JPH0616031A - ヒートポンプ式エアコンシステム - Google Patents

ヒートポンプ式エアコンシステム

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JPH0616031A
JPH0616031A JP17556592A JP17556592A JPH0616031A JP H0616031 A JPH0616031 A JP H0616031A JP 17556592 A JP17556592 A JP 17556592A JP 17556592 A JP17556592 A JP 17556592A JP H0616031 A JPH0616031 A JP H0616031A
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JP
Japan
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heat
refrigerant
compressor
temperature
condenser
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JP17556592A
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English (en)
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Hirohito Matsui
啓仁 松井
Jiro Takagi
二郎 高木
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Soken Inc
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Nippon Soken Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気自動車用のヒートポンプ式エアコンシス
テムの立ち上げを早めて迅速に車室内の温度を上昇さ
せ、蓄電池の負担も軽減する。 【構成】 基本的な冷凍回路はコンプレッサ1、コンデ
ンサ2、膨張弁3、及びエバポレータ4によって構成さ
れる。本発明の特徴として、コンプレッサ1の冷媒入口
側の電磁弁7とコンデンサ2の冷媒出口側の電磁弁8と
を設けて、コンプレッサ1の駆動停止時にそれらを閉弁
させ、それらの間の冷媒通路に加圧された冷媒を封じ込
んで、直ちに定常運転再開を可能にする。封じ込めた冷
媒の圧力低下を防止するために、通風ダクト6の入口6
a及び出口6bをダンパ11及び12によって閉じ、熱
交換器9に蓄熱器13からの熱流体を供給して通風ダク
ト6内を加熱し、冷媒通路を覆う保温器10にも熱流体
を供給して冷媒を保温する。蓄熱器13による熱の追加
供給は定常運転中にも行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気自動車用のヒート
ポンプ式エアコンシステムに係り、特に寒冷地において
使用するのに適したこの種のエアコンシステムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】大気汚染、或いは地球温暖化防止のため
に、内燃機関を搭載した自動車に代わるものとして、蓄
電池と電動機を搭載した電気自動車が再検討されてい
る。自動車におけるエアコン、特に暖房用の熱は、内燃
機関を搭載した自動車であれば内燃機関の廃熱を利用し
て簡単に得られるけれども、電気自動車において前記内
燃機関の廃熱に代わるものとして考えられる電動機の発
熱は、暖房用としては熱量が不足であって、それだけで
は十分に暖房を行うことができないから、電気自動車に
おいては冷凍回路を備えた所謂ヒートポンプ式のエアコ
ンを使用し、蓄電池に蓄えられた電力によってヒートポ
ンプ式エアコンのコンプレッサを駆動して、外気の熱を
凝縮して車室内に取り込む方式が一般に採用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電気自
動車用のヒートポンプ式エアコンが外気温度の低い寒冷
地において使用される場合、エアコンの起動時に車室内
やエアコンの冷凍回路を構成する各部分が冷えきってい
ると暖房負荷が大きい上に、ヒートポンプ式エアコンの
常として、立ち上げにかなり長い時間を要し、更に外気
温度が低いために効率(成績係数)が低下して、外気温
度が高い時よりも暖房能力が小さくなるという欠点があ
るため、かなり大量の電力を消費するのに反して迅速に
車室内の温度を目的の値まで上昇させることができな
い。
【0004】しかも、電気自動車の場合は、ヒートポン
プ式エアコンのコンプレッサを駆動する電動機の電源と
して、走行用の電動機のための蓄電池を共通に利用する
ことになるが、蓄電池の重量の増加をできるだけ避けた
いという電気自動車における一般的な要請や、蓄電池を
収容する車体の容積の制約等から、蓄電池の電気的容量
を増加させることには自ずから限界があるため、その蓄
電池の電気的容量の何分の一かがヒートポンプ式エアコ
ンのコンプレッサの駆動用に充てられる場合には、電気
自動車の走行距離がそれに応じた分だけ短くなるし、重
量の増加によって加速性能等も悪くなるので、1回の充
電による航続距離の短いことや、加速性能の低いことが
問題になる蓄電池式の電気自動車においては、ヒートポ
ンプ式エアコンの電力消費量の多寡は無視することがで
きない問題である。
【0005】このように、ヒートポンプ式のエアコンを
電気自動車に搭載する場合には多少の問題を伴うが、そ
れでもなおヒートポンプ式のエアコンは、蓄電池に蓄え
た電力から電気抵抗体によってジュール熱を発生させる
場合と比較するとやはり効率が高く、また冷凍回路にお
ける冷媒の流動方向を逆方向に切り換えると、そのまま
冷房装置としても使用することができるという大きな特
長を有するため、一般的に電気自動車においてはヒート
ポンプ式のエアコンを使用するのが得策とされている。
【0006】そこで、本発明の目的の一つは、蓄電池を
搭載した電気自動車に使用されるヒートポンプ式のエア
コンシステムの立ち上げに要する時間をできるだけ短縮
することである。そして本発明の他の目的は、電気自動
車の車室内の温度を短時間内に目的の温度まで迅速に上
昇させることができるようにすることであり、更に他の
目的は、エアコンによる蓄電池の電力の消費量を減少さ
せることによって、搭載される蓄電池の電気的容量、重
量、及び体積を減少させることであり、ひいては電気自
動車の航続距離を従来のものに比して増大させ、或いは
加速性能を従来よりも向上させることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の目的を
達成するための手段として、冷凍回路のコンプレッサを
停止するときに前記コンプレッサからコンデンサまでの
冷媒通路の特定区間を前記冷凍回路の他の部分に対して
遮断することができるように、前記コンプレッサの冷媒
入口側及び前記コンデンサの冷媒出口側に設けられた一
対の弁と、前記コンデンサによって加熱される空気を導
く通風ダクトにおいて前記コンデンサの上流側に設けら
れる熱交換器と、前記通風ダクトの入口側及び出口側に
設けられて、選択的にそれらを閉じることにより前記通
風ダクトを空気が循環する小さな閉回路とすることがで
きる一対のダンパと、前記コンプレッサを含めて前記一
対の弁の間の前記冷媒通路を覆うように形成された保温
器と、少なくとも前記熱交換器又は前記保温器の一方へ
供給するための熱を蓄えることができる蓄熱器とを備え
ていることを特徴とする、電気自動車用のヒートポンプ
式エアコンシステムを提供する。
【0008】
【作用】ヒートポンプ式エアコンシステムのコンプレッ
サの運転を停止する際に、同時にコンプレッサの冷媒入
口側及びコンデンサの冷媒出口側に設けられた一対の弁
を閉弁させると、コンプレッサからコンデンサまでの冷
媒通路の特定区間は冷凍回路の他の部分から遮断され
て、コンプレッサの運転中に加圧された高温、高圧の冷
媒がこの区間内に封じ込められる。そこで通風ダクトの
入口側及び出口側に設けられた一対のダンパを閉じて、
通風ダクト内を空気が循環する小さな閉回路とすると共
に、コンデンサの上流側に設けられた熱交換器へ蓄熱器
から熱を供給して通風ダクト内の空気を加熱することに
よって、コンデンサの温度が低下しないように保温す
る。他方、コンプレッサを含めて一対の弁の間の冷媒通
路を覆うように形成された保温器にも蓄熱器から熱を供
給して、これらの部分にある冷媒の温度低下も防止す
る。このように操作することによって、コンプレッサ停
止中における一対の弁の間の冷媒通路には、コンプレッ
サを運転していた時の高温、高圧の冷媒が常時保持され
る。
【0009】次に、ヒートポンプ式エアコンシステムの
暖房運転を再開するためにコンプレッサの駆動を開始す
るとき、冷媒通路の特定区間の前後を閉じていた一対の
弁を開いて冷凍回路を開通させる。また、通風ダクトの
入口及び出口を閉じていたダンパも開いて通風ダクトを
車室内に連通させるので、通風ダクト内には加熱すべき
空気が流入する。その結果、冷媒通路の特定区間内に保
持されていた高温、高圧の冷媒が、直ちにコンデンサに
おいて通風ダクト内の空気を加熱するようになり、ヒー
トポンプ式エアコンシステムの欠点である立ち上げのた
めの長い待ち時間なしに、当初から加熱された空気が車
室内に流入して気温を上昇させる。
【0010】このようにして迅速に定常運転に入って後
も、車室内が冷えきっていた場合とか、外気温があまり
に低くてヒートポンプ式エアコンシステムだけでは車室
内の気温の上昇が遅いときには、通風ダクト内の熱交換
器に蓄熱器からの熱が引き続いて供給されて車室内の気
温の上昇を助ける。また、場合によっては、通常の運転
状態においても蓄熱器からの熱の供給を継続し、その分
だけコンプレッサの仕事量を減少させて、コンプレッサ
を駆動する蓄電池の電力消費を軽減することもできる。
その場合は蓄電池の負担の軽減によって電気自動車の航
続距離を伸ばすことが可能になる。
【0011】
【実施例】図2に、従来技術におけるヒートポンプ式エ
アコンの基本的構成を模式図として示す。1は吸入され
る低温、低圧のガス状の冷媒を圧縮して高温、高圧のガ
ス状冷媒とするコンプレッサ、2は圧縮された高温、高
圧のガス状冷媒を冷却し、凝縮液化させて、その際に発
生する凝縮熱を取り出し、その熱を車室内の空気に与え
て温度上昇させるコンデンサ、3は冷凍回路内に圧力段
落を形成するために液状の冷媒を細い通路から噴出して
霧化させる膨張弁、4は膨張弁3から噴射された気液混
合状態の冷媒を外気と熱交換させてガス状となるまで膨
張させ、その際に気化熱として冷媒に外気の熱を吸収さ
せるエバポレータ4をそれぞれ示している。ヒートポン
プ式エアコンの冷凍回路は、これらの各部分の機器と、
それらを接続して所定の方向にガス状又は液状の冷媒を
流動させる一連の管路によって構成されている。
【0012】コンデンサ2は電動機によって回転駆動さ
れる通風用のファン5と直列に通風ダクト6の中に設置
されている。図2において矢印で示すように、通風ダク
ト6はファン5によって入口6aから車室内の空気を吸
入し、或いはその際に、外部から新たな空気を取り入れ
てコンデンサ2に送り込み、コンデンサ2において、コ
ンプレッサ1によって圧縮された高温、高圧のガス状冷
媒と熱交換(この場合は冷媒を冷却)させることによっ
て、空気に冷媒の凝縮熱を吸収させて温度を上昇させ、
高温となった空気を出口6bから車室内へ送り込んで、
車室内の温度を上昇させる。
【0013】寒冷地等においてヒートポンプ式エアコン
が使用されるとき、ヒートポンプ式エアコンの起動時に
その冷凍回路を構成する各部分の機器や冷媒が冷えきっ
ていると、コンプレッサ1を駆動しても当初はコンデン
サ2に高温、高圧の冷媒を供給することができず、正常
な暖房運転状態に入るまでの立ち上げにかなり長い時間
を要するし、また正常な暖房運転状態に入っても、外気
の温度が低い場合にはエバポレータ4において冷媒によ
って吸収し得る熱量が少ないために、外気温度が比較的
高い場合に比して、コンプレッサ1の駆動のために同じ
電力を消費している場合でも、コンデンサ2において車
室内の空気へ取り込む熱量が比較的少なくなり、その結
果、十分な暖房能力を発揮することができないというの
がヒートポンプ式エアコンの通例である。
【0014】そこで、これらの問題を解決し得る本発明
の一つの実施例を図1に示す。本発明の実施例において
も、基本的な冷凍回路の構成部分については、図2に示
した従来のものと同じ参照符号をもって示している。こ
の実施例の特徴の一つとして、エバポレータ4とコンプ
レッサ1との間には冷媒通路を開閉することができる電
磁弁7が設けられると共に、コンデンサ2と膨張弁3と
の間にも冷媒通路を開閉することができる電磁弁8が設
けられる。それによって、夜間に電気自動車を駐車する
ときはもとより、車室内の温度が所定の値に達したとき
に一時的にコンプレッサ1の運転を停止するような場合
でも、電磁弁7及び8を同時に閉弁させることによって
冷凍回路が遮断され、電磁弁7及び8の間のコンプレッ
サ1及びコンデンサ2を含む冷媒通路が冷凍回路の他の
部分に対して切り離されて、その中にコンプレッサ1に
よって圧縮された高圧の冷媒を封じ込めることができ
る。
【0015】コンデンサ2内に封じ込められた冷媒を保
温することによってその高い圧力を維持させるために、
或いはコンデンサ2を介して追加的に車室内の空気に熱
を与えて暖房能力を補う等の目的で、通風ダクト6内に
おいてコンデンサ2に流入する空気の上流側に熱交換器
9が設けられる。通風ダクト6が閉回路になっていると
きは、この熱交換器9に後述の蓄熱器からの高温の熱流
体を供給して空気に熱を与えることにより、間接的にコ
ンデンサ2内にある圧縮された冷媒の温度を比較的高く
維持(保温)することができる。なお、通風ダクト6
は、断熱性のある合成樹脂製とするとか、断熱材を用い
て被覆する等によって断熱性を与えることが望ましい。
【0016】熱交換器9を設けてコンデンサ2を間接的
に加熱するのに加えて、更に電磁弁7から電磁弁8に到
る冷媒通路及びそれらの間にあるコンプレッサ1の外部
に、それら全体を覆う断熱材等からなるカバー状の保温
器10を設け、内部に形成される隙間にも後述の蓄熱器
からの高温の熱流体を供給して、この区間に封じ込めら
れる高温、高圧の冷媒を熱流体によって直接に加熱・保
温する。
【0017】コンプレッサ1の駆動を停止し、電磁弁7
及び8を閉弁させて、保温器10によって電磁弁7及び
8の間に封じ込められた冷媒を保温しているときは、熱
交換器9によるコンデンサ2の保温を効果的にするため
に、通風ダクト6も車室内から切り離して小さな閉回路
を構成させるのが有利である。その意味で、図示実施例
では、通風ダクト6の車室内に通じている入口及び出口
にダンパ11及び12を設けている。ダンパ11及び1
2は、それぞれ枢軸11a及び11bの回りに回動する
ことによって、図1に示すように通風ダクト6の入口6
a及び出口6bを閉じて通風ダクト6内の空気通路を小
さな閉回路としたり、或いは通風ダクト6の入口6a及
び出口6bを開いて、それらをあたかも図2に示す通風
ダクト6のように車室内へ連通させたりする。
【0018】熱交換器9及び保温器10へ例えば温水の
ような熱流体を供給するために、図示実施例のヒートポ
ンプ式エアコンシステム内には、往復の配管によってそ
れぞれ熱交換器9及び保温器10に接続される蓄熱器1
3が設けられる。また、熱交換器9及び保温器10に通
じる各配管には、それぞれポンプ14又は15が設けら
れ、図示しない蓄電池の電力によって駆動されることが
できる。蓄熱器13内には電気ヒータ16が設けられて
おり、このヒートポンプ式エアコンシステムを搭載して
いる電気自動車が夜間等において駐車している時に、図
示しない蓄電池に対して充電を行うのと同時に、電気ヒ
ータ16を外部電源17に接続して蓄熱器13内を加熱
し、その内部に充填されている蓄熱剤に熱を吸収させて
おく。従って、ポンプ14又は15を駆動すると、蓄熱
器13内の蓄熱剤に蓄えられた熱が温水のような熱流体
を媒体として熱交換器9及び保温器10へ移送され、電
磁弁7及び8の間に封じ込められた高温、高圧の冷媒を
保温したり、場合によっては、コンプレッサ1の駆動中
であっても、熱交換器9によって通風ダクト6内を流れ
る空気に熱を与え車室内へ送り込むことができる。
【0019】図1に示す実施例のヒートポンプ式エアコ
ンシステムの制御を行うために、システム内には例えば
マイクロコンピュータを組み込んだ電子式の制御装置1
8が設けられる。電子式の制御装置18は良く知られて
いる通りのもので、各種の信号を入力するための入力回
路18a、入力された信号を演算処理する中央処理部
(CPU)、記憶部(ROM又はRAM)、及びクロッ
ク回路等(これらを一般的にブロック18bとして示
す)、更に、演算された結果によって制御される機器に
向かって制御信号を出力する出力回路18c等からなっ
ている。図1の実施例においては、入力回路18aには
蓄熱器13内の温度を検出する温度検出素子19、保温
器10に供給された後に排出される熱流体の温度を検出
する温度検出素子20、通風ダクト6内においてコンデ
ンサ2の下流側の空気の温度を検出する温度検出素子2
1等が接続され、それらの検出値が制御装置18に入力
される。
【0020】また、制御装置18の出力回路18cには
ファン5、電磁弁7及び8、蓄熱器13の電気ヒータ1
6に接続される外部電源17を断続するスイッチ駆動回
路22、ポンプ14及び15の駆動を制御する駆動回路
23及び24等が接続され、制御装置18の指令によっ
てそれらの機器が運転制御される。図示していないけれ
ども、ダンパ11及び12を開閉駆動するアクチュエー
タにも出力回路18cからの制御信号が供給される。も
っとも、ダンパ11及び12をヒートポンプ式エアコン
システムの暖房運転開始及び停止の手動的な指令装置と
連動させる場合には、出力回路18cによって自動的に
作動されるアクチュエータをダンパ11及び12に対し
て設ける必要はない。
【0021】図1に例示したヒートポンプ式エアコンシ
ステムは、コンプレッサ1を停止した時に制御装置18
によって自動的に電磁弁7及び8を閉弁させ、コンプレ
ッサ1及びコンデンサ2を含むそれらの区間内に高圧、
高温の冷媒を封じ込めると共に、ダンパ11及び12に
よって通風ダクト6の入口6a及び出口6bを閉じ、更
に封じ込められた冷媒を熱交換器9と保温器10によっ
て加熱・保温することにより、その温度を常に例えば6
0°Cに維持する。それによって、次にコンプレッサ1
が再起動される時に、直ちに前回停止時と略同じような
冷媒の状態を復元することができるようにし、ヒートポ
ンプ式エアコンシステムの立ち上げに要する時間を短縮
して、始めから定常運転に近い運転状態とするものであ
る。
【0022】その作動を図示された2つの状態図によっ
て更に詳細に説明する。図3は夜間に電気自動車の蓄電
池を充電しているようなときに、ヒートポンプ式エアコ
ンシステムのコンプレッサ1を停止した状態を示してい
る。このような時、制御装置18はスイッチ駆動回路2
2によって外部電源17を蓄熱器13内の電気ヒータ1
6に接続して、温度検出素子19が所定の温度を検出す
るまで内部の蓄熱剤を加熱する。温度が所定値、例えば
60°Cよりも若干高い値に達したら、その温度を維持
するように電気ヒータ16を断続制御する。
【0023】電磁弁7及び8の閉弁と同時に、図示しな
いアクチュエータによってダンパ11及び12を回動さ
せて通風ダクト6の入口6a及び出口6bを閉塞し、コ
ンプレッサ1の停止中もファン5の駆動を継続すること
によって、通風ダクト6内に図3に破線で示すような空
気の閉じた流れを発生させる。更にポンプ14が駆動さ
れ、蓄熱器13内で加熱された熱流体を熱交換器9へ供
給し、通風ダクト6内を循環している空気に熱を与え、
それによってコンデンサ2内に封じ込められた冷媒がコ
ンプレッサ1を停止した時の60°Cを維持するよう
に、ポンプ14の駆動回路23や、ファン5にフィード
バック制御を行う。この制御は温度検出素子21の検出
値に基づいて行われる。
【0024】また、他方において、ポンプ15を駆動し
て保温器10内へ蓄熱器13から熱流体を供給し、冷凍
回路のうち電磁弁7から電磁弁8までの区間内に封じ込
められた冷媒の温度を同様にして60°Cに維持するフ
ィードバック制御を行う。これは温度検出素子20によ
って検出される温度を所定値に保つようにポンプ15の
駆動回路24を制御することによって行われる。
【0025】このようにして、冷凍回路の電磁弁7及び
8の間の区間に封じ込められた冷媒は、常に定常運転状
態と略同じ温度である60°Cを維持し、その圧力も高
圧のままで保持される。以上の説明は、電気自動車の蓄
電池を充電するような場合であるが、走行中、或いは停
車中に車室内の温度が適温に達して、それ以上暖房を行
う必要がなくなった時にコンプレッサ1を停止させるよ
うな場合には、電気ヒータ16によって蓄熱器13に熱
を補充することはできないが、蓄熱器13に蓄えられた
熱を少しずつ冷媒に与えることによって、高温、高圧の
冷媒を維持することができる。
【0026】いずれの場合でも、ヒートポンプ式エアコ
ンシステムの暖房運転を開始するときは、図4に示した
ように、ダンパ11及び12によって閉じられていた通
風ダクト6の入口6a及び出口6bを開いて、車室内の
空気を通風ダクト6内へ循環させると共に、電磁弁7及
び8を開弁させ、コンプレッサ1を起動すれば、通常の
ヒートポンプ式エアコンに見られるようなシステムの立
ち上げのための長い待ち時間を要することなく、直ちに
定常運転状態に入ることができ、コンデンサ2の熱を通
風ダクト6の空気に与えて車室内へ送り出し、当初から
高い暖房効果を上げることができる。
【0027】しかし、寒冷地における朝のように車室内
の温度があまりにも低下していて、定常運転状態におけ
るコンデンサ2の能力をもってしても迅速に車室内の温
度を上昇させることができないような場合には、制御装
置18の指令又は手動の命令によって、ヒートポンプ式
エアコンシステムの通常の運転を続けながら同時にポン
プ14を駆動して、蓄熱器13から熱流体を熱交換器9
へ供給し、蓄熱器13内の蓄熱剤に蓄えられた熱をコン
デンサ2の発熱に加えて、車室内へ送り出す空気を加熱
する。この場合、蓄熱器13の蓄熱量には限りがあるか
ら、車室内の空気の温度が目標値に達したら、後はコン
デンサ2の発熱のみによってその温度を維持するように
制御することは言うまでもない。
【0028】なお、蓄熱器13内に熱を残す必要がない
ような場合には、ポンプ14の駆動を継続して蓄熱器1
3内の熱を車室内へ放出し、その分だけコンプレッサ1
の能力を低減させ、コンデンサ2からの発熱を減少させ
て、コンプレッサ1を駆動するための蓄電池の電力消費
を節約することもできる。蓄電池は走行用の電動機の電
源として共通に使用されているから、ヒートポンプ式エ
アコンシステムへの必要な電力量が減少することによっ
て、その分だけ電気自動車の1充電当たりの航続距離が
伸びることになる。
【0029】図5の(a)及び(b)に、図1等に例示
したヒートポンプ式エアコンシステムに使用することが
できる蓄熱器13の実施例を示す。図5に示すように、
蓄熱器13の容器25は熱流体の入口26及び出口27
を有し、それ以外の外表面を図示しない断熱材によって
被覆されて外気から熱的に遮断されている。容器25内
には、等間隔で平行に左右の壁面に交互に取り付けられ
た複数の仕切り板28及び28’によって、入口26か
ら出口27に到る熱流体のための曲折した長い流路が形
成される。そして各仕切り板28及び28’の対応位置
に開口している孔を多数の蓄熱管29が貫通して固定さ
れており、各蓄熱管29内には、例えばCH3 COON
a・3H2 Oのような蓄熱剤が充填され、上下の端部が
閉じられている。前記の蓄熱剤は融点が58°Cで、融
解熱が60cal/gであるから、融解、凝固の状態変
化による潜熱を利用して多量の熱量を吸収・排出するこ
とができ、循環する熱流体の温度を60°C程度に保つ
のに好都合である。なお、蓄熱管29に充填する蓄熱剤
としては、蓄熱量は減少するが潜熱剤に代えて顕熱剤を
用いてもよい。
【0030】図1のポンプ14或いはポンプ15が駆動
されるとき、温水のような熱流体は図5に示す蓄熱器1
3の入口26から入って破線のように流れ、その間に蓄
熱管29内の蓄熱剤から熱を受け取って60°C前後の
温度まで昇温し、出口27から流出して熱交換器9へ供
給され、通風ダクト6内を循環する空気を加熱する。そ
して加熱された空気はコンデンサ2内の冷媒を60°C
程度に保温し、場合によってはダンパ11及び12が開
いたときに車室内に放出されて、直接に車室内の温度を
上昇させる。
【0031】同様に、図6の(a)及び(b)に、図1
等に例示したエアコンシステムに使用することができる
保温器10の実施例を示す。30は冷媒通路となる金属
管、31は金属管30を内部に挿通させている比較的大
径の管で、それらの隙間32には、矢印で示したように
熱流体が流通するようになっている。図示していない
が、隙間32の間隔は、長手方向に適当な間隔をおいて
スペーサのようなものを設けることによって略一定に保
持される。管31の外周は断熱材33が被覆していて、
熱流体の熱が外部に逃げないようにしている。このよう
な保温器10を用いることによって、熱交換器9と共
に、電磁弁7及び8の間の冷媒通路に封じ込められた冷
媒の温度を60°C程度に保温し、コンプレッサ1の停
止前の圧力が大幅に低下するのを防止する。
【0032】図7は保温器10の別の実施例を示す。こ
の保温器10は蓄熱器13によって加熱される熱流体を
使用しないで、冷媒通路となる金属管30の周りに帯状
の電気ヒータ34を巻き、更にその周りを断熱材33に
よって覆った構造を有する。電気自動車が蓄電池の充電
のために駐車するようなときは、電気ヒータ34にも通
電することによりきわめて簡単に、電磁弁7及び8の間
の冷媒通路に封じ込められた冷媒の温度を所望の温度に
保温することができる。また、比較的短時間だけコンプ
レッサ1を停止するようなときは、蓄電池から電力を供
給して電気ヒータ34を発熱させることもできることは
言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】本発明を実施することによって、通常は
立ち上げに時間がかかるヒートポンプ式エアコンであり
ながら、起動と同時に定常運転状態に移行することがで
き、立ち上げの時間遅れをなくして、迅速に車室内の温
度を上昇させることができる。また、場合によってはヒ
ートポンプ式エアコンのコンデンサの発生する熱に加え
て、蓄熱器からの熱を追加供給することによって車室内
の温度上昇を一層促進しすることもできる。更に、蓄熱
器から熱を供給した分だけコンプレッサの仕事量を軽減
して蓄電池の負担を減少させ、蓄電池の電気的容量、重
量、及び体積を減少させたり、電気自動車の航続距離を
伸ばしたり、加速性能を従来よりも向上させることもで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としてのヒートポンプ式エアコ
ンシステムの全体構成を示す図である。
【図2】従来のヒートポンプ式エアコンの基本的構成を
示す模式図である。
【図3】図1に例示したヒートポンプ式エアコンシステ
ムにおいてコンプレッサを停止している状態を示す図で
ある。
【図4】図1に例示したヒートポンプ式エアコンシステ
ムにおいてコンプレッサを駆動している状態を示す図で
ある。
【図5】蓄熱器の実施例を示すもので、(a)は平面
図、(b)は縦断面図である。
【図6】保温器の1つの実施例を示すもので、(a)は
縦断面図、(b)は横断面図である。
【図7】保温器の他の実施例を部分的に切断して示す斜
視図である。
【符号の説明】
1…コンプレッサ 2…コンデンサ 5…ファン 6…通風ダクト 7,8…電磁弁 9…熱交換器 10…保温器 11,12…ダンパ 13…蓄熱器 14,15…ポンプ 16…電気ヒータ 18…制御装置 19,20,21…温度検出素子 28,28’…仕切り板 29…蓄熱管 33…断熱材 34…電気ヒータ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷凍回路のコンプレッサを停止するとき
    に前記コンプレッサからコンデンサまでの冷媒通路の特
    定区間を前記冷凍回路の他の部分に対して遮断すること
    ができるように、前記コンプレッサの冷媒入口側及び前
    記コンデンサの冷媒出口側に設けられた一対の弁と、前
    記コンデンサによって加熱される空気を導く通風ダクト
    において前記コンデンサの上流側に設けられる熱交換器
    と、前記通風ダクトの入口側及び出口側に設けられて、
    選択的にそれらを閉じることにより前記通風ダクトを空
    気が循環する小さな閉回路とすることができる一対のダ
    ンパと、前記コンプレッサを含めて前記一対の弁の間の
    前記冷媒通路を覆うように形成された保温器と、少なく
    とも前記熱交換器又は前記保温器の一方へ供給するため
    の熱を蓄えることができる蓄熱器とを備えていることを
    特徴とする、電気自動車用のヒートポンプ式エアコンシ
    ステム。
JP17556592A 1992-07-02 1992-07-02 ヒートポンプ式エアコンシステム Withdrawn JPH0616031A (ja)

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