JPH06248287A

JPH06248287A - 軸受用潤滑組成物

Info

Publication number: JPH06248287A
Application number: JP3571093A
Authority: JP
Inventors: Mitsunari Aso; 光成麻生; Tatsuya Suzuki; 達也鈴木
Original assignee: NTN Corp; NTN Toyo Bearing Co Ltd
Current assignee: NTN Corp
Priority date: 1993-02-24
Filing date: 1993-02-24
Publication date: 1994-09-06

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、軸受用潤滑組成物を、軸受内に充
填した状態で通電機能、帯電防止機能を発揮できるもの
として、軸受に電気的な機能を付加できるものとする。【構成】平均分子量１×１０⁶〜５×１０⁶の超高分
子量ポリオレフィン粉末５〜９９wt％、低分子量ポリエ
チレンを含有する固形ワックス１〜５０wt％、リチウム
石けん−鉱油系潤滑グリース５〜９９wt％およびカーボ
ンブラックを添加混合し、前記超高分子量ポリオレフィ
ンのゲル化点以上かつ前記潤滑グリースの滴点以下の温
度で分散保持させて、電気抵抗の小さい軸受用潤滑組成
物とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、各種軸受に充填され
る軸受用潤滑組成物に関し、特に通電機能、帯電防止機
能が要求される軸受に適用される軸受用潤滑組成物に関
する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、各種転がり軸受には、内部潤滑
性を高めるため、鉱油などの基油に、リチウム石鹸、ア
ルミニウム石鹸またはポリウレアなどの増稠剤を配合し
たグリースが充填されている。そして、高速で回転した
り、大きな慣性力が作用する過酷な使用条件にも耐える
ことが要求される転がり軸受においては、グリースの流
動性を抑制して、長時間安定した潤滑特性を発揮させる
ように、密封装置を付設している。

【０００３】しかしながら、このような軸受を長期的に
完全に密封することは、技術的にも生産コストの上でも
困難である。

【０００４】このような問題を解決する軸受用潤滑組成
物としては、特公昭６３−２３２３９号に記載されてい
るように、超高分子量のポリエチレンと、このポリエチ
レンの融解温度より高い滴点を有する潤滑グリースを配
合し、これを前記融解温度以上に加熱して軸受内に充填
して固形化させるようにしたものが知られている。

【０００５】そして、上記軸受用潤滑組成物は、グリー
スの漏れがなく、コスト性にも優れていることから、事
務機器や自動車などの動力伝達系の軸受としても汎用さ
れるものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記開示され
た固形状の軸受用潤滑組成物は、各種の軸受にそれぞれ
所要の潤滑特性を満足させるものではあるが、電子機器
類のアースを動力伝達系を介して行なう場合や、摺動状
態で電気信号を送受することができないという問題点が
ある。

【０００７】そこで、この発明は、上記した問題点を解
決し、軸受用潤滑組成物を、軸受内に充填した状態で通
電機能、帯電防止機能を発揮できるものとして、軸受に
前記のような機能を付加できるものとすることを課題と
している。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、潤滑グリース５〜９９wt％
に、平均分子量が１×１０⁶〜５×１０⁶である超高分
子量ポリオレフィンの粉末９５〜１wt％と、導電性粉末
とを添加混合して、前記超高分子量ポリオレフィン粉末
のゲル化点以上かつ前記潤滑グリースの滴点以下の温度
で分散保持させ固形状化してなる軸受用潤滑組成物とし
たのである。

【０００９】または、潤滑グリース５〜９９wt％に、平
均分子量が１×１０⁶〜５×１０⁶である超高分子量ポ
リオレフィンの粉末９５〜１wt％と、油の滲出抑制剤１
〜５０wt％と、導電性粉末とを添加混合して、前記超高
分子量ポリオレフィンのゲル化点以上かつ前記潤滑グリ
ースの滴点以下の温度で分散保持させ固形状化すること
もできる。

【００１０】また、上記した導電性粉末はアセチレンブ
ラックであってよい。

【００１１】以下、その詳細を述べる。

【００１２】この発明における超高分子量ポリオレフィ
ン粉末は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン
もしくはこれらの共重合体からなる粉末またはそれぞれ
単独の粉末を配合した混合粉末であってよく、各粉末の
分子量は、粘度法により測定される平均分子量が１×１
０⁶〜５×１０⁶である。このような平均分子量の範囲
にあるポリオレフィンは、剛性及び保油性において低分
子量のポリオレフィンより優れ、高温に加熱してもほと
んど流動することがない。このような超高分子量ポリオ
レフィンの潤滑組成物中の配合割合は９５〜１wt％であ
り、その量は組成物の所望の離油度、粘り強さおよび硬
さに依存する。したがって、超高分子量ポリオレフィン
の量が多い程、所定温度で分散保持させた後のゲルの硬
さが大きくなる。

【００１３】この発明における潤滑グリースは、特に限
定されるものでなく、石けんまたは非石けんで増稠した
潤滑グリースとして、リチウム石けん−ジエステル系、
リチウム石けん−鉱油系、ナトリウム石けん−鉱油系、
アルミニウム石けん−鉱油系、リチウム石けん−ジエス
テル鉱油系、非石けん−ジエステル系、非石けん−鉱油
系、非石けん−ポリオールエステル系、リチウム石けん
−ポリオールエステル系等のグリースが挙げられる。

【００１４】また、この発明に用いる導電性粉末として
は、前記ゲル状の潤滑組成物に帯電防止性または通電性
を付与する粉末であれば、特に限定されるものではな
く、具体例として、アセチレンブラック、ケッチェンブ
ラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックで
あって導電性があるもの、銅、鉄、金、銀、アルミニウ
ム、白金、亜鉛、スズなどの金属微粉末、酸化銀、硝酸
銀、銀等の金属またはこれらの有機化合物の粉末が挙げ
られる。

【００１５】このうちアセチレンブラックは、熱分解法
によってカーボンストラクチャーが発達した構造を呈
し、導電性が高いので特に好ましいものである。このカ
ーボンストラクチャーは、炭素の網平面が重なった結晶
子が集合した一次粒子（平均粒径０．０２６〜０．０４
２μｍ、電子顕微鏡法）からなり、この一次粒子が多数
つながって鎖状または樹脂状の構造となったものであ
る。そして、アセチレンブラックのなかでも、π電子の
移動を固定すると考えられる水素分が可及的に少ない品
質のものが、さらに導電性が良く好ましい。市販のアセ
チレンブラックとしては、粉状のもののほか、取扱に便
利な粒状に成形したものであってもよい。

【００１６】なお、上記したカーボンストラクチャーの
発達した構造を示すガスブラック等のカーボンブラック
であって、アセチレンブラック以外のものを使用できる
のはもちろんである。

【００１７】また、この発明における油の滲出抑制剤
は、潤滑組成物の油性面に滲出する油の離油率を適度に
抑え、即ち油の滲み出しを抑制するものであって、ワッ
クス（ロウ）のうち固体ワックスまたはこれを含む低分
子ポリオレフィンなどを配合したものであってよい。上
記固体ワックスの具体例としては、カルナバロウ、カン
デリナロウ等の植物性ワックス、ミツロウ、虫白ロウ等
の動物性ワックス、またはパラフィンロウなどの石油系
ワックスが挙げられる。このような油の滲出抑制剤の配
合割合は潤滑組成物中１〜５０wt％である。この配合割
合が多い程、離油率が抑制でき、油が滲み出る速度が小
さくなる。しかし、５０wt％を越える多量では、潤滑組
成物の強度を低下させることとなるので好ましくない。

【００１８】前記した潤滑グリースに、超高分子量ポリ
オレフィン、導電性粉末および油の滲出抑制剤を分散保
持させるには、上記した材料を混合した後、超高分子量
ポリオレフィンがゲル化を起す温度以上、たとえば１５
０〜２００℃程度に加熱し、その後、室温にまで冷却し
て固形化させ、油性面すなわち油が滲み出る面のある潤
滑組成物とする。

【００１９】

【作用】この発明の軸受用潤滑組成物は、固形状である
ので、軸受の内・外輪間に安定して保持されており、表
面からの油の適当な滲み出しによりグリースの潤滑特性
を長期間維持すると共に、添加された導電性粉末によ
り、軸受を介するアースまたは電気信号の授受を可能に
する。

【００２０】

【実施例】実施例および比較例に用いる原材料を一括し
て挙げれば、以下の通りである。

【００２１】なお、配合割合は、超高分子量ポリオレフ
ィン、固形ワックス、潤滑グリースについては重量％、
導電性粉末については前記３種類の材料の合計１００重
量部に対する重量部で示した。

【００２２】(1) 超高分子量ポリオレフィン三井石油化学工業社製：ミペロン (2) 低分子量ポリオレフィンを含有する固形ワックス三井化成社製：サンワックスおよび精工化学社製：サン
タイトＳ混合物 (3) 潤滑グリース（基油：鉱油、増稠剤：リチウム石け
ん） (4) アセチレンブラック電気化学工業社製：粒状アセチレンブラック（一次粒子
の平均粒径０．０４２μｍ） (5) カーボンブラック旭カーボン社製：旭カーボンブラックＨＡＦ７０（非導
電性、平均粒径０．０２６μｍ）〔実施例１〜３、比較例１〕原材料を表１に示す配合割
合で混合し、この混合物を円柱成形用の金型に充填し、
この金型を１５０〜１８０℃恒温層で３０分加熱し、放
冷し固形化した後、金型から外して外径１２ｍｍ、長さ
８ｍｍの円柱状の固形物を得た。

【００２３】得られた固形状物の導電性を調べるため、
幅８ｍｍ間の電気抵抗をテスターで測定し、この結果を
表１に併記した。

【００２４】

【表１】

【００２５】表１の結果から明らかなように、導電性材
料としてアセチレンブラックを配合した実施例１および
実施例２は、電気抵抗が５０〜２３０オームと低く、通
電または電気信号の授受が可能なものであり、実施例３
は、帯電防止可能な程度に抵抗が低いものであった。

【００２６】これに対して導電性粉末を添加しなかった
比較例１は、電気抵抗値が２０Ｍオーム以上であり、通
電および帯電防止機能が全く期待できないものであっ
た。

【００２７】

【効果】この発明は、以上説明したように、潤滑グリー
ス、所定の平均分子量の超高分子量ポリオレフィン、油
の滲出抑制剤および導電性粉末をそれぞれ所定量混合し
た軸受用潤滑組成物としたので、慣性力などの過酷な使
用条件にも耐えて、軸受内で長期間安定した潤滑特性を
発揮すると共に、通電機能、帯電防止機能を発揮して、
充填された軸受の電気的機能を高めるという利点があ
る。したがって、このような軸受用潤滑組成物を用い
て、電子機器類のアースを動力伝達系を介して行なう装
置や、摺動状態で電気信号を送受する装置用の軸受に充
填して最適な電気的特性が得られるので、産業上利用価
値の高いものであるといえる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｃ１０Ｎ 20:04 20:06 Ｚ 8217−4Ｈ 30:00 Ｄ 8217−4ＨＺ 8217−4Ｈ 30:02 30:06 40:02 50:08 50:10

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】潤滑グリース５〜９９wt％に、平均分子
量が１×１０⁶〜５×１０⁶である超高分子量ポリオレ
フィンの粉末９５〜１wt％と、導電性粉末とを添加混合
して、前記超高分子量ポリオレフィン粉末のゲル化点以
上かつ前記潤滑グリースの滴点以下の温度で分散保持さ
せ固形状化してなる軸受用潤滑組成物。
【請求項２】潤滑グリース５〜９９wt％に、平均分子
量が１×１０⁶〜５×１０⁶である超高分子量ポリオレ
フィンの粉末９５〜１wt％と、油の滲出抑制剤１〜５０
wt％と、導電性粉末とを添加混合して、前記超高分子量
ポリオレフィンのゲル化点以上かつ前記潤滑グリースの
滴点以下の温度で分散保持させ固形状化してなる軸受用
潤滑組成物。
【請求項３】導電性粉末がアセチレンブラックである
請求項１または請求項２に記載の軸受用潤滑組成物。