JPH06277719A - 金属板幅圧下方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 幅圧下時に発生する金属板の板反りを高い精
度で防ぐことができる小型の金属板幅圧下装置を提供す
る。 【構成】 パスラインの両側に配置された対の幅圧下ダ
イス１を板幅方向に進退して金属板Ｓを幅圧下する方法
において、幅圧下ダイス１の出側および入側の少なくと
も一方で搬送装置１７，１９の板支持面に対する金属板
表面の位置を検出し、前記検出位置信号に基づいて板支
持面に対する幅圧下ダイス１の高さ位置または傾斜角度
を、ダイス１ごとに調節する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、スラブなどの比較的
板厚の大きい金属板をプレスにより大きな圧下量で熱間
幅圧下する金属板幅圧下方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】比較的板厚の大きい金属板として、連続
鋳造鋼スラブを例として説明する。

【０００３】スラブを一定幅に連続鋳造し、プレスによ
り幅圧下して圧延工程で要求される断面寸法とすること
が行われている。幅圧下工程では、スラブをこれの長手
方向に間欠的に送り、スラブが停止した時にパスライン
の両側にそれぞれ配置したダイスによりスラブを左右か
ら圧下する。幅圧下ダイスの入、出側にスラブ支持面が
水平な搬送装置、たとえばローラーテーブル、ピンチロ
ールなどがそれぞれ配置されている。この搬送装置によ
り、金属板は幅圧下ダイスに１圧下工程の長さ分だけ間
欠的に送り込まれる。

【０００４】スラブは、幅圧下が進むに従い厚くなる。
また、幅圧下ダイスは上下方向に拘束され、出側の搬送
装置のスラブ支持面も一定に固定されている。したがっ
て、幅圧下ダイスより押し出されたスラブは、ダイス出
側の搬送ローラーなどにより押し上げられてダイスの孔
型中心線とスラブの板厚中心線が一致しないため圧下に
よりスラブ板厚方向に非対称な変形、すなわち反りが発
生する。スラブの反りは、後続の圧延工程でかみ込み不
良などの障害を生じる。

【０００５】上記スラブの反りを防止する方法として、
特開昭６１−２１６８０２号公報で開示された熱間スラ
ブの幅圧下方法がある。この幅圧下方法は、プレスの幅
圧下により生じる厚み増分量を幅圧下量から推定または
実測し、プレスのスラブ入側および出側の少なくとも一
方の搬送ローラーにおけるパスラインレベルを上記推定
または実測した厚み増分量に応じて調節する。これによ
り、板反りは抑えられる。また、特開昭６３−２５３０
号公報で開示された幅圧下プレスの押えロール装置があ
る。この装置では、対となった上下動可能な下部ロール
と上部ロールとにより材料（スラブ）を押圧する。幅圧
下中、厚さが増大するスラブの厚さ方向の中心面が幅圧
下前のそれとほぼ同じレベルを維持するように、下部ロ
ールの高さを調整する。この結果、幅圧下されたスラブ
厚さ中心面が、幅圧下前と同じレベルに保持された状態
で水平移動し、板反りは防がれる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】スラブの上反りを防止
する上記従来技術では、いずれもスラブを支持する複数
のロールをスラブ厚の増加に応じて昇降し、スラブ支持
面の高さを調整するようにしている。したがって、設備
が大型かつ複雑となる。また、いったん発生した上反り
を矯正することは困難である。スラブ支持面の高さをス
ラブ幅方向について調整することができないので、高精
度で板反りを矯正することはできない。さらに、上記特
開昭６３−２５３０号公報の幅圧下プレスの押えロール
装置では、上下の押えロールでスラブを大きな力で押圧
しなければならず、押えロール装置は高い剛性構造およ
び高出力の駆動源が必要であり、座屈防止用の簡易な押
さえ装置程度の使用にとどめたいニーズがあった。

【０００７】なお、連続鋳造鋼スラブを金属板の例とし
て説明したが、上記課題は連続鋳造鋼スラブと同様の寸
法の金属板にも生じるものである。

【０００８】この発明は、幅圧下時に発生する金属板の
板反りを高い精度で防ぐことができ、装置の小型化を図
ることができる金属板幅圧下方法を提供しようとするも
のである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明の金属板幅圧下
方法は、パスラインの両側に配置された対の幅圧下ダイ
スを板幅方向に進退して金属板を幅圧下する方法におい
て、幅圧下ダイスの出側および入側の少なくとも一方で
搬送装置の板支持面に対する金属板表面の位置を検出
し、前記検出位置信号に基づいて板支持面に対する幅圧
下ダイスの高さ位置または傾斜角度を、ダイスごとに調
節する。

【００１０】幅圧下ダイスは孔型が形成されており、油
圧または水圧などの液圧シリンダにより進退駆動され
る。金属板表面の位置検出には、周知の光学式、空気圧
式、または光電式位置検出器が用いられる。また、金属
板表面の変位をばねなどにより荷重に変換して、位置を
検出するようにしてもよい。パスラインの両側で対とな
った幅圧下ダイスは、それぞれ独立して支持する。幅圧
下ダイスの高さ位置または傾斜角度を調節するには、幅
圧下ダイスを支持フレームなどに駆動装置を介して取り
付け、制御装置により駆動装置を制御する。駆動装置と
して、油圧もしくは水圧などの液圧シリンダ、またはね
じ機構とモーターとの組合せなどが用いられる。金属板
表面の位置と幅圧下ダイスの高さ位置または傾斜角度と
の関係は、実験または計算によりあらかじめ求めてお
き、その結果はテーブルとして制御用コンピュータに記
憶させておく。

【００１１】

【作用】幅圧下により、幅圧下ダイス中の金属板はダイ
ス出口に向かうに従って厚さが増す。金属板の下面は搬
送装置により支持されているので、板支持面に対して前
方に向かって上向きに傾斜する。ダイスの孔型中心を金
属板の板厚中心位置に一致させることにより、上下の非
対称変形すなわち反りの発生を防止する。上反りが発生
すると、その量に応じて幅圧下ダイスを下方に変位させ
るか、またはダイス出口側が下がるように傾斜させる。
これにより、金属板の上側の角部がダイス孔型の角部に
接触する。この結果、上側の角部およびその近傍が下側
のそれよりも大きく延伸され、金属板は下方に向かって
曲がり、上反りが矯正される。下反りの場合には、幅圧
下ダイスを上方に変位させるか、またはダイス出口側が
上がるように傾斜させる。相対する幅圧下ダイスは互い
に独立して上下動または傾斜可能であるから、金属板を
側方に傾斜するようにして板反りを調節することも可能
である。

【００１２】

【実施例】図１および図２は、この発明の方法を実施す
る連続鋳造鋼スラブの幅圧下装置の一例を示している。
図１は幅圧下装置の主要部を模式的に示す側面図、図２
は図１に示す装置の正面図である。

【００１３】幅圧下装置の幅圧下ダイス１は、パスライ
ンの左右に進退可能に配置されている。相対するダイス
面の間隔は出口に向かって狭まり、出口側に平行部が設
けられている。また、幅圧下ダイス１には、孔型２が設
けられている。幅圧下ダイス１は、支持フレーム５に油
圧シリンダ９を介して取り付けられている。すなわち、
油圧シリンダ９のシリンダ１０は支持フレーム５の支持
面６に、またロッド１１は幅圧下ダイス１の下面と上面
に、それぞれピン連結されている。幅圧下ダイス１の側
面に、車輪１３が旋回可能に取り付けられている。車輪
１３はフレーム５の内側に設けられた案内面７を転動す
る。支持フレーム５の背面には、油圧シリンダのロッド
１５に連結されている。幅圧下ダイス１の入側および出
側にそれぞれローラーテーブル１７，１９が配置されて
いる。

【００１４】幅圧下ダイス１の入側および出側にそれぞ
れスラブ上面の位置を検出するスラブ検出器２１，２２
が配置されている。各スラブ検出器２１，２２は、制御
用コンピュータ２５に接続されている。また、幅圧下ダ
イス１の近傍に幅圧下の位置および傾きを検出するダイ
ス検出器２３が配置されている。油圧シリンダ９には、
切換弁２７を介してポンプ２９が接続されている。切換
弁２７は、制御用コンピュータ２５により制御される。

【００１５】上記のように構成された幅圧下装置におい
て、スラブＳはローラーテーブル１７，１９によりパス
ラインに沿って間欠的に送られる。スラブＳが送られて
いる間は、幅圧下ダイス１は左右に開いた状態となって
いる。スラブＳが幅圧下ダイス１の間で停止すると、幅
圧下ダイス１の間隔を徐々に狭め、スラブＳを幅方向に
圧下する。圧下が進むに従いスラブ幅は狭くなり、厚さ
が増す。したがって、スラブＳは、出側ローラーテーブ
ル１９のスラブ支持面に対して上向きに傾斜しようとす
る。

【００１６】幅圧下ダイス１の入側および出側で、スラ
ブ上面の位置をスラブ検出器２１，２２でそれぞれ検出
する。入側のスラブ上面位置に応じて、幅圧下ダイス１
の高さ位置をあらかじめ調節する。また、出側のスラブ
上面位置に基づいて、上反りを防ぐに適当な幅圧下ダイ
ス１の傾きを調節する。所要のダイス高さ位置および傾
きは制御用コンピュータ２５により演算され、操作信号
が切換弁２７に出力される。切換弁２７の作動により油
圧シリンダ９のロッド１１が進退し、幅圧下ダイス１は
所定の高さ位置および姿勢に十分に高い剛性で保持され
る。上反りが発生する場合、ダイス出口側が下がるよう
に幅圧下ダイス１を傾斜させる。これにより、図３に示
すようにスラブＳの上側の角部がダイス孔型２の角部に
接触する。この結果、上側の角部およびその近傍は下側
のそれより強く圧下されて大きく延伸し、スラブＳは下
方に向かって曲がり、上反りは防がれる。また、ダイス
検出器２３の検出信号に基づき、幅圧下ダイス１の位置
と傾きがフィードバック制御される。相対する幅圧下ダ
イス１は互いに独立して上下動または傾斜可能であるか
ら、スラブ幅方向についてもダイス位置および傾きを調
整することもできる。

【００１７】スラブＳの１工程分の幅圧下が終わると、
幅圧下ダイス１は後退される。ついで、スラブＳは次の
１圧下工程分の長さだけローラーテーブル１７，１９に
より前進される。

【００１８】図４は、この発明の方法を実施する他の幅
圧下装置の例を示している。図１に示す装置および部品
と同様のものについては同一の参照符号を付け、その説
明は省略する。

【００１９】幅圧下ダイス１の入側に、スラブＳを挟圧
する一対のピンチロール３１が配置されている。幅圧下
ダイス１を昇降する油圧シリンダ３３が幅圧下ダイス１
の上面と支持フレーム５の支持面６との間に設けられて
いる。

【００２０】ピンチロール３１が開いた状態で、スラブ
Ｓがローラーテーブル１７，１９により送られて来る。
幅圧下ダイス１の間でスラブＳが停止すると、ピンチロ
ール３１によりスラブＳを挟圧、把持し、幅圧下ダイス
１の間隔を徐々に狭め、スラブＳを幅方向に圧下する。
圧下が進むに従いスラブ幅は狭くなり、スラブＳは出側
ローラーテーブル１９のスラブ支持面に対して上向きに
傾斜しようとする。そこで、ダイス出側で検出したスラ
ブ上面位置に基づいて、上反りを防ぐに適当な幅圧下ダ
イス１の高さ位置を調節する。すなわち、スラブ位置に
応じて幅圧下ダイス１を下方に変位させる。この結果、
幅圧下ダイス１とピンチロール３１との間で、上方に凸
となるような曲げ力がスラブＳに生じ、上反りの発生は
防がれる。この実施例では、幅圧下ダイス１の高さ位置
のみでスラブＳの反りを防ぐことができる。

【００２１】

【発明の効果】この発明の金属板幅圧下方法では、幅圧
下ダイス出側における板反り量に応じて幅圧下ダイスを
上下に移動または傾斜する。したがって、幅圧下ダイス
内で金属板に板反りを防ぐ応力を与えることができる。
この結果、幅圧下時に発生する金属板の板反りを高い精
度で制御し、平坦度に優れた金属板を得ることができ
る。また、金属板の先端部および尾端部についても板反
りを防ぐことが可能である。さらに、設備の小型化およ
び省スペース化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の方法を実施する連続鋳造鋼スラブの
幅圧下装置の一例であり、装置主要部を模式的に示す側
面図である。

【図２】図１に示す装置の正面図である。

【図３】上反りを防ぐ原理を説明する図面である。

【図４】この発明の方法を実施する連続鋳造鋼スラブの
幅圧下装置の他の例であり、装置主要部を模式的に示す
側面図である。

【符号の説明】 １ 幅圧下ダイス ２ 穴型 ５ 支持フレーム ６ フレーム支持面 ７ フレーム案内面 ９ 油圧シリンダ １０ シリンダ １１ ロッド １３ 車輪 １５ 油圧シリンダロッド １７ 入側ローラーテーブル １９ 出側ローラーテーブル ２１ スラブ検出器 ２２ スラブ検出器 ２３ ダイス検出器 ２５ 制御用コンピュータ ２７ 切換弁 ２９ ポンプ ３１ ピンチロール ３３ 油圧シリンダ Ｓ スラブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パスラインの両側に配置された対の幅圧
   下ダイスを板幅方向に進退して金属板を幅圧下する方法
   において、幅圧下ダイスの出側および入側の少なくとも
   一方で搬送装置の板支持面に対する金属板表面の位置を
   検出し、前記検出位置信号に基づいて板支持面に対する
   幅圧下ダイスの高さ位置または傾斜角度を、ダイスごと
   に調節することを特徴とする金属板幅圧下方法。