JPH0619925Y2 - 炉壁支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はボイラにおける炉壁支持装置に関するものであ
る。

［従来の技術］ 大型のボイラは通常鉄骨構造に吊り下げて支持するよう
にしており、且つ炉壁にかかる炉内風圧及び地震力等の
水平力に対して、炉壁が変形しないように炉壁の周囲に
たが状にバックステーを設けている。又、ボイラの炉壁
は運転状態において、下方、左右方向、前後方向の３次
元方向に熱変形するため、この変形を吸収できるように
支持する必要がある。

第４〜６図はその一例を示すもので、フィン付チューブ
からなる平面矩形の炉壁１の外周（四周）に水平バック
ステー２を配置し、該バックステー２の対向する２本の
端部同志をテンションバー３にて連結すると共に、前記
バックステー２を、炉壁１に対してその長手方向の変形
を許容するように構成されたサポートラグ４を介して炉
壁１に支持させ、上下方向の移動は炉壁１と共に移動さ
せる。更にバックステー２の端部相互間をリンク機構５
によって連結するようにして、第５図における炉内風圧
Ｐによる炉壁１の変形を押え、且つ第４図に点線で示す
３次元方向の変形を許容するようにしている。又、バッ
クステー２の横揺れに対し、バンパー６及びバンパー支
柱７を介して鉄骨構造８に支持させるようにしている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、近年ボイラの大型化が図られ、ボイラが大型化
するとバックステー２の剛性も大きくする必要があるた
めに大重量となるが、一方炉壁１の強度は余り大きくで
きないのでバックステー２を支持する炉壁１に強度上の
問題が生じる。更に、バックステー２の大型化によりバ
ックステーの横倒れ（モーメント荷重）の問題も生じ、
こうした問題を解決するべくバックステーを小型化して
上下に配置する数を増やすことも考えられるが、こうし
た場合、配置上の問題が生じる。

本考案は、上記従来の問題点に着目してなしたもので、
大型のバックステーの設置をなくし、炉壁の３次元方向
の変形を許容しつつ炉壁に作用する水平力を鉄骨構造に
直接支持させることを目的としている。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上記技術的課題を解決しようとしたもので、
吊下げ支持したボイラ炉壁と外側の鉄骨構造との間の所
要位置に、該位置における炉壁の温度変化による炉壁面
の左右方向への移動量と下方への移動量を合成した斜の
方向に移動可能に前記鉄骨構造に移動駒を配設し、且つ
該移動駒と前記炉壁との間を間隔調整可能に連結した支
持連結装置を設けたことを特徴とする炉壁支持装置、に
係るものである。

［作用］ 従って本考案では、炉壁の温度による変位に追従するよ
うにした支持連結装置により、炉壁に作用する水平力を
鉄骨構造に直接支持するので、炉壁の軽量化を可能にし
て炉壁の強度を向上させることができる。

［実施例］ 以下図面に基づいて本考案の実施例を説明する。

第１〜３図は本考案の一例を示すもので、炉壁１の四周
に、支持金具９を介して上下方向には拘束され且つ各壁
面の幅方向には伸縮を許容するように支持された小型の
水平バックステー10を設け、且つ該小型バックステー10
の夫々と、外側の鉄骨構造８との間の幅方向２個所以上
に、支持連結装置11を設ける。

支持連結装置11は、鉄骨構造８にボルト孔12を介して固
定する支持台13と、該支持台13に対し垂直に対して幅方
向に所要の角度θで傾斜するように形成したスライド溝
14に沿って移動可能な移動駒15と、該移動駒15を駆動モ
ータ16の駆動によりスライド溝14に沿って移動させるた
めの駆動スクリュー17と、前記支持台13に対して直交す
るように移動駒15上に回転自在に植立した回転ナット18
と、該回転ナット18を回転駆動するよう移動駒15上に設
けたナット駆動装置19と、前記回転ナット18に一端が螺
合し、他端がピン20を介して前記小型バックステー10に
連結してなる調整ねじ21を備えた構成を有している。

ボイラの炉壁１の下方、左右、前後の方向への変形量は
運転状態（ボイラ各部の温度）から計算によって求める
ことができ、従って炉壁１の各点の移動方向と移動量も
求めることができる。

従って前記支持連結装置11を設置する位置の炉壁部分の
移動方向と移動量を予め求め、該位置の下方Ａへの移動
量と側方（幅方向）Ｂへの移動量によって移動駒15の移
動する傾斜角度θを決定する。即ち、上下Ａと左右Ｂの
動きは斜めＣの動きに置き換えることができる。

又、炉壁１が膨張して鉄骨構造８に近付く方向（前後方
向）Ｄに対しては、回転ナット18を回転して調節ねじ21
を伸縮することにより対応することができる。

従って炉壁１の温度に応じて、駆動モータ16及びナット
駆動装置19を作動することにより、炉壁１の下方向、左
右方向、前後方向の変形量に応じた位置に移動駒15の位
置及び調整ねじ21の伸縮量を調整する。これにより、炉
壁１の変形を許容し、且つ炉内風圧及び地震等による水
平力に対しては、小型バックステー10及び支持連結装置
11を介して鉄骨構造８に直接しっかり支持させることが
できる。

尚、本考案は上記実施例にのみ限定されものではなく、
駆動駒の移動及び回転ナットの回転等の駆動には流体圧
シリンダ等の種々の方式を採用し得ること、小型バック
ステーを設けることなく調整ねじを炉壁に直接連結する
ことも可能であること、その他本考案の要旨を逸脱しな
い範囲内において種々変更を加え得ること、等は勿論で
ある。

［考案の効果］ 上記したように、本考案の炉壁支持装置によれば、温度
変化による炉壁の温度変化による炉壁面の左右方向への
移動量と下方への移動量を合成した斜の方向に移動可能
な移動駒を鉄骨構造に配設し、且つ前記移動駒と炉壁と
の間を間隔調整可能に連結した構成の支持連結装置を設
けて、炉壁の下方向、左右方向、前後方向の変位を簡単
な構成で許容させ、炉壁に作用する水平力を鉄骨構造に
直接伝えて支持させるようにしたので、従来の大型バッ
クステーを設ける方式に比し、炉壁を軽量化させて炉壁
の強度を大幅に向上させることができる優れた効果を奏
し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す平面図、第２図は第１
図のII−II方向拡大矢視図、第３図は第２図のIII−III
方向矢視図、第４図は従来の炉壁支持装置を備えたボイ
ラの全体を示す側面図、第５図は従来の炉壁部の平面
図、第６図は従来の炉壁支持装置の詳細を示す斜視図で
ある。 １は炉壁、８は鉄骨構造、10は小型バックステー、11は
支持連結装置、13は支持台、14はスライド溝、15は移動
駒、16は駆動モータ、17は駆動スクリュー、18は回転ナ
ット、19はナット駆動装置、21は調整ねじを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】吊下げ支持したボイラ炉壁と外側の鉄骨構
   造との間の所要位置に、該位置における炉壁の温度変化
   による炉壁面の左右方向への移動量と下方への移動量を
   合成した斜の方向に移動可能に前記鉄骨構造に移動駒を
   配設し、且つ該移動駒と前記炉壁との間を間隔調整可能
   に連結した支持連結装置を設けたことを特徴とする炉壁
   支持装置。