JPH0615131Y2 - エアスライド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、高精度な案内及び位置決めを必要とする精
密工作機械、測定器等の送り装置として利用される静圧
空気軸受を備えたエアスライド装置に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

角柱状のテーブルガイドの外側にテーブルをスライド自
在に取付け、そのテーブルとテーブルガイドとの間に形
成された軸受すきまに圧縮空気を供給して上記テーブル
を移動させるようにしたエアスライド装置は、テーブル
ガイドに対してスライドテーブルが非接触の状態で移動
するため、ステック・スリップの無い滑らかな動きをす
る特徴を有している。

このため、精密工作機械、測定器の如く、サブミクロン
の高精度な案内及び位置決めを必要とする送り装置とし
て非常に多く用いられている。

しかし、スライドテーブルの外部振動に対するダンパー
機能を有していないため、制御上発振し易く、しかも発
振するとなかなか減衰されない難点があり、位置決めを
行なう場合、振動により位置決め精度が損なわれる欠点
があった。

そこで、実開昭６２−１３４６３１号公報に示されたス
ライドテーブル装置においては、第４図及び第５図に示
すように、テーブルガイド２０の外側にスライド自在に
取付けたスライドテーブル２１の上板２２下面に溝２３
を形成し、その溝２３の底面に多数のポケット２４を設
け、そのポケット２４内に球体２５を組込んで抜け止め
し、かつポケット２４内にグリース等の粘性流体を封入
し、上記テーブルガイド２０と球体２５との間に生じる
すべり抵抗によりスライドテーブル２１にダンパー効果
を付与して位置決め精度の向上を図るようにしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記スライドテーブル装置においては、サーボ系を構成
した場合、クロスオーバー周波数、位相余有ともに十分
な値となっているが、常時ダンピング付きのため、加速
が悪く、速応性に問題がある。

そこで、この考案は上記の問題を解決し、加速性能の向
上を図ることを技術的課題としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この考案においては、テ
ーブルガイドに沿ってスライド自在に取付けられたスラ
イドテーブルの下面に多数のポケットを形成し、そのポ
ケット内に球体を組込んで球体の一部がポケットから突
出する状態で抜け止めし、かつポケット内に粘性流体を
封入し、上記スライドテーブルの下方には、そのスライ
ドテーブルのストローク量に対応する長さを有する摩擦
板をスライドテーブルの下面に対して上下動自在に設け
た構成を採用したのである。

〔作用〕

上記の構成から成るスライド装置においては、スライド
テーブルの移動時に摩擦板を下降位置に保持し、テーブ
ルの停止時に上記摩擦板を上昇して球体と接触させ、球
体と摩擦板との間に生じるすべり抵抗によりスライドテ
ーブルにダンピング効果を付与するのである。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を第１図乃至第３図に基づいて
説明する。

図示のように、両端部が支柱１によって支持されたテー
ブルガイド２の上下および両側には案内面３が設けられ
ている。このテーブルガイド２の外側に設けられたスラ
イドテーブル４は、テーブルガイド２の各案内面３と対
向する上板５、下板６および一対の側板７を有し、その
各板体５、６、７と案内面３との間に軸受すきま８が設
けられている。また、各板体５、６、７には軸受すきま
８に連通してノズル９が設けられ、そのノズル９から軸
受すきま８に供給される圧縮空気によって、スライドテ
ーブル４はテーブルガイド２に対して非接触の状態の保
持される。

スライドテーブル４は、テーブルガイド２に対して非接
触の状態において移動される。その移動装置は図では省
略してあるが、テーブルガイドにスライドテーブルの移
動方向に長い溝を形成し、その溝の底面に鉄芯にコイル
を巻付けた電磁石を取付け、一方、スライドテーブルに
は、上記電磁石に対向して永久磁石を取付け、上記電磁
石に対する電通によってスライドテーブルに推力を付与
するようにしたものを採用することができる。

上記スライドテーブル４の下板６の下面には多数のポケ
ット１０が設けられ、そのポケット１０内に球体１１が
組込まれ、かつグリース等の粘性流体１２が封入されて
いる。球体１１は、ポケット１０の開口部に設けた絞り
部１３によって一部がポケット１０から外部に突出する
状態で抜け止めされる。

前記スライドテーブル４の下方には、そのテーブル４の
ストローク量に対応する長さを有する摩擦板１４が上下
動自在に支持され、その摩擦板１４はスライドテーブル
４の移動停止時に、球体１１と接触する位置まで上下動
される。上記摩擦板１４を上下動させる駆動装置とし
て、ここではシリンダ１５を用いているが、駆動装置は
これに限定されるものではない。

実施例で示すエアスライド装置は上記の構造から成り、
スライドテーブル４の移動に際しては、摩擦板１４を下
降し、その摩擦板１４と球体１１とを非接触の状態の保
持すると共に、各ノズル９から軸受すきま８に圧縮空気
を供給し、軸受すきま８に形成される空気膜によりテー
ブルガイド２とスライドテーブル４とを非接触の状態に
保持して上記スライドテーブル４を移動させる。

上記のように、スライドテーブル４を摩擦板１４および
テーブルガイド２に対して非接触の状態に保持すること
により、上記テーブル４をきわめて効果的に加速するこ
とができる。

また、スライドテーブル４の停止に際しては、摩擦板１
４を上昇し、その摩擦板１４を球体１１と接触させ、摩
擦板１４と球体１１との間にすべり抵抗を付与する。そ
のすべり抵抗の付加によってスライドテーブル４にダン
ピング効果が付与されるため、スライドテーブル４をき
わめて高精度に位置決めすることができる。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案においては、スライドテーブル
の移動時に摩擦板と球体とを非接触の状態に保持するた
め、前述従来のスライド装置に比較して速応性がよく、
スライドテーブルの加速性能の向上を図ることができ
る。

また、スライドテーブルの停止時には、摩擦板を球体に
接触し、球体と摩擦板との間に生じるすべり抵抗により
スライドテーブルにダンピング効果を付与するようにし
たので、スライドテーブルをきわめて高精度に位置決め
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係るエアスライド装置の一実施例
を示す縦断正面図、第２図は同上の縦断側面図、第３図
は同上の作動状態を示す縦断正面図、第４図は従来のエ
アスライド装置を示す斜視図、第５図は第４図の縦断側
面図である。 ２……テーブルガイド、３……案内面、 ４……スライドテーブル、８……軸受すきま、 １０……ポケット、１１……球体、 １２……粘性流体、１４……摩擦板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上下および両側に案内面を有するテーブル
   ガイドと、そのテーブルガイドの外側にスライド自在に
   設けられ、上記案内面との間に軸受すきまが形成された
   スライドテーブルとから成り、上記軸受すきまに圧縮空
   気を供給してスライドテーブルをテーブルガイドに対し
   て非接触の状態で移動させるようにしたエアスライド装
   置において、前記スライドテーブルの下面に多数のポケ
   ットを設け、そのポケット内に粘性流体と球体とを組込
   んで球体の一部がポケットから外部に臨む状態で抜け止
   めし、上記スライドテーブルの移送路には、そのスライ
   ドテーブルのストローク量に対応する長さを有する摩擦
   板をスライドテーブル下面に対して上下動自在に設けた
   ことを特徴とするエアスライド装置。