JPH0619555Y2

JPH0619555Y2 - 転炉の炉体冷却装置

Info

Publication number: JPH0619555Y2
Application number: JP6969189U
Authority: JP
Inventors: 俊幸岡崎
Original assignee: Kobe Steel Ltd
Current assignee: Kobe Steel Ltd
Priority date: 1989-06-14
Filing date: 1989-06-14
Publication date: 1994-05-25
Anticipated expiration: 2004-05-25
Also published as: JPH0311047U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、炉体の中腹部に配置されるトラニオンリング
によって傾動可能に支持された転炉の炉体冷却装置に関
するものである。

〔従来の技術〕

近年転炉操業技術の一つとして、転炉寿命延長を目的
に、転炉内壁には熱伝導率の高いＭｇＯ−Ｃ系の耐火物
が採用されている。

転炉炉体は操業中、高温にさらされており繰り返し使用
している間に、その熱応力によって変形が進行する。特
にＭｇＯ−Ｃ系レンガを採用した転炉においては、使用
比率が増加し、耐火物の損耗が減少して転炉寿命延長は
達成されたものの、反面転炉炉体は溶鋼からの伝導熱で
高温状態となり、その結果、変形度合は従来より著し
く、変形が進行すると使用不可能な状態になることが判
明した。

このため、転炉炉体の変形を防止し転炉寿命を延長させ
るために転炉炉体の冷却技術に関して、大きな課題とな
っていた。

上記の課題に鑑み、従来、転炉の炉体冷却装置として、
例えば第４図に示す特開昭61-174311号公報には、トラ
ニオンリング（１）の外周上下に設けたヘッダー
（３）、ヘッダー（３）とフランジ(13)を介して接続さ
れる３〜５本の噴出管を有するノズル（５）を一定間隔
で配置し、トラニオンリング（１）内を炉体腹部に対し
てほぼ垂直方向に貫通させた多数のスリーブ(14)から構
成し、ノズル先端の噴出口(15)より気体を炉体腹部全体
に直接吹き付ける装置が開示されている。

また同様に、転炉の炉体冷却装置として第５図および第
６図に示す実公昭５７−４０２９１号公報には冷却用空
気供給管（２）はトラニオンリング（１）の下端面に固
着され、炉体鉄皮（７）を環状に外囲している。トラニ
オンリング（１）と炉体鉄皮（７）との間においてトラ
ニオン軸(16)の根部付近には、トラニオン軸(16)の両側
で炉軸に沿って偏平に延び冷却用空気供給管（２）より
下方に突出しトラニオンリング（１）の内周面に固定さ
れた一対のヘッダー（３）と、炉体鉄皮（７）に向けて
冷却空気を噴射する多数のノズル（５）を備えた冷却装
置が知られている（考案が解決しようとする課題）しかし、第４図〜第６図に示す従来の転炉の炉体冷却装
置の構造はつぎのような難点をまぬがれないものであ
る。

すなわち特開昭61-174311号公報の装置においては、ト
ラニオンリング内を炉体腹部に対して多数のスリーブを
貫通させた構造としているので、強度低下の問題から冷
却ノズルのピッチは粗くせざるを得ず、よって冷却効果
は低く転炉炉体鉄皮変形防止としては充分でない。

また実公昭５７−４０２９１号公報の装置においては、
炉体鉄皮に対して冷却の均一性、すなわちノズルからの
冷却空気噴出量を均一に得ようとするならば、ヘッダー
および冷却用空気供給管の径を大きくし、管内での流速
を抑えることで幾分かは冷却の均一性は達成される。

しかしながら、上記のヘッダーおよび冷却用空気供給管
の径寸法は転炉炉体の形状や、他の構成部品との取り合
いなどで制約を受け、径寸法のみを大きくするのは不可
能な状態である。

したがって、結果的にヘッダーおよび冷却用空気供給管
内では流速が大きく、ノズルへの冷却空気は不均一とな
る。このため転炉炉体全域にわたって均一に冷却するこ
とは困難となる。

炉体冷却の不均一は鉄皮への熱応力増加につながり、鉄
皮寿命に影響を及ぼすことになる。

他方、従来の転炉の炉体冷却装置においては、第７図に
示すように冷却用空気供給管（２）とヘッダー（３）
は、トラニオンリング（１）の下端面に設けられている
が、操業中のスロッピングによる鋼滓あるいは炉体上部
に付着している地金の落下による損傷が考えられる。

その結果損傷部から冷却用空気の漏洩をもたらし、操業
中の冷却用空気の漏洩に対処するには炉体の高熱のため
に非常に危険であり、迅速な処置が出来ないという問題
点があった。

本考案の目的は上記従来技術に基づく転炉の炉体冷却装
置の問題を解決するためになされたもので、炉体鉄皮に
対して冷却の均一性を確保し、転炉寿命の延長にすぐれ
た炉体冷却装置を提供するものである。

（課題を解決するための手段）すなわち、上記の目的を達成するための本考案の装置は
炉体とトラニオンリングとの間に冷却用空気を噴射する
転炉の炉体冷却装置であって、トラニオンリング（１）
の下端面には、該トラニオンリング（１）と連通した冷
却用空気供給管（２）と、該冷却用空気供給管（２）の
下方には、小径孔を有する衝突板（４）を内部に備えた
ヘッダー（３）を連結し、炉体鉄皮（７）に向けて箱型
パネル（８）からなる複数のノズル（５）を炉体とトラ
ニオンリングとの間に設けるとともに、前記トラニオン
リング（１）の下端面および炉体鉄皮（７）に固定した
ブラケット(10)を介して、冷却用空気供給管（２）およ
びヘッダー（３）を包囲する保護カバー（９）を挿通接
続したことを特徴とする転炉の炉体冷却装置にある。

（作用）つぎに本考案の転炉の炉体を冷却する装置の作用につい
て説明する。

冷却空気供給管を経てヘッダーに供給される冷却空気は
炉体鉄皮に向けて複数のノズルから噴射されるが、この
場合本考案の小径孔を有する衝突板をヘッダー内に設け
ないで、冷却空気を噴射すると冷却空気供給管に近傍し
たノズルからの冷却空気噴出量は、冷却空気供給管の動
圧の影響を受け実験の結果、他のノズルよりも約５０％
多く噴出していることが判明した。

したがって冷却空気供給管と連結したヘッダー内に衝突
板を備えた場合は冷却空気の流れが一旦、衝突板に衝突
することでヘッダーの長手方向に均一に分配される。分
配された冷却空気は流量の半減に伴って流速が低下し、
動圧の低下とともに静圧が回復、箱型パネルの長手方向
に配したノズルからの冷却空気噴出量は均一となる。

他方、トラニオンリング下端面に設けられた冷却空気用
供給管およびヘッダーを包囲する保護カバーの材質は、
熱的強度、加工性、コストなどから鋼板製とした。なお
鋼板厚みについては外的から生じる損傷要因の大きさと
損傷の頻度から決定されるものである。また保護カバー
本体は、転炉炉体の円周方向に適宜分割にした構造と
し、転炉操業中の炉体の変形を考慮して、保護カバーの
固定部はその変形量を吸収する構造とする。さらに保護
カバー内に熱が滞留して、保護カバー部位の炉体鉄皮の
冷却効果が低下するのを防止するため保護カバー本体に
は適宜通気孔を設けるか、あるいは炉体鉄皮と保護カバ
ーを間隙を有した構造としてもよい。

（実施例）つぎに本考案装置の実施例を図面に従い説明すれば以下
の通りである。第１図〜第３図は本考案の一実施例装置
で、第１図において冷却空気はトラニオンリング（１）
内より、冷却用空気供給管（２）を経て、ヘッダー
（３）内に供給される。そのヘッダー（３）内部には衝
突板（４）が備えられていて、衝突板（４）の真裏に位
置するノズル（５）の冷却空気量を確保するため、該ノ
ズルから噴射される冷却空気量と相当する小径孔（６）
を有している。

ヘッダー（３）からの冷却空気は炉体鉄皮（７）とトラ
ニオンリング（１）の間に設けられた箱型パネル（８）
に供給され、炉体鉄皮（７）に対して垂直方向に一定間
隔で配置した複数のノズル（５）から炉体鉄皮（７）に
向けて冷却空気が噴射される。第２図は第１図のＡ−Ａ
断面を示す図であるが、箱型パネル（８）の高さ方向の
冷却空気量の均一性については、ノズル（５）の径およ
びノズルピッチを選定することで確保できる。なお本実
施例の衝突板(4)は円形板としたが、これに限定せずヘ
ッダーの形状に合わせて適宜決定されるものであり、案
内羽根のような形状であっても良い。

第３図は本考案の保護カバー（９）を示す図であって、
保護カバー（９）は炉体円周方向に適宜分割されており
（図示省略）、トラニオンリング（１）の下端面と炉体
鉄皮（７）に固定したブラケット(10)を介して、ボルト
(11)、ナット(12)で固定されている。ナット(12)は保護
カバー（９）の外側からボルト(11)を締めつけるだけで
固定できるようなブラケット(10)に溶接されている。ま
た保護カバー（９）のボルト穴は炉体鉄皮の変形を吸収
できるように長穴形状としている。なお保護カバー
（９）はブラケット(10)の部位以外は、炉体鉄皮（７）
とトラニオンリング（１）下端面との間に間隙を設けて
いるので、操業中でも保護カバー（９）内に熱が滞留
し、冷却効果が低下する恐れはない。

本考案では保護カバー（９）の材質は鋼板性としたが、
カバー外部からのヘッダーの目視点検が可能であり、さ
らに通気性の向上からカバー本体を適当に補強したエキ
スパンドメタルを保護カバーに採用しても可能である。

（考案の効果）以上のように本考案の冷却装置によれば、従来装置に較
べてヘッダー内に衝突板を設けたので、炉体冷却の均一
性が確保され、転炉鉄皮への熱応力の低下による炉体鉄
皮の変形防止効果は非常に大きい。また冷却装置に保護
カバーを設けたので、冷却装置本体の取り替え回数が減
少し、保全性が向上するなど、転炉寿命延長の確保につ
ながるので、その効果は大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例装置、第２図は第１図のＡ−
Ａ断面図、第３図は本考案の保護カバーを示す図、第４
図〜第７図は従来の転炉の炉体冷却装置を示す図であ
る。１：トラニオンリング、２：冷却用空気供給管、３：ヘ
ッダー、４：衝突板、５：ノズル、６：小径孔、７：炉
体鉄皮、８：箱型パネル、９：保護カバー、10：ブラケ
ット、11：ボルト、12：ナット、13：フランジ、14：ス
リーブ、15：噴出口、16：トラニオン軸。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】炉体とトラニオンリングとの間に冷却用空
気を噴射する転炉の炉体冷却装置であって、トラニオン
リング（１）の下端面には、該トラニオンリング（１）
と連通した冷却用空気供給管（２）と、該冷却用空気供
給管（２）の下方には、小径孔を有する衝突板（４）を
内部に備えたヘッダー（３）を連結し、炉体鉄皮（７）
に向けて箱型パネル（８）からなる複数のノズル（５）
を炉体とトラニオンリングとの間に設けるとともに、前
記トラニオンリング（１）の下端面および炉体鉄皮
（７）に固定したブラケット(10)を介して、冷却用空気
供給管（２）およびヘッダー（３）を包囲する保護カバ
ー（９）を挿通接続したことを特徴とする転炉の炉体冷
却装置。