JPH06261517A - 少なくとも２個の同軸的に配置された軸を有する装置の精密駆動システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一様な運動、迅速な加速と減速、最小限の慣
性が要求され、かつ各駆動軸の速度が、それぞれ独立的
に制御され得る装置の駆動システムを提供する。 【構成】 駆動システムに２つの電動機が備えられ、そ
の回転子４ａ，５ａが、それぞれ直接に２つの軸、すな
わちスピンドル２とスリーブ８とに取付けられている。
２つの軸２，８は、スピンドル２とスリーブ８との回転
子４ａ，５ａの半径方向寸法が等しくなるように構成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも２個の同軸
配置された軸を有する装置用の電気式駆動システム、そ
れも最も内側のむく軸がスピンドルを形成し、１個以上
の外側軸に包囲され、すべての軸が同軸配置されている
形式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】同軸配置された２個の軸を駆動し、特
に、電灯用のコイルフィラメント巻線を製造するための
駆動システムは、よく知られており、工業分野で用いら
れている。この種の駆動システムは、ブルームベルグほ
か（Ｂｌｕｍｂｅｒｇ ｅｔ ａｌ）によるドイツ特許
２３５０３９９に記載されている。この特許は英国特許
１，４７８，４７５に対応するものである。この駆動シ
ステムは、電灯用のコイルフィラメントを製造する巻線
機の構成要素として用いられる。この駆動システムには
２つの別個の電動機が用いられている。これらの電動機
は、ベルト伝動装置により、巻取ヘッドを有する巻取ス
ピンドルと、巻取スピンドルと同軸配置され、フィラメ
ント材料用の供給リールを保持するキャリヤスリーブと
に、それぞれ接続されている。このフィラメント材料
は、コイル状にされていないワイヤでも、すでにコイル
状のワイヤでもよい。電灯の場合、一般的にはフィラメ
ントにタングステン線が用いられる。

【０００３】慣性モーメントを低減し、２個の同軸駆動
軸の速度のばらつきを防止するため、電動機は永久磁石
回転子電動機として構成されている。前記２個の同軸的
な駆動軸の場合、外側軸が中心スピンドルを取囲んでい
る。この中心スピンドルは、電灯に用いられるコイルフ
ィラメント材料にとって特に重要である。前記永久磁石
回転子電動機の場合、永久磁石が、中心スピンドルとこ
れを包囲する外側の軸とに、それぞれ取付けられてお
り、また電動機の固定子は共通のハウジング内に収容さ
れている。外側の軸は、コイル状にされるフィラメント
の供給リールを保持しており、他方、内側軸は巻取ヘッ
ドと、フィラメントを巻付ける往復動変向ローラーユニ
ットとを保持している。フィラメント巻取の典型的な作
業速度は、１．５秒、順次に続くフィラメント間の中断
時間は０．２秒である。この種のフィラメントは、たと
えば一般的に使用される６０Ｗの電灯に用いることがで
きる。有利には、軸は、スピンドルと、フィラメント供
給リールを保持しスピンドルを包囲する外側軸とに取付
けられた永久磁石回転子の内径の半径方向寸法が等しく
なるように配置されているので、２個の軸と電動機の、
既に低い慣性回転モーメントが、少なくともほぼ等くさ
れる。

【０００４】この駆動システムは、通常知られている通
り、満足のゆくものであるが、電動機から駆動軸、つま
り巻取スピンドルと、供給リール用キャリヤスリーブへ
の、ベルト伝動装置による動力伝達に欠点がある。すな
わち、速度が増すと、ベルトが振動する傾向があるた
め、速度及び作業の精密な制御が妨害される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
精度の運動の一様性、迅速な加速と減速、最小の慣性が
要求され、かつまた、互いに独立的に各駆動軸の速度制
御が可能な装置に用いる駆動システムを得ることにあ
る。加えて、この装置をコンパクトに構成し、これまで
に可能な速度より高い速度で作業ができるようにせねば
ならない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】簡単に言えば、本発明に
よる精密駆動システムは２つの電動機を有し、これらの
電動機の回転子が各軸に直接に取付け、又は固定され、
しかも、一方の回転子が内側中空スピンドルに、他方の
回転子が、この内側スピンドルを包囲する外側軸、すな
わちスリーブに取付けられており、更に、他の用途で軸
が駆動される場合には、回転子は付加的に同軸配置され
た中空軸に取付け得るようにされている。

【０００７】単数又は複数のスピンドル軸を直接駆動す
ることにより、スプリアス振動を生じる中間伝動手段を
用いずに済ますことができる。更に、電動機は、空間的
にコンパクトな配置で、たとえば、有利には共通のハウ
ジング内に組付けることができる。

【０００８】使用する電動機は、永久磁石回転子を用い
るブラシなし電動機とするのが有利である。永久磁石は
軸、すなわち内側スピンドルと、このスピンドルを包囲
する単数又は複数の外側の軸ないしスリーブとに、接着
剤によって固定することができる。各電動機用の固定子
は、回転子と半径方向に整列配置され、単一の共通のハ
ウジング内に配置することができる。

【０００９】この駆動システムは、コイルフィラメント
の形式の光発生材料を成形する巻取ヘッドに特に好適で
ある。キャリヤスリーブは、光発生材料、すなわちフィ
ラメントワイヤ又はコイルフィラメントを供給するリー
ルを支持するために利用できる。したがって、巻線機
は、電灯用のコイルフィラメント又は２重コイルフィラ
メントの最終製品を成形できる。

【００１０】本発明による駆動システムは、次のような
効果を有している。すなわち、慣性モーメントが低い値
なので、加速と減速が迅速に可能であり、このことによ
り巻線機の生産性が高められる。この生産性の向上は、
先行技術による巻線機に比して２倍の値である。この巻
線機では、一般用の６０Ｗ電灯用２重コイルフィラメン
ト製造時には巻取時間を１．５秒、順次に続く巻取サイ
クル間の中断時間を０．２秒とすることが可能である。
この中断時間に単一コイルのワイヤ部分が形成される。
このワイヤ部分は電極保持マウントにフィラメントを付
加するのに用いられる。

【００１１】

【実施例】フィラメント巻線機と組合されて示された駆
動システム１は、巻取スピンドル２を駆動し、供給リー
ル３の保有する光発生材料、すなわちフィラメント、又
はコイルフィラメントを製造するのに用いられる。供給
リール３は外側軸８に取付けられている。外側軸８は、
中空であり、スピンドル２を取囲んでいる。スピンドル
２も中空であるため、コアワイヤ１４を内部を貫通させ
て供給することができる。

【００１２】本発明の特徴によれば、２つのブラシなし
電動機駆動システムは、それぞれスピンドル２と外側軸
８とを有している。ブラシなし電動機は回転子４ａ，５
ａを有している。これらの回転子は、永久磁石回転子と
して構成され、軸方向にスタガ（ｓｔａｇｇｅｒｅｄ）
形式に、互いに隣接して、巻取軸線に沿って配置されて
いる。電動機はスピンドル２と同軸的に共通のハウジン
グ６内に配置されている。第１電動機の回転子４ａは、
スピンドル２の外表面に直接に取付けられている。スピ
ンドル２は巻取ヘッド７を保持している。巻取ヘッド７
は、周知の標準的な構成であり、ヘッド７自体は本発明
の一部には属さないので、略示するにとどめる。回転子
４ａは、接着剤によりスピンドル２に固定されている。
第１電動機の固定子４ｂは、何らかの適当な形式でハウ
ジング内壁に固定する。たとえば、接着剤、又は溝、き
ざみなどの回転防止手段を設けてのプレスばめ、又は電
動機分野で周知の別の形式で固定する。第２電動機の回
転子５ａは、直接に外側軸８の外表に固定される。外側
軸８は光発生材料を保有するリール３のキャリヤスリー
ブを形成している。回転子５ａはスリーブ８に接着され
ている。第２モータの固定子５ｂは、ハウジング６の内
壁に、たとえば回転子５ａの取付形式と同様の形式で固
定されている。巻取スピンドル２と外側軸又はスリーブ
８とは、同軸配置されているので、スリーブ８は巻取ス
ピンドル２を包囲している。スピンドル２の一端は、巻
取ヘッド７を保持している。スピンドル２の他端は、半
径方向に拡大された部分２ａを形成している。この拡大
部分２ａには回転子４ａが接着されており、この部分２
ａの外径は、第２モータの回転子５ａが固定されている
スリーブ８の外径と等しい。したがって、回転子４ａと
５ａとの内径は、軸方向に整列せしめられることにな
る。

【００１３】スピンドル２とスリーブ又は外側軸８と
は、複数の精密軸受９によりハウジング６内に相対的に
可動に保持されている。

【００１４】本発明の一特徴によれば、スピンドル２及
びスピンドル２と一緒に回転するすべての部材、たとえ
ば第１電動機の回転子４ａの慣性モーメントは、外側軸
８及びこれと一緒に回転するすべての部材、たとえば第
２電動機の回転子５ａの慣性モーメントと、ほぼ等し
い。スピンドル２とスリーブ８とを駆動する電動機は、
実質的に等しい永久磁石回転子電動機であり、それぞれ
約１５００ワットの定格電力を有している。これら２つ
の電動機は、電子式制御ユニット１０により制御され
る。この制御ユニット１０によりスピンドル２及びスリ
ーブ８の速度が精密制御される。この電子式制御ユニッ
ト１０は、更に、マンドレル又は、中空スピンドル２内
を貫通して延びているコアワイヤ１４に連結された引張
部材１２の駆動装置１１をも制御する。制御装置１０
は、加えて、往復動式引張棒１６用の引張力発生器１５
を制御する。引張棒１６は、縦方向に両矢印Ａで示され
るように、巻上ヘッド７に対し巻線機軸線内を可動であ
る。また、引張棒１６はスピンドル２と等しい周速度で
回転する。巻取ヘッドに隣接する引張棒１６の端部に
は、２個の変向ローラ１７が備えられている。これらの
変向ローラ１７は、巻取ヘッド７に固定された４個の変
向ローラ１８と組合されて、リール３から繰出され、別
の変向ローラ１９を介して巻取ヘッド７へ案内される光
発生材料の巻取引張力を精密調整することができる。

【００１５】次に、この駆動システムの作用形式を説明
する：巻取の場合、電動機が電子制御ユニット１０によ
って制御されることにより、スリーブ８はスピンドル２
より僅かに高い速度で回転し、設計及び巻取の面での要
求に応じて供給リール３から光発生材料１３が繰出され
る。制御ユニット１０は、加えて、引張部材１２、往復
動引張棒１６、巻取ヘッド７、供給リール３の回転等の
同時的な、相対的に調整された運動を制御する。

【００１６】この駆動システムは、高い融通性を有し、
慣性モーメントが互いに釣合うようにされているので、
著しい加速と減速とが可能である。このため、一般に使
用される６０Ｗ電灯用のフィラメントの巻取には、１．
５秒を要するのみであり、順次行なわれる巻取のサイク
ル又はステップ間の中断時間は約０．２秒にすぎない。
供給リール３と引張部材１２とが、この時間の間に運動
する。

【００１７】電動機は、きわめてコンパクトであり、ハ
ウジング６内での所要空間は約１６×１１×１１ｃｍ、
すなわち約１９３６ｃｍ³にすぎない。

【００１８】本発明は種々の変更態様が可能である。た
とえば、ブラシなし永久磁石回転子電動機とは異なる電
動機を用いることもできる。たとえば非同期電動機も、
本発明の駆動システムに用いることができる。また、特
定用途の場合に、複数の外側軸が内側のスピンドルを包
囲するようにすることも、容易に可能だが、有利には、
中間の軸が半径方向に拡大された部分を有するように
し、それによって複数軸の外径が、回転子取付け区域で
は軸線方向に整列されるようにする。また、その場合、
各電動機及び電動機と一緒に回転する部材の慣性モーメ
ントを、少なくともほぼ等しくする。更に、各電動機
は、軸方向に出来るだけ密に配置して、傾倒トルクが低
減されるようにする。

【００１９】回転子の磁石を接着するのに適した有利な
接着剤は、ロクタイド（Ｌｏｃｔｉｄｅ）３２５号及び
ロクタイド・アクチベータ７０７号である。

【図面の簡単な説明】

【図１】一例として、当業者に周知の巻線機と組合わせ
て示した駆動システムの略示断面図。

【符号の説明】

１ 駆動システム ２ 巻取スピンドル ３ 供給リール ４ａ，５ａ 回転子 ４ｂ，５ｂ 固定子 ６ ハウジング ７ 巻取ヘッド ８ 外側軸 ９ 精密軸受 １０ 電子式制御ユニット １１ 引張部材の駆動装置 １２ 引張部材 １３ 光発生材料 １４ コアワイヤ １５ 引張力発生器 １６ 引張棒 １７，１８，１９ 変向ローラ

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも２個の同軸的に配置された軸
   （２，８）を有する装置を精密駆動するシステムであっ
   て、各軸を個別に駆動する電動機が各軸に備えられてい
   る形式のものにおいて、電動機の回転子（４ａ，５ａ）
   が、装置の各軸（２，８）に直接固定されていることを
   特徴とする精密駆動システム。
2. 【請求項２】 電動機が、永久磁石回転子（４ａ，５
   ａ）を有するブラシなし電動機であることを特徴とす
   る、請求項１記載の駆動システム。
3. 【請求項３】 永久磁石回転子（４ａ，５ａ）のそれぞ
   れが各軸（２，８）に接着固定されていることを特徴と
   する、請求項２記載の駆動システム。
4. 【請求項４】 前記すべての電動機に共通のハウジング
   （６）を有し、前記電動機が軸方向にスタガ形式にずら
   されて、かつまた互いに隣接して前記ハウジング（６）
   内に配置されていることを特徴とする、請求項１記載の
   駆動システム。
5. 【請求項５】 各電動機に連結され、電動機の、ひいて
   は電動機が連結されている軸（２，８）の速度を制御す
   る電子制御ユニット（１０）を有することを特徴とす
   る、請求項１記載の駆動システム。
6. 【請求項６】 電灯用のコイルフィラメントを製造する
   巻線機と請求項１記載の電気式駆動システムとが組合さ
   れていることを特徴とする組合せ装置。
7. 【請求項７】 前記電気式駆動システムが２個の電動機
   を有し、同軸配置された軸が、中空の内側スピンドル
   （２）と、これを包囲する中空の外側軸（８）とから成
   り、回転子（４ａ，５ａ）の１つ（４ａ）が前記内側ス
   ピンドル（２）に取付けられ、回転子（４ａ，５ａ）の
   うちの他方（５ａ）が前記中空の外側軸（８）に取付け
   られており、フィラメント材料供給リールが備えられ、
   前記中空の外側軸（８）に固定され、更に、前記中空の
   外側軸（８）に固定された、フィラメント材料供給リー
   ルが備えられていることを特徴とする、請求項６記載の
   組合せ装置。
8. 【請求項８】 各電動機に連結された電子制御ユニット
   （１０）が、電動機と、電動機の連結された軸（２，
   ８）との速度を制御することを特徴とする、請求項７記
   載の組合せ装置。
9. 【請求項９】 少なくとも２個の軸が、内側スピンドル
   （２）と、この内側スピンドル（２）と同軸的に配置さ
   れた少なくとも１個の中空外側軸（８）とから成り、こ
   の中空外側軸が、スピンドル（２）に固定された回転子
   （４ａ）の位置より、軸方向で前方に終っており、前方
   スピンドル（２）と各中空外側軸（８）との外径が、回
   転子（４ａ，５ａ）の取付けられている個所では実質的
   に等しいことを特徴とする、請求項７記載の組合せ装
   置。
10. 【請求項１０】 それぞれ前記スピンドル（２）と前記
    中空外側軸（８）とに取付けられた軸受レースを有する
    玉軸受が備えられており、スピンドル（２）と、回転子
    （４ａ）と、軸受レースとの慣性回転モーメントが、中
    空外側軸（８）と、これに取付けられた回転子（５ａ）
    と、軸受レースとの慣性回転モーメントと、少なくとも
    ほぼ等しいことを特徴とする、請求項７記載の組合せ装
    置。