JPH06215925A - 磁性酸化物粉体の製造方法 - Google Patents

磁性酸化物粉体の製造方法

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JPH06215925A
JPH06215925A JP5020660A JP2066093A JPH06215925A JP H06215925 A JPH06215925 A JP H06215925A JP 5020660 A JP5020660 A JP 5020660A JP 2066093 A JP2066093 A JP 2066093A JP H06215925 A JPH06215925 A JP H06215925A
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JP
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magnetic oxide
oxide powder
chelate compound
hydroxyquinoline
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JP5020660A
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Kazumi Okabe
参省 岡部
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 均質かつ微細で表面活性が高く、易焼結性の
磁性酸化物粉体を容易かつ経済的に製造する。 【構成】 磁性酸化物を構成する金属イオンと8−ヒド
ロキシキノリン(8−hydroxyquinoline)とを反応させ
て得られる複合キレート化合物を、450〜700℃の
温度で熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、磁性酸化物粉体の製
造方法に関し、詳しくは、表面活性が高く、易焼結性
で、均質かつ微細な磁性酸化物粉体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の
磁性酸化物粉体、例えば、Ni−Znフェライトの製造
方法としては、 フェライトを構成する成分元素の酸化物もしくは炭酸
塩の粉体を別々に秤量し、それらを混合粉砕した後、高
温で仮焼してNi−Znフェライト粉体を得る乾式の方
法、 フェライトを構成する成分元素の水溶性化合物の混合
溶液にNaOHを添加して強アルカリ性にすることによ
り、フェライトを構成する成分元素を水酸化物として沈
殿させた後、100℃近くに加温しながら酸素あるいは
空気を吹込んで酸化処理を行うことにより部分スピネル
化を行い、生成した沈殿を仮焼してNi−Znフェライ
トを得る方法、 FeのアルコキシドとNi及びZnのアセチルアセト
ネート化合物を有機溶剤に溶解して混合溶液を調製し、
この混合溶液を加熱しながら有機アミン化合物を添加し
て加水分解を行い、生成したゲルを仮焼してNi−Zn
フェライトを得る方法、 などの種々の方法がある。
【0003】しかし、上記の乾式の製造方法において
は、出発原料がフェライトを構成する元素の酸化物ある
いは炭酸塩の粉体であるため、各々の粉体を原子レベル
で均一に分散することが困難であるという問題点があ
る。
【0004】また、上記の乾式の製造方法の出発原料
である各粉体は、湿式法により合成した沈殿物を混合し
て仮焼することによっても製造することができる。しか
し、湿式合成(反応)工程で生成する沈殿物が非常に微
細であっても、使用時、すなわち仮焼工程に供給する段
階では、微細な粒子が凝集して粒径が大きくなり、表面
活性が低下するため、スピネルフェライトにするために
は、900℃以上の温度で仮焼することが必要になる。
しかし、フェライトを構成する元素間の混合が不十分で
あることから、900℃以上の高温で仮焼しても部分的
に組成のずれが生じることを防止することができず、均
質な混合粉体を得ることができないという問題点があ
る。
【0005】さらに、高温で仮焼することから、仮焼粉
体が強固な凝集体となって表面活性が低くなり、焼結性
が低下するため、焼結温度を一段と高くしなければなら
ないという問題点がある。
【0006】このような問題点を解決するために、焼結
助剤を添加して焼結温度を低下させる方法が提案されて
いるが、焼結助剤は磁性酸化物粉体の磁気特性を悪化さ
せるという欠点があり、焼結温度を下げるための根本的
な解決策にはなっていないのが実情である。
【0007】さらに、焼結後の粒径の大きい粉体を微細
化するための粉砕工程が必要になるため、粉砕工程にお
いて不純物が混入し、磁気特性が劣化するという問題点
がある。
【0008】また、前記の方法は、乾式法におけるフ
ェライト構成元素の分散の問題を解決するために提案さ
れた方法であって、構成元素の均一分散性については、
従来の乾式法よりも優れている。
【0009】しかし、この方法は、NaOHを添加して
溶液のpHを高くし、水酸化物を沈殿させる方法を採用
しているため、水酸化物が沈殿するpHが各元素により
異なり、pHが高くなるにつれて、各元素が解離定数の
大きさに応じて、pHの小さいものから順に沈殿する。
したがって、すべての元素を同時に沈殿させることがで
きず、厳密に原子レベルで均一に分散させることができ
ないという問題点がある。
【0010】また、100℃近くに加熱しながら酸素あ
るいは空気を吹込んで酸化処理を行うが、完全にスピネ
ルフェライト化することができず、仮焼を行ってスピネ
ルフェライト化することが必要である。
【0011】さらに、この方法により得られた沈殿は水
酸化物に近い化合物であるため、洗浄脱水後の乾燥ケー
キが緻密に凝集し、仮焼後には容易に破砕されない焼結
体に近い状態の凝集体となる。それゆえ、簡単な粉砕処
理を行っただけでは微細な磁性酸化物粉体を得ることが
できず、大きな駆動エネルギーを要する大型の粉砕装置
を用いて粉砕処理を行わなければならないという問題点
がある。
【0012】また乾式法と同様、粉砕工程で不純物が混
入することを避けることができないという問題点があ
る。
【0013】さらに、不純物のNa+イオンを除去する
ために洗浄を繰り返して行うが、この段階で沈殿の溶解
が起こり、組成ずれが生じるおそれがあるという問題点
がある。
【0014】また、上記の方法においては、の方法
のように、ゲルの生成後に洗浄する必要がなく、また、
アルコキシド及びアセチルアセトネート化合物を複合化
することにより加水分解反応を均一に起こさせるように
しているので、同時に加水分解が起こり、構成元素がど
の時点のゲルをとっても均一に含有されており、組成ず
れのないゲルを合成することが可能で、かつ、フェライ
トの合成温度が低く、表面活性が高く、不純物の含有量
の少ない高純度の粉体を得ることが可能であるが、出発
原料のコストが高く、大量生産には適さないという問題
点がある。
【0015】この発明は、上記問題点を解決するもので
あり、均質かつ微細で表面活性が高く、易焼結性の磁性
酸化物粉体を経済的に製造することが可能な磁性酸化物
粉体の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の磁性酸化物粉体の製造方法は、 一般式:MeFe24 (但し、MeはNi,Zn,Mn,Coなどの2価の金
属の少なくとも1種)で示される磁性酸化物粉体の製造
方法において、磁性酸化物を構成する金属イオンと8−
ヒドロキシキノリン(8−hydroxyquinoline)とを反応
させて得られる複合キレート化合物を、450〜700
℃の温度で熱処理することにより磁性酸化物粉体を得る
ことを特徴とする。
【0017】また、前記磁性酸化物粉体の製造方法にお
いて、磁性酸化物を構成する金属イオンと8−ヒドロキ
シキノリンとを反応させて得られる複合キレート化合物
を分散させたスラリーを、2流体ノズルを用いて450
〜700℃に加熱された空間に噴霧し、複合キレート化
合物を熱分解することにより磁性酸化物粉体を得ること
を特徴とする。
【0018】また、前記磁性酸化物粉体の製造方法にお
いて、磁性酸化物を構成する金属イオンと8−ヒドロキ
シキノリンとの混合液を、静止型攪拌混合器を通過させ
ながら反応させて複合キレート化合物を生成させること
を特徴とする。
【0019】さらに、前記磁性酸化物粉体の製造方法に
おいて、磁性酸化物を構成する金属イオンと8−ヒドロ
キシキノリンとの混合液を静止型攪拌混合器を通過させ
ながら反応させ、生成した複合キレート化合物を含むス
ラリーを、2流体ノズルを用いて450〜700℃に加
熱された空間に噴霧し、複合キレート化合物を熱分解す
ることにより磁性酸化物粉体を得ることを特徴とする。
【0020】前記の2価金属及びFeの水溶性化合物と
しては、安価で経済性に優れた金属の塩化物、硝酸塩、
硫酸塩あるいは酢酸塩などを用いることができる。な
お、Feの水溶性化合物としては、第一鉄塩あるいは第
二鉄塩のいずれを用いてもよく、また第一鉄塩及び第二
鉄塩の混合物を用いてもよい。また、これらの鉄化合物
の他に、硫酸アンモニウム第一鉄、フェリシアン化アン
モニウム、フェロシアン化アンモニウムのような錯体あ
るいは鉄みょうばん(明礬)などの化合物を用いること
も可能である。
【0021】また、2価金属としては、Ni,Zn,M
n,Coなどが例示されるが、2価金属はこれに限定さ
れるものではなく他の2価金属を用いることも可能であ
る。また、これらの2価金属は単一で使用してもよく、
また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】この発明においては、水溶性のフェライト
を構成する2価金属化合物及び鉄化合物を溶解した混合
溶液に、8−ヒドロキシキノリンを加えて反応させるこ
とにより、定量的な複合キレート化合物が合成される。
そして、2価金属として、例えばNi化合物とZn化合
物を用いた場合、フェライトを構成する金属イオンであ
るNi+2,Zn+2,Fe+3の各々と8−ヒドロキシキノ
リンが反応して定量的なキレート化合物を生成するpH
領域がほぼ一致しているため、フェライトを構成する元
素を含む混合溶液に8−ヒドロキシキノリンを添加して
反応させると、フェライトを構成する全ての元素をイオ
ンレベルで均一に含有した複合キレート化合物の沈殿が
生成し、従来の製造方法においては困難であった、イオ
ンレベルでの均一な分散を可能にすることができる。し
たがって、構成元素の均一分散を達成する見地からは、
2価金属として、Feとほぼ同一のpH範囲で8−ヒド
ロキシキノリンと複合キレート化合物を形成する、N
i、Zn,Mn,Coなどの金属を用いることが好まし
い。
【0023】なお、熱処理は450〜700℃の温度範
囲内で行うことが好ましいが、これは、450℃未満で
は、複合キレート化合物を十分に熱分解することができ
ず、また、700℃を越えると、焼結が起こり始め、微
粒子同志のネッキングが発生するため好ましくないこと
による。
【0024】また、一般的な沈殿法の場合においては、
フェライトを構成している各元素が、解離定数の大きさ
に応じて、pHの小さいものから順に沈殿し、結果的に
混合沈殿を形成しているに過ぎず、また、各元素の沈殿
の溶解度がそれぞれ異なるため、洗浄工程における各元
素の沈殿の溶解損失に差が生じ、仕込時の組成比率と洗
浄後の磁性酸化物粉体の組成比率にずれが生じるという
問題点があったが、この発明の磁性酸化物粉体の製造方
法によれば、キレート化合物を定量的に生成するpHが
実質的に一致しているため、フェライトを構成する全て
の元素を均一に含む複合定量的なキレート化合物を生成
する。したがって、洗浄時の溶解損失に関しても、フェ
ライトを構成する元素の構成比率と同じ構成比率で溶解
が生じるため、上記従来の製造方法におけるような組成
比率のずれが発生することを確実に防止することが可能
になる。
【0025】また、この発明の磁性酸化物粉体の製造方
法において、定量的な複合キレート化合物を生成するた
めにpH調整剤を用いるが、好ましいpH調整剤として
は、酢酸−アンモニア系のpH調整剤あるいは有機アミ
ン系のpH調整剤などのようにアルカリ金属を含まない
pH調整剤が例示される。このようなpH調整剤を用い
ることにより、NaOHを用いる上記従来の製造方法
のように、アルカリ金属イオンを除去するための洗浄工
程が不要になる。したがって、キレート化合物スラリー
を噴霧焙焼し、あるいは脱水乾燥したキレート化合物粉
体を熱処理するだけでCl-,NO3 -,SO4 -2を除去す
ることが可能で、製造工程を簡略化することが可能にな
る。なお、噴霧焙焼法を用いた場合には、複合キレート
化合物の溶解による損失の問題を確実に回避することが
可能になるため有利である。
【0026】なお、pH調整剤として上記の酢酸−アン
モニア系あるいは有機アミン系のpH調整剤を用いるこ
とにより、磁性酸化物粉体中にアルカリ金属イオンが不
純物として混入することを確実に防止することができる
ため、NaOHを用いてフェライトを構成する元素の水
酸化物を沈殿させ、Na+イオンを洗浄除去した後焼成
してなる磁性酸化物粉体に比べて、磁気特性を向上させ
ることができる。
【0027】また、複合キレート化合物を含むスラリー
を噴霧するのに2流体ノズルを用いることにより、スラ
リーをより微細な液滴にして噴霧することが可能にな
り、特に粉砕工程を必要とすることなく、容易かつ確実
に微細な磁性酸化物粉体を得ることができるようにな
る。
【0028】また、磁性酸化物を構成する金属イオンと
8−ヒドロキシキノリンとを反応させる工程で、金属イ
オンと8−ヒドロキシキノリンを含む混合液を静止型攪
拌混合器を用いて混合、反応させることにより、特に動
力を必要とすることなく、混合液中の金属イオンと8−
ヒドロキシキノリンとを容易かつ確実に反応させるとと
もに、生成する複合キレート化合物の沈殿を十分に微細
化することが可能になる。
【0029】なお、静止型攪拌混合器としては、例え
ば、筒状部内の軸方向に、所定形状のひねり羽根を複数
段配設固定し、該筒状部を通過する流体を各段のひねり
羽根を通過する度に2分割し、n段のひねり羽根を通過
したときに通過流体を2n個に分割するような静止型ラ
インミキサが例示される。
【0030】但し、静止型攪拌混合器は、これに限られ
るものではなく、筒状部内に、ひねり羽根など、流体の
流れを制御したり、流体を分割したりする部材(流動制
御部材)を配設し、そこを通過する流体の流れを利用し
て、液・液混合や、固・液混合などを行うことが可能
で、可動部を持たず、高い混合効率を得ることが可能な
種々の混合器(静止型攪拌混合器)を用いることが可能
であり、筒状部や流動制御部材の形状などに特に制約を
受けるものではない。
【0031】さらに、上記の静止型攪拌混合器を用いて
フェライトを構成する金属イオンと8−ヒドロキシキノ
リンを反応させて微細な複合キレート化合物を合成し、
その複合キレート化合物を含むスラリーを上記2流体ノ
ズルを用いて微細な液滴として加熱空間(加熱分解炉な
ど)に噴霧することにより、さらに微細な磁性酸化物粉
体を効率よく製造することが可能になる。
【0032】また、この発明の方法により合成された複
合化合物沈殿は水酸化物ではないため、前述の従来の製
造方法において形成される沈殿のように緻密に凝集し
た状態ではなく、有機化合物特有のかさ比重が小さく、
ふわりとした粉末状であって、合成される磁性酸化物粉
体は、熱分解時にセルフケミカルブレークダウンによっ
て微細化し、表面活性の高い微粉体が形成される。した
がって、従来法のように微細化処理のための粉砕工程が
不要になり製造工程が簡略化されるとともに、粉砕工程
における不純物の混入を防止することができるようにな
る。
【0033】
【実施例】以下、この発明の実施例を比較例とともに示
して、発明の特徴をさらに明瞭にする。
【0034】実施例1 硝酸ニッケル0.075モル、硝酸亜鉛0.10モル、
塩化第一鉄0.35モルを、純水2.0リットルに溶解
する。この混合溶液を60℃に加熱し、酢酸−アンモニ
ア水(pH調整剤)を用いて混合液のpHを6.5〜
7.5に調整する。
【0035】それから、この温混合溶液を高速攪拌しな
がら、エチルアルコール500mlに8−ヒドロキシキノ
リン160gを溶解した溶液を添加して複合キレート化
合物の沈殿を生成させた。次に、生成した複合キレート
化合物の沈殿を濾過し、固液を分離した後、乾燥して複
合キレート化合物の乾燥粉体を得た。
【0036】そして、この複合キレート化合物の乾燥粉
体を600℃で仮焼して磁性酸化物粉体を得た。
【0037】それから、得られた磁性酸化物粉体につい
て、X線回折分析(XRD分析)及び電子顕微鏡による
観察(SEM観察)を実施した。さらに、磁性酸化物粉
体のSS値(比表面積)についても測定を行った。
【0038】また、得られた磁性酸化物粉体に対して、
酢酸ビニル系のバインダーをその含有率が12wt%に
なるような割合で添加して造粒した後、成形して外径2
0mmのリングを作製した。それから、このリング状成形
体を900℃で焼成して焼結体を得た。そして、この焼
結体の初透磁率及び焼結密度を測定した。これらの観察
及び測定の結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】なお、この実施例においては、pH6.5
〜7.5でフェライトを構成する元素と8−ヒドロキシ
キノリンとを反応させるようにしているため、反応廃液
が中性で排水の中和処理を必要とせず、経済的に磁性酸
化物粉体を製造することができる。
【0041】実施例2 上記実施例1と同様の方法により複合キレート化合物を
合成し、得られた複合キレート化合物を含むスラリー
を、550℃に温度調整(加熱)された縦型熱分解炉
に、2流体ノズルを用いて1200ml/hrの割合で、
霧状に噴霧して熱分解を行い、生成した磁性酸化物粉体
を回収した。
【0042】そして、得られた磁性酸化物粉体につい
て、実施例1と同一の項目について同一の方法により観
察及び測定を行った。
【0043】また、得られた磁性酸化物粉体を用いて、
上記実施例1と同様の方法により、外径20mmのリング
を作製した。それから、このリング状成形体を900℃
で焼成して焼結体を得た。そして、上記実施例1と同様
に、この焼結体の初透磁率及び焼結密度を測定した。そ
の結果を表1に示す。
【0044】比較例 炭酸ニッケル、酸化亜鉛、酸化第2鉄粉体を実施例1と
同じ組成になるように採取して、混合粉砕し、800℃
で仮焼して仮焼粉体を得た。
【0045】この仮焼粉体について、上記実施例1と同
一の項目について同一の方法により観察及び測定を行っ
た。
【0046】また、得られた仮焼粉体に対して酢酸ビニ
ル系のバインダーをその含有率が7wt%になるような
割合で添加して造粒した後、成形して外径20mmのリン
グを作製した。それから、このリング状成形体を900
℃で焼成して焼結体を得た。そして、この焼結体の初透
磁率及び焼結密度を測定した。その結果を表1に示す。
【0047】表1に示すように、この発明の方法により
製造された磁性酸化物粉体は、従来の乾式法により製造
された磁性酸化物粉体(比較例)に比べて、粒子が微細
かつ均質で、SS値も大きく、表面活性が高いことがわ
かる。
【0048】また、この発明の実施例の磁性酸化物粉体
を焼成してなる焼結体は、比較例のそれに比べて、初透
磁率が大きく磁気特性に優れており、また、焼結密度が
大きく、焼結性にも優れていることがわかる。
【0049】
【発明の効果】上述のように、この発明の磁性酸化物粉
体の製造方法は、磁性酸化物を構成する金属イオンと8
−ヒドロキシキノリンとを反応させて得られる複合キレ
ート化合物を、450〜700℃の温度で熱処理するこ
とにより磁性酸化物粉体を得るようにしているので、均
質かつ微細で表面活性が高く、易焼結性の磁性酸化物粉
体を容易かつ確実に製造することができる。
【0050】また、出発物質として、従来の製造方法の
ように、高価なアセチルアセトネートあるいはアルコキ
シド化合物などを用いる必要がなく、安価な無機化合物
を用いることが可能であるため、微細な磁性酸化物粉体
を経済的に製造することができる。
【0051】さらに、複合キレート化合物を含むスラリ
ーを噴霧するのに2流体ノズルを用いた場合、スラリー
をより微細な液滴にして噴霧することが可能になり、よ
り微細な磁性酸化物粉体を容易に製造することができ
る。
【0052】また、金属イオンと8−ヒドロキシキノリ
ンを含む混合液を静止型攪拌混合器を用いて混合、反応
させるようにした場合、特に動力を必要とすることな
く、混合液中の金属イオンと8−ヒドロキシキノリンと
を容易かつ確実に反応させるとともに、生成する複合キ
レート化合物の沈殿を十分に微細化することが可能にな
る。
【0053】さらに、上記2流体ノズルと静止型攪拌混
合器とを組み合わせて用いることにより、さらに効率よ
く微細な磁性酸化物粉体を製造することができる。
【0054】また、2流体ノズルを用いる場合に限ら
ず、噴霧焙焼を行うことにより磁性酸化物粉体を製造す
る場合には、廃液の発生を防止して、クローズドシステ
ムにより経済的に磁性酸化物粉体を製造することができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:MeFe24 (但し、MeはNi,Zn,Mn,Coなどの2価の金
    属の少なくとも1種)で示される磁性酸化物粉体の製造
    方法において、 磁性酸化物を構成する金属イオンと8−ヒドロキシキノ
    リンとを反応させて得られる複合キレート化合物を、4
    50〜700℃の温度で熱処理することにより磁性酸化
    物粉体を得ることを特徴とする磁性酸化物粉体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 磁性酸化物を構成する金属イオンと8−
    ヒドロキシキノリンとを反応させて得られる複合キレー
    ト化合物を分散させたスラリーを、2流体ノズルを用い
    て450〜700℃に加熱された空間に噴霧し、複合キ
    レート化合物を熱分解することにより磁性酸化物粉体を
    得ることを特徴とする請求項1記載の磁性酸化物粉体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 磁性酸化物を構成する金属イオンと8−
    ヒドロキシキノリンとの混合液を、静止型攪拌混合器を
    通過させながら反応させて複合キレート化合物を生成さ
    せることを特徴とする請求項1記載の磁性酸化物粉体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 磁性酸化物を構成する金属イオンと8−
    ヒドロキシキノリンとの混合液を静止型攪拌混合器を通
    過させながら反応させ、生成した複合キレート化合物を
    含むスラリーを、2流体ノズルを用いて450〜700
    ℃に加熱された空間に噴霧し、複合キレート化合物を熱
    分解することにより磁性酸化物粉体を得ることを特徴と
    する請求項1記載の磁性酸化物粉体の製造方法。
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