JPH06178386A - コーンスピーカ用振動板及びその製造方法 - Google Patents

コーンスピーカ用振動板及びその製造方法

Info

Publication number
JPH06178386A
JPH06178386A JP35061692A JP35061692A JPH06178386A JP H06178386 A JPH06178386 A JP H06178386A JP 35061692 A JP35061692 A JP 35061692A JP 35061692 A JP35061692 A JP 35061692A JP H06178386 A JPH06178386 A JP H06178386A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diaphragm
wood
thin
plate
shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35061692A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Wada
勉 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Onkyo Corp
Original Assignee
Onkyo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Onkyo Corp filed Critical Onkyo Corp
Priority to JP35061692A priority Critical patent/JPH06178386A/ja
Publication of JPH06178386A publication Critical patent/JPH06178386A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Diaphragms For Electromechanical Transducers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 木材薄板をプレス成形又は、木材ブロックを
切削加工することにより、外側・内側振動板15,16
が形成されている。 【効果】 木材繊維の化学変化や木材繊維に傷が付くこ
とによる音質劣化がないと共に、音色を生楽器の音色に
近づけることができ、しかも、外側・内側振動板15,
16の製造工程の短縮が可能で、廃液もでない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコーンスピーカ用振動板
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、コーンスピーカ用振動板の材料
は、軽量で、適度な内部損失及び高い剛性を有するもの
が好ましい。そのため、従来、内部損失及び比重の点
で、優れた特性を有する、クラフトパルプから成るクラ
フト紙が多用されている。ところで、クラフト紙から成
る振動板を製造する際には、まず、木材チップを化学薬
品により蒸解すると共に、叩解して、クラフトパルプと
し、このパルプを漉き上げたクラフト紙を、所定形状の
振動板にプレス成形していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上記従来
の振動板では、木材繊維が化学薬品により化学変化する
と共に、木材繊維に傷が付くため、音質の劣化があっ
た。又、従来の振動板では、音色を生楽器に近付けるこ
とができなかった。更に、従来の振動板はクラフト紙に
より形成されていたので、高級感に欠けるという問題も
あった。
【0004】又、従来においては、木材チップを化学薬
品により蒸解すると共に、叩解して、クラフトパルプと
し、このパルプを漉き上げたクラフト紙を、所定形状の
振動板にプレス成形するようにしていたため、振動板の
製造工程数が多いと共に、木材チップの蒸解時に化学薬
品を使用するため、廃液による公害の問題もあった。本
発明の目的は、上記問題点を解決できるコーンスピーカ
用振動板及びその製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のコーンスピーカ用振動板の特徴とするとこ
ろは、振動板形状に形成された木材薄板から成る点にあ
る。尚、木材薄板が複数とされて、これら木材薄板が振
動板の径方向に並設されることもある。又、木材薄板が
複数とされて、これら木材薄板が振動板中心軸方向に重
ね合わされ、接着されることもある。更に、隣接する木
材薄板の木目が交叉するようにされることもある。又、
複数の木材薄板の内、少なくとも一枚の木材薄板の材質
が、他の木材薄板の材質とは異なるものとされることも
ある。
【0006】更に、木材薄板が、木材薄板以外の材質の
コーンスピーカ用振動板に重ね合わされ、接着されるこ
ともある。又、本発明のコーンスピーカ用振動板の製造
方法の特徴とするところは、木材ブロックを薄くスライ
スして、平板状薄板を形成し、この平板状薄板を振動板
形状にプレス成形する点にある。尚、木材ブロックを薄
くスライスして、平板状薄板を形成し、この平板状薄板
を、振動板を平面展開した形状に切断し、この切断した
平板状薄板を振動板形状に成形して、周方向両端部を接
着することもある。
【0007】又、木材ブロックを薄くスライスして、平
板状薄板を形成し、この平板状薄板を、振動板を平面展
開した形状に類似する形状に切断し、この切断した平板
状薄板を、振動板に類似する形状に成形して、周方向両
端部を接着した後、これを振動板形状にプレス成形する
こともある。更に、平板状薄板が、プレス成形以前に、
高温度の蒸気、熱湯、又は、pH10以上のアルカリ溶
液でボイルされることもある。又、木材ブロックを、直
接、振動板形状の木材薄板に切削加工することもある。
更に、木材薄板が複数とされて、重ね合わされ、接着さ
れることもある。
【0008】
【作用】振動板を木材薄板により構成して、木材チップ
を化学薬品で蒸解しないので、木材繊維が化学変化しな
いと共に、木材繊維を叩解しないので、木材繊維に傷が
付くこともない。又、振動板を構成する木材薄板に使用
する木材の種類や、あるいは、木材薄板に使用する木材
の部分を選択することにより、音色調整が可能である。
更に、木材チップを化学薬品で蒸解したり、或いは、叩
解したりして、クラフトパルプを製造せず、直接、木材
薄板を製造して、この木材薄板により、振動板を製造す
るようにしているので、振動板の製造工程の短縮が可能
であると共に、木材チップを化学薬品で蒸解しないの
で、この蒸解による廃液はない。
【0009】
【実施例】以下、本発明の第1実施例を図1乃至図7の
図面に基づき説明する。図1及び図2はスピーカシステ
ムを示し、該システムは、エンクロージャー1と、円形
コーンスピーカ2とから成る。
【0010】図3及び図4に示すように、コーンスピー
カ2は、後方に突出する皿状とされ且つ中央部に開口4
を有するフレーム5と、フレーム5の後面に固着された
リング状の上部プレート6と、上部プレート6の後面に
固着されたリング状のマグネット7と、マグネット7の
後面に下部プレート8が固着され且つ中央ポールピース
部9と上部プレート6間で磁気空隙10が形成されるセ
ンターポール11と、磁気空隙10に挿入されるボイス
コイル12と、ボイスコイル12の内周に備えられるボ
イスコイルボビン13と、ボイスコイルボビン13の外
周に備えられるダンパー14及び円錐台形状とされた外
側振動板15と、外側振動板15の内周部に装着され且
つダストキャップとしての機能も果たす内側振動板16
と、外側振動板15の外周部に接着されたリング状のエ
ッジ17と、エッジ17の外周部に接着されたリング状
ガスケット18等から成る。
【0011】外側振動板15は、後端部の円筒状の筒状
部20と、前部側の円錐台形状の円錐台部21とから成
る。又、内側振動板16は、前方に突出するドーム形状
とされている。そして、本発明では、外側振動板15と
内側振動板16の少なくとも一方が木材薄板から成るも
のとされるが、実施例では、図5及び図6に示すよう
に、両振動板15,16が、さくら、なら、かえで、メ
イプル等の同一材質の木材薄板から成るものとされてい
る。尚、両振動板15,16が、異なる材質の木材薄板
から成るものとされることもある。
【0012】又、エッジ17は、アクリルコーティング
布、発泡ウレタン、ポリウレタン、エラストマー、ゴム
等の材料から形成されるもので、円錐台形状とされ且つ
外側振動板15の円錐台部の外周部に貼り合わされる内
周部側の円錐台部23と、上方に半円状に突出し且つ径
方向中途部に位置する半円部24と、前後方向に面状を
呈し且つ前面にガスケット18が固着される外周部側の
平坦部25とから成る。尚、エンクロージャー1の材質
は、外側・内側振動板15,16の材質と同一とされて
いる。
【0013】次に、外側・内側振動板15,16の製造
方法を、例えば、外側振動板15を例にとって説明す
る。尚、エッジ17の製造法も同時に説明する。外側振
動板15の製造方法には、プレス成形による製造方法
と、切削加工による製造方法との2種類があり、次に場
合に分けて説明する。
【0014】〔プレス成形法〕 木材ブロックを薄くスライスして、平板状薄板を製
造した後、平板状薄板を適当な大きさに切断する。 切断した平板状薄板を、ボイラーから得られた温度
180℃前後、圧力1気圧の蒸気中で、3分間位ボイル
するか、或いは、pH10以上、例えば、pH13、温
度60℃のカセイソーダ中で、30分間位ボイルする。 ボイルした平板状薄板を、常温にて、霧吹きによ
り、水を吹き付ける。 水を吹き付けた平板状薄板を、15秒間位、プレス
成形して、内外周縁を除く部分を、外側振動板15の形
状とする。この際には、図7に示すように、ニクロム線
27,28を内有する上・下金型29,30を用い、上
・下金型29,30を180℃位に加熱して、平板状薄
板31をプレス成形する。
【0015】 プレス成形された木材薄板の内外周縁
を、所定の大きさに切断して、外側振動板15の形状に
成形する。 切断された木材薄板の前面側をペーパーで研磨す
る。 耐湿性向上のため、木材薄板を、ウレタン系等のニ
ス内に、ディッピングするか、木材薄板にニスを塗布し
て、外側振動板15とする。 一方、エッジ17を構成する材料を、プレス金型に
より、所定形状にプレス成形した後、この成形物の内外
周縁を所定の大きさに切断して、エッジ17とする。 外側振動板15とエッジ17を貼付金型により接着
する。
【0016】〔切削加工法〕木材ブロックを、NC旋盤
等により、外側振動板15の形状に切削する。この際、
外側振動板15の厚みは薄いので、まず、木材ブロック
に、外側振動板15の片面形状を切削した後、外側振動
板15の上記片面と同一形状の固定面を有する治具を用
い、この治具の上記固定面に、木材ブロックの切削され
た面を接着等の方法により固定する。次に、木材ブロッ
クに、外側振動板15の他の片面形状を切削して、木材
ブロックを、外側振動板15の形状とされた木材薄板と
する。そして、切削が終了すると、木材薄板から治具を
取り外す。しかる後、上記プレス成形法の〜の工程
を行う。
【0017】上記のように構成した実施例によれば、外
側・内側振動板15,16を、クラフト紙ではなく、木
材薄板により構成しており、木材チップを化学薬品で蒸
解しないので、木材繊維が化学変化しないと共に、木材
繊維を叩解しないので、木材繊維に傷が付くこともな
く、木材繊維の化学変化や木材繊維に傷が付くことによ
る音質劣化がない。又、外側・内側振動板15,16を
構成する木材薄板に使用する木材の種類や、あるいは、
木材薄板に使用する木材の部分を選択することにより、
音色調整が可能で、音色を生楽器の音色に近づけること
ができる。
【0018】更に、外側・内側振動板15,16とし
て、本物の木材薄板を使用して、自然の木目を出してい
るので、高級感のある外観体裁とできる。又、木材チッ
プを化学薬品で蒸解したり、或いは、叩解したりして、
クラフトパルプを製造せず、直接、木材薄板を製造し
て、この木材薄板により、外側・内側振動板15,16
を製造するようにしているので、外側・内側振動板1
5,16の製造工程の短縮が可能であって、コストダウ
ンが可能であると共に、木材チップを化学薬品で蒸解し
ないので、蒸解時の廃液による公害発生の惧れもない。
【0019】次に、エンクロージャー1について考慮す
ると、エンクロージャー1は、高剛性化を徹底的に進め
て、全く共振させないことが理想的であるが、現実的に
は不可能である。又、音楽の大切な要素である音の減衰
レスポンスは、エンクロージャー1の材質により、まち
まちである。上記のように、エンクロージャー1自体
が、その材質による、固有の共鳴音を放射しているのが
現実であり、エンクロージャー1材が複合材(例えば、
パーチクルボードの表面に塩化ビニル樹脂を貼ったもの
等)の場合、表面材の影響も大きい。
【0020】一般のスピーカシステムを見てみると、振
動板は、クラフト紙、カーボン、ポリプロピレン、金属
等、多様であり、一方、エンクロージャーは、パーチク
ルボードの表面に塩化ビニル樹脂を貼ったものが一般的
である。上記のようなシステムでは、振動板の固有の音
色と、エンクロージャーの固有の音色とが相違してお
り、オーディオ再生上、有害である。然しながら、実施
例では、エンクロージャー1の材質を外側・内側振動板
15,16の材質と同一としているので、外側・内側振
動板15,16の固有の音色と、エンクロージャー1の
固有の音色が同一となり、オーディオ再生上、好まし
い。
【0021】尚、エンクロージャー1と外側・内側振動
板15,16の材質が相違する場合に、エンクロージャ
ー1の表面材として、外側・内側振動板15,16と同
一材質の木材薄板を貼り付けることも、オーディオ再生
上、好ましい。図8及び図9は本発明の第2実施例を示
すもので、外側振動板15の製造時に、木材から成る平
板状薄板を、外側振動板15を平面展開した形状、例え
ば、図9に示すような扇形体32に切断した後、図8に
示すように、上記扇形体32を、外側振動板15の形状
に成形して、周方向の対応する端部同士を、どちらか一
方又は双方に塗布した接着剤(アクリル系溶剤タイプ
等。以下、接着する場合には、上記タイプ等の接着剤を
使用する。)により接着する。次に、上記プレス成形法
のの工程により、外側振動板15とする。
【0022】図10は本発明の第3実施例を示すもの
で、第2実施例の変形例であって、木材から成る平板状
薄板を、外側振動板15を平面展開した形状に類似する
形状に切断した後、これを外側振動板15に類似する形
状に成形すると共に、接着して、コーン体35を形成し
た後、上記プレス成形法の〜の工程により、上記コ
ーン体35から外側振動板15を製造するのであり、こ
の製造時には、図10に示すようなニクロム線27,2
8を内有する上・下金型29,30を用いて、プレス成
形する。上記第3実施例によれば、プレス成形時に、平
板状薄板を使用せずに、外側振動板15に類似する形状
の木材薄板、即ち、コーン体35を使用しているので、
中心軸方向長さの長い外側振動板15、即ち、半頂角の
大きい外側振動板15や、複雑な形状の外側振動板15
の製造時に、割れ等が発生したりすることがなく、木材
ブロックを薄くスライスした平板状薄板を使用して、上
記のような外側振動板15を容易に製造できる。
【0023】図11及び図12は、本発明の第4実施例
を示すもので、外側振動板15が、その中央部側を構成
する木材薄板37と、外周部側を構成する木材薄板38
とから構成されて、中央部側の木材薄板37の外周部と
外周部側の木材薄板38の内周部とが、重ね合わされ、
接着されている。そして、中央部側の木材薄板37と外
周部側の木材薄板38の材質は異なるものとされてお
り、例えば、一方の密度が他方の密度よりも大とされて
いる。尚、木材薄板37,38は、プレス成形法、切削
加工法又は、第2実施例のようにして、夫々、製造され
るのであり、プレス成形法では、との工程の間で、
両木材薄板37,38の接着が行われ、又、切削加工法
では、木材薄板37,38を夫々切削した後に、両木材
薄板37,38の接着が行われ、更に、第2実施例のよ
うな製造方法の場合には、木材薄板37,38の成形
前、又は、成形後に、両木材薄板37,38の接着が行
われる。
【0024】上記のように構成した実施例によれば、通
常、周波数が高くなる程、外側振動板15は中央部しか
振動しないので、上記のように、外側振動板15を構成
すると、周波数が高くなる程、中央部側の木材薄板37
しか振動しないこととなり、従って、各木材薄板37,
38の材質を適宜選択して、各木材薄板37,38の音
響特性を異なるものとすることにより、周波数に対する
音圧、音色等を容易に良好にコントロールできる。
【0025】図13乃至図16は本発明の第5実施例を
示すもので、外側・内側振動板15,16が、夫々、上
下方向(外側・内側振動板15,16の中心軸方向)に
重ね合わされて接着される複数の木材薄板により構成さ
れている。図例では、外側・内側振動板15,16は、
上側木材薄板40,41と下側木材薄板42,43によ
り構成されると共に、上下に隣接する木材薄板40〜4
3の木目が直交状に交叉するようにされている。各木材
薄板40〜43の材質は、通常、同一とされるが、異な
るものとされることもある。又、外側・内側振動板1
5,16は、第4実施例と同様にして製造される。
【0026】上記のように構成した実施例によれば、外
側・内側振動板15,16を構成する木材薄板40〜4
3が、夫々、複数とされ、これら木材薄板40〜43が
重ね合わされて、接着されると共に、上下に隣接する木
材薄板40〜43の木目が直交状に交叉するようにされ
ているので、各木材薄板40〜43の反りが、上下に隣
接する木材薄板40〜43により抑制されることとな
り、外側・内側振動板15,16の反りを防止できる。
尚、第5実施例では、木材薄板40〜43を重ね合わす
ことにより、外側・内側振動板15,16を構成するよ
うにしたが、通常の材料、例えば、クラフト紙から構成
された振動板に、木材薄板を重ね合わせて、接着する場
合もある。
【0027】又、上記各実施例を適宜組み合わせること
もあり、例えば、第4実施例において、中央部側の木材
薄板と外周部側の木材薄板の木目が直交状に交叉するよ
うにすることもある。更に、実施例では、外側振動板に
エッジを含めなかったが、含める場合もある。尚、上記
各実施例は、本発明をコーンスピーカ用振動板に適用し
たものであるが、本発明は、ドーム(半球)形状のドー
ムスピーカ用振動板等にも適用可能である。次に、従来
例の外側振動板と本発明の第5実施例の外側振動板を使
用して、夫々、コーンスピーカを構成して、実験を行っ
た。尚、従来例の外側振動板は、未さらしクラフト紙に
より形成すると共に、エッジは、綿布により形成し、こ
の綿布に、フェノールを含浸すると共に、アクリルをコ
ーティングした。
【0028】又、外側振動板の内径を20mm、外径を
99mm、前後方向長さを26.5mm、筒状部の前後
方向長さを1mm、円錐台部の断面における曲率半径を
100mm、外側振動板の重さを4.0gとしている。
又、エッジの外径を130mm、半円部の内径を100
mm、外径を120mm、半円部の前後方向長さを5m
mとしている。又、本発明の第5実施例の外側振動板
は、なら材から成る木材薄板を2層構造としたもので、
その寸法と重さ及び、エッジの材質、寸法等は従来例と
同一とされている。
【0029】尚、コーンスピーカにおいて、外側振動板
以外の部品は全く同一とされている。図17の点線は、
従来例の音圧周波数特性についての実験結果を示し、実
線は、本発明の第5実施例の音圧周波数特性についての
実験結果を示す。従来例では、5KHz以上の周波数帯
域で、音圧周波数特性に、著しく大きいピーク及びディ
ップがあるが、本発明の第5実施例では、上記帯域での
音圧周波数特性が従来例よりも平坦化されている。
【0030】上記音圧周波数特性から、本発明の第5実
施例の外側振動板の内部損失(tanδ)は、従来例の
外側振動板に比べて、著しく大きいことが推測できる。
次に、従来例と本発明の第5実施例の外側振動板の内部
損失、ヤング率、密度、音速について計測した。下記の
表1が計測結果である。
【0031】
【表1】
【0032】表1を見れば、本発明の第5実施例の外側
振動板は、従来例の外側振動板に比較して、内部損失が
約1.27倍、ヤング率が約3.08倍、密度が約1.
45倍、音速が約1.46倍となる。即ち、本発明の第
5実施例では、従来例に比較して、内部損失が増加して
いるにもかかわらず、ヤング率も増加している点が、音
響振動板材料として優れている。又、従来例と本発明の
第5実施例とで、音質評価を行ったところ、本発明の第
5実施例の方が、人声と楽器音の分離及び、楽器音同士
の分離が良く、音の抜けが良好であると共に、奥行き方
向の再現性が良好であって、しかも、音の広がり感があ
り、更に、ノイズが少なかった。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
振動板を、クラフト紙ではなく、木材薄板により構成し
ており、木材チップを化学薬品で蒸解しないので、木材
繊維が化学変化しないと共に、木材繊維を叩解しないの
で、木材繊維に傷が付くこともなく、木材繊維の化学変
化や木材繊維に傷が付くことによる音質劣化がない。
又、振動板を構成する木材薄板に使用する木材の種類
や、あるいは、木材薄板に使用する木材の部分を選択す
ることにより、音色調整が可能で、音色を生楽器の音色
に近づけることができる。更に、振動板として、本物の
木材薄板を使用して、自然の木目を出しているので、高
級感のある外観体裁とできる。
【0034】又、木材繊維を化学薬品で蒸解したり、或
いは、叩解したりして、クラフトパルプを製造せず、直
接、木材薄板を製造して、この木材薄板により、振動板
を製造するようにしているので、振動板の製造工程の短
縮が可能であって、コストダウンが可能であると共に、
木材チップを化学薬品で蒸解しないので、蒸解時の廃液
による公害発生の惧れもない。更に、通常、周波数が高
くなる程、振動板は中央部しか振動しないので、請求項
2のように、振動板を、径方向に並設された複数の木材
薄板から構成すれば、周波数が高くなる程、中央部側の
木材薄板しか振動しないこととなり、各木材薄板の材質
を適宜選択して、各木材薄板の音響特性を異なるものと
することにより、周波数に対する音圧、音色等を容易に
良好にコントロールできる。
【0035】又、請求項3及び4のように、振動板を構
成する木材薄板が、複数とされ、これら木材薄板が振動
板中心軸方向に重ね合わされて、接着されると共に、振
動板中心軸方向に隣接する木材薄板の木目が直交状に交
叉するようにされると、各木材薄板の反りが、隣接する
木材薄板により抑制されることとなり、振動板の反りを
防止できる。更に、請求項6のように、木材薄板が、木
材薄板以外の材質のコーンスピーカ用振動板に重ね合わ
されて、接着されると、音質、音色、外観体裁等を改善
できる。又、請求項9によれば、プレス成形時に、平板
状薄板を使用せずに、振動板に類似する形状に成形した
木材薄板を使用しているので、中心軸方向長さの長い振
動板、即ち、半頂角の大きい振動板や形状が複雑な振動
板の製造時に、割れ等が発生したりすることがなく、上
記のような振動板でも、平板状薄板を使用して、容易に
製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のスピーカシステムの正面
図である。
【図2】本発明の第1実施例のスピーカシステムの断面
図である。
【図3】本発明の第1実施例のコーンスピーカの断面図
である。
【図4】本発明の第1実施例の振動板等の分解説明図で
ある。
【図5】本発明の第1実施例の外側振動板の斜視図であ
る。
【図6】本発明の第1実施例の内側振動板の斜視図であ
る。
【図7】本発明の第1実施例のプレス金型等の断面図で
ある。
【図8】本発明の第2実施例の外側振動板の斜視図であ
る。
【図9】本発明の第2実施例の扇形体の平面図である。
【図10】本発明の第3実施例のプレス金型等の断面図
である。
【図11】本発明の第4実施例の外側振動板の斜視図で
ある。
【図12】本発明の第4実施例の外側振動板の製造方法
を説明する説明図である。
【図13】本発明の第5実施例の外側振動板の断面図で
ある。
【図14】本発明の第5実施例の内側振動板の断面図で
ある。
【図15】本発明の第5実施例の外側振動板の製造方法
を説明する説明図である。
【図16】本発明の第5実施例の内側振動板の製造方法
を説明する説明図である。
【図17】従来例及び本発明の第5実施例の音圧周波数
特性についての実験結果を示すグラフである。
【符号】
1…エンクロージャー、2…円形コーンスピーカ、1
5,16…外側・内側振動板、17…エッジ、29,3
0…上・下金型、32…扇形体、35…コーン体、3
7,38,40〜43…木材薄板。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】振動板形状に形成された木材薄板から成る
    ことを特徴とするコーンスピーカ用振動板。
  2. 【請求項2】木材薄板が複数とされて、これら木材薄板
    が振動板の径方向に並設された請求項1記載のコーンス
    ピーカ用振動板。
  3. 【請求項3】木材薄板が複数とされて、これら木材薄板
    が振動板中心軸方向に重ね合わされ、接着された請求項
    1記載のコーンスピーカ用振動板。
  4. 【請求項4】隣接する木材薄板の木目が交叉するように
    された請求項2又は3記載のコーンスピーカ用振動板。
  5. 【請求項5】複数の木材薄板の内、少なくとも一枚の木
    材薄板の材質が、他の木材薄板の材質とは異なるものと
    された請求項2〜4の何れかに記載のコーンスピーカ用
    振動板。
  6. 【請求項6】木材薄板が、木材薄板以外の材質のコーン
    スピーカ用振動板に重ね合わされ、接着されたことを特
    徴とするコーンスピーカ用振動板。
  7. 【請求項7】木材ブロックを薄くスライスして、平板状
    薄板を形成し、この平板状薄板を振動板形状にプレス成
    形することを特徴とするコーンスピーカ用振動板の製造
    方法。
  8. 【請求項8】木材ブロックを薄くスライスして、平板状
    薄板を形成し、この平板状薄板を、振動板を平面展開し
    た形状に切断し、この切断した平板状薄板を振動板形状
    に成形して、周方向両端部を接着したことを特徴とする
    コーンスピーカ用振動板の製造方法。
  9. 【請求項9】木材ブロックを薄くスライスして、平板状
    薄板を形成し、この平板状薄板を、振動板を平面展開し
    た形状に類似する形状に切断し、この切断した平板状薄
    板を、振動板に類似する形状に成形して、周方向両端部
    を接着した後、これを振動板形状にプレス成形すること
    を特徴とするコーンスピーカ用振動板の製造方法。
  10. 【請求項10】平板状薄板が、プレス成形以前に、高温
    度の蒸気、熱湯、又は、pH10以上のアルカリ溶液で
    ボイルされる請求項7又は9記載のコーンスピーカ用振
    動板の製造方法。
  11. 【請求項11】木材ブロックを、直接、振動板形状の木
    材薄板に切削加工することを特徴とするコーンスピーカ
    用振動板の製造方法。
  12. 【請求項12】木材薄板が複数とされて、重ね合わさ
    れ、接着される請求項7〜11の何れかに記載のコーン
    スピーカ用振動板の製造方法。
JP35061692A 1992-12-04 1992-12-04 コーンスピーカ用振動板及びその製造方法 Pending JPH06178386A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35061692A JPH06178386A (ja) 1992-12-04 1992-12-04 コーンスピーカ用振動板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35061692A JPH06178386A (ja) 1992-12-04 1992-12-04 コーンスピーカ用振動板及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06178386A true JPH06178386A (ja) 1994-06-24

Family

ID=18411681

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35061692A Pending JPH06178386A (ja) 1992-12-04 1992-12-04 コーンスピーカ用振動板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06178386A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997037513A1 (en) * 1996-04-02 1997-10-09 Paolo Agostinelli Device for electroacoustic diffusion, with diaphragms, spiders and horns of balsa wood or mixtures thereof
EP1450580A3 (en) * 2003-02-19 2007-05-30 Victor Company Of Japan, Limited Speaker diaphragms, manufacturing methods of the same, and dynamic speakers
JP2007221763A (ja) * 2006-01-17 2007-08-30 Victor Co Of Japan Ltd 電気音響変換器
JP2007221762A (ja) * 2006-01-17 2007-08-30 Victor Co Of Japan Ltd 電気音響変換器用振動板
JP2008017132A (ja) * 2006-07-05 2008-01-24 Yamaha Corp スピーカー用振動板及びスピーカー用振動板の製造方法
JP2008085842A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Victor Co Of Japan Ltd 電気音響変換器用振動板の製造方法
JP2011091876A (ja) * 2007-08-10 2011-05-06 Victor Co Of Japan Ltd スピーカ
WO2013118384A1 (ja) * 2012-02-08 2013-08-15 国立大学法人九州工業大学 スピーカ装置
JP2015077740A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 ヤマハ株式会社 複合材料及び複合材料製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01288100A (ja) * 1988-05-13 1989-11-20 Kato Yoshiyuki スピーカ用コーン及び同コーンを備えたスピーカ
JPH04129701A (ja) * 1990-09-20 1992-04-30 Nippon Plast Co Ltd 木材薄板の成形型及び成形方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01288100A (ja) * 1988-05-13 1989-11-20 Kato Yoshiyuki スピーカ用コーン及び同コーンを備えたスピーカ
JPH04129701A (ja) * 1990-09-20 1992-04-30 Nippon Plast Co Ltd 木材薄板の成形型及び成形方法

Cited By (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997037513A1 (en) * 1996-04-02 1997-10-09 Paolo Agostinelli Device for electroacoustic diffusion, with diaphragms, spiders and horns of balsa wood or mixtures thereof
EP1450580A3 (en) * 2003-02-19 2007-05-30 Victor Company Of Japan, Limited Speaker diaphragms, manufacturing methods of the same, and dynamic speakers
US7467686B2 (en) 2003-02-19 2008-12-23 Victor Company Of Japan, Limited Speaker diaphragms, manufacturing methods of the same, and dynamic speakers
US7677355B2 (en) 2003-02-19 2010-03-16 Victor Company Of Japan, Limited Speaker diaphragms, manufacturing methods of the same, and dynamic speakers
JP2007221763A (ja) * 2006-01-17 2007-08-30 Victor Co Of Japan Ltd 電気音響変換器
JP2007221762A (ja) * 2006-01-17 2007-08-30 Victor Co Of Japan Ltd 電気音響変換器用振動板
JP2008017132A (ja) * 2006-07-05 2008-01-24 Yamaha Corp スピーカー用振動板及びスピーカー用振動板の製造方法
US7775319B2 (en) 2006-07-05 2010-08-17 Yamaha Corporation Diaphragm for speaker and manufacturing method therefor
JP2008085842A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Victor Co Of Japan Ltd 電気音響変換器用振動板の製造方法
JP2011091875A (ja) * 2007-08-10 2011-05-06 Victor Co Of Japan Ltd スピーカ
JP2011120273A (ja) * 2007-08-10 2011-06-16 Victor Co Of Japan Ltd 音響振動板
JP2011091871A (ja) * 2007-08-10 2011-05-06 Victor Co Of Japan Ltd 音響振動板
JP2011091876A (ja) * 2007-08-10 2011-05-06 Victor Co Of Japan Ltd スピーカ
JP2011091872A (ja) * 2007-08-10 2011-05-06 Victor Co Of Japan Ltd 音響振動板
JP2011091874A (ja) * 2007-08-10 2011-05-06 Victor Co Of Japan Ltd スピーカ
JP2011120271A (ja) * 2007-08-10 2011-06-16 Victor Co Of Japan Ltd 音響振動板
JP2011120276A (ja) * 2007-08-10 2011-06-16 Victor Co Of Japan Ltd スピーカ
JP2011120272A (ja) * 2007-08-10 2011-06-16 Victor Co Of Japan Ltd 音響振動板
JP2011091873A (ja) * 2007-08-10 2011-05-06 Victor Co Of Japan Ltd 音響振動板
JP2011120278A (ja) * 2007-08-10 2011-06-16 Victor Co Of Japan Ltd スピーカ
JP2011120275A (ja) * 2007-08-10 2011-06-16 Victor Co Of Japan Ltd スピーカ
JP2011120277A (ja) * 2007-08-10 2011-06-16 Victor Co Of Japan Ltd スピーカ
JP2011120274A (ja) * 2007-08-10 2011-06-16 Victor Co Of Japan Ltd 音響振動板
WO2013118384A1 (ja) * 2012-02-08 2013-08-15 国立大学法人九州工業大学 スピーカ装置
JP2013162490A (ja) * 2012-02-08 2013-08-19 Kyushu Institute Of Technology スピーカ装置
US9369789B2 (en) 2012-02-08 2016-06-14 Kyushu Institute Of Technology Speaker device
JP2015077740A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 ヤマハ株式会社 複合材料及び複合材料製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7677355B2 (en) Speaker diaphragms, manufacturing methods of the same, and dynamic speakers
US3834486A (en) Vibration diaphragm and cone edge of a loudspeaker
US4699242A (en) Magnetic speaker
EP1176582B1 (en) Multilayer drumhead
JPH06178386A (ja) コーンスピーカ用振動板及びその製造方法
CN101282593B (zh) 扬声器振动膜及动态扬声器
JP3882762B2 (ja) スピーカ用振動板
JPH10304492A (ja) スピーカ用振動板
JP3876907B2 (ja) スピーカ用振動板の製造方法
JP2690104B2 (ja) スピーカ用コーン及び同コーンを備えたスピーカ
JP3882766B2 (ja) スピーカ用振動板の製造方法
JP3882767B2 (ja) スピーカ用振動板の製造方法
JP2000059883A (ja) スピーカ用振動板
JPS6349991Y2 (ja)
US5907133A (en) Device for electroacoostic diffusion, with diaphragms, spiders and horns of balsa wood or mixtures thereof
JP3882769B2 (ja) ダイナミック・スピーカ
JP3942056B2 (ja) 電気音響変換器用振動板の製造方法
JPH08263052A (ja) ピアノの響板およびその製造方法
JP2005168051A (ja) スピーカ
JPH07322390A (ja) 電気音響変換器用振動板およびその製造方法
JPS6246221Y2 (ja)
US1763050A (en) Loud-speaker
JPH05244686A (ja) 電気音響変換器
JPS58174000A (ja) スピ−カ用振動板
KR20170005960A (ko) 기타용 점착 스티커