JPH0610350A - 鋼管杭等の引抜装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 杭を変形、切断させることなく、また無振動
・無騒音で迅速かつ安全に引抜けるようにする。 【構成】 ジャッキ１２が接続される柱状本体２の先端
に、引抜方向に突出する取付軸３を設けると共に、この
取付軸３に接続金具４を引抜方向に移動可能に設ける。
取付軸３の下端につかみ爪５をその先端つかみ面５ａが
鋼管杭Ｐの内面に対して進退可能に軸着する。つかみ爪
５の先端部と接続金具４とを連結リンク６を介して連結
する。柱状本体２をジャッキ12により上昇させると、つ
かみ爪５のつかみ面５ａが鋼管杭Ｐの内面を押圧して鋼
管杭上端を把持し、柱状本体２と一体的に連結された鋼
管杭Ｐがジャッキ１２により引抜かれる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、矢板に用いられる鋼管
杭等の引抜装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】土止めや水止めの目的で施工前に地盤に
打ち込まれた矢板は、施工後引き抜かれるが、従来にお
いては、杭打ち機のバイブロハンマーを用い、このバイ
ブロハンマーのチャックで鋼管杭等の上端を直接つかむ
か、あるいは鋼管杭等の上端に鉄板を溶接してこれをつ
かんで引抜いていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような従来のバイブロハンマーを用いた引抜方法では、
チャックを介して杭に振動を与えるため、またチャック
のつかみ面積が狭いことなどから、杭が変形、切断する
おそれがある。また、バイブロハンマーの振動・騒音等
により使用場所が限定される問題がある。本発明は、前
述のような問題点を解消すべくなされたもので、その目
的は、杭を変形、切断させることなく引抜きが可能であ
ると共に、無振動・無騒音で迅速かつ安全に引抜きを行
うことのできる鋼管杭等の引抜装置を提供することにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、ジャッキが接
続される柱状本体の下端に、引抜方向に突出する取付軸
を設けると共に、この取付軸に接続金具を引抜方向に移
動可能に設け、前記取付軸の下端につかみ爪を、その先
端つかみ面が鋼管杭内面に対して進退可能に軸着し、こ
のつかみ爪の先端部と前記接続金具とを連結リンクを介
して連結したものである。

【０００５】

【作用】鋼管杭の引抜きに際し、鋼管杭の上端に接続金
具を載置し、ジャッキにより柱状本体を上昇させると、
つかみ爪の軸着基部が取付軸を介して上昇し、つかみ爪
の先端部が連結リンクにより鋼管杭内面に向かって押し
出され、つかみ爪のつかみ面が鋼管杭内面に押圧され、
つかみ爪により鋼管杭上端が把持されて柱状本体と鋼管
杭とが一体化する。柱状本体をジャッキにより上昇させ
れば、鋼管杭が容易に引抜かれる。ジャッキにより柱状
本体を鋼管杭に対して下降させれば、取付軸の下降によ
り連結リンクを介してつかみ爪が鋼管杭内面から離れる
開状態となり、引抜装置を鋼管杭の上端から容易に離脱
させることができる。

【０００６】

【実施例】以下、本発明を図示する一実施例に基いて説
明する。これは鋼管矢板の引抜きに適用した例である。
図１ないし図４に示すように、本発明の引抜装置１は、
鋼管杭Ｐに継ぎ足されるヤットコの先端にチャックを取
付けたものであり、主として柱状本体（ヤットコ）２、
取付軸３、接続金具４、つかみ爪５、連結リンク６から
構成する。

【０００７】柱状本体２は、円筒形の筒体であり、上部
に一対の吊上用金具２Ａを設けてクレーンにより吊り上
げ可能とし、下部にはチャックを接続するための取付用
基板２Ｂを取付ける。また、この柱状本体２は後述する
パワーケーシングジャッキの抱持体により抱持されて引
き上げられる部分であり、これに耐え得る強度とし、ま
た後述する尺取式の引き上げを行ない得る長さとする。

【０００８】取付軸３は、取付用基板２Ｂの取付孔２Ｃ
に上方から挿入してそのフランジ３Ａにより係り止め
し、鋼管杭Ｐの上端部内に突出するようにする。接続金
具４は、鋼管杭Ｐの上端に載置される接続基板４Ａと、
鋼管杭Ｐの上端部外面を覆うリング状のガイド板４Ｂか
ら構成し、接続基板４Ａの中央に穿設した挿通孔４Ｃに
取付軸３を挿通することにより、取付用基板２Ｂの下方
において柱状本体２に対して引抜方向に相対移動可能と
する。なお、ガイド板４Ｂは二つのくさび状部材から構
成し、これを重ね合わせてボルトで結合するようにして
もよい（図１参照）。

【０００９】つかみ爪５は、鋼管杭Ｐの内面に当接可能
な平面視円弧状のつかみ面５ａを有する爪部材５Ａと、
この爪部材が上部先端に取付けられる一対の支持レバー
５Ｂから構成し、支持レバー５Ｂの基部を取付軸３の先
端部に水平ピン７を介して取付けることにより、つかみ
面５ａが鋼管杭Ｐの内面に対して進退するよう構成す
る。連結リンク６は、接続基板４Ａとつかみ爪５の上部
先端部とを連結すると共に、両端をそれぞれ接続基板４
Ａの下面、支持レバー５Ｂの上部にピン８を介して取付
けることにより揺動し、取付軸３の上下動により、つか
み爪５の上部先端部が上下動するのを阻止しつつ鋼管杭
Ｐの内面に対して揺動進退させる部材である。

【００１０】これらつかみ爪５と連結リンク６の長さや
角度は、取付軸３が接続金具４に対して上昇すると、つ
かみ面５ａが鋼管杭Ｐの内面に押圧され、かつ下降する
と、つかみ面５ａが鋼管杭Ｐの内面から所定距離だけ離
れるように設定しておく。また、取付用基板２Ｂと接続
基板４Ａの側面には、重なり合う連結片９、１０をそれ
ぞれ突設し、これら連結片９、１０を固定ピン１１で連
結することにより、取付用基板２Ｂと接続基板４Ａを当
接させた状態で固定し、つかみ爪５をつかみ面５ａが鋼
管杭内面から離れる開状態に保持できるようにする。な
お、つかみ爪５は、取付軸３の両側に一対で配設し、鋼
管杭Ｐの内面全体にわたってつかめるようにする。ま
た、つかみ面５ａには例えば引抜方向に平行な歯を多数
刻設しておく。

【００１１】パワーケーシングジャッキ１２は、図１、
図４に示すように、反力台１４上に固定され、同期して
駆動される例えば４本のジャッキ１３と、このジャッキ
１３の可動体に接続され、開閉して柱状本体２を抱持し
得る一対の抱持体15からなり、柱状本体２を抱持して上
昇し、抱持を解除して下降し、柱状本体２を尺取式に上
昇できるように構成されている。

【００１２】以上のような構成において引抜装置１は次
のように作動する。 固定ピン１１で連結片９、１０を連結することによ
り、一対のつかみ爪５をつかみ面５ａが鋼管杭内面から
退避する開状態に保持し、クレーンにて柱状本体２を吊
り、下部のチャック部分を鋼管杭Ｐの上端部に嵌装す
る。この際、接続金具４のリング状ガイド板４Ｂが案内
となってつかみ爪５が鋼管杭Ｐ内に円滑に挿入される。 固定ピン１１を抜き、パワーケーシングジャッキ１
２で柱状本体２を例えば５０mmほど持ち上げると、接続
金具４に対して取付軸３が上昇し、連結リンク６の作用
によりつかみ爪５のつかみ面５ａが鋼管杭Ｐの内面に向
かって進出し、鋼管杭Ｐの内面を押圧して鋼管杭Ｐを内
側から絞め付ける。

【００１３】 柱状本体２と鋼管杭Ｐが一体化し、柱
状本体２をパワーケーシングジャッキ１２で持ち上げれ
ば、鋼管杭Ｐが引き抜かれる。 柱状本体２の抱持、ジャッキ１２の１ストローク分
の上昇、抱持の解除、ジャッキ１２の１ストローク分の
下降を順次繰り返し、鋼管杭Ｐが所定高さまで引抜かれ
ると、柱状本体２をジャッキ１２により鋼管杭Ｐに対し
て下降させれば、つかみ爪５が開状態となる。 固定ピン１１により連結片９、１０を連結すると、
つかみ爪５が開状態で固定される。 クレーンにて柱状本体２を吊り、鋼管杭Ｐの上端か
ら取り除く。

【００１４】図４に示すのは、鋼管矢板の引抜きに適用
した例であり、次のような手順で引抜きを行う。 両側の鋼管杭の上端に反力キャップ１６を取付け、
この上に反力台１４を設置する。 反力台１４上にパワーケーシングジャッキ１２を設
置すると共に、鋼管杭Ｐの上端に引抜装置１を連結し、
抱持体１５で柱状本体２を抱持する。 パワーケーシングジャッキ１２により鋼管杭Ｐを尺
取式に引抜く。 引抜かれた鋼管杭Ｐの上部を切断除去する。 充填土を埋戻し、ジャンクションが外れるまで前記
〜を繰り返す。 ジャンクションが外れたらボウズ引抜きを行う。な
お、以上は鋼管杭を引抜く場合について説明したが、本
発明はその他の形状の杭、矢板の引抜きにも応用できる
ことはいうまでもない。

【００１５】

【発明の効果】前述の通り、本発明の引抜装置は、ジャ
ッキが接続される柱状本体の先端に取付軸を設けると共
に、この取付軸に接続金具を移動可能に設け、取付軸の
下端につかみ爪をその先端つかみ面が鋼管杭内面に対し
て進退可能に軸着し、このつかみ爪と接続金具とを連結
リンクを介して連結し、柱状本体を上下動させることに
よりつかみ爪を開閉し、柱状本体を把持して引き上げる
ようにしたため、次のような効果を奏する。 （１）柱状本体をジャッキにより引き上げるため、また
つかみ面積を大きくすることができるため、杭を変形、
切断させることなく引抜きを行うことができる。 （２）ジャッキによる引抜きであるため、無振動、無騒
音で施工を行うことができる。 （３）施工速度が速く、安全な引抜きを行うことができ
る。 （４）杭の着脱を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の引抜装置を示す概略図であり、（ａ）
はチャックが閉じた状態、( ｂ）はチャックが開いた状
態である。

【図２】本発明の引抜装置の一実施例を示す縦断面図で
ある。

【図３】（ａ）は図２のIII ａ−III ａ線矢視図、
（ｂ）は図２のIII ｂ−III ｂ線断面図である。

【図４】本発明の引抜装置を用いて鋼管矢板を引抜く例
を工程順に示した概略図である。

【符号の説明】

１ 引抜装置 ２ 柱状本
体 ３ 取付軸 ４ 接続金
具 ５ つかみ爪 ６ 連結リ
ンク １２ パワーケーシングジャッキ １５ 抱持
体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安 藤 英 雄 兵庫県神戸市兵庫区水木通９丁目１−39

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ジャッキが接続される柱状本体の
   下端に、引抜方向に突出する取付軸を設けると共に、こ
   の取付軸に接続金具を引抜方向に移動可能に設け、前記
   取付軸の下端につかみ爪をその先端つかみ面が杭内面に
   対して進退可能に軸着し、このつかみ爪の先端部と前記
   接続金具とを連結リンクを介して連結したことを特徴と
   する鋼管杭等の引抜装置。