JPH06219898A - n型炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

n型炭化珪素単結晶の製造方法

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JPH06219898A
JPH06219898A JP29326893A JP29326893A JPH06219898A JP H06219898 A JPH06219898 A JP H06219898A JP 29326893 A JP29326893 A JP 29326893A JP 29326893 A JP29326893 A JP 29326893A JP H06219898 A JPH06219898 A JP H06219898A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高品質な6H形のn型炭化珪素単結晶を再現
性良く製造する。 【構成】 成長方位<0001>の炭化珪素単結晶基板
1を種結晶として黒鉛製坩堝3の蓋4の内面に取り付け
る。黒鉛製坩堝3内には不純物割合が1ppm以下である
高純度の炭化珪素粉末及び炭化珪素粉末に対して50pp
mのアルミニウム粉末を原料2として充填する。黒鉛製
坩堝3を種結晶付きの蓋4で閉じて二重石英管5の内部
に設置する。Arガス及びN2ガスを二重石英管5の内部
に流し、炭化珪素粉末及びアルミニウム粉末(原料2)が
2300℃になり炭化珪素単結晶基板1(種結晶)が2200℃に
なるようにし、二重石英管5内を30torrにして種結晶
上に炭化珪素単結晶を成長させる。こうして得られた炭
化珪素単結晶は炭化珪素単結晶基板1から成長最表面ま
で均一で欠陥も少なく、抵抗率が0.5Ω・cmである高
品質な6H形のn型炭化珪素単結晶である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、昇華再結晶法によって
六方晶の6H形のn型炭化珪素単結晶を成長させるn型
炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化珪素(SiC)は2.2eV〜3.3eV
の広い禁制帯幅を有する半導体材料である。また、炭化
珪素は熱的,化学的および機械的に極めて安定であり、
放射線損傷にも強いという優れた特性を有している。こ
れに対して、珪素のような従来の半導体材料を用いて形
成した半導体素子は、特に高温,高出力駆動および放射
線照射等の苛酷な条件下では使用が困難である。そこ
で、高温,高出力駆動および放射線照射等の苛酷な条件
下であっても使用可能な半導体素子として炭化珪素を用
いた半導体素子が注目されており、広い分野での応用が
期待されている。
【0003】しかしながら、大面積を有する高品質の炭
化珪素単結晶を工業的規模で安定して供給し得るような
結晶成長技術は未だ確立されてはいない。それゆえに、
炭化珪素は、上述のような多くの利点および可能性を有
する半導体材料であるにも拘わらず、その実用化が阻ま
れているのである。
【0004】従来、研究室程度の規模では、例えば昇華
再結晶法で炭化珪素単結晶を成長させて、半導体素子が
形成可能なサイズの炭化珪素単結晶を得ている。しかし
ながら、この方法では、得られた炭化珪素単結晶の面積
が小さく、その寸法および形状を高精度に制御すること
は困難である。また、得られる炭化珪素の結晶形および
不純物キャリア濃度の制御が容易ではない。
【0005】また、化学的気相成長法(CVD法)を用い
て珪素等の異種基板上にヘテロエピタキシャル成長させ
ることによっても立方晶の炭化珪素単結晶を得ることが
できる。この方法によれば、大面積の炭化珪素単結晶が
得られる。ところが、基板との格子不整合が約20%も
あること等から多くの格子欠陥(〜107個/cm2)を含む
炭化珪素単結晶しか成長できず、高品質の炭化珪素単結
晶を得ることができない。
【0006】そこで、上記種々問題点を解決する方法と
して、種結晶を用いて昇華再結晶法を行う改良型の昇華
再結晶法が提案されている(Yu.M.TAIROV and V.F.TSVET
KOV“GENERAL PRINCIPLES OF GROWING LARGE-SIZE SING
LE CRYSTALS OF VARIOUSSILICON CARBIDE POLYTYPES”
「Journal of Crystal Growth」 52(1981)146−15
0)。この方法を用いれば、結晶形および形状を制御しな
がら炭化珪素単結晶を成長させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図4は、常圧で炭化珪
素結晶を加熱した際における結晶形の発生割合を加熱温
度をパラメータとして示したものである。通常に用いら
れる種結晶による昇華再結晶法での温度領域(2000
℃〜2500℃)では、六方晶系(6H形および4H形)
および菱面体晶系(15R形)の色々な結晶形が混在して
発生する(PhilipsResearch Reports. 18(1965)pp16
1)。
【0008】通常、種結晶を用いた昇華再結晶法では、
種結晶の温度,種結晶と原料との間の温度勾配および圧
力を制御して炭化珪素単結晶を成長させ得る。その際
に、六方晶系の6H形および4H形の結晶形の発生は、
成長温度,温度勾配および成長圧力によって制御可能で
ある(特開平2−48495号公報)。
【0009】しかしながら、六方晶系の6H形および菱
面体晶系の15R形の結晶形の発生は、成長温度,温度
勾配および成長圧力等の成長条件で制御することは困難
であるという問題がある。特に、高純度原料を用いる場
合やn型結晶を成長させるための窒素添加成長時には、
6H形と15R形との結晶形が混在して成長してしまう
ためにn型の6H形炭化珪素単結晶のみを選択的に成長
できないのである。
【0010】そこで、本発明の目的は、高品質な6H形
のn型炭化珪素単結晶を再現性よく製造し得るn型炭化
珪素単結晶の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的を達成
するため、請求項1の6H形のn型炭化珪素単結晶の製
造方法は、種結晶を用いた昇華再結晶法による方法であ
って、炭化珪素粉末にこの炭化珪素粉末に対する割合が
20重量ppm乃至100重量ppmのアルミニウムを添加し
たものを原料とし、この原料を窒素を含有する不活性ガ
ス雰囲気下で昇華させることを特徴とする。請求項2の
n型炭化珪素単結晶の製造方法は、請求項1の製造方法
において、上記アルミニウムを添加するための材料とし
て、アルミニウム金属,酸化アルミニウム,窒化アルミニ
ウムあるいはアルミニウム−珪素合金のいずれか一つを
用いることを特徴とする。請求項3のn型炭化珪素単結
晶の製造方法は、請求項1または請求項2に記載の製造
方法において、上記原料を構成する炭化珪素粉末とし
て、不純物の含有割合が1重量ppm以下である高純度の
炭化珪素粉末を用いることを特徴とする。また、請求項
4の6H形のn型炭化珪素単結晶の製造方法は、種結晶
を用いた昇華再結晶法による方法であって、20重量pp
m乃至100重量ppmのアルミニウムを含有する炭化珪素
粉末を原料とし、この原料を窒素を含有する不活性ガス
雰囲気下で昇華させることを特徴とする。請求項5のn
型炭化珪素単結晶の製造方法は、請求項4に記載の製造
方法において、上記原料となるアルミニウム含有炭化珪
素粉末は、上記アルミニウム以外の不純物の含有割合が
1重量ppm以下であることを特徴とする。請求項6のn
型炭化珪素単結晶の製造方法は、請求項1あるいは請求
項4に記載の製造方法において、上記種結晶として、S
i面を有する6H形の炭化珪素単結晶基板を用いること
を特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の6H形のn型炭化珪素単結晶の製造方
法では、種結晶を用いた昇華再結晶法によって炭化珪素
の単結晶を成長させるに際して、請求項1,請求項4に
記載の如く高純度の炭化珪素粉末に微量のアルミニウム
を添加したものを原料とした窒素添加成長あるいは微量
のアルミニウムを含有するアルミニウム含有炭化珪素粉
末を原料とした窒素添加成長を実施するものである。そ
して、その際に成長温度,温度勾配及び成長圧力を制御
することによって4H形あるいは15R形の6H形以外
の結晶形の成長を防止して、良質な6H形のn型炭化珪
素単結晶を成長させるものである。
【0013】上述のように、微量のアルミニウムを含む
炭化珪素粉末を原料とすることによって、6H形の炭化
珪素単結晶が成長できる成長条件における4H形や15
R形の結晶多形の発生をアルミニウム不純物によって防
止するのである。また、アルミニウムは炭化珪素に対し
てはp型不純物であるので、アルミニウムアクセプタを
補償する以上の窒素添加を行うことによって基板用の良
質な6H形のn型炭化珪素単結晶を再現性良く成長する
のである。
【0014】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例により詳細に説
明する。 <第1実施例>図1は本実施例におけるn型炭化珪素単
結晶の製造方法を実施する際に使用される結晶成長装置
の断面図である。この結晶成長装置は、種結晶を用いた
昇華再結晶法によって炭化珪素単結晶を成長させる結晶
成長装置である。
【0015】種結晶を用いた昇華再結晶法による結晶成
長は、種結晶として用いる炭化珪素単結晶基板1の上
に、原料2であるアルミニウムを含む炭化珪素粉末を昇
華再結晶させることによって行われる。炭化珪素単結晶
基板1は黒鉛製坩堝3の内部に充填される。このような
黒鉛製坩堝3は、二重石英管5の内部に黒鉛製の支持棒
6によって設置されている。
【0016】上記黒鉛製坩堝3の周囲には熱シールドの
ための黒鉛製フェールト7が設置されている。また、二
重石英管5の外周にはワークコイル8が巻回されてお
り、ワークコイル8に高周波電流を流して黒鉛製坩堝3
を加熱することによって、原料および種結晶を夫々の所
望温度に加熱できる。
【0017】上記二重石英管5の上端には、ガスの流入
口となる枝管9を有するステンレス製チャンバ10を設
けている。一方、二重石英管5の下端には、ガスの排出
口となる枝管11を有するステンレス製チャンバ12を
設けている。そして、ステンレス製チャンバ12には、
真空ポンプ13が接続されており、二重石英管5の内部
を所望の真空度に排気することができる。
【0018】以下、上述のような結晶成長装置を用いた
6H形のn型炭化珪素単結晶の製造方法について、図1
に従って具体的に説明する。
【0019】先ず種結晶として用いる成長方位が<00
01>方向であるSi面の6H形の炭化珪素単結晶基板
1を黒鉛製坩堝3の蓋4の内面に取り付ける。また、黒
鉛製坩堝3の内部には原料2となる高純度の炭化珪素粉
末およびアルミニウム粉末を充填する。上記原料2とな
る炭化珪素粉末としては、JIS粒度が#250であっ
て不純物割合が1ppm以下のものを用いる。尚、アルミ
ニウム粉末の炭化珪素粉末に対する割合は50ppmであ
る。
【0020】次いで、原料2を充填した黒鉛製坩堝3を
種結晶である炭化珪素単結晶基板1が取り付けられた蓋
4で閉じ、黒鉛製の支持棒6により二重石英管5の内部
に設置する。さらに、黒鉛製坩堝3の周囲を黒鉛製フェ
ールト7で被覆する。そうした後、雰囲気ガスとして、
アルゴン(Ar)ガスおよびn型不純物添加用の窒素(N
)ガスをステンレス製チャンバ10の枝管9から二重
石英管5の内部に流す。尚、ArガスおよびNガスの
流量は夫々1リッター/分および1cc/分に設定す
る。
【0021】次に、上記ワークコイル8に高周波電流を
流し、この高周波電流を調節することによって原料2で
ある炭化珪素粉末およびアルミニウム粉末の温度が23
00℃になり種結晶である炭化珪素単結晶基板1の温度
が2200℃になるように設定する。続いて、上記真空
ポンプ13によって二重石英管5の内部を減圧する。こ
の減圧は、大気圧から30torrまで20分かけて徐々に
行い、以後30torrの状態を5時間維持する。こうする
ことによって、約10mmの厚さのn型の炭化珪素単結晶
を成長する。
【0022】このようにして得られたn型の炭化珪素単
結晶をX線回折法およびラマン分光法によって分析した
結果、得られたn型の炭化珪素単結晶は六方晶の6H形
炭化珪素単結晶であることが判明した。この6H形のn
型炭化珪素単結晶は、種結晶である炭化珪素単結晶基板
1上から成長最表面まで均一で欠陥も少なく、抵抗率が
0.5Ω・cmである高品質な6H形のn型炭化珪素単結
晶である。
【0023】上記実施例においては添加するアルミニウ
ムの割合を50ppmとしているが、6H形以外の結晶形
の形成を防止するためのアルミニウム添加割合は20pp
m〜100ppmの範囲であればよい。
【0024】<比較例>原料粉末中にアルミニウムを含
まないことを除いては、実施例と同様の条件で炭化珪素
結晶を得た。これについて抵抗率および結晶構造を調べ
たところ、抵抗率は0.1Ω・cmで全体に均一であっ
たことが、15R形および6H形の結晶が不均一に分布
していることが判った。
【0025】アルミニウム添加量を20ppm〜100ppm
に限定した理由は、次のとおりである。アルミニウム添
加量が100ppm以上になると、図2の一点鎖線(Al:
120ppm)や破線(Al:800ppm)で示すように実線
(Al:50ppm)で示すのとは対照的に、結晶の光透過性
が、アルミニウムによる光吸収で悪化し、特に長波長側
の光吸収が増加して、例えば発光素子に用いた場合は、
発光素子が全体に青っぽくなるという問題が生じる。ア
ルミニウム添加量が100ppm以下で窒素を添加しない
場合は、種結晶上にn型炭化珪素結晶の他に高抵抗の炭
化珪素結晶も成長する一方、アルミニウム添加量が10
0ppm以上で窒素を添加しない場合は、p型炭化珪素結
晶が成長してしまう(例えばAl:150ppmでキャリア
濃度が1×107cm-3のp型炭化珪素結晶)。一方、アル
ミニウム添加量が100ppm以上で窒素を多量に添加
し、アルミニウムアクセプタを窒素ドナーで補償してn
型炭化珪素結晶を成長させると、窒素およびアルミニウ
ムによる光吸収で光透過性が悪化するうえ、アルミニウ
ムアクセプタ-窒素ドナー対が多く存在するため、結晶
性が悪化する。例えば、アルミニウム添加量150ppm
でn型炭化珪素結晶を得るには、第1実施例の窒素ガス
の流量1cc/分を5cc/分に増加しなければならない。
そして、得られる炭化珪素結晶のキャリア濃度,抵抗率
は、共に第1実施例のそれと同じ3×107cm-3,0.5
Ω・cmであるが、光透過特性は、図3に示すように、破
線で示すアルミニウム添加量150ppmの方が、実線で
示す第1実施例よりも悪くなっている。また、結晶性を
X線回折で調べると、X線半値幅が、アルミニウム添加
量150ppmでは150秒と、第1実施例の30秒より
も著しく悪いのである。
【0026】一方、アルミニウム添加量が20ppm以下
になると、6H形のn型炭化珪素単結晶は成長できる
が、条件の限定が厳しくなり、例えば減圧速度,温度変
動等により、15R型炭化珪素の混入が起こる。上記実
施例でAl添加量が15ppmの場合には、6H型と15R
型の混在する炭化珪素単結晶が成長する。すなわち、A
l添加量が20ppm以上では、Alによる結晶多形の制御
効果が現れ、条件が少し変動しても15R形を防止でき
るが、20ppm以下では防止できない。
【0027】また、上記実施例においては、添加するア
ルミニウムとしてアルミニウム金属の粉末を用いたが、
酸化アルミニウムあるいはアルミニウム−珪素合金を用
いても同様の効果が得られる。
【0028】<第2実施例>先ず、上記黒鉛製坩堝3の
内部には原料2となる不純物割合が1ppm以下である高
純度の炭化珪素粉末および酸化アルミニウム粉末を充填
する。上記原料2となる炭化珪素粉末はJIS粒度が#
1000である。また、酸化アルミニウム粉末の粒径は
1μm以下である。
【0029】次いで、原料2を充填した黒鉛製坩堝3を
種結晶が取り付けられていない蓋4で閉じ、黒鉛製の支
持棒6により二重石英管5の内部に設置する。さらに、
黒鉛製坩堝3の周囲を黒鉛製フェールト7で被覆する。
そうした後、雰囲気ガスとして、Arガスをステンレス
製チャンバ10の枝管9から二重石英管5の内部に流
す。尚、Arガスの流量は1リッター/分に設定する。
【0030】次に、上記ワークコイル8に高周波電流を
流し、この高周波電流を調節することによって原料2で
ある炭化珪素粉末および酸化アルミニウム粉末の温度が
200℃〜2100℃になるように設定して30分維持
する。この処理によって、上記酸化アルミニウムが分解
して生じたアルミニウムと炭化珪素とが反応して、アル
ミニウム含有炭化珪素が形成される。その際に、酸化ア
ルミニウムの量および処理温度を調節して、形成される
アルミニウム含有炭化珪素中のアルミニウムの割合が3
0ppmになるようにする。
【0031】つぎに、種結晶として用いる成長方位が<
0001>方向であるSi面の6H形の炭化珪素単結晶
基板1を黒鉛製坩堝3の蓋4の内面に取り付ける。次い
で、上述のようにして形成されたアルミニウム含有炭化
珪素粉末を原料2として充填した黒鉛坩堝3を種結晶で
ある炭化珪素単結晶基板1が取り付けられた蓋4で閉
じ、黒鉛製の支持棒6により二重石英管5の内部に設置
する。更に、黒鉛製坩堝3の周囲を黒鉛製フェールト7
で被覆する。そうした後、雰囲気ガスとして、Arガス
およびn型不純物添加用のN2ガスをステンレス製チャ
ンバ10の枝管9から二重石英管5の内部に流す。な
お、ArガスおよびN2ガスの流量は夫々1リッター/
分および0.8cc/分に設定する。
【0032】次に、上記ワークコイル8に高周波電流を
流し、この高周波電流を調節することによって、原料2
であるアルミニウム含有炭化珪素粉末の温度が2250
℃になり種結晶である炭化珪素単結晶基板1の温度が2
150℃になるように設定する。続いて、上記真空ポン
プ13によって二重石英管5の内部を減圧する。この減
圧は、大気圧から45torrまで60分かけて徐々に行
い、以後45torrの状態を6時間維持する。こうするこ
とによって、約6mmの厚さのn型の炭化珪素単結晶を成
長する。
【0033】このようにして得られたn型の炭化珪素単
結晶をX線回折法およびラマン分光法によって分析した
結果、得られたn型の炭化珪素単結晶は成長面方位が<
0001>方向である六方晶の6H形炭化珪素単結晶で
あることが判明した。また、この6H形のn型炭化珪素
単結晶は、成長速度が1mm/時であり、抵抗率が0.1
Ω・cmであり、透過性がよく、均質で欠陥もなく、高品
質なn型の6H形炭化珪素単結晶である。
【0034】上記第1,第2実施例において形成された
6H形のn型炭化珪素単結晶を成長用基板として用い、
この基板上に気相エピタキシャル成長法によって炭化珪
素単結晶を成長させれば、光学的特性および電気的特性
に優れた炭化珪素単結晶が得られる。したがって、この
6H形のn型炭化珪素単結晶を用いて光学的特性に優れ
た青色発光素子や電気的特性に優れた炭化珪素半導体装
置(例えば、電界効果トランジスタ,相補性MOS集積回
路または各種パワー素子等)を製作することができる。
しかも、上記6H形のn型炭化珪素単結晶は成長温度,
温度勾配および成長圧力等を制御することによって再現
性よく得られるので、光学的特性および電気的特性に優
れた各種の炭化珪素半導体装置を工業的規模で歩留り良
く生産することができるのである。
【0035】上記第1,第2実施例においては、高純度
の炭化珪素粉末にアルミニウムを添加して熱処理を行う
ことによってアルミニウム含有炭化珪素粉末を作成した
が、炭化珪素粉末を製造する段階でアルミニウムを添加
して得られたアルミニウム含有炭化珪素粉末を用いても
よい。その際には、アルミニウム含有割合が20ppm〜
100ppmであればそのまま使用してもよい。ところ
が、アルミニウムの含有割合が100ppm以上であれ
ば、そのアルミニウム含有炭化珪素粉末と高純度炭化珪
素粉末とを適当な割合で混合して使用すればよい。
【0036】また、上記第1,第2実施例においては、
熱処理を行ってアルミニウム含有炭化珪素粉末を形成す
る際に、高純度炭化珪素粉末に酸化アルミニウム粉末を
添加したが、アルミニウム金属,窒化アルミニウムある
いはアルミニウム−珪素合金を用いてもよい。
【0037】上記実施例においては、高純度の炭化珪素
粉末を用いたが、Al以外の不純物量が1ppm以上でも6
H形のn型SiCは成長できる。しかしながら、不純物
が1ppm以上に多くなると、不純物が欠陥中心となり、
欠陥が多くなる。また、不純物による光吸収の増加で成
長結晶の透過特性が悪化する。 <比較例>上記実施例において、不純物が5ppm含まれ
ているSiC粉末原料を用いた場合、欠陥密度が、1ppm
以下の場合の102/cm2よりも104/cm2と多く、
また透過特性も3%程度悪い。
【0038】
【発明の効果】以上より明らかなように、本発明の請求
項1に記載のn型炭化珪素単結晶の製造方法は、種結晶
を用いた昇華再結晶法でn型の炭化珪素単結晶を再現性
良く成長させるに際して、炭化珪素粉末にこの炭化珪素
粉末に対する割合が20ppm乃至100ppmのアルミニウ
ムを添加したものを原料とし、この原料を窒素を含有す
る不活性ガス雰囲気下で昇華させるので、6H形のn型
炭化珪素単結晶の成長条件下における4H形や15R形
の成長がアルミニウムによって防止できる。従って、高
品質な6H形のn型炭化珪素単結晶を再現性良く製造す
ることができる。
【0039】請求項2に記載のn型炭化珪素単結晶の製
造方法は、上記アルミニウムを添加するための材料とし
て、アルミニウム金属,酸化アルミニウム,窒化アルミニ
ウムあるいはアルミニウム−珪素合金のいずれか一つを
用いるので、高品質な6H形のn型炭化珪素単結晶を再
現性良く且つ容易に製造することができる。また、請求
項3に記載のn型炭化珪素単結晶の製造方法は、上記原
料を構成する炭化珪素粉末として、不純物の含有割合が
1重量ppm以下である高純度の炭化珪素粉末を用いる
ので、より高品質な6H形のn型炭化珪素単結晶を再現
性良く且つ容易に製造することができる。
【0040】また、請求項4に記載のn型炭化珪素単結
晶の製造方法は、種結晶を用いた昇華再結晶法で6H形
のn型炭化珪素単結晶を再現性良く成長させるに際し
て、20ppm乃至100ppmのアルミニウムを含有する炭
化珪素粉末を原料とし、この原料を窒素を含有する不活
性ガス雰囲気下で昇華させるので、6H形の炭化珪素単
結晶の成長条件下における4H形や15R形の成長がア
ルミニウムによって防止できる。従って、高品質な6H
形のn型炭化珪素単結晶を再現性良く製造することがで
きる。請求項5に記載のn型炭化珪素単結晶の製造方法
は、上記原料となるアルミニウム含有炭化珪素粉末は上
記アルミニウム以外の不純物の含有割合が1重量ppm以
下であるので、より高品質な6H形のn型炭化珪素単結
晶を再現性良く製造することができる。請求項6に記載
のn型炭化珪素単結晶の製造方法は、上記種結晶とし
て、Si面を有する6H形の炭化珪素単結晶基板を用い
るので、Si面上の4H形の炭化珪素単結晶の成長が抑
えられて、6H形のn型炭化珪素単結晶をより容易に得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のn型炭化珪素単結晶の製造方法に使
用される結晶成長装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】 上記結晶成長装置および比較例によるn型炭
化珪素単結晶の光透過性能を示す図である。
【図3】 第1実施例および比較例によるn型炭化珪素
単結晶の光透過性能を示す図である。
【図4】 常圧で炭化珪素結晶を加熱した際における結
晶形の発生割合を示す図である。
【符号の説明】
1…炭化珪素単結晶基板(種結晶)、 2…炭化珪素粉
末(原料)、3…黒鉛製坩堝、 4…蓋、 5…二重石
英管、6…支持棒、7…黒鉛製フェールト、 8…ワー
クコイル、9,11…枝管、10,12…ステンレス製チ
ャンバ、13…真空ポンプ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 種結晶を用いた昇華再結晶法によって6
    H形のn型炭化珪素単結晶を成長させるn型炭化珪素単
    結晶の製造方法であって、 炭化珪素粉末にこの炭化珪素粉末に対する割合が20重
    量ppm乃至100重量ppmのアルミニウムを添加したもの
    を原料とし、この原料を窒素を含有する不活性ガス雰囲
    気下で昇華させることを特徴とするn型炭化珪素単結晶
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のn型炭化珪素単結晶の
    製造方法であって、 上記アルミニウムを添加するための材料として、アルミ
    ニウム金属,酸化アルミニウム,窒化アルミニウムあるい
    はアルミニウム−珪素合金のいずれか一つを用いること
    を特徴とするn型炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは請求項2に記載のn型
    炭化珪素単結晶の製造方法であって、 上記原料を構成する炭化珪素粉末として、不純物の含有
    割合が1重量ppm以下である高純度の炭化珪素粉末を用
    いることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 種結晶を用いた昇華再結晶法によって6
    H形のn型炭化珪素単結晶を成長させるn型炭化珪素単
    結晶の製造方法であって、 20重量ppm乃至100重量ppmのアルミニウムを含有す
    る炭化珪素粉末を原料とし、この原料を窒素を含有する
    不活性ガス雰囲気下で昇華させることを特徴とするn型
    炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のn型炭化珪素単結晶の
    製造方法であって、 上記原料となるアルミニウム含有炭化珪素粉末は、上記
    アルミニウム以外の不純物の含有割合が1重量ppm以下
    であることを特徴とするn型炭化珪素単結晶の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1あるいは請求項4に記載のn型
    炭化珪素単結晶の製造方法であって、 上記種結晶として、Si面を有する6H形の炭化珪素単
    結晶基板を用いることを特徴とするn型炭化珪素単結晶
    の製造方法。
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