JPH06220723A - 高性能炭素繊維用プレカーサー用油剤組成物及びプレカーサー - Google Patents

高性能炭素繊維用プレカーサー用油剤組成物及びプレカーサー

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JPH06220723A
JPH06220723A JP5029748A JP2974893A JPH06220723A JP H06220723 A JPH06220723 A JP H06220723A JP 5029748 A JP5029748 A JP 5029748A JP 2974893 A JP2974893 A JP 2974893A JP H06220723 A JPH06220723 A JP H06220723A
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JP
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precursor
oil agent
amino
weight
agent composition
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JP5029748A
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English (en)
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Kunio Maruyama
國男 丸山
Ryuichi Koide
隆一 小出
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Sumika Hercules Co Ltd
Original Assignee
Sumika Hercules Co Ltd
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Publication date
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高性能炭素繊維用プレカーサーが保管中に経
時劣化するのを防止し、プレカーサーの高品質を維持す
るために必要なアミノ変性ポリシロキサン/ノニオン系
乳化剤/モノカルボン酸からなる油剤組成物を付与した
プレカーサーを提供する。 【構成】 アミノ基に由来する窒素の含有量が0.05
〜2.0重量%であり、25℃の粘度が500センチス
トークス以上のアミノ変性ポリシロキサンを少なくとも
50重量%以上含有するシリコーン油剤に、アミノ基1
モルに対して0.3〜5.0モル当量の炭素数6以下の
カルボン酸を加えてなる油剤80〜20重量部とPOE
アルキルエーテル、POEアルキルアリールエーテル又
はPOE脂肪酸エステルを主体とするノニオン系乳化剤
20〜80重量部との混合物からなるプレカーサー油剤
組成物を0.1〜5.0重量%付与したアクリロニトリ
ルを90重量%以上含有するアクリロニトリル系炭素繊
維用プレカーサー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高性能即ち高強度、高
弾性率を有する炭素繊維の製造原料として必要なアクリ
ロニトリル系前駆体繊維(以下、プレカーサーと称す
る)に用いる油剤組成物及びその油剤組成物を付与した
プレカーサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は、その前駆体繊維であるアク
リル系、レーヨン系、ポリビニールアルコール系、ノボ
ラック系等の有機繊維又はピッチ系の無機繊維を酸化性
の雰囲気中で酸化繊維に転換した後、更に不活性雰囲気
中で炭化処理することにより工業的に製造されている。
この酸化処理(耐炎化処理)や炭化処理(炭素化処理)
工程は高温で行われるため、繊維が互いに固着又は融着
を起し、得られる炭素繊維の品質が著しく低下すること
がある。これを防ぐために特殊な有機シリコーン系の油
剤(シリコーンオイル又はポリシロキサンとも称されて
いる)を用いる方法が数多く提案されている。
【0003】中でも高性能の炭素繊維を得るためにはア
ミノ変性ポリシロキサン(アミノ変性シリコーン又はポ
リアミノシロキサンとも称されている)が特に有効であ
り、特公昭52−24136を始めとして、特公昭53
−10175、特公昭60−52208、特公昭63−
23285等に記載されている。又アミノ変性シリコー
ン油剤に添加物を加えて油剤の安定性を増す方法につい
ても特開平2−91224、特開平2−91225、特
開平2−91226等に提案がなされている。
【0004】本発明者等も高性能炭素繊維用のプレカー
サーについて研究を重ねてきたが、プレカーサー用油剤
の適否が形成される炭素繊維の性能に大きく関与し、高
性能炭素繊維を得るためにはアミノ変性ポリシロキサン
油剤が必須であることを知った。特に近年のように著し
く高強度、高弾性率の高性能炭素繊維、黒鉛繊維が要求
される場合にはアクリロニトリル系のみならずピッチ系
炭素繊維においてもアミノ変性ポリシロキサン油剤が用
いられるに至っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように非常に有用
なアミノ変性ポリシロキサン油剤ではあるが、この油剤
を付与したプレカーサーを長期間保存しておいた場合に
は経時劣化を起すことが判った。特に超高強度炭素繊維
を製造せんとする場合に、かかるプレカーサーを用いる
と、この経時劣化が顕著で、夏期の高温下では3カ月以
内に強度低下を起し、高性能炭素繊維用プレカーサーと
して使用できない場合もあることが判明した。
【0006】アクリル系のプレカーサーが経時劣化する
ことについては従来の文献にも全く記載されていない。
そこでこの経時劣化現象を追求するためプレカーサーの
油剤を抽出して、プレカーサー自体の変化と抽出した油
剤の変化の両面から鋭意研究した。
【0007】先ずプレカーサー自体の変化を確認するた
めに、アミノ変性ポリシロキサンを除去した製造直後及
び1年間常温(温度調節のされていない倉庫内)で保管
して経時劣化を起したプレカーサーの両者について、化
学分析や物理的、機械的性質の比較検討を行ったが、両
者の間には全く差が見られなかった。そこで更に油剤側
の変化について検討を行った。
【0008】油剤であるポリシロキサンは、加熱により
ゲル化することは古くから知られている。又これを防ぐ
ために、ポリシロキサンに酸化防止剤等を加えることも
良く知られている方法である。更に、酸化防止剤を加え
た場合のポリシロキサンの熱分解の挙動についても報告
されている(例えばZh. Prikl. Khim. Vol.49、
No.4、p839〜844、1976参照)。
【0009】本発明者等も当初経時劣化したシリコーン
油剤を付与したプレカーサーをメチルエチルケトン(以
下MEKと略記する)で抽出してもシリコーン油剤が完
全に抽出されないことから、油剤のゲル化が原因であろ
うと推定して、酸化防止剤の添加や強酸性基を含む乳化
剤との組合せによるゲル化防止の方法を試みた。
【0010】しかしこの方法はプレカーサーの経時劣化
に対しては効果が見られないばかりでなく経時劣化を加
速するという逆効果が現れることを見い出した。
【0011】そこで更に前記プレカーサーから抽出した
油剤をゲルクロマトグラフィーを用いて分析したとこ
ろ、長期間保管したプレカーサーから抽出されたシリコ
ーン油剤には、シロキサンオリゴマー(4〜8量体)が
多量に含まれており、かつ高温で保管されたものほどこ
のオリゴマーが多いことを見い出した。
【0012】そこでこの原因がプレカーサーに付与され
ているポリシロキサンが保管中に徐々に低分子化するた
めに起こる現象であろうと推定して、種々の実験を行っ
た。即ちアミノ変性ポリシロキサンを水に乳化させるた
めに用いる乳化剤の組成及び乳化を促進するために加え
る酸の種類を種々変えて、乳化性、加熱時のゲル化の程
度やオリゴマーの生成状況を詳細に調査した。
【0013】その結果このポリシロキサンの低分子化
は、硫酸、硝酸、リン酸、スルフォン酸等の強酸性基
(強酸性の遊離酸ばかりでなくその塩やエステルも含
む)が共存すると急激に進行することが判明した。
【0014】一方ポリアミノシロキサンは、その分子中
に塩基性のアミン基を含有するために強酸性基を含有す
る乳化剤を用いると、水に対する溶解性が向上すること
から乳化剤としてスルフォン酸エステルやリン酸エステ
ルが好適に用いられてきた(特公昭52−2413
6)。
【0015】このような強酸性基を含有する乳化剤を用
いたり、或いはこれに酸化防止剤を配合するとポリアミ
ノシロキサンのゲル化は改善されるものの、低分子化は
むしろ加速されることをその熱分解ガスクロマトグラフ
ィーの研究から明らかになった。
【0016】即ち高分子のポリアミノシロキサンに、ポ
リオキシエチレン(以下POEと略記する)ラウリルフ
ェノールエーテルのスルホン酸エステルやリン酸エステ
ルを加えて加熱すると、環状のシロキサンオリゴマー
(4〜8量体)が容易に生成することを確認した。この
低分子化反応は酸化防止剤を加えても全く防止できない
ばかりでなく、酸化防止剤の種類に依っては加速する場
合すらあることが判った。又強酸性基のないPOEノニ
ルフェノールエーテルに少量のリン酸を加えた場合にも
シロキサンオリゴマーの生成が著しく加速された。
【0017】アミノ変性ポリシロキサン油剤を用いて生
産された生産直後のプレカーサーを耐炎化したものと、
プレカーサーを長期間保管して経時劣化してから耐炎化
したものとを、MEKで抽出すると、前者はMEKで抽
出されるシリコーン油剤が少ないが、後者は前者より多
量のシリコーン油剤が抽出される。このことはプレカー
サーを保管している間に耐炎化のような高温にさらされ
た際に、シリコーン油剤がMEKに溶解しなくなる反
応、即ち分子間の架橋反応にともなわれるゲル化が抑制
されてしまうような中間構造、又はゲル化反応以上にポ
リシロキサンの分子鎖切断(低分子化)反応を促す反応
開始点を生成していることを伺わせるものである。
【0018】従ってプレカーサーの経時劣化を防止する
ためにはシルコーン油剤がある程度ゲル化し易い方が好
ましいと判断した。
【0019】プレカーサーに均一に油剤を付与するため
には、シリコーン油剤を有機溶剤に溶解するか、或いは
微粒な水系エルジョンとして用いなければならない。有
機溶剤を用いるのは安全性やコストの点で工業的に不利
であるため通常は水系のエマルジョンとして用いられて
いる。しかし一般的に多くのシリコーン油剤は疎水性の
ため0.1ミクロン以下の微粒な水系エマルジョンを得
るのは容易ではない。
【0020】そのため従来から、ポリアミノシロキサン
を水に乳化して粒子径が0.1ミクロン以下の微粒なエ
マルジョンを得るために酸性基を含んだ乳化剤が好適に
用いられてきた。例えば特公昭52−24136の実施
例に記載されているようにPOE(9)ノニルフェニル
ホスフェート(ノニルフェノールホスフェートとも称さ
れる)のようなモノリン酸エステルは、ポリアミノシロ
キサンのアミノ基と程よく塩を作り、著しく親水性が向
上し、殆ど可溶化し、透明な水溶液が得られ、そのエマ
ルジョンの平均粒子径は0.1ミクロン以下となり通常
の光学顕微鏡ではその粒子を見ることが出来ない程の微
粒子である。それが為に、油剤は付着斑を起すことな
く、プレカーサーの表面に均一な皮膜を形成させること
が出来るのでこのような特性のある油剤が高性能炭素繊
維用プレカーサーを製造するために好適に利用されてい
るのである。
【0021】しかしこのように乳化性に勝れた乳化剤
は、リン酸、硫酸等の強酸性基を含むものである。これ
に対して脂肪酸エステルやアルキルエーテル等のノニオ
ン系の乳化剤は乳化性が劣り、0.1ミクロン以下とい
うような微粒なエマルジョンは得られない。
【0022】そこで更に強酸性基を含まないポリエーテ
ル系及びエステル系のノニオン乳化剤を用いて透明性の
良い微粒なエマルジョンを得る方法について鋭意研究を
重ねた。そして乳化性が良く、かつプレカーサーの経時
劣化も防止出来る油剤組成物について幅広く検討し、よ
うやく本発明に到達することが出来た。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の目的はプレカー
サーの経時劣化を防止し、かつプレカーサーの表面に均
一に付着させることの出来る微粒なエマルジョンを形成
し得る油剤組成物と、その油剤組成物を付与した高性能
炭素繊維用プレカーサーを提供することにある。
【0024】この目的はアミノ変性ポリシロキサン中の
アミノ基に由来する窒素の含有量が0.05〜2.0重
量%の範囲にあり、25℃における粘度が500センチ
ストークス以上であるアミノ変性ポリシロキサンを少な
くとも50重量%以上含有するシリコーン油剤に、アミ
ノ基1モルに対して0.3〜5.0モル当量の炭素数6
以下の脂肪族モノカルボン酸を加えてなる油剤80〜2
0重量部と、POEアルキルアリールエーテル又はPO
Eアルキルエーテル又はPOE脂肪酸エステルを主体と
するノニオン系乳化剤20〜80重量部とを含有する油
剤組成物を、プレカーサーに0.1〜5.0重量%付与
することにより達成される。
【0025】本発明に使用されるアミノ変性ポリシロキ
サンは、そのアミノ基に由来する窒素の含有量が0.0
5〜2.0重量%のものが適切であり、窒素が0.05
重量%未満のものは微粒なエマルジョンを得るのが容易
でない。窒素が2.0重量%を越えたものは、微粒なエ
マルジョンは得られ易いものの熱安定性に乏しいため、
耐炎化時に油剤成分が分解し易く、高性能炭素繊維が得
られにくい。
【0026】アミノ変性ポリシロキサンの粘度は25℃
において500センチストークス以上の高粘度のものが
好結果をもたらすが、これ未満の低粘度のものを使用す
ると高強度の炭素繊維は得られない。粘度の上限は特に
限定されないが余り高いと乳化剤と混合する時に混合し
にくいので通常は10000センチストークス程度まで
が好都合であるが、高粘度用の混合機を用いれば更に高
粘度のものであっても使用できるので粘度の上限の制約
は殆どない。
【0027】ここで用いるシリコーン油剤はアミノ変性
ポリシロキサンが好適であるが、水に乳化した際のエマ
ルジョンの平均粒子径が0.1ミクロン以上になった
り、20重量%溶液の透明度が60%以下にならない範
囲で、ポリジメチルシロキサンやポリメチルフェニルシ
ロキサン又はポリエーテル変性、エポキシ変性その他の
変性ポリシロキサン等のシリコーン油剤を混合しても差
し支えないが、アミノ変性ポリシロキサンが少なくとも
50重量%含まれていないと粒子径や水溶液の透明度を
好適範囲に保持することは困難である。
【0028】乳化剤としては水溶性のPOEアルキルエ
ーテル、POEアルキルアリールエーテル、POE脂肪
酸エステル及びこれらの混合物等のノニオン系乳化剤が
用いられるが、これだけでは十分に乳化することは出来
ない。乳化に先立って、用いるシリコーン油剤にアミノ
変性ポリシロキサンのアミノ基1モルに対して0.3〜
5.0モル当量に相当する炭素数6以下の低級脂肪族モ
ノカルボン酸を加えておくことが必要である。こうする
ことにより強酸性基を有しないノニオン系乳化剤でも十
分に乳化することが出来る。ここにおいてアミノ変性ポ
リシロキサンの乳化を促進するために添加する炭素数6
以下の低級脂肪族モノカルボン酸としては蟻酸、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、
カプロン酸等のモノカルボン酸及びグリコール酸、乳
酸、マロン酸等の炭素数4以下のオキシカルボン酸等が
挙げらる。これらのモノカルボン酸は単独でも2種以上
を混合して用いても差し支えない。
【0029】炭素数7以上のモノカルボン酸は乳化促進
作用が十分でないため単独では使用できないが、炭素数
6以下のカルボン酸との併用は差し支えない。しかし実
質的な乳化促進効果が余りないので工業的にはそのよう
な併用は無意味である。
【0030】更にアミノ変性ポリシロキサンを十分に乳
化するためには、アミノ基1モルに対して0.3〜5.
0モル当量のモノカルボン酸を加えることが適当であ
り、この範囲未満では乳化が不十分であり、又この範囲
を越えて加えても乳化性は変わらないので無意味であ
る。
【0031】アミノ変性ポリシロキサンを50重量%以
上含むシリコーン油剤とノニオン系乳化剤の混合比率は
重量比で80/20〜20/80の範囲が適切であり、
この範囲より乳化剤が少ないと良好なエマルジョンが得
られにくい。またこの範囲を越えて乳化剤を加えても乳
化効果が上がらないので無意味である。
【0032】このようにして作成した油剤組成物を、水
で希釈すると肉眼では殆ど透明な水溶液が得られ、光学
顕微鏡でもその粒子を殆ど見ることは出来ない。このよ
うにして作成した20重量%水溶液エマルジョンを、光
散乱光度計でその粒子径を測定すると、通常の場合平均
粒子径は0.1ミクロン以下(10〜80mμ)であ
る。
【0033】ここにおいてシリコーン油剤に予めモノカ
ルボン酸を加えずに、乳化剤の水溶液の中にシリコーン
油剤を加えてから、後でモノカルボン酸を加えた場合は
必ずしも微粒なエマルジョンが得られない。しかし乳化
する際に用いる混合機や攪拌機の性能にも依るので、シ
リコーン油剤、モノカルボン酸、乳化剤の添加の順序は
必ずしも限定されるものではないが、油剤組成物の20
重量%水溶液を分光光度計を用いてセル長1cmで波長
660mμにおける純水に対する透過率を測定した場合
に、透過率(以下透明度と称す)が60%以上となるよ
うに乳化することが必要条件である。又、エマルジョン
の粒子径も0.1ミクロン以下が好ましいが透明度が6
0%を下回らない範囲であれば0.1ミクロン以上の粒
子を多少含んでも差し支えない。
【0034】前述した如く経時劣化を防止するためには
加熱した時にある程度ゲル化する油剤が好ましいが、そ
の判定のために加熱処理後のMEK不溶分を測定する方
法を以下に示す。
【0035】本発明に係わる油剤組成物を230℃の空
気中で60分間加熱した後、MEKで洗浄して可溶成分
を除去してもポリシロキサンは加熱前の重量の30重量
%以上がMEK不溶分として残存する。
【0036】このように230℃、60分の加熱による
ポリシロキサンのMEKの不溶分が30重量%以上とな
るように調合されたアミノ変性ポリシロキサン湯剤組成
物を用いるとプレカーサーの経時劣化は著しく改善され
る。
【0037】一方本発明の範囲外であるアミノ変性ポリ
シロキサン油剤組成物、例えばポリアミノシロキサン
(粘度1500センチストークス、アミノ基の窒素0.
4重量%)とPOE(9)ノニルフェノールエーテルの
モノリン酸エステル(乳化剤)の2:1(重量比)の混
合物に酸化防止剤〔2,2′−メチレンビス−(4−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、商品名Sumilizer
MDP−S〕を3重量%添加した油剤は実施例1の比
較例Bに記載のごとく、230℃、60分加熱後のME
K不溶分が10重量%以下であり、プレカーサーの経時
劣化も非常に烈しいものであった。これは酸化防止剤を
添加することによりゲル化は防止できても、経時劣化を
防止する効果がまったくないためである。
【0038】特開平2−91225には種々の酸化防止
剤を添加することによりローラーやガイドへの油剤の固
着を防止する方法が提案されているが、その方法は確か
に油剤の固着に対しては効果があるかもしれないが、高
性能炭素繊維プレカーサーに必要な経時劣化を防止する
効果、即ちプレカーサーとしての高品質を維持する能力
という点から見ると逆効果をもたらす場合が多い。
【0039】この原因は、酸化防止剤を添加することに
よりポリシロキサンのゲル化を防止することは出来て
も、ポリシロキサンの一部を低分子化するために却って
ポリシロキサンの耐熱安定性を損なってしまうためと考
えられる。
【0040】本発明者等の研究によれば高性能炭素繊維
用プレカーサーに用いるシリコーン油剤としては耐炎化
処理工程程度の熱処理で、適度にゲル化することにより
耐熱安定性が向上するものの方が好ましいことが判明し
た。
【0041】念のために申し添えるならば前記特開平2
−91225に記載されているローラーやガイドへの油
剤の固着トラブルは本発明の場合はローラーの加熱温度
の適正化やローラーを自動的に拭き取る方法により容易
に回避出来、操業上の問題もなく製品(プレカーサー)
の品質にもまったく悪影響がない。
【0042】
【実施例】本発明をより具体的に説明するために、以下
に代表的な実施例を示すが、本発明はここに記載した実
施例に限定されるものではない。尚以下の実施例に示さ
れる%及び部は特に限定しない限りは重量である。
【0043】実施例中に示されるエマルジョンの粒子
径、溶液の透明度、MEK不溶分、経時劣化の評価は以
下の方法により測定した。
【0044】(1) エマルジョンの粒子径測定:油剤組成
物の20重量%水溶液について、大塚電子製、ダイナミ
ック光散乱光度計DLS−700を用いて平均粒子径並
びに粒度分布を測定した。
【0045】(2) 油剤溶液の透明度測定:油剤組成物の
20重量%水溶液を1cmのセルに入れ、波長660m
μにおける純水に対する透過率を測定することにより行
った。尚、光度計は日立製作所製分光光度計100−1
0型を用いた。
【0046】(3) MEK不溶分の測定:油剤組成物の2
0重量%水溶液、約5gを重量既知の直径6cmのアル
ミ製の平皿(深さ1.5cm)に採り、これを105℃
の熱風乾燥器で1時間乾燥した後重量を測定する(重量
Ag)。油剤組成物中にはポリシロキサン(シリコーン
オイル)以外に乳化剤やカルボン酸等が含まれているた
め、105℃で1時間乾燥した後の重量(重量Ag)は
これらも含んだ重量である。従ってポリシロキサンのみ
の重量は乾燥固形分(A−アルミ皿の重量)gに油剤組
成物中のポリシロキサンの重量比率を掛けたものとな
る。これがA′gのことである。この重量比率は油剤組
成物を調合したときのポリシロキサン/乳化剤/カルボ
ン酸の混合比率から求まる。これを230℃の熱風乾乾
燥器に入れ1時間加熱する。加熱後の油剤をMEK50
mlを用いてビーカーに移し、室温で5分間攪拌してか
ら、重量既知のガラスフィルターで濾過する。これを更
に50mlのMEKで2回洗浄してMEK可溶分を除去
した後、105℃の熱風乾燥器で30分間乾燥してから
重量を測定する(重量Bg)。尚、230℃1時間加熱
しても乳化剤やカルボン酸はMEKに溶解するためME
Kで洗浄した後はゲル化して不溶化したポリシロキサン
のみがガラスフィルターの上に残る。従ってMEK不溶
分は下式となる。 A′g=(A−アルミ皿)g×油剤組成物中のポリシロ
キサン混合重量比
【0047】(4) プレカーサーの経時劣化評価法:生産
直後のプレカーサーを、220℃、230℃、240℃
の熱風循環式耐炎化炉で各20分間滞留せしめて耐炎化
した後、最高温度500℃、1000℃、1400℃の
炭素化炉中で連続的に炭素化する。得られた炭素繊維は
JIS−7601の方法に従ってストランド強度を測定
する(強度A)。樹脂溶液としてはエピコート#828
/3フッ化ホウ素モノエチルアミン/メチルエチルケト
ン=100/3/30(重量比)の混合溶液を用いた。
一方同じプレカーサーを60℃の温風循環式恒温槽内に
3カ月間保管した後同様に耐炎化、炭素化して得た炭素
繊維のストランド強度を同様に測定する(強度B)。 経時劣化後の強度保持率=B/A×100(%)
【0048】実施例 1 アクリロニトリル98%、メタアクリル酸2%からなる
共重合体を紡糸し、油剤組成物を付与して得た1200
0フィラメント(単糸デニール0.6d)のプレカーサ
ーを、220℃、230℃、240℃の熱風循環式耐炎
化炉で各20分間滞留せしめて耐炎化した後、最高温度
500℃、1000℃、1400℃の炭素化炉を用いて
連続的に炭素化せしめた。
【0049】プレカーサーには後掲の表1に記載した如
く、組成の異なる4種の油剤組成物A〜Dを付与し、常
温(20〜30℃)、40℃、60℃で0〜12カ月保
管し、これらを焼成した。プレカーサーの保管期間と得
られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0050】尚油剤組成物A,B,C,Dを用いたプレ
カーサーのポリアミノシロキサン付着量はそれぞれ1.
25%、1.20%、1.20%、1.22%であっ
た。
【0051】この結果から明らかな如く、本発明による
油剤組成物C及びDと比較例A及びBとでは経時劣化に
大きな差があり、比較例の油剤組成物ではプレカーサー
の経時劣化が著しく、生産直後に高性能を有していたプ
レカーサーであっても、長期の保管に堪え難いものとな
ることが判る。
【0052】A〜Dの4種の油剤組成物を用い、生産後
常温で12カ月経過した後耐炎化した耐炎化糸を、ME
Kを溶剤としてソックスレー抽出器で抽出し、抽出前後
の耐炎化糸のポリアミノシロキサン量を化学分析によっ
て求めた。この結果を表2に示す。油剤組成物A及びB
を用いたものは耐炎化工程でもポリアミノシロキサンが
かなり減少するが、MEK抽出を行うと更に多くのポリ
アミノシロキサンが除去されてしまう。一方本発明によ
る油剤組成物C及びDにあっては、耐炎化工程での逸散
も少なく、MEK抽出を行っても耐炎化糸に付着してい
るポリアミノシロキサンの80%以上がMEKに溶解し
ないで残存している。
【0053】これは耐炎化のような高温下において比較
例の如き油剤組成物ではポリアミノシロキサンのゲル化
よりも低分子化反応の方が優先しているためと考えられ
る。
【0054】実施例 2 アミノ変性ポリシロキサン油剤と、これを乳化させるた
めの乳化剤及びカルボン酸の組成を変更した他は実施例
1と同様にプレーカーサーを作成し、同様に焼成した。
但しプレカーサーは60℃で3カ月保管し、保管前後の
プレカーサーから得られた炭素繊維の性能を比較し、そ
の結果を表3に示す。
【0055】表3から明らかな如く、乳化剤がリン酸エ
ステル、スルホン酸エステル、硫酸エステルのような強
酸性基を有するものは、MEK不溶分が少なく、プレカ
ーサーの経時劣化が激しいために、60℃、3カ月経過
後に得られた炭素繊維の強度低下が大きい(油剤組成物
J〜Q)。又酸化防止剤を添加しても経時劣化の防止に
は効果がないばかりか、むしろ経時劣化が加速される傾
向にあることが判る(油剤組成物O及びQ)。一方本発
明によるカルボン酸以外には強酸性基を有しない油剤組
成物では60℃で3カ月という苛酷な条件下でも炭素繊
維の強度低下率は非常に僅かであり(油剤組成物E〜
I)、これらのものは常温では1年経過しても実質的な
経時劣化は認められなかった。
【0056】本発明による油剤組成物E〜Iと比較例の
油剤組成物N及びPとの結果を見れば明らかな如く、強
酸性基を有しない乳化剤に強酸性基を有する乳化剤を僅
か10〜20%混合しただけでも、経時劣化は著しく加
速されることが実証された。
【0057】実施例 3 アミノ基に由来する窒素の含有量が異なる(0.03〜
2.5%)アミノ変性ポリシロキサン80部に、POE
(9)ノニルフェノールエーテル20部とアミノ基と等
モルの乳酸とを加えた油剤組成物を用いた他は実施例1
と同様に作成したプレカーサーを、実施例1と同様に焼
成して炭素繊維を得た。ここで用いたアミノ変性ポリシ
ロキサンの25℃における粘度は1300〜5000セ
ンチストークスの範囲のものであり、プレカーサーに付
与したアミノ変性ポリシロキサンの量は1.0〜1.2
%であった。
【0058】油剤組成物の20%水溶液の透明度及び得
られた炭素繊維の強度を表4に示す。この結果から明ら
かな如くアミノ基に由来する窒素の含有量が2%を越え
たり、或いは0.05%を下回るアミノ変性ポリシロキ
サンを用いると高強度炭素繊維は得られず又窒素含有量
が0.05%を下回ると透明性の良い水溶液が得られな
いことが判る。
【0059】実施例 4 アクリロニトリル98%、メタアクリル酸2%からなる
共重合体を紡糸し、これにアミノ基に由来する窒素の含
有量が0.3〜0.5%であり25℃における粘度が1
50〜47820センチストークスであるアミノ変性ポ
リシロキサン70部にPOE(9)ラウリルエーテル3
0部と酢酸3部とを加えてなる油剤組成物を1.2〜
1.5%付与した6000フィラメント(単糸デニール
0.8d)のプレカーサーを実施例1と同様に焼成して
炭素繊維を得た。
【0060】これらの炭素繊維の強度を表5に示す。尚
ここで用いた油剤組成物の20%水溶液の透明度は何れ
も90〜95%の範囲であった。
【0061】アミノ変性ポリシロキサンの粘度が低いも
のは耐炎化工程で単糸同志が融着しており、このため炭
素化工程で著しく脆化し、炉内で切断が起こり満足な炭
素繊維は得られなかった。少なくとも500センチスト
ークス以上の粘度を有するアミノ変性ポリシロキサンが
好結果を与えることが明らかとなった。
【0062】実施例 5 アミノ基に由来する窒素が0.5%、25℃の粘度が1
700センチストークスであるアミノ変性ポリシロキサ
ン80部とPOE(9)ラウリルルフェノールエーテル
20部の配合物に対して、添加するモノカルボン酸の種
類と添加量を変えて作成した油剤組成物の20%水溶液
の透明度を測定し表6に示す。
【0063】炭素数7以上のペラルゴン酸やラウリル酸
及びジカルボン酸では乳化促進効果がなく、又モノカル
ボン酸とアミノ変性ポリシロキサンのアミンの配合モル
比は0.3/1よりカルボン酸が少ないと極度に乳化性
が低下することが判る。又アミン1モルに対して5モル
以上のカルボン酸を加えても乳化性は向上しないので無
意味である。
【0064】実施例 6 アミノ基に由来する窒素が0.4%、25℃の粘度が1
500センチストークスであるアミノ変性ポリシロキサ
ンとPOE(9)ノニルフェノールエーテル(乳化剤)
との配合比を10/90〜90/10迄変化させたもの
100部に対して、更にアミノ変性ポリシロキサンのア
ミンと当モルの乳酸を添加してなる油剤組成物の20%
水溶液の透明度を測定して表7に示す。
【0065】アミノ変性ポリシロキサンと乳化剤の配合
割合は80/20〜20/80の範囲が好適であり、そ
れより乳化剤が少ないとモノカルボン酸を加えても透明
性の良い油剤組成物の水溶液は得られないことが判っ
た。一方この範囲以上に乳化剤を加えても透明性が向上
しないので無意味である。
【0066】実施例 7 アミノ基に由来する窒素が0.4%、25℃の粘度が1
700センチストークスのアミノ変性ポリシロキサン8
0部とPOE(9)ノニルフェノールエーテル20部と
乳酸3部とからなる油剤組成物を0.05〜6.0%付
与した以外は実施例1と同様に作成したプレカーサー
を、同様に焼成して炭素繊維を得た。
【0067】この炭素繊維の強度を表8に示す。プレカ
ーサーに付与された油剤組成物が0.1%に満たない場
合は、耐炎化工程での単糸同志の融着が起こり、それが
ために炭素化での脆化が激しく、炉内で切断し満足な炭
素繊維が得られなかった。又油剤組成物を5%より多く
付与しても効果はなく、むしろ炭素繊維の強度は低下傾
向を示した。従ってプレカーサーに付与される油剤組成
物の適正範囲は0.1〜5.0%でありより好ましくは
0.5〜2.5%の範囲である。
【0068】実施例 8 アミノ変性ポリシロキサンと他のポリシロキサンの混合
系の油剤について調査するため、油剤組成物R〜Xを調
整して、透明度、MEK不溶分を測定し、その結果を表
9に示す。本発明の範囲である油剤組成物の20%水溶
液の透明度が60%以上、MEK不溶分が30%以上と
いう特性を保持をするためにはシリコーン油剤中のアミ
ノ変性ポリシロキサンの比率が少なくとも50%以上で
なければならないことが判る。アミノ変性ポリシロキサ
ンの割合がポリジメチルシロキサンの割合より少ないも
のは微粒なエマルジョンが得られないために水溶液の透
明性が悪く、MEK不溶分が少なく、高強度炭素繊維用
プレカーサー油剤としては不適切である。一方エーテル
変性ポリシロキサンはそのもの自体が水溶性であるた
め、アミノ変性ポリシロキサンとの混合水溶液の透明度
は高いものの、MEK不溶分がすくない。エーテル変性
ポリシロキサン自体を230℃で1時間加熱すると約7
5%もの揮発分があり、耐熱安定性に欠けることが判明
した。
【0069】実施例 9 実施例8の7種の油剤を用いた他は、実施例4と同様に
して作成したプレカーサーを、実施例1と同様に焼成し
て炭素繊維を得た。又これらのプレカーサーを60℃で
3カ月間保管し、経時劣化後のプレカーサーを再度同一
条件で焼成して強度保持率を求めた。これらの結果を表
10に示す。
【0070】ポリジメチルシロキサンやエーテル変性ポ
リシロキサンを多く加えた油剤を用いた場合は高強度炭
素繊維が得られないばかりでなく、強度保持率も低いこ
とが明らかとなった。
【0071】
【0072】油剤の組成
【0073】油剤A(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1500cs,チッソ含有量0.4%)/POE
(9)ノニルフェノールホスフェート=2/1の混合
物。 20%水溶液の透明度;98%。 MEK不溶分;6.5%。 平均粒子径;19.2mμ、最大粒子径;44mμ。
【0074】油剤B(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1500cs,チッソ含有量0.4%)/POE
(9)ノニルフェノールホスフェート=2/1の混合物
100部に対して酸化防止剤(商品名 Snmilaizer M
DP−S、住友化学製)3部を添加した油剤組成物。 20%水溶液の透明度;95%。 MEK不溶分;5.2%。 平均粒子径;22.0mμ、最大粒子径;65mμ。
【0075】油剤C(本発明);ポリアミノシロキサン
(粘度1500cs,チッソ含有量0.4%)/POE
(9)ノニルフェノールエーテル=2/1の混合物10
0部に対して乳酸3部を添加した油剤組成物。 20%水溶液の透明度;96%。 MEK不溶分;85.6%。 平均粒子径;20.2mμ、最大粒子径;92mμ。
【0076】油剤D(本発明);ポリアミノシロキサン
(粘度1500cs,チッソ含有量0.4%)/POE
(9)ノニルフェノールエーテル=2/1の混合物10
0部に対して酢酸2部と酸化防止剤(商品名 アデカス
タブAO−23 アデカアーガス製)3部を添加した油
剤組成物。 20%水溶液の透明度;94%。 MEK不溶分;87.7%。 平均粒子径;23.0mμ、最大粒子径;87mμ。
【0077】
【0078】
【0079】油剤と組成:
【0080】油剤E(本発明);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(7)ノニルフェノールエーテル/酢酸=70/30/
3の混合物。
【0081】油剤F(本発明);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)ラウリルフェノールエーテル/酢酸=70/30
/3の混合物。
【0082】油剤G(本発明);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)ノニルフェノールエーテル/POE(9)sec
−アルキル(炭素数12〜14混合)エーテル/乳酸=
70/15/15/3の混合物。
【0083】油剤H(本発明);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(5)オクチルエーテル/乳酸=60/40/2の混合
物。
【0084】油剤I(本発明);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)ラウリル酸エステル/酢酸=67/33/3の混
合物。
【0085】油剤J(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)ノニルフェノールホスフェート=70/30混合
物。
【0086】油剤K(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)ノニルフェノールスルホネート=80/20の混
合物。
【0087】油剤L(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(5)オクチルサルフェート=60/40の混合物。
【0088】油剤M(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)sec−アルキル(炭素数12〜14の混合)ホ
スフェート=70/30の混合物。
【0089】油剤N(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)ノニルフェノールエーテル/POEノニルフェノ
ールホフェート/酢酸=60/32/8/2の混合物。
【0090】油剤O(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)ノニルフェノールエーテル/POEノニルフェノ
ールホフェート/酢酸=60/32/8/2の混合物1
02部に対して酸化防止剤(Sumilizer MDP−S、
住友化学製)2部を添加したもの。
【0091】油剤P(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)ノニルフェノールエーテル/POEノニルフェノ
ールホフェート/乳酸=60/36/4/3の混合物。
【0092】油剤Q(比較例);ポリアミノシロキサン
(粘度1700cs、チッソ含有量0.6%)/POE
(9)ノニルフェノールエーテル/POEノニルフェノ
ールホフェート/乳酸=60/36/4/3の混合物1
03部に対して酸化防止剤(Sumilizer MDP−S、
住友化学製)3部を添加したもの。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】油剤名と組成 実施例には次のものを用いた。 アミノ変性ポリシロキサン;粘度1700センチストー
クス,アミノ基に由来する窒素0.4%。 ポリジメチルシロキサン;粘度40000センチストー
クス。 エーテル変性ポリシロキサン;粘度4000センチスト
ークス,POEの割合は約50%であり水溶性のもの。 乳化剤;POE(9)ノニルフェノールエーテル。
【0100】油剤R(本発明);アミノ変性ポリシロキ
サン/ポリジメチルシロキサン/乳化剤/酢酸=60/
10/30/2の混合物。
【0101】油剤S(本発明);アミノ変性ポリシロキ
サン/ポリジメチルシロキサン/乳化剤/酢酸=40/
30/30/2の混合物。
【0102】油剤T(本発明);アミノ変性ポリシロキ
サン/ポリジメチルシロキサン/乳化剤/酢酸=35/
35/30/2の混合物。
【0103】油剤U(比較例);アミノ変性ポリシロキ
サン/ポリジメチルシロキサン/乳化剤/酢酸=25/
45/30/2の混合物。
【0104】油剤V(本発明);アミノ変性ポリシロキ
サン/エーテル変性ポリシロキサン/乳化剤/酢酸=5
0/20/30/2の混合物。
【0105】油剤W(本発明);アミノ変性ポリシロキ
サン/エーテル変性ポリシロキサン/乳化剤/酢酸=3
5/35/30/2の混合物。
【0106】油剤X(比較例);アミノ変性ポリシロキ
サン/エーテル変性ポリシロキサン/乳化剤/酢酸=2
5/45/30/2の混合物。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】このように230℃、60分の加熱による
ポリシロキサンのMEKの不溶分が30重量%以上とな
るように調合されたアミノ変性ポリシロキサン剤組成
物を用いるとプレカーサーの経時劣化は著しく改善され
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】(4)プレカーサーの経時劣化評価法:生
産直後のプレカーサーを、220℃、230℃、240
℃の熱風循環式耐炎化炉で各20分間滞留せしめて耐炎
化した後、最高温度500℃、1000℃、1400℃
の炭素化炉中で連続的に炭素化する。得られた炭素繊維
はJIS−R−7601の方法に従ってストランド強度
を測定する(強度A)。樹脂溶液としてはエピコート#
828/3フッ化ホウ素モノエチルアミン/メチルエチ
ルケトン=100/3/30(重量比)の混合溶液を用
いた。一方同じプレカーサーを60℃の温風循環式恒温
槽内に3カ月間保管した後同様に耐炎化、炭素化して得
た炭素繊維のストランド強度を同様に測定する(強度
B)。 経時劣化後の強度保持率=B/A×100(%)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 13/17 15/643

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基に由来する窒素の含有量が0.
    05〜2.0重量%の範囲にあり、25℃における粘度
    が500センチストークス以上であるアミノ変性ポリシ
    ロキサンを少なくとも50重量%含有するシリコーン油
    剤に、アミノ基1モルに対して0.3〜5.0モル当量
    の炭素数6以下の低級脂肪族モノカルボン酸を加えてな
    る油剤80〜20重量部と、ポリオキシエチンレアルキ
    ルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエ
    ーテル又はポリオキシエチレン脂肪酸エステルを主体と
    するノニオン系乳化剤20〜80重量部とを含有するこ
    とを特徴とする高性能炭素繊維用プレカーサー用油剤組
    成物。
  2. 【請求項2】 油剤組成物の20重量%水溶液の透明度
    が60%以上であることを特徴とする請求項1の油剤組
    成物。
  3. 【請求項3】 油剤組成物を230℃の空気中で60分
    間加熱した後、メチルエチルケトンで洗浄した際のポリ
    シロキサンの不溶分が30重量%以上であることを特徴
    とする請求項1の油剤組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1の油剤組成物を0.1〜5.0
    重量%付与した、アクリロニトリルを90重量%以上含
    有するアクリロニトリル系炭素繊維用プレカーサーであ
    って、前記プレカーサーを作成後直ちに焼成して得た炭
    素繊維の強度と、前記プレカーサーを60℃の空気中で
    90日間保管した後において同一の焼成条件で焼成して
    得られる炭素繊維の強度を比較した場合、後者の炭素繊
    維強度が前者の炭素繊維強度の90%以上を保持するこ
    とを特徴とする高性能炭素繊維用プレカーサー。
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