JPH06206518A - 車両用ワイパ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンパクトな構造で、払拭圧の変更の自由度
が大きく、かつその変更も容易である。 【構成】 アームヘッド２の先端にガラス面に向けて傾
動可能に基端を結合されたワイパアーム３と、これと同
一方向へ傾動可能に中間位置を結合されたレバー体４
と、レバー体４の先端とワイパアーム３の先端部間に懸
架されてワイパアーム３をガラス面に向けて付勢するコ
イルバネ５と、ドライブシャフト１の筒内に摺動自在に
設けられ、摺動時に上記レバー体４の他端を傾動操作す
るピストン部材６と、ドライブシャフト１と共に回転す
る上記ピストン部材６の、回転につれて移動するそのピ
ン部材６１を当接せしめてピストン部材６を押圧摺動せ
しめる、ボデーパネルＰに設けたカム部材７とを有して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両のワイパ装置に関
し、特に払拭圧を可変としたワイパ装置の構造改良に関
する。

【０００２】

【従来の技術】ワイパブレードの反転時に払拭圧を小さ
くして打撃音の発生を防止する試みがなされており、例
えば特開平３−１７６２５３号公報には、ワイパアーム
をガラス面方向へ付勢するコイルスプリングの張力を、
リンクアームにより操作されるレバーで変更可能とし
て、ブレード反転時には上記張力を弱めるようにしたも
のが提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の構
造では、ドライブシャフトに連結される上記リンクアー
ムを、アームヘッド内にワイパアーム方向へ配設する必
要があるため、アームヘッドの大型化、長尺化が避けら
れないという問題がある。

【０００４】また、近年は曲率が大きく変化する大型の
フロントガラスが多用されており、かかるガラス面の湾
曲に追従して良好な払拭性能を得るためには、払拭圧を
広い範囲で連続的に変化せしめる必要があるが、リンク
アームによる従来構造では対応が困難である。

【０００５】さらに、車種により形状が異なるガラス面
に対して、簡易に払拭圧を変更したいという要請があ
り、これについても、従来のリンクアームによるものは
速やかな変更が困難であった。

【０００６】本発明はかかる課題を解決するもので、コ
ンパクトな構造で、払拭圧の変更の自由度が大きく、か
つその変更も容易な車両用ワイパ装置を提供することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の構成を説明する
と、車両のボデーパネルＰに支持され、リンク機構１１
により往復回転せしめらる筒状のドライブシャフト１
と、ドライブシャフト１に基端が固定されて旋回するア
ームヘッド２と、アームヘッド２の先端にガラス面に向
けて傾動可能に基端を結合されたワイパアーム３と、上
記アームヘッド２にワイパアーム３と同一方向へ傾動可
能に中間位置を結合されたレバー体４と、レバー体４の
先端とワイパアーム３の先端部間に懸架されてワイパア
ーム３をガラス面に向けて付勢するバネ部材５と、上記
ドライブシャフト１の筒内に摺動自在に設けられ、摺動
時に上記レバー体４の他端を傾動操作するピストン部材
６と、ドライブシャフト１と共に回転する上記ピストン
部材６の、回転につれて移動するその外周部６１を当接
せしめてピストン部材６を押圧摺動せしめる、上記ボデ
ーパネルＰに設けたカム部材７とを具備している。

【０００８】

【作用】上記構成において、ドライブシャフト１内のピ
ストン部材６がカム部材７により摺動せしめられると、
その移動位置に応じてレバー体４が傾動せしめられ、そ
の先端に懸架されたバネ部材５の張力が変化して、ワイ
パアーム３をガラス面に向けて付勢する力、すなわちワ
イパブレードの払拭圧が変更される。

【０００９】払拭圧変更機構がドライブシャフト１内に
収納されるから、全体がコンパクトである。

【００１０】カム部材７のカム面をガラス面の湾曲に応
じて成形すれば、容易に連続的な払拭圧の変更が可能で
ある。

【００１１】また、カム部材７を取り替えるのみで広い
車種に適用される。

【００１２】

【実施例】図１において、車両のボデーパネルＰには筒
状のハウジング８が固定され、その筒内に、下端閉鎖の
筒状をなすドライブシャフト１が上下のブッシュ８１，
８２を介して回転自在に設けてある。ハウジング８は下
端部が大径となり、この開口を閉鎖するように詳細を後
述するカム部材７が覆着されてネジ７１により固定して
ある。

【００１３】上記ドライブシャフト１の下端は、カム部
材７を回転自在に貫通して下方へ露出し、この下端には
ワイパ揺動機構を構成する公知のリンクアーム１１の一
端が結合されて、ドライブシャフト１を往復回転する。

【００１４】ドライブシャフト１を挿通したハウジング
８の上端開口にはワッシャ８３と、これに接してサーク
リップ８４が設けてあり、サークリップ８４と上記リン
クアーム１１によりドライブシャフト１の上下方向の位
置決めがなされている。

【００１５】ドライブシャフト１の上端にはカバー２１
で覆ったアームヘッド２が基端を固定してある。アーム
ヘッド２の平面図および側面図を図３，図４に示す。基
端（図の左端）の取付穴２２は端面に向けて切り離さ
れ、切り離された左右の端部に、各中心を一致せしめて
貫通孔２３と、ネジ孔２４が設けてある。しかして、取
付孔２２をドライブシャフト１の小径とした上端に嵌着
し、貫通孔２３を経てネジ孔２４に螺入したネジ２５
（図２）により左右の端部を締めつけて固定する。

【００１６】アームヘッド２の先端にはこれを水平方向
へ貫通する取付穴２６が設けてあり、この取付穴２６に
逆Ｕ字断面をなすワイパアーム３（図２）の基端が、図
略のガラス面に向けて傾動自在に連結してある。すなわ
ち、上記取付穴２６内に筒状軸受部材３１（図１）およ
びブッシュ３２を配設し、ブッシュ３２内にネジ状の軸
部材３３を挿通してその両端をワイパアーム３基端の両
側面に固定する（図２）。

【００１７】上記ワイパアーム３の基端内にはこれに沿
ってレバー体４が設けてあり、その平面図および側面図
を図５，図６に示す。レバー体４は対称形に屈曲せしめ
た左右の側板４１，４２を有し、これら側板４１，４２
は両端で水平壁４３，４４により連続している。左右の
側板４１，４２は中央の屈曲部間をブレース４５により
結合され、この結合部近くの両側板４１，４２に設けた
取付穴４６，４７を、上記軸部材３３に回転自在に装着
してある。

【００１８】そして、上記レバー体４の先端（図５の右
端）水平壁４３に設けた係止穴４８に、コイルバネ５
（図１）の一端が係止され、その他端はワイパアーム３
の図略の先端部に係止されている。このコイルバネ５
は、ワイパアーム３をガラス面に向けて図１の下方へ傾
動付勢するもので、付勢力が大きい程、ワイパアーム３
に装着された図略のワイパブレードの払拭圧は大きくな
る。

【００１９】上記付勢力は軸部材３３回りのバネ力のモ
ーメントに比例する。したがって、レバー体４の先端が
下方へ傾動せしめられると、コイルバネ５は引っ張られ
てそのバネ力が大きくなるとともに、その作用線が軸部
材３３より離れるから、上記モーメントは大きくなり、
払拭圧が増大する。

【００２０】図１において、ドライブシャフト１の筒内
には上下に摺動自在にピストン部材６が設けてあり、ピ
ストン部材６は上下の端部６３，６４が大径となって筒
壁に接している。ピストン部材６の上端面には小径の凸
部６２が形成され、この凸部６２を上記レバー体４の基
端水平壁４４に設けた取付穴４９（図５）内に挿入して
Ｃリング６５により連結してある。

【００２１】ピストン部材６の下端部６４にはこれを径
方向へ貫通してピン部材６１が設けてあり、露出したそ
の両端が、ドライブシャフト１の側面に上下方向へ形成
した長穴１２，１３（図７）を通って上記カム部材７上
に突出し、その上面のカム面７ａに接している。カム面
７ａは周方向へ４つに区画され、径方向の対称位置にあ
る二箇所が上方へ突出する凸部７２，７３となり、かか
る凸部７２，７３へ残る二箇所の凹部７４，７５（図
８）が斜面で連続している。

【００２２】ドライプシャフト１の回転に伴ってピン部
材６１がカム部材７の凸部７２，７３に乗り上げると、
ピストン部材６は上方へ押圧移動せしめられる。レバー
体４は基端が押し上げられ、軸部材３３を中心に回動し
て、その先端が下方へ傾動する。この下方傾動に伴い、
既述の如くワイパブレードの払拭圧が増大する。

【００２３】しかして、カム部材７の上記凸部７２，７
３の形成位置をワイパアーム３の往復旋回行程に、また
凹部７４，７５をアーム旋回端のワイパブレード反転行
程に対応してそれぞれ設定しておけば、ガラス面払拭時
には充分大きな払拭圧が得られるとともに、ブレード反
転時には払拭圧が低下せしめられて、衝撃音のないスム
ーズな反転作動が保証される。

【００２４】また、ワイパ不使用時に、ワイパアーム３
は旋回端に位置せしめられるが、この状態では、払拭
圧、すなわちガラス面へのブレード押付圧が小さいか
ら、ブレードゴムの劣化が防止され、耐久性が向上す
る。

【００２５】以上の如く、ドライブシャフトの筒状空間
内にピストン部材とこれを作動せしめるカム部材を収納
したことにより、コンパクトな構造でワイパの払拭圧を
変更することができる。

【００２６】本発明によればカム部材７を適宜変更する
ことにより、払拭圧を自在に変更することができる。例
えば図９、図１０に示す如く、カム部材７のカム面７ａ
を連続的に上下する曲面とすることにより、ワイパの全
払拭行程に渡ってガラス面の湾曲に応じた適当な払拭圧
を得ることができる。

【００２７】かくして、カム面形状の異なるカム部材を
適宜取り替えることにより、異なる車種に対して速やか
に対応することができる。

【００２８】

【発明の効果】以上の如く、本発明の車両用ワイパ装置
によれば、コンパクトな構造により、ワイパの払拭圧を
広範囲かつ高い自由度で容易に変更設定することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】ワイパ装置の全体垂直断面図である。

【図２】ワイパ装置の部分平面図で、図１のＡ矢視図で
ある。

【図３】ワイパヘッドの平面図である。

【図４】ワイパヘッドの側面図である。

【図５】レバー体の平面図である。

【図６】レバー体の側面図である。

【図７】カム部材の平面図で、断面部は図１のVII −VI
I 線に沿うものである。

【図８】カム部材の断面図で、断面は図７のVIII−VIII
線に沿うものである。

【図９】カム部材の他の例を示す断面図である。

【図１０】カム部材のさらに他の例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ドライブシャフト ２ アームヘッド ３ ワイパアーム ４ レバー体 ５ コイルバネ（バネ部材） ６ ピストン部材 ６１ ピン部材（外周部） ７ カム部材 Ｐ ボデーパネル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両のボデーパネルに支持され、リンク
   機構により往復回転せしめらる筒状のドライブシャフト
   と、ドライブシャフトに基端が固定されて旋回するアー
   ムヘッドと、アームヘッドの先端にガラス面に向けて傾
   動可能に基端を結合されたワイパアームと、上記アーム
   ヘッドにワイパアームと同一方向へ傾動可能に中間位置
   を結合されたレバー体と、レバー体の先端とワイパアー
   ムの先端部間に懸架されてワイパアームをガラス面に向
   けて付勢するバネ部材と、上記ドライブシャフトの筒内
   に摺動自在に設けられ、摺動時に上記レバー体の他端を
   傾動操作するピストン部材と、ドライブシャフトと共に
   回転する上記ピストン部材の、回転につれて移動するそ
   の外周部を当接せしめてピストン部材を押圧摺動せしめ
   る、上記ボデーパネルに設けたカム部材とを具備する車
   両用ワイパ装置。