JPH06240114A - ガラス繊維強化液晶性樹脂組成物 - Google Patents

ガラス繊維強化液晶性樹脂組成物

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JPH06240114A
JPH06240114A JP23524293A JP23524293A JPH06240114A JP H06240114 A JPH06240114 A JP H06240114A JP 23524293 A JP23524293 A JP 23524293A JP 23524293 A JP23524293 A JP 23524293A JP H06240114 A JPH06240114 A JP H06240114A
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iii
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清一 中村
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教雄 北島
Nobuo Kuriki
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Abstract

(57)【要約】 【構成】液晶ポリエステル樹脂および/または液晶ポリ
エステルアミド樹脂(A100重量部に対して、平均繊
維径3〜15μmのガラス繊維(B)5〜300重量部
を充填してなり、該組成物中のガラス繊維の重量平均繊
維長が0.02〜0.55mmの範囲にあって、かつ、
繊維長が1mmを越えるものの比率が0〜15重量%、
0.1mm以下のものが0〜50重量%の範囲にあるガ
ラス繊維強化液晶性樹脂組成物。 【効果】本発明の液晶性樹脂組成物は優れた機械的特
性、耐熱性特性、成形性を有し、とりわけ薄肉成形性
を、面衝撃強度が改良された材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、成形性、機械的
特性、表面外観に優れ、とりわけ流動性が良好で面衝撃
強度の優れた成形品を与え得る液晶性樹脂組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが
数多く開発され、市場に供されているが、なかでも特に
分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリ
マが優れた機械的性質および成形性を有する点で注目さ
れている。これら異方性溶融相を形成するポリマとして
は、例えばp−ヒドロキシ安息香酸にポリエチレンテレ
フタレートを共重合した液晶ポリエステル(特開昭49
−72393号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸と6−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を共重合した液晶ポリエス
テル(特開昭54−77691号公報)、p−ヒドロキ
シ安息香酸に4,4´−ジヒドロキシビフェニルとテレ
フタル酸、イソフタル酸を共重合した液晶ポリエステル
(特公昭57−24407号公報)、6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸、p−アミノフェノールとテレフタル酸
から生成した液晶ポリエステルアミド(特開昭57−1
72921号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸、44’
−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸、p−アミノ
安息香酸およびポリエチレンテレフタレートから生成し
た液晶ポリエステルアミド(特開昭64−33123号
公報)などが開示されている。また、液晶ポリマの耐熱
性と機械的強度を向上させる目的でガラス繊維を配合す
ることがラバーダイジェスト,27巻,8号,7〜14
頁,1975に開示されている。さらに、液晶ポリマの
寸法精度を向上させる目的で重量平均繊維長0.15〜
0.60mmのガラス繊維を配合することが特開昭63
−101448号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のガラス繊維を配合した液晶ポリマとしてこれまで知ら
れているものは液晶性ポリマの耐熱性や機械的強度や異
方性はある程度改良されているものの、成形時の流動性
や成形品の外観が必ずしも十分でなかったり、衝撃強度
が低かったりして成形性と成形品の外観や物性のバラン
スした液晶ポリマを得ることは困難であった。
【0004】特に、液晶ポリマの特徴である良流動性を
生かした、薄肉の成形品においては、薄肉成形性が不十
分であるばかりか、面衝撃強度が不十分であり、ケース
やハウジング類などの用途においては液晶ポリマが使用
できないなどの問題もある事がわかった。よって本発明
は上記の問題を解決し、成形性と機械的特性、耐熱性に
優れ、とりわけ薄肉成形性と面衝撃強度が改良されたガ
ラス繊維強化液晶性樹脂組成物を得ることを課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明は、異方性溶融相を形成
する液晶ポリエステル樹脂および/または液晶ポリエス
テルアミド樹脂から選ばれた少なくとも1種以上の液晶
性樹脂100重量部に対して、平均繊維径が3〜15μ
mのガラス繊維5〜300重量部を充填してなり、該組
成物中の重量平均繊維長が0.02〜0.55mmの範囲
にあって、かつ、繊維長が1mmを越えるガラス繊維の
比率が該ガラス繊維の0〜15重量%、かつ、繊維長が
0.1mm以下のガラス繊維の比率が該ガラス繊維の0
〜50重量%であることを特徴とするガラス繊維強化液
晶性樹脂組成物および前記液晶性樹脂が下記構造単位
(I)、(II)、(III)、(IV) からなる液晶ポリエス
テル樹脂であるガラス繊維強化液晶性樹脂組成物を提供
するものである。
【0007】
【化6】
【0008】(ただし、式中のR1
【化7】 から選ばれた1種以上の基を、R2
【0009】
【化8】 から選ばれた1種以上の基を示す。また式中のXは水素
原子または塩素原子を示す。)
【0010】本発明においては組成物中のガラス繊維長
の分布が重要であり、本発明効果の発現はガラス繊維強
化液晶性樹脂組成物中のガラス繊維長の分布状態に規制
されることを見出だし発明にいたったものである。本発
明にして好ましく用いられる液晶性ポリエステル樹脂と
は芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、
芳香族ジカルボニル単位、エチレンジオキシ単位などか
ら選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成するポ
リエステルであり、液晶性ポリエステルアミド樹脂とは
上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジ
イミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた
構造単位からなる異方性溶融相を形成するポリエステル
アミドである。本発明における液晶性ポリエステル樹脂
の上記構造単位(I)は、p−ヒドロキシ安息香酸から
生成したポリエステルの構造単位を、上記構造単位(I
I)は4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した
構造単位を、上記構造単位(III)は3,3´,5,5
´−テトラメチル−4、4´−ジヒドロキシビフェニ
ル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェ
ニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒ
ドロキシジフェニルエーテルおよびエチレングリコール
などから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフ
タル酸、イソフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス
(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,
2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−
ジカルボン酸および4,4´−ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸などから選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン
酸などから生成した構造単位を各々示す。構造単位(II
I )としてはエチレングリコールまたは2,6−ジヒド
ロキシナフタレンなどから生成した構造単位が好まし
く、構造単位(IV)としてはテレフタル酸などから生成
した構造単位が好ましい。本発明における液晶性ポリエ
ステル樹脂は上記構造単位(I)、(II)、(III )お
よび(IV)からなる共重合体の使用が好ましい。
【0011】上記構造単位(I)、(II)、(III )お
よび(IV)の共重合量は任意であるしかし、流動性と耐
熱性の点から次の共重合量であることが好ましい。すな
わち上記構造単位[(I)+(II)]は[(I)+(I
I)+(III )]の60〜95モル%であることが好ま
しく、75〜93モル%であることが更に好ましく、8
0〜92モル%が特に好ましい。また、構造単位(III
)は[(I)+(II)+(III )]の40〜5モル%
が好ましく、25〜6モル%であることが更に好まし
く、20〜8モル%が特に好ましい。また、構造単位
(I)/(II)のモル比は75/25〜95/5が好ま
しく、構造単位(IV)は実質的に構造単位[(II)+
(III )]と等モルである。さらに、本発明に使用する
液晶性ポリエステル樹脂として特に好ましい例として具
体的に以下のものが挙げられる。すなわち、 (i)上記構造単位(III )がエチレングリコールから
生成した構造単位であり構造単位(IV)がテレフタル酸
から生成した構造単位である液晶性ポリエステル樹脂
(以下、本発明におけるこのような液晶性ポリエステル
樹脂を(A−1)と表記する)、
【化9】 上記構造単位[(I)+(II)]は[(I)+(II)+
(III )]の60〜95モル%であることが好ましく、
80〜93モル%であることがより好ましい。また、構
造単位(III )は[(I)+(II)+(III )]の40
〜5モル%が好ましく、20〜7モル%であることが特
に好ましい。また、構造単位(I)/(IIのモル比は7
5/25〜93/7が好ましく、85/15〜92/8
がより好ましい。さらに、構造単位(IV)は実質的に構
造単位[(II)+(III )]と等モルである。 (ii)上記構造単位(III )が2,6−ジヒドロキシナ
フタレンから生成した構造単位であり、構造単位(IV)
がテレフタル酸から生成した構造単位である液晶性ポリ
エステル樹脂(以下、本発明におけるこのような液晶性
ポリエステル樹脂を(A−2)と表記する)、
【化10】 上記構造造単位[(I)+(II)]は[(I)+(II)
+(III )]の80〜99モル%であることが好まし
く、88〜98モル%であることがより好ましい。ま
た、構造単位(III )は[(I)+(II)+(III )]
の20〜1モル%が好ましく、12〜2モル%であるこ
とが特に好ましい。また、構造単位(I)/(II)のモ
ル比は75/25〜95/5が好ましく、80/20〜
90/10がより好ましい。さらに、構造単位(II)/
(III )のモル比は90/10〜40/60が好まし
く、85/15〜45/55がより好ましい。この場合
も、構造単位(IV)は構造単位[(II)+(III )]と
実質的に等モルである。本発明に用いる液晶性ポリエス
テル樹脂の製造方法については特に限定されるものでは
なく、公知のポリエステルの重縮合方法に準じて製造で
きるが上記の特に好ましい液晶性ポリエステル樹脂の製
造方法としてはA−1の場合は下記1)の方法、A−2の
場合は下記2)の方法などが好ましく挙げられる。 1) p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシ
ビフェニルと無水酢酸およびテレフタル酸とポリエチレ
ンテレフタレートのポリマ、オリゴマ、またはビス−
(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートを反応させ、
溶融状態で脱酢酸重合によって製造する方法。
【0012】2) p−ヒドロキシ安息香酸、4、4´−
ジヒドロキシビフェニルと無水酢酸、2,6−ジアセト
キシナフタレンおよびテレフタル酸を反応させ、溶融状
態で脱酢酸重合によって製造する方法。
【0013】これらの重縮合反応は無触媒でも進行する
が、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸ナトリ
ウムおよび酢酸カリウム、三酸化アンチモン、金属マグ
ネシウム等の金属化合物を添加した方が好ましいときも
ある。
【0014】かくして得られる、本発明に使用する特に
好ましい液晶ポリエステル樹脂(A−1)の融点(T
m,℃)は下記(1)式を、(A−2)の融点(Tm,
℃)は下記(2)式を満足するものが好ましい。 |Tm+5.89x−385.5|<10 …(1) |Tm+7.70x−374.4|<10 …(2)
【0015】ここに(1)および(2)式中のxは構造
単位(III )の[(I)+(II)+(III )]に対する
割合(モル%)を示す。本発明に使用する特に好ましい
液晶ポリエステル樹脂(A−1)、(A−2)において
構造単位(I)〜(IV)の組成比が上記の条件を満足
し、上記(1)および(2)式の融点を満足する場合に
はポリマの組成分布、ランダム性が好ましい状態にな
り、流動性、成形品の耐熱性および機械特性のバランス
が極めて優れたものとなり、高温時でもポリマの分解が
ほとんど起こらず好ましいものとなる。ここで、融点
(Tm)とは示差走査熱量計により、20℃/分の昇温
条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度Tm1
観測後Tm1 +20℃の温度まで昇温し、同温度で5分
間保持した後20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却
する。再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測さ
れる吸熱ピーク温度をいう。
【0016】なお、上記の液晶性ポリエステル樹脂を重
縮合する際には上記構造単位(I)〜(IV)を構成する
成分以外に3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2
´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレ
フタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキ
ノン、メチルハイドロキノン、4,4´−ジヒドロキシ
ジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾ
フェノン等の芳香族ジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよ
びm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフト
エ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、p−アミノフ
ェノール、p−アミノ安息香酸および芳香族イミド化合
物などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲
でさらに共重合せしめることができる。
【0017】また、液晶ポリエステルアミドとしては6
ーヒドロキシー2ーナフトエ酸、p−アミノフェノール
とテレフタル酸から生成した液晶ポリエステルアミド
(特開昭57−172921号公報)、p−ヒドロ安息
香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェノールとテレフタ
ル酸、p−アミノ安息香酸およびボリエチレンタレフタ
レートから生成した液晶ポリエステルアミド(特開昭6
4−33123号公報)などが挙げられる。
【0018】また、本発明に使用する液晶ポリエステル
樹脂および/または液晶ポリエステルアミド樹脂(A)
の対数粘度は、0.1g/dl濃度、60℃のペンタフ
ルオロフェノールで測定した値が、0.8〜10.0d
l/gが好ましい。対数粘度の値が0.8dl/g未満
では機械的特性が不十分であり、10.0dl/gを越
える場合は流動性が損なわれるためいずれの場合も好ま
しくない傾向がある。また、特に好ましい液晶ポリエス
テル樹脂(A−1)の場合、1.0〜3.0dl/gが
好ましく、1.3〜2.5dl/gが特に好ましく、液
晶ポリエステル樹脂(A−2)の場合、3.0〜10.
0dl/gが好ましく、3.5〜7.5dl/gが特に
好ましい。
【0019】本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂お
よび/または液晶ポリエステルアミド樹脂(A)の溶融
粘度は100〜2,0000ポイズが好ましく、特に1
00〜1,000ポイズが好ましい。
【0020】なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10
℃の温度で、ずり速度1,000s-1の条件下で高化式
フローテスターによって測定した値である。
【0021】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
に使用するガラス繊維(B)としては、弱アルカリ性の
ものが機械的強度の点ですぐれており、本発明に好まし
く使用できる。
【0022】また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン
系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されて
いることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。また
シラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他
表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシ
シラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好まし
い。
【0023】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
の製造に用いるガラス繊維(B)の平均繊維径は3〜1
5μmであり、繊維の長さは20〜104 μmが好まし
く、更に好ましくは1000〜4000μm、充填量は
液晶性ポリエステル100重量部に対して5〜300重
量部、好ましくは10〜200重量部、特に好ましくは
13〜150である。ガラス繊維の平均径が3μm未満
では、補強効果が小さく異方性減少効果が少なく好まし
くない。一方、15μmより大きいと成形性が低下し、
表面外観も悪化するので好ましくない。
【0024】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
において、該組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長は
0.02〜0.55mm、好ましくは0.10〜0.50
mm、特に好ましくは0.20〜0.45mmの範囲であ
る。重量平均繊維長が0.55mmよりも大きい場合は成
形時の流動性や成形品の外観が損なわれるため好ましく
ない。
【0025】また、組成物中のガラス繊維の繊維長が1
mmを越えるガラス繊維の比率が該ガラス繊維の0〜1
5重量%、好ましくは0〜10重量%、特に、0〜6重
量%が好ましい。かつ、組成物中のガラス繊維の繊維長
が0.1mm以下のガラス繊維の比率が該ガラス繊維0
〜50重量%、好ましくは3〜50重量%、更に好まし
くは8〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%
がの範囲である。ガラス繊維の繊維長が1mmを越える
ガラス繊維の比率が15重量%越えた場合は成形時の流
動性および成形品の外観が不良になるばかりか、特に、
面衝撃強度が低下し好ましくない。また、組成物中のガ
ラス繊維の繊維長が0.1mm以下のガラス繊維の比率
が50重量%を越えた場合は成形時の流動性は良いが、
特に、面衝撃強度が不十分となりケースやハウジング類
などの広い面を有する成形品には使用できず好ましくな
い。
【0026】なお、ガラス繊維の繊維長分布および重量
平均繊維長の測定方法は組成物のペレット約5gをるつ
ぼ中で灰化した後、残存したガラス繊維のうちから10
0mmgを採取し、100ccの石鹸水中に分散させ
る。次いで、分散液をスポイトを用いて1〜2滴スライ
ドガラス上に置き、顕微鏡下に観察して、写真撮影す
る。写真に撮影されたガラス繊維の繊維長を測定する。
測定は500本以上行い、繊維長0.01mm間隔で繊
維長の分布図を作成すると同時に重量平均繊維長を求め
る。
【0027】本発明の効果は組成物中のガラス繊維の重
量平均繊維長が0.02〜0.55mmの範囲にあって、
かつ、繊維長が1mmを越えるガラス繊維の比率が該ガ
ラス繊維の0〜15重量%、かつ、繊維長が0.1mm
以下のガラス繊維の比率が該ガラス繊維の0〜50重量
%である条件を同時に満足したときに発現され、機械的
特性、耐熱性、成形性に優れ、とりわけ薄肉成形性と面
衝撃強度が改良された均衡して優れたガラス繊維強化液
晶性樹脂組成物を得ることができる。
【0028】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
には、更に、ガラス繊維以外の充填剤を含有させること
も可能である。
【0029】本発明に用いることができる充填剤として
は炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム
繊維、石コウ繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチー
ル繊維、セラミックス繊維、ボロンウイスカ繊維、マイ
カ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、
ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワ
ラステナイト、酸化チタン、グラファイト等の繊維状、
粉状、粒状あるいは板状の無機フィラーが挙げられる。
【0030】更に、本発明の組成物には、本発明の目的
を損なわない程度の範囲で、酸化防止剤および熱安定剤
(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホス
ファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤
(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリ
アゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤
(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフ
エステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよび
ポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニグロシ
ンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、フタロ
シアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑
剤、帯電防止剤、難燃剤などの通常の添加剤や他の熱可
塑性樹脂を添加して、所定の特性を付与することができ
る。
【0031】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
の製造方法については組成物中のガラス繊維を特定範囲
の数平均繊維長かつ、特定範囲の繊維長分布にする必要
があるため、通常の単純な押出技術では目的とするもの
を得ることは困難である。
【0032】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
の製造方法は特に限定されるものではないが例えば、以
下の方法による溶融混練法を適用することが推奨され
る。
【0033】(1)液晶性樹脂(A)とガラス繊維
(B)を溶融混練し組成物とする際に、2軸押出機を使
用し、液晶性樹脂(A)、ガラス繊維(B)の順に、逐
次かつ連続的に該押出機に供給する方法により製造す
る。具体的には、2軸押出機の原料投入口からノズル部
の間の任意の位置にさらに別の投入口を設け、半溶融状
態または溶融状態の液晶性樹脂(A)にガラス繊維
(B)が連続的に供給されるようにする。
【0034】(2)液晶性樹脂(A)の融点(Tm)−
30℃以上から融点(Tm)+30℃以下の温度で溶融
混練して組成物とする。
【0035】(3)押出時に、該2軸押出機のスクリュ
ーアレンジメントとしては液晶性樹脂を溶融するゾーン
およびガラス繊維を所定のサイズまで折り、ついで混練
するゾーンを設け溶融混練して組成物とする。
【0036】上記(1)〜(2)の方法の少なくとも1
つを採用することは、本発明の組成物の製造を容易にす
る。従って、本発明の組成物は、かくなる特殊技術によ
り、初めて容易に製造されるということができる。
【0037】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに説明す
る。
【0038】参考例1 留出管、攪拌翼を備えた反応容器にp−ヒドロキシ安息
香酸(I)994.5重量部、4,4´−ジヒドロキシ
ビフェニル(II)125.7重量部、テレフタル酸11
2.1重量部、固有粘度が約0.6のポリエチレンテレ
フタレート(III )216.2重量部および無水酢酸9
60.2重量部を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行っ
た。
【0039】まず窒素雰囲気下130〜150℃で4時
間反応させた後、2.5時間かけて250℃まで昇温
し、さらに250℃で2.5時間反応を続けた。さら
に、2時間かけて系内温度を320℃まで昇温させた
後、1.5時間で系内を0.3mmHgまで減圧し、さら
に30分間反応を続け重縮合を完結させた。上記の反応
の結果、ベージュ色の樹脂(A−1)が得られた。
【0040】このポリマの融点をパーキンエルマー社製
DSC−7型を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測
定したところ、Tmは314℃であった。
【0041】なお、このポリマの対数粘度は1.82d
l/gであり、溶融粘度は324℃ずり速度1000
(1/秒)で520ポイズと流動性が極めて良好であっ
た。
【0042】参考例2 留出管、攪拌機を備えた反応容器にp−ヒドロキシ安息
香酸994重量部、44´−ジヒドロキシビフェニル2
23重量部、2,6−ジアセトキシナフタレン147重
量部、テレフタル酸299重量部および無水酢酸107
7重量部を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0043】まず、窒素ガス雰囲気下に100〜250
℃で6時間、250〜330℃で20時間反応させた
後、330℃、2時間で0.5mmHgに減圧し、さらに
1.5時間反応させ、重縮合を完結させたところ、ほぼ
理論量の酢酸が留出し下記の理論構造式を有するベージ
ュ色の樹脂(A−2)を得た。
【0044】このポリマの融点をパーキンエルマー社製
DSC−7型を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測
定したところ、Tmは323℃であった。
【0045】なお、このポリマの対数粘度は4.86d
l/gであり、溶融粘度は333℃ずり速度1000
(1/秒)で460ポイズと流動性が極めて良好であっ
た。
【0046】参考例3 p−アセトキシ安息香酸1296重量部、6−アセトキ
シ−2−ナフトエ酸414重量部を脱酢酸重合反応さ
せ、下記理論構造式を有するベージュ色の樹脂(B)を
得た。
【0047】このポリマの融点をパーキンエルマー社製
DSC−7型を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測
定したところ、Tmは317℃であった。なお、このポ
リマの対数粘度は4.06dl/gであった。
【0048】実施例1〜7 中間添加口を有する44mmφの2軸押出機を用い、ス
クリューアレンジメン、トとしてはポリマの供給口から
中間添加口の間にポリマの溶融ゾーン(Z−1)を設
け、中間添加口の直後にガラス繊維を折ると同時に混練
するゾーン(Z−2を設け、さらに吐出口との間に混練
ゾーン(Z−3)を設けた構成とし、押出温,度305
〜330℃、スクリュー回転数を第1表に示した、条件
下にポリマ供給口より参考例1と同じ方法で得た液晶ポ
リエステル(A−1)、中間添加口から繊維径約6μ
m、繊維長3mmのガラス繊維をポリマ(A−1)10
0重量部に対して表1に示した配合量になるように供給
し、溶融混練してペレタイズした。.得られたペレット
からポリマ成分を燃焼除去せしめ残存したガラス繊維の
繊維長分布および重量平均繊維長は前述した方法で求め
た。結果を第1表に示す。
【0049】次に得られたペレットを住友ネスタール射
出成形機プロマット(住友重機械工業(株)製)に供
し、シリンダー温度324℃、金型温度90℃の条件で
2mm厚×70mm×70mmの角板を成形した。
【0050】上記角板の流動方向に直角の方向(TD方
向)の寸法を測定し、金型寸法からの収縮率すなわちT
D方向の成形収縮率を求め、寸法精度の目安とした。結
果を、第1表に示す。
【0051】また、上記角板と高速面衝撃試験機(島津
製作所)に供し、面衝撃強度を測定した。結果を第1表
に併せて示した。
【0052】また、薄肉成形性の評価として上記の成形
機を用いて射出速度99%、射出圧力500kgf/cm2
条件で0.5mm厚×12.7mm幅の試験片の流動長
さ(棒流動長)を求めた。その結果を第1表に示す。
【0053】実施例8 液晶ポリエステルとして参考例2と同じ方法で得たポリ
マ(A−2)を用い、押出温度を325℃および射出成
形機のシリンダー温度を333℃とした以外は実施例4
と同に行った。結果を第1表に示す。
【0054】実施例9 液晶ポリエステルとして参考例3と同じ方法で得たポリ
マ(B)を用い、押出温度317℃および射出成形機の
シリンダー温度を327℃とした以外は実施例4と同様
に行った。結果を第1表に示す。
【0055】比較例1 実施例4のスクリューアレンジメントについてZ−2ゾ
ーンをなくした以外は)実施例4と同様に行った。結果
を第1表に示す。
【0056】比較例3 実施例4においてスクリューアレンジメントのZ−2ゾ
ーンを2カ所に増した以外は実施例1と同様に行った。
結果を第1表に示す。
【0057】比較例4 40mmφの短軸押出機を用いてガラス繊維をポリマ供
給口からポリマと同時に供給する以外は実施例4と同様
に行った。結果を第1表に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成
物は、優れた機械的特性、耐熱性、成形性、を有し、と
りわけ薄肉成形性と面衝撃強度が改良された材料であ
る。
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
【特許請求の範囲】
【化1】 から選ばれた1種以上の芳香族ジオールから生成した構
造単位を有する液晶ポリエステル樹脂であることを特徴
とする請求項1記載のガラス繊維強化液晶性樹脂組成
物。
【化2】 (ただし、式中のR1
【化3】 から選ばれた1種以上の基を、R2
【化4】 から選ばれた1種以上の基を示す。また式中のXは水素
原子または塩素原子を示す。)
【化5】 であり、構造単位[(I)+(II)]が[(I)+(I
I)+(III )]の60〜95モル%、構造単位(III
)が[(I)+(II)+(III )]の40〜5モル
%、構造単位(I)/(II)のモル比が75/25〜9
5/5であり、対数粘度が1.0〜3.0dl/gであ
る請求項記載のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物。
【化6】 であり、構造単位[(I)+(II)]が[(I)+(I
I)+(III )]の80〜99モル%、構造単位(III
)が[(I)+(II)+(III )]の20〜1モル
%、構造単位(I)/(II)のモル比が75/25〜9
5/5、(II)/(III)のモル比が90/10〜40
/60であり、対数粘度が3.0〜10.0dl/gで
ある請求項記載のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、成形性、機械的
特性、表面外観に優れ、とりわけ流動性が良好で面衝撃
強度の優れた成形品を与え得る液晶性樹脂組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが
数多く開発され、市場に供されているが、なかでも特に
分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリ
マが優れた機械的性質および成形性を有する点で注目さ
れている。これら異方性溶融相を形成するポリマとして
は、例えばp−ヒドロキシ安息香酸にポリエチレンテレ
フタレートを共重合した液晶ポリエステル(特開昭49
−72393号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸と6−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を共重合した液晶ポリエス
テル(特開昭54−77691号公報)、p−ヒドロキ
シ安息香酸に4,4´−ジヒドロキシビフェニルとテレ
フタル酸、イソフタル酸を共重合した液晶ポリエステル
(特公昭57−24407号公報)、6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸、p−アミノフェノールとテレフタル酸
から生成した液晶ポリエステルアミド(特開昭57−1
72921号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸、44’
−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸、p−アミノ
安息香酸およびポリエチレンテレフタレートから生成し
た液晶ポリエステルアミド(特開昭64−33123号
公報)などが開示されている。
【0003】また、液晶ポリマの耐熱性と機械的強度を
向上させる目的でガラス繊維を配合することがラバーダ
イジェスト,27巻,8号,7〜14頁,1975に開
示されている。さらに、液晶ポリマの寸法精度を向上さ
せる目的で重量平均繊維長0.15〜0.60mmのガ
ラス繊維を配合することが特開昭63−101448号
公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のガラス繊維を配合した液晶ポリマとしてこれまで知ら
れているものは液晶性ポリマの耐熱性や機械的強度や異
方性はある程度改良されているものの、成形時の流動性
や成形品の外観が必ずしも十分でなかったり、衝撃強度
が低かったりして成形性と成形品の外観や物性のバラン
スした液晶ポリマを得ることは困難であった。
【0005】特に、液晶ポリマの特徴である良流動性を
生かした、薄肉の成形品においては、薄肉成形性が不十
分であるばかりか、面衝撃強度が不十分であり、ケース
やハウジング類などの用途においては液晶ポリマが使用
できないなどの問題もある事がわかった。
【0006】よって本発明は上記の問題を解決し、成形
性と機械的特性、耐熱性に優れ、とりわけ薄肉成形性と
面衝撃強度が改良されたガラス繊維強化液晶性樹脂組成
物を得ることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、異方性溶融相を形成
する液晶ポリエステル樹脂および/または液晶ポリエス
テルアミド樹脂から選ばれた少なくとも1種以上の液晶
性樹脂100重量部に対して、平均繊維径が3〜15μ
mのガラス繊維5〜300重量部を充填してなり、該組
成物中の重量平均繊維長が0.02〜0.55mmの範囲
にあって、かつ、繊維長が1mmを越えるガラス繊維の
比率が該ガラス繊維の0〜15重量%、かつ、繊維長が
0.1mm以下のガラス繊維の比率が該ガラス繊維の0
〜50重量%であることを特徴とするガラス繊維強化液
晶性樹脂組成物、上記液晶ポリエステル樹脂(A)が
【化7】 から選ばれた1種以上の芳香族ジオールから生成した構
造単位を有する液晶ポリエステル樹脂であるガラス繊維
強化液晶性樹脂組成物および前記液晶性樹脂が下記構造
単位(I)、(II)、(III)、(IV) からなる液晶ポリ
エステル樹脂であるガラス繊維強化液晶性樹脂組成物を
提供するものである。
【0009】
【化8】
【0010】(ただし、式中のR1
【化9】 から選ばれた1種以上の基を、R2
【化10】 から選ばれた1種以上の基を示す。また式中のXは水素
原子または塩素原子を示す。)
【0011】本発明においては組成物中のガラス繊維長
の分布が重要であり、本発明効果の発現はガラス繊維強
化液晶性樹脂組成物中のガラス繊維長の分布状態に規制
されることを見出し発明にいたったものである。
【0012】本発明にして好ましく用いられる液晶性ポ
リエステル樹脂とは芳香族オキシカルボニル単位、芳香
族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレンジ
オキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶
融相を形成するポリエステルであり、液晶性ポリエステ
ルアミド樹脂とは上記構造単位と芳香族イミノカルボニ
ル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位
などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成
するポリエステルアミドである。
【0013】本発明における液晶性ポリエステル樹脂の
上記構造単位(I)は、p−ヒドロキシ安息香酸から生
成したポリエステルの構造単位を、上記構造単位(II)
は4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造
単位を、上記構造単位(III)は3,3´,5,5´−
テトラメチル−4、4´−ジヒドロキシビフェニル、ハ
イドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハ
イドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,
7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジ
フェニルエーテルおよびエチレングリコールなどから生
成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イ
ソフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス
(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボ
ン酸および4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸
などから選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸などか
ら生成した構造単位を各々示す。
【0014】構造単位(III )としてはエチレングリコ
ールまたは2,6−ジヒドロキシナフタレンなどから生
成した構造単位が好ましく、構造単位(IV)としてはテ
レフタル酸などから生成した構造単位が好ましい。
【0015】本発明における液晶性ポリエステル樹脂は
上記構造単位(I)、(II)、(III )および(IV)か
らなる共重合体の使用が好ましい。
【0016】上記構造単位(I)、(II)、(III )お
よび(IV)の共重合量は任意であるしかし、流動性と耐
熱性の点から次の共重合量であることが好ましい。すな
わち上記構造単位[(I)+(II)]は[(I)+(I
I)+(III )]の60〜95モル%であることが好ま
しく、75〜93モル%であることが更に好ましく、8
0〜92モル%が特に好ましい。また、構造単位(III
)は[(I)+(II)+(III )]の40〜5モル%
が好ましく、25〜6モル%であることが更に好まし
く、20〜8モル%が特に好ましい。また、構造単位
(I)/(II)のモル比は75/25〜95/5が好ま
しく、構造単位(IV)は実質的に構造単位[(II)+
(III )]と等モルである。
【0017】さらに、本発明に使用する液晶性ポリエス
テル樹脂として特に好ましい例として具体的に以下のも
のが挙げられる。
【0018】すなわち、 (i)上記構造単位(III )がエチレングリコールから
生成した構造単位であり構造単位(IV)がテレフタル酸
から生成した構造単位である液晶性ポリエステル樹脂
(以下、本発明におけるこのような液晶性ポリエステル
樹脂を(A−1)と表記する)、
【化11】 なかでも上記構造単位[(I)+(II)]は[(I)+
(II)+(III )]の60〜95モル%であることが好
ましく、80〜93モル%であることがより好ましい。
また、構造単位(III )は[(I)+(II)+(III
)]の40〜5モル%が好ましく、20〜7モル%で
あることが特に好ましい。また、構造単位(I)/(II
のモル比は75/25〜93/7が好ましく、85/1
5〜92/8がより好ましい。さらに、構造単位(IV)
は実質的に構造単位[(II)+(III )]と等モルであ
る。
【0019】(ii)上記構造単位(III )が2,6−ジ
ヒドロキシナフタレンから生成した構造単位であり、構
造単位(IV)がテレフタル酸から生成した構造単位であ
る液晶性ポリエステル樹脂(以下、本発明におけるこの
ような液晶性ポリエステル樹脂を(A−2)と表記す
る)、
【化12】 なかでも上記構造造単位[(I)+(II)]は[(I)
+(II)+(III )]の80〜99モル%であることが
好ましく、88〜98モル%であることがより好まし
い。また、構造単位(III )は[(I)+(II)+(II
I )]の20〜1モル%が好ましく、12〜2モル%で
あることが特に好ましい。また、構造単位(I)/(I
I)のモル比は75/25〜95/5が好ましく、80
/20〜90/10がより好ましい。さらに、構造単位
(II)/(III )のモル比は90/10〜40/60が
好ましく、85/15〜45/55がより好ましい。こ
の場合も、構造単位(IV)は構造単位[(II)+(III
)]と実質的に等モルである。
【0020】本発明に用いる液晶性ポリエステル樹脂の
製造方法については特に限定されるものではなく、公知
のポリエステルの重縮合方法に準じて製造できるが上記
の特に好ましい液晶性ポリエステル樹脂の製造方法とし
てはA−1の場合は下記1)の方法、A−2の場合は下記
2)の方法などが好ましく挙げられる。
【0021】1)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジ
ヒドロキシビフェニルと無水酢酸およびテレフタル酸と
ポリエチレンテレフタレートのポリマ、オリゴマ、また
はビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートを反
応させ、溶融状態で脱酢酸重合によって製造する方法。
【0022】2)p−ヒドロキシ安息香酸、4、4´−ジ
ヒドロキシビフェニルと無水酢酸、2,6−ジアセトキ
シナフタレンおよびテレフタル酸を反応させ、溶融状態
で脱酢酸重合によって製造する方法。
【0023】これらの重縮合反応は無触媒でも進行する
が、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸ナトリ
ウムおよび酢酸カリウム、三酸化アンチモン、金属マグ
ネシウム等の金属化合物を添加した方が好ましいときも
ある。
【0024】かくして得られる、本発明に使用する特に
好ましい液晶ポリエステル樹脂(A−1)の融点(T
m,℃)は下記(1)式を、(A−2)の融点(Tm,
℃)は下記(2)式を満足するものが好ましい。
【0025】 |Tm+5.89x−385.5|<10 …(1) |Tm+7.70x−374.4|<10 …(2)
【0026】ここに(1)および(2)式中のxは構造
単位(III )の[(I)+(II)+(III )]に対する
割合(モル%)を示す。
【0027】本発明に使用する特に好ましい液晶ポリエ
ステル樹脂(A−1)、(A−2)において構造単位
(I)〜(IV)の組成比が上記の条件を満足し、上記
(1)および(2)式の融点を満足する場合にはポリマ
の組成分布、ランダム性が好ましい状態になり、流動
性、成形品の耐熱性および機械特性のバランスが極めて
優れたものとなり、高温時でもポリマの分解がほとんど
起こらず好ましいものとなる。ここで、融点(Tm)と
は示差走査熱量計により、20℃/分の昇温条件で測定
した際に観測される吸熱ピーク温度Tm1 の観測後Tm
1 +20℃の温度まで昇温し、同温度で5分間保持した
後20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却する。再度
20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピ
ーク温度をいう。
【0028】なお、上記の液晶性ポリエステル樹脂を重
縮合する際には上記構造単位(I)〜(IV)を構成する
成分以外に3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2
´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレ
フタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキ
ノン、メチルハイドロキノン、4,4´−ジヒドロキシ
ジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾ
フェノン等の芳香族ジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよ
びm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフト
エ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、p−アミノフ
ェノール、p−アミノ安息香酸および芳香族イミド化合
物などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲
でさらに共重合せしめることができる。
【0029】また、液晶ポリエステルアミドとしては6
ーヒドロキシー2ーナフトエ酸、p−アミノフェノール
とテレフタル酸から生成した液晶ポリエステルアミド
(特開昭57−172921号公報)、p−ヒドロ安息
香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェノールとテレフタ
ル酸、p−アミノ安息香酸およびボリエチレンタレフタ
レートから生成した液晶ポリエステルアミド(特開昭6
4−33123号公報)などが挙げられる。
【0030】また、本発明に使用する液晶ポリエステル
樹脂および/または液晶ポリエステルアミド樹脂(A)
の対数粘度は、0.1g/dl濃度、60℃のペンタフ
ルオロフェノールで測定した値が、0.8〜10.0d
l/gが好ましい。対数粘度の値が0.8dl/g未満
では機械的特性が不十分であり、10.0dl/gを越
える場合は流動性が損なわれるためいずれの場合も好ま
しくない傾向がある。また、特に好ましい液晶ポリエス
テル樹脂(A−1)の場合、1.0〜3.0dl/gが
好ましく、1.3〜2.5dl/gが特に好ましく、液
晶ポリエステル樹脂(A−2)の場合、3.0〜10.
0dl/gが好ましく、3.5〜7.5dl/gが特に
好ましい。
【0031】本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂お
よび/または液晶ポリエステルアミド樹脂(A)の溶融
粘度は100〜2,0000ポイズが好ましく、特に1
00〜1,000ポイズが好ましい。
【0032】なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10
℃の温度で、ずり速度1,000s-1の条件下で高化式
フローテスターによって測定した値である。
【0033】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
に使用するガラス繊維(B)としては、弱アルカリ性の
ものが機械的強度の点ですぐれており、本発明に好まし
く使用できる。
【0034】また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン
系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されて
いることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。また
シラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他
表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシ
シラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好まし
い。
【0035】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
の製造に用いるガラス繊維(B)の平均繊維径は3〜1
5μmであり、繊維の長さは20〜104 μmが好まし
く、更に好ましくは1000〜4000μm、充填量は
液晶性ポリエステル100重量部に対して5〜300重
量部、好ましくは10〜200重量部、特に好ましくは
13〜150である。ガラス繊維の平均径が3μm未満
では、補強効果が小さく異方性減少効果が少なく好まし
くない。一方、15μmより大きいと成形性が低下し、
表面外観も悪化するので好ましくない。
【0036】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
において、該組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長は
0.02〜0.55mm、好ましくは0.10〜0.50
mm、特に好ましくは0.20〜0.45mmの範囲であ
る。重量平均繊維長が0.55mmよりも大きい場合は成
形時の流動性や成形品の外観が損なわれるため好ましく
ない。
【0037】また、組成物中のガラス繊維の繊維長が1
mmを越えるガラス繊維の比率が該ガラス繊維の0〜1
5重量%、好ましくは0〜10重量%、特に、0〜6重
量%が好ましい。かつ、組成物中のガラス繊維の繊維長
が0.1mm以下のガラス繊維の比率が該ガラス繊維0
〜50重量%、好ましくは3〜50重量%、更に好まし
くは8〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%
がの範囲である。ガラス繊維の繊維長が1mmを越える
ガラス繊維の比率が15重量%越えた場合は成形時の流
動性および成形品の外観が不良になるばかりか、特に、
面衝撃強度が低下し好ましくない。また、組成物中のガ
ラス繊維の繊維長が0.1mm以下のガラス繊維の比率
が50重量%を越えた場合は成形時の流動性は良いが、
特に、面衝撃強度が不十分となりケースやハウジング類
などの広い面を有する成形品には使用できず好ましくな
い。
【0038】なお、ガラス繊維の繊維長分布および重量
平均繊維長の測定方法は組成物のペレット約5gをるつ
ぼ中で灰化した後、残存したガラス繊維のうちから10
0mmgを採取し、100ccの石鹸水中に分散させ
る。次いで、分散液をスポイトを用いて1〜2滴スライ
ドガラス上に置き、顕微鏡下に観察して、写真撮影す
る。写真に撮影されたガラス繊維の繊維長を測定する。
測定は500本以上行い、繊維長0.01mm間隔で繊
維長の分布図を作成すると同時に重量平均繊維長を求め
る。
【0039】本発明の効果は組成物中のガラス繊維の重
量平均繊維長が0.02〜0.55mmの範囲にあって、
かつ、繊維長が1mmを越えるガラス繊維の比率が該ガ
ラス繊維の0〜15重量%、かつ、繊維長が0.1mm
以下のガラス繊維の比率が該ガラス繊維の0〜50重量
%である条件を同時に満足したときに発現され、機械的
特性、耐熱性、成形性に優れ、とりわけ薄肉成形性と面
衝撃強度が改良された均衡して優れたガラス繊維強化液
晶性樹脂組成物を得ることができる。
【0040】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
には、更に、ガラス繊維以外の充填剤を含有させること
も可能である。
【0041】本発明に用いることができる充填剤として
は炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム
繊維、石コウ繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチー
ル繊維、セラミックス繊維、ボロンウイスカ繊維、マイ
カ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、
ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワ
ラステナイト、酸化チタン、グラファイト等の繊維状、
粉状、粒状あるいは板状の無機フィラーが挙げられる。
【0042】更に、本発明の組成物には、本発明の目的
を損なわない程度の範囲で、酸化防止剤および熱安定剤
(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホス
ファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤
(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリ
アゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤
(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフ
エステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよび
ポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニグロシ
ンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、フタロ
シアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑
剤、帯電防止剤、難燃剤などの通常の添加剤や他の熱可
塑性樹脂を添加して、所定の特性を付与することができ
る。
【0043】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
の製造方法については組成物中のガラス繊維を特定範囲
の数平均繊維長かつ、特定範囲の繊維長分布にする必要
があるため、通常の単純な押出技術では目的とするもの
を得ることは困難である。
【0044】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物
の製造方法は特に限定されるものではないが例えば、以
下の方法による溶融混練法を適用することが推奨され
る。
【0045】(1)液晶性樹脂(A)とガラス繊維
(B)を溶融混練し組成物とする際に、2軸押出機を使
用し、液晶性樹脂(A)、ガラス繊維(B)の順に、逐
次かつ連続的に該押出機に供給する方法により製造す
る。具体的には、2軸押出機の原料投入口からノズル部
の間の任意の位置にさらに別の投入口を設け、半溶融状
態または溶融状態の液晶性樹脂(A)にガラス繊維
(B)が連続的に供給されるようにする。
【0046】(2)液晶性樹脂(A)の融点(Tm)−
30℃以上から融点(Tm)+30℃以下の温度で溶融
混練して組成物とする。
【0047】(3)押出時に、該2軸押出機のスクリュ
ーアレンジメントとしては液晶性樹脂を溶融するゾーン
およびガラス繊維を所定のサイズまで折り、ついで混練
するゾーンを設け溶融混練して組成物とする。
【0048】上記(1)〜(2)の方法の少なくとも1
つを採用することは、本発明の組成物の製造を容易にす
る。従って、本発明の組成物は、かくなる特殊技術によ
り、初めて容易に製造されるということができる。
【0049】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに説明す
る。
【0050】参考例1 留出管、攪拌翼を備えた反応容器にp−ヒドロキシ安息
香酸(I)994.5重量部、4,4´−ジヒドロキシ
ビフェニル(II)125.7重量部、テレフタル酸11
2.1重量部、固有粘度が約0.6のポリエチレンテレ
フタレート(III )216.2重量部および無水酢酸9
60.2重量部を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行っ
た。
【0051】まず窒素雰囲気下130〜150℃で4時
間反応させた後、2.5時間かけて250℃まで昇温
し、さらに250℃で2.5時間反応を続けた。さら
に、2時間かけて系内温度を320℃まで昇温させた
後、1.5時間で系内を0.3mmHgまで減圧し、さら
に30分間反応を続け重縮合を完結させた。上記の反応
の結果、ベージュ色の樹脂(A−1)が得られた。
【0052】このポリマの融点をパーキンエルマー社製
DSC−7型を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測
定したところ、Tmは314℃であった。
【0053】なお、このポリマの対数粘度は1.82d
l/gであり、溶融粘度は324℃ずり速度1000
(1/秒)で520ポイズと流動性が極めて良好であっ
た。
【0054】参考例2 留出管、攪拌機を備えた反応容器にp−ヒドロキシ安息
香酸994重量部、44´−ジヒドロキシビフェニル2
23重量部、2,6−ジアセトキシナフタレン147重
量部、テレフタル酸299重量部および無水酢酸107
7重量部を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0055】まず、窒素ガス雰囲気下に100〜250
℃で6時間、250〜330℃で20時間反応させた
後、330℃、2時間で0.5mmHgに減圧し、さらに
1.5時間反応させ、重縮合を完結させたところ、ほぼ
理論量の酢酸が留出し下記の理論構造式を有するベージ
ュ色の樹脂(A−2)を得た。
【0056】このポリマの融点をパーキンエルマー社製
DSC−7型を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測
定したところ、Tmは323℃であった。
【0057】なお、このポリマの対数粘度は4.86d
l/gであり、溶融粘度は333℃ずり速度1000
(1/秒)で460ポイズと流動性が極めて良好であっ
た。
【0058】参考例3 p−アセトキシ安息香酸1296重量部、6−アセトキ
シ−2−ナフトエ酸414重量部を脱酢酸重合反応さ
せ、下記理論構造式を有するベージュ色の樹脂(B)を
得た。
【0059】このポリマの融点をパーキンエルマー社製
DSC−7型を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測
定したところ、Tmは317℃であった。なお、このポ
リマの対数粘度は4.06dl/gであった。
【0060】実施例1〜7 中間添加口を有する44mmφの2軸押出機を用い、ス
クリューアレンジメン、トとしてはポリマの供給口から
中間添加口の間にポリマの溶融ゾーン(Z−1)を設
け、中間添加口の直後にガラス繊維を折ると同時に混練
するゾーン(Z−2を設け、さらに吐出口との間に混練
ゾーン(Z−3)を設けた構成とし、押出温,度305
〜330℃、スクリュー回転数を第1表に示した、条件
下にポリマ供給口より参考例1と同じ方法で得た液晶ポ
リエステル(A−1)、中間添加口から繊維径約6μ
m、繊維長3mmのガラス繊維をポリマ(A−1)10
0重量部に対して表1に示した配合量になるように供給
し、溶融混練してペレタイズした。.得られたペレット
からポリマ成分を燃焼除去せしめ残存したガラス繊維の
繊維長分布および重量平均繊維長は前述した方法で求め
た。結果を第1表に示す。
【0061】次に得られたペレットを住友ネスタール射
出成形機プロマット(住友重機械工業(株)製)に供
し、シリンダー温度324℃、金型温度90℃の条件で
2mm厚×70mm×70mmの角板を成形した。
【0062】上記角板の流動方向に直角の方向(TD方
向)の寸法を測定し、金型寸法からの収縮率すなわちT
D方向の成形収縮率を求め、寸法精度の目安とした。結
果を、第1表に示す。
【0063】また、上記角板と高速面衝撃試験機(島津
製作所)に供し、面衝撃強度を測定した。結果を第1表
に併せて示した。
【0064】また、薄肉成形性の評価として上記の成形
機を用いて射出速度99%、射出圧力500kgf/cm2
条件で0.5mm厚×12.7mm幅の試験片の流動長
さ(棒流動長)を求めた。その結果を第1表に示す。
【0065】実施例8 液晶ポリエステルとして参考例2と同じ方法で得たポリ
マ(A−2)を用い、押出温度を325℃および射出成
形機のシリンダー温度を333℃とした以外は実施例4
と同に行った。結果を第1表に示す。
【0066】実施例9 液晶ポリエステルとして参考例3と同じ方法で得たポリ
マ(B)を用い、押出温度317℃および射出成形機の
シリンダー温度を327℃とした以外は実施例4と同様
に行った。結果を第1表に示す。
【0067】比較例1 実施例4のスクリューアレンジメントについてZ−2ゾ
ーンをなくした以外は)実施例4と同様に行った。結果
を第1表に示す。
【0068】比較例3 実施例4においてスクリューアレンジメントのZ−2ゾ
ーンを2カ所に増した以外は実施例1と同様に行った。
結果を第1表に示す。
【0069】比較例4 40mmφの短軸押出機を用いてガラス繊維をポリマ供
給口からポリマと同時に供給する以外は実施例4と同様
に行った。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】本発明のガラス繊維強化液晶性樹脂組成
物は、優れた機械的特性、耐熱性、成形性、を有し、と
りわけ薄肉成形性と面衝撃強度が改良された材料であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 井上 俊英 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)異方性溶融相を形成する液晶ポリエ
    ステル樹脂および/または液晶ポリエステルアミド樹脂
    から選ばれた少なくとも1種以上の液晶性樹脂100重
    量部に対して、(B)平均繊維径が3〜15μmのガラ
    ス繊維5〜300重量部を充填してなり、該組成物中の
    重量平均繊維長が0.02〜0.55mmの範囲にあっ
    て、かつ、繊維長が1mmを越えるガラス繊維の比率が
    該ガラス繊維の0〜15重量%、かつ、繊維長が0.1
    mm以下のガラス繊維の比率が該ガラス繊維の0〜50
    重量%であることを特徴とするガラス繊維強化液晶性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】液晶ポリエステル樹脂(A)が下記構造単
    位(I)、(II)、(III )、(IV)からなる液晶ポリ
    エステル樹脂である請求項1記載のガラス繊維強化液晶
    性樹脂組成物。 【化1】 (ただし、式中のR1 は 【化2】 から選ばれた1種以上の基を、R2 は 【化3】 から選ばれた1種以上の基を示す。また式中のXは水素
    原子または塩素原子を示す。)
  3. 【請求項3】 液晶ポリエステル樹脂(A)の構造単位
    (III )、(IV)中のR1 、R2 が、 【化4】 であり、構造単位[(I)+(II)]が[(I)+(I
    I)+(III )]の60〜95モル%、構造単位(III
    )が[(I)+(II)+(III )]の40〜5モル
    %、構造単位(I)/(II)のモル比が75/25〜9
    5/5であり、かつ融点(Tm,℃)が(1)式を満足
    し、対数粘度が1.0〜3.0dl/gである請求項1
    記載のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物。 |Tm+5.89x−385.5|<10 …(1) ここに(1)式中のxは構造単位(III )の[(I)+
    (II)+(III )]に対する割合(モル%)を示す。
  4. 【請求項4】 液晶ポリエステル樹脂(A)の構造単位
    (III )、(IV)中のR1 、R2 が、 【化5】 であり、構造単位[(I)+(II)]が[(I)+(I
    I)+(III )]の80〜99モル%、構造単位(III
    )が[(I)+(II)+(III )]の20〜1モル
    %、構造単位(I)/(II)のモル比が75/25〜9
    5/5、(II)/(III)のモル比が90/10〜40
    /60であり、かつ融点(Tm,℃)が(2)式を満足
    し、対数粘度が3.0〜10.0dl/gである請求項
    1記載のガラス繊維強化液晶性樹脂組成物。 |Tm+7.70x−374.4|<10…(2) ここに(2)式中のxは構造単位(III)の[(I)+
    (II)+(III)]に対する割合(モル%)を示す。
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