JPH06190032A - 抗凝血方法および抗凝血性高分子材料 - Google Patents

抗凝血方法および抗凝血性高分子材料

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JPH06190032A
JPH06190032A JP31A JP13678091A JPH06190032A JP H06190032 A JPH06190032 A JP H06190032A JP 31 A JP31 A JP 31A JP 13678091 A JP13678091 A JP 13678091A JP H06190032 A JPH06190032 A JP H06190032A
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polymer material
blood
anticoagulant
graft
acid
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Yoshio Hata
善夫 畑
Yasushi Nakagawa
康 中川
Naoto Hashimoto
直人 橋本
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】抗凝血性高分子材料および該高分子材料を用い
る抗凝血方法を提供する。 【構成】汎用高分子材料にアクリル酸もしくはメタクリ
ル酸をグラフト重合した抗凝血性の高分子材料。 【効果】本発明の抗凝血方法は血液に接触する可能性の
ある医療用機器・器具を特に体内において使用する場合
に高い効果を発揮せしめる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗凝血方法および抗凝
血性高分子材料に関するものである。 さらに詳しく
は、グラフト重合法による表面改質により抗凝血性を付
与された高分子材料に血液を接触させることにより、該
血液の凝血を抑制する方法およびそれに用いる高分子材
料に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子材料は軽量で強くあるいはしなや
かで、また化学的にも不活性であり、材料によっては透
明性を有するなど、多くの優れた性質を持った材料とし
て医療関連分野で血液と接触して使用される材料として
も欠くことの出来ないものであるが、一般に凝血性であ
り、これらの材料を血液との接触があり得る用途に用い
る場合には、抗凝血剤(例:ヘパリン、クエン酸など)
の併用が必要になる。従って、もし汎用の高分子材料に
簡便に抗凝血性が付与されるならば、さらに有用な材料
になることであろう。
【0003】抗凝血性高分子材料としては、その使用目
的、使用期間の長さ等の使用条件により、それに適う種
々の物が提案されているが、長期間の使用を前提とし、
材料の表面に組織細胞を伸展させ、高分子−細胞のハイ
ブリッド化を目標とするものを除き、比較的短期間内で
の抗凝血性ないし抗血栓性材料としては、高疎水性ま
たは高親水性の高分子自体の抗凝血性を利用するもの、
疎水性および親水性両者からなるミクロドメインを有
する高分子材料、および抗凝血剤との複合材料とした
ものなどがある。
【0004】これらのうち、上記の高疎水性材料
(例:ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロ
キサンなど)は、それらの材料が、生体を構成する細
胞、成分などの付着を拒否する性質を利用するもので、
何らかの他の原因で開始された凝血を阻止出来るもので
はなく材料自身の抗凝血性は高いものではない。 また
高親水性の高分子としては、いわゆるヒドロゲルを形成
するものが抗凝血性を示すことが知られており、ポリヒ
ドロキシエチルメタクリレートは導尿カテーテルや血液
浄化用活性炭の被覆材として実用化されており、そのほ
か、ポリエチレングリコール鎖を側鎖に有するポリマー
のポリメタクリレートやポリ塩化ビニルなどとのグラフ
ト共重合体が提案されている[長岡昭二ら、高分子論文
集、39巻, 165-171頁および173-178頁 (1982年)]が、材
料の機械的強度が問題とされている。上記の疎水性お
よび親水性両方の成分からなるミクロドメインを有する
高分子材料(例:TM-3,東洋紡績(株))も、そのもの自
体で抗凝血性を示す高分子材料として人工臓器の材料と
して用いられているが、細血管の代替にはなり得ないこ
とからも分かるように、必ずしも十分の抗血栓性を有し
ている訳ではない。 このような状況から、の抗凝血
剤と高分子との複合化が追及され、抗凝血剤としてのヘ
パリン、MD-805、プロスタグランジン類あるいは血栓溶
解剤のウロキナーゼなどを含浸ないし固定した材料を塗
布することが検討されており、ヘパリンを徐放させるよ
うにしたアンスロンR(東レ(株))が実用化されている。
一方、前記ヒドロゲルの機械的強度を改善すべく、ポ
リウレタンやポリシロキサンなどの弾性体にアクリルア
ミドをグラフト重合させた材料や、ポリエチレンにアク
リルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−
ビニルピロリドン、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを
グラフト重合した材料が提案されているが、前者では、
基材の効果が無視できず、抗血栓性は劣るようであり、
後者でもグラフト重合体表面の濡れの大きさに抗血栓性
が大きく依存することが見られており、抗血栓性の一層
の改善の為にグラフト鎖をさらに橋かけすることが提案
されているが、橋かけ体の抗血栓性は橋かけ度により影
響を受けることが避けられない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】血液と接触する高分子
材料において、ヘパリンなどの抗凝血剤を用いなくても
凝血を抑制できる材料が見いだされるならば有用であろ
う。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
に鑑み、高分子材料に親水性モノマーをグラフト重合さ
せて、機械的強度、柔軟性、透明性など、元の高分子材
料本来の好ましい性質を維持したまま、これらに抗凝血
性を付与し、これら材料に血液を接触させることにより
該血液の凝血を抑制することが出来る方法を開発すべく
検討した。 その結果意外にも、これらの高分子材料に
アクリル酸もしくはメタクリル酸をグラフト重合して得
た材料に血液を接触させることにより、該血液の凝血を
おさえることが出来、その凝血効果は上記した公知の材
料と同等ないしそれに勝るものであることを見いだし、
この知見に基づいて種々検討した結果本発明を完成し
た。本発明の抗凝血性高分子材料は汎用高分子材料の表
面に重合性モノマーであるアクリル酸またはメタクリル
酸をグラフト重合したものである。 アクリル酸やメタ
クリル酸は高分子材料のグラフト重合による表面親水化
に用いられる一般的なモノマーであり、例えば、ロウラ
ー(Lawler)ら[レイディエーション・フィジクス・ア
ンド・ケミストリー(Radiat. Phys. Chem.)、15巻, 595
頁 (1980年)]は、電池用隔膜材料を得る目的で、ポリエ
チレンフィルムにアクリル酸をグラフト重合している
し、筏ら[玉田靖、岸田晶夫、筏義人、第33回高分子学
会予稿集,2139頁 (1984年)]はポリアクリル酸グラフ
ト化ポリエチレンを含む種々の高分子材料の表面へのL
細胞の付着性とそれら材料の表面親水性ないし疎水性と
の関係を調べており、また、筏ら[高分子学会予稿集、
537頁 (1984)]および今西ら[例えば、高分子学会予稿
集、37巻(7号), 1839頁 (1988年)]は、それぞれシリコ
ーンあるいはポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、
ポリスチレンなどの高分子材料表面にアクリル酸をグラ
フトして得た反応性官能基を有する材料に、さらに蛋白
質や抗凝血剤などを結合させた抗血栓性材料を提案して
いるが、高分子材料にアクリル酸をグラフトした材料そ
のものが抗凝血性材料として有用であることは記載がな
い。
【0007】本発明において原料に用いる高分子材料は
特に制限されるものではなく、目的、用途などに応じて
任意の高分子材料を使用出来、例えば、ポリオレフィン
類(例:高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポ
リプロピレンなど)、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリ
ル、ポリメチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン
系ブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−
スチレン系ブロック共重合体、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエ
ーテル−エステル系ブロック共重合体、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、ポリウレタン、ポリサルホン、ポリエ
ーテルサルホン、シリコーン、セルロースおよび酢酸セ
ルロースなどが挙げられるが、ポリウレタン類(例:ポ
リウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリウレタンウレ
アなど)、ポリアミド類(例:ナイロン6、ナイロン6
6など)およびポリサルホン類(例:ポリサルホン、ポ
リエーテルサルホンなど)などが好ましい。 用いる基
材の形態については、非多孔質、多孔質、不織布、織
物、編物など使用目的に応じていかなる形態のものでも
よく、また、形状についてもチューブ状、円筒状、シー
ト状、板状、ブロック状、ビーズ状、繊維状などいかな
る形状のものでも用いることが出来る。
【0008】上記の高分子材料にアクリル酸もしくはメ
タクリル酸をグラフト重合させる場合、自体公知の方
法、たとえば以下の〜(6-2)に記載する前処理を高分
子材料の表面に行って重合開始点を作り出し、ついでア
クリル酸もしくはメタクリル酸を重合させて該重合開始
点からグラフト鎖を成長させる。 重合開始点を作るに
は、プラズマ照射、光(紫外線、可視光(光増感剤
を併用)照射)、過硫酸アンモニウムなどの酸化物の
添加、過酸化物とともにFe2+イオンを存在させるレ
ドックス法、Ce4+、Cr6+またはMn7+などの酸化
剤を用いるものなどがあるが、また、過酸化物の1種で
あるオゾンも用いられる。 オゾンを用いたグラフト
重合法の例としては、例えばポリエチレンの塩化ビニル
によるグラフト重合[大津隆行、木下雅悦著 高分子合
成の実験法(化学同人 1972年刊)388頁、《実験例143
3》]、高密度ポリウレタンおよびポリウレタンのアク
リルアミドあるいはN,N−ジメチルアクリルアミドに
よるグラフト重合[a)竹林ら、第35回高分子研究発表
会(神戸)(1989年)9頁;b)関根ら、高分子学会予稿
集、40巻(4号), 1448巻 (1991年) 《II-18-13》]など
が挙げられるが、オゾンを前処理剤としてアクリル酸も
しくはメタクリル酸をグラフト重合させた例はない。
本発明者らは、アクリル酸もしくはメタクリル酸をグラ
フト重合させる場合の前処理としては、高分子材料をオ
ゾン含有気にさらし該材料にラジカル重合の開始点とな
る官能基(例:ヒドロパーオキシ基、パーオキシ基な
ど)を導入するのがよい点も見いだした。 オゾン曝露
は適当な容器内(例:デシケータなどのガラス器など)
で簡便に行うことが出来る。 用いるオゾンの濃度は特
に制限はなく、市販のオゾン発生機を用いて調製出来る
約1000〜100000ppmのオゾンを含む気体が用いられる。
オゾン発生には、酸素含有気として空気を用いて良い
が、純酸素を用い、より高濃度のオゾン含有気を得ても
よい。 オゾン処理の温度は、室温以下ないし以上でも
よいが室温付近(約10〜30℃)がこのましい。 材
料のオゾンによる処理時間は、オゾン濃度、処理温度な
どの条件にもよるが、1分ないし4時間位、好ましくは
5分ないし2時間位、さらに好ましくは約10〜30分
である。 次いでこの処理した材料をアクリル酸もしく
はメタクリル酸を含む反応液中に入れ、脱気して溶存酸
素を除き、脱気減圧下にグラフト重合を起こさせる。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロ
パノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン
類、アセトニトリルなどのニトリル類およびこれらの混
合液などが用いられる。 加熱により重合反応を開始さ
せる場合には、該反応液を室温(約20℃)以上約80
℃までの温度に加熱する。 さらに好ましくは約50−
60℃に加熱するのがよい。 また、該グラフト重合を
いわゆるレドックス還元剤の存在下に行っても良い。
レドックス還元剤としては、パーオキサイド基を還元
し、ラジカルを生成出来るものならば何でも用いられる
が、例えば、塩化第1鉄、硫酸第1鉄、硫酸第1鉄アン
モニウム(モール塩)などの二価鉄塩、酸性亜硫酸ナト
リウム、ロンガリット、アスコルビン酸(塩)、酒石酸
などが挙げられ、中でもモール塩が好ましい。 レドッ
クス還元剤の使用量は、使用する化合物によっても異な
るが、約10-5〜10mol/Lの範囲の濃度になる量用
いるのがよく、さらに好ましくは約10-4〜10-2mol
/L濃度程度で用いるのがよい。 レドックス還元剤を
用いた場合には、熱反応による場合よりより低温から重
合反応を起こすことが可能であり、用い得る反応温度と
しては約氷冷却下(約0℃)から約80℃、より好まし
くは約5〜60℃の範囲から選ぶのが良い。 反応時間
は反応温度にもよるが、約10分〜24時間、好ましく
は約30分〜2時間である。
【0009】所定時間の重合後、高分子材料を反応液か
ら取り出し、水洗して未反応モノマーや副生しているホ
モポリマーを除去し、目的の抗凝血性高分子材料を得
る。このようにして得られる本発明のポリアクリル酸グ
ラフト重合高分子材料もしくはポリメタクリル酸グラフ
ト重合高分子材料はそれ自体優れた抗凝血性を有するも
のであるが、その使用目的によりその表面のカルボキシ
ル基を介してさらにヘパリンを共有結合させてもよい。
このためには例えば、自体公知の方法により、ヘパリ
ンの水性溶液の存在下、縮合剤として水溶性カルボジイ
ミド(例:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プ
ロピルカルボジイミド塩酸塩(WSC)、1−エチル−3−
(3−ジエチルアミノ)カルボジイミド塩酸塩、1−シ
クロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジ
イミド・メトパラトルエン塩酸塩など)を用い、反応液
のpHをMES((2−モルホリノエチル)エタンスルホン
酸)あるいはHEPES(ヒドロキシエチルピペリジンエタン
スルホン酸)緩衝液により弱酸性側(pH約4−6)に
保ちつつ反応させることにより行うことが出来る。 溶
媒としてはまた、水と混ざる溶媒類(例:メタノール、
エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチ
ルケトンなどのケトン類ないしテトラヒドロフランなど
のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メ
チルピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシ
ド、スルホランなどのスルホン類など)を添加してもよ
く、また、活性エステル法と言われる方法に準じ、上記
縮合剤とともに、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールあ
るいはN−ヒドロキシサクシンイミドなどのヒドロキシ
ルアミン類を存在させてもよい。 また、同じくpH調
節しながら水性溶液中でポリアクリル酸グラフト化高分
子材料と水溶性カルボジイミドとをまず反応させた後、
ヘパリン溶液を反応系に加えても良い。 反応温度は約
0〜40℃、より好ましくは約5−25℃であり、反応
時間は約0.5−100時間、より好ましくは約2−2
4時間である。 所定時間の反応後、得られた高分子材
料を取り出し、水洗して残留しているヘパリンや縮合剤
および副成している可能性のある尿素体などを除き、乾
燥してヘパリン結合高分子材料を得る。 このヘパリン
結合高分子材料も抗凝血性があり、特に生体内で使用す
る場合に高い抗血栓性が認められる。
【0010】
【発明の効果】本発明の抗凝血性高分子材料は血液に接
触する可能性のある医用機器、器具用材料、例:医用チ
ューブ(例:血液チューブ、カテーテル)、血液容器材
(例:血液バッグ血液スピッツロール、バイアル瓶、試
験管、遠沈管、注射筒、など)、菌や細胞などの培養培
地ないし培養器具材料(例:シャーレ、バイアル)ない
し診断用器具(例:サンプルカップ、サンプルラック、
ロート、フィルター、ピペットなど)などに使用出来
る。 また本発明の抗凝血方法は、特に上記の機器・器
具を体内において使用する場合により高い効果を発揮せ
しめる。
【0011】以下に本発明を実施例によりさらに詳しく
説明するが、本発明の内容は実施例の範囲に限られるも
のではない。
【0012】
【実施例】
製造例1 ポリエーテルポリウレタンフィルム(武田薬品(株)
製、T-880、200ミクロン厚)をデシケータ中でオゾン発
生機(日本オゾン(株)製O-3-2型)を用いて得た12800
ppmの濃度のオゾンを含む空気雰囲気に20分暴露し
た。 このフィルムをアクリル酸の10%水溶液に浸漬
し減圧脱気後、1時間60℃に加温した。次いでフィル
ムを取り出し、水洗、乾燥し、ポリアクリル酸でグラフ
ト化したポリエーテルポリウレタンフィルムを得た。
ローダミン6Gを用いる比色定量によるポリアクリル酸
のグラフト量は、112μg/cm2であった。 得られ
たフィルムは、乾燥時には、未処理フィルムと区別がつ
かなかったが、水に入れるとよい水濡れ性を示した。
このフィルムの減衰全反射IRスペクトルにおいては、
3500~3200cm-1(水素結合性O−H伸縮振動)の吸収
および1694cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動による
吸収がみられた。
【0013】製造例2 製造例1で用いたと同じポリエーテルポリウレタンフィ
ルムを製造例1と同様にしてオゾンで処理し、得られた
フィルムをアクリル酸の10%水溶液に浸漬し、この反
応液にモール塩(硫酸第一鉄アンモニウム)を10-3
ル濃度になるように添加し、減圧脱気後、1時間60℃
に加温した。 フィルムを取り出し、水洗、乾燥してポ
リアクリル酸グラフト化ポリエーテルポリウレタンフィ
ルムを得た。 ローダミン6Gを用いる比色定量による
ポリアクリル酸のグラフト量は68μg/cm2であっ
た。
【0014】製造例3 材質がそれぞれポリエチレンおよびナイロンである外径
6mm、内径4mmのチューブ及び、材質がポリウレタ
ンである外径7mm、内径4mmのチューブ、ならびに
材質がそれぞれポリプロピレンおよびABS樹脂である
厚さ1mmのシートについて、製造例1と同様にしてア
クリル酸をグラフト重合し、それぞれ対応するポリアク
リル酸グラフト化ポリエチレン、ナイロンおよびポリウ
レタンのチューブ、ならびにポリプロピレンおよびAB
S樹脂のシートを得た。 チューブの内面と外面、また
シートの表裏両面ともいずれも一様に水で濡れ、グラフ
ト重合が確認された。これらチューブならびにシートを
カチオン性色素ローダミン6G、50mg/L水溶液に
浸漬し、12時間放置後純水で洗浄したところ、表層の
み濃い赤色に染色されたチューブおよびシートが得られ
た。
【0015】製造例4 ポリエーテルポリウレタンフィルム(武田薬品(株)
製、T-880、200ミクロン厚)をデシケータ中でオゾン発
生機(日本オゾン(株)製O-3-2型)を用いて得た12
800ppmの濃度のオゾンを含む空気雰囲気に20分暴
露した。このフィルムをアクリル酸の10%水溶液に浸
漬し減圧脱気後、1時間60℃に加温した。次いでフィ
ルムを取り出し、水洗、乾燥し、ポリアクリル酸でグラ
フト化したポリエーテルポリウレタンフィルムを得た。
ローダミン6Gを用いる比色定量によるポリアクリル酸
のグラフト量は112μg/cm2であった。このフィ
ルムの減衰全反射IRスペクトルでは、3500~3200cm
-1(水素結合性O−H伸縮振動)の吸収および1694cm
-1にカルボン酸のC=O伸縮振動による吸収がみられ
た。
【0016】ついでこのフィルムをヘパリンナトリウム
(10.000units/mL)のpH4.75の水溶液に24時間浸漬
し、ついで1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)を加え、pHを4.75
に調節しつつ、24時間撹拌した。フィルムを取り出
し、純水で洗浄し、さらに超音波洗浄後乾燥し、ヘパリ
ンの固定されたポリアクリル酸グラフト化ポリエーテル
ウレタンフィルムを得た。
【0017】このフィルム20cm2をトルイジンブル
ー(TB)の水溶液(0.2%の塩化ナトリウムを含む0.01
規定の塩酸にTBを0.005%濃度に溶かして調整した。)
2.5mLに小片に切って入れ、0.2%塩化ナトリウム水溶
液2.5mLを加え、30秒間ボルテックスミキサーで撹拌
後n-ヘキサン5mLを加えて30秒間激しく振とうし、水
層をエタノールで10倍に希釈し、得られた溶液の631n
mにおける吸光度を測定し、別に作製した検量線からヘ
パリンの固定量を求めたところ、0.326units/cm2
あった。
【0018】製造例5 製造例4で用いたと同じポリアクリル酸グラフト化ポリ
エーテルポリウレタンフィルム(ポリアクリル酸グラフ
ト量:112μg/cm2)(1.3cm x 1.3cmのも
の10枚および1.0cm x 1.0 cmのもの5枚)を20
mLの水に入れ、pHを4.75に調整しながら100mgのW
SCを加え、30分間撹拌し、フィルムをpH4.75のMES緩
衝液で洗浄し、このものをついで20,000units/mL濃
度のヘパリンを含むpH4.75のMES緩衝液中に入れ、室
温で24時間撹拌した。フィルムを取り出し、純水洗
浄、ついで超音波洗浄した後乾燥した。ヘパリン固定量
を製造例4におけると同様にしてトルイジンブルー法で
測定したところ、0.178units/cm2であった。
【0019】試験例1 (1)抗凝血性試験法 試料のフィルムを直径4mmの円筒状に巻き、下部を鉗
子で止めて円筒状とした中に生理食塩水200μLを入
れ、10分以上放置後中の液を完全に捨てる。 予めウサ
ギから採血し、抗凝血剤としてエチレンジアミン4酢酸
ナトリウム(EDTA・Na)を5mg/mL濃度で添加してお
いた血液に、用時に0.2M塩化カルシウム ブドウ糖
溶液を75μL/mL濃度で添加した後、上記の円筒状容
器に200μLずつ注入した。 37℃で15分間インキ
ュベートし、次いで4℃で2分間放置後5mLの冷水で
円筒状容器内部を洗浄して凝血塊を回収した。 全回収
液を3分間遠沈した後、上清を捨て、下層に37%ホル
マリンを3mL加えて15分間室温に放置し、凝血塊を
固定した。 凝血塊をろ紙で拭き、次いで60℃で5時
間乾燥した後、重量測定を行った。 各試料の凝血塊回
収量を表1−3に示した。 なお表1−3は、それぞれ
第1−3回目の試験結果である。 また、各回共、同一
サンプルにつき5回ずつ試験を繰り返し、その平均値を
求め評価した。試料として製造例1の高分子材料を、対
照として既知の親水性グラフト化ポリマー(A,B,
C,D)、疎水性ポリマー(E)、ヘパリン含浸親水性
共重合体(F)、原料のポリウレタン(G)を用いた。
【0020】(2)結果 表1[1回目試験結果] 試料 繰り返し回数と凝血塊回収量(mg) 平均値 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 (mg) 製造例1 0.3 4.8 6.9 4.3 9.2 5.1 対照A 2.8 11 8 28.4 17.4 20.6 16.2 対照B 15.2 23.3 30.8 28.1 27.2 24.9 対照E 11.9 22.5 18.0 22.1 22.0 19.3 対照F 0.3 3.4 5.9 3.7 5.9 3.8インキュヘ ゛ーション時間(分) 15 20 20 20 20 表2[2回目試験結果] 試料 繰り返し回数と凝血塊回収量(mg) 平均値 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 (mg) 製造例1 15.4 1.2 4.0 5.3 13.6 7.9 対照A 26.7 12.0 17.1 33.8 23.1 22.5 対照B 32.5 11.8 12.5 28.5 32.1 23.5 対照C 27.5 9.6 20.2 30.6 31.4 23.9 対照D 30.4 25.6 31.2 33.9 33.9 31.0インキュヘ ゛ーション時間(分) 20 15 15 15 15 表3[3回目試験結果] 試料 繰り返し回数と凝血塊回収量(mg) 平均値 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 (mg) 製造例1 0.4 1.6 0.7 1.2 2.6 1.3 対照G 6.0 27.0 23.1 15.7 24.3 19.2 対照E 7.0 20.3 16.0 22.3 18.0 16.7 対照F 0.3 1.9 2.5 2.0 1.7 1.6インキュヘ ゛ーション時間(分) 20 25 25 25 25 試験例2 製造例4および5の高分子材料と対照のポリマーを試験
例1に記載した抗凝血性試験法でテストした。 各試料
の凝血塊回収量を表4−5に示した。 なお表4−5
は、それぞれ第4−5回目の試験結果である。 また、
各回共、同一サンプルにつき複数回(4回ないし5回)
の繰り返し試験を行い、その平均値を求めて評価した。
【0021】(2)結果 表4[4回目試験結果] 試料 繰り返し回数と凝血塊回収量(mg) 平均値 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 (mg) 製造例4 15.2 20.7 14.3 20.5 21.5 18.4 対照G 35.4 30.3 32.6 34 4 30.2 32.6 対照F 17.9 16.0 17.7 17.6 18.9 17.6インキュヘ ゛ーション時間(分) 20 20 20 20 20 表5[5回目試験結果] 試料 繰り返し回数と凝血塊回収量(mg) 平均値 1回目 2回目 3回目 4回目 (mg) 製造例5 0.1 1.7 0.1 0.1 0.3 対照F 10.3 6.4 5.6 4.1 6.6インキュヘ ゛ーション時間(分) 20 25 30 35 注. 対照A:ポリ(2−グリコシル)エチルメタクリレート
グラフト化ポリエーテルウレタン;対照B:ポリ(2−
ヒドロキシエチル)メタクリレートグラフト化ポリエー
テルウレタン;対照C:ポリアクリルアミドグラフト化
ポリエーテルウレタン;対照D:ポリ{N−(1,1−
ジメチル−2−スルホ)エチル−アクリルアミド}グラ
フト化ポリエーテルウレタン;対照E:テフロンRシー
ト(ポリテトラフルオロエチレンシート);対照F:ア
ンスロンR(東レ(株));対照G:ポリエーテルポリウ
レタンT−880

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子材料にアクリル酸もしくはメタクリ
    ル酸をグラフト重合せしめた抗凝血性高分子材料に血液
    を接触させることを特徴とする抗凝血方法。
  2. 【請求項2】高分子材料にアクリル酸もしくはメタクリ
    ル酸をグラフト重合せしめてなる抗凝血性高分子材料。
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