JPH0615524Y2 - 空気掛ぶとん - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、空気の充填封入が可能な気嚢体を用いて構成
した空気掛ぶとんの改良に関する。

（従来の技術） 従来の掛ぶとんは、その殆んどのものが布地から成る外
被内に綿、合成繊維、羽毛等の中綿を詰込んで構成され
ている。

また、これに代る空気を封入した掛ぶとんとしては、例
えば掛ぶとん形状の気嚢体を横方向又は縦方向に均等に
仕切って複数の気嚢部を形成し、各気嚢部に空気を給排
自在に充填封入するように構成したタイプのものが一般
的に良く知られている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記従来例のうちの前者の場合は、保温
性および感触性には優れているが、その反面、嵩張って
収納、その他の取扱いが不便であると共に、梅雨時のよ
うに多湿条件下では吸湿してカビ、その他の細菌類が繁
殖し易く、且つ家ダニ等の害虫類の温床となり易いため
非衛生的であって、保健衛生面からみて好ましくないと
言った問題がある。

また、後者の場合は、前者の有する上記の問題は解消で
きるが、その反面、構造が簡単なものにあっては掛心地
が悪く、構造が複雑なものにあっては製造が困難でコス
ト高になると言った問題があり、更にいづれの場合も、
寒暖に応じて人体の各部位への接触度合乃至は接触感を
調節したり、或は掛ぶとんの周縁部分から外気が侵入す
る度合を調節して掛ぶとんの掛心地や保温作用を調節す
ることなどに関しては何等の工夫もなされていないと言
った問題があった。

本考案は、上記従来の掛ぶとんの有する問題点を解決す
ることを課題として開発されたもので、掛ぶとんの掛心
地及び保温作用を適宜に調節でき、且つ必要に応じて、
掛ぶとんの周縁を敷布団の周縁に係着して寒期における
保温効果の向上を計り得る空気掛ぶとんを安価に提供す
ることを主要目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記の課題を解決する手段としては、本考案では、掛ぶ
とん形状の気嚢体を少なくとも四囲の周縁部分と該周縁
部に囲まれた中央部分とに仕切って夫々独立した気嚢部
を備えた空気掛ぶとんを形成し、上記周縁部分の気嚢部
と中央部分の気嚢部に逆止弁を備えた空気給排口を夫々
設けて両気嚢部の空気充填度を各別に調整可能に構成す
ると共に、掛ぶとんの周縁部に雌または雄の面ファスナ
ー等の係着部材を設けて、敷ぶとんの周縁部に設けた雄
または雌の面ファスナー等の係着部材に係脱可能に構成
したことを特徴とする空気掛ぶとんを開発、採用した。

（作用） 上記にように構成した空気掛ぶとんの周縁部分の気嚢部
と中央部分の気嚢部に、夫々の空気給排口から空気を供
給充填して空気掛ぶとんを形成するのであるが、両気嚢
部への空気充填度を夫々調節することにより人体の各部
位への接触度合乃至は接触感を硬、軟に、或いは粗、密
に調節でき、空気掛ぶとんの掛心地を各臥床者の希望、
健康状態、気温、湿度等に応じて調節できる作用があ
る。

また、例えば蒸し暑い季節には、周縁部分の気嚢部への
空気充填度を中央部分の気嚢部への空気充填度よりも高
めることにより、掛ぶとんの周縁部に外部に通じる間隙
を形成でき、適度の通気を得られると共に、人体の要保
温部位は中央部分の気嚢部が適度に当接して寝冷え等を
防止する作用がある。

さらに、この掛ぶとんを、その周縁に設けた係着部材と
係脱可能な係着部材を四囲の周縁部の表面に設けた敷ぶ
とんと併用した際に、両係着部材を係合して寝袋状の寝
具の構成を可能にし、寒気における保温効果の向上を計
り得る作用がある。

（実施例） 以下に、本考案の実施例を添付図面に基いて説明すれ
ば、第１図〜第３図において、１はプラスチックシー
ト、例えば最近開発されて量産化に成功した各種の優れ
た特性、即ち、大きな伸縮性、柔軟性を有し、耐低温
性、耐薬品性、耐候性、耐老化性等に優れた、耐久性が
抜群に良好な特性を有する厚さ５００〜２０００μの熱
可塑性ポリウレタン樹脂から成る気密性をシートを用い
て形成した掛ぶとん形状の気嚢体であって、長方形状の
該シートを二重に重ね合わせ、その四周縁を高周波接着
２して構成されている。また、この気嚢体１は、上記四
周縁の接着部２から所要巾内側に位置する個所におい
て、四周縁の接着部２と夫々平行に高周波接着手段によ
り長方形状に仕切られており、この長方形状の内側接着
部３により、気嚢体１の四囲に額縁状の周縁部分の気嚢
部４を形成するとと共に、該接着部３の内側に中央部分
の気嚢部５が形成してある。また、この中央部分の気嚢
部５は、この実施例では短巾方向、即ち、横方向に複数
個所で高周波接着手段により接着６されて仕切られてお
り、この仕切られて形成された各気嚢部５は無接着部か
ら成る通路７を介して内部で連通されている。

さらに、上記周縁部分の気嚢部４及び中央部分の気嚢部
５には逆止弁を内装した空気給排口８が夫々設けられて
おり、この各空気給排口８にはエアーコンディショナー
と適宜に併用可能な給気装置９が接続可能に配設してあ
る。また、掛ぶとんの四囲の周縁部の裏面に雌または雄
の面ファスナーから成る係着部材１４が添設してあり、
このようにして空気掛ぶとんを構成したものであり、図
において、１０は外被を略示するものである。

次に、上記のように構成した実施例にしたがって、その
使用状態を説明する。

先づ、両空気給排口８から両気嚢部４、５に空気を各別
に充填封入すると、第２図及び第３図に示すように両気
嚢部４、５が膨満して所要の空気掛ぶとんが得られる。
この空気の充填封入時に、両気嚢部４、５への空気充填
度を共に若干低くすると、掛ぶとんの中央部分及び上方
周縁部分は人体の各部位、即ち、首部、肩部、胴部及び
手足部に柔らかく、且つ確実に接触するとことになるの
で掛心地が非常に良く、また、掛ぶとんの左右周縁部分
及び下方周縁部分は敷ぶとんの周側等に確実に接触して
敷ぶとんの周側の掛ぶとんの周側の間に隙間を生じるの
を効果的に防止できるので、体温等により温められた敷
ぶとんと掛ぶとんの間の空気が外部に放出されることが
なく、したがって、このような使用状態は寒い時期に好
適である。

また、掛ぶとんの中央部分の気嚢部５には稍々低目の充
填度で、周側部分の気嚢部４には高い充填度で夫々空気
を充填すると、掛ぶとんの中央部分は人体の主要部位に
確実に接触するので、寝冷え等を防止できると共に、掛
ぶとんの四囲の周側部分は高い空気圧で硬直し、若干浮
上った状態となって、敷ぶとんの周側等との間に隙間を
生じるので、外気が自然に入り込むことになり、したが
って、このような使用状態は蒸し暑い時期に好適であ
る。

また、エアーコンディショナーと併用可能な給気装置９
により両気嚢部４、５に各別に所望温度の空気を所望の
量にしたがって自由に充填できるので、季節に応じて
冷、暖の空気を封入でき、上記の効果を一層向上でき
る。さらに、綿等の繊維充填物を全く使用していないの
で、吸湿によるカビ等の発生、繁殖の問題もなく、家ダ
ニ等の温床になるおそれもないので衛生的である。

さらに、この掛ぶとんを、その周縁に設けた係着部材と
係脱可能な係着部材を四囲の周縁部の表面に設けた敷ぶ
とん（図示せず）と併用した際に、両係着部材を係合し
て寝袋状の寝具の構成を可能にし、寒期における保温効
果の向上を確実に達成できるものである。

第４図、第５図、第６図及び第７図は、夫々本考案の他
の実施例を示すもので、基本的構成は上記実施例と相違
しないが、次の点で相違している。

即ち、第４図に示すものは、中央部分の気嚢部を中間で
横方向に接着して仕切り、この接着部６により中央部分
の気嚢部を二つの独立した小気嚢部５、５で構成した点
で上記の第１実施例と異なっている。この実施例によれ
ば、両小気嚢部５、５への空気の充填度を変えることに
より、人体の上半身と下半身に対する掛ぶとんの接触度
合乃至は接触感を変えることが可能であり、掛ぶとんの
掛心地を適宜に調節できる利点があると共に、エアーコ
ンディショナーを併用して給気する場合に、両小気嚢部
内の空気の温度を適宜に調節変更することができると言
った利点がある。なお、この場合、二つ以上の独立した
小気嚢部５を設けてもよく、且つ各小気嚢部５の大きさ
を大小に変えてもよいものである。

また、第５図に示すものは、周縁部分の気嚢部４を四囲
の各周縁ごとに接着部１１により仕切り、この各接着部
１１により各周縁部分に独立した小気嚢部４…４を設け
た点で前記の第１実施例と異なっている。この実施例に
よれば、例えば左右両側の小気嚢部４、４に対する空気
の充填度を上下両側の小気嚢部４、４に対する空気の充
填度よりも高くすると、掛ぶとんの左右の周縁部分は高
い空気圧で硬直し、若干浮上った状態となって、敷ぶと
んの周側等との間に隙間を生じるので、掛ぶとんの左右
両側からは外気が自然に入り込むが、掛ぶとんの上下の
周縁部分は敷ぶとんの周側等に確実に接触して両ぶとん
の間に隙間を生じるのを確実に防止できると言った状態
での使用が可能であると共に、エアーコンディショナー
を併用して給気する場合に、必要に応じて各気嚢部４、
４内の空気の温度を適宜に調節変更することができると
言った利点がある。

更に、第６図に示すものは、中央部分の気嚢部５を前記
第２実施例と同様に構成し、周縁部分の気嚢部４を上記
第３実施例と同様に構成したものであって、この実施例
にしたがえば、掛ぶとんの中央部分は第２実施例の中央
部分と同様の効果を奏し、また、掛ぶとんの周縁部分は
第３実施例の周縁部分と同様の効果を奏するものであ
る。

更にまた、第７図に示すものは、前記第４図に示す第２
実施例の空気掛ぶとんの上方周縁部の中間部に弯曲状の
凹欠部１２を設けて、その両側に肩当片１３、１３形成
したものであって、この実施例にしたがえば、前記第２
実施例と同じ効果に加えて、その凹欠部１２の両側の肩
当片１３、１３により人体の両肩の冷えを防止できるも
のである。
なお、前記係着部材１
４は面ファスナーに限定されるものでなく、チャック、
ホック類を含めて係脱可能な広範囲の係着部材を指称す
るものである。また、この凹欠部１２は、上記各実施例
において夫々格別に或は複合的に採用できるものであ
る。

なお、上記の各実施例において、共通部分には同一符号
を付して説明してある。

以上、本考案の主要な実施例について説明したが、本考
案はこれらの実施例に限定されるものではなく、例えば
図示していないが、中央部分の気嚢部を独立した複数の
気嚢部、或は連通した複数の気嚢部に仕切る場合に、縦
方向に仕切ってもよく、また、考案の同一性を失わない
限り、本掛ぶとんの複数枚を重合して一枚の掛ぶとんを
構成してもよいものである。さらに、気密性シートの材
質等を含めて単なる設計変更に過ぎない事項は全て本考
案の範囲に含まれるものである。また、給気装置は手動
式のものであっても電気式のものであっても差支えない
ものである。

（考案の効果） 本考案は、掛ぶとん形状の気嚢体を少なくとも四囲の周
縁部分と該周縁部に囲まれた中央部分とに仕切って夫々
独立した気嚢部を備えた空気掛ぶとんを形成し、上記周
縁部分の気嚢部と中央部分の気嚢部に逆止弁を備えた空
気給排口を夫々設けて両気嚢部の空気充填度を各別に調
節可能に構成すると共に、掛ぶとんの周縁部に雌または
雄の面ファスナー等の係着部材を設けて、敷ぶとんの周
縁部に設けた雄または雌の面ファスナー等の係着部材に
係脱可能に構成したことを特徴とする空気掛ぶとんに係
るものであるから、その構成に基づいて下記の優れた効
果を奏するものである。

(1)掛ぶとんの周縁部分の気嚢部と中央部分に気嚢部に
充填する空気の充填度を共に低めにして、両気嚢部の空
圧を低めに保つことにより、掛ぶとんの中央部分及び上
方周縁部分は人体の各部位、即ち、首部、肩部、胴部及
び手足部に柔らかく、且つ確実に接触することになるの
で掛心地が非常に良く、また、掛ぶとんの左右周縁部分
及び下方周縁部分は敷ぶとんの周側等に確実に接触して
敷ぶとんの周側と掛ぶとんの周側の間に隙間を生じるの
を効果的に防止できるので、体温等により温められた敷
ぶとんと掛ぶとんの間の空気が外部に放出されることが
なく、したがって、寒い時期の掛ぶとんとしての使用価
値を向上できる。

(2)掛ぶとんの中央部分の気嚢部には稍々低目の充填度
で、周側部分の気嚢部には高い充填度で夫々空気を充填
すると、掛ぶとんの中央部分は人体の主要部位に確実に
接触するので、寝冷え等を防止できると共に、掛ぶとん
の四囲の周側部分は高い空気圧で硬直し、若干浮上った
状態となって、敷ぶとんの周側等との間に隙間を生じる
ので、外気が自然に入り込んで換気することになり、し
たがって蒸し暑い時期の掛ぶとんとしての使用価値を向
上できる。

(3)綿等の繊維材料から成る充填材を全く使用していな
いので、吸湿によるカビの発生、繁殖の問題もなく、家
ダニ類の温床になるおそれもないので衛生的であると共
に、構造簡単にして安価に提供できる。

(4)この掛ぶとんを、該係着部材と係脱可能な係着部材
を四囲の周縁部の表面に設けた敷ぶとんと併用した際
に、両係着部材を係合して寝袋状の寝具の構成を可能に
し、寒期における保温効果の向上を確実に達成できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は平面図、
第２図は空気を充填封入した状態における第１図のＡ−
Ａ線に沿う縦断側面図、第３図は同じく第１図のＢ−Ｂ
線に沿う縦断端面図、第４図は第２の実施例の平面図、
第５図は第３の実施例の平面図、第６図は第４図の実施
例の平面図、第７図は第５の実施例の平面図である。 （符号の説明） １……掛ぶとん形状の気嚢体、 ２・３……接着部、 ４……周縁部分の気嚢部、 ５……中央部分の気嚢部、 ８……逆止弁を備えた空気給排口、 １４……係着部材。

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】掛ぶとん形状の気嚢体を少なくとも四囲の
   周縁部分と該周縁部に囲まれた中央部分とに仕切って夫
   々独立した気嚢部を備えた空気掛ぶとんを形成し、上記
   周縁部分の気嚢部と中央部分の気嚢部に逆止弁を備えた
   空気給排口を夫々設けて両気嚢部の空気充填度を各別に
   調節可能に構成すると共に、掛ぶとんの周縁部に雌また
   は雄の面ファスナー等の係着部材を設けて、敷ぶとんの
   周縁部に設けた雄または雌の面ファスナー等の係着部材
   に係脱可能に構成したことを特徴とする空気掛ぶとん。
2. 【請求項２】中央部分の気嚢部を複数の小気嚢部に仕切
   ると共に、各小気嚢部を流路を介して連通させたことを
   特徴とする請求項(1)に記載の空気掛ぶとん。
3. 【請求項３】中央部分の気嚢部を複数の独立した小気嚢
   部に仕切ると共に、この各小気嚢部に逆止弁を備えた空
   気給排口を夫々設けたことを特徴とする請求項(1)に記
   載の掛ぶとん。
4. 【請求項４】周縁部分の気嚢部を独立した複数の小気嚢
   部に仕切って、この各小気嚢部に逆止弁を備えた空気給
   排口を夫々設けたことを特徴とする請求項(1)に記載の
   掛ぶとん。
5. 【請求項５】四囲の周縁部分の気嚢部を各周縁ごとに独
   立した小気嚢部に仕切って、この各小気嚢部に逆止弁を
   備えた空気給排口を夫々設けたことを特徴とする請求項
   (1)に記載の掛ぶとん。
6. 【請求項６】空気掛ぶとんの上方周縁部の中間部に弯曲
   状の凹欠部を設けて、その両側に肩当片を形成して構成
   したことを特徴とする請求項(1)、(2)、(3)、(4)、(5)のい
   づれかに記載の空気掛ぶとん。