JPH06125789A - 加水分解による光学活性1−アリール−1,3−プロパンジオールの製造方法 - Google Patents

加水分解による光学活性1−アリール−1,3−プロパンジオールの製造方法

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JPH06125789A
JPH06125789A JP30068592A JP30068592A JPH06125789A JP H06125789 A JPH06125789 A JP H06125789A JP 30068592 A JP30068592 A JP 30068592A JP 30068592 A JP30068592 A JP 30068592A JP H06125789 A JPH06125789 A JP H06125789A
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lipase
aryl
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propanediol
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JP30068592A
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Kazutoshi Miyazawa
和利 宮沢
Naoyuki Yoshida
尚之 吉田
Mitsuyo Sugiura
光代 杉浦
Yasuyuki Koizumi
靖幸 小泉
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JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、式 【化1】 で示されるラセミ体の1−アリ−ル−1,3−ジアセト
キシプロパンを固定化リパ−ゼにより立体選択的に加水
分解することを特徴とする、光学活性なRまたはS−1
−アリ−ル−1,3−プロパンジオ−ルの新規な製造方
法である。 【効果】 温和な反応条件、簡単な後処理により光学活
性なRまたはS−1−アリ−ル−1,3−プロパンジオ
−ルを製造することが可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性な生理活性化合
物、特に抗欝剤として強い薬理活性を示すトモキセチ
ン、フルオキセチンなどの出発原料として有用な光学活
性1−アリール−1,3−プロパンジオールの製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【化4】
【0004】式(5)で示されるフルオキセチン、式
(6)で示されるトモキセチンは強い抗欝作用を示すこ
とが知られているが、不斉炭素を有するため2種の光学
異性体が存在する。このうち抗欝剤として効果があるの
はS体に限られており、実用に際してはS体のみを用い
ることが好ましく、ラセミ体あるいは低い光学純度を用
いたとき充分な生理活性を示さないことは明かである
(Drugs Future, 11, 134(1986)、S. I. Ankier, Prog.
Med. Chem., 23, 121 (1986)) 。
【0005】特に、現在実用に供されているフルオキセ
チンはラセミ体であり、光学活性体の使用が待望されて
いる(D. S. Risley et al., Analytical Profiles of
DrugSubstances, 19, 193 (1990))。光学活性トモキセ
チン(6)、フルオキセチン(5)を製造する場合、光
学活性1−フェニル−1,3−プロパンジオール(7)
が、出発原料として有用である。光学活性1−フェニル
−1,3−プロパンジオール(7)を出発原料として光
学活性トモキセチン(6)、フルオキセチン(5)を製
造する方法として次の方法が知られている(Y. Gao and
K. B. Sharpless, J. Org. Chem., 53, 4081(1988)。
【0006】
【化5】 例えば、光学活性1−フェニル−1,3−プロパンジオ
ール(7)にメタンスルホニルクロリドを作用し、メシ
レート(8)としたのち、アミド(9)体に誘導する。
更にp−トリフルオロメチルクロロベンゼンを作用し光
学活性フルオキセチン(5)が製造できる。実用に際し
ては塩化水素ガスで処理した塩酸塩(10)を使用する。
【0007】この様に、光学活性1−フェニル−1,3
−プロパンジオール(7)を用いることによって対応す
る光学活性フルオキセチン(5)、トモキセチン(6)
が効率よく製造できるが、出発物質となる光学活性1−
フェニル−1,3−プロパンジオール(7)を効率的に
製造する方法は余り知られていない。現在知られている
製造方法には、光学収率が低い、生成物の化学純度が低
い、反応条件が厳しい等の問題点がありそれらの問題点
の解決された製造方法が待望されている。
【0008】
【化6】
【0009】例えば、ガオらは、ケイ皮アルコール(1
1)をシャープレス酸化して得た光学活性エポキシアル
コール(12)をRed−Al還元して光学活性1−フェ
ニル−1,3−プロパンジオール(7)を得ているが、
この還元反応の位置選択性は決して良いものではなく、
1,3−ジオール(7)と1,2−ジオール(13)の生
成比が 4.5:1〜22:1であり、実用的であるとはいい
がたい(Y. Gao and K.B. Sharpless, J. Org. Chem.,
53, 4081(1988))。
【0010】
【化7】
【0011】(但し、上式においてRは炭素数2〜12の
アシル基を示す。) また、ラセミ体の1−フェニル−1,3−プロパンジオ
ール(14)にリパーゼの存在下、ビニルエステルを作用
し立体選択的エステル交換反応を行い、光学活性なモノ
エステル(15) 、ジエステル(16)を得ることを特徴と
する光学活性1−フェニル−1,3−プロパンジオール
の製造方法も知られている。しかし、 i)得られたエステル類(15)、(16)の分離にカラム
クロマトグラフィー、蒸留等煩雑な操作が必要なこと、 ii)(15)、(16)を光学活性1−フェニル−1,3−
プロパンジオールに誘導するためにエステルの加水分解
工程が増えること、 iii)酵素反応においてアシルドナーとしてビニルエステ
ルが必要となることなど問題点が数多くある(宮沢ら、
特願平3−162410) 。
【0012】また、トモキセチン(6)、フルオキセチ
ン(5)のフェニル基(原料の1−フェニル−1,3−
プロパンジオール骨格に由来するフェニル基)上に置換
基の導入されたアナローグの生理活性については、まだ
あまり検討されていないが、類似の骨格を有しており同
様の薬理活性が期待されるばかりではなく、置換基効果
により更に強い生理活性の発現も期待できる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗欝剤とし
て有用な光学活性フルオキセチン及びその類縁体の合成
中間体として重要な光学活性1−アリール−1,3−プ
ロパンジオールを得ることができる簡便な製造法を提供
しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、式
【0015】
【化8】
【0016】(但し上式において、Xはフッ素原子もし
くは水素原子を、Acはアセチル基を示す。)で表され
るラセミ体の1−アリール−1,3−ジアセトキシプロ
パンをリパーゼの存在下水中で加水分解し、次式
【0017】
【化9】
【0018】(但し(2)式、(3)式、(4)式にお
いてX、Acは前記と同一の意味を示す。)で表される
混合物としたのち(4)式の化合物を単離することを特
徴とする式
【0019】
【化10】
【0020】(但し上式において、Xはフッ素原子もし
くは水素原子を、Acはアセチル基を示す。)で表され
る光学活性1−アリール−1,3−プロパンジオールの
製造方法である。本発明の反応は、ラセミ体の1−アリ
ール−1,3−ジアセトキシプロパン、リパーゼ、水の
混合物を攪はんすることによって行われるが、反応液の
pHをリパーゼの至適pHに保ちさえすれば、他に留意
する点は一切ない。
【0021】反応終了後、目的物は次の様な簡便な方法
で取り出すことができる。すなわち反応液から減圧蒸留
により水を除去し得られた残査を有機溶媒から再結晶す
ることによって光学活性1−アリール−1,3−プロパ
ンジオールを得ることができる。本発明の方法に用いる
ラセミ体の1−アリール−1,3−ジアセトキシプロパ
ン(1)は種々の方法によって製造されるが、例えば次
の様な経路によって製造するのが工業的に有利である。
【0022】
【化11】
【0023】(但し上式に於て、Xはフッ素原子もしく
は水素原子を、Acはアセチル基を示す。) すなわち、アセトフェノン(17)、炭酸ジエチル(18)
から容易に得られるベンゾイル酢酸エチル(19)を還元
し、得たジオール(20)をアセチル化することによっ
て、
【0024】
【化12】
【0025】あるいはスチレン(21)を硫酸中ホルムア
ルデヒドと処理して得た4−フェニル−1,3−ジオキ
サン(22)をルイス酸の存在下無水酢酸で開環すること
によって(1)が製造できる。本発明の製造方法におい
て反応温度は0℃ないし 100℃であるが、好ましくは10
℃ないし50℃である。
【0026】反応時間は1時間ないし 1,000時間である
が、使用するリパーゼの量、反応温度、攪はん効率によ
って増減する。使用するリパーゼの量は基質の 0.1ない
しは 500重量%であるが、好ましくは1ないし 200重量
%である。ラセミ体の1−アリール−1,3−ジアセト
キシプロパンに作用し加水分解反応を触媒するリパーゼ
であればいずれの種類のリパーゼでも使用することがで
きるが、種類によってその特性が違うので目的にあわせ
て使用するリパーゼを選択しなければならない。表1に
種々のリパーゼを用い本発明の方法によって得られた光
学活性1−フェニル−1,3−プロパンジオール(4)
の立体化学、反応率(モル%)、光学収率(%ee)、
立体選択性(E)を示した。
【0027】
【表1】
【0028】E= 200・反応率/光学純度 すなわち、化学収率、光学収率とも理論値である場合、
つまり反応率50%、光学収率 100%eeである場合立体
選択性(E)は100 となる。 *2:基質として1−フェニル−1,3−ジアセトキシ
プロパンを用いた。 *3:基質として1−(4−フルオロフェニル)−1,
3−ジアセトキシプロパンを用いた。
【0029】表1に示したようにリパーゼの種類を選択
することによりR体、S体いずれの光学活性1−アリー
ル−1,3−プロパンジオールをも任意につくり分ける
ことができる。また、表中に示した立体選択性(E)か
らR体の光学活性1−アリール−1,3−プロパンジオ
ールを得るためには、リパーゼB(サッポロビール)、
リパーゼPS(天野製薬)、リパーゼ(東洋醸造)、リ
パーゼOF(名糖産業)、リパーゼ(東洋紡)が、S体
の光学活性1−アリール−1,3−プロパンジオールを
得るためには、リパーゼLE40(ヘンケル)、パラタ
ーゼA(ノボ)、リパーゼA(天野製薬)が好適である
ことがわかる。
【0030】更に、使用したリパーゼを再利用するため
には、固定化リパーゼを用いることが有効である。固定
化担体としては吸着型担体、包括型担体のいずれでも使
用できる。吸着型担体としてはセライト、白土、活性
炭、セルロ−ス及びその誘導体、イオン交換樹脂等があ
り、包括型担体としては光硬化樹脂、寒天、アルギン酸
カルシウム、κ−カラギーナン等がある。好ましくは吸
着型担体としてはイオン交換樹脂アンバーライトXAD
−8、IRA−900(ローム・アンド・ハース社)、
ダウェックスMWA−1(ダウ・ケミカルカンパニ
ー)、包括型担体としてはκ−カラギーナンである。な
かでも繰り返し使用の面で好ましいのは、固定化担体と
してアンバーライトXAD−8、包括型担体としてκ−
カラギーナンが挙げられる。
【0031】本発明で使用する固定化リパーゼを製造す
るためには、まずリパーゼをイオン交換水、蒸留水ない
しは緩衝溶液に分散させる。吸着型担体を用いる場合は
上記溶液に担体を分散しリパーゼを吸着させ固定化リパ
ーゼとする。包括型担体を用いる場合は上記溶液に担体
モノマーを混合したのち重合を行い固定化リパーゼとす
る。
【0032】反応終了後、固定化リパーゼは濾過あるい
は傾斜法により反応系内から回収でき、そのまま処理す
ることなく次の反応に用いることができる。本発明の方
法において、もちろん固定化していないリパーゼを用い
ることも可能である。この場合も得られる光学活性1−
アリール−1,3−プロパンジオールの光学純度、収
率、立体選択性は固定化リパーゼを用いたときとなんら
変わりない。
【0033】本反応に使用する水は、イオン交換水、蒸
留水ないしは緩衝溶液が適当であり、またその量は基質
であるラセミ体の1−アリール−1,3−ジアセトキシ
プロパンの10重量%ないし 100倍であるが、反応効率を
考慮した場合、好ましくは1ないし10倍である。また、
反応の進行にともない遊離した酢酸によって系内が酸性
になるが、リパーゼの失活を防ぐため系内をリパーゼの
至適pHに保つ必要がある。その手段としてはリパーゼ
の至適pHに調整した緩衝溶液を使用する方法、水酸化
ナトリウム水溶液を適時滴下して系内のpHをリパーゼ
の至適pHに保つ方法がある。
【0034】反応終了後、水を減圧蒸留することによっ
て得た粗製物である残査から光学活性1−アリール−
1,3−プロパンジオールを取り出す方法は特願平3−
332733号記載の方法に従い再結晶法を用いることによっ
て行われる。すなわち、上記残査に適当な溶媒、好まし
くはトルエン、ヘプタン、酢酸エチル及びそれらの混合
物、を加え加熱溶解したのち冷却し析出した結晶を濾集
することにより光学活性1−アリール−1,3−プロパ
ンジオールを収得することができる。またこの再結晶過
程において光学純度を向上せしめることができるので、
リパーゼを用いた加水分解反応が必ずしも 100%の立体
選択性で進行する必要はない。
【0035】
【発明の効果】本発明における製造方法の効果を次に列
記する。 (1)本発明の製造方法は加水分解反応であるので、水
分の混入を気にすることなく開放系で反応が行える。 (2)温和な反応温度(室温付近)で反応が行える。 (3)リパーゼを固定化した場合、リパーゼの回収・再
利用ができる。 (4)反応系からの目的物の取り出しが容易である。溶
媒を留去したのち残渣を再結晶するだけでよい。
【0036】
【実施例】以下更に本発明を代表的な実施例により説明
する。実施例中における光学活性な1−アリール−1,
3−プロパンジオールの光学純度はつぎの2方法のいず
れかで決定した。 方法1 光学分割カラムでR体とS体が分離可能な場合は、光学
分割カラムを用いた液体クロマトグラフィーによって光
学純度を決定した。光学分割カラムとしてはキラルセル
OB(ダイセル化学工業株式会社)が好適であった。
【0037】方法2 光学分割カラムでR体とS体が分離不可能な場合には、
次のスキームにしたがって1−アリール−1,3−プロ
パンジオール(4)と(−)−メントンより合成したジ
アステレオマー(23)をキャピラリーガスクロマトグラ
フィーにより分析することにより光学純度を算出した。
【0038】
【化13】
【0039】実施例1 リパーゼPS(天野製薬)30g、1/15Mリン酸緩衝
液(pH 7.0)300mlの混合物を20時間攪拌したのちガ
ラスフィルターを用いて不溶物を濾別し濾液にリパーゼ
水溶液 230mlを得た。一方κ−カラギーナン 9.2gをイ
オン交換水300mlに加熱溶解し約50℃まで放冷した。こ
のものにリパーゼ水溶液 230mlを混合したのち、5%塩
化カリウム水溶液5Lに滴下しカラギーナンビーズとし
て固定化リパーゼ 460gを得た。
【0040】ラセミ体の1−フェニル−1,3−ジアセ
トキシプロパン 300g、上記製法で得た固定化リパーゼ
460g、1/1.5 Mリン酸緩衝液(pH 7.0)3Lの混
合物を37〜40℃で 140時間攪拌したのち固定化リパーゼ
を濾別した。濾液より減圧蒸留により水を留去し、残査
として 251gの油状物を得た。ガスクロマトグラフィ
ー、及び液体クロマトグラフィー分析によりこの油状物
に73%eeのR−1−フェニル−1,3−プロパンジオー
ルが39モル%含まれていることが判った。
【0041】この残査をトルエン90mlで1回、100ml で
1回再結晶することにより無色針状結晶のR−1−フェ
ニル−1,3−プロパンジオール48gを得た。 [α]D 28 +68.8°(c1.0, CHCl3) 融点:61.5〜63.1℃1 H−NMR(90MHz, CDCl3, 内部標準TMS); δ:7.34(s, 5H), 4.94(q, 1H), 3.84(t, 2H), 2.65
(brs, 2H), 2.07〜1.92(m, 2H) また、前述の光学純度決定方法1により光学分割カラム
を用いた液体クロマトグラフィーを使用して光学純度を
測定したところ99.1%eeであった。 (測定条件、カラム:キラルセルOB(25cm×0.46cm、
ダイセル化学工業株式会社製) 溶媒:ヘキサン/イソプロパノール(9/1) 流速:0.5ml/min 実施例2 実施例1と同様に製造したリパーゼ水溶液 230ml、イオ
ン交換樹脂アンバーライトXAD−8(ローム・アンド
・ハース社)600gの混合物を20時間攪拌したのち、イ
オン交換樹脂を濾過により集め固定化リパーゼ 860gを
得た。
【0042】ラセミ体の1−フェニル−1,3−ジアセ
トキシプロパン 300g、上記製法で得た固定化リパーゼ
430g、1/1.5 Mリン酸緩衝液(pH7.0 )3Lの混
合物を用いて実施例1と同様に反応・後処理を行い、R
−1−フェニル−1,3−プロパンジオール45gを得
た。また実施例1と同様に光学純度を測定したところ、
99.0%eeであった。
【0043】実施例3 実施例2で用いたイオン交換樹脂アンバーライトXAD
−8(ローム・アンド・ハース社)の代わりにイオン交
換樹脂アンバーライトIRA−900(ローム・アンド・ハ
ース社)を用いて実施例1と同様に反応・後処理を行
い、R−1−フェニル−1,3−プロパンジオール46g
を得た。また、実施例1と同様に光学純度を測定したと
ころ99.0%eeであった。
【0044】実施例4 実施例2で用いたイオン交換樹脂アンバーライトXAD
−8(ローム・アンド・ハース社)の代わりにイオン交
換樹脂ダウェックスMWA−1(ダウ・ケミカルカンパ
ニー)を用いて実施例1と同様に反応・後処理を行い、
R−1−フェニル−1,3−プロパンジオール51gを得
た。また、実施例1と同様に光学純度を測定したところ
99.2%eeであった。
【0045】実施例5 リパーゼPSの代わりにリパーゼ(東洋紡)を用いて実
施例1と同様に加水分解反応を行った。ガスクロマトグ
ラフィー、及び液体クロマトグラフィー分析より得られ
た粗製物中に83%eeのR−1−フェニル−1,3−プロ
パンジオールが55モル%含まれていることが判った。
【0046】実施例6 リパーゼPSの代わりにリパーゼB(サッポロビ−ル)
を用いて実施例1と同様に加水分解反応を行った。ガス
クロマトグラフィー、及び液体クロマトグラフィー分析
より得られた粗製物中に87%eeのR−1−フェニル−
1,3−プロパンジオールが31モル%含まれていること
が判った。
【0047】実施例7 リパーゼPSの代わりにリパーゼLE40(ヘンケル)を
用いて実施例1と同様に加水分解反応を行った。ガスク
ロマトグラフィー、及び液体クロマトグラフィー分析よ
り得られた粗製物中に69%eeのS−1−フェニル−1,
3−プロパンジオールが46モル%含まれていることが判
った。
【0048】実施例8 リパーゼPSの代わりにパラターゼA(ノボ)を用いて
実施例1と同様に加水分解反応を行った。ガスクロマト
グラフィー、及び液体クロマトグラフィー分析より得ら
れた粗製物中に59%eeのS−1−フェニル−1,3−プ
ロパンジオールが44モル%含まれていることが判った。
【0049】実施例9 リパーゼPSの代わりにリパーゼA(天野製薬)を用い
て実施例1と同様に加水分解反応を行った。ガスクロマ
トグラフィー、及び液体クロマトグラフィー分析より得
られた粗製物中に59%eeのS−1−フェニル−1,3−
プロパンジオールが36モル%含まれていることが判っ
た。
【0050】実施例10 リパーゼPSの代わりにリパーゼ(東洋醸造)を用いて
実施例1と同様に加水分解反応を行った。ガスクロマト
グラフィー、及び液体クロマトグラフィー分析より得ら
れた粗製物中に43%eeのR−1−フェニル−1,3−プ
ロパンジオールが53モル%含まれていることが判った。
【0051】実施例11 リパーゼPSの代わりにリパーゼOF(名糖産業)を用
いて実施例1と同様に加水分解反応を行った。ガスクロ
マトグラフィー、及び液体クロマトグラフィー分析より
得られた粗製物中に41%eeのR−1−フェニル−1,3
−プロパンジオールが46モル%含まれていることが判っ
た。
【0052】実施例12 ラセミ体の1−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジ
アセトキシプロパン300g、実施例1の方法にしたがい
得た固定化リパーゼ 460g、1/1.5 Mリン酸緩衝液
(pH7.0)3Lの混合物を37〜40℃で 110時間攪拌した
のち固定化リパーゼを濾別した。濾液より減圧蒸留によ
り水を留去し残査として 238gの油状物を得た。ガスク
ロマトグラフィー分析によりこの粗製物中に71%eeのR
−1−(4−フルオロフェニル)−1,3−プロパンジ
オールが42モル%含まれていることが判った。
【0053】この残査をトルエン80mlで1回、90mlで1
回再結晶することにより、無色針状結晶のR−1−(4
−フルオロフェニル)−1,3−プロパンジオール41g
を得た。 [α]D 30 +62.7° (c1.2, CHCl3) 融点:48.8〜50.8℃1 H−NMR(90MHz, CDCl3, 内部標準TMS); δ:7.42〜6.93(m, 4H), 4.95(m, 1H),3.86(q, 2H),
2.93(d, 1H), 2.29(t, 1H), 2.07〜1.85(m, 2H) また、前述の光学純度決定方法2によりキャピラリーカ
ラムHicap−CBP1(0.25μm×50m)を用いた
ガスクロマトグラフィー分析により光学純度を測定した
ところ98.9%eeであった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 41/00 C12R 1:01) (C12P 41/00 C12R 1:72) (C12P 41/00 C12R 1:785) (C12P 41/00 C12R 1:685)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 (但し上式において、Xはフッ素原子もしくは水素原子
    を、Acはアセチル基を示す。)で表されるラセミ体の
    1−アリール−1,3−ジアセトキシプロパンをリパー
    ゼの存在下、水中で加水分解し、次式 【化2】 (但し(2)式、(3)式、(4)式においてX、Ac
    は前記と同一の意味を示す。)で表される混合物とした
    のち、(4)式の化合物を単離することを特徴とする式 【化3】 (但し上式において、Xはフッ素原子もしくは水素原子
    を、Acはアセチル基を示す。)で表される光学活性1
    −アリール−1,3−プロパンジオールの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において使用するリパーゼがシ
    ュウドモナス・フラジ、シュウドモナス・スピーシー
    ズ、クロモバクテリウム・ビスコスム、カンジダ属、ム
    コール・プシラス、またはアスペルギルス・ニガーを起
    源とするリパーゼである製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において使用するリパーゼがリ
    パーゼB(起源シュウドモナス・フラジ)、リパーゼP
    S(起源シュウドモナス・スピーシーズ)、リパーゼ
    (起源クロモバクテリウム・ビスコスム)、リパーゼ
    (起源カンジダ属)、リパーゼ(起源シュウドモナス・
    スピーシーズ)、リパーゼLE40(起源ムコール・プ
    シラス)、パラターゼA(起源アスペルギルス・ニガ
    ー)、またはリパーゼA(起源アスペルギルス・ニガ
    ー)を起源とするリパーゼである製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において使用するリパーゼが固
    定化リパーゼである製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において使用する固定化リパー
    ゼの固定化坦体がアンバーライトXAD−8、またはκ
    −カラギーナンである製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003102493A (ja) * 2001-09-27 2003-04-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光学活性2−メチル−1,3−プロパンジオールモノエステルの製造方法
KR100688905B1 (ko) * 2005-08-30 2007-03-02 한국화학연구원 리파제를 이용한 라세믹 2-히드록시-1-아릴프로파논유도체로부터 알-2-아실옥시-1-아릴프로파논 및에스-2-히드록시-1-아릴프로파논 유도체의 제조방법

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