JPH06249222A - 緩み止め付き固着具およびその固着具用工具 - Google Patents

緩み止め付き固着具およびその固着具用工具

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JPH06249222A
JPH06249222A JP6137693A JP6137693A JPH06249222A JP H06249222 A JPH06249222 A JP H06249222A JP 6137693 A JP6137693 A JP 6137693A JP 6137693 A JP6137693 A JP 6137693A JP H06249222 A JPH06249222 A JP H06249222A
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Toyoji Hashimoto
豊治 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単で量産に向き、生産コストが低
く、施工の如何にかかわらず作用・効果が確実であっ
て、使用が容易、反覆使用に耐える緩み止め付き固着具
および締め付け工具の提供。 【構成】 ねじ軸2の自由端の一部分ねじ溝底面に沿
い、または前記自由端から延長した軸周面に施した鋸歯
状ローレット3に対し、前記ねじに螺合する雌ねじを有
するナット5の一平面側に固定したL状板ばね6の中間
辺に突設した係止爪8を、前記板ばね6の弾性により圧
接・係止し、ボルト1に対してナット5を一方向回転の
み許容するようにする一方、前記板ばね6の自由端湾曲
部9を締め付け工具10に設けたピン12により変位させ
て、前記係止爪8を、ネジ溝底または延長軸周面の鋸歯
状ローレット3の係合から外すことを可能にしたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、緩み止め機構を備えた
固着具、詳しくは、ボルトのねじ軸に対するナットの緩
み、または脱落を確実に防止することができる係脱可能
な固着具および、その締め付け・緩め用工具に関する。
【0002】
【従来の技術】ボルト・ナットの間は、ねじ長手軸の周
囲に設けたねじ山・溝面を介して係合し、締め付け力に
基づき生ずる長手軸方向反力のねじ山・溝面間の摩擦力
の分力によって相互の回転が止められ、締着関係を維持
するように設けられている。しかしながら、ねじ山・溝
面間に生じている摩擦力は結局、滑らかな勾配面相互間
に生じているだけであるから、温度変化による固着具ま
たは締付け具・部材間の膨張・収縮、長期にわたる振動
の繰返しなどによるねじ勾配面相互の滑り、その他の外
的な物理条件に基づいて、ボルト・ナット間の上記の締
着条件が破れ、気付かない間に、ボルトのねじ山からナ
ットが緩んだり、脱落するなどして事故の原因となるこ
とがある。
【0003】そこで、この種の事故防止のために設けた
ボルト・ナットの間の緩み止め手段については、従来か
ら各種型式の機構が提案され、また、その改良も行われ
ている。しかし、いずれの場合にも緩み止め部材・構造
が複雑でコストアップのおそれがあったり、施工に手間
がかかり過ぎるとか、機能が確実でないなどなどの問題
点があって、実用化されているケースは必ずしも多くな
い。
【0004】ところで、ボルト・ナット間に施される緩
み止め機構の種類・型式については幾つかに分類される
が、そのうちでもボルト側を加工して、ここに係止部分
を成形し、ナット側に設けた係止爪を、そこに止着する
ようにしたボルト・ナットの緩み止め機構・型式のもの
は、本出願前から数多くはない。けだし、ボルト側に形
成した係止部分に常時、締付け(引張)力が掛る場合に
は、同部分に応力が集中し長い間に素材(ボルト)の疲
労破壊が生ずるおそれが多分にあるからである。しかし
ながら、当該構造によれば、ボルトとナットとの間に機
械的な係止部材を介在させてあるから、その作用、効果
は比較的に確実で、かつ、施工も簡単である。
【0005】ここに、その種の一例を挙げれば、実公昭
30−10808 号公報に記載されたような緩み止め付き固着
具であって、当該緩み止め機構は、ボルトのねじ山部分
にローレットを施しナットをねじ軸に螺合して締付けた
後、ナット側に立設した突子とボルトのねじ山との間
に、前記ローレットに噛合する縦溝を備えた「楔」を嵌
着し、これを紐体を用いて前記突子に縛り付けることに
より、ナットの緩み止め機構が構成されている。
【0006】また、本出願前、本出願人らが開発、出願
した特願平4−165494号「緩み止め付固着具」がある。
この型式の緩み止め機構は、ボルトのねじ溝底面に鋸歯
状ローレットを形成し、前記ねじ軸に螺合するナット側
に穿設加工して、そこに係止爪付きバネ部材を嵌着し、
その係止爪を前記ねじ溝の鋸歯状ローレットに係合させ
て、両者間に緩み止め作用を行わせるものである。
【0007】前者の型式の緩み止め機構は、ボルトのね
じ山部分のローレットが他部材に係止するとか、締め付
け後にローレット部分からねじ軸に亀裂が生じるとか、
ボルト・ナットとは別個の、緩み止めのために「楔」部
材を準備する必要があるとか、施工上「楔」を、ねじ山
とナットの突子との間に噛合・装着して、これを紐状部
材でナットの突子に縛り付ける工作が必要になるなど、
「楔」のセットが面倒で、緩み止め機構を完成するまで
に細心な工作が要求される上、この後処理に手抜きがあ
ると、ボルト、ナット間の緩み防止手段が不完全になる
おそれがある。
【0008】後者の場合は、その後の研究により、 固着具の締め付け時に、ボルトのねじ溝底面に施し
た鋸歯状ローレットに応力が集中して、長い間にねじ溝
からひび割れが生ずるおそれがある。 ナット自体に孔開け加工を施すため、ナットの強度
規格をクリヤーしないおそれがある。 固着具の締め付け固着時に、ナット側の係止爪が適
切にボルトのねじ溝底面に施した鋸歯状ローレットに係
合しないことがある。 必要に応じ、固着具を緩めようとしても、緩み止め
機構の解除が困難である。 といった問題点があることが判った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は従来公
知の、この種型式に内在する問題点を解消することを目
的とし、構造が簡単で、量産に適し、生産コストを低く
することができ、施工の如何にかかわらず作用が確実で
あって、使用範囲が広く使用が容易で、必要に応じて反
覆使用に耐える緩み止め付き固着具および、その締め付
け・緩め用工具を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述目的を達
成するために、以下に述べるとおりの各構成要件を具備
している。 (1) ボルトのねじ山の長さの自由端部付近のねじ溝
底面のみ、または前記自由端から延長した軸周面母線方
向に鋸歯状ローレットを形成したボルト、前記ボルトの
ねじ山に螺合する雌ねじを備えたナットの一側面に脚部
を固着したばね板よりなるアームを、前記ねじ軸方向に
沿って立ち上げて、そこからボルトねじ山方向に並行し
て延長した、その自由端の前記ねじ山側に近接した前記
ねじ溝相当部に対向・押圧する一部に係止爪を形成し、
前記自由端の残部を外側に湾曲させると共に、ナットの
一側面と前記係止爪位置との間は、ねじ軸方向にやや隔
離して形成した係止爪付きナットよりなり、ナットの係
止爪とボルトのねじ溝底面または延長軸周面の鋸歯状ロ
ーレットとの関係は、前記ナットをボルトのねじ軸に対
し緩め方向に回転するとき、ナットに対しボルト頭と反
対側に位置してボルトねじ軸の溝底面または延長軸周面
に形成した鋸歯状ローレットを押圧している前記係止爪
が、ねじ溝底面または延長軸周面の鋸歯状ローレットに
係止することを特徴とする緩み止め付き固着具。
【0012】(2) ボルトのねじ軸に螺合するナット
の一側面に脚部を固着したばね板よりなるアームを、前
記ねじ軸方向に沿って立ち上げ、そこからボルトねじ山
方向に並行して延長し、その自由端を前記ねじ山側に近
接して折曲げ、ねじ溝相当部に対向・押圧する一部に係
止爪を形成し、前記自由端の残部を外側に湾曲させると
共に、ナット一側面と前記係止爪位置との間は、ねじ軸
方向にやや隔離して形成してなる係止爪付きナットが嵌
合する工具の係合穴の底面に、前記ナットの雌ねじ軸に
並行した複数個のピンを設け、前記ピン先端部には面取
りを施すと共に、前記係合穴に前記ナットを嵌合したと
き、ナットに取付けた、ばね板部材自由端湾曲部に係合
して、前記ナットの係止爪とボルトのねじ溝または延長
した軸周面に設けた鋸歯状ローレットとの係止を開放す
る位置関係を有するようにしたことを特徴とする緩み止
め付き固着具用工具。
【0013】
【作用】 ボルトのねじ軸にナットの雌ねじを螺合すると、ナ
ット側に固着したばね板の自由端に形成された係止爪先
端部が前記ばね板に付勢されボルトのねじ溝底または延
長軸周面に形成さた鋸歯状ローレットに強く係合し、ナ
ットの締付け方向回転の場合には前記係止爪がローレッ
トの凹凸部を乗り越して支障がないが、ナットを逆向き
(緩め方向)回転をさせようとすると鋸歯状ローレット
と係止爪とが係止するので、ボルトのねじ山に対しナッ
トを回すことが可能でなくなる。
【0014】 したがって、ナットに対し緩み方向の
トルクが掛かっても、ボルト・ナットの間での相互回転
は起り得ないし、仮に回転可能であっても、それはナッ
トの締付け方向にのみ可能である。 ナットのねじ溝底に施した鋸歯状ローレットの長さ
は、ねじ山の自由端の一部分にのみであり、また、前記
延長軸の長さも所定長であるから、定められた使用状態
の許では、鋸歯状ローレットを設けてあるねじ軸または
延長軸は、螺合したナットの雌ねじに掛らない位置にあ
る。
【0015】ねじ溝底または延長軸周面に施した鋸歯状
ローレットは、もっぱら係止爪を係止してナットの緩み
止めのためにだけ利用され、固着具締め付けの際に生じ
るナットの締め付け力に基づく応力が掛らないようにさ
れている。また、ナットに設けた係止爪の位置は、ナッ
トの一側面に対し、ねじ軸方向にやや隔てて設けている
から、固着具の締め付け部(ナット)から外れたところ
で前記ネジ溝底または延長軸周面の鋸歯状ローレットと
係合する。
【0016】 ねじ山に対するナット雌ねじの初の螺
合では、前記係止爪の先端部が螺合方向に勾配を備えて
いるため、前記の勾配面が、ねじ溝底鋸歯状ローレット
の凹凸部に当接しても係止爪が、ばね付勢に抗して変位
するだけで、ねじ軸に対するナットの進入を妨げること
はない。 何らかの都合で、この種型式のボルト・ナットの締
付けを解除したい場合は外力を加えてばね板の自由端湾
曲部を、ねじ軸面から離れる方向に移動させ、ばね板の
付勢に抗して係止爪先端をねじ溝底または延長軸周面の
鋸歯状ローレットの係止から離脱させるようにすれば、
ナットが備える緩み止め機能が解除され、ナットを緩め
方向に回すことが可能になる。
【0017】 ボルトのねじ溝または延長軸周面に設
けた前記鋸歯状ローレットの形状が多少、不正確であっ
ても、ばね板が自由状態にあるときは前記係止爪は、常
時、ばね力によって、ボルトのねじ溝または延長軸周面
の鋸歯状ローレット側に押圧されているので、両者間の
ラチェット係合が外れることはなく、ねじ軸に対するナ
ットの緩み方向回転は起こり得ない。それよりも、むし
ろ固着具の締め付け時において、前記係止爪のねじ軸方
向位置が、ボルトのねじ溝底と一致することが重要であ
る。仮りに、締め付け時、上記両者の位置が、ねじ軸中
心方向に対し完全に一致していないことを検知した場合
には、ばね板アーム部を塑性変形させ、両者の位置を一
致させることが緩み止め機能を確実にするのに有効であ
る。ただし、ボルトのねじ軸の延長軸周面に鋸歯状ロー
レット設けた場合には、上記の不都合は生じない。
【0018】 ねじ中心軸に直交する平面において、
係止爪を支持する板ばねの方向と、ねじ軸中心と係止爪
先端とを結ぶ線とが直角より小さな角で交わるようにす
れば、ナットの緩む方向の力に対して前記の係止爪に
は、ねじ溝底または延長軸周面の鋸歯状ローレット方向
に移動しようとする分力が、より掛かり、良好に係止す
るであろう。 ナットの係止爪取付け側を、締付け工具のナット係
合穴に向けて嵌合させると、ナットの係止爪を有する板
ばねの自由端湾曲部が締付け工具のナット係合穴底部に
設けたピン先端の一つに係合して、前記湾曲部をねじ軸
に対し外方に偏位させるために、連係してばね板がナッ
トの係止爪を外方に移動させ、これを螺合するねじ溝底
または延長軸周面に設けたローレットから開放する。
【0019】 本発明によれば、締め付け部(ナット
の螺合位置)よりも外方のねじ軸のねじ溝底にのみ、ま
たは延長軸周面に鋸歯状ローレットが施されており、当
該個所には締め付け応力が掛かることがないので、それ
が疲労破壊の原因になるとか、ローレット加工により、
ねじ軸の強度が損われるといったおそれはなく、ナット
側も孔開け加工を施すことがないから、その強度を落す
おそれもない。ただし、本発明緩み止め付きナットに
は、ロックナットとしての用途もあり、ナット自体から
得られる締め付け強度は、必ずしも強大であることを要
さない。当該ナットの緩み止めのために必要な係止爪ま
たは、ねじ軸のローレットに掛る力は僅かである。緩み
止め機構がすべてナットに付属しているために、使用前
後において緩み止め部品の紛失は起り得ない。
【0020】ねじ溝底または延長軸周面の鋸歯状ローレ
ットのピッチを細かくすれば、ナットの微小角度回転の
調整が可能になり、したがって締め付け力の微小調節が
必要なナットの緩み止めにも対応可能である。施工が容
易であって作用が確実であり、固着具の強度を低下させ
ることなく、長期にわたる緩み止めの効果が得られる。
必要に応じナットの緩み止め機構を開放し、固着具の反
覆使用が可能である。さらに、緩み止め機構が比較的に
簡単で、量産に適し製造コストが嵩まない。等々、従来
公知のこの種型式の緩み止め付き固着具には期待するこ
とのできない格別の効果を奏するものである。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に沿って説明
するが、本実施例を構成する各部材は、本出願当時の当
業界における技術水準の範囲内で適宜の設計変更が可能
であることに鑑みれば、格別の理由を示すことなく本実
施例の構成のみに基づいて本発明の要旨を限定的に解す
べきでない。 (その1)
【0022】図1は、本発明の一実施例の六角ボルトお
よび前記ボルトに施した、ねじ山の側面図、図2は、図
1におけるA−A視断面を示すもので、図中、1は、ボ
ルト頭、2は、ボルト1のねじ軸部であって、3は、ね
じ溝部に沿って連続して形成した鋸歯状ローレットであ
る。図示の実施例は、ねじ軸外径がよりも大きな場合の
ものであるが、ねじ軸外径よりもボルト軸直径よりも大
きなボルトであってよい。前記ローレット3は、ボルト
のねじ2の長さL1 の自由端側の一部、特定長さL2
のみ施して、予め定められた使用条件の許では、締め付
けナットの雌ねじが、ねじ部2の鋸歯状ローレット3位
置よりもボルト頭側に螺合し、前記ナットの外側に固設
した係止爪の先端が鋸歯状ローレット3に係合するよう
にされている。
【0023】鋸歯状ローレット3の向きは、図2で、ね
じ部2の断面を示すように、右ねじの場合は、自由端側
からみて鋸歯の刃が右側にあるように成形する。要する
に、当該右ねじ2にナットを螺合したとき、ナットに固
設した係止爪先端が、ナットの右回りのときには前記鋸
歯状ローレット3の凹凸を乗り越え、左に回そうとする
と係止するような形状に設けるものと理解されたい。こ
のようなねじ溝底に鋸歯状ローレットを施したねじ2
は、ねじ転造機によって成形することができる。
【0024】また、可及的に鋸歯状ローレット3のピッ
チは小さく構成し、これによって、ねじ部2の強度を損
うことなく、ナット締付け力の微小調節のための回転角
調整を可能とし、しかも常に緩み止め機能が働き、ま
た、鋸歯状ローレット3の突起が、ねじ軸に螺合するナ
ットの雌ねじのねじ山部分の邪魔にならない程度に形成
するが、前記鋸歯状ローレット3の突起は少なくともナ
ットの緩み止め作用を確実にする程度の爪掛り凹凸を備
えるものでなければならない。
【0025】ボルト1の、ねじ部2の先端端面は面取り
4が施されていて、ナット側の係止爪が、その雌ねじの
直径方向内側まで突出している場合にも前記面取り4部
により誘導して、これをボルト1のねじ溝底に対向する
よう移動させる。仮りに、そうでない場合でも、係止爪
先端の勾配面が上記面取り4部と同等な作用を奏する。
【0026】図4は、ボルト1に螺合する本発明の一実
施例ナットの側面図、図5は、図4中、B−B矢視の平
面図を示し、図中、5は、六角ナット、6は、六角ナッ
トの一側面において、一端を折り曲げ形成した弓形状脚
部7により前記ナット側面に固着し、ナット5の一側面
に並行して設けたL形状板ばねで、その一方自由端を外
側に折り曲げ・湾曲部9を形成すると共に、その中間辺
上縁のねじ山側に面して係止爪8を折曲げ・立設し、前
記係止爪8先端は、ナット5をボルト1のねじ軸に螺合
するとき、ボルトのねじのねじ溝底に設けた前記鋸歯状
ローレット3に係止可能な位置を占めるよう配置する。
【0027】係止爪8先端は、ナット5の一側面に対
し、ねじ2の軸方向に所定距離L3 (L3 ≒ねじ軸径/
2)だけ離れ、かつ、前記ナットに設けた雌ねじの山の
軌跡の上にあるように設ける。もっとも、係止爪8先端
位置は、ねじの軸方向に若干、変位させることができる
ように設ける。係止爪8の係止の向きは、ねじ山が右ね
じの場合、ナットの右回り(締付け)方向には板ばね6
の弾性に逆らい(係止爪8は、L状板ばね6の一方の中
間辺に取付けてあるので)ねじ溝底のローレット3の凹
凸を乗越えて前進できるが、左回転(緩み)方向には、
前記鋸歯状ローレット3に係止するように形成する。そ
のとき、係止爪8の先端は、板ばね6の付勢によってボ
ルト1のねじ溝底の鋸歯状ローレット3に圧接状態にあ
る。
【0028】9は、L状板ばね6の自由端湾曲部で、ナ
ツト5に設けた雌ねじの外側に配置され、かつ、その外
側面は六角ナット外面の延長部との間に、僅かな隙間を
設けてある。前記隙間の幅は、後述のピンによって湾曲
部9をナットに対し外方に変位させることによりL状板
ばね6の一方の中間辺に取付けてある係止爪8先端を、
ボルトのねじ軸の溝底に設けたローレット3から外すこ
とができる程度の間隔を与える。
【0029】図6は、前記ナット5をボルト側に螺着す
るためのボックススパナ10の側断面図で、同図は、図7
中のC−C線に沿い切断した断面を示す。図7は、図6
におけるD−D矢視図を示す。図中、10は、ボックスス
パナのボデー、11は、前記スパナの端部に設けた有底六
角穴で、その内側形状は、前記六角ナット5が遊嵌でき
る程度であり、その深さは、ボルトのねじ部2にナット
5を螺着したときに、ボルトのねじ部先端が穴底に支え
ないこと、六角ナット5を角穴11に遊嵌したとき、ナッ
ト5に固着した板ばね6の丈が穴底に支えないこと、た
だし、その際、穴底に立設したピン12の先端が、ナット
5に固着した板ばね自由端湾曲部9に係合するものとす
る。
【0030】前記ピン12の有底穴に対する配置は、それ
ぞれ、有底穴を形成する六角内面のの交差する各稜の付
近に一つ宛設けられ、その先端は外側を面取り13して、
前記有底穴にナットを遊嵌したとき、ピン12のいずれか
一つがナット5に固着した板ばねの湾曲部9の囲みに係
合し、前記ピン12の面取り部13によっ板ばね6の湾曲部
9を、外側に変位させる。その結果、湾曲部9を備えた
L状板ばね6も外側に変位して、前記板ばね6の係止爪
8の先端が、その鋸歯状ローレット係止予定位置から外
れる。
【0031】このボックススパナ10を用いて、上記の緩
み止め機構付きナット5をボルトのねじ山に螺合すると
きには、 L状板ばね6の自由端湾曲部9をピン12の先端13が変
位させ、係止爪8先端をボルトのねじ溝底に設けた鋸歯
状ローレット3の凹凸に係合することなしに締め付け操
作が行われる。
【0032】所要トルクで、本実施例固着具を締め付
けた後、ボックススパナ10を固着具(緩み止め機構付き
ナット)から開放し、スパナのピン12をナットのばね板
6の自由端の湾曲部9から外してL状板ばね6に対する
拘束を解除ことにより、板ばね6の弾性力のみによって
係止爪8が、ねじ溝底鋸歯状ローレット3の凹凸に係合
する。すなわち、通常の意味でナットの緩み止め機能を
保持する。 もっとも、本件固着具は上述ボックススパナ10を用い
ることなく、通常使用されているスパナによって締め付
けることができる。その際は、ナット5の締め方向回転
では、その係止爪8がボルトのねじ溝底の鋸歯状ローレ
ット3の凹凸を乗り越え、緩み方向回転で鋸歯状ローレ
ット3の凹凸に係止爪8が係止する。
【0033】L状板ばね6の自由端湾曲部9を、ねじ
山から隔離する向きに移動させることにより、係止爪8
を、ボルトのねじ溝底鋸歯状ローレット3の係合から開
放しナットに備わる緩み止め機能を無効にすることがで
きる。すなわち、本実施例ナット5をボルトから緩めた
いときには、ナット5の平面外部から操作する楔部材
を、ねじ山とL状板ばねの自由端湾曲部9との間に押し
込み係止爪8をL状板ばね6の付勢に抗してねじの直径
方向外方に移動させることにより、前記爪8と、ねじ溝
底の鋸歯状ローレット3との係合状態を開放し、その位
置関係を保持したままでナットを緩める。これにより、
緩み止め機構付きナットの再利用を可能とする。
【0034】上記の操作は、さきの項に述べたよう
に、前記ボックススパナ10を緩み止め機構付きナット5
に嵌着することにより達成することができることは、い
うまでもない。本実施例中、L状板ばね6の係止爪8を
担持・固着している中間辺は、図4に見られるように係
止爪8先端部と雄ねじの中心軸とを結ぶ直径方向線に対
し直交するのでなく、若干傾斜していることが好まし
い。すなわち、前記の中間ばね板の傾斜によって、係止
爪8の先端に負荷が掛ったときには係止爪8が、より一
層鋸歯状ローレット3側に押し付けられる傾向が生じる
ようにする。前記係止爪8は、L形状に折り曲げた板ば
ね6の中間辺の一部を切り起こして成形しても良い。
【0035】ただし、係止爪8先端部のシャープさは、
対応する鋸歯状ローレット3の凹凸に係合するのに充分
な程度に確保する必要がある。本実施例を構成する各部
材の作用および効果は、さきの〔作用〕の項に説明した
とおりである。本実施例の緩み止め付き固着具は、たと
えば、常時、繰り返し荷重または振動を受ける鉄道軌条
のねじ止め構造、高圧送電線の鉄塔の組立て、通信施設
の送・受信塔を構成する鋼材の組付け等に使用すれば効
果的であり、検査期間を大幅に延長することが可能とな
り、管理上のメリットが大きい。
【0036】(その2)図3は、本発明の別の実施例で
あって、同図において、図1と同一の符号により示され
る部材は、実施例(その1)において説明した部材と同
一素材、同一形状よりなる。図中、41 は、ねじ2軸端
から延長された、ねじと同心で、ねじ溝の径よりも僅か
に小径の軸よりなり、その軸方向長さはL2 であってよ
い。軸41 の外周には母線方向に沿って、係止爪8先端
部に対応する鋸歯状ローレット3の凹凸が施されてい
る。
【0037】前記鋸歯状ローレット3を施した延長軸4
1 の軸方向直角断面の形状は、図2に示すものと、実質
的に同一であり、したがって、その機能は実施例(その
1)に記載の、ねじ溝底に設けられた鋸歯状ローレット
3と同一である。また、本実施例の作用、効果は、実施
例(その1)に述べたところと同一である。ただし、ナ
ットに固着してある係止爪8の、ねじ軸方向に対する位
置に若干のずれがあっても、その係止機能は確実である
点で、実施例(その1)と異なる特徴がある。
【0038】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、ねじ山の
溝底または延長軸周面に鋸歯状ローレットを施したの
で、 (1)それが他部材に接触して傷を付けたり、また、そ
れ自体が変形し機能を失うといったおそれがなく、また
鋸歯状ローレットは、ボルトのねじ山の自由端の一部に
のみ、または延長軸周面に施され、固着具の使用時にナ
ットが螺着される個所から外れているため、前記ローレ
ット加工が固着具の強度に直接的に影響することはな
い。 (2)緩み止め機構が、すべてナット側に付属している
ために、使用前後において部品の紛失は起り得ない。
【0039】(3)鋸歯状ローレット凹凸部と係止爪と
が係合するために、微小角度の締付け段階におけるナッ
トの緩み止めにも対応することができる。 (4)緩み止め機構が比較的に簡単であって量産に向
き、製造コストが嵩まない。 (5)緩み止め機構付きナット用ボックススパナを用い
て、前記ナットをボルト側に締め付けるときは、前記ス
パナに設けたピンがナットの緩み止め機能を解除したま
ま螺着することができ、ボックススパナを前記ナットか
ら外したときは、その緩み止め機能が回復し、緩み止め
機構付き固着具として機能することができる。
【0040】(6)緩み止め機構付きナット用ボックス
スパナを用いれば、一度、締め付けた緩み止め機構付き
固着具のナットを、再度、簡単に緩めることが可能であ
る。すなわち、反覆使用が可能である。 (7)施工法が容易で、その巧拙によって機能に差が生
じることがない。等々、従来公知の、この種緩み止め付
き固着具および締め付け工具には期待することができな
い、格別の作用・効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の六角ボルトおよび、そのね
じ山の側面図である。
【図2】図1におけるA−A線視に沿う断面図である。
【図3】本発明の別の実施例の六角ボルトの側面図であ
る。
【図4】図1に示す六角ボルトのねじに螺合する、本発
明ナットの一実施例側面図である。
【図5】図4に示すB−B矢視によるナットの平面図で
ある。
【図6】本発明固着具用締め付け工具の側断面図で、図
7における、C−C線に沿う断面を示す。
【図7】図6中、D−D矢視による締め付け工具の平面
図を示す。
【符号の説明】
1 ボルト 2 ねじ山 3 鋸歯状ローレット 4 面取り 5 ナット 6 L状板ばね 7 ばね取付け用弓形状脚部 8 係止爪 9 自由端湾曲部 10 ボックススパナ 11 六角嵌合穴 12 ピン 13 面取り部。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】鋸歯状ローレット3の向きは、図2で、ね
じ部2の断面を示すように、右ねじの場合は、自由端側
からみて鋸歯の刃が右側にあるように成形する。要する
に、当該右ねじ2にナットを螺合したとき、ナットに固
設した軽視爪先端が、ナットの右回りのときには前記鋸
歯状ローレット3の凹凸を乗り越え、左に回そうとする
と係止するような形状に設けるものと理解されたい。
お、そのとき加工上、鋸歯状ローレットの成形が困難で
あるとか、能率的でないなどの理由から、この部分を公
知の筋目ローレットにより置換しても、上述の作用、効
果を奏することが確かめられている。このようなねじ溝
にローレットを施したねじ2は、ねじ転造機によって
成形することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】(その2)図3は、本発明の別の実施例で
あって、動図において、図1と同一の符号により示され
る部材は、実施例(その1)において説明した部材と同
一素材、同一形状よりなる。図中、4は、ねじ2軸端
から延長された、ねじと同心で、ねじ溝の径よりも僅か
に小径の軸よりなり、その軸方向長さはLであってよ
い。軸4の外周には母線方向に沿って、係止爪8先端
部に対応する鋸歯状ローレット3の凹凸が施されてい
る。なお、前記鋸歯状ローレットの形状は、これを公知
の筋目ローレットにより置き換えても、作用、効果にお
いて格別の差異が認められない。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボルトのねじ山の長さの自由端部付近の
    ねじ溝底面のみ、または前記自由端から延長した軸周面
    母線方向に鋸歯状ローレットを形成したボルト、前記ボ
    ルトのねじ山に螺合する雌ねじを備えたナットの一側面
    に脚部を固着したばね板よりなるアームを、前記ねじ軸
    方向に沿って立ち上げて、そこからボルトねじ山方向に
    並行して延長した、その自由端の前記ねじ山側に近接し
    た前記ねじ溝相当部に対向・押圧する一部に係止爪を形
    成し、前記自由端の残部を外側に湾曲させると共に、ナ
    ットの一側面と前記係止爪位置との間は、ねじ軸方向に
    やや隔離して形成した係止爪付きナットよりなり、ナッ
    トの係止爪とボルトのねじ溝底面または延長軸周面の鋸
    歯状ローレットとの関係は、前記ナットをボルトのねじ
    軸に対し緩め方向に回転するとき、ナットに対しボルト
    頭と反対側に位置してボルトねじ軸の溝底面または延長
    軸周面に形成した鋸歯状ローレットを押圧している前記
    係止爪が、ねじ溝底面または延長軸周面の鋸歯状ローレ
    ットに係止することを特徴とする緩み止め付き固着具。
  2. 【請求項2】 ボルトのねじ軸に螺合するナットの一側
    面に脚部を固着したばね板よりなるアームを、前記ねじ
    軸方向に沿って立ち上げ、そこからボルトねじ山方向に
    並行して延長し、その自由端を前記ねじ山側に近接して
    折曲げ、ねじ溝相当部に対向・押圧する一部に係止爪を
    形成し、前記自由端の残部を外側に湾曲させると共に、
    ナット一側面と前記係止爪位置との間は、ねじ軸方向に
    やや隔離して形成してなる係止爪付きナットが嵌合する
    工具の係合穴の底面に、前記ナットの雌ねじ軸に並行し
    た複数個のピンを設け、前記ピン先端部には面取りを施
    すと共に、前記係合穴に前記ナットを嵌合したとき、ナ
    ットに取付けた、ばね板部材自由端湾曲部に係合して、
    前記ナットの係止爪とボルトのねじ溝または延長軸周面
    に設けた鋸歯状ローレットとの係止を開放する位置関係
    を有するようにしたことを特徴とする緩み止め付き固着
    具用工具。
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