JPH0629216Y2 - 軟弱地盤改良機における走行用油圧回路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、埋立地等の軟弱地盤に生コンクリートあるい
はセメント等の硬化剤を混入する４フロート式軟弱地盤
改良機における走行用油圧回路に関する。

（従来の技術） 軟弱地盤改良機は、履帯を装着したフロートを有する自
走式下部車体の前部に、土壌硬化剤を軟弱地盤に撹拌し
ながら混入する撹拌機を取付け、前記下部車体上に上部
車体を設置し、該上部車体上に運転室および原動機等を
搭載してなり、前記撹拌機としては、モータにより回転
されるチェーンに撹拌具を取付けたトレンチャ、または
竪形回転軸に撹拌羽根を取付けたバーチカル型撹拌機等
が取付けられる。

このような軟弱地盤改良機のうち、下部車体の前部に下
部車体を横切る方向にガイド枠を取付け、そのガイド枠
に沿って移動自在に横行枠を取付け、その横行枠に撹拌
機を取付け、横行枠を往復させながらジグザグに地盤撹
拌、硬化剤注入を行なう構成のものがあり、（特開昭５
８−１２７８２９号公報）、この構成のものは、作業機
を常時走行させながら作業を行なうものに比較し、能率
良く作業が行なえるという長所がある。このタイプの地
盤改良機においては、下部車体として、左右にそれぞえ
２艘のフロートを有する合計４フロートを備えて撹拌機
の往復動幅を大としたものがある。しかしこの４フロー
ト式のものは、左右それぞれの２艘のフロートの各油圧
モータの油圧回路を直列に接続すると、２台の油圧モー
タが同速度で回転するため、硬い地盤上を曲線状に走行
する場合に、内外のフロートの履帯のうち、内側のフロ
ートの履帯は速く回りすぎ、外側のフロートの履帯は遅
く回りすぎることになり、その結果、外側の履帯ないし
はフロートを引きずりながら曲進することになり、エネ
ルギの無駄が生じるという問題点があった。

また、左右それぞれの２艘のフロートの各油圧モータの
油圧回路を並列に接続すると、軟弱地盤で作業する場
合、各フロートが載っている地盤の軟弱度が少しでも相
違すると、２台の油圧モータのうちの一方（軟弱な方）
のみが回転するので、走行が困難になるという問題点が
あった。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は、このような問題点に鑑みてなされたもので、
地盤の軟弱にかかわらず、効率良く走行できる構成の軟
弱地盤改良機における走行用油圧回路を提供することを
目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、左右にそれぞれ２艘のフロートを有し、各フ
ロートには履帯および走行用油圧モータを取付けて自走
式下部車体を構成し、該下部車体の前部に、土壌硬化剤
を軟弱地盤に撹拌しながら混入する撹拌機を横行自在に
取付けた４フロート式の軟弱地盤改良機において、左右
の各２艘のフロート毎にそれぞれ共通のコントロール弁
を備え、各コントロール弁の二次側に２台ずつ設けられ
る前記走行用油圧モータの油圧回路を、前記コントロー
ル弁の二次側においてそれぞれ並列、直列に接続換えす
る切換え装置を備えたことを特徴とする。

（作用） 本考案において、軟かい地盤を走行する場合には、内外
のフロートの油圧モータの油圧回路を直列に接続し、内
外のフロートの油圧モータを等速で回転させる。硬い地
盤を走行する場合には、内外のフロートの油圧モータの
油圧回路を並列に接続することにより、曲進の際、履帯
の受ける抵抗に応じた速度で油圧モータが回転する。

（実施例） 第１図ないし第３図はそれぞれ本考案を適用した軟弱地
盤改良機の一実施例を説明する側面図、平面図、正面図
であり、これらの図において、１は下部車体、２は上部
車体であり、下部車体１は、左右にそれぞれ２艘、合計
４艘のフロート３Ａ〜３Ｄを有し、これら４艘のフロー
ト３Ａ〜３Ｄに貫通固定した前後２本の横ビーム４，４
と、横ビーム４，４の内側フロート３Ｂ，３Ｃの近傍部
分に固定された主縦ビーム５，５と、該主縦ビーム５，
５間に固定された上部車体載置台６と、横ビーム４，４
のフロート３Ａと３Ｂとの間、および３Ｃと３Ｄの間の
部分にそれぞれ架設し固定された補助縦ビーム７Ａ，７
Ｂと、横ビーム４，４の両端の部分に架設し固定された
補助縦ビーム７Ｃ，７Ｄと、前記各フロート３Ａ〜３Ｄ
のそれぞれ前後に設けられた駆動輪２０、従動輪２１お
よびフロート周囲の受け輪（図示せず）に掛け回わさ
れ、走行用油圧モータ８Ａ〜８Ｄによりそれぞれ回転駆
動される履帯９とからなる。

前記下部車体１の前部には、下記の機構によって撹拌機
１０が取付けてある。すなわち、前記各縦ビーム５，７
Ａ〜７Ｄの前部にそれぞれ固設されたブラケット１１に
撹拌機横行用ガイド枠１２を、該ガイド枠１２の上部と
ビーム５，７Ａ〜７Ｄとの間に取付けた油圧シリンダ１
３によりピン１４を中心として傾斜角調整可能に取付け
てある。前記ガイド枠１２にはガイドローラ（図示せ
ず）を介して左右に移動自在に横行枠１５Ａが装着さ
れ、該横行枠１５Ａの移動装着は、前記ガイド枠１２の
裏面に取付けた油圧モータ１６と、該ガイド枠１２の左
右端部および前記横行枠１５Ａに取付けたスプロケット
１７と、これらのスプロケット１７間に掛け回わされ、
両端をガイド枠１２の左右端部に接続したチェーン１８
と、前記油圧モータ１６により回転されかつ前記チェー
ン１８と噛合する駆動用スプロケット１６ａとからな
り、油圧モータ１６を作動させることによって、横行枠
１５Ａが左右に移動させられるようになっている。

横行枠１５Ａには油圧シリンダ６０により昇降自在に昇
降枠１５Ｂが装着され、該昇降枠１５Ｂの前部には、ア
ーム２３を介して撹拌機１０の支持枠２２を取付け、支
持枠２２には、撹拌機１０の本体２４を油圧シリンダ
（図示せず）により昇降自在に取付け、本体２４には、
油圧モータ２５により回転される駆動軸２６を取付け、
本体２４の下部には複数の縦枠２７を固設し、縦枠２７
の下部には従動軸２８を回転自在に取付け、前記駆動軸
２６および従動軸２８にそれぞれ２枚１組として嵌着し
たスプロケット２９，３０にチェーン３１を掛け回わ
し、対をなすチェーン３１，３１間に連結した撹拌具３
２を、チェーン３１の全周に複数個間隔を有して取付け
てなり、前記油圧モータ２５を作動させることによりチ
ェーン３１が撹拌具３２と共に回転して軟弱地盤を撹拌
するように構成されている。なお、前記横行枠１５Ａに
昇降自在に昇降枠１５Ｂを装着しているのは、撹拌機１
０の昇降高さをより大として長尺の撹拌機１０の装着を
可能とし、撹拌深さを大とするためである。

一方前記上部車体２は、下部車体１上に、前記ビーム５
と載置台６間に介装した上部車体２の前後位置調整機構
および旋回装置３３を介して設置されるもので、その車
体フレーム３４の前部に運転室３５を設置し、車体フレ
ーム３４の運転室３５より後方には、原動機３６と、油
タンク３７と、パワーユニット３８と、燃料タンク３９
が搭載されると共に、必要に応じて、発電機４０とコン
プレッサ４１が搭載される。

第１図において、４２は撹拌機１０で使用するアクチュ
エータに作動油を送給する油圧ホース４３、地盤中に生
コンクリートおよびこれと共に圧搾空気を送給するパイ
プ、あるいは油圧式アクチュエータの代わりに電動式機
器を用いる場合のケーブル等を垂れ下がりなく支持する
ホース類添設枠であり、該ホース類添設枠４２は２本の
枠４２Ａ，４２Ｂを中間部で回動自在にピン４５により
連結し、各枠４２Ａ，４２Ｂの他端部は旋回、上下回動
自在な継手４４，４６介してそれぞれ上部車体２、横行
枠１５Ａに連結してなり、横行枠１５Ａの左右の移動に
追随して動くことができる。また、７０は横行用油圧モ
ータ１６に作動油を送給するホース類を支持するため、
前記載置台６とビーム５またはこれと一体をなす部分間
に設けられた掘進式の支持枠である。

この地盤改良機は、地面にセメントを散布しておき、撹
拌機１０の油圧モータ２５を作動させ、走行停止状態で
油圧モータ１６を作動させて撹拌機１０をａからｂの範
囲で横行させ、ａまたはｂの位置に来たら、撹拌機１０
をその本体昇降用油圧シリンダおよび油圧シリンダ６０
の作動により第１図ｃのように引上げ、機械を撹拌機１
０の幅だけ後退させて撹拌機１０を再び降下させて作動
させることにより作業を行なうもので、生コンクリート
を注入しながら作業を行なうこともある。また、前記バ
ーチカル型を使用する場合には、生コンクリートを注入
しながら、前記の場合よりもゆっくりした速度で撹拌機
を上下させながら、前記と同様の作業を行なう。

このような地盤改良機において、本考案の要部である走
行用油圧モータ８Ａ〜８Ｄに作動油を供給する走行用油
圧回路は、一例として、第４図および第５図に示すよう
に構成される。第４図および第５図は左側フロート３
Ａ，３Ｂに備えられた油圧モータ８Ａ，８Ｂについて、
それぞれ直列接続、並列接続状態を示しているが、右側
の油圧モータ８Ｃ，８Ｄの油圧回路についても同様に構
成される。

第４図、第５図において、４７は前記パワーユニット３
８に備えた油圧ポンプからなる油圧源、３７は油タン
ク、４８は前記運転室３５に備えたコントロールバル
ブ、４９は前記旋回装置３３に設けられたセンタージョ
イント、５０，５１はコントロールバルブ４８の２本の
二次側管路、５２Ａ，５２Ｂは一方（外側）の油圧モー
タ８Ａの作動油出入口につながる油圧管路、５３Ａ，５
３Ｂは他方（内側）の油圧モータ８Ｂの作動油出入口に
つながる油圧管路であり、前記管路５０，５１はそれぞ
れ外側油圧モータ８Ａにつながる一方の管路５２Ａと、
内側油圧モータ８Ｂにつながる一方の管路５３Ｂに接続
され、前記管路５１と外側油圧モータ８Ａにつながる他
方の管路５２Ａとは開閉弁６１を介して接続されてい
る。また、内側油圧モータ８Ｂにつながる他方の管路５
３Ａには、継手５４を介して接続換え用油圧ホース５５
が接続され、該接続換え用油圧ホース５５の先端には、
急速継手５７が設けてあり、この継手５７に対して着脱
される急速継手５８，５９がそれぞれ、外側油圧モータ
８Ａにつながる前記管路５２Ａ，５２Ｂに設けてある。

この地盤改良機を用いて作業を行なうに当り、地盤が軟
弱である場合には、第４図に示すように、接続換え用油
圧ホース５５の先端の急速継手５７を外側油圧モータ８
Ａにつながる管路５２Ｂに設けられた継手５９に接続す
ると共に、開閉弁６１を図示のように遮断位置に設定す
る。これにより、油圧モータ８Ａ，８Ｂ間は管路５２
Ｂ、継手５９，５７、接続換え用油圧ホース５５、管路
５３Ａを介して直列に接続される。従って、内外の油圧
モータ８Ａ，８Ｂはコントロールバルブ４８を右または
左位置に切換えることにより正逆に等速で回転するの
で、フロート３Ａ，３Ｂが載っている地盤の抵抗にかか
わりなく各フロート３Ａ，３Ｂに巻装されている履帯は
等速で回転し、地盤の抵抗の差によって一方の履帯９の
みが回転する事態の発生が防止され、機械を確実に走行
させることができる。

一方、地盤が比較的硬質である場合には、第５図に示す
ように、接続換え用油圧ホース５５の先端の急速継手５
７を外側油圧モータ８Ａにつながる管路５２Ａに設けら
れた継手５８に接続すると共に、開閉弁６１を連通位置
に切換える。これにより、油圧モータ８Ａ，８Ｂ間は並
列に接続される。従って、内外の油圧モータ８Ａ，８Ｂ
は、コントロールバルブ４８を右または左位置に切換え
ることにより正逆に回転する際、フロート３Ａ，３Ｂが
載っている地盤の抵抗に影響を受け、例えば機械を右方
向に曲進する場合には、外側フロート３Ａに巻装された
履帯９にかかる抵抗が内側フロート３Ａに巻装された履
帯９にかかる抵抗よりも小さいため、外側油圧モータ８
Ａが内側油圧モータ８Ｂよりも速く回転し、曲進がエネ
ルギの損失少なく円滑に行なえる。

第６図は本考案の他の実施例であり、本実施例は、外側
油圧モータ８Ａにつながる管路５２Ａ，５２Ｂを、内側
油圧モータ８Ｂにつながる管路５３Ａに対して選択的に
連通させる切換弁６２を設けると共に、前記開閉弁６１
を前記同様に設けたものであり、図示のように、切換弁
６２が右位置に設定され、かつ開閉弁６１が連通位置に
ある時には、油圧モータ８Ａ，８Ｂは並列接続状態にあ
り、反対に、切換弁６２を左位置に設定し、かつ開閉弁
６１を遮断位置に設置すると、油圧モータ８Ａ，８Ｂが
直列に接続されるものである。

なお、本考案を実施する場合、第４図、第５図におい
て、開閉弁６１の代わりに継手を有する油圧ホースを用
いて回路切換えを行なうようにすることもできる。ま
た、第６図のように、弁の切換えによって回路切換えを
行なう場合には、各弁に遠隔操作できる電磁操作式ある
いは油圧操作式のものを用いることもできる。

（考案の効果） 以上述べたように、本考案においては、左右の各２艘の
フロート毎にそれぞれ共通のコントロール弁を備え、各
コントロール弁の二次側に２台ずつ設けられる前記走行
用油圧モータの油圧回路を、前記コントロール弁の二次
側においてそれぞれ並列、直列に接続換えする切換え装
置を備えたので、軟かい地盤を走行する場合には、内外
のフロートの油圧モータの油圧回路を直列に接続するこ
とにより、内外の履帯を等速で回転させ、確実に走行、
曲進させることができ、また比較的硬質の地盤を走行す
る場合には、内外の走行用油圧モータにつながる油圧回
路を並列に接続することにより、曲進の際、履帯の受け
る抵抗に応した速度で内外の履帯が回転するので、内外
の油圧モータの出力の損失を生じることなく、効率良く
円滑に曲進、走行させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による地盤改良機の一実施例を示す側面
図、第２図はその平面図、第３図はその正面図、第４図
は本考案による走行用油圧回路の一実施例を直列接続状
態にて示す油圧回路図、第５図は同じく並列接続状態に
て示す油圧回路図、第６図は本考案の他の実施例を示す
油圧回路図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右にそれぞれ２艘のフロートを有し、各
   フロートには履帯および走行用油圧モータを取付けて自
   走式下部車体を構成し、該下部車体の前部に、土壌硬化
   剤を軟弱地盤に撹拌しながら混入する撹拌機を横行自在
   に取付けた４フロート式の軟弱地盤改良機において、左
   右の各２艘のフロート毎にそれぞれ共通のコントロール
   弁を備え、各コントロール弁の二次側に２台ずつ設けら
   れる前記走行用油圧モータの油圧回路を、前記コントロ
   ール弁の二次側においてそれぞれ並列、直列に接続換え
   する切換え装置を備えたことを特徴とする軟弱地盤改良
   機における走行用油圧回路。