JPH06101043A - 端面耐食性に優れたAl合金めっき金属材とその製法 - Google Patents

端面耐食性に優れたAl合金めっき金属材とその製法

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JPH06101043A
JPH06101043A JP25157692A JP25157692A JPH06101043A JP H06101043 A JPH06101043 A JP H06101043A JP 25157692 A JP25157692 A JP 25157692A JP 25157692 A JP25157692 A JP 25157692A JP H06101043 A JPH06101043 A JP H06101043A
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克郎 平山
Junichi Uchida
淳一 内田
Yasuhiro Yamamoto
康博 山本
Hirohisa Seto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Al合金めっきの端面耐食性を改善する。 【構成】 Al−X−Y (ただし、XはMn、Ti、W、Mo、
Fe、Ni、CoおよびCuよりなる群から選ばれた少なくとも
1種の金属、YはMg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、In、Tl、S
i、Ge、Sn、Pb、As、SbおよびBiよりなる群から選ばれ
た少なくとも1種の金属であって、X:1〜50重量%、
Y: 0.1〜20重量%、Al:残部) で表される、少なくと
も1層の熱拡散Al合金層をめっき皮膜中に存在させる。
この熱拡散層は、Al−X合金めっき層とYまたはY合金
めっき層とを有する多層めっき金属材を熱処理すること
により形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Al合金めっき金属材、
即ち、鋼材、チタン材、アルミニウム材、ステンレス鋼
材、クロム鋼材などの基体金属の表面にAl合金めっき皮
膜を有する材料に関する。本発明のAl合金めっき金属材
は端面耐食性に優れ、自動車外装用、建材、家電製品な
どの用途に最適である。
【0002】
【従来の技術】AlまたはAl合金めっき金属材は、優れた
裸耐食性、美麗さ、無毒性など、多くの利点を有してい
ることはよく知られている。その製造方法としては、溶
融金属浸漬法、真空蒸着法、有機溶媒浴もしくは溶融塩
電解浴による電気めっき法等がある。このうち、主とし
て溶融金属浸漬法が採用されている。しかしながら、こ
の方法は、その対象がほとんどAl単体のめっきであり、
しかも薄めっきが困難で、かつ処理温度が700 ℃を超え
るため、基体金属との合金層の生成、母材への悪影響と
いった問題を抱えている。
【0003】近年では、溶融塩浴や非水溶媒浴による電
気めっき法を用いて、種々のAl合金めっき金属材 (例、
Al−Mn、Al−Ti、Al−Cr、Al−Pbなどの2元系Al合金め
っき金属材) を製造する試みがなされている。これらの
方法を用いると、薄めっきが容易で、処理温度が低いた
め母材に及ぼす影響も少なく、各種の合金めっきも可能
である。また、Al合金は、Al単体と比較すると、より優
れた耐食性が期待できる。しかしながら、これらのAl合
金めっき皮膜は塩水中での腐食電位がFeより貴であり、
特に鋼材と組合わせて用いた場合、犠牲防食能が小さ
く、鋼材露出部での耐食性 (即ち、端面耐食性) が劣る
という問題を有している。
【0004】このような問題を改善するために、先に本
発明者らは、金属材の表面に、犠牲防食能に優れたZnま
たはZn合金めっきを施し、その上にさらにAl合金めっき
を施した2層めっき金属材を提案した (特開昭61−2614
96号公報) 。しかし、特に自動車外装用鋼板等に要求さ
れる高度の端面耐食性に関しては、これらの2層めっき
鋼板でも十分な性能が得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Al合
金めっきの端面耐食性を改善することである。具体的に
は、3元系以上の多元系Al合金層を形成することによ
り、耐食性と同時に端面耐食性も改善されたAl合金めっ
き金属材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の如
き2元系Al合金めっき (Al−X合金めっきとする) に、
AlまたはAl合金の腐食電位を卑にし、犠牲防食能を付与
することのできる第三の金属元素 (Yとする) を混入す
ることにより、端面耐食性を向上させることに着目し
た。しかし、このような3元系Al合金 (Al−X−Y) か
らなるめっき皮膜を真空蒸着法、電気めっき法などによ
り直接形成しても、めっき皮膜の組成制御が困難であっ
て、実用に耐えるような製品を容易に製造することがで
きない。
【0007】そこで検討した結果、基体金属表面にAl−
X合金めっきとY金属またはY合金めっきとを、この両
めっき層が互いに隣接するように設けた後、得られた多
層めっき金属材を熱処理すると、Y金属がAl−X合金め
っき皮膜中に熱拡散して、Al−X−Yの3元系めっき層
をめっき皮膜中に形成することができ、端面耐食性に優
れたAl合金めっき金属材を得ることができること、およ
び、この時の熱処理条件によりY金属の拡散量を制御で
き、従って、Al−X−Y合金層の組成制御が容易である
ことを知り、本発明に到達した。
【0008】ここに、本発明の要旨は、基体金属表面の
一部または全面にめっき皮膜を有する金属材であって、
該めっき皮膜中にAl−X−Y (ただし、XはMn、Ti、
W、Mo、Fe、Ni、CoおよびCuよりなる群から選ばれた少
なくとも1種の金属、YはMg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、I
n、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、SbおよびBiよりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の金属であって、X:1〜50
重量%、Y: 0.1〜20重量%、Al:残部) で表される、
少なくとも1層の熱拡散Al合金層が存在することを特徴
とする、端面耐食性に優れたAl合金めっき金属材にあ
る。
【0009】このAl−X−Yで表される少なくとも1層
の熱拡散Al合金層は、互いに隣接したAl−X合金めっき
層 (ただし、Xは上記の少なくとも1種の金属であり、
X:1〜50重量%) とY金属めっき層またはY合金めっ
き層 (ただし、Yは上記のの少なくとも1種の金属) の
熱処理により形成できる。
【0010】本発明により、基体金属表面の一部または
全面に、Al−X合金めっき (ただし、Xは上記の少なく
とも1種の金属であり、X:1〜50重量%) とY金属め
っきまたはY合金めっき (ただし、Yは上記の少なくと
も1種の金属) とを、両めっき層が互いに隣接するよう
にそれぞれ少なくとも1回づつ施した後、得られた多層
めっき金属材を 100〜500 ℃の温度範囲で熱処理するこ
とにより、めっき皮膜中にAl−X−Y(ただし、Xおよ
びYは上記と同じ意味)で表される熱拡散Al合金層を形
成することを特徴とする、上記Al合金めっき金属材の製
造方法も提供される。
【0011】
【作用】本発明のAl合金めっき金属材の基体金属は、鋼
材、チタンまたはチタン合金材、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金材、ステンレス鋼材、クロム鋼材など任
意の金属材料でよく、形状も板材、パネル材、棒材、管
材、線材など任意の形状でよい。
【0012】本発明のAl合金めっき金属材は、この基体
金属の表面の一部または全面に、Al−X−Y (ただし、
XはMn、Ti、W、Mo、Fe、Ni、CoおよびCuよりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の金属、YはMg、Ca、Sr、B
a、Zn、Cd、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、SbおよびBi
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属であっ
て、X:1〜50重量%、Y: 0.1〜20重量%、Al:残
部) で表される熱拡散Al合金層を含んだめっき皮膜を有
している。
【0013】合金元素Xとして選択したMn、Ti、W、M
o、Fe、Ni、CoおよびCuは、いずれもAl系めっきの密着
性、従って耐食性を改善すると共に、めっき外観を向上
させる作用を有する。熱拡散Al合金層中のX金属の含有
量 (2種以上のX金属を含む場合には合計含有量) を1
〜50重量%としたのは、1重量%未満ではめっき皮膜が
パウダー状またはデンドライト状になり、50重量%を超
えると、めっき皮膜が硬化して脆くなり、実用性を喪失
させるからである。好ましいX金属の含有量は、15〜40
重量%、より好ましくは20〜35重量%である。
【0014】Y金属として選択したMg、Ca、Sr、Ba、Z
n、Cd、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、SbおよびBiは、
いずれもAlおよびAl合金の腐食電位を卑にし、犠牲防食
能を付与することができる。熱拡散Al合金層中のY金属
の含有量 (2種以上のY金属を含む場合には合計含有
量) を 0.1〜20重量%としたのは、 0.1重量%未満では
その効果が発揮できず、20重量%を超えると、めっき皮
膜の密着性が損なわれ、実用性を喪失させるからであ
る。好ましいY金属の含有量は 0.1〜15重量%、より好
ましくは 0.5〜10重量%である。
【0015】後で述べるように、熱拡散合金層は傾斜組
成を有するので、Al−X−Y合金層中の各金属の含有量
は連続的に変化する。従って、本発明におけるAl−X−
Y合金層中のXおよびY含有量とは、この合金層領域に
おける各金属の含有量の最高値を意味する。
【0016】このAl−X−Y熱拡散合金層は、基体金属
の表面の一部または全面に、Al−X合金めっき (ただ
し、Xは上記の少なくとも1種の金属であり、X:1〜
50重量%) とY金属めっきまたはY合金めっき (ただ
し、Yは上記の少なくとも1種の金属) とを、両めっき
層が互いに隣接するようにそれぞれ少なくとも1回づつ
施した後、熱処理を行って、Y金属をAl−X合金めっき
皮膜中に熱拡散させることにより形成できる。例えば、
基体金属が板材 (例、鋼板) である場合、用途に応じ
て、上記めっきは板の片面のみ (例、自動車外装用鋼
板) 、或いは両面に施すことができる。なお、Y合金め
っきは、Y金属間の合金およびY金属と他の金属との合
金のいずれであってもよい。
【0017】具体的には、まず、下記の表1の「熱処理
前の構造」の欄に示すように、 Al−X合金めっき層 (Al−Xと表記) の下層にYまた
はY合金めっき層 (Yと表記) を有する多層めっき金属
材、 Al−X合金めっき層の上層にYまたはY合金めっき層
を有する多層めっき金属材、または Al−X合金めっき層の上層と下層にYまたはY合金め
っき層を有する多層めっき金属材、のいずれかを形成す
る。
【0018】この多層めっき金属材のめっき構造は、上
記〜のみに限定されるものではなく、互いに隣接し
たAl−X合金めっき層とYまたはY合金めっき層とを少
なくとも1層づつ有する限り、任意のめっき構造とする
ことができる。例えば、YまたはY合金めっき層の上層
と下層にAl−X合金めっき層を有していてもよく、或い
は両めっき層を交互に2層づつ有する、一方のめっき層
3層と他方のめっき層2層とを交互に有するといった、
より複雑な多層めっき構造も可能である。さらには、上
記以外の他のめっき層を最上層または最下層に有してい
てもよい。しかし、通常は上記〜のいずれかのめっ
き構造で本発明の目的を十分に達成することができるの
で、これらのいずれかの構造の多層めっき金属材を形成
すればよい。
【0019】各めっき層の形成方法は限定されず、従来
公知の適当なめっき方法を採用すればよい。例えば、Al
−X合金めっき層は、真空蒸着法や、有機溶媒浴もしく
は溶融塩浴からの電気めっき法により形成することがで
き、YまたはY合金めっきは、真空蒸着法や、水溶液
浴、有機溶媒浴もしくは溶融塩浴からの電気めっき法に
より形成することができる。熱処理前の各めっき層の付
着量または厚みも特に限定されないが、好ましい範囲は
Al−X合金めっき層とYまたはY合金めっき層のいずれ
についても1〜30μmの範囲内である。Al−X合金めっ
きは2元系めっきであるので、めっきの皮膜組成の制御
は比較的容易である。
【0020】こうして得た多層めっき金属材を熱処理す
ると、Y金属がAl−X合金めっき層中に熱拡散し、Al−
X−Y合金層 (Al−X−Yと表記) が形成される。その
際、最初に形成した各めっき層の厚みや熱処理条件によ
って、少なくとも1つのめっき層が完全にAl−X−Y合
金層に転換され、そのめっき層が消失する場合と、全て
のめっき層が一部は残存し、上記2種類のめっき層間に
Al−X−Y合金層が形成される場合とがある。従って、
上記〜の多層めっき金属材を熱処理した場合に生成
するめっき構造は、表1の「熱処理後の構造」の欄に示
すように、幾通りかの可能性があるが、いずれもめっき
皮膜中にAl−X−Y合金層を少なくとも1層有するとい
う共通点がある。そして、このAl−X−Y合金層がめっ
き皮膜中に存在する限り、この合金層が示す犠牲防食能
により、めっきの端面耐食性が確保されるのである。ま
た、この合金層は、X金属の存在により耐食性にも優れ
ている。
【0021】
【表1】
【0022】表1には、各めっき層間の拡散により得ら
れる層構造しか示していないが、実際には、最下層のめ
っき層と気体金属間の熱拡散も考えられる。
【0023】Al−X合金めっき層 (Al−X層) とYまた
はY合金めっき層 (Y層) が隣接した多層めっき (Al−
X/Y) を熱処理すると、Y金属は比較的拡散し易いの
で、Al−X中にY金属が侵入し、Al−X/Yの境界から
Al−Xのバルク方向にYの組成が徐々に減少する傾斜組
成を持ったAl−X−Y合金層 (Al−X−Y層) が形成さ
れる。図1に示すように、一般にAl−X/Yの境界で
は、Yの濃度が不連続的に、従って、AlとXの濃度も不
連続的に変化するため、Yの侵入 (熱拡散) により生成
したAl−X−Y層とY層との境界は、EPMA (X線マ
イクロアナライザー) 等の手段で直接、または適当なエ
ッチングによる金相学的手段で明確に判別される。この
Yの熱拡散により、Al−X−Y/Yの境界 (もしくはAl
−X−Y/基体の境界) には、過剰な厚みの新たな金属
間化合物が形成されない限り (この形成は熱処理条件の
制御により防止できる) 、各層間およびめっき層/基体
間の冶金的結合が改善され、めっき密着性が向上する。
【0024】熱処理条件は、Y金属のAl−X合金めっき
層中への熱拡散により所望の厚みのAl−X−Y合金層が
形成されるように選択すればよい。熱処理温度は 100〜
500℃の範囲内が好ましい。100 ℃以下では熱拡散が起
こりにくく、500 ℃を超える高温は母材金属への悪影響
(例、耐食性に有害な粒界析出物の生成など) や層間で
の金属間化合物の生成を生ずる恐れがある。より好まし
い熱処理温度は 150〜300 ℃である。熱処理時間は温度
によっても異なるが、通常は5時間以内で十分であり、
好ましくは2時間以内とする。
【0025】熱拡散により形成したAl−X−Y合金層
は、少なくとも0.1 μmの厚みとすることが望ましい。
それ以下の厚みでは、端面耐食性の向上効果が不十分に
なることがある。より好ましくは、Al−X−Y熱拡散合
金層の厚みを1μm以上とする。なお、Al−X−Y熱拡
散合金層の厚みとは、めっき皮膜中に形成された上記Al
−X−Yの定義に該当する部分の厚みを意味する (但
し、Y含有量の下限は 0.1重量ではなく、図1に示すよ
うに、Y含有量が0.05重量以上の部分をAl−X−Y層の
厚みとする) 。
【0026】Al−X−Y熱拡散合金層におけるX含有量
は、最初に形成するAl−X合金めっき層のX含有量によ
り制御できる。この合金層のY含有量は、主に熱処理条
件により制御でき、場合によっては、最初に形成した2
種類のめっき層の相対的な厚みの比にも依存する。ま
た、この合金層の厚みも、熱処理条件や最初に形成した
めっき層の厚みにより制御できる。このようにして、Al
−X−Y熱拡散合金層の合金組成と厚みを容易に制御で
き、それにより各種特性を調整できる点が、本発明の利
点の一つである。
【0027】また、表1に示すように、最初に形成した
Al−X合金めっき層やYまたはY合金めっき層が一部残
存している場合には、これらの残存めっき層により、裸
耐食性や端面耐食性の一層の向上が得られる。
【0028】本発明のAl合金めっき金属材は、Al合金め
っき金属材に固有の裸耐食性、美麗さに加えて、その弱
点であった端面耐食性が著しく改善されているので、建
材や家電製品はもとより、厳しい端面耐食性が要求され
る自動車外装用途にも適用可能である。
【0029】次に実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。実施例中、%は特に指定しない限り、重量%で
ある。
【0030】
【実施例】基体金属として板厚0.8 mm×幅100 mm×長さ
100 mmの冷延鋼板を使用し、この鋼板の片面にMg、Ca、
Sr、Ba、Zn、Cd、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sbまた
はBiからなるY金属めっきと、XがMn、Ti、W、Mo、F
e、Ni、CoまたはCuであるAl−X合金めっきとを、種々
のめっき厚みで施して、次の〜に示す多層めっき鋼
板サンプルを作成した。
【0031】Y金属めっき→Al−X合金めっきの順に
めっきを施した冷延鋼板を、めっき後に230 ℃で5〜60
分間熱処理したサンプル。 Al−X合金めっき→Y金属めっきの順にめっきを施し
た冷延鋼板を、めっき後に250 ℃で5〜60分間熱処理し
たサンプル。 Y金属めっき→Al−X合金めっき→Y金属めっきの順
にめっきを施した冷延鋼板を、めっき後に270 ℃で1〜
30分間熱処理したサンプル。
【0032】Y金属めっきは真空蒸着法により、Al−X
合金めっきは下記条件下で溶融塩浴電気めっき法により
行った。Al−X合金めっき条件 浴組成:AlCl3-NaCl-KCl (AlCl3: 62 mol%, NaCl: 20 mol%, KCl: 18 mol%) 浴温度:200 ℃ 添加X化合物:X金属の塩化物 電流密度:5〜70A/dm2 液流速: 0.3 m/sec 熱処理後に得られたAl合金めっき鋼板サンプルのめっき
皮膜の構造 (層の数、最下層を第1層とする)と各層の
組成および層厚を、EPMAを用いて次のように測定し
た。即ち、EPMAにより、めっき表面から深さ方向に
断面の組成分析を行い、構成元素の違いによりAl−X−
Y層、Al−X層、Y層の分離を行った。次に、この断面
を写真にとり、ミクロンバーと対比することで、各層の
厚みを決定した。
【0033】また、各Al合金めっきサンプルのめっき外
観、端面耐食性、および加工性 (耐パウダリング性) を
次のようにして評価した。
【0034】めっき外観は、目視観察により、色調、光
沢等を評価した。端面耐食性は、両面をシールし、端面
のみを露出させためっき鋼板の試験片を複合腐食サイク
ル試験 (35℃、5%塩水噴霧試験18時間→50℃乾燥3時
間→35℃5%塩水浸漬試験3時間を1サイクルとする)
に60サイクル供した後、端面近傍の最大腐食深さを測定
し、最大腐食深さの値により次の5段階で評価した。
【0035】5:0.1 mm未満、 4:0.1 mm以
上0.3 mm未満、3:0.3 mm以上0.5 mm未満、2:0.5 mm
以上1.0 mm未満1:1.0 mm以上。
【0036】耐パウダリング性は、めっき鋼板から直径
90 mm のブランクを採取し、これを直径50 mm 、深さ28
mm の円筒状に深絞り成形して、その側壁面のめっき皮
膜を粘着テープで剥離させる試験を行い、その剥離量を
目視調査して、次の5段階で評価した。5:全く剥離な
し、4:テープの全面積に対して剥離片の付着している
テープ面積が1%未満、3:同じく1%以上5%未満、
2:同じく5%以上10%未満、1:同じく10%以上。
【0037】上記の測定および試験結果を、次の表2−
1〜表9−2にまとめて示す。
【0038】
【表2−1】
【0039】
【表2−2】
【0040】
【表3−1】
【0041】
【表3−2】
【0042】
【表4−1】
【0043】
【表4−2】
【0044】
【表5−1】
【0045】
【表5−2】
【0046】
【表6−1】
【0047】
【表6−2】
【0048】
【表7−1】
【0049】
【表7−2】
【0050】
【表8−1】
【0051】
【表8−2】
【0052】
【表9−1】
【0053】
【表9−2】
【0054】以上の結果からわかるように、上記の方
法により3層めっきを施した場合でもあっても、熱処理
中に最上層と最下層のY金属が完全に中間のAl−X合金
層に熱拡散し、熱処理後に得られためっき皮膜はAl−X
−Y熱拡散合金層1層のみとなることもある。また、上
記の方法により2層めっきを施した場合、熱処理条件
や最初の2層のめっき厚みにより、上層と下層の両方の
めっき層が残存する場合と、いずれか少なくとも一方の
めっき層が消失してAl−X−Y熱拡散合金層に転換され
る場合とがある。即ち、めっき条件や熱処理条件によ
り、めっき構造を多様に変化させることができる。
【0055】本発明により、熱処理後にAl−X−Y(X
が1〜50%、Yが 0.1〜20%) で表される熱拡散合金層
が少なくとも1層形成されたAl合金めっき鋼板は、端面
耐食性と加工性のいずれにも優れ、めっき外観も良好で
あった。
【0056】
【発明の効果】本発明のAl合金めっき金属材は、熱処理
により形成された、上記Al−X−Yで表される熱拡散合
金層をめっき皮膜中に少なくとも1層有していることか
ら、端面耐食性に優れている。しかも、Al合金めっきに
固有の優れた裸耐食性、めっき外観といった利点も失っ
ていない。また、2層以上のめっき層を有する場合で
も、組成が傾斜して連続変化しているため、加工性が向
上し、糸錆などの層状のAl系腐食が有効に防止される。
【0057】また、本発明のAl合金めっき金属材の製造
方法によれば、最初にAl−X合金層とYまたはY合金め
っき層とを有する多層めっき金属材を製造し、その後で
熱処理を施すことにより、熱拡散により生成するAl−X
−Y合金層の組成をめっき条件や熱処理条件によって容
易に制御することができ、製品の信頼性が高まる。ま
た、めっき条件や熱処理条件を変動させることにより、
多様な構造のめっき皮膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al−X−Y層の傾斜組成を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬戸 宏久 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体金属表面の一部または全面にめっき
    皮膜を有する金属材であって、該めっき皮膜中にAl−X
    −Y (ただし、XはMn、Ti、W、Mo、Fe、Ni、Coおよび
    Cuよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属、Yは
    Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、A
    s、SbおよびBiよりなる群から選ばれた少なくとも1種
    の金属であって、X:1〜50重量%、Y: 0.1〜20重量
    %、Al:残部) で表される、少なくとも1層の熱拡散Al
    合金層が存在することを特徴とする、端面耐食性に優れ
    たAl合金めっき金属材。
  2. 【請求項2】 前記Al−X−Yで表される少なくとも1
    層の熱拡散Al合金層が、互いに隣接したAl−X合金めっ
    き層 (ただし、Xは請求項1記載の少なくとも1種の金
    属であり、X:1〜50重量%) とY金属めっき層または
    Y合金めっき層 (ただし、Yは請求項1記載の少なくと
    も1種の金属) の熱処理により形成されたものである、
    請求項1記載のAl合金めっき金属材。
  3. 【請求項3】 基体金属表面の一部または全面に、Al−
    X合金めっき (ただし、Xは請求項1記載の少なくとも
    1種の金属であり、X:1〜50重量%) とY金属めっき
    またはY合金めっき (ただし、Yは請求項1記載の少な
    くとも1種の金属) とを、両めっき層が互いに隣接する
    ようにそれぞれ少なくとも1回づつ施した後、得られた
    多層めっき金属材を 100〜500 ℃の温度範囲で熱処理す
    ることにより、めっき皮膜中にAl−X−Y (ただし、X
    およびYは上記と同じ意味であり、X:1〜50重量%、
    Y: 0.1〜20重量%、Al:残部である) で表される熱拡
    散Al合金層を形成することを特徴とする、請求項1また
    は2記載のAl合金めっき金属材の製造方法。
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