JPH0618553U - コンクリート均し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一台でコンクリートの粗均し、レベル出し、
および定規ずりの各作業を行い、作業能率を向上し、か
つ施工コストを低減できるコンクリート均し装置の提供
を目的としている。 【構成】 走行車輪２を有する台車１と、走行車輪２の
後方側において水平方向に支持された回転軸Ｄに羽根本
体１８を固定した均し羽根１２と、回転軸Ｄを回転駆動
するエンジン４と、均し羽根１２の後方側において上下
動自在に支持されたタンパー板２５と、回転軸Ｄに固定
されたカム２８およびカム２８に従動してタンパー板２
５を駆動するリンク機構２６とからなる振動板駆動機構
２９と、を具備した構成となっている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、床コンクリート工事、路盤、あるいは各構造物の底盤工事などにお いてコンクリートの均し作業を行うためのコンクリート均し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、コンクリートを打設してスラブなどを形成する床コンクリート工事は、 コンクリートの打設、粗均し、レベル出し、および定規ずりの工程を順次行って いく。これら各作業は、それぞれ作業者の手作業に頼る部分が多く、それぞれの 工程毎に工具などを持った多くの作業者が現場に出て行われる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記のようなコンクリート工事の場合、以下のような問題が生 じていた。すなわち、前記工事は各作業がそれぞれ単独の別作業であって、前の 作業が完了後に次の作業に取り掛かることになり、作業能率が低下する原因とな っていた。また、コンクリートの粗均しは重作業であるほか、レベル出しと定規 ずりは作業者が中腰の姿勢で行わなければならず、作業性が悪いといった問題が あった。

【０００４】 一方、前記工事は各作業のそれぞれに熟練作業者が必要であって、完了までに 多種多数の熟練作業者が必要となり、近年、専門作業者の不足により人材の確保 が難しく、施工期間が延長されるほか、人件費が増大して施工コストが上昇する 原因にもなっていた。

【０００５】 これらの問題に対し、近年、この均し作業を自動的に行うコンクリート均し装 置が開発されてきている。しかし、いずれのコンクリート均し装置も、大型で重 いため機動性に欠け、また、装置の段取りや、その他の準備に時間を要するもの となっている。

【０００６】 本考案は、前述の課題に鑑みてなされたもので、一台でコンクリートの粗均し レベル出し、および定規ずり作業を行って、作業能率を向上させるとともに施工 コストを低減することができる、小型で機動性に富んだコンクリート均し装置を 提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案のコンクリート均し装置は、走行車輪を有する台車と、該台車に、前記 走行車輪の後方側において水平方向の軸線をもって回転自在に支持された軸体に 羽根本体を固定してなる均し羽根と、前記軸体を回転駆動する駆動源と、前記台 車に、前記均し羽根の後方側において上下動自在に支持された振動板と、前記軸 体に固定されたカムおよび該軸体の回転時に前記カムに従動して前記振動板を駆 動するリンク機構とからなる振動板駆動機構と、を具備してなることを特徴とし ている。

【０００８】

【作用】

本考案によれば、台車を走行させながら、駆動源により軸体を回転させて、羽 根本体を固定した均し羽根を回転させる。この時、振動板駆動機構において、軸 体に固定されたカムの回転にリンク機構が従動することにより、カムの変位量を 振動板に伝達して振動板を上下動させる。

【０００９】

【実施例】

以下本考案の一実施例を、図面を参照して説明する。 図１及び図２は、それぞれ、コンクリート均し装置を示したものである。図中 符号１は台車である。この台車１はその下部に左右一対の走行車輪２、２が装備 され、その上部にこの装置を操作する前方へ延びるＶ字状のハンドル３が装備さ れている。さらに、台車１にはその前部にエンジン４（駆動源）が搭載されてお り、このエンジン４により前記走行車輪２、２が水平方向の回転軸Ａ（図１）を もって駆動され、台車１が走行自在な構成とされている。また、このエンジン４ には前記走行車輪２、２の回転軸Ａ（図１）のほかに出力軸Ｂ（図１）が設けら れている。

【００１０】 走行車輪２，２の円周上には、フィン２ａ，２ａ，…が放射状に、走行車輪２ の半径方向に対して所定の角度傾けて設けられている。

【００１１】 また、図１に示したように、台車１には、後部に取り付け金具Ｃが設けられて いる。この取り付け金具Ｃには平面視コ字状の第１のフレーム部材５がピン支持 されている。この第１のフレーム部材５の前記走行車輪２、２の回転軸Ａと一致 する下端部６、６には、その後方に延びる平面視コ字状の第２のフレーム部材７ の脚８、８が回転軸Ａの延長線上でピン支持されている。この第２のフレーム部 材７の下側には、地面に接地されるソリ板９、９が固定されている。このソリ板 ９、９の内側には、後述する位置調整機構１０に上下動自在に支持されたブラケ ット１１、１１が設けられている。このブラケット１１、１１の間に、コンクリ ートを粗均しする均し羽根１２、１２が回転軸Ｄをもって支持されている。 この構成により、例えば、台車１の操作時にハンドル３を上下動しても、第２ のフレーム部材７は、打設したコンクリートの表面を滑走するソリ板９に支持さ れたレベルを保持することが可能である。

【００１２】 出力軸Ｂの駆動力は、この出力軸Ｂに設けた第１のギア１３と後方に配置した 第２のギア１４に無端状のチェーン１５を卷回させて、第２のギア１４の駆動力 がこの第２のギア１４にリンク結合した第１のギアボックス１６によってシャフ ト１７の軸方向での回転として伝達される。

【００１３】 図３は、前記均し羽根１２の回転駆動機構及び前記位置調整機構１０の詳細を 示したものである。 均し羽根１２は水平方向に回転軸Ｄを有し、この回転軸Ｄに対して放射状に羽 根本体１８，１８，…が固定されている。回転軸Ｄの中央には、前記シャフト１ ７の駆動力を回転軸Ｄの回転駆動力に変換する第２のギアボックス１９が設けら れている。このギアボックス１９に前記シャフト１７の先端部が回転自在に支持 されている。 また、ギアボックス１９内には、軸受け２０、２０を介して筒状の外軸２１が 回転自在に支持されている。この外軸２１にはカサ歯車２１ａが設けられ、この カサ歯車２１ａに、前記シャフト１７の先端部に設けたカサ歯車１７ａを介して シャフト１７の回転力が伝達されるようになっている。外軸２１内には回転軸Ｄ が配置されており、これら外軸２１と回転軸Ｄはスプライン結合されている。ま た、外軸２１は、球面軸受２２を介して回転軸Ｄと結合されている。 この構成を基に、シャフト１７の回転力が水平方向の回転軸Ｄに伝達されるよ うになっている。一方、回転軸Ｄは、この回転軸Ｄと前記球面軸受２２が接合さ れている位置を支点として、その両端部側が水平軸に対して上下方向にそれぞれ αだけ回動でき、回転軸Ｄが水平状態に保持されない場合にも均し羽根１２が水 平状態を維持して回転できるように構成されている。

【００１４】 位置調整機構１０はレベル調整モーター１０ａと、該レベル調整モーター１０ ａにより回転するピニオン１０ｂと、ラック１０ｃとから構成されている。この ラック１０ｃの下端には回転軸Ｄ及び前記ブラケット１１が支持されている。 また、図１に示したように、前記第２のフレーム部材７の後部上端には、レー ザー受光器２３が設けられている。 この構成において、レーザー受光器２３がレーザー発振器（図示せず）から発 振されたレーザー光の受光位置に基づいて、制御部本体（図示せず）が位置調整 機構１０のレベル調整モーター１０ａにより、ピニオン１０ｂを駆動させ、回転 軸Ｄ及びブラケット１１を上下動させる。この構成において、レーザー受光器２ ３及び制御部本体は制御部２４を構成している。

【００１５】 図１のように、前記ブラケット１１の後端にはコンクリートのレベル出し、定 規ずりを行うタンパー板（振動板）２５が上下動自在に支持されている。このタ ンパー板２５は、網目状のメッシュ材で形成されており、このタンパー板２５が 上下することにより、打設したコンクリート中に骨材を埋め込むことができる。 さらに、このタンパー板２５の後端には、ゴムシート２５ａが設けられており、 ゴムシート２５ａにより、コンクリートの表面を平滑に整えることができる。

【００１６】 リンク機構２６が、タンパー板２５の上面に取付けられたタンパーシャフト２ ７の上端に設けられている。このリンク機構２６のタンパー板側リンク２６ａの 一端がタンパーシャフト２７の上端Ｅでピン支持されて、回動自在に設けられて いる。また、タンパーシャフト２７には、バネ２７ａが設けられている。 タンパー板側リンク２６ａの他端にはカム側リンク２６ｂがピン結合されてい る。このカム側リンク２６ｂの先端には、カム用ローラ２６ｃが設けられている 。 一方、前記回転軸Ｄの両端部には、所定の変位量を有するカム２８が設けられ ている。このカム２８に、リンク機構２６のカム用ローラ２６ｃが当接されてい る。このリンク機構２６とカム２８とから構成されるタンパー板駆動機構２９に より、回転軸Ｄに固定されたカム２８の回転に伴い、カム２８に当接しているカ ム用ローラ２６ｃの移動変位を、前記リンク機構２６を介してタンパー板２５に 伝達し、タンパー板２５を上下動させる。

【００１７】 以下、本実施例のコンクリート均し装置による、床コンクリート工事の均し作 業について説明する。 まず、打設されたコンクリート中にコンクリート均し装置を配置する。次に、 第２のフレーム部材７に設けたレーザー受光器２３によりレーザー発振器（図示 せず）から発振されたレーザー光を受光する。受光された光の高さにしたがって 制御部２４により決定した方向に、位置調整機構１０のモーター１０ａを回転さ せ、ラック１０ｃを上下動させる。これにより、均し羽根１２およびタンパー板 ２５の上下位置を調整し、コンクリートの粗均し、レベル出し、および定規ずり の高さを決定する。

【００１８】 この状態でコンクリート均し装置をハンドル３で操作しながら適当な作業速度 で前方に走行させる。そして、均し羽根１２を回転軸Ｄをもって回転駆動させて 、打設されたコンクリートの粗均しを行う。粗均しの完了したコンクリート表面 は、均し羽根１２の回転軸Ｄと共に回転しているタンパー板駆動機構２９のカム ２８に当接しているカム用ローラ２６ｃの移動変位が、リンク機構２６によって タンパー板２５に伝達されてタンパー板２５を上下動させ、所定のレベルにレベ ル出しが行われる。さらに、タンパー板２５の後端に設けられたゴムシート２５ ａにより、コンクリート表面を平滑にする定規ずりが行われる。 このようにして、本考案のコンクリート均し装置による、打設したコンクリー トの均し作業が完了する。

【００１９】 以上、上述したように、本実施例のコンクリート均し装置によれば、台車１を 走行させながら、エンジン４により回転軸Ｄを回転させて、羽根本体１８を固定 した均し羽根１２を回転させることにより、打設したコンクリートを粗均しする ことができる。この時、振動板駆動機構２９において、回転軸１８に固定された カム２８の回転にリンク機構２６が従動することにより、カム２８の変位量をタ ンパー板２５に伝達してタンパー板２５を上下動させ、粗均ししたコンクリート のレベル出し、定規ずりをすることができる。 したがって、一台で、打設されたコンクリートの粗均し、レベル出し、定規ず りまでの工程を行なうことができる。このため、作業能率が向上し、しかも、小 人数で操作が可能なことから作業者を重作業から開放することができる。また、 それぞれの作業における熟練作業者を必要としないので、施工期間が短縮でき、 施工コストを低減することができる。 また、本実施例のコンクリート均し装置は、レーザー受光器２３と位置調整機 構１０とにより、自動的に、予め設定したレベルで、粗均しとレベル出し及び定 規ずりを連続して行なうことができるから、所定のレベルで一様に施工精度の高 い床を形成することができる。 さらに、本実施例のコンクリート均し装置は、エンジン４を備えた台車１に、 均し羽根１２とタンパー板２５とを設けた簡潔な構成としたので、電源コードな どもなく、ハンドル３を操作することにより、作業者が一人で操作することがで き、概ね、手押しタイプの耕運機程度の、小型，軽量で、機動性に優れたものと なっている。

【００２０】

【考案の効果】

本考案のコンクリート均し装置によれば、台車を走行させながら、駆動源によ り軸体を回転させて、羽根本体を固定した均し羽根を回転させることにより、打 設したコンクリートを粗均しすることができる。この時、振動板駆動機構におい て、軸体に固定されたカムの回転にリンク機構が従動することにより、カムの変 位量を振動板に伝達して振動板を上下動させ、粗均ししたコンクリートのレベル 出し、定規ずりをすることができる。したがって、一台でコンクリートの粗均し 、レベル出し、および定規ずり作業を行って、作業能率を大幅に向上させるとと もに施工コストを低減することができる。また、駆動源を備えた台車に、均し羽 根と振動板と振動板駆動機構とを設けた簡潔な構成としたので、小型，軽量で、 機動性に優れたものとなっている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の床コンクリート均し装置の一実施例を
示す側面図である。

【図２】同装置の平面図である。

【図３】同装置の均し羽根の回転駆動機構と位置調整機
構の詳細を示す要部正断面図である。

【符号の説明】

１ 台車 ２ 走行車輪 ４ エンジン（駆動源） １２ 均し羽根 １８ 羽根本体 ２５ タンパー板（振動板） ２６ リンク機構 ２８ カム ２９ 振動板駆動機構 Ｄ 軸線

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 床コンクリート工事、路盤、あるいは各
   種構造物の床盤工事においてコンクリートの均し作業を
   行うコンクリート均し装置であって、走行車輪を有する
   台車と、該台車に、前記走行車輪の後方側において水平
   方向の軸線をもって回転自在に支持された軸体に羽根本
   体を固定してなる均し羽根と、前記軸体を回転駆動する
   駆動源と、前記台車に、前記均し羽根の後方側において
   上下動自在に支持された振動板と、前記軸体に固定され
   たカムおよび該軸体の回転時に前記カムに従動して前記
   振動板を駆動するリンク機構とからなる振動板駆動機構
   と、を具備してなることを特徴とするコンクリート均し
   装置。