JPH06240309A - 中空金属微粒子、中空金属微粒子含有金属粒子群およびこれらの製造方法 - Google Patents

中空金属微粒子、中空金属微粒子含有金属粒子群およびこれらの製造方法

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JPH06240309A
JPH06240309A JP5047379A JP4737993A JPH06240309A JP H06240309 A JPH06240309 A JP H06240309A JP 5047379 A JP5047379 A JP 5047379A JP 4737993 A JP4737993 A JP 4737993A JP H06240309 A JPH06240309 A JP H06240309A
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metal
particles
hollow
hollow metal
metal fine
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Application number
JP5047379A
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English (en)
Inventor
Susumu Kawase
瀬 進 川
Satoru Okajima
島 悟 岡
Tatsuhiro Imai
井 達 裕 今
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Soken Kagaku KK
Original Assignee
Soken Kagaku KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明の中空金属微粒子は、中空金属微粒子の
粒径が1μm〜2mmの範囲内にあり、中空金属微粒子を
形成する金属層の厚さDと中空金属微粒子の中空部の直
径Rとが、中空金属微粒子の粒径が1〜20μmでは、
0.05μm≦D、かつD/R≦0.25の関係を有し、
中空金属微粒子の粒径が20μmを超え2mm以下では、
0.05μm≦D≦5μmの関係を有し、そして、この
金属層の少なくとも一部に開口部を有する。また中空金
属微粒子含有金属粒子群は、上記微粒子を少なくとも1
個含有している。この中空金属微粒子は、有機重合体か
らなる芯材上に金属層を形成し、次いでこの芯材を除去
することにより製造される。 【効果】本発明の中空金属微粒子および粒子群は粒子1
個当たりの接触可能面積が非常に大きく、また比重が小
さい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は内部が中空である新規な金
属微粒子(中空金属微粒子)、この中空金属微粒子を含
有する中空金属微粒子含有金属粒子群、この中空金属微
粒子およびこの中空金属微粒子含有金属粒子群を製造す
る方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来から金属の微粉末を製造する
際には、製造方法上種々の制約があり、所望の粒子形状
や粒子径、粒度分布等を有する金属粉末を製造するのに
相当の困難を要することが多い。こうした制約にも拘ら
ず、粒子径が小さく、表面積の大きな金属粒子は極めて
有用性が高いため、例えば、塗料、インキ、接着剤、感
圧接着剤、プラスチック成形用およびゴムなどにおける
金属充填剤としての導電性付与材料、帯電防止性付与材
料、熱拡散性付与材料および電磁波シールド性付与材
料;研磨材や摩擦材料、制振鋼板用充填剤、電子写真現
像用キャリアー、トナー内添剤、外添剤、電池用電極材
料、化学反応の触媒、ガス吸着剤、電解研磨用砥粒材、
溶接助材、温度センサー、ベアリング摺動材、写真フィ
ルム用増感剤、遮熱材、遮音材、土壌改良剤、診断薬用
材料、磁性流体用材料、ならびに、焼結助剤などとして
使用されている。
【0003】また、金属微粉末の焼結体は、多孔質で表
面積が大きいことから、蓄電池の電極、触媒等として使
用されている。このような多孔質金属焼結体を種々の用
途に使用する場合には、表面積をできるだけ大きくする
ことが好ましい。
【0004】多孔質金属焼結体は、用いる金属微粉末の
粒子径が小さいほど表面積が大きくなるので、焼結原料
である金属微粉末の粒子径をできるだけ小さくする方向
で研究が進められている。
【0005】例えば、BirringerおよびGleiter(西ドイ
ツ)やSiegelおよびHahn(米国)らのグループは、金属
超微粒子の緻密焼結体を得るために生成した金属超微粒
子を大気に接触させることなく生成後そのまま焼結する
方法を採用している。具体的には、ガス中で、蒸発法に
より生成させた超微粒子をそのまま高真空中数GPaの圧
力に減圧して低温焼結することによりナノメータオーダ
ーの粒径の超微細組織の焼結体を製造している((1) R.
W. Siegel and H. Hahn: Nanophase Materais. in CUR
RENT TRENDS IN THE PHYSICS OF MATERALS. M. Yussouf
f ed., world Scientific Publ. Co,. Singapore. p.40
3 (1987) 参照)。
【0006】また、上記とは別に、林らは、一旦徐酸化
処理した金属超微粉末を還元し、焼結する方法により表
面積の大きい焼結体を得ている。すなわち、徐酸化処理
した金属超微粒子に、成形、還元、焼結操作を巧みに組
み合わせ、微細組織の焼結体を得ている。例えばCu超
微粉末の場合、無加圧あるいは加圧焼結することにより
ミクロンサイズ、サブミクロンサイズの焼結体を得てい
る((2) 林広爾、木原弘:FeおよびCuの金属超微分の
焼結による緻密化と粒成長。日本金属学会誌,vol. 50,
No. 12. pp.1089-1094(1986). (3) 林広爾、木原弘:F
e超微粉の加圧焼結における緻密化と粒成長、日本金属
学会誌, vol. 52, No. 3 pp.343-347(1988))参照)。
【0007】これらの方法を採用することにより表面積
が極めて大きな金属焼結体を得ることができるが、これ
らの方法を採用するに際しては特殊な設備が必要であ
り、さらにこれらの方法は、学術的には極めて価値の高
い方法ではあるが、金属焼結体を工業的に量産する方法
としては適していない。即ち、これらの方法で製造され
た金属焼結体は非常にコスト高になるという問題があ
る。
【0008】このように従来から金属を機能性材料とし
て使用する場合には、金属の特性を有効に利用するため
に、金属の微粉末にして金属と他の成分との接触面積を
大きくする方向で研究されているが、このような金属の
微粉末化では利用できる金属の特性に限界がある。従っ
て、従来の金属を微粉末化する方法以外に金属の特性を
有効に利用する新たな方法の出現が待望されている。
【0009】
【発明の目的】本発明は、金属の特性を有効に利用する
ことができる新規な形態を有する中空金属微粒子および
これを含有する金属粒子群、さらにこれらを製造する方
法を提供することを目的としている。
【0010】さらに詳しくは本発明は、例えば表面積の
大きな親族微粒子および金属焼結体を製造することがで
きるような新規な中空金属微粒子およびこの中空金属微
粒子を含有する金属粒子群およびこれらを製造する方法
を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】本発明の中空金属微粒子は、内部が中空
の金属微粒子であって、該中空金属微粒子の粒径が1μ
m〜2mmの範囲内にあり、該中空金属微粒子を形成する
金属層の厚さDと該中空金属微粒子の中空部の直径Rと
が、該中空金属微粒子の粒径が1〜20μmでは、0.
05μm≦D、かつD/R≦0.25の関係を有し、該
中空金属微粒子の粒径が20μmを超え2mm以下では、
0.05μm≦D≦5μmの関係を有し、そして、該金
属層の少なくとも一部に開口部を有することを特徴とし
ている。
【0012】また、本発明の中空金属微粒子含有金属粒
子群は、内部が中空の金属微粒子であり、該中空金属微
粒子の粒径が1μm〜2mmの範囲内にあり、該中空金属
微粒子を形成する金属層の厚さDと該中空金属微粒子の
中空部の直径Rとが、該中空金属微粒子の粒径が1〜2
0μmでは、0.05μm≦D、かつD/R≦0.25の
関係を有し、該中空金属微粒子の粒径が20μmを超え
2mm以下では、0.05μm≦D≦5μmの関係を有
し、そして、該金属層の少なくとも一部に開口部を有す
る中空金属微粒子を1個以上含有することを特徴として
いる。
【0013】このような中空金属微粒子または中空金属
微粒子含有金属粒子群は、有機重合体からなる芯材粒子
表面に金属層を形成して金属被覆ポリマー粒子を製造し
た後、該金属被覆ポリマー粒子から芯材を除去すること
により製造することができる。
【0014】本発明の中空金属微粒子は、粒子径が非常
に小さいにも拘らず、中空構造を有している。このよう
な中空構造を採ることにより、本発明の中空金属微粒子
は非常に大きい表面積を有するようになる。また、この
中空金属微粒子を含有する金属粒子群も非常に表面積が
大きい。このように表面積の大きい微粒子および金属粒
子群は活性が高く、機能性金属材料の原料として極めて
有用性が高い。
【0015】
【発明の具体的説明】次に本発明を具体的に説明する。
図1に本発明の中空金属微粒子の断面構造の例を模式的
に示す。
【0016】本発明の中空金属微粒子1は、図1に示す
ように、外郭2が金属層で形成された内部3が中空の金
属微粒子である。この中空金属微粒子の直径Aは1μm
〜2mm、好ましくは1μm〜1mmの範囲内、特に好まし
くは1〜100μmの範囲内にある。粒子径が小さくな
るに従って中空金属微粒子中における金属の占める割合
が大きくなり、より効率的に金属層を利用することがで
きる。このように粒子径Aが小さい中空金属微粒子は中
空であるので、粒子としての見かけ比重が低く、金属の
種類によっても異なるが、その比重は、Niの場合、通
常は1.2×10-2g/cm3〜6g/cm3程度、多くの場合2
×10-2g/cm3〜5g/cm3程度である。
【0017】本発明の中空金属微粒子1は、粒子径Aが
1〜20μmの範囲内において、この中空金属微粒子の
外郭2を形成する金属層の厚さをDとし、この中空金属
微粒子の中空部3の直径をRとしたときに、金属層2の
厚さDが、0.05μm≦Dであり、D/R≦0.25の
関係を有している。すなわち、中空金属粒子の直径Aが
1〜20μmの範囲内では、金属層2の厚さの最少値は
0.05μmであり、しかもこの中空金属微粒子の中空
部3の直径Rに対して、金属層2の厚さDの合計(2
D)が中空部3の直径Rの1/2を超えることはない。
【0018】また、本発明の中空金属微粒子の粒径Aが
20μmを超え2mm以下である場合には、金属層2の厚
さDは0.05μm≦D≦5μmの関係を有している。
なお、この場合においても、中空部3の直径Rに対する
金属層の厚さDは、当然にD/R≦0.25の関係を有
しており、中空金属微粒子の中空部3の直径Rに対し
て、金属層2の厚さDの合計(2D)が中空部3の直径
Rの1/2を超えることはない。
【0019】さらに、本発明の中空金属微粒子の金属層
2の少なくとも一部には開口部4が形成されている。こ
の開口部は例えば図3に示される走査電子顕微鏡(SE
M)写真のように金属層の欠損部のように形成されてい
ても良いし、また図4に示されるように、この中空金属
微粒子の中空部3を形成するために芯材が例えば熱分解
によって気体状になって金属被覆ポリマー粒子から蒸散
して除去される為に金属層2に形成された透孔のように
形成されていても良い。さらに、図5上部に示すように
金属層の金属粒界が消失した金属粒子の連続体の一部
に、芯材を形成していたポリマーが揮散することにより
生じたひび割れ状の形態のものであってもよいし、また
図5下部写真に示すように金属層の金属粒界が消失して
網目状に金属層が形成され、開口部がこの金属層自体に
不均一に網目状に形成された形態を有していてもよい。
また、図6及び図7に示すように、金属層が比較的厚い
場合には、芯材を除去する際に芯材である有機重合体が
揮散することにより金属層が割れるようにして形成され
た開口部あるいは亀裂状に形成された開口部であっても
よい。
【0020】上記のように種々の形態を有する開口部の
開口面積は、通常は金属層によって形成されている外郭
の表面積の1/2以下である。例えば図3および図4に
示すような形態の開口部の場合には、その開口面積は、
金属層によって形成される外郭の表面積の10%以下で
あることが多い。例えば図5で示されるような透孔形態
の開口部Bの口径は中空金属微粒子の直径Aの0.05
〜10%程度であることが多い。そして、中空金属微粒
子の粒径が比較的大きくて金属層の厚さが比較的厚い場
合には図6に象徴的に示されるように中空体の金属粒界
が消失した金属層の一部が割れた状態の開口部が形成さ
れることが多い。
【0021】上記のような構造を有する本発明の中空金
属微粒子1の外郭である金属層2を形成する金属に特に
制限はなく、種々の金属またはこれら金属の少なくとも
一部が酸化物等の金属含有化合物であってもよい。この
金属層を形成する金属の例としては、銅、鉄、ニッケ
ル、コバルト、カドミウム、鉛、亜鉛、ヒ素、スズ、チ
タン、銀、金、パラジウム、白金、ロジウムおよびルテ
ニウムを挙げることができる。また、この金属層は、こ
れらの金属を基とする合金で形成されていてもよい。こ
のような合金の例としては、ニッケル-コバルト、ニッ
ケル-コバルト-ホウ素、ニッケル-コバルト-リン、ニッ
ケル-鉄-リン、ニッケル-タングステン-リンおよびニッ
ケル-リンのようなニッケル合金;コバルト-鉄-リン、
コバルト-タングステン-リンおよびコバルト-ニッケル-
マンガン-レニウム-リンのようなコバルト合金;鉄合金
等を挙げることができる。また、金属層においては、上
記のような金属または合金は均一な組成を有していても
良いし、また不均一な組成を有していても良い。
【0022】このような組成を有する金属層は、薬品を
用いた化成処理、還元性ガスまたは非酸素雰囲気下での
焼成処理等、用途に応じて金属表面の変性を行うことが
できる。
【0023】上記のような構成を有する本発明の中空金
属微粒子は、有機重合体からなる芯材粒子表面に金属層
を形成して金属被覆ポリマー粒子を製造し、次いでこの
金属被覆ポリマー粒子から芯材を除去することにより製
造することができる。
【0024】ここで使用される有機重合体には、不定形
のものや、針状、球状、突起のあるもの、イイダコ状の
形態のものなどがあり、得られる中空金属粒子の用途に
応じて種々の形状のものを使用することができるが、本
発明では球状の有機重合体を使用することが好ましい。
球状の芯材を用いることにより、この芯材上に形成され
る金属層の厚さを比較的均一にすることができるからで
ある。
【0025】また、この芯材としては、通常は0.5μ
m以上の粒径を有する球状のものを使用することがで
き、このようなサイズの球状芯材の表面に金属を析出さ
せることもできるが、芯材の粒子径が1μm以下では連
続的な金属層を形成することが困難であることから、本
発明では通常は粒径1μm以上の芯材が使用される。ま
た、2mmより大きい粒子芯材は、曲率が小さいため、例
えば無電解メッキ法によれば、極めて短時間に容易に金
属層を形成することができるが、金属層の形成反応が著
しく速く進行して、金属層の厚さを芯材を有効に除去す
ることができる程度の厚さに制御することが困難であ
る。
【0026】このような芯材は、有機重合体から形成さ
れている。ここで使用される有機重合体は、溶剤による
溶出除去、加熱、放射線、電磁波等の熱エネルギー付与
による熱分解によって金属層がその形態を維持できるよ
うに除去することができる有機重合体である。このよう
な有機重合体の例としては、架橋重合体、非架橋重合体
のいずれでもよく、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン
系樹脂、スチレン/(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチ
レン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ABS樹脂、AS
樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂およびポリイミ
ド系樹脂を挙げることができる。このような有機重合体
の中でも加熱によって芯材を除去する場合には、架橋ま
たは非架橋のポリメチル(メタ)アクリレートが好まし
い。この架橋または非架橋のポリメチル(メタ)アクリ
レートは熱分解性が良好であり、熱分解によって中空金
属微粒子の外郭内壁に炭素等が残留することが少ないか
らである。
【0027】このような有機重合体を上記のような粒径
を有する球状の芯材を形成する方法は既に公知であり、
本発明においてもこのような公知の方法を採用すること
ができる。
【0028】このような有機重合体からなる芯材上に金
属層を形成するには、真空下で特殊な条件で行うイオン
スパッタ法、CVD法(Chemical Vapour Deposite)等
の真空下で金属層を形成する方法と、金属微粉末と有機
重合体からなる芯材とからドライブレンディングマイク
ロカブセル化技術を利用して金属層を形成する方法、お
よび、無電解メッキ法を採用することができる。
【0029】これらの方法の内、真空下で金属層を形成
するイオンスパッタ法やCVD法などの方法で良好な金
属膜を得ることができるが、これらの方法は真空下で操
作するために特殊な装置が必要であり、本発明の中空金
属微粒子を大量に生産する方法としては向いていない。
また芯材の粒子径が小さくなるにつれて、芯材表面に均
一な皮膜を形成することが難しく、特に0.5μm程度
の金属層を形成するのが困難になる傾向がある。
【0030】ドライブレンディングマイクロカプセル化
技術を利用した方法では、芯材の表面に金属微粉末が一
層または多層に配列した構造の金属層を形成することが
できる。この方法ではハイブリダイザーやメカノフュー
ジョンのような表面改質装置を使用する必要がある。そ
して、これらの装置の運転条件を好適な条件に設定する
ことにより金属層の一部または全部を成膜することが可
能である。また、この操作を繰り返せば、金属層の多層
化することもできる。
【0031】無電解メッキ法は、無電解メッキ液中に芯
材を入れ、攪拌しながら芯材上に金属を積層して金属層
を形成する方法であり、この無電解メッキ法を採用する
ことにより、粒子径の小さい芯材の表面にも比較的薄く
均一性の高い金属膜を大量に形成することができる。従
って、この無電解メッキ法を採用することにより、安価
に金属被覆ポリマー粒子を大量に製造することができ
る。しかも0.05μm程度の金属薄膜層をも容易に形
成することができ、本発明で金属層を形成する方法とし
ては特に適している。
【0032】一般に、溶液中の金属イオンを被メッキ物
上に還元析出させて金属膜を形成する方法として採用可
能なメッキ法には、外部電力によって金属イオンを電解
析出させる電気メッキ、溶液中の金属イオンを化学薬品
によって還元析出させる化学メッキ、溶液中の金属イオ
ンを被メッキ物によって置換析出させる置換メッキの3
種類があり、上記化学メッキおよび置換メッキが無電解
メッキ法として認識されている。本発明のように被メッ
キ物が有機重合体である場合には、これらの無電解メッ
キ法が好適である。
【0033】本発明において、無電解メッキ法により金
属層は、例えば次にようにして形成される。上述した有
機重合体からなる芯材に無電解メッキ法における通常の
前処理および活性化処理を行う。この前処理や活性化処
理の仕方によって金属の析出状態、析出した金属の状態
などが変化し、これらの処理が悪いと金属層が不連続に
なったり、次の工程で芯材を揮散した際に、金属層がそ
の形態を維持できないことがある。
【0034】こうして処理された芯材は、室温〜90℃
の範囲内の温度に維持された無電解メッキ液中に投入さ
れ、攪拌下に10分〜24時間反応させる。即ち、この
時の反応時間および反応条件は、芯材の粒径をRμm、
形成される金属層の厚さをDμmとしたときに、得られ
る金属被覆ポリマー粒子の粒子径が1〜20μmの場合
には、金属層の厚さDが0.05μm≦Dであり、かつ
D/R≦0.25となるように、そして、得られる金属
被覆ポリマー粒子の粒子径が20μmを超え2mm以下の
場合には、0.05μm≦D≦5μmの条件を満足する
ように設定される。
【0035】一般に、平面状の被メッキ物上に無電解メ
ッキ法により金属膜を形成する場合には、相当の厚みの
皮膜を形成することができる。しかしながら、表面に曲
率を有する被着体(即ち、本発明において芯材として使
用されるような粒子)上に無電解メッキにより金属を析
出させようとすると、形成されるメッキ皮膜の厚さは、
芯材の粒子径が小さくなるに従って薄くなる傾向があ
る。この傾向は芯材として球状微粒子を用いた場合に特
に顕著に表れ、平均粒子径がミクロンサイズの芯材を使
用する場合には、芯材の表面に析出する金属は一層の粒
状金属の連続体になる。そして、金属メッキ膜の厚さを
厚く成長させようとしても、粒状の金属が芯材表面に数
個突出したような構造になるだけである。従って、本発
明において金属層の厚さD値はこうして形成された粒状
金属の層の厚さに相当する0.05〜数μm程度(即
ち、5μm程度)である。
【0036】上記のようにして金属を芯材の周囲に析出
させることにより、金属層は粒子状の金属が粒界を形成
しながら連続的に成長して行く。しかも芯材の曲率が大
きくなるにつれ、薄膜状の金属層が生成する。このため
有機重合体からなる芯材の表面に無電解メッキ法で形成
した金属層は、芯材である有機重合体に熱エネルギーを
与えて分散揮散させることによっても、金属層がその形
態を維持することができ、本発明の中空金属微粒子が生
成するのである。また金属皮膜が芯材を比較的厚く被覆
している場合であっても金属層は熱膨張により金属層に
応力がかかり、金属層の一部が破壊されたり、芯材であ
る有機重合体の分解揮散の際の内部圧の上昇によって金
属層の一部が破壊されて開口部が形成されるのである。
【0037】なお、本発明では、上記のようにして例え
ば無電解メッキにより芯材上に金属を析出させた後、上
記ドライブレンディングマイクロカプセル化技術を利用
して、この金属層に機械的な衝撃や剪断力などを加え
て、所望の金属皮膜を形成することもできる。さらに、
既存技術を組み合わせることにより芯材表面に金属薄膜
層を形成した後、この金属薄膜層上に無電解メッキ法に
より異種金属皮膜を形成して金属層とすることもでき
る。
【0038】本発明ではこうして形成された金属被覆ポ
リマー粒子から芯材を除去して中空金属微粒子を製造す
る。芯材の除去には、溶剤抽出による除去方法、芯材に
熱エネルギーを付与してこの芯材を熱分解して除去する
方法を採用することができる。
【0039】特に本発明では、芯材を加熱分解する方法
により除去することが好ましい。芯材として上記の有機
重合体を用いた場合、有機重合体を分解除去するための
加熱温度は、加熱時間によって有機重合体の熱分解率が
異なり、低温で徐々に熱分解して除去することもできる
し、高温で急速に熱分解して除去することもできる。有
機重合体は、有機物質の一般的な分解温度である150
℃以上、好ましくは200〜400℃以上の温度で有効
に分解されて除去される。
【0040】この芯材が熱分解して除去される際に、例
えば図5に示すように金属が網状に被覆している金属被
覆ポリマー粒子では網状の開口部から熱分解ガスが放出
される。また図4に示すように比較的薄く均一な金属層
が形成されている場合には、この金属層の一部を熱分解
ガスで破壊されて図4に示すような透孔が形成されるも
のと推定される。さらに、芯材が比較的大きくてかつ金
属層が厚い場合には、例えば図6に示すように熱分解ガ
スが金属層を割って比較的大きな開口部を形成して放出
されることがあり、また、図7に示すように均一な金属
層に亀裂状の開口部を形成してこの亀裂状の開口部から
熱分解ガスが放出される。このように金属層に形成され
る開口部の形態、サイズ等は有機重合体を熱分解除去す
る際の条件、金属層の厚さ、金属層の形態等を変えるこ
とにより制御することができるので、本発明の中空金属
微粒子の用途に対応させてこれらの条件を設定すること
が好ましい。例えば中空金属微粒子を球体の形態を維持
した状態で使用する場合にはできるだけ開口部の大きさ
を小さくするように比較的穏和な条件で芯材である有機
重合体を分解して、この分解ガスの排出エネルギーの低
減を図るとよい。また、この中空金属微粒子を粉砕して
使用するような用途には、例えば図6および図7に示す
ように開口部が大きくなるように金属層の厚さを厚くし
てしかも比較的過激な条件で有機重合体を除去すればよ
い。
【0041】上記のような芯材である有機重合体を熱分
解により除去する場合には、金属層ができるだけ酸化さ
れないように不活性雰囲気中、例えば窒素気流中で加熱
することが望ましい。
【0042】なお、上記は芯材である有機重合体を熱分
解する方法の説明であるが、電磁波等のエネルギー線を
照射して有機重合体を分解除去する場合も上記と同様の
条件で熱分解することができる。殊に本発明の金属被覆
ポリマー粒子は、外郭が金属で形成されているので、電
磁波等を用いることにより芯材である有機重合体を有効
に加熱することができる。
【0043】また、芯材である有機重合体を溶媒抽出除
去する場合には、この金属被覆ポリマー粒子の芯材を溶
解可能な溶媒、例えば有機重合体がポリメチル(メタ)
アクリレートである場合には、トルエン、キシレンなど
の芳香族系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、メ
チルエチルケトンなどのケトン系溶媒、アセトン、ジオ
キサン、テトラヒドロフランなどの極性溶媒、または、
これらの混合溶媒等の溶媒に上記金属被覆ポリマー粒子
を浸漬することにより有機重合体を除去することができ
る。ただし、この方法を採用する場合には、金属層が緻
密過ぎると溶媒が芯材にまで達しないか、芯材にまで達
した溶媒が有機重合体を金属層の外側に搬送することが
できないことがあるので、この方法は、透孔のある金属
層を有するような金属被覆ポリマー粒子あるいは金属層
自体に予め欠損部(即ち開口部)を有するような金属被
覆ポリマー粒子から芯材を除去する方法として有効性が
高い。
【0044】例えば上記のようにして芯材が除去された
本発明の中空金属微粒子は、金属層を形成させるときに
混在する金属粒子群や芯材を除去する際に一部が破壊さ
れた、中空金属微粒子の金属層形成成分との混合物にな
る。すなわち、これが中空金属微粒子含有金属粒子群で
ある。
【0045】この中空金属微粒子含有金属粒子群は、上
述の中空金属微粒子を少なくとも1個含有している。こ
の中空金属微粒子含有金属粒子群中に含有される金属層
形成成分は、例えば図6に示すような状態で割れた半球
状あるいはこれに近似した形態の金属層形成成分、図7
に示すように中空金属微粒子に亀裂が生じこの部分から
脱離した金属層形成成分、図4に示すように金属被覆ポ
リマー粒子内部の芯材である有機重合体が熱分解して透
孔を形成して放散される際に飛散した透孔部分を形成し
ていた金属層形成成分、図5に示すように網状に形成さ
れた金属層から脱離した網状金属層の一部等、金属層を
形成していた成分あるいは切片等が含有されている。し
かしながら、この中空金属微粒子含有金属粒子群は、芯
材を除去する工程を経て得られるので、芯材を形成する
有機重合体のような有機物質は実質的には含有されてい
ない。
【0046】この中空金属微粒子含有金属粒子群は、上
述の中空金属微粒子を少なくとも1個含有しており他が
上記金属層を形成していた成分あるいは切片であればよ
いが、中空金属微粒子を上述のような方法で製造して特
に厳格な分級操作をしなければ、この中空金属微粒子含
有金属粒子群中に、中空金属微粒子は通常は0.1〜1
00重量%、多くの場合1〜99重量%の量で含有され
ている。
【0047】そしてこの中空金属微粒子含有金属粒子群
中に含有される中空金属微粒子以外の成分あるいは切片
は、本質的には中空金属微粒子を形成している金属層と
同一あるいは極めて近似した組成を有するので、球状の
中空金属微粒子を選択的に使用する用途以外では、中空
金属微粒子と同等の用途に使用することができる。
【0048】この中空金属微粒子含有金属粒子群は、上
述のように、上記中空金属微粒子を製造する方法と同様
の方法で製造することができる。なお、中空金属微粒子
含有金属粒子群を厳格な分級操作に付することにより、
中空金属微粒子と、これ以外の成分とを分離することも
可能である。こうして一旦分離された中空金属微粒子
と、それ以外の成分とを、任意の割合で混合することに
より、粉体特性、金属組成等の特性を任意に調製するこ
ともできる。なお、上記のようにして分離された中空金
属微粒子は、例えばこの微粒子が球状であることを利用
した用途、例えば、塗料、インキ、接着剤、感圧接着
剤、プラスチック成形体およびゴム等への金属充填剤、
研磨剤や摩擦材料、電解研磨用砥粒子、電池用電極材
料、化学反応等の触媒、ガス吸着剤、ベアリング摺動
材、並びに、磁性流体用材料等に使用することができ
る。
【0049】本発明の中空金属微粒子含有金属粒子群に
通常の方法で破壊力を加えることにより、この金属粒子
群を形成している粒子をさらに微細に粉砕することがで
きる。そして、この粒子群を形成している粒子の膜厚が
薄いために粉砕に多大なエネルギーを加えなくとも非常
に粒径の小さい超微粒子を製造することができる。
【0050】このような中空金属微粒子あるいは中空金
属微粒子含有金属粒子群には、これらが使用される用途
に応じて、薬品による化成処理、還元ガス、非酸化雰囲
気下または無酸素雰囲気下での焼成等の処理を施して、
金属表面を変性して使用することができる。
【0051】本発明の中空金属微粒子および中空金属微
粒子含有金属粒子群は、金属層の外周壁面、金属層の孔
や開口部、および、金属層の内周壁面のいずれの部分も
ガスあるいは液体等の被接触物質と接触することができ
るので、単位重量当たりの他の物質との接触面積が非常
に大きいという特性を有する。さらに中空金属微粒子は
中空であるので金属粒子と比較すると比重が著しく小さ
いという特性を有する。また、この金属層は、種々の金
属あるいは合金で形成することができ、この金属層を形
成する金属の特性を充分に活用することができる。
【0052】こうした特性を利用して、本発明の中空金
属微粒子および中空金属微粒子含有金属粒子群は、例え
ば化学反応の触媒、蓄電池の電極形成材料、化学触媒形
成材料;塗料、インキ、接着剤、感圧接着剤、プラスチ
ック成形用およびゴム等への金属充填剤としての導電性
付与材料、帯電防止性付与材料、熱拡散性付与材料およ
び電磁波シールド性付与材料;研磨材や摩擦材料、制振
鋼板用充填剤、電子写真現像剤キャリアー、トナー内添
剤、外添剤、電池用電極材料、化学反応の触媒、ガス吸
着剤、電解研磨用砥粒材、溶接助剤、温度センサー、ベ
アリング摺動材、写真フィルム用増感剤、遮温材、遮音
材、土壌改良剤、診断薬用材料、磁性流体用材料、並び
に、焼結助剤等として有用性が高い。
【0053】
【発明の効果】本発明により新規な構成を有する中空金
属微粒子およびこの中空金属微粒子を含有する中空金属
微粒子含有金属微粒子群が提供される。
【0054】この中空金属微粒子は、芯材として有機重
合体を使用しこの芯材上に金属層を形成した後、この芯
材を除去することにより製造することができる。この芯
材を形成する粒状の有機重合体を製造する際には、比
重、形態、平均粒子径、粒度分布等を非常に高い精度で
制御することができる。この芯材上に形成された金属層
である本発明の中空金属微粒子には、芯材粒子の形態、
平均粒子径、粒度分布が反映されるので、芯材粒子の特
性を制御することにより中空金属粒子の特性を制御する
ことができる。また、金属層の厚さを制御することによ
り、金属層に形成されている開口部の数や大きさ、さら
に粒子の接触表面積を制御することができる。
【0055】また、この中空金属微粒子の金属層を形成
することができる金属あるいは合金の種類は極めて多
く、従ってこれらの金属あるいは合金を用いることによ
り、これらの金属あるいは合金の有する特性を幅広い用
途に利用することができる。さらに、本発明の中空金属
微粒子は、製造する際の芯材の熱分解条件を変えること
によりその形態を変えることができる。
【0056】即ち、粒径が1〜20μmの中空金属微粒
子の金属層の厚さは0.05μm以上であり、かつ金属
層の厚さ/粒子径の比が0.25以下であり、そしてこ
の金属層には開口部を有しており、芯材が熱エネルギー
等によって分解揮散して除去される際の金属被覆ポリマ
ー粒子の粒子形状をある程度維持したままの形状の中空
金属粒子とすることができる。また、粒径が20μmを
超え2mm以下の中空金属微粒子の金属層の厚さは0.0
5〜5μmであり、このように金属層の厚みが厚いと、
芯材が分解揮散して除去される際、芯材の熱膨張や金属
層の熱膨張によって金属層の一部が破壊されたり、金属
層に亀裂が発生したり、さらには中空金属微粒子自体が
解裂することがあり、このような場合には中空金属微粒
子の生成前駆体である金属被覆ポリマー粒子の形態をと
どめない中空金属微粒子が生成する確率が高くなる。従
って、芯材の熱分解条件等を変えることにより生成する
中空金属微粒子の形態を所望の状態に制御することが可
能である。
【0057】本発明の中空金属微粒子および中空金属微
粒子含有金属粒子群は、粒子の金属層の外周壁面、金属
層の孔や開口部、および、金属層の内周壁面のいずれの
部分もガスや液体と接触が可能であり、粒子1個当たり
の接触可能面積を非常に大きくすることができると共
に、通常の金属粒子と比較すると比重を小さくすること
ができる。
【0058】そして、このような中空金属微粒子を含有
する中空金属微粒子含有金属粒子群は、このような中空
金属微粒子と金属層の破砕物とを含有している。この金
属層の厚さが薄いため、中空金属微粒子含有金属粒子群
に比較的小さな破壊エネルギーを加えることによりこの
粒子群を形成する粒子を粉砕することができる。従って
本発明の中空金属微粒子含有金属粒子群を粉砕すること
により接触面積の大きな超微粒子を容易に製造すること
が可能にある。
【0059】
【実施例】次に本発明の実施例を示して本発明をさらに
詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限
定されるものではない。
【0060】
【実施例1】芯材として、平均粒子径7μmの架橋ポリ
メチルメタクリレート微粒子(MR−7G、綜研化学
(株)製)を用意し、この芯材に無電解メッキにおける通
常の前処理および活性化処理を施した後、この芯材にN
iの無電解メッキ処理を行った。
【0061】すなわち、市販の無電解メッキ液を5倍に
希釈した反応液4000mlをプラスチック製ビーカーに
取り、昇温して50℃に保持した。この反応液に上記の
ようにして活性化処理した芯材を6.0gを加えて、攪
拌しながら12時間反応させた。
【0062】反応後、Niメッキされた微粒子を濾取
し、この微粒子をイオン交換水および希塩酸で繰り返し
洗浄して、Niメッキされた金属被覆ポリマー粒子を得
た。この金属被覆ポリマー粒子を乾燥機で6時間熱風乾
燥した後、ボールミルで解砕した。解砕した金属被覆粒
子を、75メッシュの篩にかけて75メッシュ篩通過分
を回収した。回収量は11.3gであり、芯材1gあた
りのNi析出量は0.88gであり、このメッキ層の平均
厚さは約0.15μmであった。
【0063】得られたNi被覆粒子の中から少量を分取
し、熱分析装置(TG−30、(株)島津製作所製)を用
いて、窒素雰囲気下に昇温速度10℃/分の速度で40
0℃まで昇温した。
【0064】芯材である架橋ポリメチルメタクリレート
微粒子は昇温と共に分解して除去され、400℃で芯材
の重量に対応する重量の減少が認められた。ここで測定
した熱分解率(試料の芯材部重量に対する試料の揮発減
重量%)を下記表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】上記の表1に示す熱分解率から明らかなよ
うに、窒素雰囲気下で400℃に加熱することにより、
芯材が加熱分解により除去され、この芯材部分が中空部
を形成し、外郭にNi金属層を有する中空金属微粒子が
得られた。
【0067】試料を室温まで冷却した後、取り出して、
走査電子顕微鏡(SEM)で観察をしたところ、Niメ
ッキ層は球状の形態を保持したまま、Niが網目のよう
に連結した構造を有しているものがあり、Niメッキ層
には微細な透孔が無数に開口しているのが確認された。
【0068】上記のようにして得られた中空金属微粒子
のSEM写真を図2〜図5に示す。図2は、中空金属微
粒子の全体像を示すものであり、図3はNi金属メッキ
層の連続体で形成されたNi金属層にところどころ孔が
形成されている状態を示している。
【0069】図4はNi金属メッキ層の連続体の一部に
芯材ポリマーが分解揮散する際に生じた透孔を有する中
空金属微粒子が示されている。図5は、写真下部にNi
金属メッキ層において金属粒界が消失して連続体が網目
状に形成された状態の粒子が示されている。
【0070】
【実施例2】常法に従って懸濁重合により調製し、次い
で分級することにより平均粒子径500μmの架橋ポリ
メチルメタクリレート粒子を得た。
【0071】この架橋ポリメチルメタクリレート粒子
を、実施例1と同様に前処理、活性化処理して、芯材と
して使用した。市販の無電解メッキ液を5倍に希釈した
反応液300mlをプラスチック製ビーカーに採り、昇温
して50℃に保持した。この反応液に上記のようにして
活性化処理した芯材を7.0gを加えて、攪拌しながら
5時間反応させた。
【0072】反応後、Niメッキされた微粒子を濾取
し、この微粒子をイオン交換水および希塩酸で繰り返し
洗浄して、Niメッキされた金属被覆粒子を得た。この
金属被覆粒子を60℃の乾燥機で6時間熱風乾燥した
後、回収した。回収量は8.0gであり芯材1g当たり
のNi析出量は0.14gであり、このメッキ層の平均厚
さは約2μmであった。
【0073】こうして得られた金属被覆粒子5gをルツ
ボに採り、空気雰囲気下、予め400℃に加熱保持した
電気炉に上記ルツボを挿入して、2時間加熱した。その
後、ルツボを取り出し、室温まで冷却し、直ちに試料重
量を測定したところ、0.72gであった。
【0074】試料の一部を取り出して、SEMで観察し
たところ、Ni金属メッキ層に芯材が揮散したときに生
じたと思われるひび割れが見られた。
【0075】このSEM写真を図6および図7に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の中空金属微粒子の断面の一例
を模式的に示す断面図である。
【図2】 図2は、全体の中空金属微粒子の状態を示す
走査電子顕微鏡写真である。
【図3】 図3はNi金属メッキ層の連続体で形成され
たNi金属層にところどころ孔が形成されている中空金
属微粒子の状態を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4】 図4はNi金属メッキ層の連続体の一部に芯
材ポリマーが分解揮散する際に生じた透孔を有する中空
金属微粒子を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図5】 図5は、写真下部にNi金属メッキ層におい
て金属粒界が消失して連続体が網目状に形成された状態
の中空金属粒子を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図6】 図6は、実施例2で得られた中空金属粒子の
状態を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図7】 図7は、実施例2で得られた中空金属粒子の
状態を示す走査電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1・・・中空金属微粒子 2・・・金属層 3・・・中空部 4・・・開口部
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C23C 18/31 A

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部が中空の金属微粒子であって、該中
    空金属微粒子の粒径が1μm〜2mmの範囲内にあり、該
    中空金属微粒子を形成する金属層の厚さDと該中空金属
    微粒子の中空部の直径Rとが、該中空金属微粒子の粒径
    が1〜20μmでは、0.05μm≦D、かつD/R≦
    0.25の関係を有し、該中空金属微粒子の粒径が20
    μmを超え2mm以下では、0.05μm≦D≦5μmの
    関係を有し、そして、該金属層の少なくとも一部に開口
    部を有することを特徴とする中空金属微粒子。
  2. 【請求項2】 有機重合体からなる芯材粒子表面に金属
    層を形成して金属被覆ポリマー粒子を製造した後、該金
    属被覆ポリマー粒子から芯材を除去することを特徴とす
    る中空金属微粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 金属被覆ポリマー粒子に、熱エネルギー
    を付与して該芯材を形成する有機重合体を熱分解して除
    去することを特徴とする請求項第2項記載の中空金属微
    粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 金属層が、熱分解性重合体からなる芯材
    粒子表面に無電解メッキにより形成された層であること
    を特徴とする請求項第2項記載の中空金属微粒子の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 有機重合体からなる芯材粒子が、球状で
    あることを特徴とする請求項第2項記載の中空金属微粒
    子の製造方法。
  6. 【請求項6】 内部が中空の金属微粒子であり、該中空
    金属微粒子の粒径が1μm〜2mmの範囲内にあり、該中
    空金属微粒子を形成する金属層の厚さDと該中空金属微
    粒子の中空部の直径Rとが、該中空金属微粒子の粒径が
    1〜20μmでは、0.05μm≦D、かつD/R≦0.
    25の関係を有し、該中空金属微粒子の粒径が20μm
    を超え2mm以下では、0.05μm≦D≦5μmの関係
    を有し、そして、該金属層の少なくとも一部に開口部を
    有する中空金属微粒子を1個以上含有することを特徴と
    する中空金属微粒子含有金属粒子群。
  7. 【請求項7】 中空金属微粒子含有金属粒子群が、前記
    中空金属微粒子および/または該中空金属微粒子の破砕
    物とからなることを特徴とする請求項第6項記載の金属
    微粒子含有金属粒子群。
  8. 【請求項8】 有機重合体からなる芯材粒子表面に金属
    層を形成して金属被覆ポリマー粒子を製造した後、該金
    属被覆ポリマー粒子から芯材を除去することを特徴とす
    る中空金属微粒子含有金属粒子群の製造方法。
  9. 【請求項9】 金属被覆ポリマー粒子に、熱エネルギー
    を付与して該芯材を形成する有機重合体を熱分解して除
    去することを特徴とする請求項第8項記載の中空金属微
    粒子含有金属粒子群の製造方法。
  10. 【請求項10】 金属層が、有機重合体からなる芯材粒
    子表面に無電解メッキにより形成された層であることを
    特徴とする請求項第8項記載の中空金属微粒子含有金属
    粒子群の製造方法。
  11. 【請求項11】 有機重合体からなる芯材粒子が球状で
    あることを特徴とする請求項第8項記載の中空金属微粒
    子含有金属粒子群の製造方法。
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