JPH06134414A - ワークの洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】ワークの洗浄効果の高い洗浄装置を提供する。 【構成】洗浄液が貯溜された洗浄槽と、洗浄槽の洗浄液
内に配置されるワークと、洗浄槽の洗浄液内に開口し、
ワークに向けて貯液槽内の洗浄液を噴射する噴射ノズル
とを備え、噴射ノズルよりワークに向けて洗浄槽内の洗
浄液を介して貯液槽内の洗浄液を噴射するワークの洗浄
装置において、噴射ノズル５の開口端部５Ｂとワーク７
との距離Ｌを、噴射ノズル５の噴射孔５Ｃの径ｄに対し
て５ｄから２０ｄの範囲とし、前記噴射孔５Ｃの径ｄと
ワーク７の噴射孔５Ｃに臨むワーク７の径Ｄとの比（Ｄ
／ｄ）を３以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、機械加工等によって形
成される物品の加工時における切粉、加工時に使用され
る切削油、研磨材等の異物を除去する為の洗浄装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】特開平３−１３９８３２号公報に示され
る従来の洗浄装置の問題点（洗浄槽内においてワークを
洗浄した後に洗浄槽よりワークを取り出す際、洗浄液に
混入される異物が再びワークに付着する恐れが有り、洗
浄効果が阻害される）を解決する洗浄装置として本件出
願人の発明になる洗浄装置（特願平４−１７７６２３
号）が有る。かかる洗浄装置は、ワークを固定的に取着
し、ワークに対して回転と直線方向の往復動を付与する
ワーク支持体と、洗浄液が貯溜される洗浄槽と、洗浄槽
内の上部にある洗浄液を洗浄槽外へ排出するオーバーフ
ロー手段と、洗浄槽内の下部洗浄液内に配置され、洗浄
液ポンプにて加圧された貯液槽内の洗浄液を下部洗浄液
内に配置されるワークに向けて噴射する噴射ノズルとを
備えたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は前記ワークの
洗浄装置において、更にワークの洗浄効果（ワークに付
着する異物の除去効率）を高めることにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、洗浄液
が貯溜された洗浄槽と、洗浄槽の洗浄液内に配置される
ワークと、洗浄槽の洗浄液内に開口し、ワークに向けて
貯液槽内の洗浄液を噴射する噴射ノズルとを備え、噴射
ノズルよりワークに向けて洗浄槽内の洗浄液を介して貯
液槽内の洗浄液を噴射するワークの洗浄装置において、
噴射ノズルの開口端部とワークとの距離Ｌを、噴射ノズ
ルの噴射孔の径ｄに対して５ｄから２０ｄの範囲とし、
前記噴射孔の径ｄとワークの噴射孔に臨むワークの径Ｄ
との比（Ｄ／ｄ）を３以上としたことによって達成され
る。

【０００５】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１により説明す
る。１は、内部に洗浄液Ｗを貯溜することのできる有底
状の洗浄槽であり、貯液槽２内の洗浄液Ｗが供給されて
貯溜される。貯液槽２内の洗浄液Ｗは、フィルター３を
介して洗浄液ポンプ４にて加圧され、この洗浄液Ｗが洗
浄槽１内に開口する噴射ノズル５より噴射供給され、一
方、洗浄槽１の上部に達した洗浄液Ｗは、オーバーフロ
ー通路６を介して貯液槽２内へ還流する。噴射ノズル５
は図２、図３にその実施例が示される。噴射ノズル５は
図２において左方の洗浄液噴射路５Ａ（洗浄液ポンプ４
に連なる）より洗浄液Ｗが加圧されて流入し、この洗浄
液Ｗは右方に形成される開口端部５Ｂに開口する噴射孔
５Ｃより洗浄槽１内へ噴射される。又、図３に示した噴
射ノズル５の実施例は、開口端部５Ｂに対しリセス孔５
Ｄが開口したもので洗浄液噴射路５Ａに連なる噴射孔５
Ｃをリセス孔５Ｄに開口させたものである。即ち、噴射
ノズル５の開口端部５Ｂは洗浄槽２内に開口され、噴射
孔５Ｃの洗浄槽１内への開口はリセス孔５Ｄを介して開
口させてもよい。図１における噴射ノズル５は、図２に
示された例を用いた。７は、洗浄すべきワークであって
ワーク支持体８にて支持され、ワーク７の洗浄すべき部
位が噴射ノズル５の噴射孔５Ｃに対向するとともにこの
ワーク７はワーク支持体８によって回転あるいは直線方
向に移動される。

【０００６】以上によると、ワーク７はワーク支持体８
にて支持されるとともに洗浄槽１内の洗浄液Ｗ中にあっ
て噴射ノズル５の噴射孔５Ｃに対向して配置されるもの
で、噴射ノズル５の噴射孔５Ｃから噴射される加圧され
た洗浄液Ｗは、洗浄槽１内の洗浄液Ｗを通ってワーク７
に達し、この間において摩擦によりキャビテーション気
泡を発生する。このキャビテーション気泡は、噴射孔５
Ｃより一定の距離において破壊して大きな衝撃圧を発生
するもので、この衝撃圧と噴射された洗浄液Ｗとの物理
的な直射力とによってワーク７の異物は完全に除去され
る。かかる洗浄時において除去された異物はキャビテー
ション作用後に残留する気泡とともに洗浄液Ｗの上方向
へ流れが指向し、洗浄槽１の上部開口１Ａよりオーバー
フロー通路６内へ排出される。而して、一定時間（例え
ば１０秒程度）経過後にワーク７を洗浄槽１より取り出
す際においてもワーク７は異物を含んだ洗浄液Ｗ中を通
過する危険が少ないので良好なワーク洗浄を行なうこと
ができた。

【０００７】以上の洗浄装置において、本願発明の発明
者は、種々の洗浄テストを行なった結果、噴射ノズル５
の開口端部５Ｂとワーク７に至る距離Ｌと、噴射ノズル
５の噴射孔５Ｃの径ｄと、ワーク７の噴射孔５Ｃに臨む
径Ｄとの比Ｐとを適正に選択することによって更に良好
なるワークの洗浄効果を得られることを見出した。ま
ず、噴射ノズル５の開口端部５Ｂとワーク７に至る距離
Ｌについては、５ｄから２０ｄの範囲が望ましいことが
判明した。（ｄは噴射ノズル５の噴射孔５Ｃの径であ
る。）すなわち、距離Ｌが５ｄ未満にあっては、噴射孔
５Ｃから噴射される洗浄液Ｗの物理的な直射力は大なる
も有効なるキャビテーション作用を利用しにくいととも
に強力な洗浄液Ｗの直射力を受ける為にワーク支持体８
によるワーク７の支持を強固にする必要が有り、ワーク
７の洗浄効果及び装置の製作性の点より好ましいもので
ない。又、距離Ｌを２０ｄ以上とすると、噴射孔５Ｃよ
り噴射される洗浄液Ｗのキャビテーション作用が減少傾
向を示すとともに装置全体が大型化して好ましいもので
ない。

【０００８】一方、噴射ノズル５の噴射孔５Ｃの径ｄ
と、ワーク７の噴射孔５Ｃに臨むワーク７の径Ｄとの比
Ｐは、３以上とするのが望ましい。

【数１】 このテストは以下の条件によって行なわれた。噴射孔５
Ｃからワーク７に向けて噴射される洗浄液噴射圧力・・
・１４ｋｇ／ｃｍ2 噴射ノズル５の開口端部５Ｂからワ
ーク７に至る距離Ｌ・・・１０ｄ（ｄ＝噴射ノズル５の
噴射孔５Ｃの径）かかる条件下において、噴射孔５Ｃの
径ｄと噴射孔５Ｃに臨むワーク７の径Ｄとを変化させた
際における除去効率を求めたもので、この除去効率Ａは
以下による。

【数２】 （異物除去長さＢは図５に示される）かかる除去効率Ａ
によれば、その値が大になるにつれて有効に異物が除去
されたことになる。以上によるテストの結果が図４に示
される。図４によると、噴射孔５Ｃの径ｄが１．５ｍ
ｍ、２ｍｍ、２．５ｍｍの何れであってもＰが３未満に
おいて急激に異物の除去効率Ａが低下するものでＰが３
以上において良好な異物の除去が行なえることが判明し
た。尚、ワーク７が複雑な形状を成す場合は、ワーク７
の噴射孔５Ｃに臨む部分のワーク７の平均径を言う。

【０００９】

【発明の効果】以上の如く、本発明になるワークの洗浄
装置によると、噴射ノズルの開口端部とワークとの距離
Ｌを、噴射ノズルの噴射孔の径ｄに対して５ｄから２０
ｄの範囲とし、前記噴射孔の径ｄとワークの噴射孔に臨
むワークの径Ｄとの比（Ｄ／ｄ）を３以上としたことに
よって、洗浄液中に噴射される洗浄液のキャビテーショ
ンのエネルギーを充分に活用でき、もってより一層効果
的なワークの洗浄を行なうことができるとともに洗浄装
置の製作性及び装置全体をコンパクトにまとめることが
できたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になるワークの洗浄装置の一実施例を示
す縦断面図である。

【図２】噴射ノズルの一実施例を示す要部縦断面図であ
る。

【図３】噴射ノズルの他の実施例を示す要部縦断面図で
ある。

【図４】（Ｄ／ｄ）と除去効率の関係を示す線図であ
る。

【図５】ワークと洗浄による異物の除去長さＢを示す説
明図である。

【符号の説明】

５ 噴射ノズル ５Ｂ 開口端部 ５Ｃ 噴射孔 ７ ワーク ｄ 噴射孔の径 Ｄ ワークの径

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗浄液が貯溜された洗浄槽と、洗浄槽の
   洗浄液内に配置されるワークと、洗浄槽の洗浄液内に開
   口し、ワークに向けて貯液槽内の洗浄液を噴射する噴射
   ノズルとを備え、噴射ノズルよりワークに向けて洗浄槽
   内の洗浄液を介して貯液槽内の洗浄液を噴射するワーク
   の洗浄装置において、噴射ノズル５の開口端部５Ｂとワ
   ーク７との距離Ｌを、噴射ノズル５の噴射孔５Ｃの径ｄ
   に対して５ｄから２０ｄの範囲とし、前記噴射孔５Ｃの
   径ｄとワーク７の噴射孔５Ｃに臨むワーク７の径Ｄとの
   比（Ｄ／ｄ）を３以上としてなるワークの洗浄装置。