JPH0613445U - 植物栽培容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不織布等の消耗品を使用せず、給水管理を容
易にして団地の狭いテラス等でも手軽に園芸を楽しむこ
とができる小型化可能な植物栽培容器を提供する。 【構成】 栽培用水を貯える貯水部１２と、通水孔１４
を有して該貯水部１２の貯水１０に浸漬されるとともに
珪酸塩白土又は培養土２９が充填される吸水部１８と、
該吸水部１８と連通し底面に通水兼通気孔２０が設けら
れるとともに該通水兼通気孔２０を通じて水が前記貯水
部１２に滴るように構成された盛土部２２と、前記貯水
部１２への給水と前記盛土部２２の底面への通気を行う
給水兼通気孔２４と、を有する植物栽培容器は、珪酸塩
白土又は培養土により底面給水を行うものであり、その
給水管理は、降雨や散水による余剰水を貯水部１２に貯
めることにより効率化され、数日間降雨や給水がなくて
も栽培植物８を枯らしてしまうことはない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、培養土を使用して底面給水する植物栽培容器に関し、さらに詳細に は、不織布等の消耗品を使用せず、給水管理を容易にして団地の狭いテラス等で も手軽に園芸を楽しむことができる小型化可能な植物栽培容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、園芸を楽しむ人（園芸人口）が余暇時間の拡大や世代層の拡大等により 増加し、この需要増に伴って植物栽培容器の研究開発は活発化し、需要者の要求 や各種目的に適合した植物栽培容器が市場に提供されている。

【０００３】 この種々の植物栽培容器の中で、栽培床に培養土を使用し家庭園芸に用いられ るものには以下に記すようなものが知られており、実際の使用に供されている。

【０００４】 （１）土鉢（素焼き丸鉢） 古くから用いられているものであり、底に通気兼 排水用の孔をあけたものである。金網や不織布等の培養土流出防止兼通水素材を 該底に敷いて使用するものである。

【０００５】 （２）プラスチック製プランター プラスチックの有する優れた加工性・汎用 性により、方形や丸型など種々形状のもの、白色をはじめとする種々の色を選択 することができ、また、様々の大きさのものが市販されているため、栽培品種や 用途に合わせて玄関やベランダ等に設置されている。これも、底に通気兼排水用 の孔を設けている。

【０００６】 （３）二重構造プランター 外容器と該外容器内に嵌入する内容器とからなり 、通気性の向上と根切り作業の容易化を図ったものである。実開昭６１ー６０６ ５５に記載されているように、外容器の内面適所にリブを形成し、通気性と排水 性のさらなる向上を図ったものもある。

【０００７】 （４）底面給水鉢 鉢の底面に蓄えた水を不織布を使用して吸い上げて栽培土 に給水するものである。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の植物栽培容器においては、以下に記すような様々な 問題点があった。

【０００９】 先ず、前記（１）〜（３）の植物栽培容器は、ジョウロ等による散水により栽 培植物に給水するものであり、給水管理が容易でなく、栽培者の長期不在等によ って散水できずに植物を枯らしてしまうことがしばしば起こるという問題点があ った。

【００１０】 また、この問題点を回避するために、受け皿を鉢の下に敷いて底面潅水を行う こともあるが、この場合は通気性が著しく損なわれ、根腐れがおこりやすいとい う問題点があった。

【００１１】 さらには、水分補給が一定しないので、植物の根の生育環境の激しい変動によ り植物の根が伸長しすぎてしまって、鉢変えや多くの培養土が必要になり、手間 がかかるとともに費用がかかり、団地のテラスなどの狭い場所での使用は必然的 に制約されてしまうという問題点があった。

【００１２】 つぎに、前記（４）の底面給水鉢は、植物の根が伸長すると根が該不織布に絡 みついてしまって面倒な根切り作業が必要となり、また、根が絡みついた該不織 布の再利用は困難であり、消耗品として費用がかかるという問題点があった。

【００１３】 このため、この該不織布を使用した底面給水鉢は、一般に広く普及しにくいと いう問題点があった。

【００１４】 本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、不織布等の消耗品を使用せ ず、給水管理を容易にして水分補給を一定化するとともに、植物の根の伸長、根 腐れ・病気を抑えて使用培養土量の減少を図り、団地の狭いテラス等でも手軽に 園芸を楽しむことができる小型化可能な植物栽培容器を提供するものである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】

（１）本考案は、栽培用水を貯える貯水部と、通水孔を有して該貯水部の貯水に 浸漬されるとともに培養土が充填される吸水部と、該吸水部と連通し底面に通水 兼通気孔が設けられるとともに該通水兼通気孔を通じて水が前記貯水部に滴るよ うに構成された盛土部と、前記貯水部への給水と前記盛土部の底面への通気を行 う給水兼通気孔と、を有することを特徴とする植物栽培容器を提供することによ り上記目的を達成するものである。

【００１６】 （２）また、本考案は、（１）記載の植物栽培容器の吸水部に珪酸塩白土を充填 したことを特徴とする植物栽培容器構造を提供することにより上記目的を達成す るものである。

【００１７】

【作用】

本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、吸水部に充填された珪 酸塩白土又は培養土が該吸水部の通水孔を通じて貯水部に貯えられた貯水を吸い 上げ、盛土部の培養土に底面から給水する。

【００１８】 本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、降雨や散水により盛土 部の培養土に注がれた水の量が、盛土部の培養土の保水量を越えれば、その過剰 分の水が通水兼通気孔を通じて貯水部に滴り、貯水される。

【００１９】 本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、貯水部の水が枯渇する までは散水等を行わなくても培養土が適度な水分を保持することができる。

【００２０】 本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、貯水部に容量以上の水 が貯まれば、給水兼通気孔を通じて容器外に排出され、また、貯水部の水量が減 少したら、給水兼通水孔より給水することができる。

【００２１】 本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、給水兼通気孔及び通水 兼通気孔により盛土部の培養土の空気の流通が行える。

【００２２】

【実施例】

以下本考案に係わる植物栽培容器及び植物栽培容器構造の実施例を図面に基づ いて詳細に説明する。

【００２３】 図１は本考案に係わる植物栽培容器及び植物栽培容器構造の実施例を示す断面 図である。図２は同実施例を示す分解斜視図である。図３は同実施例を示す上面 図である。図４は同実施例における吸水部の他の一例を示す斜視図である。

【００２４】 本実施例における植物栽培容器は、図１〜図３に示されるように栽培用水を貯 える貯水部１２と、通水孔１４を有して該貯水部１２の貯水１０に浸漬されると ともに珪酸塩白土又は培養土２９が充填される吸水部１８と、該吸水部１８と連 通し底面に通水兼通気孔２０が設けられるとともに該通水兼通気孔２０を通じて 水が前記貯水部１２に滴るように構成された盛土部２２と、前記貯水部１２への 給水と前記盛土部２２の底面への通気を行う給水兼通気孔２４と、により構成さ れている。

【００２５】 また、本実施例における植物栽培容器構造は、前記植物栽培容器の吸水部に珪 酸塩白土を充填することにより構成されている。

【００２６】 上記植物栽培容器は、耐水性および高強度のプラスチック製であり、貯水部１ ２と盛土部２２の側面は一体的に成形されて外容器２６を構成し、また、吸水部 １８を該外容器２６に嵌合させることにより盛土部２２が形成されている。

【００２７】 また、吸水部１８は、貯水部１２の底面と接触する部分が波状となっており、 吸水が効率的に行われるようにしている。

【００２８】 植物栽培容器は、栽培する植物の種類や量等により適宜適切な大きさのものが 選択され、また、栽培植物８の根の伸長の強弱等により培養土１６の量や盛土部 ２２の深さが決められ、貯水部の深さも珪酸塩白土又は培養土２９の種類や充填 密度、植物の栽培に必要とされる培養土の水分量等により決められる。

【００２９】 通水孔１４および通水兼通気孔２０は、培養土１６が貯水部１２に流出しない 程度の大きさのものであって、また、通水や通気が十分行われる大きさにしてあ る。

【００３０】 給水兼通気孔２４は、本実施例においては４箇所に設けられており、また、こ の給水兼通気孔２４は、植物栽培容器の運搬が容易となるように運搬の際の取っ 手となるような大きさであるとともに貯水部１２への水差し２８による給水が容 易となる奥行きで成形されている。

【００３１】 次に、本考案に係わる植物栽培容器及び植物栽培容器構造の使用方法、使用状 況について説明する。

【００３２】 先ず、図３に分解して示してあるように、外容器２６に吸水部１８をぴったり と嵌合させ、盛土部２２を形成する。

【００３３】 つぎに、珪酸塩白土又は培養土２９を吸水部１８に間隙が少なくなるように念 入りに充填し、さらに盛土部２２に充填する。

【００３４】 つぎに、盛土部２２の培養土１６に所望の栽培植物８を植栽し、ジョウロ等を 使用して盛土部２２の上面からたっぷり散水する。

【００３５】 すると、通水兼通気孔２０から水が滴り貯水部１２に水が貯まるようになった ら散水を止める。

【００３６】 もし、散水しすぎてしまっても、給水兼通気孔から余剰水が排出されるので貯 水量が多すぎて盛土部２２の培養土１６が浸ってしまうことはなく、盛土部２２ の底面と貯水１０の液面には空間が常に保たれているので、通水兼通気孔２０お よび給水兼通気孔２４により盛土部２２底面側の培養土１６の空気流通が効率よ く行われる。

【００３７】 貯水部に水が貯まると、吸水部１８の珪酸塩白土又は培養土２９が通水孔１４ を通じてその水を吸収することが可能となる。

【００３８】 なお、散水により通水兼通気孔２０から水が滴るようになったら、水差し２８ を使用して給水兼通水孔２４から貯水部１２に直接施水してもよく、その場合に 、液体肥料等を混入することもできる。

【００３９】 このようにして、一連の植栽作業が終了し、以後は給水管理、施肥等をして植 物の成長を楽しむこととなるわけであるが、本考案に係る植物栽培容器は、貯水 部１２に水が貯まっている限り吸水部１８の珪酸塩白土又は培養土２９から盛土 部２２の培養土１６に水が供給されるので、その給水管理の手間が省け、数日家 を留守にするときも貯水１０を十分にしておけば植物を枯らすことがない。

【００４０】 さらには、雨が盛土部２２に降り注げば、散水のときと同様に水が貯水部１２ に貯まるので、晴天が続いて降雨量が少ない場合を除いて給水管理を行う必要が ない。

【００４１】 また、植栽した植物は、一定した水分補給により育てられ植物の根の生育環境 （湿度等）の激しい変動がなく、植物の根が伸長しすぎてしまうことがないので 、根切り作業や鉢変えなどの面倒な作業を要せずに少ない培養土（すなわち小型 容器）で園芸を楽しむことができ、団地のテラス等の狭い場所でも気軽且つ容易 に植物の成長が楽しめる。

【００４２】 また、通水兼通気孔２０および給水兼通気孔２４により盛土部２２底面側の培 養土１６の空気流通が効率よく行われるので、根腐れ等の発生がない。

【００４３】 さらには、本考案の植物栽培容器は不織布を使用していないので、植物の根が 該不織布に絡みついて面倒な根切り作業を要することがなく、植物の寿命が終わ って新たな植物の栽培を始めるときも、新しい不織布を購入するとかの消耗品を 要せず再度同じ容器で同様に植物栽培を行うことができる。

【００４４】 また、本実施例における植物栽培容器は、外容器の４側面にそれぞれ給水兼通 気孔２４が設けられているので、団地の狭いテラス等においていずれかの給水兼 通気孔２４が塞がれても何ら支障なく給水することができ、また、空気流通が損 なわれることもない。

【００４５】 以上本考案を実施例に基づいて説明してきたが、本考案はこれらに限定される わけではない。

【００４６】 例えば、植物栽培容器の形状は、図に示されている形状に限定されるわけでは なく、円柱形でも三角柱形でもよく、吸水部の形状も図４に示されるようなもの でもよい。

【００４７】 また、素材もプラスチックに限定されるわけではなく、金属製等でも勿論かま わない。

【００４８】 また、外容器と吸水部は、本実施例においては別部品となっているが、これを 一体的に成形しても勿論差し支えない。

【００４９】 また、通水孔、通水兼通気孔、給水兼通気孔の形、数、大きさ、配置方法など も図に示されたものに限定されず、網状のものや方形状などでも勿論よい。

【００５０】 さらに、培養土も栽培植物に合わせて任意の土壌を選択することができ、吸水 部と盛土部の培養土の種類を変えることもでき、また、混合土壌を使用してもよ い。

【００５１】 また、外容器と吸水部は一体化していないので、すなわち独立しているため、 市販の栽培容器の規格に適合させた吸水部にすることにより、該吸水部を市販の 該栽培容器に利用して植物栽培することもできる。

【００５２】

【考案の効果】

本考案に係わる植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、上記のように構成され ているため、以下に記載するような効果を有する。

【００５３】 （１）本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、給水管理が容易 であり、栽培者の長期不在等によって散水できずに植物を枯らしてしまうことが ないという優れた効果を有する。

【００５４】 （２）本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、培養土の空気流 通が効率よく行われるので、根腐れ等の発生が防止されるという優れた効果を有 する。

【００５５】 （３）本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、水分補給が一定 していて植物の根の生育環境（湿度等）の激しい変動がないので、植物の根が伸 長しすぎることがなく、面倒な鉢変えを要せず、手間が大幅に省けるという優れ た効果を有する。

【００５６】 （４）本考案における植物栽培容器構造は、吸水部に珪酸塩白土を使用するこ とにより、長期間水を貯えておいても根腐れや水腐れを抑え、植物の生育に優れ た効果を有する。

【００５７】 （５）本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、培養土が少なく て済むので、小型化が達成でき、団地のテラス等の狭い場所でも容易且つ気軽に 使用することができるという優れた効果を有する。

【００５８】 （６）本考案における植物栽培容器及び植物栽培容器構造は、不織布等の消耗 品を使用しないので、植物の寿命が終わって新たな植物の栽培を始めるときも、 新しい不織布を購入するとかの消耗品を要せず再度同じ容器で同様に植物栽培を 行うことができ、費用が大幅に節約されるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係わる植物栽培容器及び植物栽培容器
構造の実施例を示す断面図。

【図２】同実施例を示す分解斜視図。

【図３】同実施例を示す上面図。

【図４】同実施例における吸水部の他の一例を示す斜視
図。

【符号の説明】

８ 栽培植物 １０ 貯水 １２ 貯水部 １４ 通水孔 １６ 培養土 １８ 吸水部 ２０ 通気兼通水部 ２２ 盛土部 ２４ 給水兼通気孔 ２６ 外容器 ２８ 水差し ２９ 珪酸塩白土又は培養土

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 栽培用水を貯える貯水部と、通水孔を有
   して該貯水部の貯水に浸漬されるとともに培養土が充填
   される吸水部と、該吸水部と連通し底面に通水兼通気孔
   が設けられるとともに該通水兼通気孔を通じて水が前記
   貯水部に滴るように構成された盛土部と、前記貯水部へ
   の給水と前記盛土部の底面への通気を行う給水兼通気孔
   と、を有することを特徴とする植物栽培容器。
2. 【請求項２】 請求項１記載の植物栽培容器の吸水部に
   珪酸塩白土を充填したことを特徴とする植物栽培容器構
   造。