JPH0629600Y2 - フロート弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は気体と液体の比重差を利用して、開放又は密閉
のフロートで弁手段を駆動し、気液混合系から一方の流
体を自動的に排出するフロート弁の構造に関する。

上記フロート弁は、気体と液体が混在する系から気体ま
たは液体の一方を選択的に自動的に排出するときに用い
る。蒸気配管系に発生する復水を自動的に排出するスチ
ームトラップ、圧縮空気配管系に発生する凝縮水を自動
的に排出するエアートラップ、水配管系に混在する空気
を自動的に排出するエアーベント等である。

比重の小さい気体は比重の大きい液体の上方に位置す
る。液面は液体と気体の量的割合の変化に応じて上下動
する。フロートはこれに作用する浮力と自重の釣合いで
液面に浮き、液面と共に上下に運動する。フロート弁は
これらの自然法則を利用したもので、弁室に於いて気液
を分離し、弁室の上部あるいは下部に弁口を配置し、弁
室内に収容したフロートの上下運動で弁手段を駆動して
弁口を開閉し、一方の流体を選択的に自動的に排出する
ものである。

従来の技術 フロートで弁手段を駆動し弁口を開閉する、従来のフロ
ート弁は、レバーの一端にフロートを取り付け、レバー
の他端に弁口を開閉する弁体を取り付け、弁体の近くを
支点として弁室に取り付けたものである。

本考案が解決しようとする課題 上記のものに於いて、弁体の開弁リフトを大きくするた
めには、フロートの変位量を大きくする必要があり、弁
室すなわちケーシングが大きくなってしまう問題があっ
た。

従って、本考案の技術的課題は、弁室を大きくせずに弁
体の開弁リフトを大きくすることである。

課題を解決するための手段 上記の技術的課題を解決するために講じた本考案の技術
的手段は、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、
弁室と出口を連通する弁口を形成し、一端に弁口を開閉
する弁体を取り付けた第１レバーを弁室に取り付け、弁
室内にフロートを収容し、一端がフロートで操作され他
端が第１レバーの弁体に近い側を開閉操作する第２レバ
ーを弁室に取り付け、一端が第２レバーで操作され他端
が開弁後の第１レバーの弁体から離れた側をさらに開閉
操作する第３レバーを弁室に取り付けた、ものである。

作用 上記の技術的手段の作用は下記の通りである。

弁室内に収容したフロートは弁室内の液面と共に上下に
変位する。浮上あるいは降下して開弁方向に変位するフ
ロートは第２レバーの一端を操作して開弁方向に回転せ
しめる。このとき第２レバーの他端が第１レバーの弁体
に近い側を操作して開弁方向に回転せしめる。さらにフ
ロートが上昇すると第２レバーがさらに回転し、第３レ
バーの一端を操作して開弁方向に回転せしめる。このと
き第３レバーの他端が第１レバーの弁体から離れた側を
操作して第１レバーをさらに開弁方向に回転せしめる。
閉弁状態の弁体を開弁するときには大きな力が必要なの
で、第２レバーで第１レバーの弁体に近い側を操作し、
弁体が開弁した後は小さな力でさらに弁体を開弁できる
ので、第３レバーで第１レバーの弁体から離れた側を操
作するようにしている。従って、開弁後に第１レバーの
弁体から離れた側を操作することにより、開弁後はフロ
ートの変位が小さくても、第１レバーを大きく変位せし
めることができ、弁体の開弁リフトが大きくなる。

考案の効果 本考案は下記の特有の効果を生じる。

上記のように、本考案によれば、ケーシングを大きくせ
ずに弁体の開弁リフトを大きくできるので、小形のトラ
ップであっても排出容量を大きくできる。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する（第
１図参照）。

本実施例は密閉フロート式スチームトラップに適用した
ものである。

本体１に蓋２をボルト（図示せず）で締結して内部に弁
室４を有する弁ケーシングを形成する。本体１と蓋２の
間にはガスケット５を介在せしめて両者の気密を保つ。

蓋２の上部に入口６を、下部に出口７を形成する。入口
６は弁室４の上部に連通し、蒸気使用機器（図示せず）
等に接続して、復水を弁室４内に導入する。蓋２の下部
に弁座部材８をねじ結合し、弁座部材８に形成した弁口
９を通して弁室４と出口７を連通し、弁室４の復水を出
口７に導き出す。入口６と出口７は水平方向に開口し、
それぞれ配管用の雌ねじを形成している。弁座部材８と
蓋２の間の気密をガスケット１０で保つ。

弁室４にステンレス鋼薄板で作った中空の球形フロート
１１を自由状態で収容する。フロート１１は弁室４に溜
る復水に浮き、液面と共に浮上降下する。

蓋２に第１レバー１２をピン１３で回転可能に取り付け
る。第１レバー１２は下方に延び、その先端に弁口９を
開閉する弁体１４を取り付けている。蓋２に第２レバー
１５をピン１６で回転可能に取り付ける。第２レバー１
５の一端は鉛直線からαの角度でフロート１１の上方に
延び、他端は第１レバー１２の弁体１４の近くに位置し
ている。第２レバー１５は点線で示す部分が二股に形成
されており、その間を第１レバー１２が通っている。蓋
２に第３レバー１７をピン１８で回転可能に取り付け
る。第３レバー１７の一端は第２レバー１５に設けた突
起１９の近くに延び、他端は第２レバー１５の二股部分
の間を通り、第２レバーの他端よりも弁体１４から離れ
た側の第１レバー１２の近くに位置している。第３レバ
ー１７にも第２レバーと同様に点線部分が二股に形成さ
れ、その間を第１レバー１２が通っている。

弁室４の側壁２０（第１図で左側）は鉛直方向に延びて
いる。参照番号２１はフロート１１を上下方向に案内す
るリブであり、紙面の手前側と合計２箇所形成され、フ
ロート１１との間に僅かな隙間が形成されている。

蓋２にバイメタル２２をビス２３で取り付ける。バイメ
タル２２はほぼＵ字状で低温時に拡がって第１レバー１
２を押し上げて開弁できる力を発揮し、高温時に狭まっ
て第１レバー１２に関与しない形状に変化する。

上記スチームトラップの作動は次の通りである。

入口６は蒸気使用機器等の復水発生箇所に接続する。復
水と蒸気が弁室４に流入し、復水が下部に蒸気が上部に
分離して溜る。フロート１１は弁室４内の液面の上昇と
共に浮上し、第２レバー１５と側壁２０に当接する。更
に液面が上昇するとフロート１１の浮力が大きくなり、
浮力が楔力として、第２レバー１５に作用する。この楔
力により、第２レバー１５が開弁方向（第１図で時計回
り方向）に回転し、このとき、第２レバー１５の他端で
第１レバー１２の弁体１４に近い側を操作して第１レバ
ー１２を開弁方向に回転せしめ、弁体１４が弁口９を開
ける。流入復水量が多くさらに液面が上昇すると、フロ
ート１１はさらに上昇し、第２レバー１５をさらに開弁
方向に回転せしめる。このときは、第２レバー１５の突
起１９が第３レバー１７の一端を操作して開弁方向に回
転せしめ、第３レバーの他端が第１レバー１２の弁口９
から離れた側に当接して第１レバー１２をさらに開弁方
向に回転せしめ、弁体１４の開弁リフトを大きくする。
このようにして弁室４の復水は弁口９から出口７に排出
される。排出により液面が下がると、それと共にフロー
ト１１が降下し、フロートの降下と共に第１レバー１２
と第２レバー１５及び第３レバー１７が開弁方向に回転
し、弁体１４が弁口９を塞ぎ、蒸気の流出を防ぐ。この
様な動作を自動的に繰り返して行う。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のフロート弁の実施例の密閉フロート式
スチームトラップの閉弁状態を示す断面図である。 １：本体、２：蓋 ４：弁室、６：入口 ７：出口、９：弁口 １１：フロート、１２：第１レバー １４：弁体、１５：第２レバー １７：第３レバー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成
   し、弁室と出口を連通する弁口を形成し、一端に弁口を
   開閉する弁体を取り付けた第１レバーを弁室に取り付
   け、弁室内にフロートを収容し、一端がフロートで操作
   され他端が第１レバーの弁体に近い側を開閉操作する第
   ２レバーを弁室に取り付け、一端が第２レバーで操作さ
   れ他端が開弁後の第１レバーの弁体から離れた側をさら
   に開閉操作する第３レバーを弁室に取り付けた、フロー
   ト弁。