JPH062645Y2 - 多電極型生体用誘導電極 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は生体から微弱電圧を導出するために用いられる
多電極型生体用電極に係り、とくに生体の皮膚面へ密着
し易く、廉価に製作できる多電極型生体用電極に関する
ものである。

〔従来の技術〕

周知のように、生体内に発生する生体電気は、心臓、
脳、筋肉などの活動によって誘起されている。

とくに心臓に発生した生体電気は、生体の皮膚面に誘導
された微弱電圧を外部の心電計で記録し、心臓の異状を
診断している。

そしてこの心電計は、入力部を生体と電気的に結合させ
るために生体の皮膚面に生体用電極を密着しなければな
らない。

この皮膚の表面に密着される従来の電極を第７図、なら
びに第８図にしたがって説明すると、図中、１は生体用
電極であり、この生体用誘導電１は略円盤状の粘着基材
２を有している。

この粘着基材２は、第９図に示されるように生体用電極
１を生体の皮膚面に密着させるために、第８図のように
その表面2aに粘着性を帯させているものであるととも
に、その中央部が切欠されて開口３が形成されている。

この貼着基材２の上面側（表面側）には第７図に示され
るようにリード線接続ホック４が接合され、前記第８図
の開口３を閉塞している。

このリード線接続ホック４は上面側にリード線結合部4a
が突設し、下面側には第８図に示されるようにAg-Agcl
（銀−塩化銀）製の板状の電極部５が接続されている。

前記突設したリード線結合部4aには、第９図に示される
ようにリード線６が接続されているリード線接続体７が
連結され、前記リード線６の他端は心電計（図示せず）
に接続されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

以上のような構成の、従来の生体用電極１を利用して心
電図を記録するには、まず第９図に示されるように生体
用電極１の貼着基材２を生体の皮膚面Ｍに接着し、続い
てリード線接続体７の嵌合凹溝7aを、生体用電極１のリ
ード線接続ホック４に突設されているリード線結合部4a
に嵌合することにより、リード線接続体７を生体用電極
１に連結して電極部５から導出される微弱電圧をリード
線６を介して心電計（図示せず）に記録する。または、
予め生体用電極１のリード線接続ホック４に突設されて
いるリード線結合部4aに、リード線接続体７の嵌合凹溝
7aを嵌合して、リード線接続体７が連結された生体用電
極１を、生体の皮膚面Ｍに密着して心電図を記録しても
よいものである。

ところで、前述のようにしていずれの方法でも心電図の
測定が可能であるが、このような生体用電極１は殆どの
場合、一回の測定で廃棄処分にしている。

しかしながら、従来の生体用電極１の電極部５は前記し
たようにAg-Agcl（銀−銀塩化銀）のような高価な金属
を使用している。

また、直接生体から微弱電圧を導出する電極部５とこの
電極部５で導出した電圧を心電計に導くリード線接続体
７およびリード線６（すなわち回路部）とは別々の部品
であるため、組み立て工程が複雑になり製作費が高価に
なるという課題があった。

とくに生体用電極１は多数個使用されるためコストの問
題は無視できないものであり、より廉価で製作できる生
体用電極１の開発が期待されていた。

また第10図に示されるように、心電図を測定する場合
に、身体の皮膚面Ｍの１箇所のみに貼付するものばかり
でなく、２箇所、３箇所或いはそれ以上の多数箇所にわ
たって貼付する場合もある。

このように貼付箇所が多くなると、電極１とリード線６
とが分離独立した従来の電極では、一個の電極１に一個
にリード線６をそれぞれ連結するので多数個の電極１を
皮膚面Ｍに貼付するのに長時間を要し、面倒であるとい
う操作性の課題と、多数のリード線６が生体の皮膚面Ｍ
に配置されるので被検者が心電図測定中に無意識にリー
ド線を引っ張りその結果電極１が生体の皮膚面Ｍから脱
落してしまうという、装着状態の安定性の課題があっ
た。

本考案はこのような課題を解決することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本考案はつぎのような多電極
型生体用電極を提供する。

すなわち本考案は、 繊維製長方形の貼着基材に液状の導電性物質を印刷含浸
させることにより形成した多数個の電極部ならびに対応
する回路部とを備え、各回路部は前記電極部に接続する
とともに絶縁性の粘着材を塗布してなり、前記多数の電
極部は前記粘着基材の長手方向に配列され、前記電極部
間ならびにその電極部付近の回路部間には長手方向に枝
別れ可能な切り込み部を設けたことを特徴とする、多電
極型生体用電極である。

〔作用〕

以上の構成において、多数個の生体用電極の電極部を生
体の皮膚面に接するとともに貼着基材の粘着剤側を生体
の皮膚面に接すると、生体内の微弱電圧は電極部から導
出されて回路部を介して心電計へ導かれ、心電図が記録
される。

また、前記絶縁性の粘着剤は、回路部と皮膚面との間の
電気的絶縁性を保ちつつ、貼着基材を皮膚面に粘着保持
する。

さらに、電極部は電極部間および回路部間の切り込みに
より各電極部間を広げ、被検者の体格や形状に適応させ
て皮膚面の定められた箇所に粘着させる。

〔実施例〕

本考案の実施例について、以下図面にしたがって本考案
の構成が実際上どのように具体化されるかをその作用と
ともに説明する。

第１図は本考案の一実施例の平面図、第２図は第１図の
Ａ−Ａ線断面拡大図であり、図中、10は多電極型生体用
電極である。

この生体用電極10は長方形の貼着基材11を有し、この長
方形の貼着基材11上の長手方向に多数個の電極部12を設
けてある。

この長手方向に電極部12を配列したのは、本考案の多電
極型生体用誘導電極10を帯状にコンパクトに形成し貼着
基材11などの使用効率を高めるためである。

この電極部12は、皮膚面に接して生体からの微弱電圧を
導出するためのものである。

この電極部12は、銀または銀と塩化銀との混合、銀と導
電性黒鉛の混合、或いは黒鉛を導電性の粉体とし、この
粉体を樹脂と溶剤で混合してペーストまたはインク状、
すなわち液状とした導電性物質である導電性インクを、
前記貼着基材11に印刷または含浸させて密着させる。

ここで、導電性インクが印刷または含浸される前記貼着
基材11は、第３図に示されるようにした繊維性物質であ
るので、多孔性であり、そのため導電性インクの密着性
が良好である。

この導電性インクを、第２図のように前記貼着基材11に
印刷または含浸させて電極部12ならびに回路部13を同時
に一体的に形成し、つぎに電極部12を除く前記貼着基材
11の上面と同貼着基材11の下面とを絶縁材14,14で覆
う。

この絶縁材14,14で上下両面を覆うことによって回路部1
3は外部と電気的に絶縁することができ、電気的外乱に
対して安定を保つことができる。

この上面側の絶縁材14には、さらに絶縁性の粘着剤15が
塗布される。

この粘着剤15は、絶縁を保ちつつ本考案の多電極型生体
用電極を患者の皮膚面に粘着保持するためのものであ
り、したがって、この粘着剤15のある方の面が皮膚面に
向けて貼着使用される面である。

このように積層されてシート状に一体的に形成されたも
のを、さらに第１図のような切り込み部17を設けること
によって、隣接する電極部12,12間ならびに回路部13,13
間を第４図のように自由に開くことができるとともに不
要部17aは切除する。

前記電極部12は印刷などで形成されるので、危険な突起
物とはならず、安全使用ができる。

また、点線で示す各回路部13はそれぞれ一端が電極部12
に接続され、他端が接続端子13aに接続されている。

この接続端子13aはコネクタ16に挿着することによっ
て、図示しない心電計に電気接続される。

第５図は同実施例の使用状態を示す図であり、ここでは
胸部用電極として使用した場合を示している。

胸部用電極においては、胸部皮膚面上の定められた六つ
の位置V1乃至V6上にそれぞれ電極部12を当接することと
なっており、その六つの位置は非直線上にあるが、同実
施例は前記切り込み部17を設けたことにより、各電極部
は枝別れでき、したがって同非直線上の位置にも柔軟に
対応できるものである。

このようにして、胸部皮膚面Ｍを介して各電極部12に導
出された生体電気は、それぞれ回路部13、コネクタ16を
経て、図示しない心電計に送られる。

第６図は本考案の他の実施例であり、この実施例が前記
一実施例と異なる点は、切り込み部17の長さをほぼ一定
に揃えた点である。

これにより、回路部13の枝別れの長さを長すぎないよう
に制限し、冗長による電極部12の付けちがいを防止する
ものである。

また、これらの実施例について電極部12の表面に電解質
ゲル（図示せず）を設けることによって電極部12と皮膚
面との密着性を高めて接触抵抗を減じ、生体電気をより
効率的に導出させることもできる。

なお、これらの実施例では多電極型生体用電極につい
て、胸部用として説明したが、本考案は胸部用に限るこ
となく、他の部分にも同様に広く用いることができるも
のである。

〔考案の効果〕

以上、本考案によれば、繊維製の貼着基材に液状の導電
性物質を印刷含浸させることにより、電極部および回路
部が形成できるので、大量生産に適し生体用電極が廉価
に製作できる。

また、液状の導電物質を印刷含浸させて電極部と回路部
を一体的に形成することができるので、接続箇所が少な
くてよく、電気的特性が安定した電極が得られる。

さらに貼着基材に多数個の電極部とこの電極部にそれぞ
れ接続する多数個の回路部を設けたので、前記多数個の
電極を生体の皮膚面に短時間で貼着でき、装着性が向上
する。

その上、貼着基材として繊維性物質を使用しているの
で、液状の導電性物質が含浸しやすく皮膚に対するフィ
ット性が良好である。

加えて、回路部は粘着剤により皮膚面に貼着するので多
電極型生体用電極が皮膚面から脱落するおそれがない。

また、電極部は印刷、含浸により形成したので突起物と
ならず、安全性が高い。

また、電極部間ならびに回路部間には切り込み部を設け
たので、電極部間は広げ易く体格に適応させて正しく装
着させることができる。

さらに、多数の電極部を貼着基材の長手方向に配列した
ので、多電極型生体用誘導電極をコンパクトに且つ経済
的につくることができる、などの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の平面図、第２図は第１図の
Ａ−Ａ線断面図、第３図は同実施例の貼着基材の斜視
図、第４図は同実施例の切り込み部を切り開いた図、第
５図は同実施例の使用状態を示す図、第６図は本考案の
他の実施例を示す図、第７図乃至第10図は従来例の説明
図である。 10……多電極型生体用電極、 11……織物状の繊維製貼着基材、 12……電極部、 13……回路部、 14……絶縁部、 15……粘着剤、 17……切り込み部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平３−704（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−154006（ＪＰ，Ｕ) 実公 平５−2163（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】繊維製長方形の貼着基材に液状の導電性物
   質を印刷含浸させることにより形成した多数個の電極部
   ならびに対応する回路部とを備え、各回路部は前記電極
   部に接続するとともに絶縁性の粘着材を塗布してなり、
   前記多数の電極部は前記粘着基材の長手方向に配列さ
   れ、前記電極部間ならびにその電極部付近の回路部間に
   は長手方向に枝別れ可能な切り込み部を設けたことを特
   徴とする、多電極型生体用電極。