JPH06182529A - スライディングノズル孔自動洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スライディングノズル装置の摺動ノズル孔と
注入ノズル孔内を閉塞または付着状態にある凝固金属の
除去を自動的に行う洗浄装置を提供する。 【構成】 スライディングノズル内部を閉塞した凝固金
属を初期開孔するための酸素ランスとランスの消耗状況
に応じて供給するランス送り機構と、貫通後残りの除去
を行うための水冷式非消耗型吹管とそれによるガス洗浄
を行うための吹管を偏心させて旋回を行う揺動機構、吹
管を前後させる前後進機構、吹管をスライディングノズ
ル孔に位置合わせを行う横行機構を備えたスライディン
グノズル孔自動洗浄装置。 【効果】 従来人手によるものであった高熱下での危険
が無くなり、しかも省力化、高効率化が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は溶融金属用鍋の底に設置
されたスライディングノズル装置の摺動ノズル孔と注入
ノズル孔内を閉塞または付着状態にある凝固金属を除去
するための自動洗浄装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】現在、溶鋼を取り扱う取鍋に装着された
スライディングノズル装置は、鋳造終了後閉止した状態
にて鍋整備場に搬入され整備されるが、この時、溶鋼注
出孔内部は地金により完全に除去を行っていなければ、
次回の鋳造時に残存地金が原因で溶鋼が固化し詰まるこ
とによる不開孔が考えられる。このため、この作業は確
実性を必要とする重要なものである。そこで従来、地金
除去方法として、人手にて下ノズルより酸素ランスを挿
入しての洗浄作業を行っているが、これは高熱・悪環境
下にての危険な作業であるとともに自動化が望まれてい
る。しかし、この洗浄方法は常に地金にランス先端を接
触させ、赤熱させた状態にして溶削を行う微妙な技術を
要する必要があると同時に、ランスの消耗状況や地金の
位置に応じて頻繁に調整を行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、極め
て高熱・悪環境下にての危険な作業であるとともに自動
化が望まれているが、しかし作業の機械化は複雑な動作
を必要とするために困難であり、現在は自動化までに至
っていないの実状である。従って自動化を考える上で、
消耗するランスを用いて機械化することは常時ランスの
消耗状況を測定して、それに応じた動きをする必要があ
るため、これに変わる手段として非消耗型吹管の使用が
考えられる。しかし、非消耗型吹管のみにて洗浄を行っ
ても、閉塞状態にある対象物に対しては溶削炎の吹き戻
しにより吹管の溶損の危険がある。

【０００４】また、初期より貫通孔が存在する場合にお
いても、単純な回転運動では、付着金属が再凝固のため
完全除去が不可能であることに加え、単純な運動時に局
所加熱状態となり注入ノズル等の耐火物の劣化を招く。
本発明はこのような現状を鑑み、溶融金属用鍋の底に設
置されたスライディングノズル装置の摺動ノズル孔と注
入ノズル孔内を閉塞または付着状態にある凝固金属の除
去を自動にて行う洗浄装置の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
を有利に達成するために成したものであり、その発明の
要旨とするところは、溶融金属用鍋の底に設置されたス
ライディングノズル装置の板状の摺動ノズル並びに注入
ノズル使用後の金属が通過する孔の整備において、ノズ
ル内部を閉塞した凝固金属を初期開孔するための酸素ラ
ンスとランスの消耗状況に応じて供給するランス送り機
構と、貫通後、残りの除去を行うための水冷式非消耗型
吹管とそれによるガス洗浄を行うための吹管を偏心させ
て旋回を行う揺動機構、吹管を前後させる前後進機構、
吹管をスライディングノズル孔に位置合わせを行う横行
機構を備えたこと特徴とするスライディングノズル孔自
動洗浄装置にある。

【０００６】

【実施例】以下本発明を溶鋼取鍋整備作業での実施例に
基づき詳細に説明する。図１はスライディングノズル装
置の摺動ノズル並びに注入ノズル孔内に地金除去を行う
洗浄装置を示すものである。符号１は装置全体を作業位
置まで移動させる走行台車、２は走行用レール、３は対
象物との位置合わせ用横行装置、４は横行用モーター、
５は横行用ボールネジ、６は横行用ガイド、７は対象物
との上下方向の位置ずれを修正する昇降装置、８は昇降
用ガイド、９は昇降用モーター、１０は昇降体、１６は
吹管を先端に有し内部はガス配管を有するアーム、１１
は回転機構及び前後機構用軸受けを内蔵したアームホル
ダー、１２は洗浄時の揺動運動を行う回転用モーター、
１３は回転用プリー、１４はアームに駆動を伝えるベル
ト、１５はアームに取り付けられた回転体、１７はアー
ムに洗浄時の前後移動用直動モーター、１８はモーター
の前後運動を伝えるビーム、１９は吹管を保持する吹管
ベース、２０は吹管の揺動時の回転半径を変化させる偏
心量変更用ボルト、２１は吹管の向け角を変化させる偏
心角変更用モーター、２２は回転を直進運動に変えるス
クリュウナット、２３はこの運動を吹管に伝える接続
部、２４は偏心角調整軸、２５はガス洗浄を行う非消耗
型吹管、２６は初期開口時に使用する消耗タイプの酸素
ランス、２７は酸素ランス前後運動を行うランス用モー
ター、２８はモーターと共に回転し、ランスの前後運動
をサポートするランス供給用従属体である。

【０００７】図２は本洗浄装置の断面図である。２９は
装置全体の移動を行う走行用車輪、３０は走行を行うた
めのモーター、３１はモーターの回転を伝える駆動側歯
車、３２はモーターの駆動力を車輪に伝える車輪側歯
車、３３は車輪の回転を支える車輪用ホルダー、３４の
ウオームギャと３５ウオームホイルは昇降用モーター９
による駆動の回転方向を替え、３６の昇降用ボールネジ
により上下方向の昇降運動となる。３７はアームの回転
を行うための軸受、３８はアームの前後運動を行うため
のローラー、３９はカバー、４０は吹管固定部、４１は
吹管のガス配管である。

【０００８】図３は本発明に係る洗浄装置の上面図であ
る。また、図４は本発明に係る洗浄装置の走行機構の構
造図である。図５は同本発明に係る洗浄装置の横行機構
の構造図であり、図６は同本発明に係る洗浄装置の昇降
機構の構造図である。更には図７は同本発明に係る洗浄
装置の回転機構の構造図である。符号４２は車輪用シャ
フト、４３は３８のローラーをアームホルダーに取付け
るスペーサーであり、４４は取付け用ボルト、４５はナ
ットである。

【０００９】図８は本発明に係る洗浄装置の偏心機構図
であり、符号４６は２０の調整用ボルトにより４０を移
動させる際の偏心量変更用ガイドである。図９はランス
供給機構を示す図であり、符号４７はランスの前後運動
のため２８と鋏み、２７のモーターの回転を伝えるラン
ス供給用回転体、４８はランス用サポートである。図１
０は対象物であるスライディングノズル孔内の断面図で
ある。初期状態としては斜線で示すようにノズル内は地
金４９により閉塞されており、下ノズル５０の左方より
溶削を行う。符号５１は上ノズル、５２は上スライディ
ングプレート、５３は下スライディングプレートであ
る。図１１は非消耗型吹管による洗浄時の順序を示す。
スライディング孔５４の非消耗型吹管によって洗浄する
場合、先ず初期開口を行った後〜の順にて作業を行
う。

【００１０】次に本発明の作業方法を説明する。先ず作
業位置に走行台車１により、本装置を移動させる。走行
機構としては図３に示すように、３０のモーターの回転
を３１、３２の歯車により２９の車輪を回転させ、２の
レール上を走行する。そしてランスと作業対象物である
ノズル孔の上部（図１０）にセットするため、図１に示
しているように横方向の位置合わせを３の横行装置にて
行い、上下方向の位置合わせを７の昇降装置にて行う。
横行運動としては４のモーターにより５のボールネジを
回転させ、６のガイドに沿って移動する。また、昇降運
動に関しては、図２に示すように９のモーターの回転を
３４、３５のウオームギヤにより方向を替え、３６の昇
降用ボールネジを回転させることにより、８のガイドに
沿って昇降を行う。

【００１１】更に、図９に示すように２６のランスは２
７のランス用モーターの回転と４７、２８、４８によ
り、ランスをノズル内に挿入し、酸素を出しながら前進
させ、穿孔中はランスを地金に常に接触するように前進
させ、溶削し、初期開孔を行う。貫通後は酸素の供給を
止めた後、２７のモーターを逆転させることにより、ラ
ンスを後退させる。ランスによる初期開口後は３の横行
装置により、吹管を初期開口孔に合わせ、次に１７の直
動モーターにより前進させ、下ノズル先端に合わせる。
このとき、前後移動は１７の直動モーターの駆動を１８
にて１６のアームに伝え、３８のローラーに沿って行
う。吹管の位置合わせの後、予熱ガス及び切断酸素によ
り溶削を貫通孔より開始し、地金の再凝固および耐火物
の劣化を防ぐためにも図１０に示すような上部から下部
への図１１に示すような揺動運動を行う。

【００１２】この揺動運動は１２のモーターの回転を１
３のプーリーと１４のベルトにより、１６のアームに取
り付けられた１５の回転体に伝え行う。また、揺動運動
の際には、吹管の方向は作業前に２０の偏心量変更用ボ
ルトと２１の偏心角変更モーターにより、旋回半径及び
向け角を決定する。偏心量変更は２０のボルトにより４
６のガイドにより４０の吹管固定部の移動を行う。偏心
角変更は２１のモーターの回転を２２のスクリュウナッ
トにより前後移動２３の接続部を介して２４の偏心角調
整軸を回転させ４６の角度を変更させる。

【００１３】洗浄終了後は、ガスを止めアームを後退さ
せ、１の走行台車により初期位置に移動する。上記方法
にての洗浄時に吹管の方向を調整し、揺動運動を行うの
は吹管に揺動を行わせることにより、図４に示すように
正確に地金に溶削ガスを当てるとともに、溶削した地金
の再凝固を防ぎ、完全なる除去と注入ノズル等の耐火物
の劣化を防ぐためである。なお、この方法にて洗浄を実
施しても地金が残存する場合はアーム前進させノズル内
に挿入し吹管を地金に接近させて行う。

【００１４】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、溶
融金属用鍋の底に設置されたスライディング装置の揺動
ノズル孔と注入ノズル孔内を閉塞または付着状態にある
凝固金属の除去を自動にて行うことが可能であり、従来
人手によるものであった高熱下での危険が無くなり、し
かも省力化、高効率化が可能となる工業上極めて優れた
効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】スライディングノズル装置の洗浄装置の斜視
図、

【図２】洗浄装置の断面図、

【図３】本発明に係る洗浄装置の上面図、

【図４】本発明に係る洗浄装置の走行機構の構造図、

【図５】本発明に係る洗浄装置の横行機構の構造図、

【図６】本発明に係る洗浄装置の昇降機構の構造図、

【図７】本発明に係る洗浄装置の回転機構の構造図、

【図８】本発明に係る洗浄装置の偏心機構図、

【図９】ランス供給機構を示す図、

【図１０】対象物であるスライディングノズル孔内の断
面図、

【図１１】非消耗型吹管による洗浄時の順序を示す図で
ある。

【符号の説明】 １ 走行台車 ２ 走行用レール ３ 対象物との位置合わせ用横行装置 ４ 横行用モーター ５ 横行用ボールネジ ６ 横行用ガイド ７ 昇降装置 ８ 昇降用ガイド ９ 昇降用モーター １０ 昇降体 １１ アームホルダー １２ 回転用モーター １３ 回転用プリー １４ アームに駆動を伝えるベルト １５ 回転体 １６ アーム １７ 直動モーター １８ ビーム １９ 吹管ベース ２０ 偏心量変更用ボルト ２１ 偏心角変更用モーター ２２ スクリュウナット ２３ 接続部 ２４ 偏心角調整軸 ２５ ガス洗浄を行う非消耗型吹管 ２６ 消耗タイプの酸素ランス ２７ ランス用モーター ２８ ランス供給用従属体 ２９ 走行用車輪 ３０ 走行を行うためのモーター ３１ 駆動側歯車 ３２ 車輪側歯車 ３３ 車輪用ホルダー ３４ ウオームギャ ３５ ウオームホイル ３６ 昇降用ボールネジ ３７ アームの回転を行うための軸受 ３８ アームの前後運動を行うためのローラー ３９ カバー ４０ 吹管固定部 ４１ 吹管のガス配管 ４２ 車輪用シャフト ４３ スペーサー ４４ 取付け用ボルト ４５ ナット ４６ 偏心量変更用ガイド ４７ ランス供給用回転体 ４８ ランス用サポート ４９ 地金 ５０ 下ノズル ５１ 上ノズル ５２ 上スライディングノズル ５３ 下スライディングノズル ５４ スライディング孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 潮田 文之輔 東京都台東区台東４丁目29番５号 日本ス ピング株式会社内 (72)発明者 渡辺 祐次 東京都台東区台東４丁目29番５号 日本ス ピング株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶融金属用鍋の底に設置されたスライデ
   ィングノズル装置の板状の摺動ノズル並びに注入ノズル
   使用後の金属が通過する孔の整備において、ノズル内部
   を閉塞した凝固金属を初期開孔するための酸素ランスと
   ランスの消耗状況に応じて供給するランス送り機構と、
   貫通後、残りの除去を行うための水冷式非消耗型吹管と
   それによるガス洗浄を行うための吹管を偏心させて旋回
   を行う揺動機構、吹管を前後させる前後進機構、吹管を
   スライディングノズル孔に位置合わせを行う横行機構を
   備えたことを特徴とするスライディングノズル孔自動洗
   浄装置。