JPH06124092A - 空気調和機の消音装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】第一検出手段７から騒音の特性を表す第一の信
号を、第二検出手段８から音波伝播媒質の状態の特性を
表す第二の信号を、それぞれ電子制御手段９に送信し、
予め音波伝播媒質の或る状態に対して最適に決定された
制御フィルタ係数を電子制御手段９内の補正手段で更新
し、相殺手段６に出力し相殺手段６の発する相殺音によ
って騒音を消音，減音する。 【効果】空気調和機の通常運転に際して、誤差検出手段
を必要としないので、低コストで済み、又、音波伝播媒
質の状態の変化に伴い制御フィルタ係数を更新している
ので高い追従性の制御で騒音の大幅な消音，減音が可能
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、空気調和機の室内機に
係り、特に、空気調和機の室内機から放散される騒音
を、低コスト且つ効率的で、能動的に消去する空気調和
機の室内機の消音装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】機器の騒音を低減する方法として、従来
機器要素品自体の騒音を下げたり、吸音，遮音等受動的
な方法が一般に行われている。しかし、近年、音を音で
消す能動制御手法が開発され機器の低騒音化への適用が
試みられている。これらの能動制御手法は、特開平3−2
94725 号公報に開示されているように、誤差監視マイク
が必須であり、その出力が最小となるように構成されて
いるものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】図４及び図５は、従来
の能動制御における一般的な基本構成を示したものであ
る。この場合には、図５のブロック図に示すように、騒
音検出手段で騒音源の音を検出し、電子制御手段の中の
レベル調整手段及び位相変換手段に入力する。ここで騒
音源と相殺する波形信号を作り、発音手段（通常スピー
カ）より音となって発せられる。騒音と発音手段より発
せられた音との合成音を受音手段（即ちエラーマイク）
により受け、常にこのレベルが最小となるように電子制
御手段の中の振幅調整手段及び位相変換手段とで発音手
段を動作させることで能動制御を行う方法である。

【０００４】以上の従来方法では、電子制御手段で、媒
質の変化に伴う騒音の伝播特性の変化を補正するための
最適制御を行う場合、受音手段が必須であり、さらにフ
ィードバック制御を必要とするので電子制御手段が高性
能，複雑となり、その分のコスト増は避けられない。
又、受音手段を用いない能動制御では、音波伝播媒質の
状態の変化に伴う音速の変化分、即ち、効果的な相殺条
件に対する誤差の補正に対応出来ず十分な効果が得られ
ない。

【０００５】本発明の目的は、低コストで、能動制御の
追従性を悪化させずに、空気調和機の室内機から放散さ
れる騒音の大幅な低減が可能となる空気調和機用の消音
装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の空気調和機の室内機の消音装置を、前記騒
音の振幅及び位相の特性を表す第一の信号を発生する第
一の検出手段と、相殺音を発生する相殺手段と、音波伝
播媒質（通常は室内の空気）の状態の特性を表す第二の
信号を発生する第二の検出手段と、前記第一の信号と前
記第二の信号から前記騒音と前記相殺音の和が最小とな
るように、前記第一の信号の振幅と位相を可変して、前
記相殺手段に出力する電子制御手段とを含む。

【０００７】

【作用】本発明は、空気調和機の室内機から放散される
騒音の振幅及び位相の特性を表す第一の信号と、音波の
伝播媒質の状態の特性を表す第二の信号を入力とする電
子制御手段において、制御フィルタ係数は予め室内の空
気の温度や湿度から学習手段によって、第一の信号の振
幅と位相を、レベル調整手段と位相変換手段で得られた
結果に基づいて漸次調整しながら決定され、記憶手段で
記憶され、第一の信号と第二の信号に基づいて、制御フ
ィルタ係数を更新することにより騒音との和が最小とな
るような相殺音を発生させる信号を相殺手段に入力し相
殺音を発生させ、騒音を低減するものである。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【０００９】図１に示すのは、本発明を天井埋込型空気
調和機の室内機に適用した例である。同図において、１
はケーシング、２は前面パネル、３は吸気グリル、４は
熱交換器、５は遠心ファン、６は相殺手段、７は第一検
出手段、８は第二検出手段、９は電子制御手段である。

【００１０】以下の手順で制御フィルタ係数の決定を行
う。空気調和機の室内機から放散される騒音を、少なく
とも一つのモニタマイクロフォン等の第一検出手段７で
受け騒音の特性を表す第一の信号を少なくとも一つの電
子制御手段９に送信する。ここで第一検出手段は、モニ
タマイクロフォン以外に羽根車回転数やモータ回転数、
又は速度変動成分を検出し波形生成器(図中に記載して
いない)を介して第一の信号を加工し、発生しても良
い。前記騒音と少なくとも一つのスピーカ等の相殺手段
から発生する相殺音との和の信号、すなわち、誤差信号
をエラーマイク等の誤差検出手段で受け電子制御手段９
に送信する。電子制御手段９内にはＦＩＲフィルタなど
で構成されたデジタルシグナルプロセッサ（以下ＤＳＰ
と略す）があり、ＤＳＰ内では誤差信号と制御目標値の
差がゼロになるようにＬＭＳアルゴリズム（最小２乗平
均法）などの制御用ソフトで構成される適応アルゴリズ
ムを有する学習手段で制御フィルタ係数が決定され、記
憶手段に記憶される。制御フィルタ係数は、消音効果の
低下がみられたとき、又は定期的に決定，記憶されるも
のとする。

【００１１】制御フィルタ係数を決定したら、誤差検出
手段を撤去し、その後は少なくとも一つの温度又は、温
度と湿度センサ等の第二検出手段８から室内の空気の状
態の特性を表す第二の信号を電子制御手段９に送信す
る。ここで第二検出手段は空気調和機内及び近傍あるい
は図３に示すように空気調和機の運転制御用のリモート
コントロール装置１０に設けても良い。さらにこの送信
は有線又は無線何れか又は両用であっても良い。又、空
気調和機に運転制御用の温度湿度センサがある場合、そ
れらを第二検出手段と共用しても良い。電子制御手段９
内では、記憶された制御フィルタ係数を、第一の信号と
前記第二の信号に基づいて温度湿度変化追従型適応制御
アルゴリズムを有する補正手段で更新し、相殺手段に送
信する。その結果、相殺手段６から相殺音が放散され騒
音が減音，消音される。

【００１２】適応制御を行うに際して、従来、図４のよ
うに、エラーマイク等の誤差検出手段１１を用いていた
のに対し、本発明では上記のように温度湿度センサを用
いて制御しているので新たに誤差検出手段を設ける必要
がなく、空気調和機の運転制御用温度湿度センサを第二
検出手段と共用すれば温度湿度センサさえ新たに設ける
必要がなく大幅なコスト低減を図ることができる。又、
構成要素が少なくなるので空気調和機の室内機に対する
配置も容易になる。さらに、誤差検出手段１１が必要で
あるのは音波伝播媒質以外の因子で音場が主に決定され
るときだけであり、空気調和機を使用する環境に応じて
任意の位置に誤差検出手段１１を設け、最適な制御フィ
ルタ係数を予め決定，記憶することができる。なお、こ
のような動作を初期設定あるいは、時々の設定で行うこ
とにより空気調和機のこれ以外の通常の状態では、本発
明に示す第二の検出手段の出力信号、即ち、音波伝播の
媒質の変化に基づいて電子制御手段９内の制御フィルタ
係数を更新することにより、常に大幅な消音が実現す
る。

【００１３】又、温度湿度センサをリモートコントロー
ル装置１０に内蔵することにより第二検出手段８を据え
付ける位置における室内空気の状態だけでなく、人間の
手元の空気の状態をも考慮して制御フィルタ係数を更新
し制御することができる。

【００１４】

【発明の効果】本発明によれば、空気調和機の通常運転
において、誤差検出手段を用いずに適応制御を行うので
低コスト化が図れる。又、第二検出手段の発生する音波
伝播媒質の状態の特性を表す信号により、制御フィルタ
係数を更新しているので高い追従性が得られる。又、第
二検出手段をリモートコントロール装置に内蔵すること
により、人間の手元における音波伝播媒質の状態を考慮
することが可能となり、より快適な空間を創り出すよう
な適応制御を行うことができる。さらに、空気調和機の
運転制御用温度湿度センサを第二検出手段と共用すれば
温度湿度センサさえ新たに設ける必要がなく大幅なコス
ト低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す斜視図。

【図２】本発明の一実施例を示す信号処理のブロック
図。

【図３】本発明の一実施例を示す消音装置の空気調和機
への取付け説明図。

【図４】従来方法の消音装置の空気調和機への取付け説
明図。

【図５】従来方法の一実施例を示す信号処理のブロック
図。

【符号の説明】

１…ケーシング、２…前面パネル、３…吸気グリル、４
…熱交換器、５…遠心ファン、６…相殺手段、７…第一
検出手段、８…第二検出手段、９…電子制御手段。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 譲治 静岡県清水市村松390番地 株式会社日立 製作所清水工場内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】室内機から放散される騒音を減衰させる空
   気調和機の消音装置であって、前記騒音の振幅及び位相
   の特性を表す第一の信号を発生する第一の検出手段と、
   音波伝播媒質の状態の特性を表す第二の信号を発生する
   第二の検出手段と、前記第一の信号と前記第二の信号か
   ら前記騒音と前記相殺音の和が最小となるように、前記
   第一の信号の振幅と位相を変えて、前記相殺手段に出力
   する電子制御手段と、相殺音を発生する相殺手段とを含
   むことを特徴とする空気調和機用の消音装置。