JPH06102152B2 - 分子篩活性炭、その製造法、およびそれを用いて混合ガスから特定ガスを分離する方法 - Google Patents

分子篩活性炭、その製造法、およびそれを用いて混合ガスから特定ガスを分離する方法

Info

Publication number
JPH06102152B2
JPH06102152B2 JP60272050A JP27205085A JPH06102152B2 JP H06102152 B2 JPH06102152 B2 JP H06102152B2 JP 60272050 A JP60272050 A JP 60272050A JP 27205085 A JP27205085 A JP 27205085A JP H06102152 B2 JPH06102152 B2 JP H06102152B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
activated carbon
molecular sieve
phthalocyanine
adsorption
phthalocyanine compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP60272050A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62132543A (ja
Inventor
正憲 津村
宏之 大浦
泰三 市田
Original Assignee
大陽酸素株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 大陽酸素株式会社 filed Critical 大陽酸素株式会社
Priority to JP60272050A priority Critical patent/JPH06102152B2/ja
Publication of JPS62132543A publication Critical patent/JPS62132543A/ja
Publication of JPH06102152B2 publication Critical patent/JPH06102152B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、分子篩作用を有する活性炭に関するものであ
り、またその分子篩活性炭を製造する方法、さらにはそ
れを用いて混合ガスから特定ガスを分離する方法に関す
るものである。
従来の技術 古くから各種用途に供されている一般活性炭は、その比
表面積が700〜1600m2/gと非常に大きいが、その細孔径
分布も非常に広く、分布の上限は数千Åにまで達してい
る。そのために平行細孔径も大きく、ゼオライトのよう
な分子篩作用による特定成分のみを選択的に吸着する特
性を具備していない。
しかし近年、酸素や窒素のような小さな動力学的気体分
子系を有するガスを含有する混合気体からそれらを分離
する炭素系分子篩、いわゆる分子篩活性炭の研究が盛ん
で、一部の市販もされている。
(イ)たとえば、特公昭56−28846号公報には、硬質の
植物性炭化物を乾燥後賦活ガスにより賦活し、酸および
水により可溶成分を除去し、乾燥後前記賦活ガスにて再
度賦活する方法が開示されている。この方法は、従来の
活性炭の製法を踏襲し、その処理条件を精密に調節する
ことによって分子篩作用を有する小分子吸着用活性炭を
製造するものである。
また、特許第930875号(特公昭52−47758号公報)に
は、ポリ塩化ビニリデンを脱酸処理したものを粉砕し、
これに造粒剤、焼結剤を添加して造粒し、さらに高温で
乾留することにより炭素系分子篩を製造する方法が開示
されている。この方法は、従来の木質系、石炭系、ター
ルピッチ系等の代りにポリ塩化ビニリデンを用いた特異
な方法で、焼成により生成した炭素が特殊な骨格構造を
形成することを利用したものである。
(ロ)ところで、これまで報告されている分子篩活性炭
の製造法としては、炭素材を出発原料としてこれに何ら
かの方法で炭素を析出せしめる方法が多い。
たとえば、特公昭60−20322号公報には、上記特許第930
875号の方法の改良法として、ポリ塩化ビニリデン廃棄
物を脱塩酸して得たチャーを微粉砕し、これに炭化によ
って強固なコークスを生成する有機物質を粘結剤として
配合し、常温で粘着性を示す有機物質を配合したものを
造粒し、高温で炭化する方法が示されている。
また、特公昭49−37036号公報には、フェノール系樹脂
またはフラン系樹脂を作る原料物質を活性炭に吸着さ
せ、重合、縮合せしめ、ついで高温で加熱する方法が示
されている。
特公昭52−18675号公報には、熱分解によりカーボンを
放出する炭化水素をコークスに添加し、これを高温で処
理して放出されたカーボンをコークスの細孔中に沈着さ
せる方法が示されている。
特開昭59−45914号公報には、やし殻炭粉末をコールタ
ールピッチおよび/またはコールタールをバインダーと
して造粒し、これを乾留して得た乾留炭を希鉱酸水溶液
で洗浄、水洗した後乾燥し、コールタールピッチおよび
/またはコールタールを加えて高温で熱処理する方法が
示されている。
特開昭60−171212号公報には、微細孔含有炭素基材を高
温で脱ガスし、ついで中程度の温度まで冷却後この温度
で気相の炭化水素と接触させてこの炭化水素を内部に収
着させ、ついで減圧下に脱ガスして炭素基材から物理的
に保持された炭化水素を除去し、その後基材の細孔に固
着した残留炭化水素を一層高い温度で分解することによ
り前記細孔に熱分解炭素を沈着させる方法が示されてい
る。
(ハ)これとは別の方法として、特開昭60−150831号公
報には、メソカーボン・マイクロビーズにニトロ基、ス
ルホン基を導入し、ついで非酸化性雰囲気中300〜600℃
で加熱処理する方法が示されている。メソカーボン・マ
イクロビーズは、主として縮合多環芳香族化合物よりな
り、この化合物が一定方向に配列してラメラ(薄層)を
形成し、このラメラが積層した構造を持つものである。
この方法は、事前に官能基を化学的手法で導入してお
き、希望の細孔径を確保した上でその官能基を脱離除去
する方法である。
(ニ)また、特開昭49−106982号公報には、炭素材の気
孔を常圧または減圧下で200〜360℃の沸点を持つ有機化
合物で縮小する方法が開示されている。この方法は比較
的沸騰の高い有機化合物を用いて炭化することなしに気
孔を形成させるものである。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら、(イ)で述べた特公昭56−28846号公報
の方法は、工程が多岐にわたる上、高温の処理が必要
で、経済的方法とは言い難い。また、特許第930875号の
方法は、原料ポリ塩化ビニリデンから得られる炭素系分
子篩の収率が低いという欠点がある。
(ロ)で述べた方法は、炭素材に何らかの方法で炭素を
析出させることにより細孔を析出炭素でせばめて細孔径
を縮小させる方法であるが、炭化工程で大幅な体積減少
が見られ、効果的に細孔径を縮小させることは困難であ
る。このため、処理を複数回行ったり、炭素骨格全体を
縮小させるために高温処理を行ったり、昇温、冷却、再
加熱を行ったりしなければならず、細孔径制御および経
済性の面で問題がある。
(ハ)で述べた特開昭60−150831号公報の方法は、出発
原料たるメソカーボン・マイクロビーズを得るのに複雑
かつ多岐にわたる工程を経る上、その収率も10%前後で
あり、経済性に問題がある。
(ニ)で述べた特開昭49−106982号公報の方法も、気孔
縮小剤として用いている有機化合物の沸点も200〜300℃
である。このような有機化合物は、常温では液体かある
いは融点216℃までのもので容易に液体になるものであ
り、熱的に不安定なものである。従って、その使用条
件、たとえば真空度、温度等によってはこの有機化合物
が炭素材より逸散するおそれがあり、従ってそれに伴な
って細孔経も変化することとなり、安定して使用できな
い。さらに生成される気孔も0.2〜0.6μmと非常に大き
い。
これまで述べてきたように、従来の分子篩活性炭の製造
法は、細孔径調整の制御性および製造コストの面で問題
の多い高温加熱処理を伴なった複雑な多くの工程を経て
作る方法か、それほど高温を必要としないが、得られる
分子篩活性炭が安定性に欠け、寿命に問題のある製造法
しか提示されていない。
本発明は、このような問題点を解決しようとするもので
あり、処理工程の簡略化と省エネルギー性を満足しなが
ら、効率良く細孔径調整を制御する方法と、通常予想さ
れる使用条件下の熱や圧力に対しても安定で、細孔径分
布の狭く揃った平均細孔径の小さい分子篩活性炭を提供
しようとするものである。
問題点を解決するための手段 本発明者らは永年にわたって、酸素と親和性をもついわ
ゆる酸素担体としての各種錯体化合物について研究を行
ってきたが、その研究過程で以下に述べる本発明に到達
した。
すなわち、本発明の分子篩活性炭は、活性炭表面にフタ
ロシアニン系化合物が蒸着した構成を有することを特徴
とするものである。
また本発明の分子篩活性炭の製造法は、フタロシアニン
類を常圧または減圧下に温度350〜750℃で加熱昇華する
ことにより、該フタロシアニン系化合物を活性炭の表面
に蒸着させることを特徴とするものである。
さらに本発明の混合ガスから特定ガスを分離する方法
は、圧力変動式吸着分離法により混合ガスから特性ガス
を分離するにあたり、活性炭表面にフタロシアニン系化
合物が蒸着した構成を有する分子篩活性炭を吸着剤とし
て用いることを特徴とするものである。
本発明の分子篩活性炭は、そのIRスペクトル、X線回折
等から、蒸着したフタロシアニン系化合物により活性炭
の細孔ないしは間隙の周縁が覆われて縮小されているこ
とが確認された。また、その細孔分布測定およびガスの
吸着特性から、その平均細孔径も10Å以下で任意に調節
可能であることが判明した。
このように本発明の分子篩活性炭は、活性炭の細孔ない
しは間隙の周縁にフタロシアニン系化合物が蒸着してお
り、この蒸着により活性炭の細孔ないしは間隙が制御性
良く縮小されているので、混合ガスから特定ガスを分離
する目的、殊に、空気中の酸素を選択的に吸着すること
を利用して、空気中の酸素と窒素を分離する目的に好適
である。
本発明で使用されるフタロシアニン系化合物は、熱的に
も化学的にも安定で、一般に350〜500℃において真空下
ではじめて昇華し、これ以下の温度では溶融もせず、酸
およびアルカリにも強くほとんどの溶楳にも不溶であ
る。従って、本発明の分子篩活性炭は極めて安定で、通
常の使用条件下ではほとんど永久的にその機能を維持す
るものである。
本発明で用いられるフタロシアニン系化合物としては、
金属フタロシアニン類または/および遊離フタロシアニ
ン類があげられる。
金属フタロシアニン類としては、マンガンフタロシアニ
ン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッ
ケルフタロシアニン、クロムフタロシアニン、銅フタロ
シアニン、スズフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、
白金フタロシアニン、パラジウムフタロシアニンなどが
例示され、これらの塩素置換体、スルホン酸置換体、ス
ルホンアミド置換体、カルボン酸置換体等の誘導体も用
いることができる。他の金属のフタロシアニンも昇華性
を示すものであれば使用できる。
遊離フタロシアニン類としては、中心イオンとして金属
イオンを持たない遊離フタロシアニンが用いられ、その
塩素置換体、スルホン酸置換体、スルホンアミド置換
体、カルボン酸置換体等の誘導体も用いることができ
る。
上記フタロシアニン系化合物を蒸着させる活性炭として
は、木質系、石炭系、タールピッチ系等の各種活性炭、
コークスなど広義の活性炭の範ちゅうに属するものが用
いられる。活性炭の形状は、粉末状、粒状、破砕物状、
成形物状のいずれであってもよいが、比較的細孔分布の
揃った、かつ平均細孔径の小さいものを出発原料として
用いた方が好ましい。
次に、本発明の分子篩活性炭の製造法をさらに詳細に述
べる。
粉末状活性炭を出発原料とする場合は、これに所定の割
合のフタロシアニン系化合物の微粉末を均一に混合した
ものをヘリウム、窒素等の不活性ガス雰囲気下に常圧な
いしは減圧下、もしくは不活性ガスを用いない減圧下で
一定時間加熱昇華処理を行う。
粒状、破砕物状、成形物状の活性炭を出発原料とする場
合は、予めフタロシアニン系化合物をボールミル等で微
粉砕した上、これを界面活性剤を用いて水、アルコール
等の分散媒(特に水−アルコール混合系が好ましい)に
所定の濃度に分散せしめた分散液を調製し、減圧下で充
分に脱気された成形活性炭をこの分散液に減圧下に浸漬
して含浸を行い、含浸の実施後に分散媒を常温または加
温(たとえば50〜150℃)下で常圧または減圧下に活性
炭から充分に留去する。こうして得られる表面に均一に
フタロシアニン系化合物を担持させた活性炭を、上述の
粉末活性炭を出発原料とする場合と同様に、ヘリウム、
窒素等の不活性ガス雰囲気下に常圧ないしは減圧下、も
しくは不活性ガスを用いない減圧下で一定時間加熱昇華
処理を行う。
加熱昇華処理に際しての加熱温度は350〜750℃、好まし
くは400〜650℃に設定する。また、この際に用いる不活
性ガスとしては、その分子径が小さいことおよび熱伝導
の大きいことから、特にヘリウムが好ましい。また一般
に、加熱昇華処理は、その昇華速度を早めるために減圧
下で行うことが好ましい場合が多いが、その際の減圧度
は50Torr以下、より望ましくは1Torr以下、さらに望ま
しくは10-2Torr程度あるいはそれ以下である。加熱昇華
処理を行う時間は、通常、1〜4時間、より好ましくは
2〜3時間である。
上記のようにして製造された分子篩活性炭を吸着剤とし
て用いて圧力変動式吸着分離法により混合ガスから特定
ガスを分離する際には、たとえば、吸着圧力を大気圧以
上10kg/cm2G未満程度に設定し、再生圧力を大気圧ない
しは大気圧以下に設定する。圧力変動式吸着分離装置の
具体例は、後述の実施例18のところで例示する。
本発明の分子篩活性炭の産業上の利用分野は極めて広範
であり、たとえば、混合ガスから特定ガスを分離するた
め、殊に、空気中の酸素と窒素を圧力変動式吸着分離プ
ロセス、いわゆるPSA用の吸着剤として各種化学工業、
電子工業、食品工業、農水産業、金属の熱処理、冶金、
船舶等の分野で用いられる。また、その不活性なガス特
性を生かして、保持用、酸化防止用、生物の呼吸抑制
用、微生物の醗酵用に、あるいは、金属の窒化硬化処理
用等に多用されるほか、化学物質をその混合物から分離
するためものとして、ガスクロマトグラフィーのカラム
充填剤としての分析用から各種化学工業の分離プロセス
まで広く利用できる。
作用 本発明の分子篩活性炭は、細孔分布が狭く、よく揃って
いるので、ゼオライトの細孔分布により近づいたもので
ある。従って、酸素および窒素をよく分離するようにそ
の平均細孔径をこれらの分子の動力学的分子径に充分近
づくまで細孔を縮小したものでは従来知られている分子
篩活性炭を上まわる分離性能を発揮する。すなわち、こ
のように細孔調整した本発明の分子篩活性炭では、酸素
の吸着量は吸着圧力、吸着時間にほぼ比例して増大し、
吸着温度が低いほどその吸着量が増大する傾向を示すの
に対して、窒素の吸着量の吸着圧力、吸着時間、吸着温
度に対する依存性は小さい。言い換えれば、窒素の吸着
を極度に押え、酸素を選択的に吸着する吸着選択性高い
分子篩活性炭であるということができる。しかもこのと
きの酸素の吸着量は、従来の分子篩活性炭のそれと同等
以上を維持しており、工業的応用価値は極めて大きい。
酸素および窒素に対するゼオライトと炭素吸着剤の吸着
選択性に及ぼす因子は、一般にゼオライトに関してはそ
の細孔径の大小よりも窒素の大きな電気四重極能率とゼ
オライト細孔表面の電気化学的特性との相関が大きいと
言われているが、何ら炭素以外の添加物のない炭素吸着
材では、その細孔表面を構成する炭素とこれら酸素、窒
素との間にはその電気化学的親和力に差異はなく、ただ
これらガスの分子径の大小と炭素吸着材の細孔径の大小
が大きく関係しているものと考えられている。従って、
本発明の分子篩活性炭は酸素担体でもあるフタロシアニ
ン系化合物で活性炭の細孔を縮小し、これらガスの分離
に関わる細孔または間隙の大きさがたとえば3Å近辺に
調整され、しかも、その細孔分布測定結果にも示されて
いるように、より大きな分子である窒素の共吸着を許容
する大きな細孔が極度に少ない細孔分布の狭く揃った構
造であることが、これらの吸着選択性の向上に寄与して
いるものと思われる。
実 施 例 次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
なお、以下において吸着実験装置としては第8図に示し
た装置を用いた。図中、(1)はボンベ、(2)はバッ
ファー管、(3)はサンプル管、(4)は真空ポンプ、
(5)は圧力計、(6)は圧力センサー、(7)は記録
計、(8a),(8b),(8c)はバルブ、(9)はサンプ
ル管(3)に充填した試料(蒸着活性炭)である。
この吸着実験装置を用いての吸着実験操作は、次のよう
にして行った。
次の工程で酸素ガスについて吸着操作を行う。
サンプル管(3)に試料を入れ、バルブ(8c)を閉
にし、バルブ(8a)と(8b)を開にして真空排気を行
う。
バルブ(8a)と(8b)を閉にし、バルブ(8c)を開
にしてボンベ(1)から酸素ガスを導入し、ある一定圧
力のもとでバルブ(8c)を閉める。
バルブ(8a)を開にして、吸着曲線をを圧力センサ
ー(6)を通して記録計(7)により記録する。
同様に窒素ガスについても吸着操作を行う。
吸着量を求めるために、ブランクとしてヘリウムガスを
使用する。
なお、以下の実施例では、バッファー管(2)内の圧力
を2.0kg/cm2Gの一定値に設定した。
実施例1 次の工程操作により、分子篩活性炭の製造およびそを用
いての吸着実験を行った。
(a)粒状の活性炭(武田薬品工業株式会社製、MSC−5
A)3.0gを粉末にして、鉄フタロシアニン0.3gと均一に
混合し、試料とする。
(b)パイレックスまたは石英のガラス管(内径10mm、
長さ150mm)に上記試料を入れて10-2Torrで2時間真空
排気を行い、しかる後に管を封止する。
(c)電気炉で昇温速度8〜10℃/minで450〜500℃まで
加熱し、その温度で1時間保温する。
(d)これを徐冷した後、サンプル管に入れて吸着実験
を行い、吸着曲線を記録する。
このときの吸着曲線が第1図に実線で示す。吸着曲線
は、縦軸が吸着量、横軸が時間を表わしている。なお第
1図に破線で示した曲線はブランクであり、上記粒状の
活性炭MSC−5Aを粉末したもののみを用いた場合であ
る。(他の図の破線で示した吸着曲線も活性炭のみを用
いた場合である。) また、上記で得られた分子篩活性炭の細孔分布曲線を第
2図に破線で示す。なお、上記粒状の活性炭MSC−5Aを
粉末したもののみの細孔分布曲線を第2図に実線で示
す。第2図からも、基材としての活性炭の細孔径分布は
広く、平均細孔径が大きいが、これにフタロシアニン系
化合物を蒸着したものは、細孔径分布が狭く揃ってお
り、平均細孔径が小さいことがわかる。
対照例1 実施例1における工程(c)の加熱温度を300〜350℃
(加熱温度を下げ、保温時間は一定に設定)または750
〜800℃(加熱温度を上げ、保温時間は一定に設定)と
したほかは実施例1と同様にして実験を行った。このと
きの吸着曲線を第3図に示す。
第1図および第3図から、基材とした活性炭には酸素、
窒素の吸着選択性はないが、この活性炭にフタロシアニ
ン系化合物を蒸着することにより、窒素の吸着選択性が
抑えられ、酸素のみの吸着選択性が現れたことがわか
る。また、酸素のみの吸着選択効果を最大限に発揮させ
るためには、加熱温度、すなわちフタロシアニン系化合
物の昇華温度が重要な因子となっていることがわかる。
実施例2〜5 活性炭の種類、フタロシアニン系化合物の種類と使用
量、加熱温度、保温時間を種々変えたほかは実施例1と
同様にして実験を行った。
条件および結果を第1表に示す。
上記実施例1〜5で得たフタロシアニン系化合物蒸着活
性炭の分析結果は次の通りであった。
平均細孔径は10Å以下に中心を持つ。
X線回析、FT−IRより、フタロシアニン系化合物の
同定ピークが存在する。
走査電子顕微鏡より、明らかにフタロシアニン系化
合物の結晶と思われる針状晶が認められる。
上記、、の分析結果より、フタロシアニン系化合
物が細孔調節剤としての役目を果たしていることが判明
した。しかし、FT−IRより得られる同定ピーク以外に別
なピークの存在することもあり、フタロシアニン骨格を
保持した一部分解物あるいは重合物と思われるピークも
加熱条件によっては現れることがある。
実施例6 次の工程操作により、分子篩活性炭の製造およびそれを
用いての吸着実験を行った。
(a)粒状の活性炭(武田薬品工業株式会社製、白鷲−
G)3.0gを粉末にして、コバルトフタロシアニン0.4gを
均一に混合し、試料とする。
(b)パイレックスまたは石英のガラス管(内径10mm、
長さ150mm)に上記試料を入れて10-2Torrで2時間真空
排気を行う。
(c)減圧下ヘリウムガスを通じ、内部を空気より遮断
し、ヘリウムガスの微量を通しながら電気炉で昇温速度
8〜10℃/minで700〜750℃まで加熱し、その温度で1時
間保温する。
(d)これを徐冷した後、サンプル管に入れて吸着実験
を行い、吸着曲線を記録する。
このときの吸着曲線を第4図に示す。
実施例7〜10 活性炭の種類、フタロシアニン系化合物の種類と使用
量、加熱温度、保温時間を種々変えたほかは実施例6と
同様にして実験を行った。
条件および結果を第2表に示す。
上記実施例6〜10はフタロシアニン系化合物の蒸着を常
圧下で行ったものであるが、その吸着量は減圧下で行っ
た実施例1〜5の場合と大差のないものであり、また、
フタロシアニン系化合物蒸着活性炭の分析結果も前述の
実施例1〜5の場合と同じであった。
実施例11〜15 実施例1〜10は粉末状の活性炭と粉末状のフタロシアニ
ン系化合物の均一混合系に関するものであったが、粒状
の活性炭を用いて上述の工程操作を行うと、蒸着が不充
分で蒸着むらを生ずる。
その対策のために、フタロシアニン系化合物を分散媒に
分散せしめた分散液を粒状の活性炭に含浸させる方法を
採用したのが以下にあげる実施例11〜15である。
この場合、フタロシアニン系化合物を溶媒に溶解して含
浸させるのが好ましいが、フタロシアニン系化合物は溶
媒にはほとんど溶けず、濃硫酸に溶ける程度である。そ
こで、粒状の活性炭の表面にまんべんなく均一にフタロ
シアニン系化合物を付着させるために、非イオン界面活
性剤を使用して分散媒にフタロシアニン系化合物を分散
させ、減圧下で蒸着を行う方法を採用した。
実施例11 次の工程操作により、分子篩活性炭の製造およびそれを
用いての吸着実験を行った。
(a)粒状の活性炭(武田薬品工業株式会社製、MSC−5
A)3.0gを用意し、2時間真空排気を行う。
(b)マンガンフタロシアニン0.30gと非イオン系界面
活性剤(花王石鹸株式会社製、エマルゲンA−90)0.06
gを、水とエタノールの重量比で10:1の混合溶媒3.0gに
分散させた後、真空下で上記真空排気を行った活性炭を
滴下する。
(c)これを充分に脱水した後、電気炉で昇温速度8〜
10℃/minで500〜550℃まで加熱し、その温度で2時間保
温する。
(d)これを徐冷した後、サンプル管に入れて吸着実験
を行い、吸着曲線を記録する。
このときの吸着曲線を第5図に示す。
実施例12〜15 活性炭の種類、フタロシアニン系化合物の種類と使用
量、加熱温度、保温時間を種々変えたほかは実施例11と
同様にして実験を行った。
条件および結果を第3表に示す。
(第3表参照) 上記実施例11〜15は粒状の活性炭にフタロシアニン系化
合物を蒸着させたものであるが、その吸着量は粉末状の
活性炭と粉末状のフタロシアニン系化合物の均一混合系
に関する実施例1〜10の場合と大差のないものであり、
また、フタロシアニン系化合物蒸着活性炭の分析結果も
前述の実施例1〜5の場合と同じであった。
実施例16 次の工程操作により、分子篩活性炭の製造およびそれを
用いての吸着実験を行った。
(a)活性炭(北越炭素工業株式会社製、Y−20、破砕
炭)3.0gを用意し、2時間真空排気を行う。
(b)銅フタロシアニン−(SO3NH2)n(0<n<1)
0.4gと非イオン系界面活性剤(花王石鹸株式会社製、エ
マルゲンA−90)0.06gを、水とエタノールの重量比で1
0:1の混合溶媒3.0gに分散させた後、真空下で上記真空
排気を行った活性炭に滴下する。
(c)真空下で充分に脱水した後、ヘリウムガスを通じ
て微量ずつ大気に放出しながら、電気炉で昇温速度8〜
10℃/minで650〜700℃まで加熱し、その温度で3時間保
温する。
(d)これを徐冷した後、サンプル管に入れて吸着実験
を行い、吸着曲線を記録する。
このときの吸着曲線を第6図に示す。
実施例17 次の工程操作により、分子篩活性炭の製造およびそれを
用いての吸着実験を行った。
(a)5の三つ口フラスコに活性炭(武田薬品工業株
式会社製、白鷲−G、粒状)1.0kgを入れ、100〜120℃
で2時間加熱排気を行う。
(b)鉄フタロシアニン35.0g、銅フタロシアニン80.0g
および非イオン系界面活性剤(花王石鹸株式会社製、エ
マルゲンA−90)20.0gを、水とエタノールの重量比で1
0:1の混合溶媒1を用いて分散させる(ただし、分散
においては磁性ボールミルを使用)。
(c)上記(a)に上記(b)を滴下ロートを用いて充
分に時間をかけて滴下する。
(d)表面上に水分が存在しないと目視で判断した後、
砂浴で2時間、120〜140℃で水分を飛ばす。
(e)充分に水分がなくなった状態で、添付着活性炭を
真空電気炉に移し、10-2Torrで昇温速度5〜8℃/minで
530〜580℃まで加熱する。
(f)真空拡散ポンプの口を遮断して、ヘリウムガス20
Torrまで入れた後、530〜580℃の温度で1時間保温す
る。
(g)ヘリウムガスを徐々に増やして排気口を開け、徐
冷する。
その中の試料3.0gの吸着曲線は第7図に示した如くであ
る。
実施例18 第9図に示した圧力変動式吸着分離装置を用い、この装
置に実施例11で製造した分子篩活性炭を充填して、空気
より窒素分離を行った。
第9図中、(10),(10)は吸着塔、(11)は製品タン
ク、(12)は真空ポンプである。
容積0.58(重量で360g/塔)の分子篩活性炭を充填し
た吸着塔2基を使用して、吸着圧力4.5kg/cm2G、真空再
生圧力10Torr、吸着時間120秒とした場合、次の第4表
に示す結果が得られた。
実施例19 実施例16で製造した分子篩活性炭を用いて、実施例18と
同様の操作を行った。ただし、吸着時間は90秒とした。
結果を第5表に示す。
実施例20 実施例17で製造した分子篩活性炭を用いて、実施例18と
同様の操作を行った。ただし、吸着時間は60秒とした。
結果を第6表に示す。
実施例21 実施例11を製造した分子篩活性炭を用いて、アルゴン80
%、酸素20%の混合ガスよりアルゴン分離を行った。装
置および条件は実施例18と同じ装置および条件とした。
結果を第7表に示す。
発明の効果 本発明の分子篩活性炭は、活性炭の細孔ないしは間隙の
周縁にフタロシアニン系化合物が蒸着しており、この蒸
着により活性炭の細孔ないしは間隙が制御性良く縮小さ
れている。この平均細孔径も10Å以下で任意に調節可能
である。そのため、窒素の吸着を極度に押え、酸素を選
択的に吸着するすぐれた選択吸着性を示す。また、フタ
ロシアニン系化合物は、熱的にも化学的にも極めて安定
であるので、発明の分子篩活性炭も極めて安定であり、
通常の使用条件下ではほとんど永久的にその機能を維持
する。
従って、本発明の分子篩活性炭は、混合ガスから特定ガ
スを分離する目的、殊に、空気中の酸素を圧力変動式吸
着分離プロセスに従って選択的に吸着することにより空
気中の酸素と窒素と分離する目的に好適であり、その他
種々の目的に用いることができる。
しかも、本発明の分子篩活性炭の製造にあたっては、処
理工程が簡略化され、かつ省エネルギーが図られるの
で、この点でも工業的価値が高いものであるということ
ができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は実施例1における吸着曲線を示したものであ
る。 第2図は実施例1で得られた分子篩活性炭の細孔分布曲
線およびその基材として用いた活性炭の細孔分布曲線で
ある。 第3図は対照例1における吸着曲線を示したものであ
る。 第4図、第5図、第6図および第7図は、それぞれ実施
例6、実施例11、実施例16、実施例17における吸着曲線
を示したものである。 第8図は各実施例で用いた吸着実験装置を示したもので
ある。 第9図は実施例で用いた圧力変動式吸着分離装置を示し
たものである。 (1)……ボンベ、(2)……バッファー管、(3)…
…サンプル管、(4)……真空ポンプ、(5)……圧圧
力計、(6)……圧力センサー、(7)……記録計、
(8a),(8b),(8c)……バルブ、(9)……試料、
(10)……吸着塔、(11)……製品タンク、(12)……
真空ポンプ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性炭表面にフタロシアニン系化合物が蒸
    着した構成を有する分子篩活性炭。
  2. 【請求項2】蒸着後の平均細孔径が10Å以下である特許
    請求の範囲第1項記載の分子篩活性炭。
  3. 【請求項3】フタロシアニン系化合物が金属フタロシア
    ニン類または/および遊離フタロシアニン類である特許
    請求の範囲第1項記載の分子篩活性炭。
  4. 【請求項4】フタロシアニン系化合物を常圧または減圧
    下に温度350〜750℃で加熱昇華することにより、該フタ
    ロシアニン系化合物を活性炭の表面に蒸着させることを
    特徴とする分子篩活性炭の製造法。
  5. 【請求項5】粉末状活性炭にフタロシアニン系化合物の
    微粉末を均一に混合した後、不活性ガス雰囲気下に常圧
    ないしは減圧下、もしくは不活性ガスを用いない減圧下
    に加熱昇華処理することを特徴とする特許請求の範囲第
    4項記載の製造法。
  6. 【請求項6】充分に脱気された粒状、破砕物状または成
    形物状の活性炭に、微粉砕状フタロシアニン系化合物を
    分散媒に分散せしめた分散液を含浸させた後、分散媒を
    留去し、ついで不活性ガス雰囲気下に常圧ないしは減圧
    下、もしくは不活性ガスを用いない減圧下に加熱昇華処
    理することを特徴とする特許請求の範囲第4項記載の製
    造法。
  7. 【請求項7】圧力変動式吸着分離法により混合ガスから
    特定ガスを分離するにあたり、活性炭表面にフタロシア
    ニン系化合物が蒸着した構成を有する分子篩活性炭を吸
    着剤として用いることを特徴とする混合ガスから特定ガ
    スを分離する方法。
  8. 【請求項8】空気中の酸素と窒素を分離するものである
    特許請求の範囲第7項記載の方法。
JP60272050A 1985-12-03 1985-12-03 分子篩活性炭、その製造法、およびそれを用いて混合ガスから特定ガスを分離する方法 Expired - Fee Related JPH06102152B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60272050A JPH06102152B2 (ja) 1985-12-03 1985-12-03 分子篩活性炭、その製造法、およびそれを用いて混合ガスから特定ガスを分離する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60272050A JPH06102152B2 (ja) 1985-12-03 1985-12-03 分子篩活性炭、その製造法、およびそれを用いて混合ガスから特定ガスを分離する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62132543A JPS62132543A (ja) 1987-06-15
JPH06102152B2 true JPH06102152B2 (ja) 1994-12-14

Family

ID=17508410

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60272050A Expired - Fee Related JPH06102152B2 (ja) 1985-12-03 1985-12-03 分子篩活性炭、その製造法、およびそれを用いて混合ガスから特定ガスを分離する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06102152B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5086033A (en) * 1990-08-30 1992-02-04 Air Products And Chemicals, Inc. Use of helium and argon diluent gases in modification of carbon molecular sieves
US5164355A (en) * 1991-01-23 1992-11-17 Air Products And Chemicals, Inc. High capacity coconut shell char for carbon molecular sieves
JP2571176B2 (ja) * 1992-06-09 1997-01-16 株式会社荏原製作所 Cvd法排ガスの除害方法
EP0763509A4 (en) 1995-03-30 1997-06-11 Nippon Oxygen Co Ltd POROUS CARBONATED MATERIAL, METHOD FOR PRODUCING THE SAME AND USE THEREOF
KR100236785B1 (ko) * 1995-04-27 2000-01-15 쓰치야 히로오 탄소흡착제 및 그 제조방법과 가스분리법 및 그 장치
JP3909494B2 (ja) 2003-02-25 2007-04-25 株式会社キャタラー キャニスター用活性炭の製造方法
US7622153B2 (en) * 2004-08-13 2009-11-24 M&G Usa Corporation Method of making vapour deposited oxygen-scavenging particles
JP7119064B2 (ja) * 2018-03-06 2022-08-16 住友精化株式会社 粗一酸化炭素ガスから酸素を除去する方法、および一酸化炭素ガスの精製方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62132543A (ja) 1987-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Moreno-Castilla et al. Thermal regeneration of an activated carbon exhausted with different substituted phenols
US4491609A (en) Method of manufacturing adsorbents
EP0481218B1 (en) A process for making modified carbon molecular sieve adsorbents
EP0474106B1 (en) Process for making modified carbon molecular sieves for gas separation
US20100204043A1 (en) Adsorbent for selective adsorption of carbon monoxide and process for preparation thereof
US5294585A (en) Preparation of particulate composite material with carbon matrix
US4458022A (en) Process for manufacturing molecular sieving carbon
US5837741A (en) Composite microporous carbons for fuel gas storage
CN111408376B (zh) 一种具备重金属吸附以及有机物降解的多功能生物炭的制备方法及其应用
US5447557A (en) Oxygen selective adsorbents
CN112044401A (zh) 一种多孔有机笼吸附材料及其制备方法
CN111530424B (zh) 一种高效脱除气态苯系物的负载铜改性的碳材料吸附剂及其制备方法和应用
JPH06102152B2 (ja) 分子篩活性炭、その製造法、およびそれを用いて混合ガスから特定ガスを分離する方法
US6332916B1 (en) Activated carbon filter and process for the separation of noxious gases
US3960769A (en) Carbon-containing molecular sieves
JP4025228B2 (ja) 空気のサイズ/形態的選択分離用モレキュラーシーブ吸着剤の調製法
CN108455624B (zh) 凹凸棒石为原料制备载银耐硫化氢毒化的4a分子筛的方法
JP2000511099A (ja) 非金属及び半金属水素化物の除去方法
CN114471443B (zh) 一种锰氧化物@氮掺杂块体炭气凝胶材料及其制备和应用
JP7450464B2 (ja) 水銀吸着材及びその製造方法
JP7454199B1 (ja) 分子篩炭素及びその製造方法、並びにガス分離装置
RU2108968C1 (ru) Способ получения адсорбента
JP3197020B2 (ja) 分子ふるい炭素の製造方法
JP5752484B2 (ja) Co吸脱着剤の製造方法
JP5324369B2 (ja) アルケン吸脱着剤の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees