JPH0623758B2 - Bリンパ球分離材、分離方法および分離器 - Google Patents

Bリンパ球分離材、分離方法および分離器

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JPH0623758B2
JPH0623758B2 JP62087640A JP8764087A JPH0623758B2 JP H0623758 B2 JPH0623758 B2 JP H0623758B2 JP 62087640 A JP62087640 A JP 62087640A JP 8764087 A JP8764087 A JP 8764087A JP H0623758 B2 JPH0623758 B2 JP H0623758B2
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lymphocyte
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雄一 山本
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、Bリンパ球分離材、分離方法および分離器に
関するものである。詳しく述べると、本発明は末梢血あ
るいは生体組織から得られるリンパ球分画を浮遊させた
細胞懸濁液あるいは白血球分画などのBリンパ球含有液
からBリンパ球を処理液中の細胞成分の機能的損傷を最
小限にとどめ、簡便かつ安価に高収率、高純度で分離す
るBリンパ球分離材、分離方法および分離器を示すもの
である。
リンパ球は、血球系の幹細胞から分化した免疫機能を担
う細胞であり、機能あるいは細胞膜形質等の点からいく
つかの亜群に分けられる。それらは、抗体を産生し体液
性免疫を担うBリンパ球、免疫調節性リンホカインや炎
症性リンホカイン等を産生し細胞生免疫を担うTリンパ
球、およびヌル細胞等のリンパ球サブクラスであり、さ
らに、T,Bリンパ球には、機能的に異なるサブセット
が存在する。近年、このような免疫学的特性の異なる
T,Bリンパ球等のサブクラスを、機能的損傷を最小限
にとどめ純粋に分離、精製、濃縮する技術が、広範囲に
わたる社会的分野で強く望まれている。例えば細胞学、
免疫学などの基礎研究においては生体内免疫系の生体外
(in vitro)での解析において、少なくともT,Bリン
パ球群までの分離が必要であり、臨床医学にける診断、
治療等では、機能低下あるいは昴進した特定分画の移入
あるいは除去が必要であり、またリンパ系の生理活性物
質の取得においては、産生細胞分画の分離、濃縮が重要
である。
(従来の技術) Tリンパ球とBリンパ球の分離方法としては、まずソデ
ィウムメトリゾエイトフィコール混液などの高密度等張
液を用いた比重遠心法により末梢血あるいは生体組織等
からリンパ球分画を得、続いてこれを分離処理してTリ
ンパ球とBリンパ球に分離するのが従来一般的である。
この後続する分離処理方法としては、大きく(1)細胞
膜表面の特異抗原、レセプター、免疫グロブリンを指標
とするもの、(2)物理的細胞分離および(3)吸着ク
ロマトグラフィーの3つに分けられる。
(1)の方法としては、ロゼット形成法、(抗体や免疫
複合体を結合させた)アフィニティークロマトグラフィ
ー、抗体、補体による細胞融解法、マイトジェン活性化
リンパ球の除去、フルオレセインアクチベイテッドセル
ソーター(F.A.C.S.)などが知られているが、
これらの方法では、生物学的に特異性の高い強固な結合
や刺激を受けるため、インタクトな状態でTリンパ球も
しくはBリンパ球を回収するのが難しく、かつ大量処理
に向かない手法も多い。また、(2)の方法としては、
密度勾配遠心法、細胞電気泳動法などが知られている
が、Tリンパ球とBリンパ球との間に比重、密度等の物
理的諸物性に際だった差がないため、分離回収された細
胞の収率あるいは純度に高い精度が要求できない。さら
に(3)の方法としては、ナイロン、テトロン、綿繊維
等の異物に対するTリンパ球とBリンパ球の非特異的接
着能力の差を利用するものが知られているが、高精度に
分離細胞を得るためには、吸着担体の牛胎児血清(FC
S)等による処理が必要であることや流速などの実施条
件の設定が難しく、マクロファージ等の不純物の混入も
多い。加えて、これらの従来の方法は、全般に、繁雑な
操作、あるいは準備がともない、分離操作を行う場合の
経験的技術的習熟が必須であるという大きな課題も存在
しているものであった。
(発明が解決しようとする問題点) 従って、本発明は、新規なBリンパ球分離材、分離方法
および分離器を提供することを目的とする。本発明はま
た、細胞の諸活性に影響を与えることなく、簡便かつ安
価に高収率、高純度で分離するBリンパ球分離材、分離
方法および分離器を示すものである。本発明はさらに、
大量処理に適したBリンパ球分離材、分離方法および分
離器を提供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 上記諸目的はさらに、水不溶性固体物質表面にスペーサ
ーを介して、ジペプチドおよびスルファチアゾールより
なる群から選ばれた少なくとも1種の免疫グロブリンと
高い親分性を有する有機合成されたリガンドが固定化さ
れていることを特徴とするBリンパ球分離材によって達
成される。
本発明はまた、スペーサーが少なくとも2個以上の炭素
原子を有する炭化水素鎖ないしは特性基を含む炭化水素
鎖を骨格とするものであるBリンパ球分離材を示すもの
である。本発明はさらに、スペーサーのメチレンの繰返
しが4個以上の直鎖アルキルを骨格とするものであるB
リンパ球分離材を示すものである。本発明はまた、スペ
ーサーが重合度1〜50のエチレンオキサイド骨格を有
するものであるBリンパ球分離材を示すものである。本
発明はまた、水不溶性固体物質が、合成有機高分子、天
然有機高分子または無機物からなる粒子体であるBリン
パ球分離材を示すものである。本発明はまた、水不溶性
固体物質が、平均粒径0.05〜5mmの粒子体であるB
リンパ球分離材を示すものである。
上記諸目的はまた、不水溶性固体物質表面にスペーサー
を介して、ジペプチドおよびスルファチゾールよりなる
群から選ばれた少なくとも1種の免疫グロブリンと高い
親和性を有する有機合成されたリガンドを固定化してな
る分離材に、Bリンパ球分有液を接触させ、膜表面に免
疫グロブリン分子(S−Ig)を有するBリンパ球を選
択的に捕捉せしめることを特徴とするBリンパ球の分離
方法により達成される。
本発明はまた分離材におけるスペーサーが少なくとも2
個以上の炭素原子を有する炭化水素鎖ないしは特性基を
含む炭化水素鎖を骨格とするものであるBリンパ球の分
離方法を示すものである。本発明はさらに分離材におけ
るスペーサーのメチレンの繰返しが4個以上の直鎖アル
キル骨格とするものであるBリンパ球の分離方法を示す
ものである。本発明はまた、分離材におけるスペーサー
が重合度1〜50のエチレンオキサイド骨格を有するも
のであるBリンパ球の分離方法を示すものである。本発
明はさらに、水不溶性固体物質が、合成有機高分子、天
然有機高分子または無機物からなるものであるBリンパ
球の分離方法を示すものである。本発明はまた洗浄液と
して等張緩衝液を用いるものであるBリンパ球の分離方
法を示すものである。
上記諸目的はさらに、粒子状の水不溶性固体物質表面に
スペーサーを介して、ジペプチドおよびスルファチアゾ
ールよりなる群から選ばれた少なくとも1種の免疫グロ
ブリンと高い親和性を有する有機合成されたリガンドを
固定してなる分離材を充填したカラムを有するBリンパ
球の分離器により達成される。
本発明はまたカラムがポリプロピレンまたはポリカーボ
ネートからなるものであるBリンパ球の分離器を示すも
のである。本発明はさらにカラムの出入口と分離材層と
の間には、Bリンパ球含有液中の細胞成分は通過するが
分離材は通過できない網目を有するフィルターを備えて
なるものであるBリンパ球の分離器を示すものである。
本発明はさらにフィルターがポリエステルまたはポリア
ミドからなるものであるBリンパ球の分離器を示すもの
である。なお、本明細書において「リガンド」とは蛋白
質に特異的に結合する物質をいう。
(作用) 公知のごとくBリンパ球の細胞膜表面には、その分化の
度合などにより、IgG、IgM、IgAなどそのクラ
スは異なるが、いずれも免疫グロブリンが存在してお
り、一方Tリンパ球の細胞膜表面には、実質的にこのよ
うな免疫グロブリンが存在しないことが知られている。
しかして、本発明に係るBリンパ球分離材は、水不溶性
固体物質表面に、免疫グロブリンと高い親和性を有する
有機合成されたリガンドを固定化したことを特徴とする
ものであるので、該Bリンパ球分離材を例えばリンパ球
懸濁液等のBリンパ球含有液と接触させた際、細胞膜表
面に免疫グロブリンを有するBリンパ球と極めて高い親
和力を示し、Bリンパ球はBリンパ球分離材に極めて高
い確率で捕捉される。一方、細胞膜表面に免疫グロブリ
ンを有しないTリンパ球に対しては、親和力を示さず、
Tリンパ球はBリンパ球分離材に捕捉されない。従っ
て、分離材吸着分画と分離材非吸着分画とを分離するこ
とによってBリンパ球とTリンパ球を高純度、高収率で
得ることができるものである。
さらに、本発明に係る別のリンパ球分離材は、水不溶性
固体物質表面にスペーサーを介して、免疫グロブリンと
高い親和性を有する有機合成されたリガンドを固定化し
たことを特徴とするものであるので、該Bリンパ球分離
材を例えばリンパ球懸濁液と接触させた際、Bリンパ球
分離材は細胞膜表面に免疫グロブリンを有するBリンパ
球に対して極めて高い親和力を示し、Bリンパ球はBリ
ンパ球分離材に極めて高い確率で捕捉される。一方、細
胞膜表面に免疫グロブリンを有しないTリンパ球に対し
ては、Bリンパ球分離材は親和力を示さず、さらに水不
溶性固体物質表面と免疫グロブリンと高い親和性を有す
る有機合成されたリガンドとの間に介在するスペーサー
が、その流動性や排除体積効果によって細胞が分離材表
面に接近して相互作用することを妨げるために、上記の
ようにBリンパ球分離材との相互作用力の弱いTリンパ
球の非特異的接着を抑制するために、Tリンパ球はBリ
ンパ球分離材に実質的に捕捉されない。従って、分離材
吸着分画と分離材非吸着分画とを分離することによって
Bリンパ球とTリンパ球をより高純度、高収率で得るこ
とができるものである。
このため、例えば該Bリンパ球分離材を充填した液の出
入口を有するカラムにリンパ球懸濁液を一定速度で注入
し、直ちに等張緩衝液などの洗浄液によってカラム内の
非吸着分画を洗い流すことでTリンパ球が簡便、迅速か
つ大量に高純度、高収率で得ることができる。このよう
に本発明は、一種の吸着クロマトグラフィー的手法を適
用するものであるが、本発明のBリンパ球分離材の場
合、従来のアフィニティークロマトグラフィーのごと
く、担体に抗体や免疫複合体を固定化した場合とは異な
り、Bリンパ球に対しては明確な親和性を有するが、生
物学的に特異性の高い刺激等はいっさい与えないという
特性を有するため、分離されたTリンパ球およびBリン
パ球はインタクトな状態を保持しているものである。さ
らに、本発明のBリンパ球分離材のこの様な親和性は、
動物種の由来に影響しないことも確められ、分離操作も
数分で完了し、また、リンパ球懸濁液の組成も単純等張
塩溶液でよくウシ胎児血清等の異種動物由来の濃厚血清
も必要がないというように、応用上における利点を数多
く有するものである。以下、本発明を実施態様に基づき
より詳細に説明する。
本発明のBリンパ球分離材は、水不溶性固体物質表面
に、免疫グロブリンと高い親和性を有する有機合成され
たリガンドを固定化したことを特徴とするものである。
このように免疫グロブリンと高い親和性を有するリガン
ドとしては、ジペプチド、スルファチアゾールなどが挙
げられ、これらはリガンドとして単独であるいは複数組
合せて用いられる。
本発明のBリンパ球分離材において、免疫グロブリンと
高い親和性を有するリガンドとして好適に用いられるス
ルファチアゾールのヘテロ原子は孤立電子対を有し、プ
ロトンアクセプターとして働く。また解離基の少ない複
素環は疎水水を示す。さらにサルファ剤のスルフォンア
ミド部分、 2−チオウラシルのチオール基あるいは水酸
基、イソニコチン酸ヒドラジドの酸アミド部分、ルミノ
ールのカルボニル基とイミノ基は水素結合性を有してい
る。この様に、Bリンパ球細胞膜表面の免疫グロブリン
と該化合物との相互作用において、該化合物の主要部分
の疎水性、ヘテロ原子による静電特性、主要部分付近の
水素結合性が、免疫グロブリン分子鎖中の吸着サイトの
アミノ酸残基とそれぞれ相互作用力を発揮し、加えて、
該化合物の立体構造が細胞膜表面の免疫グロブリン分子
内ポケットに適度に当てはまったために、非抗原/抗体
系の高い親和性が得られたものと考えられる。
また、本発明において用いられるジペプチドは、2個の
アミノ酸がペプチド結合を介して得られる合成化合物で
あり、これらのジペプチドの中でも、免疫グロブリン分
子と特異的な結合性を有するプロテインA等の公知の天
然物質のアフィニティーサイトを模倣したものが好まし
く、特にリジン、チロシンによるジペプチド、あるいは
アスパルチルフェニルアラニンメチルエステルなどのア
スパルチルフェニルアラニンアルキルエステル等の化合
物が極めて良好な結果を与える。
これらのジペプチドに関しても、免疫グロブリン分子鎖
中の特定な疎水性サイトや荷電サイトとの相互作用によ
って非抗原/抗体系の高い親和性が得られたものと考え
られる。
また本発明においては、ジペプチドに対してアミノ酸類
を併用することができ、これらのアミノ酸類は、単種の
アミノ酸、あるいは2種以上のアミノ酸を同時に用いた
ものであり、疎水性のバリン、ロイシン、チロシン、フ
ェニルアラニン、イソロイシン、トリプトファンや、塩
基性のリジン、アルギニン、あるいは酸性のプロリンお
よびアスパラギン酸およびその誘導体を単独あるいは複
数組合せて用いたものが特に良好な結果を与える。なお
これらの物質のD,L体の如何は問われない。
これらのアミノ酸類に関しても、先に述べたジペプチド
と同時に、免疫グロブリン分子鎖中の特定な疎水性サイ
トや荷電サイトとの相互作用によって、免疫グロブリン
を有するBリンパ球と非抗原/抗体系の高い親和性が得
られたものと考えられる。
さらに、以上述べたような有機合成されたリガンドは、
単独で用いてもBリンパ球に対する親和性を十分に発揮
できるが、特に、アルギニン、アスパラギン酸、フェニ
ルアラニン、プロリン等のアミノ酸と複素環式化合物で
あるスルファチアゾールを同時にリガンドとして用いた
場合には、極めて良好な結果が得られる。また、上記に
列記したこのようなリガンドは、ヒト、ウシ、ラット由
来の免疫グロブリンに対して高い親和性を持つことか
ら、対象とする細胞の動物種の如何を問わないものであ
る可能性が高いものとなる。
本発明のBリンパ球分離材において、このような有機合
成されたリガンドを固定化させる担体としての水不溶性
固体物質としては、アガロース系、デキストラン系、セ
ルロース系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコ
ール系、ポリビニルピロリドン系、ポリアクリロニトリ
ル系、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリスチ
レン系、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル
系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ 4−フッ
化エチレン系、エチレン−鎖酸ビニル共重合体系、ポリ
アミド系、ポリカーボネート系、ポリフッ化ビニリデン
系、ポリビニルホルマール系、ポリアリレート系、ポリ
エーテルスルフォン系などの有機高分子、ガラス系、ア
ルミナ系、チタン系、活性炭系、セラミックス系などの
無機物などが挙げられるが、特に細胞接着性の高すぎな
いもの、すなわち、細胞−担体間の相互作用が比較的穏
やかなものが好まれ、特に好ましくはアクリル酸エステ
ル系などが用いられる。また、生体由来の天然有機高分
子であるコラーゲン、キトサン等も用いられ得る。この
ような水不溶性固体物質の形態としては、特に限定され
ず、平板上のものも用いることができるが、好ましく
は、粒子状、特に平均粒径が0.05〜5mmの粒子状の
ものが望ましい。なお平均粒径はJIS−7−8801
に規定されるフルイを用いて分級した後、各級の上限粒
径と下限粒径の中間値を各級の粒径とし、その重量平均
として算出したものである。さらに粒子形状は細胞に物
理的な損傷を与えにくいことや均一な粒子を得やすい等
の点から球形のものが好ましい。
本発明のBリンパ球分離材において、上記のごとき水不
溶性固体物質表面に有機合成されたリガンドを固定化す
る方法としては、共有結合、イオン結合、物理的吸着、
包埋あるいは担体表面への沈澱不溶化などあらゆる公知
の方法用いることができるが、固定化されたリガンドの
溶出性からみて、共有結合により固定、不溶化して用い
るのが好ましい。そのため一般に、固定化酵素、アフィ
ニティークロマトグラフィーの分野で用いられる公知の
不溶性担体の活性化法およびリガンドの固定化方法が、
好ましく用いられ得る。
本発明の別のBリンパ球分離材は、水不溶性固体物質表
面にスペーサーを介して、免疫グロブリンと高い親和性
を有する有機合成されたリガンドが固定化されているこ
とを特徴とするものである。このBリンパ球において用
いられる免疫グロブリンと高い親和性を有するリガンド
としては、上記に挙げたものと同様なものが用いられ、
その作用も同様であり、またこのような有機合成された
リガンドを固定化させる担体としての水不溶性固体物質
としても、上記に挙げたもの同様なものが用いられる。
本発明のこの別のBリンパ球分離材において用いられる
スペーサーとは、分子状をなし、水不溶性固体物質表面
とリガンドとの間に介在して任意の長さを設けることが
できるものであればよく、水不溶性固体物質表面とリガ
ンドとの結合を立体的に阻害しない限り、どのような骨
格構造をもつものでもよい。水不溶性固体物質表面とリ
ガンドとの間にこのようなスペーサーが介在している
と、スペーサーの流動性や排除体積効果によって、細胞
が分離材表面に接近して相互作用することが妨げられ、
この結果、分離材との相互作用力の弱いTリンパ球の接
着が優先的に抑制されるものと考えられ、Tリンパ球の
非特異的接着を抑制する効果が生まれる。
このようなスペーサーは、少なくとも2個以上の炭素原
子を有する、疎水性の炭化水素鎖ないしは分子鎖に水酸
基、カルボキシル基等やエーテル酸素などの特性基を含
む親水性の炭化水素鎖を骨格とするものであり、またそ
の分子鎖の両端に有していたエポキシ基やイソチオシア
ネート基等の公知の反応性官能基を、水不溶性物質表面
およびリガンドのアミノ基やカルボキシル基にそれぞれ
反応させて分子鎖の一端において水不溶性物質表面に、
他端においてリガンドに共有結合しているものである。
スペーサー骨格としての疎水性の炭化水素鎖としては、
単純なメチレンの繰返しからなるアルキル鎖、このアル
キル鎖中に一部炭素二重結合やベンゼン環等の種々の環
式置換基が含まれるもの、さらにはこのような分子鎖に
分岐があるものなどがあるが、好ましくはメチレンの繰
返しが4個以上、より好ましくはメチレンの繰返しが4
〜10個の直鎖アルキル鎖が特にTリンパ球の非特異的
接着を抑制するスペーサーとしての効果の高いものであ
る。またスペーサー骨格としての特性基を含む親水性の
炭化水素鎖としては、上記のアルキル鎖中に水酸基、カ
ルボキシル基、あるいはアミノ基等の解離性の官能基を
有するものや、エーテル酸素を有するものなどがあり、
同様に炭素二重結合や環式置換基あるいは分子鎖の分岐
があっても構わないが、好ましくは重合度1〜50、よ
り好ましくは重合度4〜30のエチレンオキサイド骨格
が、特にTリンパ球の非特異的接着を抑制するスペーサ
ーとしての効果の高いものである。
なお水不溶性固体物質表面およびリガンドに共有結合し
て本発明のBリンパ球分離材におけるスペーサーとなり
得る化合物の好ましい例としては、次に示すような構造
を有するものがあるが、もちろんこれらに限定されるも
のではない。
[式中Rは炭素数2〜20個、好ましくはメチレンの
繰返しが4〜10個の直鎖アルキルである。] [式中、R,Rはそれぞれ水素または炭素数1〜4
個のアルキル基であり、またnは0〜49、より好まし
くは3〜29の数である。] 本発明のこの別のBリンパ球分離材を得るには、例え
ば、固定化酵素、アフィニティークロマトグラフィーの
分野で用いられる公知の方法に基づき、上記構造式
(I)または(II)で表わされるビスエポキシドのよう
な両端に反応性官能基を有し、スペーサーとして適度な
鎖長の分子骨格を有する化合物の該反応性官能基を、そ
れぞれ水不溶性固体物質表面およびリガンドのアミノ基
やカルボキシル基に反応させて共有結合させればよく、
免疫グロブリンに高い親和性を有するリガンドはスペー
サーを介して水不溶性固体物質表面に共有結合により強
固に結合されることとなる。
本発明のBリンパ球の分離方法は、上記のごとき水不溶
性固体物質表面に免疫グロブリンGと高い親和性を有す
る有機合成されたリガンドを固定化してなる分離材、ま
たは上記のごとき水不溶性固体物質表面にスペーサーを
介して免疫グロブリンと高い親和性を有する有機合成さ
せたリガンドを固定してなる分離材に、Bリンパ球含有
液を接触させ、膜表面に免疫グロブリン分子(S−I
g)を有するBリンパ球を選択的に捕捉せしめることに
より、Bリンパ球を効率よく分離するものである。
本発明のBリンパ球の分離方法において処理対象として
用いられるBリンパ球含有液としては、全血、全血を遠
心処理する等により得られた白血球分画、およびリンパ
球懸濁液などが含まれる。リンパ球懸濁液は、末梢血あ
るいは組織液などのリンパ球を含む細胞浮遊液から、血
漿分離器あるいは遠心分離装置等を用いてリンパ球分画
を他の血球成分から精製し、このリンパ球分画を適当な
溶液中に浮遊させることにより調製される。リンパ球分
画を浮遊させる溶液は、単純な等張塩溶液であっても、
また自己血清等を含むものであっても構わない。
本発明のBリンパ球の分離方法において、リンパ球懸濁
液等のBリンパ球含有液とのBリンパ球分離材との接触
は、平板状のBリンパ球分離材にBリンパ球含有液を接
触させて行なうことも可能であるが、水不溶性固体物質
表面上の有機合成されたリガンドの絶対量や十分な細胞
吸着スペースを獲得するという点から、粒子状のBリン
パ球分離材を充填してなるカラムを有するBリンパ球分
離器を用い、これにBリンパ球含有液を通液することに
より好適に行なわれる。
この粒子状のBリンパ球分離材を充填してなるカラムを
有するBリンパ球分離器において、カラム容器を構成す
る材質としては、ポリプロピレン、ポリカーボネート、
ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の合成樹
脂、ガラスおよびステンレス等の金属などが使用できる
が、オートクレーブ滅菌が可能で取り扱いやすいポリプ
ロピレンやポリカーボネート等が特に好ましい。またこ
のBリンパ球分離器のカラムの出入口とBリンパ球分離
材を充填した分離材層との間には、Bリンパ球含有液の
細胞成分は通過するが分離材は通過できない網目を有す
るフィルターを備えていることが好ましく、このフィル
ターを構成する材質としては、生理学的に不活性で強度
の高いものであればよいが、特にポリエステル、ポリア
ミドであることが好まれる。
第1図は、本発明に係るBリンパ球分離器の一実施例の
使用態様を示す模式図である。第1図に示すようにBリ
ンパ球含有液としてのリンパ球を浮遊させたリンパ球懸
濁液1はBリンパ球分離器の導入口9から、Bリンパ球
分離材5を充填されたカラム6内にポンプによって注入
される。なおBリンパ球分離材5は、フィルター4a,
4bによりカラム6内に保持されている。リンパ球懸濁
液1を注入後、洗浄液8をポンプ3でカラム6内に注入
し、カラム内に残留している非捕捉細胞をリンスし、導
出口10より流出してくる処理液7を回収する。この処
理液7は、分離材非吸着分画であり、高純度、高収率で
Tリンパ球を含むものである。
Bリンパ球分離材5に捕捉された細胞(Bリンパ球)を
遊離することなく、捕捉されなかった細胞(Tリンパ
球)を洗い落とすために用いられる洗浄液8としては、
等張緩衝液、細胞培養液等が用いられ、好ましくは2価
カチオンフリーの等張緩衝液、特に好ましくはハンクス
緩衝液(Hanks balanced salt s
oltion :HBSS)などが用いられる。また
リンパ球懸濁液1の通液方法は、必要に応じて連続ある
いは非連続にしてもよく、さらには一定時間のインキュ
ベーションを加えても構わない。
さらにBリンパ球分離材5に捕捉された細胞を回収する
場合には、洗浄液8により非捕捉細胞を洗浄除去した
後、Bリンパ球分離材5に捕捉された細胞とBリンパ球
分離材5表面のリガンドとの結合力を適当な手段で弱め
てやればよく、例えば、アミノ酸、糖類あるいはアルブ
ミンを含む等張緩衝液等を溶離剤として用い、さらにカ
ラム6に物理的振動を与えるなどして溶離剤を流し捕捉
細胞を溶離回収すればよい。
また、本発明のBリンパ球の分離方法において、Bリン
パ球分離材に対するTリンパ球の非特異的付着性を低下
させ、収率を低下させるために、公知のごとく、分離材
にウシ血清アルブミン等により処理を行なった後、Bリ
ンパ球分離操作を行なうことも可能である。
(実施例) 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1 水不溶性固体物質として、オキシラン基を有するアクリ
ルビーズ(オイパーキッドC(EC),レーム ファル
マ[Rhm Pharma ]社製](平均粒径0.
15mm)を用い、リガンドとして複素環式化合物のスル
ファチアゾール(ST)を固定化したBリンパ球選択捕
捉型分離材を作成した。
まず、0.2Mの炭酸緩衝液(pH10)とジメチルホ
ルムアミドの混合液(容量比2:3)100ml中に、濃
度0.1Mとなるようにスルファチアゾールを溶解し
た。該溶液中にオキシラン−アクリルビーズ(架橋性モ
ノマーの比率30重量%)を0.1〜0.2mg/mlの割
合で投入し脱気した。これを80℃の水浴中で3時間加
温した後に、ブラッドミキサー(萓垣医理科工業製,B
M−101)を使用して室温で一晩攪拌した。次いで、
未反応のオキシラン基を除去するために1M(pH8)
のエタノールアミン溶液を添加し一晩攪拌した。その
後、蒸留水、塩化ナトリウム0.5Mを含有する0.0
2M(pH4)の酢酸緩衝液、0.2M(pH10)の
炭酸緩衝液、で順次洗浄しスルファチアゾール固定化ア
クリルビーズ(EC−ST)を得た。
このようにして得られた分離材を、内径3mm、外径4mm
のテフロンチューブからなるカラムに充填し、該チュー
ブの両端にポリエステル製フィルター(150メッシ
ュ)を有する端子を接続し、カラム内に吸着材を保持さ
せた。この吸着剤を充填したカラム内をハンクス緩衝液
(HBSS;pH7.2,Ca2+,Mg2+フリー)で置
換し、続くT,Bリンパ球分離操作に供した。
一方リンパ球懸濁液は、ウィスター系ラットの腸間膜リ
ンパ節から単離されたリンパ球分画を、HBSSを用い
て800×10細胞/mlに懸濁・希釈することによっ
て調製され、このリンパ球懸濁液は氷冷下で保存され、
希釈後1時間以内に使用された。
上記のごとき調製されたリンパ球懸濁液1mlをディスポ
ーサブルシリンジとシリンジポンプ(ともにテルモ株式
会社製)によって、1〜3ml/分の流速で、分離材を充
填した上記カラムに注入し、直ちにHBBSを用いて2
ml/分の流速で同様にカラムに注入してカラム内を洗浄
し、分離操作を完了した。回収した処理液は自動血球係
数数装置(オルソ インスツルメンツ[ORTHO INSTRUME
NTS]社製,ELT−8)を用いて細胞密度を計測さ
れ、続いて処理液中のBリンパ球のみをラットIgGに
対する抗体を結合させたFITC(マイルズ[MILES 社
製)を用いて蛍光染色し、蛍光顕微鏡によって処理液中
のBリンパ球をカウントし、処理液中のT,Bリンパ球
比を算出した。以上の操作によって、処理液中のTリン
パ球の収率(y)と純度(p)、およびBリンパ球に対
する特異性を表す指標として捕捉性(SR)を得た。結
果を第1表に示す。
実施例2 水不溶性固体物質として、オキシラン基を有するアクリ
ルビーズ(オイパーキッドC,レームファルマ社製]に
スルファチアゾールとアルギニン,アスパラギン酸、フ
ェニルアラニン、プロリンを16:1:1:1の割合で
混合した混合液を用いて、実施例1と同様にして、スル
ファチアゾール、アルギニン、アスパラギン酸、フェニ
ルアラニン、プロリン固定化アクリルビーズ(EC−S
TA)を作成した。
このEC−STAを用いて実施例1と同様にしてT,B
リンパ球分離操作を行なった。収率(y)と純度
(p)、および捕捉性(SR)に関して得られた結果を
第1表に示す。
実施例3 水不溶性固体物質として架橋タイプのキトサンビーズ
(chitopearl(CH),富士紡績(株)製)(平均粒径
0.25mm)を用いてスルファチアゾールを固定化した
Bリンパ球選択捕捉型分離材を作成した。
まず、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した5w/v
%グルタルアルデヒド(GA)水溶液にキトサンビーズ
を浸して脱気した後、ブラッドミキサー(萓垣医理科工
業製,BM−101)を用いて室温で一晩攪拌した。蒸
溜水で洗浄したこの反応物を、ジメチルホルムアミドと
10mM塩化カルシウム溶液(pH8)の混液(容量比
2:3)に溶解させた0.1Mスルファチアゾール溶液
に加えて脱気し、ブラッドミキサーで一晩撹拌した後、
ジメチルホルムアミドおよび蒸溜水でキトサンビーズを
洗浄した。次に、未反応のアルデヒド基をブロッキング
するために、1Mエタノールアミン(pH8)溶液中で
脱気した後、ブラッドミキサーで一晩攪拌した。これを
再び蒸留水で洗浄し、1w/v %の水素化ホウ素ナトリウ
ムを含む10mM塩化カルシウム溶液(pH8)に加え
て4℃で反応させ、グルタルアルデヒドのアルデヒド基
とキトサンおよびスルファチアゾールのアミノ基との反
応によって生じたアゾメチンを還元させて安定化した。
最後に蒸留水、0.5M塩化ナトリウムを含有する0.
02M酢酸緩衝液(pH4)、および0.2M炭酸緩衝
液(pH10)で数回洗浄して、スルフアチゾール固定
化キトサンビーズ(CH−GAST)を得た。
このCH−GASTを用いて、実施例1と同様にして
T,Bリンパ球分離操作を行なった。収率(y)と純度
(p)、および捕捉性(SR)に関して得られた結果を
第1表に示す。
比較例1 比較のためにリガンドを結合させていないアクリルビー
ズ(EC)を用いて、実施例1の手順に従い、T,Bリ
ンパ球分離操作を行なった。結果を第1表に示す。
比較例2 比較のためにリガンドを結合させていないキトサンビー
ズ(CH)を用いて、実施例1の手順に従い、T,Bリ
ンパ球分離操作を行なった。結果を第1表に示す。
これらの結果から明らかなように、免疫グロブリンに高
い親和性を有するリガンドを導入することによってBリ
ンパ球の捕捉性が著しく向上すること、それにともない
回収された細胞懸濁液中のTリンパ球濃度が高まること
が確認された。
実施例4 実施例1と同様にして得られたスルファチアゾール固定
化アクリルビーズをカラム内に充填した後、カラム内に
0.5%ウシ血清アルブミンを注入し、16時間放置
後、カラム内の遊離アルブミンを除去した、このように
してウシ血清アルブミンで処理したスルファチアゾール
固定化アクリルビーズ(AEC−ST)を用いて、実施
例1の手順に従いT,Bリンパ球分離操作を行なった。
収率(y)、純度(p)および捕捉性(SR)に関して
得られた結果を第1表に示す。
第1表に示す結果から明らかように、アルブミン処理を
施さなかったEC−ST(実施例1)と比較して、分離
効率において純度を低下させることなく20%以上の収
率の向上が観察された。このことは吸着したアルブミン
がBリンパ球−リガンド間の親和性を低下させることな
く、Tリンパ球の非特異的付着性を抑制する海面活性材
的効果を発揮したためと考えられる。
なお、収率(y)、純度(p)および捕捉性(SR)は
以下のようにして算出された。
さらに、本発明に係るT,Bリンパ球分離材(実施例1
〜4)においては、分離材1g当り少なくとも1.0×
10〜6.0×10個程度のリンパ球を処理するこ
とが可能で、それに要する処理時間が約2分/カラムで
あり、しかも生存性、接着形態の面からみても際だった
細胞損傷も一切ないものであった。
実施例5 pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水で調製した5w/v %
グルタルアルデヒド溶液を用いる以外は、実施例3と同
様にして架橋タイプのキトサンビーズにスルファチアゾ
ールをグルタルアルデヒドを用いて結合・固体化したス
ルファチアゾール固定化キトサンビーズ(CH−GAS
T)を得た。
このようにして得られた分離材を、内径3mm、外径4mm
のテフロンチューブからなるカラムに充填し、該チュー
ブの両端にポリエステル製フィルター(150メッシ
ュ)を有する端子を接続し、カラム内に分離材を保持さ
せた。この分離材を充填したカラム内をハンクス緩衝液
(HBSS;pH7.2,CA2+,Mg2+フリー)で置
換し、続くT,Bリンパ球分離操作に供した。
一方、対象とするリンパ球を、ヒト末梢血からフィコー
ルパック(比重1.077、ファルマシア社製)を用い
た比重遠心分離によって採取し、HBBSを用いて80
0×10細胞/mlに懸濁・希釈することによってリン
パ球懸濁液を調製した。
上記のごとく調製されたリンパ球懸濁液1mlをディスポ
ーサブルシリンジとシリンジポンプ(ともにテルモ株式
会社製)によって、第2表に示す一定流速で、分離材を
充填した上記カラムに注入し、直ちにHBBSを用いて
第2表に示す一定流速で同様にカラムに注入してカラム
内を洗浄し、分離操作を完了した。回収されたリンパ球
懸濁液の細胞数を自動血球係数装置(オルソ インスツ
ルメンツ[ORTHO INSTRUMENTS ]社製,ELT−8)で
測定し、続いて回収液中のBリンパ球のみを、ヒト免疫
グロブリンに対する抗体を結合させたFITC(マイル
ズ[MILES]社製)で螢光染色を施し、螢光顕微鏡
によって回収液中のFITC陽性細胞をカウントし、F
ITC染色細胞(FITC(+))とFITC非染色細
胞(FITC(−))がカラム中に捕捉される割合を求
めた。結果を第2表に示す。
実施例6 水不溶性担体としての架橋タイプのキトサンビーズ(C
H)にリガンドとしてアスパラギン酸とフェニルアラニ
ンからなるジペプチドであるα−L−アスパルチルフェ
ニルアラニンメチルエステル(AT、味の素(株)製)
をグルタルアルデヒドを用いて結合・固定化したBリン
パ球分離材を作成した。なおこのBリンパ球分離材はC
H−GAATと呼称した。
まず、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で
調製した5w/v %グルタルアルデヒド溶液に、キトサン
ビーズを浸して脱気した後、ブラッドミキサー(萓垣医
理科工業製:BM−101)を用いて室温で攪拌した。
蒸留水で洗浄したこの反応物を、α−L−アスパチルフ
ェニルアラニンメチルエステルをリン酸緩衝生理食塩水
(PBS)、pH7.4に溶解させた0.1Mα−L−
アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル溶液に加
えて脱気し、ブラッドミキサーで一晩撹拌した。
次に、このキトサンビーズを洗浄した後、未反応のアル
デヒド基をブロッキングするために、1Mエタノールア
ミン(pH8)溶液中で脱気した後、ブラッドミキサー
で一晩攪拌した。これを再び蒸留水で洗浄し、1w/v %
の水素化ホウ素ナトリウムを含む10m M塩化カルシウ
ム溶液に加えて4℃で反応させ、グルタルアルデヒドの
アルデヒド基とキトサンおよびα−L−アスパチルフェ
ニルアラニンメチルエステルのアミノ基との反応によっ
て生じたアゾメチン基を還元させて安定化した。最後
に、蒸留水、0.5M塩化ナトリウムを含む0.02酢
酸緩衝液(pH4)、および0.2M炭酸緩衝液(pH
10)で数回洗浄してα−L−アスパルチルフェニルア
ラニンメチルエステルを固定化したキトサンビーズ(C
H−GAAT)を得た。
このようにして得られた分離材CH−GAATを用いて
実施例5と同様にしてT,Bリンパ球分離操作を行なっ
た。結果を第2表に示す。
実施例7〜8 不溶性担体としての架橋タイプのキトサンビース(C
H)にリガンドとしてスルファチアゾール(ST)また
はα−L−アスパチルフェニルアラニンメチルエステル
(AT)をエピクロルヒドリン(EH)を用いて結合・
固定化したBリンパ球分離材を作成した。なおこのBリ
ンパ球分離材はそれぞれCH−EHST(実施例7)お
よびCH−EHAT(実施例8)と呼称した。
まず、2MのNaOHとエピクロルヒドリンを4:1の
割合で混合し、蒸留水で5倍に希釈した溶液にキトサン
ビーズを加え、ブラッドミキサーを用いて40〜45℃
で2時間攪拌した。蒸留水で洗浄したこの反応物を、D
MFと10m M塩化カルシウム溶液の混液(2:3)に
溶解させた0.1Mスルファチアゾール溶液またはPB
S(pH7.4)に溶解させた0.1Mα−L−アスパ
チルフェニルアラニンメチルエステル溶液に0.1〜
0.7g/mlの割合で加えて脱気し、ブラッドミキサー
を用いて室温で一晩攪拌した。
次に、未反応のオキシラン基をブロッキングするために
濃度1M(pH8)のエタノールアミン溶液を添加し、
一晩攪拌した。その後、蒸留水、塩化ナトリウム0.5
Mを含む濃度0.02M(pH4)の酢酸緩衝液、濃度
0.2M(pH10)の炭酸緩衝液で順次洗浄しスルフ
ァチアゾール固定化キトサンビーズ(CH−EHST)
およびα−L−アスパチルフェニルアラニンメチルエス
テル固体化キトサンビーズ(CH−EHAT)を得た。
このようにして得られた分離材CH−EHSTおよびC
H−EHSTを用いて、リンパ球懸濁液注入速度および
洗浄速度を第2表に示す以外は実施例5と同様にして
T,Bリンパ球分離操作を行なった。結果を第2表に示
す。
比較例3〜4 比較のために架橋タイプのキトサンビーズ(CH)をそ
のまま分離材として用いて、第2表に示すリンパ球懸濁
液注入速度および洗浄速度にて実施例5と同様にして
T,Bリンパ球分離操作を行なった。結果を第2表に示
す。
第2表に示す結果から明らかなように、本発明に係るB
リンパ球分離材(実施例5〜8)は、第1表に示す結果
と同様にBリンパ球を優先的に捕捉する分離材として有
効であることがわかった。また、実施例5〜8に係るB
リンパ球分離材においても、生存性、接着形態の面から
みても際だった細胞損傷の一切ないものであった。
実施例9 ポリエチレンオキサイド鎖を有するビスエポキシド(E
G22,ナガセ化成工業(株)製)(エチレンオキサイド
繰返し度22)をスペーサーとして用い、オキシラン基
を有するアクリルビーズ(オイパーギッドC(EC)、
レーム ファルマ[Rhm Pharma ]社製)
(平均粒径0.15mm)にリガンドとして複素環式化合
物であるスルファチアゾール(ST)を結合・固定化し
てBリンパ球分離材を作成した。なおこのBリンパ球分
離材はEC−EG22STと呼称した。
まず、炭酸緩衝液(pH10)に溶解した0.2Mの1,
3 −プロパンジアミン溶液に、蒸溜水で予め洗浄したE
C 30gを加えた脱気した後、80℃の水浴中で3時
間反応させた。そしてブラッドミキサー(萓垣医理科工
業(株)製,BM−101)を用いて室温にて一晩攪拌
し、蒸留水で洗浄した。次に、このようにしてアミノ基
を導入したEC18g(湿潤重量)を、炭酸緩衝液(p
H10)を用いて作成した10%(w/v )EG22溶液
に加え、全量を100mlとし、ブラッドミキサーで一晩
回転混合した後、80℃の水浴中で1時間反応させ、蒸
留水で洗浄した。これを再び炭酸緩衝液(pH10)と
ジメチルホルムアミドの混合液(容量比2:3)を用い
た0.1Mスルファチアゾール溶液100ml中に加え、
80℃の水浴中で3時間反応させ、ブラッドミキサーで一
晩回転混合した。さらに、未反応のオキシラン基をブロ
ッキングするために、濃度1M(pH8)のエタノール
アミン100mlを添加し、一晩攪拌した。その後、蒸留
水、塩化ナトリウム0.5Mを含む濃度0.02M(p
H4)の酢酸緩衝液、濃度0.2M(pH10)の炭酸
緩衝液で順次洗浄し、ポリエチレンオキサイド鎖を介し
てスルファチアゾールを固定化したアクリルビーズ(E
C−EG22ST)を得た。
このようにして得られた分離材を、内径3mm、外径4mm
のテフロンからなるカラムに充填し、該チューブの両端
にポリエステル製フィルター(150メッシュ)を有す
る端子を接続し、カラム内に分離材を保持させた。この
分離材を充填したカラム内をハンクス緩衝液(HBS
S;pH7.2,Ca2+,Mg2+フリー)で置換し、続
くT,Bリンパ球分離操作に供した。
一方、対象とするリンパ球を、ヒト末梢血からフィコー
ルパック(比重1.077、ファルマシア社製)を用い
た比重遠心分離によって採取し、HBBSを用いて80
0×10細胞/mlに懸濁・希釈することによってリン
パ球懸濁液を調製した。
上記のごとく調製されたリンパ球懸濁液1mlをディスポ
ーサブルシリンジとシリンジポンプ(ともにテルモ株式
会社)によって、第3表に示す一定流速で、分離材を充
填した上記カラムに注入し、直ちにHBBSを用いて第
3表に示す一定流速で同様にカラムに注入してカラム内
を洗浄し、分離操作を完了した。回収されたリンパ球懸
濁液の細胞数を自動血球計数装置(オルソ イスツルメ
ンツ[ORTHO INSTRUMENTS ]社製,LET−8)で測定
し、続いて回収液中のBリンパ球のみを、ヒト免疫グロ
ブリンに対する抗体を結合させたFITC(マイルズ
[MILES]社製)で螢光染色を施し、螢光顕微鏡に
よって回収液中のFITC陽性細胞をカウントし、FI
TC染色細胞(FITC(+))とFITC非染色細胞
(FITC(−))がカラム中に捕捉される割合を求め
た。結果を第3表に示す。
比較例5 比較のために、オキシラン基を有するアクリルビーズ
(オイパーギットC(EC)、レーム ファルマ社製)
をそのまま分離材として用いて、実施例9の手順に従
い、T,Bリンパ球分離操作を行なった。結果を第3俵
に示す。
実施例10 ポリエチレンオキサイド鎖を有するビスエポキシド(E
G22,ナガセ化成工業(株)製)をスペーサーとして用
い、架橋タイプのキトサンビーズ(chitopearl(C
H)、富士紡績(株)社製)(平均粒径0.3mm)にリガ
ンドとしてスルファチアゾール(ST)を結合・固定化
してBリンパ球分離材を作成した。なおこのBリンパ球
分離材はCH−EG22STと呼称した。
まず、予め蒸留水で洗浄した30g(湿潤重量)のキト
サンビーズを、炭酸緩衝液(pH10)を用いて調製し
た10%(w/v )EG22溶液に加え、全量を100ml
とし、ブラッドミキサーで一晩回転混合した後、80℃
の水浴中で1時間反応させ、蒸留水で洗浄した。これを
再び炭酸緩衝液(pH10)とジメチルホルムアミドの
混合液(容量比2:3)を用いた0.1Mスルファチア
ゾール溶液100ml中に加え、80℃の水浴中で3時間
反応させ、ブラッドミキサーで一晩回転混合した。さら
に、未反応のオキシラン基をブロッキングするために濃
度1M(pH8)のエタノールアミン100mlを添加し
一晩攪拌した。その後、蒸留水、塩化ナトリウム0.5
Mを含む濃度0.02M(pH4)の酢酸緩衝液、濃度
0.2M(pH10)の炭酸緩衝液で順次洗浄し、スル
ファチアゾールを固定化したキトサンビーズ(CH−E
G22ST)を得た。
このようにして得られた分離材CH−EG22STを用
いて、実施例9と同様にしてT,Bリンパ球分離操作を
行なった。結果を第3表に示す。
比較例6 比較のために架橋タイプのキトサンビーズ(chitopea
l,(CH)富士紡績(株)社製)のそのまま分離材とし
て用いて、実施例9の手順に従い、T,Bリンパ球分離
操作を行なった。結果を第3表に示す。
第3表に示す結果から明らかなように、各分離条件にお
いて、スペーサーを介してスルファチアゾールを結合し
た分離材(実施例9〜10)は、リンパ球そのものの接
着性を著しく低下させるとともに、Bリンパ球に対する
高い親和性を損なうことなくTリンパ球の非特異的接着
を抑制し、高精度なT,Bリンパ球選択性を有するもの
であった。さらにこのような高度の選択性の発現は、水
不溶性固体物質がアクリルビーズ(EC)である場合で
もキトサンビーズ(CH)である場合でも観察され、
T,Bリンパ球選択性は水不溶性固体物質の種類に依存
しないことが確認された。
実施例11〜12 スペーサーとしてエチレンオキシサイドの繰返し度が1
のエチレンオキサイド鎖を有するビスエポキシド(EG
1,ナガセ化成工業(株)製)(実施例11)または繰返
し度が9のビスエポキシド(EG9,ナガセ化成工業
(株)製)(実施例12)を用いる以外は実施例9と同様
にしてエチレンオキサイド鎖を介してスルファチアゾー
ルを固定化したアクリルビーズを作成した。なお得られ
たBリンパ球分離材はそれぞれEC−EG1ST(実施
例11)、EC−EG9ST(実施例12)と呼称し
た。この分離材EC−EG1STまたはEC−EG9S
Tを用いてリンパ球懸濁液注入速度および洗浄速度を第
4表に示す速度とする以外は実施例9と同様にして、
T,Bリンパ球分離操作を行なった。結果を第4表に示
す。
実施例13 実施例9と同様にしてEC−EG22STを作成し、こ
の分離材を用いてリンパ球懸濁液注入速度および洗浄速
度を第4表に示す速度とする以外は実施例9と同様にし
て、T,Bリンパ球分離操作を行なった。結果を第4表
に示す。
実施例14〜15 スペーサーとしてメチレンの繰返し度が4の 1,4−ブタ
ンジオールジグリシジルエーテル(ME4,東京化成
(株)製)(実施例14)またはメチレンの繰返し度がの
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ME
6,東京化成(株)製)(実施例15)を用い、その溶液
として炭酸緩衝液(pH10)とジメチルホルムアミド
の混合液(容量比9:1)を用いて調製した10(w/v
)%ME4溶液、炭酸緩衝液(pH10)、ジメチル
ホルムアミドおよび蒸留水の混液(容量比2:2:1)
を用いて調製した10(w/v )%ME6溶液とする以外
は実施例9と同様にしてポリエチレン鎖を介してスルフ
ァチアゾールを固定化したアクリルビーズを作成した。
なお得られたBリンパ球分離材はそれぞれEC−ME4
ST(実施例14)、EC−ME6ST(実施例15)
と呼称した。
この分離材EC−ME4STまたはEC−ME6STを
用いてリンパ球懸濁液注入速度および洗浄速度を第4表
に示す速度とする以外は実施例9と同様にして、T,B
リンパ球分離操作を行なった。結果を第4表に示す。
第4表に示す結果から明らかなように、スペーサを介し
てスルファチアゾールを結合した分離材は、Bリンパ球
に対する高い親和性の損なうことなくTリンパ球の非特
異的接着を抑制し、高精度なT,Bリンパ球分離能を維
持することがわかり、特にEG9(実施例12)、EG
22(実施例13)およびME4(実施例14)をスペ
ーサとして用いたものは際だったT,B選択性を示し
た。
実施例16 スペーサーとしてエチレンオキサイドの繰返し度が1の
エチレンオキサイド類を有するビスエポキシド(EG
1、ナガセ化学工業(株)製)用い、その溶液として炭
酸緩衝液(pH10)とジメチルホルムアミドの混液
(容量比9:1)を用いて調製した10(w/v )%EG
1溶液とする以外は実施例10と同様にして、エチレン
オキサイド鎖を介してスルファチアゾールを固定化した
キトサンビーズを作成した。なお得られたBリンパ球分
離材はCH−EG1STと呼称した。
この分離材CH−EG1STを用いてリンパ球懸濁液注
入速度および洗浄速度を第5表に示す速度とする以外は
実施例10と同様にしてT,Bリンパ球分離操作を行な
った。結果を第5表に示す。
実施例17 スペーサーとしてエチレンオキサイド鎖を3本有する3
官能性のトリエポキシド(EG3、ナガセ化成工業
(株)製)を用いる以外は、実施例10と同様にしてエ
チレンオキサイド鎖を介してスルファチアゾールを固定
化したキトサンビーズを作成した。なお得られたBリン
パ球分離材はCH−EG3STと呼称した。
この分離材CH−EG3STを用いて、リンパ球懸濁液
注入速度および洗浄速度を第5表に示す速度とする以外
は実施例10と同様にしてT,Bリンパ球分離操作を行
なつた。結果を第5表に示す。
実施例18 スペーサーとしてエチレンオキサイドの繰返し度が9の
ポリエチレンオキサイド鎖を有するビスエポキシ(EG
9、ナガセ化成工業(株)製)を用いる以外は実施例1
0と同様にして、ポリエチレンオキサイド鎖を介してス
ルファチアゾールを固定化したキトサンビーズを作成し
た。なお得られたBリンパ球分離材はCH−EG9ST
と呼称した。
この分離材CH−EG9STを用いて、リンパ球懸濁液
入速度および洗浄速度を第5表に示す速度とする以外は
実施例10と同様にして、T,Bリンパ球分離操作を行
なった。結果を第5表に示す。
実施例19 実施例10と同様にしてCH−EG22STを作成し、
この分離材を用いて、リンパ球懸濁液注入速度および洗
浄速度を第5表に示す速度とする以外は実施例10と同
様にしてT,Bリンパ球分離操作を行なった。結果を第
5表に示す。
実施例20〜21 スペーサとしてメチレンの繰返し度が4の 1,4−ブタン
ジオールジグリシジルエーテル(ME4、東京化成
(株)製)(実施例20)またはメチレンの繰返し度が
6の 1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(M
E6,東京化成(株)製)(実施例21)を用い、その
溶液として炭酸緩衝液(pH10)を用いて調製した1
0(w/v)%ME4溶液、炭酸緩衝液(pH10)、ジメ
チルホルムアミドおよび蒸留水の混合液(容量比2:
2:1)を用いて調製した10(w/v )%ME6溶液と
する以外は実施例10と同様にして、ポリメチレン鎖の
介してスルファチアゾールを固定化したキトサンビーズ
を作成した。なお得られたBリンパ球分離材はそれぞれ
CH−MH4ST(実施例20)、CH−ME6ST
(実施例21)と呼称した。
この分離材CH−ME4STまたはCH−ME6STを
用いて、リンパ球懸濁液注入速度および洗浄速度を第5
表に示す速度となる以外は実施例10と同様にして、
T,Bリンパ球分離操作を行なった。結果を第5表に示
す。
第5表に示す結果から明らかなように、スペーサーを介
してスルファチアゾールを結合した分離材は、第5表に
示す結果と同様に、Bリンパ球に対する高い親和性を損
なうことなくTリンパ球の非特異的接着を抑制し、高精
度なT,Bリンパ球分離能を維持することがわかり、特
にEG22(実施例19)、ME4(実施例20)およ
びME6(実施例21)をスペーサとして用いたもの
は、10%に満たないFITC(−)の捕捉率とFIT
C(+)の捕捉率が80%という際だった選択性を示し
た。
実施例22〜25 比重遠心分離法によってヒト末消血より得られたリンパ
球分画には主としてTリンパ球およびBリンパ球の他、
単球あるいはヌル細胞等の不純物が存在することから、
これらの非T,Bリンパ球系細胞(N)の混入をペルオ
キシダーゼ染色法、イムノビーズ法によって評価した。
すなわち、実施例9と同様にして得られたEC−EG2
2ST、実施例10と同様にして得られたCH−EG2
2ST、実施例20と同様にして得られたCH−ME4
ST、または実施例21と同様にして得られたCH−M
E6STを用いて、リンパ球懸濁液の注入速度および洗
浄速度を第6表に示す速度で行なう以外は実施例9と同
様にしてT,Bリンパ球分離操作を行ない、分離操作前
後をリンパ球懸濁液中の非T,Bリンパ球系細胞(N)
の混入の割合を上記方法により評価し、さらに分離操作
によって回収されたTリンパ球の収率および純度を上記
の評価方法から算出し、正確な分離制度を得た。結果を
第6表に示す。
第6表に示す結果から明らかなように、本発明に係る
T,Bリンパ球分離材はいずれも極めて高いT,Bリン
パ球選択性を有し、Tリンパ球の収率、純度もそれぞれ
80〜95%、90〜95%という際だった値が示さ
れ、またこの様な分離能は非T,B系細胞の混入にも影
響されないことが同時に確認された。
実施例26〜28 まず実施例16と同様にしてCH−EG1STを、実施
例18と同様にしてCH−EG9STを、および実施例
10と同様にしてCH−EG22STを作成した。
これらの分離材を用いて、第7表に示すリンパ球懸濁液
注入速度および洗浄速度にて実施例9における手順に従
い、ラット腸間膜リンパ節から調製されたリンパ球懸濁
液およびヒト末梢血リンパ球懸濁液に対してT,Bリン
パ球分離操作を行なった。なおラット由来のリンパ球の
蛍光染色にはラット免疫グロブリンGに対する抗体を結
合させたFITCを用いた。結果を第7表に示す。
第7表に示す結果から明らかなように、本発明に系る
T,Bリンパ球分離材はいずれもラットおよびヒト由来
のリンパ球に対して極めて高いBリンパ球親和性を有す
ることが示された。このことから免疫グリブリンGに対
して親和性を有するリガンドをスペーサを介して固定し
た本発明のT,Bリンパ球分離材は、分離するリンパ球
の動物種に影響されないBリンパ球親和性を有するであ
ろうことが推定された。
さらに本発明に係るT,Bリンパ球分離材(実施例9〜
28)においては、分離材1g当り少なくとも1.0×
10〜6.0×10個程度のリンパ球を処理するこ
とが可能で、それに要する処理時間が10分以内であ
り、しかも生存性、接着形態の面からみても際だった細
胞損傷も一切ないものであった。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明は水不溶性固体物質表面にス
ペーサーを介して、ジペプチドおよびスルファチアゾー
ルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の免疫グロブ
リンと高い親和性を有する有機合成されたリガンドが固
定化されていることを特徴とするBリンパ球分離材であ
るから、Bリンパ球のみを選択的に捕捉分離でき、例え
ば末梢血あるいは生体組織から得られるリンパ球分画か
ら、Tリンパ球とBリンパ球を簡便かつ迅速に極めて高
収率で高純度で分離することが可能であり、しかも分離
されたTリンパ球およびBリンパ球の機能的損傷も少な
いことから、免疫機能に関係した疾患の診断、治療やリ
ンパ球由来の生理活性物質を得るための基礎技術に応用
できるものである。さらに本発明のBリンパ球分離材に
おいてスペーサーが少なくとも2個以上の炭素原子を有
する炭素水素鎖ないしは特性基を含む炭化水素鎖を骨格
とするもの、より好ましくはスペーサーのメチレンの繰
返しが4個以上の直鎖アルキルを骨格とするものまたは
重合度1〜50のエチレンオキサイド骨格を有するもの
であると、Tリンパ球の非特異的吸着がさらに抑制され
て、分離精度はより高いものとなる。また有機合成され
たリガンドが、アルギニン、アスパラギン酸、フェニル
アラニン、プロリンとスルファチアゾールを組合せてな
るものである場合、より高純度、高収率で安全性高くT
リンパ球およびBリンパ球を得ることができるものとな
り、さらに、水不溶性固体物質が平均粒径0.05〜5
mmの粒子体であるとより安定して効率よくBリンパ球を
分離することが可能となる。
また、本発明は、水不溶性固体物質表面にスペーサーを
介して、ジペプチドおよびスルファチアゾールよりなる
群から選ばれた少なくとも1種の免疫グロブリンと高い
親和性を有する有機合成されたリガンドを固定化してな
る分離材に、リンパ球含有液を接触させ、膜表面に免疫
グロブリン分子(S−Ig)を有するBリンパ球を選択
的に捕捉せしめることを特徴とするBリンパ球の分離方
法であるから、処理操作において異種生物由来の濃厚血
清や生理活性物質を用いることがいっさいなく簡便に精
度の高いBリンパ球分離を行なうことができる。加え
て、本発明のBリンパ球の分離方法において、分離材に
おけるスペーサーが少なくとも2個以上の炭素原子を有
する炭化水素鎖ないし特性基を含む炭化水素鎖を骨格と
するもの、より好ましくはスペーサーのメチレンの繰返
しが4個以上の直鎖アルキルを骨格とするものまたは重
合度1〜50のエレレンオキサイド骨格を有するもので
あると、より高精度なBリンパ球分離が期待できる。ま
た有機合成されたリガンドが、アルギニン、アスパラギ
ン酸、フェニルアラニン、プロリンとスルファチアゾー
ルを組合わせたものである場合、例えば、リンパ球分画
の分離に用いられた際より高純度、高収率で安全性高く
Tリンパ球およびBリンパ球を分離することができるも
のであり、また洗浄液として等張緩衝液を用いるもので
あるとT,Bリンパ球の分離は容易にかつ好適に行なえ
るものとなり、より優れた効果が期待できるものであ
る。
本発明はさらに、粒子状の水不溶性固体物質表面にスペ
ーサーを介して、ジペプチドおよびスルファチアゾール
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の免疫グリブリ
ンと高い親和性を有する有機合成されたリガンドを固定
化してなる分離材を充填したカラムを有することを特徴
とするBリンパ球の分離器であるから、上記のごとく優
れた特性を有するBリンパ球分離材とリンパ球懸濁液等
のBリンパ球含有液との接触をより効率よく行なうこと
ができ、Bリンパ球の分離を短時間でかつ首尾よく実施
することが可能となり、さらにカラムがポリプロピレン
またはポリカーボネートからなるものであり、またカラ
ムの出入口と分離材層との間には、Bリンパ球含有液中
の細胞成分は通過するが分離材は通過できない網膜を有
するフィルターを備えてなり、さらに該フィルターがポ
リエステルまたはポリアミドからなるものであると、滅
菌処理等の操作も簡単でかつ通過するBリンパ球含有液
中の細胞成分を損傷する虞れもなく、リンパ球分画の分
離に用いられた際にはより高純度、高収率でTリンパ球
とBリンパ球の分離を可能としたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のBリンパ球分離器の一実施例の使用態
様を示す模式図である。 1……リンパ球懸濁液、4a,4b……フィルター、5
……Bリンパ球分離材、6……カラム、 7……処理液、8……洗浄液、9……導入口、 10……導出口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−170717(JP,A) 特開 昭63−9450(JP,A) 特公 昭60−3367(JP,B2) 特公 昭59−36961(JP,B2)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水不溶性固体物質表面にスペーサーを介し
    て、ジペプチドおよびスルファチアゾールよりなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の免疫グロブリンと高い親和
    性を有する有機合成されたリガンドが固定化されている
    ことを特徴とするBリンパ球分離材。
  2. 【請求項2】スペーサーが少なくとも2個以上の炭素原
    子を有する炭化水素鎖ないしは特性基を含む炭化水素鎖
    を骨格とするものである特許請求の範囲第1項に記載の
    Bリンパ球分離材。
  3. 【請求項3】スペーサーのメチレンの繰返しが4個以上
    の直鎖アルキルを骨格とするものである特許請求の範囲
    第2項に記載のBリンパ球分離材。
  4. 【請求項4】スペーサーが重合度1〜50のエチレンオ
    キサイド骨格を有するものである特許請求の範囲第2項
    に記載のBリンパ球分離材。
  5. 【請求項5】水不溶性固体物質が、合成有機高分子、天
    然有機高分子または無機物からなる粒子体である特許請
    求の範囲第1項に記載のBリンパ球分離材。
  6. 【請求項6】水不溶性固体物質が、平均粒径0.05〜
    5mmの粒子体である特許請求の範囲第1項または第2項
    に記載のBリンパ球分離材。
  7. 【請求項7】水不溶性固体物質表面にスペーサーを介し
    てジペプチドおよびスルファチアゾールよりなる群から
    選ばれた少なくとも1種の免疫グロブリンと高い親和性
    を有する有機合成されたリガンドを固定化してなる分離
    材に、Bリンパ球含有液を接触させ、膜表面に免疫グロ
    ブリン分子(S−Ig)を有するBリンパ球を選択的に
    捕捉せしめることを特徴とするBリンパ球の分離方法。
  8. 【請求項8】分離材におけるスペーサーが少なくとも2
    個以上の炭素原子を有する炭化水素鎖ないしは特性基を
    含む炭化水素鎖を骨格とするものである特許請求の範囲
    第7項に記載のBリンパ球の分離方法。
  9. 【請求項9】分離材におけるスペーサーのメチレンの繰
    返しが4個以上の直鎖アルキルを骨格とするものである
    特許請求の範囲第8項に記載のBリンパ球の分離方法。
  10. 【請求項10】分離材におけるスペーサーが重合度1〜
    50のエチレンオキサイド骨格を有するものである特許
    請求の範囲第8項に記載のBリンパ球の分離方法。
  11. 【請求項11】水不溶性固体物質が、合成有機高分子、
    天然有機高分子または無機物からなるものである特許請
    求の範囲第7項〜第10項のいずれかに記載のBリンパ
    球の分離方法。
  12. 【請求項12】洗浄液として等張緩衝液を用いるもので
    ある特許請求の範囲第7項に記載のBリンパ球の分離方
    法。
  13. 【請求項13】粒子状の水不溶性固体物質表面にスペー
    サーを介してジペプチドおよびスルファチアゾールより
    なる群から選ばれた少なくとも1種の免疫グロブリンと
    高い親和性を有する有機合成されたリガンドを固定化し
    てなる分離材を充填したカラムを有することを特徴とす
    るBリンパ球の分離器。
  14. 【請求項14】カラムがポリプロピンレンまたはポリカ
    ーボネートからなるものである特許請求の範囲第13項
    に記載のBリンパ球の分離器。
  15. 【請求項15】カラムの出入口と分離材層との間には、
    Bリンパ球含有液中の細胞成分は通過するが分離材は通
    過できない網目を有するフィルターを備えてなるもので
    ある特許請求の範囲第13項または第14項に記載のB
    リンパ球の分離器。
  16. 【請求項16】フィルターがポリエステルまたはポリア
    ミドからなるものである特許請求の範囲第15項に記載
    のBリンパ球の分離器。
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