JPH06105659A - 動物性プランクトン用飼料、該飼料に用いられる鞭毛藻類の培養方法並びにdha高含有オイルの製造方法 - Google Patents

動物性プランクトン用飼料、該飼料に用いられる鞭毛藻類の培養方法並びにdha高含有オイルの製造方法

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JPH06105659A
JPH06105659A JP4258007A JP25800792A JPH06105659A JP H06105659 A JPH06105659 A JP H06105659A JP 4258007 A JP4258007 A JP 4258007A JP 25800792 A JP25800792 A JP 25800792A JP H06105659 A JPH06105659 A JP H06105659A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】鞭毛藻類クリセコディニウムを含有する動物性
プランクトン用飼料。クリセコディニウムは渦鞭毛藻類
に分類され、海洋に生息する、細胞の大きさが 8〜20μ
mの単細胞藻類である。クリセコディニウムそれ自体も
DHA含量が高いが、窒素源としてグルタミン酸塩また
はイ−ストエキスを、炭素源としてグリセロ−ルまたは
エタノ−ルをそれぞれ含有する培地において、20℃以下
の温度で培養することによって、DHA含量をより増大
させることができる。この培養法により得られたクリセ
コディニウムからは、常法に従って、DHA高含有オイ
ルを抽出することができる。 【効果】海産魚の飼料となる動物性プランクトンの飼料
として用いることにより、動物性プランクトンを効率よ
く養成し、かつ海産魚の育成に欠かせないDHAを強化
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ドコサヘキサエン酸
含量の高い動物性プランクトン用飼料、この飼料に好適
に利用し得るドコサヘキサエン酸含量の高い微生物の培
養方法、並びにドコサヘキサエン酸高含有オイルの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと記
述する)は、乳幼児の脳の発育促進や老化に伴う学習機
能の低下抑制作用が注目され、近年医薬品や健康食品の
素材として需要が拡大している脂肪酸である。このDH
Aは、現在はマグロ等の魚類から抽出されているが、魚
類に含まれる総脂肪酸中に占める割合が15%と低く、さ
らに夾雑物も多いことから効率よく抽出することが困難
であるという問題がある。また、供給源を天然資源に頼
るため、安定した供給が困難であり、さらに資源量の減
少や海洋汚染の影響も問題となっている。
【0003】ところで、海産性魚類の養殖にはDHAや
イコサペンタエン酸(EPA)のような高度不飽和脂肪
酸が必要であり、これらを強化した飼料を与えることに
よって成長や活力の増進、生存率の向上、奇形魚の減少
等がみられることが明らかとなっている。特に、DHA
を強化した場合にはその効果が顕著に表われる。EFA
-free 、EPA強化、DHA強化およびEPA+DHA
(1:1)強化の飼料をそれぞれ用いた場合のシマアジ
稚魚の魚体重の変化を図4に、また生存率の変化を図5
にそれぞれ示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、現在、これ
ら魚類の飼料として用いられているワムシ、アルテミ
ア、貝・エビ・カニ類幼生等の動物性プランクトンに含
まれるDHAの量はごくわずかである。これは、動物性
プランクトンの飼料となるナンノクロロプシス、珪藻
類、テトラセルミス、クロレラ等の微細藻類やパン酵母
などがその脂質成分中にDHAをほとんど含まないため
である。上述のように、従来DHAそれ自体を抽出する
ことには困難が伴っている。そこで、現在では、これを
補うために乳化した魚油等を飼料と共に投与する方法が
とられている。しかしながら、この方法は、飼育水が汚
れる上に効率が悪く、加えて魚油を大量に投与するため
に脂質過剰の魚体が生産されてしまうという欠点があっ
た。したがって、この発明は、DHAが強化された動物
性プランクトン用飼料を提供することを目的とする。ま
た、この発明は、DHA強化動物性プランクトン用飼料
に好適に用いることができるDHA含量の高い微生物の
培養方法を提供することを目的とする。さらに、この発
明は、DHA含量が高いオイルの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、DHAの含有量が高く、かつ動物性プランクト
ンに対して飼料価値が高い生物飼料に関して鋭意検討を
重ねた結果、鞭毛藻類クリセコディニウムを利用するこ
とにより上記課題を解決し得ることを見出しこの発明を
完成するに至った。すなわち、この発明は、鞭毛藻類ク
リセコディニウム藻体を動物性プランクトン用飼料とし
て利用することを特徴とする。
【0006】クリセコディニウムは、渦鞭毛藻類に分類
され、細胞の大きさが 8〜20μmの単細胞藻類であっ
て、海洋に生息し、容易に採集することができるプラン
クトンである。
【0007】クリセコディニウムの純粋培養は、フラス
コやジャ−ファメンタ−等を用い、通気もしくは撹拌を
行ないながら25−30℃以下で行なうことが好ましい。こ
の際用いられる培地には、例えば、塩分が 3−30%の海
水または人工海水に炭素源および窒素源を添加したもの
を使用することができる。培地に添加される炭素源とし
ては、例えば、グルコ−ス、グリセロ−ル、エタノ−ル
および酢酸ナトリウムを、また窒素源としては、例え
ば、ヒスチジン、ベタイン、硫酸アンモニウム、グルタ
ミン酸塩、およびイ−ストエキスをそれぞれ挙げること
ができる。さらに、炭素源および窒素源以外の成分とし
て、例えば、リン酸塩、微量金属、ビタミン類を培地に
添加することができる。
【0008】培養を終了した藻体は、凍結乾燥または噴
霧乾燥などの手段により粉末とした後、プランクトン用
飼料として利用が可能である。また、藻体をそのまま水
洗・濃縮し、海水等に懸濁させて冷蔵保存することによ
り生きたまま利用することもできる。さらに、このよう
にして得られた藻体に、従来動物性プランクトン用飼料
として用いられている物質、例えば、ナンノクロロプシ
ス、クロレラ、パン酵母を添加して利用することもでき
る。
【0009】クリセコディニウムは優れた細胞内成分を
有しており、動物性プランクトンに対する飼料価値が高
い。また、DHA含量が高いため、海産魚の飼料として
重要なワムシ、アルテミア等の動物性プランクトンのD
HA含量を高めるための栄養強化用飼料としても好適に
用いることができる。
【0010】このように、クリセコディニウムは通常の
培養法であってもDHA含量が高く、有用である。しか
しながら、本発明者らは、培養の条件を変えることによ
り、クリセコディニウムのDHA含量をさらに高めるこ
とが可能であることをも見出した。
【0011】まず、培地の成分を変えることによりDH
Aの生産量を増大させることができる。通常用いられる
培養培地では窒素源として上述のようにヒスチジン、ベ
タイン等を用いているが、これをグルタミン酸、グルタ
ミン酸ナトリウム等のグルタミン酸塩、イ−ストエキス
等に変更することによりDHAの生産量は約数倍に増加
する。また、炭素源としては、上述のように、通常グル
コ−ス等が用いられているが、これをグリセロ−ル、エ
タノ−ル等のアルコ−ル類に変更することによりDHA
の生産量はさらに約2倍に増加する。さらに、クリセコ
ディニウムは通常10〜30℃で成長するが、10〜20℃で培
養を行なった場合に特にDHA含量が高く好ましい。
【0012】また、従来クリセコディニウムの培養に使
用されている培地の濃度は、炭素源濃度が 6g/lと低
いものであった。このため、培養後の細胞密度は 2.5g
乾燥密度/lと低いものに止まり、これを高めることは
困難であった。本発明者らは、クリセコディニウムの増
殖に対する培地濃度の影響について検討を行ない、炭素
源濃度を50g/l程度とした場合でも増殖には何ら影響
がないことを見出した。炭素源濃度を50g/lとして培
養を行なった結果、培養終了後の細胞密度は25g/lと
なり、DHAの生産量は 850mg/lまで高まった。こ
れは、従来法と比較すると、細胞密度で10倍、DHA生
産量では20倍である。
【0013】上に示す最適の条件でクリセコディニウム
の培養を行なった場合、クリセコディニウムの総脂肪酸
に占めるDHAの割合を約55%まで高めることができ
る。したがって、培養後乾燥してDHA高含有藻体とす
ることにより、動物性プランクトン用試料として使用す
るだけではなく、食品や他の動物の飼料に簡単に利用す
ることができる。また、この藻体から、ヘキサン等を用
いる常法によって脂質を抽出することによりDHAを高
度に含有するオイルを得ることができる。このようにし
て調製されたDHA高含有オイルは、医薬品原料や健康
食品原料として好適に用いることができる。
【0014】
【実施例】以下、この発明を、実施例に基づいてより詳
細に説明する。 実施例 1 海産魚の初期飼料として重要なシオミズツボワムシ(以
下、ワムシと記載する)の生産を、クリセコディニウム
を用いて行なった。
【0015】ワムシの飼料となるクリセコディニウム・
スピ−セスは、下記表1に示す組成の培地で 7日間培養
した後、遠心分離により水洗・濃縮を行ない、冷蔵保存
した。 表 1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− NaCl 10 g MgCl2 ・7H2 O 1.67 g KCl 0.27 g CaCl2 ・2H2 O 0.27 g グルコ−ス 20 g グルタミン酸 10 g (NH3 2 SO4 0.33 g NH2 PO4 0.66 g ビオチン 6.6 μg ビタミンB1 333 μg ビタミンB12 3.3 μg EDTA -Na -Fe 19.5 mg A5 溶液(1) 3.3 ml −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (1) H3 BO3 2.86g、MgCl2 ・4H2 O 1.81
g、ZnSO4 ・7H2 O 0.22g、CuSO4 ・5H
2 O0.08gおよびNa2 MoO4 0.021gを純水 1リッ
トルに溶解し、H2 SO4 1滴を添加して調製。 このようにして生産されたクリセコディニウムには、そ
の総脂肪酸の45%を占めるDHAが含まれていた。
【0016】ワムシの培養は、 500リットルのパンライ
ト水槽中で、毎日1回上述のクリセコディニウムを給餌
しながら8日間行なった。その結果、ワムシは図1に示
す通りに増殖した。図1において、横軸は培養日数、縦
軸は 1ml当りの個体数で表わした培養液中のワムシ密
度をそれぞれ示す。増加したワムシは、培養開始から4
日目および8日目に収穫した。8日間の培養で、 2.8×
107 個体のワムシを生産することができた。 実施例 2 海産魚の生物飼料として重要なアルテミアを、クリセコ
ディニウムを用いて養成した。アルテミアの飼料となる
クリセコディニウム・スピ−セスは、実施例1と同様に
して培養したものを用いた。
【0017】アルテミアの養成は、ふ化したアルテミア
幼生を 100リットル容のパンライト水槽に 5個体/ml
となるように収容し、毎日1回上記クリセコディニウム
を給餌しながら10日間培養することにより行なった。そ
の結果を図2に示す。図2において、横軸は養成日数、
縦軸はアルテミアの生存率(%)並びに全長の平均値
(mm)をそれぞれ示す。
【0018】図2より明らかなように、養成開始から10
日目には、アルテミアの平均全長は3.0mmに達した。
また、養成期間中の生存率も70%と高いものであった。
したがって、クリセコディニウムはアルテミア養成用飼
料としても優れていることが明らかである。 実施例 3 クリセコディニウムを用いてワムシおよびアルテミアを
短期間培養し、DHA含有量の増大効果を調べた。ワム
シおよびアルテミアの培養に用いるクリセコディニウム
は、実施例1と同様に培養したものを用いた。
【0019】培養するワムシおよびアルテミアは、それ
ぞれ 300個体/mlおよび 100個体/mlの密度になる
ように海水に懸濁し、共にクリセコディニウムを給餌し
ながら30時間培養した。ワムシおよびアルテミアの培養
開始時および培養終了時の脂肪酸分析の結果を下記表2
に示す。 表 2 ワムシおよびアルテミアの脂肪酸分析結果 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ワ ム シ アルテミア −−−−−−− −−−−−−− 開始時 終了時 開始時 終了時 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ミリスチン酸 1.3 6.2 -- 12.2 パルミチン酸 19.0 12.7 13.2 3.8 パルミトオレイン酸 4.0 2.5 -- -- ステアリン酸 4.4 4.0 5.8 3.0 オレイン酸 2.9 12.7 33.4 43.5 リノ−ル酸 23.0 5.3 5.5 4.6 リノレン酸 28.6 3.8 21.3 16.1 イコサペンタエン酸 -- 5.7 2.6 5.7 ドコサヘキサエン酸(DHA) -- 40.3 -- 10.6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 数字は%
【0020】表2から明らかなように、ワムシの場合に
は、培養開始時にはDHAを全く含有しなかったにもか
かわらず、30時間培養した後にはDHAの含有量は40%
にも達し、短時間でDHAの含有量を飛躍的に高めるこ
とができた。また、アルテミアの場合にも、培養開始時
にはDHAを全く含有していなかったが、短時間でDH
Aの含有量を10%まで高めることが可能であった。した
がって、クリセコディニウムは、動物性プランクトンの
栄養強化用飼料としても非常に優れた効果を有している
ことが明らかである。 比較例 1
【0021】ワムシの飼料としてクリセコディニウムの
代わりに下記表3に示す種々の飼料を用いた他は上記実
施例1と同様の方法でワムシの培養を行ない、培養後の
ワムシに含有されるイコサペンタエン酸(EPA)およ
びドコサヘキサエン酸(DHA)の量を測定した。その
結果を表3に併記する。なお、表3における各数値は総
脂肪酸に対する割合(%)を示し、trはトレ−ス量を
表わす。 表 3 ワムシのEPAおよびDHA含量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 飼 料 EPA DHA −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ナンノクロロプシス 22.8 3.4 テトラセルミス 5.2 0.3 クロレラ tr 0 パン酵母 0 0 油脂酵母 7.5 3.1 =========================== クリセコディニウム 5.7 40.3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0022】表3から明らかなように、従来用いられて
いる飼料ではわずかにナンノクロロプシスだけがEPA
を強化するのみであり、DHAを強化する飼料はない。
これに対して、クリセコディニウムはDHAを著しく強
化することがわかる。 実施例 4 種々の窒素化合物を添加した培地でクリセコディニウム
・スピ−セスを培養し、各々の場合のDHAの生産量の
比較を行なった。
【0023】まず、下記表4に示す組成を有する基礎培
地に、窒素源として下記表5に示す各種の窒素化合物を
窒素濃度で 0.3g/lとなるように添加して培地を調製
した。調製した各々の培地を坂口フラスコに入れ、25℃
で 7日間、クリセコディニウム・スピ−セスの培養を行
ない、DHAの生産量を測定した。その結果を表5に併
記する。 表 4 基 礎 培 地 の 組 成 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− NaCl 10 g MgCl2 ・7H2 O 1.67 g KCl 0.27 g CaCl2 ・2H2 O 0.27 g グルコ−ス 6 g KH2 PO4 0.2 g ビオチン 2 μg ビタミンB1 100 μg ビタミンB12 1 μg EDTA -Na -Fe 5.8 mg A5 溶液(1) 1 ml −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (1) H3 BO3 2.86g、MgCl2 ・4H2 O 1.81
g、ZnSO4 ・7H2 O 0.22g、CuSO4 ・5H
2 O0.08gおよびNa2 MoO4 0.021gを純水 1リッ
トルに溶解し、H2 SO4 1滴を添加して調製。 表 5 各種の窒素化合物を添加した培地でクリセコディニウム・ スピ−セスを培養したときのDHAの生産量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 窒 素 源 DHAの生産量(mg/l) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 硫酸アンモニウム 1.0 ヒスチジン 3.6 塩酸ベタイン 1.8 カザミノ酸 27.3 グルタミン酸 42.5 グルタミン酸ナトリウム 45.3 イ−ストエキス 40.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0024】表5から明らかなように、培地にグルタミ
ン酸ナトリウム、グルタミン酸およびイ−ストエキスを
添加した場合にDHAの生産量が40mg/lを上回っ
た。これらの窒素化合物と比較すると、カザミノ酸を用
いた場合にはやや劣り、他の化合物を用いた場合には著
しく劣っていた。 実施例 5 種々の炭素源を添加した培地でクリセコディニウム・ス
ピ−セスを培養し、各々の場合のDHAの生産量の比較
を行なった。
【0025】まず、上記表4に示す組成を有する基礎培
地にグルタミン酸ナトリウム 3.7g/lを添加し、グル
コ−スの代わりに下記表6に示す各種の炭素源を各々 6
g/lとなるように添加して培地を調製した。この際、
エタノ−ルおよび有機酸については、培養中に消費され
る量に応じて少量ずつ添加した。調製した各々の培地を
坂口フラスコに入れ、25℃で 7日間、クリセコディニウ
ム・スピ−セスの培養を行い、培養後にDHA生産量を
測定した。その結果を表6に併記する。 表 6 各種の炭素源を添加した培地でクリセコディニウム・ スピ−セスを培養したときのDHAの生産量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 炭 素 源 DHAの生産量(mg/l) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− グルコ−ス 45.3 酢酸 37.0 ガラクト−ス 44.1 ショ糖 1.5 グリセロ−ル 100.6 エタノ−ル 93.6 コハク酸 1.5 廃糖蜜 5.8 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0026】表6から明らかなように、炭素源としてグ
リセロ−ルまたはエタノ−ルを用いた場合には、従来法
で用いられるグルコ−ス等を用いた場合の約2倍の量の
DHAが得られた。さらに、グリセロ−ル並びにエタノ
−ルは、その他の炭素源と比較しても著しく優れたもの
である。また、安価な発酵原料として知られている廃糖
蜜も、生産量は低いもののDHA生産を可能にする炭素
源である。 実施例 6 異なった温度でクリセコディニウム・スピ−セスを培養
し、各々の場合のDHAの生産量の比較を行なった。ク
リセコディニウム・スピ−セスの培養は、上記表4に示
す組成を有する基礎培地を用い、25℃で 7日間行なっ
た。結果を下記表7に示す。 表 7 異なった温度でクリセコディニウム・スピ−セス を培養したときのDHAの生産量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 培養温度(℃) DHAの生産量(mg/l) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 30 43.2 25 45.3 20 47.0 15 72.3 12 126.0 10 75.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0027】表7から明らかなように、10〜30℃の温度
範囲において、クリセコディニウム・スピ−セスは生長
し、DHAの生産も行われる。とりわけ10〜20℃におい
ては、生産量が70mg/lを上回り、DHA生産の観点
からは好ましい。 実施例 7 培地濃度を高くしてクリセコディニウム・スピ−セスを
高密度に培養し、DHAの生産を行なった。
【0028】培地には、上記表4に示す組成を有する基
礎培地の 8.3倍濃度の培地を調製し、これに炭素源とし
てグリセロ−ルを60g/l、窒素源としてグルタミン酸
ナトリウムを25g/l添加したものを用いた。培養は、
ジャ−ファメンタ−を用い、25℃で行なった。培養中の
細胞密度およびDHA濃度の変化を図3に示す。図3に
おいて、−○−は細胞濃度をg/lで示し、−●−はD
HA濃度をmg/lで示す。また、横軸は培養時間を表
わす。図1より明らかなように、DHA濃度は細胞濃度
にほぼ比例して増加し、培養開始後70〜 100時間には 8
50mg/lに達した。また、培養された細胞中に含まれ
る脂質の分析を行なった。その結果を下記表8に示す。 表 8 製造された藻体の脂質含量と脂肪酸組成 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 総脂質量(%藻体乾燥重量) 12.0 脂肪酸組成(%総脂肪酸) ラウリン酸 1.8 ミリスチン酸 9.6 パルミチン酸 16.8 パルミトオレイン酸 1.4 ステアリン酸 1.4 オレイン酸 12.8 ドコサヘキサエン酸(DHA) 51.9 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 表8に示すように、製造された藻体中には12%の脂質が
含まれ、その脂肪酸組成のうちの51.9%がDHAであっ
た。 実施例 8 培養により得られたDHA高含有藻体からのオイルの抽
出を行なった。
【0029】抽出に用いた藻体(クレセコディニウム・
スピ−セス)は、実施例7と同様にして培養し、溶媒と
してn−ヘキサンを用いて常法により抽出を行なった。
その結果、 1kgの藻体から約80gのオイルを製造する
ことができた。得られたオイルの脂肪酸組成を下記表9
に示す。なお、表9において、trはトレ−ス量を表わ
す。 表 9 製造されたオイルの脂肪酸組成(%総脂肪酸) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ラウリン酸 tr ミリスチン酸 7.7 パルミチン酸 13.1 パルミトオレイン酸 tr ステアリン酸 tr オレイン酸 21.0 ドコサヘキサエン酸(DHA) 58.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 表9に示されるように、得られたオイルの脂肪酸組成に
おいて、その50%以上がDHAであった。
【0030】
【発明の効果】以上のように、この発明の鞭毛藻類クリ
セコディニウムを飼料として用いることにより、海産魚
の飼料となる動物性プランクトンを効率よく養成するこ
とができる。また、動物性プランクトンに不足するDH
Aを強化することができるため、DHAの不足を補うた
めに動物性プランクトンの他に魚油等を投与する必要が
なくなる。
【0031】また、この発明の培養方法によると、DH
A含量がより増大した鞭毛藻類クリセコディニウムを得
ることができ、さらに培養により得られたクリセコディ
ニウムからはDHA高含有オイルを抽出することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の鞭毛藻類クリセコディニウムを飼料
としたワムシの培養における、ワムシ個体数の経時変化
を示すグラフ。
【図2】この発明の鞭毛藻類クリセコディニウムを飼料
としたアルテミアの培養における、アルテミアの生長お
よび生存率の経時変化を示すグラフ。
【図3】クリセコディニウム・スピ−セスを高密度培養
した際の細胞密度およびDHA生産量の経時変化を示す
グラフ。
【図4】シマアジ稚魚の育成における、魚体重の変化に
対するEPAおよびDHAの効果を示すグラフ。
【図5】シマアジ稚魚の育成における、生存率の変化に
対するEPAおよびDHAの効果を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:89) (C12P 7/64 C12R 1:89) 7804−4B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鞭毛藻類クリセコディニウムを含有する
    動物性プランクトン用飼料。
  2. 【請求項2】 グルタミン酸およびその塩並びにイ−ス
    トエキスからなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素
    化合物を窒素源として含有する培地を用いることを特徴
    とする鞭毛藻類クリセコディニウムの培養方法。
  3. 【請求項3】 炭素源としてアルコ−ル類を含有する培
    地を用いることを特徴とする請求項2記載の培養方法。
  4. 【請求項4】 20℃以下で培養を行なうことを特徴とす
    る請求項3記載の培養方法。
  5. 【請求項5】 グルタミン酸およびその塩並びにイ−ス
    トエキスからなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素
    化合物を窒素源として含有する培地において培養された
    鞭毛藻類クリセコディニウムから抽出することを特徴と
    するドコサヘキサエン酸高含有オイルの製造方法。
  6. 【請求項6】 炭素源としてアルコ−ル類を含有する培
    地を用いることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 20℃以下で培養を行なうことを特徴とす
    る請求項6記載の製造方法。
JP4258007A 1992-09-28 1992-09-28 動物性プランクトン用飼料、該飼料に用いられる鞭毛藻類の培養方法並びにdha高含有オイルの製造方法 Expired - Lifetime JPH0740890B2 (ja)

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