JPH06129496A

JPH06129496A - チェーン式動力伝動用ベルト

Info

Publication number: JPH06129496A
Application number: JP30750892A
Authority: JP
Inventors: Katsuyuki Hioki; 勝行日置; Shoji Tsuji; 勝爾辻; Hiromi Michikura; 宏巳道倉; Yasutsugu Kunihiro; 康嗣国広; Takashi Masuda; 孝益田; Tadashi Fujita; 忠藤田
Original assignee: R K EKISERU KK; Mitsuboshi Belting Ltd
Current assignee: R K EKISERU KK; Mitsuboshi Belting Ltd
Priority date: 1992-10-20
Filing date: 1992-10-20
Publication date: 1994-05-10

Abstract

(57)【要約】【目的】センターピンとリンクプレートとのラジアル
方向の相対移動を最小にして、センターピンとリンクプ
レートとの転動面での摺動を円滑にして摩耗の発生を抑
えて低騒音化をはかる。【構成】リンクプレート２群をピンによって長手方向
に屈曲自在に連結し、最外側に位置するリンクプレート
２から突出したピンの両端部をプーリ壁面に当接させる
ようにしたチェーン式動力伝動用ベルトにおいて、転動
面８から突出した棚部９を設けたセンターピン４とサイ
ドピン１２とをリンクプレート２の開口部に挿入嵌合し
てセンターピン４とサイドピンの転動面８での接触を少
なくとも部分的に接触させるような構成を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はチェーン式動力伝動用ベ
ルトに係り、更に詳しくは、低騒音下で車の高速走行が
可能なチェーン式動力伝動用ベルトに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】今日、自動車の無段変速装置に適用され
る高負荷伝動用ベルトとしては、ゴム製Ｖベルト、金属
チェーン及び金属ベルト等が提案されている。このう
ち、金属チェーンベルトは複数のリンクプレート群がピ
ンによって屈折自在に結合され、このピンの間にＶベル
トと接触するテーパー面を有するＶ形ブロックを嵌入し
た構成になっている。また、同種ベルトとしてリンクプ
レート群を連結するピンの両端をテーパー面にしてＶプ
ーリの壁面に係合させるベルトも提案されている。そし
て、この種のベルトはピンの径を大きくすることによっ
て充分な動力を伝達することが可能であることはよく知
られている。

【０００３】更に、他のチェーンベルトとして、複数の
リンクプレート群を連結しているピンの両端部に自由動
可能なチップ体を装着し、ベルトをプーリに進入させる
際にチップ体の端面をプーリの側壁に適合させ、または
チップ体自身を回転させることにより、ベルトがプーリ
へ進入する際の振動、ローリングあるいは両者の衝突を
緩和させるベルトも知られており、これらは何れも実用
化の試みが進められている。

【０００４】一方、上記各ベルトと並行して最近ではベ
ルトの重量を軽量化して高速走行が可能なベルトも提案
されている。例えば、米国特許第４，５４３，０８１号
明細書、米国特許第４，９８６，７９８号明細書、ある
いは欧州特許公開第００６０００８号公報等にそれぞれ
開示されている。これらのベルトの特徴は、プーリ壁面
に当接する傾斜面を有するセンターピンをリンクプレー
トの開口部に挿入するとともに、リンクプレートの開口
部に設けた凸状突起に嵌合したサイドピンによって該セ
ンターピンを両側面から挟持した構成となっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
各種高負荷伝動ベルトのうち、特に重量を軽量化してセ
ンターピンをサイドピンで挟持する構造をもつベルトを
対象とし、その改良を図るものである。即ち、上記ベル
トはプーリに進入して巻きかかる時、該リンクプレート
の開口部に嵌着されたサイドピンは、リンクプレートの
傾斜に従ってセンターピンを挟持しながら転動し、この
ためセンターピンとサイドピンの接点位置は、相対的に
移動するので、リンクプレートの開口部にはセンターピ
ンに対して上下方向にこの移動代を吸収するためのクリ
アランスを設けておく必要性があった。

【０００６】ところが、ベルト運転中はプーリとセンタ
ーピンとのプーリ当接面の摩擦係数や、プーリ推力の変
化、伝達トルクの変動、及びそれに伴うベルトの振動、
あるいは駆動、従動プーリ間のミスアライメントによる
ベルト傾斜走行等の原因により、センターピンはこのク
リアランスの中で揺れ動く、即ち、実際的にはプーリに
進入した時点において、センターピンはアライメントさ
れて、サイドピンを含めたリンクが揺動するという現象
が起こって、センターピンとサイドピンは当接面間で相
互に揺動し、ベルト伝達効率の低下と摩擦による発熱
や、該当接面での摩耗促進、ノイズ発生等の種々の不具
合を引き起こしていた。

【０００７】かかる如く、従来のベルトでは、センター
ピンとこれを嵌着するピン孔との間にクリアランスを設
けていても、センターピンとリンクピンとの間ではラジ
アル方向の相対移動を許容する構造となっている。した
がって、この構造では、騒音の発生を抑制したスムーズ
な転動は得られず、高速タイプのチェーンベルトとして
不適であった。

【０００８】本発明者等は、上述の如き実状に鑑み、上
記の如きベルト伝達効率の低下、発熱・摩耗問題等につ
き総合的にその原因究明を進め、これに対する解決策を
考究すべく鋭意検討を行った。その結果、リンクプレー
ト開口部にセンターピンとサイドピンを挿入して転動す
るに際し、リンクプレート開口部内面とセンターピン・
サイドピンとの接触領域、特にセンターピンとサイドピ
ンの相互接触作用と空隙部との相関性について知見する
に至った。

【０００９】かくして、本発明は、上記知見にもとづき
なされたものである。即ち、本発明はセンターピンとサ
イドピンとの転動時においてセンターピンとリンクプ
レートとのラジアル方向の相対移動を最小にし、センタ
ーピンとリンクプレートとの転動面での摺動を円滑にす
ることにより、磨耗の発生を回避してしかも低騒音下で
円滑に転動できるチェーン式動力伝動用ベルトを提供す
ることを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】しかして、上記目的に適
合する本発明の特徴とするところは、リンクプレート群
をピンによって長手方向に屈曲自在に連結し、最外側に
位置するリンクプレートから突出したピンの両端部をプ
ーリ壁面に当接させるようにしたチェーン式動力伝動用
ベルトにおいて、プーリ壁面に当接する傾斜面を有する
センターピンをリンクプレートの開口部に挿入するとと
もに該センターピンに転動面から突出した棚部を設け、
リンクプレートの開口部に嵌合したサイドピンによって
前記センターピンをその転動面で挟持し、更に上記セン
ターピンに棚部を設けることによりサイドピンをセンタ
ーピンの転動面で少なくとも部分的に接触させてなるチ
ェーン式動力伝動用ベルトにある。

【００１１】

【作用】本発明のチェーン式動力伝動用ベルトでは、リ
ンクプレートの開口部に嵌合したサイドピンがセンター
ピンをその転動面で挟持し、しかもこのセンターピンに
棚部を設けることによりセンターピンの転動面に常時接
触している。ベルト長手方向に対して無屈曲時において
は、サイドピンはセンターピンの棚部の全領域とセンタ
ーピンの転動面で部分的に接触し、また屈曲時において
は、サイドピンはセンターピンの棚部と転動面の２ケ所
で局部的に接触する。即ち、センターピンの棚部とサイ
ドピンとの接触現象は、上記のとおり全領域から一部分
接触の範囲で変動するのである。したがって、サイドピ
ンはセンターピンのラジアル方向の動きを最小限にくい
止めることとなり、センターピンとサイドピンとは転動
面で摺動せず、静かに円滑に転動する。

【００１２】

【実施例】以下、更に本発明の実施例を添付図面に従っ
て詳細に説明する。

【００１３】図１は本発明に係るチェーン式動力伝動用
ベルトの平面図、図２は図１の側面図、図３は図１のＡ
−Ａ部分断面図、そして図４〜図５は本発明に係るチェ
ーン式動力伝動用ベルトに用いる構成部品の各平面図で
ある。

【００１４】これによると、このチェーン式動力伝動用
ベルト（１）は、２つの開口部（３）を有する板状のリ
ンクプレート（２）を、ベルトの長手方向において所定
のピッチで夫々平行に配列され、しかもベルトの幅方向
においては、これらのリンクプレートの開口部（３）の
両側部は互いに一致させてリンクプレートの両側部に閉
鎖した状態でピン孔（５）を形成するように配置され
る。またこのピン孔（５）にはセンターピン（４）を挿
入することによりベルト長手方向に屈曲可能に連結さ
れ、エンドレスに構成されている。

【００１５】センターピン（４）は、プーリ壁面に当接
する傾斜面（７）と、両側部に凸状に湾曲した転動面
（８）とこの転動面（８）から突出した凸状に湾曲した
棚部（９）を有している。そして、上記リンクプレート
の開口部（３）の両側部には凹状溝部（１０）が設けら
れ、突起部（１１）を有するサイドピン（１２）がこれ
に嵌合してセンターピン（４）に当接してこれを両側よ
り挟持している。

【００１６】センターピン（４）の転動面（８）に相対
面するサイドピン（１２）は、平坦面になっている。こ
れによってベルトがプーリに巻き掛かる際、リンクプレ
ート（２）の傾斜角度αに応じてサイドピン（１２）が
センターピン（４）の転動面（８）に摺動せずにスムー
ズに転動する。勿論、サイドピン（１２）とセンターピ
ン（４）の接触部においては、サイドピン（１２）とセ
ンターピン（４）とが転がり摩擦によって転動すればよ
いので、センターピン（４）とサイドピン（１２）の両
方を凸状の湾曲面にしてもよい。

【００１７】また、上記センターピンの棚部（９）は転
動軌跡包絡線に最も近い曲線になっている。一方、サイ
ドピン（１２）の下面は円弧状とする。これによりサイ
ドピン（１２）は転動面（８）で摺動せずに円滑に回動
する。本発明におけるセンターピンの棚部の存在は重要
である。

【００１８】サイドピン（１２）は、無屈曲時（スパン
部に位置する時）においては、常時このセンターピンの
棚部（９）とほぼ全面で接触した状態で設置していると
ともに、センターピンの転動面（８）では局部的に接触
している。一方、屈曲時においては、サイドピン（１
２）は、センターピンの転動面（８）で局部的に接触し
ながら転動し、かつセンターピンの棚部（９）と局部的
に接触する。

【００１９】このため、センターピン（４）とサイドピ
ン（１２）との接触位置は、常に変動するが、常に２か
所となり、サイドピン（１２）はセンターピン（４）の
ラジアル方向の動きを最小限にくい止めることとなり、
センターピン（４）とサイドピン（１２）との転動面
（８）での摺動を避けることができ、そのために円滑な
転動を可能にする。

【００２０】ただ、屈曲時においては、サイドピン（１
２）の底面とセンターピンの棚部（９）との接触部で摺
動が発生する可能性がある。しかしながら、センターピ
ン（４）とサイドピン（１２）間の圧接力の最も大きい
転動面（８）の摺動がなくなるために、より高速下でも
運転可能なベルトとなる。

【００２１】また、図６に示すようにベルトが屈曲して
いないときは、センターピン（４）の転動面（８）とサ
イドピン（１２）との接触位置が、転動面（８）の曲率
半径Ｒの中心点Ｐより下側に位置することによって、リ
ンクプレート（２）の張力からセンターピン（４）に上
向きの分力（Ｆｃ）が発生する。このため、常時センタ
ーピン（４）の棚部（９）はサイドピン（１２）の底面
と接触して、安定した位置を維持する。

【００２２】前記サイドピン（１２）は、センターピン
（４）とほぼ同じ長さであってもよく、また短くしても
よい。そしてサイドピン（１２）はリンクプレート
（２）とは、９０°以内の傾斜角で当接している。

【００２３】また、図５に示すコ字状のリンククリップ
（１４）が、各リンクプレート（２）の中央部に設けた
上下の切り溝（１５），（１５）に嵌着して、それぞれ
リンクプレート（２）群のベルト幅方向への移動を阻止
している。

【００２４】

【発明の効果】本発明は以上のようにベルト長手方向に
対して無屈曲時においては、リンクプレート開口部にお
いてサイドピンはセンターピンの棚部の全領域とセンタ
ーピンの転動面で部分的に接触し、また屈曲時において
はサイドピンはセンターピンの棚部と転動面の２か所で
局部的に接触するような構成であるため、サイドピンは
センターピンのラジアル方向の動きを最小限にくい止め
ることとなって、センターピンとサイドピンとは転動面
では相互に摺動せず、静かに円滑に転動するので、摩耗
を回避した低騒音下での高速回転性能の向上を達成する
という効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によって構成されるチェーン式動力伝動
用ベルトの１例を示す部分平面図である。

【図２】図１の部分側面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ部分切欠き断面図である。

【図４】本発明のチェーン式動力伝動用ベルトに使用す
るリンクプレートの平面図である。

【図５】本発明のチェーン式動力伝動用ベルトに使用す
るリンククリップの平面図である。

【図６】図２の部分拡大図である。

【符号の説明】

（２）リンクプレート（３）開口部（４）センターピン（５）ピン孔（８）転動面（９）棚部（１０）凹状溝部（１１）突起部（１２）サイドピン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者道倉宏巳神戸市長田区浜添通４丁目１番21号三ツ星ベルト株式会社内 (72)発明者国広康嗣神戸市長田区浜添通４丁目１番21号三ツ星ベルト株式会社内 (72)発明者益田孝神戸市長田区浜添通４丁目１番21号三ツ星ベルト株式会社内 (72)発明者藤田忠東京都豊島区西池袋５丁目13番13号株式會社アールケー・エキセル内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】リンクプレート群をピンによって長手方
向に屈曲自在に連結し、最外側に位置するリンクプレー
トから突出したピンの両端部をプーリ壁面に当接させる
ようにしたチェーン式動力伝動用ベルトにおいて、プー
リ壁面に当接する傾斜面を有するセンターピンをリンク
プレートの開口部に挿入するとともに該センターピンに
転動面から突出した棚部を設け、リンクプレートの開口
部に嵌合したサイドピンによって前記センターピンをそ
の転動面で挟持し、更に上記センターピンに棚部を設け
ることによりサイドピンをセンターピンの転動面で少な
くとも部分的に接触させることを特徴とするチェーン式
動力伝動用ベルト。
【請求項２】無屈曲時において、センターピンの棚部
の全領域とセンターピンの転動面でサイドピンが部分的
に接触し、また屈曲時においてサイドピンがセンターピ
ンの棚部と転動面の２か所で局部的に接触する請求項１
記載のチェーン式動力伝動用ベルト。