JPH06255326A - タイヤ内圧表示警報装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】不特定多数の一般車両のタイヤ内圧を正確に即
時検出できるだけでなく、低下のみならず過剰について
もタイヤ内圧の異常を検出し、その検出値を表示すると
共に必要に応じて警報を発する。 【構成】車両の走行路面に敷設され、走行車両のタイヤ
が上面を通過することにより該タイヤの接地圧分布を検
出する圧力センサ帯１ａ，１ｂと、この圧力センサ帯１
ａ，１ｂで検出したタイヤ接地圧分布中の荷重中心位置
での接地圧と、予め与えられる回帰係数及び切片の定数
とから該タイヤの内圧を推定演算する演算部４と、この
演算部４で得たタイヤ内圧を表示する一方、得たタイヤ
内圧が予め設定された範囲を外れた場合に警報を表示に
より発する表示部５とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車のタイヤ内圧を
検出して表示し、必要に応じて不良を警報するタイヤ内
圧表示警報装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車のタイヤ内圧の低下を警告する装
置として、従来は実公昭５７−１２２４０５号に記載さ
れた技術が知られている。図６はその回路構成を示すも
ので、小型ロードセル９ａ，９ｂを収納した一対のロー
ドセル帯を道路上に敷設し、これら小型ロードセル９
ａ，９ｂ上にタイヤ１６を位置させた際にその出力をそ
れぞれストレーンメータアンプ１０ａ，１０ｂで増幅し
た後にＡ／Ｄ変換器１１ａ，１１ｂでデジタル化し、メ
モリ回路１２ａ，１２ｂに一旦記憶させる。これらメモ
リ回路１２ａ，１２ｂは共にタイヤ１本分の接地幅に対
応するデジタルデータを記憶するもので、これらメモリ
回路１２ａ，１２ｂの内容により演算回路１３が接地圧
分布の不均一性からタイヤ内圧の低下を判断し、警報装
置の警報ランプ１４ａ〜１４ｄのいずれか該当するもの
を選択して点灯表示させる一方、警報ブザー１５で不良
を放音警告するものである。

【０００３】しかるに、上記演算回路１３がソフトウェ
アによりタイヤ内圧の低下を判断するアルゴリズムは次
のようになっている。すなわちこのアルゴリズムは、荷
重中心方向における接地幅方向のタイヤ接地圧分布の形
状を用いるものである。内圧正常時の接地圧分布は図７
の実線で示すように接地中心部も端部も略均等となって
いるが、内圧異常時の接地圧分布は図７の破線で示すよ
うに接地中心部の接地圧Ｖc が端部の接地圧Ｖmax より
も低下し、不均等となる現象を利用するものであり、 Ｖc ≦Ｖmax ×α …(1) （但し、α：タイヤの構造等による諸性質や測定条件に
応じた定数。）なる関係を成立する場合にタイヤ内圧が
異常に低下しているものとして警報を発するものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
技術で得られる接地圧分布は、図８に示すように同じタ
イヤ内圧であってもタイヤ荷重量によって変化する。図
８の実線は基準荷重時の接地圧分布を示し、破線は基準
荷重に対して１５０％荷重時の接地圧分布を示す。ま
た、図９に示すように接地圧分布は同じタイヤ内圧及び
荷重条件であってもタイヤ銘柄Ａ，Ｂによって変化す
る。

【０００５】したがって、先に示した（１）式により警
報を発生させるためには、（１）式中の定数αの値をタ
イヤ荷重量やタイヤ銘柄によって適切に選択する必要が
あるが、一般車両が装着している全ての荷重条件、タイ
ヤ銘柄に対応したαの値を求め、車両毎に適切に選択す
ることは不可能である。したがって、かかる従来技術で
は特定銘柄のタイヤを装着した特定車両のタイヤ内圧の
低下を検出し警報を発生することはできても、不特定の
一般車両に装着された不特定銘柄のタイヤ内圧の低下を
検出し警報を発生することは不可能である。また、上記
（１）式から検出できるのはタイヤ内圧の低下のみであ
り、内圧の過剰な充填を検出して警報を発生させること
はできない。

【０００６】本発明は上記のような実情に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、タイヤ荷重やタイ
ヤ銘柄に拘らず、低下のみならず過剰についてもタイヤ
内圧の異常を検出し、その検出値を表示すると共に必要
に応じて警報を発することが可能なタイヤ内圧表示警報
装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段及び作用】すなわち本発明
は、車両の走行路面に敷設され、走行車両のタイヤが上
面を通過することにより該タイヤの接地圧分布を検出す
る検出部と、この検出部で検出したタイヤ接地圧分布中
の荷重中心位置での接地圧と、予め与えられる回帰係数
及び切片の定数とから該タイヤの内圧を推定演算する演
算部と、この演算部で得たタイヤ内圧を表示する表示部
と、上記演算部で得たタイヤ内圧が予め設定された範囲
を外れた場合に警報を発する警報部とを備えるようにし
たもので、上記回帰係数及び切片の定数がタイヤ荷重や
タイヤ銘柄等とは関係しないために不特定多数の一般車
両のタイヤ内圧を正確に即時検出できるだけでなく、低
下のみならず過剰についてもタイヤ内圧の異常を検出
し、その検出値を表示すると共に必要に応じて警報を発
することが可能となる。

【０００８】

【実施例】以下図面を参照して本発明の一実施例を説明
する。

【０００９】図１はその回路構成を示すもので、それぞ
れ圧力センサ６を２行×ｎ列に配列してなる圧力センサ
帯１ａ，１ｂを道路上に敷設する。これら一対の圧力セ
ンサ帯１ａ，１ｂ上は共に車両の走行進路上の路面に走
行進路にその行方向が直交するようにして埋設されるも
ので、その構造の詳細は後述するが、その列数ｎはセン
サ間の間隔を考慮した上で通常の一般車両のタイヤ幅に
対応できるだけの数が選択される。

【００１０】そして、圧力センサ帯１ａ，１ｂに帯して
走行車両の図示しないタイヤが上部を通過する際と、そ
のセンサ出力をそれぞれアンプ２ａ，２ｂを介して増幅
した後にＡ／Ｄ変換器３ａ，３ｂでデジタル化し、演算
部４へ送出する。演算部４では、タイヤの接地圧分布中
の特に荷重中心位置での接地圧と、予め与えられる回帰
係数及び切片の定数とから各タイヤ内圧を各輪の荷重値
と共に推定演算する。

【００１１】そして、この演算部４で得たタイヤ内圧及
び荷重値は表示部５に送られ、ここで数値として４輪独
立して表示されると共に、特に得たタイヤ内圧が予め設
定された範囲を外れた場合には、その外れた方向に対応
した警報、例えば該当するタイヤのシンボルの外側ある
いは内側に、異常を示す複数の線を表示させることで警
報を発するようにする。

【００１２】図２は上記圧力センサ帯１ａ（１ｂ）の構
造を示すものであり、圧力センサ６がタイヤ断面方向に
同一位置で、タイヤ周方向に位置が異なる２点の接地圧
を検出するために、堅牢な容器７内に距離Ｌ、断面方向
間隔Ｄを隔ててその上端面が揃えて２ｎ個配列されるも
のである。ここで、２列の圧力センサ６の一方の列を６
ｆ、他方の列を６ｒとする。また、これら圧力センサ６
ｆ，６ｒの受圧面（上面）はゴムシート８により保護さ
れる。

【００１３】上記のような構成にあって、実際に圧力セ
ンサ帯１ａ，１ｂ上を走行車両のタイヤが通過した場合
の接地圧の時系列波形の典型例を図３に示す。圧力セン
サ帯１ａ，１ｂそれぞれの圧力センサ６ｆ，６ｒで検出
された接地圧はアンプ２ａ，２ｂで増幅された後にＡ／
Ｄ変換器３ａ，３ｂでデジタル化され、演算部４へ送ら
れる。

【００１４】演算部４では、検出された接地圧がある設
定値Ｐｔを越えた場合に、圧力センサ帯１ａ，１ｂ上を
走行車両のタイヤが通過したと判断し、接地圧の変化を
内部に設けたメモリ（図示せず）上に取込む。この取込
んだ接地圧の時系列波形の中で、タイヤの断面方向の中
心位置の圧力を検出していると考えられるセンサ６の時
系列変化波形のＰｔを越える圧力を検出している時間長
Ｔc 及び時間中心値を読取り、これを荷重中心の接地圧
Ｖc とする。

【００１５】ところで、圧力センサ帯１ａ，１ｂから検
出されるタイヤ接地圧分布の荷重中心位置での接地圧Ｖ
c とタイヤ内圧Ｉ．Ｐとの関係において、種々のタイヤ
銘柄を用いての測定結果を図４に示す。同図に示すよう
に荷重中心位置の接地圧Ｖcとタイヤ内圧Ｉ．Ｐの間に
は高い相関性があり、これを数式化すると Ｉ．Ｐ＝β×Ｖc ＋γ …(2)

【００１６】と表わすことができる。ここで、β，γは
共に図４（２）に示す回帰直線Ｒから得られるもので、
βは傾き（回帰係数）、γは切片を表わす定数である。
これらβ，γの値はタイヤ銘柄、タイヤ荷重等に依存し
ないため、一般車両に装着された特定されないタイヤの
内圧Ｉ．Ｐを荷重中心位置の接地圧Ｖc から推定するこ
とができるようになる。

【００１７】しかるに演算部４では、予め上記β，γの
数値を定数として設定しておくことで、取込んだ荷重中
心位置の接地圧Ｖc からタイヤの内圧Ｉ．Ｐを演算によ
り推定することができるものである。

【００１８】また演算部４では、次のようなアルゴリズ
ムでタイヤ荷重Ｗを演算する。すなわち、距離Ｌだけ離
れたｎ組の圧力センサ６中のｉ番目の時系列波形の相互
相関関数から、この関数が最大となる時刻Ｔｍｉを求
め、通過するタイヤの平均速度Ｖａｉを次式により算出
する。つまり、 Ｖａｉ＝Ｌ／Ｔｍｉ …(3) この（３）式で求めたタイヤ平均通過速度Ｖａｉから、
このｉ番目の圧力センサ組がタイヤが通過した時に検出
した荷重Ｗｉは、

【００１９】

【数１】 で求められる。この（４）式により、圧力センサ帯１ａ
（１ｂ）が検出した１本のタイヤ荷重Ｗは、

【００２０】

【数２】

【００２１】で求められる。この（５）式で求められた
タイヤ荷重Ｗは表示部５で表示され、また警報表示／発
生のために定めるタイヤ内圧範囲をこの荷重Ｗの関数と
して利用することも可能である。図５は上述した上記タ
イヤ内圧の検出から警報発生に至るまでのアルゴリズム
をししフローチャートである。

【００２２】なお、上記図１は２輪／４輪車両を対象と
した構成を示したものであるが、圧力センサ帯の配設、
表示部５の変更により複輪タイヤや３軸以上の車両にも
対応可能であることは勿論である。

【００２３】上記のような構成のタイヤ内圧表示警報装
置を例えば高速道路のインターチェンジ、ランプの入り
口部分に設置することにより、高速道路に乗入れようと
する車両のタイヤ内圧の不良を警告することが可能とな
り、タイヤ内圧不良で発生するタイヤ故障や事故を未然
に防ぎ、道路の安全運行の一助とすることができる。ま
た、同様に上記タイヤ内圧表示警報装置を例えばガソリ
ンスタンド等の内圧補充設備のある場所に設置すれば、
車両の日常点検具としても利用可能である。

【００２４】

【発明の効果】以上に述べた如く本発明によれば、不特
定多数の一般車両のタイヤ内圧を正確に即時検出できる
だけでなく、低下のみならず過剰についてもタイヤ内圧
の異常を検出し、その検出値を表示すると共に必要に応
じて警報を発することが可能なタイヤ内圧表示警報装置
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る回路構成を例示する
図。

【図２】図１の圧力センサ帯の詳細な構造を示す図。

【図３】図１の圧力センサ帯で検出される接地圧の時系
列波形を示す図。

【図４】同実施例に係るタイヤ内圧と荷重中心接地圧の
関係を示す図。

【図５】同実施例に係るタイヤ内圧表示／警報のアルゴ
リズムを示すフローチャート。

【図６】従来のタイヤ内圧の低下警報装置の回路構成を
例示する図。

【図７】内圧の異なるタイヤの接地圧分布を示す図。

【図８】荷重の異なるタイヤの接地圧分布を示す図。

【図９】銘柄の異なるタイヤの接地圧分布を示す図。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ…圧力センサ帯、２ａ，２ｂ…アンプ、３
ａ，３ｂ，１１ａ，１１ｂ…Ａ／Ｄ変換器、４…演算
部、５…表示部、６…圧力センサ、７…容器、８…ゴム
シート、９ａ，９ｂ…小型ロードセル帯、１０ａ，１０
ｂ…ストレーンメータアンプ、１２ａ，１２ｂ…メモリ
回路、１３…演算回路、１４ａ〜１４ｄ…警報ランプ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の走行路面に敷設され、走行車両の
   タイヤが上面を通過することにより該タイヤの接地圧分
   布を検出する検出部と、 この検出部で検出したタイヤ接地圧分布中の荷重中心位
   置での接地圧と、予め与えられる回帰係数及び切片の定
   数とから該タイヤの内圧を推定演算する演算部と、 この演算部で得たタイヤ内圧を表示する表示部と、 上記演算部で得たタイヤ内圧が予め設定された範囲を外
   れた場合に警報を発する警報部とを具備したことを特徴
   とするタイヤ内圧表示警報装置。