JPH06117373A - 振動減衰装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両に搭載される車両搭載機器の振動を低減
することのできる振動減衰装置の提供。 【構成】 緩衝部材２を介して圧縮機１を支持する基台
３には摩擦板５が固定され、圧縮機１には、取付けステ
ー９を介して押圧手段が設けられている。押圧手段は、
押圧部材６と、この押圧部材６を摩擦板５側に所定の付
勢力で押圧するスプリング７と、このスプリング７を支
持するスプリング支持部材８より成り、車両の振動に伴
って圧縮機１と基台３との間で相対変位が生じると、押
圧部材６と摩擦板５との間で摩擦摺動が生じる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両に設置される車両
搭載機器の振動を低減する振動減衰装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、空気調和装置や冷蔵庫等の冷
凍サイクルに用いられる密閉型圧縮機がある。この密閉
型圧縮機は、密閉容器内に圧縮要素と電動機要素（モー
タ）を一体に配設したもので、回転運動に伴う振動を生
じるため、その振動対策として、スプリングやゴム等の
緩衝体を介して支持する構造が一般的である（特開昭５
８−８８４７５号公報参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の密閉
型圧縮機を自動車に搭載した場合には、走行状態や路面
状態等により、広範囲の周波数域で車両振動が生じるこ
とから、この振動周波数が、圧縮機の質量と緩衝体によ
って構成される振動系の持つ固有振動数と一致すると共
振現象を生じる。その結果、圧縮機本体が大きく振動し
て、異常な車両振動や騒音の発生源となる。本発明は、
上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、車両
に搭載される車両搭載機器の振動を低減することのでき
る振動減衰装置の提供にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、車両に設置される車両搭載機器と弾性部
材を介して前記車両搭載機器を支持する基台とのどちら
か一方に設けられた摩擦部材と、前記車両搭載機器と前
記基台とのどちらか他方に設けられて、前記摩擦部材に
対して所定の押圧力で接触する押圧手段とを備え、前記
弾性部材の弾性変形を伴って前記車両搭載機器と前記基
台との間で相対変位が生じた時に、前記摩擦部材と前記
押圧手段との間で摩擦摺動を生じさせることを技術的手
段とする。

【０００５】

【作用】上記構成より成る本発明の振動減衰装置は、車
両の振動に伴って車両搭載機器と基台との間で相対変位
が生じた時に、摩擦部材と押圧手段との間で摩擦摺動を
生じる。これにより、車両の振動エネルギが摩擦部材と
押圧手段との摩擦摺動に伴う発熱エネルギに変換され
て、車両搭載機器の振動が低減される。

【０００６】

【実施例】次に、本発明の振動減衰装置の一実施例を図
１ないし図３を基に説明する。図１は振動減衰装置を具
備した密閉型圧縮機の側面図である。本実施例の密閉型
圧縮機１（車両搭載機器・以下圧縮機１と略す）は、電
気自動車に搭載される冷凍サイクルの構成部品で、スク
ロール式の圧縮要素（図示しない）と、この圧縮要素を
駆動するＤＣブラシレスモータ（図示しない）とを一体
にして、１つの密閉容器１ａ内に収容したものである。
この圧縮機１は、スプリングで構成された４本の緩衝部
材２（本発明の弾性部材）を介して、基台３（例えば、
車両のシャシ）に支持されている。各緩衝部材２は、一
端側が圧縮機１に設けられた取付脚部１ｂのバネ受座１
ｃに係止されて、他端側が基台３上に設けられたバネ受
座３ａに係止されている。また、圧縮機１と基台３との
間には、車両の振動に伴う圧縮機１の振動を低減するた
めの振動減衰装置４が設けられている。

【０００７】この振動減衰装置４は、基台３に固定され
た摩擦板５（摩擦部材）と、圧縮機１に設けられた押圧
手段（下述する）とからなる。摩擦板５は、図１に示す
ように、耐摩耗性に優れ、且つ摩耗係数の大きい材質よ
り成り、基台３上に直立した状態で固定されている。押
圧手段は、摩擦板５の両側に設けられて、押圧部材６、
スプリング７、およびスプリング支持部材８より構成さ
れ、取付けステー９を介して圧縮機１の底面に取り付け
られている。押圧部材６は、摩擦板５と同様に、耐摩耗
性に優れ、且つ摩耗係数の大きい材質によって製造さ
れ、図２（押圧部材６の斜視図）に示すように、後端側
が棒状に設けられて、先端側が一定の曲率で形成された
半球面状を呈する。従って、この押圧部材６は、接触部
Ａで摩擦板５と点接触することにより、圧縮機１が万一
傾いても、摩擦板５との間で正常に摩擦力を発生するこ
とができる。

【０００８】スプリング７は、棒状を成す押圧部材６の
後端側外周に同軸状に配されて、後端部がスプリング支
持部材８に係止され、先端部が押圧部材６の先端側顎部
に係止されて、押圧部材６を先端側（摩擦板５側）へ所
定の付勢力で押圧する。従って、押圧部材６は、車両の
振動に伴って圧縮機１と基台３との間で相対変位が生じ
た際に、摩擦板５に対して摩擦摺動する。なお、摩擦板
５と押圧部材６との間に生じる摩擦力には、図３に示す
ように、共振時における圧縮機１と基台３との相対変位
振幅を最小にする最適値ｅが存在する。従って、その最
適な摩擦力が得られるように、スプリング７の荷重を設
定するのが望ましい。スプリング支持部材８は、先端側
が開放された円筒状を呈し、その円筒内部に押圧部材６
およびスプリング７を収容する。取付けステー９は、略
Ｌ字状を呈し、摩擦板５を挟んで各押圧部材６が対向す
るようにスプリング支持部材８を支持する。

【０００９】次に、本実施例の作動を説明する。車両の
走行状態や路面状態により、広範囲の周波数域で車両振
動が生じると、緩衝部材２の弾性変形を伴って基台３と
圧縮機１との間で相対変位が生じる。つまり、基台３に
対して圧縮機１が振動することになる。この基台３と圧
縮機１との相対変位が生じると、摩擦板５と押圧部材６
との間で摩擦摺動が発生し、この摩擦摺動によって振動
エネルギが吸収されて、圧縮機１の振動が低減されるこ
とになる。これにより、圧縮機１が大きく振動すること
に伴う異常な車両振動や騒音の発生を防止することがで
きる。

【００１０】図４ないし図６に本発明の第２実施例を示
す。図４は振動減衰装置４を具備した密閉型圧縮機１の
側面図である。本実施例の振動減衰装置４は、第１実施
例で示した摩擦板５が、スプリング１０を介して基台３
に支持された構造である。従って、車両の振動に伴って
基台３と圧縮機１との間に相対変位が生じた場合、接触
部Ａにおける摩擦力がスプリング１０の反発力より大き
い範囲では、摩擦板５と押圧部材６との間で摩擦摺動が
生じることはない。この場合、振動系全体のばね定数
が、緩衝部材２のばね定数Ｋｂとスプリング１０のばね
定数Ｋａの合計となるため、共振周波数は、図５に示す
ように、緩衝部材２のみの場合より高い周波数域ｆ₁ に
移動する。なお、図５は、圧縮機１と基台３の相対変位
振幅と振動周波数との関係を示すグラフで、破線ａで示
すグラフが緩衝部材２のみを使用した場合、破線ｂで示
すグラフが緩衝部材２とスプリング１０とを併用した場
合、実線ｃのグラフが本実施例の場合である。なお、接
触部Ａにおける摩擦力の最適値ｅは、図６に示すよう
に、スプリング１０のばね定数Ｋａによって変化するた
め、スプリング１０のばね定数Ｋａに応じてスプリング
７の設定荷重を調節する。

【００１１】その後、振動周波数の上昇に伴って、基台
３と圧縮機１との間の相対変位振幅が増大すると、スプ
リング１０の反発力が大きくなる。そして、このスプリ
ング１０の反発力が摩擦板５と押圧部材６との間の摩擦
力を上回ると、摩擦板５と押圧部材６との間で摩擦摺動
が生じる（図５のｄ点）。この場合、摩擦板５を支える
スプリング１０の弾性力が作用しなくなるため、振動系
全体のばね定数は、緩衝部材２のばね定数Ｋｂだけとな
り、振動周波数が図５の破線ａで示すように、低い周波
数域ｆ₂ に移動する。このように、本実施例では、圧縮
機１の振動を低減することができるとともに、振動の振
幅が大きい時に全体のばね定数を切り替えて共振点を回
避することができる。

【００１２】図７に本発明の第３実施例を示す。本実施
例の振動減衰装置４は、図７に示すように、摩擦板５を
圧縮機１側に固定し、押圧手段を基台３側に設けたもの
で、第１実施例と同様の効果を得ることができる。図８
に本発明の第４実施例を示す。本実施例の振動減衰装置
４は、図８に示すように、第２実施例で示したスプリン
グ１０および摩擦板５を圧縮機１側に設けて、押圧手段
を基台３側に設けたもので、第２実施例と同様の効果を
得ることができる。図９に本発明の第５実施例を示す。
本実施例の振動減衰装置４は、図９に示すように、摩擦
板５が基台３に固定されるとともに、押圧手段がスプリ
ング１０を介して圧縮機１に支持される構造で、第２実
施例と同様の効果を得ることができる。図１０に本発明
の第６実施例を示す。本実施例の振動減衰装置４は、図
１０に示すように、摩擦板５が圧縮機１に固定されると
ともに、押圧手段がスプリング１０を介して基台３に支
持される構造で、第２実施例と同様の効果を得ることが
できる。

【００１３】〔変形例〕本実施例では、摩擦板５の両側
に押圧部材６を配置した構造であるが、摩擦部材の断面
を多角形状あるいは円形状として、この摩擦部材に接触
する押圧部材６を３個以上設けても良い。摩擦板５と押
圧部材６との接触を点接触としたが、面接触するように
構成しても良い。緩衝部材２（スプリング）、スプリン
グ７、スプリング１０の代わりに他の弾性体を使用する
ことも可能である。

【００１４】

【発明の効果】本発明の振動減衰装置は、車両搭載機器
と基台との間で相対変位が生じた時に、摩擦部材と押圧
手段との間で摩擦摺動が生じることにより、車両搭載機
器の振動を低減することができる。その結果、車両搭載
機器が振動源となって発生する異常な車両振動や騒音を
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例に係る振動減衰装置を具備した密閉
型圧縮機の側面図である。

【図２】本実施例に係る押圧部材の斜視図である。

【図３】圧縮機と基台との相対変位振幅のピーク値と摩
擦力との関係を示すグラフ。

【図４】第２実施例に係る振動減衰装置を具備した密閉
型圧縮機の側面図である。

【図５】圧縮機と基台の相対変位振幅と振動周波数との
関係を示すグラフ。

【図６】摩擦力の最適値とスプリングのばね定数との関
係を示すグラフ。

【図７】第３実施例に係る振動減衰装置の側面図であ
る。

【図８】第４実施例に係る振動減衰装置の側面図であ
る。

【図９】第５実施例に係る振動減衰装置の側面図であ
る。

【図１０】第６実施例に係る振動減衰装置の側面図であ
る。

【符号の説明】 １ 密閉型圧縮機（車両搭載機器） ２ 緩衝部材（弾性部材） ３ 基台 ４ 振動減衰装置 ５ 摩擦板（摩擦部材） ６ 押圧部材（押圧手段） ７ スプリング（押圧手段） ８ スプリング支持部材（押圧手段）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ａ）車両に設置される車両搭載機器と弾性
   部材を介して前記車両搭載機器を支持する基台とのどち
   らか一方に設けられた摩擦部材と、 ｂ）前記車両搭載機器と前記基台とのどちらか他方に設
   けられて、前記摩擦部材に対して所定の押圧力で接触す
   る押圧手段とを備え、 前記弾性部材の弾性変形を伴って前記車両搭載機器と前
   記基台との間で相対変位が生じた時に、前記摩擦部材と
   前記押圧手段との間で摩擦摺動を生じさせる振動減衰装
   置。