JPH06103960A - 変形・破壊時に材料から放出される極微量ガスの分析装置 - Google Patents

変形・破壊時に材料から放出される極微量ガスの分析装置

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JPH06103960A
JPH06103960A JP4246833A JP24683392A JPH06103960A JP H06103960 A JPH06103960 A JP H06103960A JP 4246833 A JP4246833 A JP 4246833A JP 24683392 A JP24683392 A JP 24683392A JP H06103960 A JPH06103960 A JP H06103960A
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ultra
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は変形・破壊時に材料から放出される
極微量ガスの分析装置に係り、材料の変形・破壊とガス
元素との関係を解明するための装置であり、本発明の装
置は水素原子と転位との相互作用の解明等の材料物性の
基礎的分野にも応用可能であり、また同位元素を用いる
ことにより、材料の製造・熱処理・使用環境のいずれか
ら混入したガスが悪影響を与えるのかの解明が可能であ
り、新素材その他の材料設計のみならず、構造物の安全
使用等に有益な知見を与える装置を提供するにある。 【構成】 10-7Pa以下の超高真空チャンバーに、引
張、圧縮、疲労の各試験のできる材料試験機と、高性能
質量分析計と、非蒸発ゲッタポンプとを接続し、超高真
空チャンバーに接続した排気管にスパッタイオンポンプ
と、遮断弁を介してターボ分子ポンプとを接続し、前記
超高真空チャンバーに試料交換用蓋を設けたことを特徴
とする変形・破壊時に材料から放出される極微量ガスの
分析装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は変形・破壊時に材料から
放出される極微量ガスの分析装置に係り、材料の変形・
破壊とガス元素との関係の解明に果たす役割は大きい。
本発明の装置は水素原子と転位との相互作用の解明等の
材料物性の基礎的分野にも応用可能であり、また同位元
素を用いることにより、材料の製造・熱処理・使用環境
のいずれから混入したガスが悪影響を与えるのかの解明
が可能であり、新素材その他の材料設計のみならず、構
造物の安全使用等に有益な知見を与える装置となる。
【従来の技術】
【0002】関連する従来の技術の概要は以下の通りで
ある。 (1)超高真空下での材料の引張・圧縮・疲労試験は従来
とも別個の装置により行われており、大気中の試験結果
との比較から、試験環境中の水蒸気や水素の影響が報告
されてきた。しかし変形・破断時に試料から放出される
極微量の水素ガスを直接分析した例はない。
【0003】(2)材料中のガス分析については、高真空
下で材料を加熱し、材料から放出される各種ガス元素を
分析する昇温脱離ガス分析装置があり、四重極質量分析
計によって水素ガスなどを分析する方法によって、チャ
ンバー材などの研究に利用されている。しかし変形・破
断時のガス分析ではないために、材料の脆化にどのよう
なガス元素が直接関わっているかは明らかにすることが
できていない。
【0004】(3)材料の変形・破断時における放出水素
の検出は、例えばスカマンズら(Corrosion Science, V
ol.16 (1976),pp.443〜459.)が行っている。ここで
は、予め飽和水蒸気中に数日間放置して過剰の水素を吸
収させた試料に対して、油拡散ポンプと液体窒素トラッ
プによる10-3Pa下での引張試験を行い、放出される水
素を検出している。しかし水蒸気中に放置しなかった場
合、水素は検出されなかったとしていることから、材料
中に既に存在する極微量の水素その他のガスの検出には
適さない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上の通り、超高真空
下で材料を変形・破断し、その際放出される水素ガス等
のガス分析を行う試験装置は存在していない。上記の
(1), (2)を組み合わせ、(3)を発展させると材料の変形
・破断時における放出水素の放出は実現されそうにも見
えるが、従来は実際は行われてこなかった。その理由と
しては、試験機等の稼働部がある場合、超高真空の達成
が困難であること、超高真空が達成されたとしても、材
料から放出される極微量のガスの検出は困難と考えられ
ていたためと思われる。
【0006】しかし実際は、水素は材料の変形中に拡散
し、転位密度の高い領域に高濃度に偏析しているため変
形中も検出され、破断の瞬間には極めて高い分圧(〜10
-6Pa)となって検出されることが明らかとなった。し
かし、スカマンズらの装置は真空度が低いこと(10-3
a)、質量分析計の感度が高くないなどの理由から極微
量のガスしか含まない市販の材料などの分析は全く不可
能であった。よって、材料の脆化機構を解明すると共
に、その脆化防止のための知見が得られる装置の出現が
待望された。
【0007】従来の変形・破壊時に材料から放出される
極微量ガスの分析装置は 超高真空チャンバーを備えた材料試験機、高真空チ
ャンバーと質量分析計を備えた昇温脱離ガス分析装置、
高真空チャンバーと質量分析計を備えた材料試験機が
ある。はガス分析ができず、ではガス分析はできる
ものの、変形・破断に直接関わるガスを分析するもので
はなく、単に温度を上げながら材料から放出されるガス
を分析するものである。は油拡散ポンプによって、作
り出された10-3Paの高真空中で材料試験を行い、飽和
水蒸気中に暴露した試料からの大量の放出水素を普通感
度の質量分析計で検出することを目的としたものであ
る。従って、従来装置は市販の材料に既に含まれている
極微量の水素やその他のガスを材料の変形・破断時に検
出することは不可能であり、事実、飽和水蒸気中に暴露
しない試料から水素は検出されなかったと報告してい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は超高真空チャン
バー内で材料を変形・破断させながら材料から放出され
るガスを高感度質量分析計によって分析する装置に関す
るもので、,の装置・システムとは本質的に異なる
ものであり、またでは検出が不可能であった(検出の
対象としなかった)通常材料中の極微量ガスの分析を可
能とするものである。
【0009】本発明は10-7Pa以下の超高真空チャンバ
ーに、引張、圧縮、疲労の各試験のできる材料試験機
と、高性能質量分析計と、非蒸発ゲッタポンプとを接続
し、超高真空チャンバーに接続した排気管にスパッタイ
オンポンプと、遮断弁を介してターボ分子ポンプとを接
続し、前記超高真空チャンバーに試料交換用蓋を設けた
ことを特徴とする変形・破壊時に材料から放出される極
微量ガスの分析装置にある。
【0010】本発明の分析装置において、前記質量分析
計4は試料片、イオン源、分析部、イオン検出部を直線
関係に配列するのが好ましい。
【0011】本発明の質量分析計は排気管と超高真空チ
ャンバーとの接続部に近接し、約30〜60度好ましくは45
度をなすよう取り付けるのがよい。
【作用】
【0012】鋼の遅れ破壊やセラミック、金属間化合物
の環境脆化など材料とガス元素との相互作用による脆化
や破壊が問題となることが多く、構造材の信頼性にも大
きく関わっている。しかし従来、変形・破断時のガス分
析が困難であったため十分な認識が得られておらず、そ
の安全性等についても問題を残していた。本発明の装置
は、材料に圧縮、引張、疲労を与え、変形・破断する際
材料から放出される極微量のガス分析を可能とするもの
であり、変形・破断時の放出ガスを直接分析することに
より、脆化の原因を実証することを目的とするものであ
る。また、問題となるガスが材料の作製段階で侵入した
のか、熱処理の段階かあるいは使用環境から侵入したも
のであるかも、同位元素をトレーサーとすることで特定
し、測定できるようにしたものである。
【0013】以下図について本発明装置の実施の態様に
つき説明する。本発明の装置は、図1に示すように、材
料試験機1、超高真空チャンバー2、その排気装置3、
四重極質量分析計4、データ解析処理装置5からなる。
【0014】本発明の装置は材料試験機1の冶具に保持
された試験片を取囲んで超高真空チャンバー2が取付け
られ、このチャンバー2にその排気装置3と四重極質量
分析計4とデータ解析装置処理5とを連結して構成す
る。
【0015】(1)材料試験機:材料試験機1は図3に示
すように、ベース12の左右に植立した2本の支柱13に支
持されたクロスヘッド14が昇降シリンダ15に支持されて
支柱13の下方に取付けたテーブル16に対して昇降できる
ようにしてあり、上方のクロスヘッド14に取付けたロー
ドセル17と、下方のテーブル16に取付けたピストン18と
の間に試験片19を保持する冶具20,20を取付け、ピスト
ン18に取付けたアクチュエータ21の作動により試験片19
に圧縮、引張による変形又は破断できるように構成す
る。22はクロスヘッド14を固定するためのクランプシリ
ンダ、23は防振パット、24は扉を示す。図3に示す材料
試験機1により材料試験方法は ロードセルとピストンの間に、試験片の取付冶具を介
して試験片を装着する。 アクチュエータに油圧がかかると、ピストンおよび下
部冶具が上あるいは下に作動し、試験片に対して引張・
圧縮・疲労試験を行うことができる。
【0016】図4は本発明において使用した材料試験機
1に超高真空チャンバー2を取付けた状態を示す図面で
ある。
【0017】図5は図4の要部の拡大図を示すもので、
試験片19を保持する冶具20,20を取囲み、超高真空チャ
ンバー2を取付け、超高真空チャンバー2の一側に設け
たフランジ2Aに質量分析計4を取付ける。
【0018】材料試験機1は材料を変形・破断するため
のものであるので、目的に応じた変形ができればよい。
構造物では疲労破壊も問題となるので、引張、圧縮と共
に疲労試験時のガス分析を可能とするため、島津製作所
のサーボパルサーを選んだ(EHF−EB5−10L
型)。試験機の機種は特に問題ではなく、歪速度も通常
使用のものの範囲であればよいと考える。ただし、高速
変形を問題にする場合にはそのような試験機を選定すれ
ばよい。試験機の容量としては10トンまであればよい。
試験片の断面積は大きいほど放出ガス量は多くなるの
で、原理的には試験片の直径を大きくするほど極微量の
ガス分析には都合がよいことになる。しかし容量10トン
までの通常仕様で試験できる試験片で後述の分析計を用
いれば特に問題とはならない。
【0019】(2)超高真空チャンバー:超高真空チャン
バー2は材料試験機1の冶具20,20に保持された試験片
19を取囲むよう取付けられ、この一側に質量分析計4と
データ解析処理装置とを取付けて、真空中にある試験片
19に変形、引張り、破断時に放出されるガスを直接分析
できるようにしたものである。変形される試料が入る超
高真空チャンバー2は表面を電解研磨したステンレス
(SUS304 )で作製した。ガス放出の少ないアルミニ
ウム合金の使用も考えられるが、ベーキングその他の条
件を勘案して、ここではステンレスを使用した。チャン
バー2の内容積は小さいほど試料から放出されるガスの
分圧が高くなるので、質量分析計を用いたガス分析には
有利となる。しかしここでは、将来試料の加熱・冷却そ
の他ができるように、大きめの寸法を選択することにし
た(内容積0.05 m3 )。
【0020】(3)真空排気装置:超高真空チャンバー2
内の排気はガス分析ができるよう、少なくとも10-5Pa
以下の真空度とする必要があるので、スパッタイオンポ
ンプ7、ゲッターポンプ8、ターボ分子ポンプ9を用い
て超高真空とする。本発明では排気管6(電解研磨SU
S304 製)を介して、ターボ分子ポンプ9を2台直結す
ると共に(島津TMP−550 ,TMP−50型)、非蒸発
ゲッターポンプ8(アルバック製SORB−AC 50 −
D型)を用いて1.3 ×10-7Paの真空度を定常的に得て
いる。この場合、到達真空度が高い程極微量ガスの分析
には好都合となるので、スパッタイオンポンプ7を使用
することが望ましい。図面はイオンポンプにはアルバッ
ク製PST−8AM型等を付随させた場合である。しか
し、ガスの放出量の多い材料では、10-5Pa台でも十分
な場合がある。ここで、水素の排気速度の大きい非蒸発
ゲッターポンプ8は後述の質量分析計4の直下に備え付
けて、放出水素ガスを質量分析計4へ指向するようにし
た。
【0021】(4)質量分析計4:質量分析計4は図5に
示すように、超高真空チャンバー2中に冶具20,20によ
り保持した試験片19に対し質量分析計4のイオン源4
A、分析部4B、イオン検出部4Cとを直線関係に配列
し、イオン検出部4Cにデータ解析処理装置5を接続
し、質量分析計4で得られたデータを解析し、処理して
記録又は表示するよう構成する。
【0022】多くの材料の脆化の原因となる水素の分析
をすること、同位元素として重水素( 2H)の使用等を
考えると、軽元素の領域で分析精度のよい分析計を選択
するのが好ましい。本発明では、質量分析計としてアル
バック製MSQ−400 型四重極微量質量分析計を用い
る。分析質量数(m/e)は1〜400 であり、高分子ガ
スの分析も可能となっている。質量分析計4は、試料の
長手方向に対して垂直かつ試料平行部の中心と同じ高さ
にして、試料・イオン源・分析部・イオン検出部が一直
線に並ぶようにし、されに排気管から45度傾いた位置か
つ非蒸発ゲッターポンプの直上に配置した。
【0023】(5)データ処理装置5 質量分析計4による測定では、チャンバー内の残留ガス
種を考慮して、m/e=1〜50を掃引する方法が通常採
られるが、分解能を高くするために、掃引一回当り1〜
数秒を要する。このような分析手法を本材料試験機付属
の質量分析計に適用した場合、変形中の断続的なガス放
出や破断の瞬間のガスの分析ができない恐れがある。そ
こで本発明には、アルバック社で開発された10チャンネ
ルの高速マルチピークのデータ処理装置5を組み込ん
だ。この装置5ではm/e=1〜50の中から選択した10
種類までのガス種の分析をほぼ同時に行うことが可能と
なっている(10 msec /ch)。
【0024】本発明の分析装置に使用した質量分析計は
ULVAC四重極質量分析計MSQ−400 型であり、そ
の各部の説明をすると次の通りである。質量分析計4は
大きく分けて、イオン源4A、分析部4B、イオン検出
部4Cの三つの部分を直線状に配置して構成される。質
量分析計4の内部は各部とも300 ℃以下の繰返しベーク
に充分耐えるように設計、組立がされている。
【0025】(1)イオン源4A イオン源4Aはイオン化函、フィラメント、各種の電極
(レンズ系)より組立てられている。その各々は、高純
度アルミナにより絶縁されている。真空残留ガスはイオ
ン化室内でフィラメントよりのエミッション電流により
イオン化される。フィラメントは二本取りつけてあり、
一方が断線しても、イオン源4Aを取出すことなく、外
部より他方へ切換えて使用できるようになっている。イ
オン化函内でイオン化されたガスはエミッション電流と
直角の方向へ引き出され、レンズ系で収束され細いイオ
ンビームとなり、分析電極部の中心付近に射出される。
フィラメントが二本共断線した場合でも交換は極めて簡
単に行うことができる。
【0026】(2)分析部(四重極電極)4B この部分がマス・フィルター型質量分析計の最も重要な
部分である。従って、精密加工された部品を注意深く組
立てて出来ている。MSQ−400 型では四本の双曲面柱
の電極使用により、理論的に正しい理想的な電界を作っ
ていることを特徴としている。これらの電極はスペーサ
を介して平行に精度よく配置して構成される。
【0027】対向する二組の電極は分析管内部で各々結
線してある。この電極には交流電圧Vと直流電圧Uを重
畳した電圧が掛けられている。イオンソースより中心軸
に入射したイオンは各々振動し、ある特定の振動をした
ものだけが通過し、その他のイオンは電極に衝突してし
まい通過できない。このような働きをする電極であるの
で、この部分をフィルター電極ともいう。
【0028】(3)検出部4C 分析部4Bを通過したイオンを検出する部分で、通常は
ボックス・アンド・グリッドタイプの二次電子増倍管が
使用されている。電極は17段あり、第1電極の前に(イ
オン入射口)グリッドがあり、二次電子を効率よく次段
の電極に送り込むようになっている。電極材料は銅、ベ
リリウム(Cu−Be)を使用する。オプションとして
チャンネル型の二次電子増倍管を使用することがある。
また、二次電子増倍管の増幅率をチェックするために、
第1電極だけ独立してイオン電流を検出できる。二次電
子増倍管で増幅されたイオン電流は、低ノイズ・イオン
コードを通して微少電流増幅器に入り、イオン電流とし
て高感度に検出され、10-10 Pa(約10-12 Torr)
以下の分圧の測定が可能となるよう構成される。
【0029】図6は本発明の分析試験機に使用するター
ボ分子ポンプの構成原理説明用断面図であり、内蔵され
た誘導電動機27,28は専用高周波電源により、規定回転
数に加速される。電動機軸29にはロータ翼30が取付けら
れ、ロータ翼間には、ステータ31が配置される。ステー
タの位置決めのためにスペーサ32が間挿してある。
【0030】電動機軸29には上下に軸受33,33があり、
最下端にはこの軸受へ潤滑油を供給するノズル34が設け
てある。潤滑油はタンク35に貯蔵され、オイルゲージ36
により、油量、油の劣化状態を観測できるように構成す
る。
【0031】タンクはファン37によって冷却され、その
ファンカバー38は効果的にタンクを冷却する。潤滑油は
フィルタ39を通り、タンクにもどるようになっている。
吸気口には、ポンプ内に保護ネット40が設けられ、ゴミ
等が入るのを防ぐようになっている。41は油中に混入し
たゴミを取る磁石を示す。
【0032】ロータ翼ステータ翼の配置、形状は排気速
度、圧縮比等の諸性能を最も効率よく発揮させるように
設計してある。上段のロータ翼及びステータ翼は主に排
気性能が高くなるように設計され、下段にゆくに従い圧
縮性能が高くなるように設計されているので、ロータ、
ステータ翼の形状はその主たる作用により変わってくる
ようになっている。
【0033】ターボ分子ポンプ9の排気の原理は概略次
のようになっている。ガス分子が互いに衝突するまでの
距離、すなわち平均自由工程が大きくなった空間(一般
的には10-4Torr以下の真空領域)で高速に移動して
いる壁(すなわちロータ)へ気体分子が衝突したとする
と、その気体分子がロータを飛びだすときは入射方向に
関係にくロータ面垂直に最大の確率を有しながらも180
゜の立体角で反射する。
【0034】ロータ面での熱交換がないとすれば、飛び
だした気体分子はそれ自身の熱運動速度とロータの速度
をベクトル的に加算したものである。ロータの気体分子
に与える速度はその幾何学的形状と回転速度により決定
されるので、気体分子は無方向性の熱運動から方向性の
ある運動を行なうようになるわけである。
【0035】図7は非蒸発型ゲッターポンプの作動原理
説明用断面図である。図7において、42はZn−Al合
金よりなる筒状のゲッター材、43はその内部に収納した
ヒーターで、ゲッター材42はその両端を押え板44で押
え、ボルトナット45で締付け固定する。46はヒーター端
子金具で、この非蒸発型ゲッターポンプは真空チャンバ
ー2中に挿入してあり、ヒーター43によりゲッター材42
が400 ℃に加熱されると、気体がゲッター材42に吸収さ
れ、真空チャンバー2内が排気されるのである。
【0036】本発明装置の標準的な使用方法は以下の通
りである。まず全長50〜60mm、平行部長10〜30mmの試験
片を試験機の掴み部にセットし、試料挿入口を無酸素銅
のガスケットを用いて封じ、ロータリーポンプ7による
粗排気の後、ターボ分子ポンプ9A,9Bによる排気を
開始する。約30分間の排気によって10-5Pa台になった
後、真空チャンバー2、排気管6およびターボ分子ポン
プ9A,9Bを120 〜200 ℃に加熱・保持して24時間の
ベーキング処理を行う。ベーキングが終了した後、自然
冷却すると1×10-7Paの超高真空が得られる。この段
階で非蒸発ゲッターポンプ8を作動させるが、ポンプが
400 ℃に加熱されるため、ポンプの据え付け方によって
は周囲のチャンバーが昇温して真空度の低下が生ずる。
従って、ポンプへの印加電圧を下げて温度を低くした
り、チャンバーの冷却を行う。但し、水素については、
400 ℃と室温(電圧を印加しない場合)で排気速度はあ
まり変わらない。
【0037】材料試験は、ターボ分子ポンプ9・非蒸発
ゲッターポンプ8で排気しながら行い、荷重−変位曲
線、全圧変化、質量分析計4からのイオン電流変化を測
定する。そして荷重−変位曲線と全圧・イオン電流変化
とを対応させることによって、変形・破壊時のガス放出
特性に関する情報を得る。荷重−変位曲線、全圧の測定
には、アナログレコーダーやパソコン等が使用できる。
質量分析については、高速マルチピークデータ処理シス
テム5を使用する。本システムでは、10種類までのガス
の測定を、ガス種間の測定間隔が10 msec 、同一ガス種
の測定間隔が100msec以下の短時間で行うことが可能で
あり、材料の変形・破壊に伴うガス放出という速い分圧
変化の測定が可能である。ガス種としては、チャンバー
内の主残留ガスであるH2 (質量数2),H2 O(18),
2 +CO(28)などの他、N2 とCOの区別のためのC
(12),N(14),O(16)、また重水素( 2H(D)、質量
数2)などの安定同位元素をトレーサーとして使用した
場合のHD(3) ,D2(4),HDO(19),D2 O(20)など
があるが、これらの中から10種類を選択することになる
(測定可能な質量数は1〜400 )。勿論のこと、同位元
素は水素以外(15NやO18など)も使用可能であるが、
放射性のもの( 3Hなど)については専用の取扱い施設
において使用しなければならない。試験終了後、ゲート
バルブ10を閉じ、チャンバー2内を高純度アルゴンガス
によってリークして試料取出蓋11より試験片の取り出し
を行う。
【0038】本発明の実施例では、ターボ分子ポンプ、
非蒸発ゲッタポンプ、スパッタイオンポンプによる排気
によって、10-7Paの超高真空を得ているが、このよう
な超高真空を得るためには、必ずしも上記ポンプの組み
合わせである必要はなく、ここで述べていない多数の他
のポンプによっても達成は可能である。例えば、超高真
空よりは真空度の低い油拡散ポンプ(高真空用、約10-3
Pa)でも、液体窒素トラップを使用すれば10-7Paの
超高真空が得られる。従って、本発明においては実施例
に使用したポンプによって超高真空を得ることにした
が、使用するポンプの組み合わせは必ずしも必須条件で
なく、要は10-5Pa以下の超高真空とすることが肝要で
あり、そのように実施すればよい。
【0039】
【実施例】
実験方法:国内アルミニウムメーカーから提供された7
NO1合金(国際規格7005合金)の押出材からφ14×40
mmの試料を切り出し、平行部φ8×10mmの丸棒引張試験
片に加工の後、470 ℃で3.6 ksの溶体化処理、水焼入
れ、120 ℃で86.4ksの人工時効処理を施した。アセト
ンで十分に脱脂してから超高真空チャンバー内に収め、
試料を含むチャンバーごと約10-5Pa中150 ℃で79ks
のベーキング処理を施した後、自然冷却により5×10-7
Paの圧力とした。引張試験はクロスヘッド速度一定
(0.5 mm/min )で行い、試験中m/e=2,12,14,
16,18,28,32,40,44のものについて質量分析を行っ
た。
【0040】実験結果:図8は残留ガス分析結果を示
し、H2 ,H2 O,(N2 +CO),CO2 の各イオン
電流特性図を示す。図9は引張試験における荷重−変位
曲線図を示し、図10ないし図18は質量分析結果を示した
各イオン電流特性図である。試験開始後約390 s後に試
験片の破断が生じたが、この時m/e=2,14,16,2
8,40,44のピークが検出された。すなわち、H2 ,N
2 +CO,Ar,CO2 が破壊面から放出され、最も多
量に放出されたガスはH2 であることが分かった。ま
た、単原子N、Oのイオン電流にも変化がみられたが、
これは質量分析計のイオン源によって原子間結合が切断
された結果生じたものであり、Nは N2 の一部が解離
したものである。なおOについては、現段階ではCOあ
るいはCO2 のいずれから生じたものかは不明である。
いずれにしても、本発明の実験で使用した7NO1合金
の破面から多量のH2 が放出されることが明らかとな
り、工業的に十分脱ガス処理を施した試料においても水
素が破壊に関与していることが実証された。
【0041】実験の考察: (1)従来から行われてきた超高真空下での材料の引張・
圧縮・疲労試験では、既述のように大気中での試験結果
(主に延性・靱性)と比較することによって、試験雰囲
気中の水蒸気や水素の影響が報告されてきた。この時、
超高真空下での試験では、雰囲気中の水蒸気などの影響
は無いまたは無視できると考えられてきた。しかし、本
発明において超高真空チャンバーに質量分析計を付帯さ
せたところ、10-7Paの超高真空における残留ガスのほ
とんどは水素および水蒸気であることが判明し、超高真
空下においても環境中の水素や水蒸気による材料の脆化
を考慮する必要が生じてきたと考えられる。
【0042】(2)本発明による研究では、材料の変形初
期(弾性域)においても放出ガスが検出された。これ
は、試料表面の酸化皮膜が破壊して、皮膜直下のガスが
放出されたと考えられる。この実験結果は、従来からの
昇温脱硫試験装置による真空チャンバー材の研究に一石
を投じるものであり、試料の加熱に伴うガス放出と併せ
て表面の酸化皮膜の効果も重要であることを示唆するも
のである。
【0043】(3)スカマンズらの装置では、飽和水蒸気
中に暴露していない試料から放出する水素の検出は不可
能であった。したがって、水素脆化を実証するために
は、試料中に多量の水素を導入する必要があることか
ら、実際に起こり得る現象とは異なるものを観察してい
た。しかし本発明は、材料中に既に存在する極微量ガス
の検出を可能としたことから、これまで影響が無視され
てきたような量のガスによる脆化の実証にも大きく貢献
し、脆化防止を計ることを可能とするものである。
【0044】
【発明の効果】本発明の極微量ガス分析装置において
は、材料試験機1と超高真空チャンバー2と排気装置
3、質量分析計4とを一体として超高真空系内に配列し
たので、材料の変形・破壊時に材料から放出される極微
量ガスの分析が高精度で行へ、この試験結果をデータ処
理装置により指示および記録できるようにした分析が高
精度で迅速にできる工業上大なる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明分析装置の正面図である。
【図2】図2は本発明分析装置の平面図である。
【図3】図3は本発明の材料試験機の正面図である。
【図4】図4は本発明の材料試験機に超高真空チャンバ
ーを取付けた状態を示す断面図である。
【図5】図5は図4の一部を拡大した説明図である。
【図6】図6は本本発明に使用するターボ分子ポンプの
基本構成を示す断面図である。
【図7】図7は本発明に使用する非蒸発型ゲッターポン
プの構成を示す断面図である。
【図8】図8は本発明の試験装置により分析した残留ガ
ス分析結果を示す各元素及び化合物のイオン電流特性図
である。
【図9】図9は本発明の試験機における荷重−変位曲線
図である。
【図10】図10は本発明の試験機による質量分析結果を
示す炭素(C)のイオン電流曲線図である。
【図11】図11は本発明の試験機による質量分析結果を
示す酸素(O2 )のイオン電流曲線図である。
【図12】図12は本発明の試験機による質量分析結果を
示すCO2 のイオン電流曲線図である。
【図13】図13は本発明の試験機による質量分析結果を
示すN2 +COのイオン電流曲線図である。
【図14】図14は本発明の試験機による質量分析結果を
示すH2 Oのイオン電流曲線図である。
【図15】図15は本発明の試験機による質量分析結果を
示すH2 のイオン電流曲線図である。
【図16】図16は本発明の試験機による質量分析結果を
示すNのイオン電流曲線図である。
【図17】図17は本発明の試験機による質量分析結果を
示すArのイオン電流曲線図である。
【図18】図18は本発明の試験機による質量分析結果を
示すOのイオン電流曲線図である。
【符号の説明】
1 材料試験機 2 超高真空チャンバー 2A 質量分析計取用フランジ 3 排気装置 4 質量分析計 5 データ解析処理装置 6 排気管 7 スパッタイオンポンプ 8 非蒸発ゲッターポンプ 9 ターボ分子ポンプ 10 ゲートバルブ 11 試料出入蓋 12 ベース 13 支柱 14 クロスヘッド 15 昇降シリンダ 16 テーブル 17 ロードセル 18 ピストン 19 試験片 20 冶具 21 アクチュエータ 22 クランプシリンダ 23 防振パット 24 扉 25 昇降マニホールド 26 クランプマニホールド 27,28 誘導電動機 29 電動機軸 30 ロータ翼 33 軸受 34 ノズル 35 タンク 36 オイルゲージ 39 フィルタ 40 保護ネット 41 磁石 42 ゲッター材 43 ヒーター 44 押え板 45 ボルトナット 46 ヒーター端子金具

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10-7Pa以下の超高真空チャンバーに、
    引張、圧縮、疲労の各試験のできる材料試験機と、高性
    能質量分析計と、非蒸発ゲッタポンプとを接続し、超高
    真空チャンバーに接続した排気管にスパッタイオンポン
    プと、遮断弁を介してターボ分子ポンプとを接続し、前
    記超高真空チャンバーに試料交換用蓋を設けたことを特
    徴とする変形・破壊時に材料から放出される極微量ガス
    の分析装置。
  2. 【請求項2】 前記質量分析計は試料平行部、イオン
    源、分析部、イオン検出部を直線関係に配列した請求項
    1に記載の分析装置。
  3. 【請求項3】 前記質量分析計は排気管と超高真空チャ
    ンバーの接続部に近接し、約30〜45度をなすように取り
    付けることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
JP4246833A 1992-09-16 1992-09-16 変形・破壊時に材料から放出される極微量ガスの分析装置 Expired - Lifetime JPH0718783B2 (ja)

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