する凝固シェル厚を制限することな
どにより、冷却板8内面に生成する凝固シェルの過剰生
長を防止し、攪拌子10のトルクの上昇及び排出ノズル
トラブルを回避し、従来困難であった 0.45 までの高固
相率の半凝固金属を連続的に安定して排出することがで
きる。
【0042】
【実施例】
実施例1 実験を実施した半凝固金属製造装置の説明図を図1に示
す。この装置の主な構成は、受湯槽5、冷却板8を有す
る冷却槽6、保持槽7、攪拌子10、排出量制御用ノズ
ル12(スライディングノズル)及びトルクメータ3か
らなる。その他図1において、1は溶湯、2は攪拌用モ
ータ、4はタンディッシュ、9は冷却板8の冷却スプレ
ー、11は受湯槽5及び保持槽7の各ヒータである。
【0043】上記装置での半凝固金属の製造は、攪拌子
10に前記図2(a) 及び(b) に示したパドル・スクリュ
ー複合型及び全スクリュー型の2種類のものをそれぞれ
用い、受湯槽5及び保持槽7をそれぞれのヒータ11
で、また排出量制御用ノズル12をバーナ(図示省略)
で十分予熱したのち、装置の上方よりタンディッンシュ
4を介して適正温度に調整した溶湯1を注入して、冷却
槽6の冷却板8からの抜熱と攪拌子10の回転による攪
拌により半凝固金属を生成させ、排出される半凝固金属
の固相率を排出量制御用ノズル12により冷却槽6内で
の滞留時間を制御することで調整し、排出量制御用ノズ
ル12から所望の固相率の半凝固金属を排出することで
行った。
【0044】実験は、Al −10 mass % Cu 合金を用
い、排出される半凝固金属の固相率を0.45、設定クリア
ランスすなわち冷却槽6の冷却板8と攪拌子10との隙
間間隔を15mmとし、トルクメータ3により攪拌子10
に発生するトルクの経時変化を測定した。また、その際
の冷却板8の全抜熱量に占める溶湯の温度降下分の熱量
の割合すなわち溶湯の冷却効率を調査した。それらの結
果を図3及び図8に示す。
【0045】図3は設定クリアランスを15mmとした場
合の攪拌子10に発生するトルクの半凝固金属排出開始
からの経時変化におよぼす攪拌子10の形状の影響を示
すグラフである。なお、上記において攪拌子10に発生
するトルクは、機械的損失などによる初期に発生するト
ルクを排除したものである。
【0046】図3に示すように、攪拌子10に発生する
トルクの経時変化は攪拌子の形状により差があり、全ス
クリュー型攪拌子10の場合、パドル・スクリュー複合
型の場合よりトルクの上昇開始時期が遅れていて、攪拌
子形状をら旋スクリュー化することにより凝固シェルの
生長速度が遅くなる。
【0047】また、図8は溶湯の冷却効率(冷却板8の
全抜熱量に占める溶湯の温度降下分の熱量の割合)にお
よぼす攪拌子10の形状の影響を示すグラフである。抜
熱速度は概略同一であるにもかかわらず図8から明らか
なように溶湯の冷却効率は全スクリュー型攪拌子10の
場合の方がパドル・スクリュー複合型攪拌子10の場合
よりも大きくなっていて、攪拌子10の形状をら旋スク
リュー化することは、トルクの上昇防止のみではなく、
溶湯の冷却効率改善にも効果があることを示している。
【0048】つぎに、設定クリアランスを20mmにして
上記と同様の方法で攪拌子10に発生するトルクの経時
変化を測定した。またその際の半凝固金属の排出速度と
排出流速も調査した。なお、排出速度と排出流速は攪拌
子10がパドル・スクリュー複合型の場合、トルクが上
昇し始める近傍の値、全スクリュー型の場合は凝固シェ
ルの生長が停止した以降の値を採用した。
【0049】図4は設定クリアランスを20mmとした場
合の攪拌子10に発生するトルクの半凝固金属の排出開
始からの経時変化におよぼす攪拌子10の形状の影響を
示すグラフである。なお上記において攪拌子10に発生
するトルクは、機械的損失などによる初期に発生するト
ルクを排除したものである。
【0050】図4に示すように、上記図3の場合にくら
べ設定クリアランスを20mmと大きくした場合(攪拌子
10のトルクの上昇がない限界での抜熱速度は小さくな
る)、パドル・スクリュー複合型攪拌子10では未だ攪
拌子10に発生するトルクの上昇は防止できないが、全
スクリュー型攪拌子10を用いれば、そのトルク上昇は
防止できている。
【0051】また、図6は半凝固金属の排出速度におよ
ぼす攪拌子10の形状の影響を示すグラフ、図7は半凝
固金属の排出流速におよぼす攪拌子10の形状の影響を
示すグラフである。これら図6及び図7に示すように、
半凝固金属の排出速度及び排出流速も攪拌子10の形状
により差があり、全スクリュー型を採用した場合の方が
排出能は優れている。
【0052】以上より、攪拌子回転法による半凝固金属
の製造において、ら旋スクリュー化した攪拌子10を用
いて設定クリアランスの適正化すなわち抜熱速度を適正
化することで、攪拌子10に発生するトルクの上昇を防
止でき、かつ排出量が増大でき、従来にくらべより固相
率の高い範囲までの半凝固金属の連続排出が安定してで
きる。
【0053】実施例2 実施例1と同様に図1に示した半凝固金属製造装置によ
り実験を行った。また攪拌子10には前記図2(b) に示
した全スクリュー型を用いた。実験にはJISH−52
02のAC4C、JISH−5302のADC12及び
JISH−4000の2024など3種類のAl 合金を
用いた。
【0054】そして、冷却槽6の冷却板8の抜熱速度を
設定クリアランス、冷却水量、冷却板8の材質及び構造
を変えることにより調整し、かつ、抜熱速度は冷却板8
中に埋め込んだ熱電対により測定した温度勾配と伝熱係
数から算出した。また、固液界面のせん断歪速度は攪拌
子10の回転数により調整し前記式(2)より計算した。
【0055】これらの実験にもとづいて算出した。攪拌
子10に発生するトルクの上昇を防止できる冷却板8の
抜熱速度と固液界面のせん断歪速度の関係を図5に示
す。図5から明らかなように、攪拌子10に発生するト
ルクの上昇は、冷却板8の抜熱速度に応じて固液界面の
せん断歪速度を図5に示したトルクの上昇を防止できる
範囲すなわち前記式(1)の関係を満たす範囲に選択す
れば防止できる。したがって、上記条件で操業すれば攪
拌子10のトルクの上昇はなく連続的に安定して高固相
率の半凝固金属が排出できる。
【0056】
【発明の効果】この発明は、ら旋スクリュー状攪拌子を
用いた攪拌子回転法により半凝固金属を製造するにあた
り、冷却槽冷却板の抜熱熱流束に応じた固液界面のせん
断歪速度を適正化することにより攪拌子に発生するトル
クの上昇を防止し、微細初晶粒、高固相率の半凝固金属
を連続的に安定して製造できるようにしたものであり、
【0057】この発明によれば、半凝固金属を直接加工
するレオフォーム、半凝固金属を凝固させたのち、半融
状態に再加熱して加工するチクソキャスト、鍛造等での
ニアネットシェイプの実現により加工エネルギーの大幅
な削減ができること、半凝固金属の特徴を生かした新材
料の開発を可能にすることなど、その効果は多大であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験に用いた半凝固金属製造装置の説明図であ
る。
【図2】実験に用いた攪拌子の形状を示す説明図であ
る。 (a) はパドルの先端にら旋スクリューを装着したパドル
・スクリュー複合型攪拌子の説明図である。(b) は全体
がら旋スクリューの全スクリュー型攪拌子の説明図であ
る。
【図3】設定クリアランスを15mmとした場合の攪拌子
に発生するトルクの半凝固金属排出開始からの経時変化
におよぼす攪拌子の形状の影響を示すグラフである。
【図4】設定クリアランスを20mmとした場合の攪拌子
に発生するトルクの半凝固金属排出開始からの経時変化
におよぼす攪拌子の形状の影響を示すグラフである。
【図5】攪拌子に発生するトルクの上昇を防止できる冷
却板の抜熱速度と固液界面のせん断歪速度の関係を示す
グラフである。
【図6】半凝固金属の排出速度におよぼす攪拌子の形状
の影響を示すグラフである。
【図7】半凝固金属の排出流度におよぼす攪拌子の形状
の影響を示すグラフである。
【図8】溶湯の冷却効率におよぼす攪拌子の形状の影響
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 溶湯 2 攪拌用モータ 3 トルクメータ 4 タンディッシュ 5 受湯槽 6 冷却槽 7 保持槽 8 冷却板 9 冷却スプレ 10 攪拌子 11 ヒータ 12 排出量制御用ノズル
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】
【数3】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】
【数3】 〔記〕 γ=2・r1 ・r3 ・Ω/(r3 2 −r1 2 ) −−−(2) r3 =r2 −d=S+r1 ここで γ:固液界面せん断歪速度(s-1) r1 :攪拌子半径(m) r2 :冷却槽半径(m) Ω :攪拌子の角速度(rad/s) S :クリアランス r3 :冷却槽内溶湯半径(m) d :凝固シェル厚(m)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 広芳 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 株式会 社レオテック内 (72)発明者 難波 明彦 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 株式会 社レオテック内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却板を有する筒状の冷却槽の上部より
    注入した溶湯を、ら旋スクリュー状の攪拌子の回転下に
    冷却する半凝固金属の製造方法において、 該冷却板の抜熱熱流束と固液界面のせん断歪速度によ
    り、凝固シェルの過剰生長を防止し、攪拌子のトルク上
    昇を防止することを特徴とする半凝固金属の製造法。
  2. 【請求項2】 冷却板の抜熱熱流束と固液界面のせん断
    歪速度との関係が下記式(1) を満たす請求項1に記載の
    半凝固金属の製造法。 【数1】
  3. 【請求項3】 冷却板と攪拌子との間の設定クリアラン
    スの値に応じて冷却板内面に生長する凝固シェルの厚み
    を制限する請求項1又は2に記載の半凝固金属の製造
    法。
JP9136793A 1993-04-19 1993-04-19 半凝固金属の製造法 Pending JPH06297098A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5849115A (en) * 1994-05-17 1998-12-15 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Alloy material for thixocasting, process for preparing semi-molten alloy material for thixocasting and thixocasting process

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5849115A (en) * 1994-05-17 1998-12-15 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Alloy material for thixocasting, process for preparing semi-molten alloy material for thixocasting and thixocasting process

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