JPH06100410A - リン酸カルシウム系充填材 - Google Patents

リン酸カルシウム系充填材

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JPH06100410A
JPH06100410A JP4252961A JP25296192A JPH06100410A JP H06100410 A JPH06100410 A JP H06100410A JP 4252961 A JP4252961 A JP 4252961A JP 25296192 A JP25296192 A JP 25296192A JP H06100410 A JPH06100410 A JP H06100410A
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JP
Japan
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phosphate
powder
acid
calcium
hydroxyapatite
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JP4252961A
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Yoshihiro Saito
嘉宏 斉藤
Masaaki Niihama
正昭 新浜
Masaki Tamura
雅樹 田村
Shigemi Une
成実 宇根
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】病的或いは外科的原因により生じた骨及び歯牙
の欠損部或いは空隙部に充填され、経時後、生体の硬組
織と一体化し得るリン酸カルシウム系充填材を得る。 【構成】リン酸四カルシウム粉末、リン酸八カルシウム
粉末及び有機酸水溶液等の練和液からなり、硬化体中に
残存するリン酸四カルシウムに対して、約0.33モル
%のリン酸八カルシウムを添加することにより、水酸化
カルシウムを含まない、しかも、実質的にハイドロキシ
アパタイトのみからなるリン酸カルシウム系充填材を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、病的或いは外科的原因
により生じた骨及び歯牙の欠損部或いは空隙部に充填さ
れ、新生骨の発生を容易とし、経時後、生体の硬組織と
容易に一体化するリン酸カルシウム系充填材に関する。
【0002】
【従来の技術】歯科分野に於ける硬組織代替材として
は、従来より、リン酸亜鉛セメント、ポリカルボン酸セ
メント、グラスアイオノマーセメントなどが用いられて
いる。又、医科分野に於いては、合着充填材としてメタ
クリレート系のボーンセメントが使用されている。しか
し、これらの代替材は、何れも骨及び歯牙の成分とは異
なるものであるため生体適合性が充分ではない。そこ
で、この生体適合性が不良であるという問題を解決する
ため、生体との適合性が比較的良好であるアルミナ単結
晶もしくはアルミナ焼結体からなる人工骨、人工関節、
人工歯根或いはハイドロキシアパタイトの焼結体からな
る人工骨、人工歯根等が提案されている。
【0003】また、ハイドロキシアパタイトの前駆体と
言われるα−リン酸三カルシウム粉末を無機塩もしくは
有機酸重合体の水溶液により練和することにより得られ
る硬化体(例えば、特開昭59−182263号公報)
或いはリン酸四カルシウム粉末を酸類の水溶液により練
和することにより得られる硬化体(例えば、特開昭62
−72363号公報)なども知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、前記
した従来の技術には、それぞれ次のような欠点がある。
アルミナ単結晶もしくはアルミナ焼結体或いはハイドロ
キシアパタイトの焼結体からなる生体組織代替材は、イ
ンプラント材としての用途には適しているものの、骨及
び歯牙の欠損部或いは空隙部への練性充填材或いは合着
材としては使用できないという欠点がある。また、リン
酸三カルシウム粉末或いはリン酸四カルシウム粉末を、
酸類等の水溶液で練和することにより得られる硬化体
は、生体内で比較的短期間に硬化体の大部分がハイドロ
キシアパタイトに転化することにより、ある程度の生体
適合性が得られるものの、硬化体内に存在する未反応の
リン酸三カルシウム或いはリン酸四カルシウムが水と徐
々に反応してリン酸或いは水酸化カルシウムを生成し、
これが局所的に酸又はアルカリ性刺激を与えるため好ま
しくない。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明は、リン酸四カ
ルシウム、リン酸八カルシウム及び練和液からなるリン
酸カルシウム系充填材であって、硬化体中に残存するリ
ン酸四カルシウムに対して約0.33モル%のリン酸八
カルシウムを使用することを特徴とするリン酸カルシウ
ム系充填材に関する。リン酸四カルシウムと有機酸水溶
液或いは不飽和カルボン酸重合体の水溶液等の練和液か
らなる硬化体は既に良く知られている。この系では、通
常、硬化時間及び硬化体強度等の実用上の観点から、練
和液の濃度は20〜60重量%程度であり、粉液比は
1.0〜3.0の範囲である。これらの実用的な数値範
囲では、硬化剤である有機酸等の量に対してリン酸四カ
ルシウムが過剰量であり、過剰のリン酸四カルシウムは
水(練和液が水溶液でない場合でも、生体、特に、口中
では常に周辺に水が存在する)と反応し水酸化カルシウ
ムを生成する。この水酸化カルシウムの生成反応は水素
イオン濃度に左右される平衡反応であり、水酸化カルシ
ウムは段階的に生成していくが、最終的には、過剰のリ
ン酸四カルシウムは全て水と反応してハイドロキシアパ
タイトと水酸化カルシウムとに変化し、この水酸化カル
シウムは生成後逐次リン酸八カルシウムと反応してハイ
ドロキシアパタイトと水が生成する(これを化学式で考
えれば、3モルのリン酸四カルシウムと1モルのリン酸
八カルシウム及び1モルの水が反応して4モルのハイド
ロキシアパタイトが生成するということになる)。
【0006】結局、本発明のリン酸カルシウム系充填材
は、硬化体中に残存する、硬化剤と反応しなかったリン
酸四カルシウムに対して約0.33モル%量のリン酸八
カルシウムを添加、反応させることにより、実質的に水
酸化カルシウムを含まない、しかも、最終的に実質的に
ハイドロキシアパタイトのみからなるリン酸カルシウム
系硬化体を得るものである。本発明の硬化体が生成する
反応系は非常に複雑であり、生成する硬化体も純粋にハ
イドロキシアパタイトのみからなるものを得ることはで
きない。上記の実質的との言葉は、ハイドロキシアパタ
イトの理論的なカルシウムとリンとの原子比(以下、C
a/P比という)1.67に対し、本発明により得られ
る硬化体の、元素分析によるCa/P比が1.50〜
1.80の範囲にあることを意味している。
【0007】本発明に使用されるリン酸四カルシウム粉
末は、どのような方法で調製されたものであってもよい
が、例えば、リン酸水素カルシウム二水和物と炭酸カル
シウムとを、モル比1:1で均一に混合し、1250〜
1650℃の範囲、好ましくは1600℃前後の温度で
約2時間焼成し、得られたリン酸四カルシウムをボール
ミル等で微粉砕し、粒径44ミクロン以下の微粉末とす
ることにより得られる。また、リン酸八カルシウム粉末
は、例えば、リン酸水素カルシウム二水和物1モルに対
して、炭酸カルシウム0.33〜0.40モルを均一に
混合し、40〜60℃の温度の精製水中で、12時間以
上反応させ、濾過、乾燥後、得られたリン酸八カルシウ
ムをボールミル等で微粉砕し、粒径44ミクロン以下の
微粉末とすることにより得られる。
【0008】一方、練和液としては、(1) クエン酸、リ
ンゴ酸、酒石酸、マロン酸、乳酸、グルタル酸、フィチ
ン酸、トリカルバリル酸、タンニン酸等の有機酸の水溶
液、(2) アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン
酸等の不飽和有機酸の単独重合体或いは共重合体、(3)
正リン酸、ピロリン酸、塩酸等の無機酸の水溶液、(4)
パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール
酸、リノレイン酸等の高級脂肪酸、(5) エチレングリコ
ール、プロピレングリコール等のアルキルグリコール類
或いはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等のポリアルキレングリコール類から選ばれる1種
或いは2種以上の混合液を用いることができる。これら
の中で好ましいのは有機酸の水溶液である。例えば、ク
エン酸の25から50重量%の水溶液が好ましく、又、
この水溶液中のクエン酸の約20重量%以下を、リンゴ
酸、マロン酸、アクリル酸重合体等で置き換えてもよ
い。更に、必要に応じて、クロルヘキシジン酸塩、塩化
ベンザルコニウム等の抗菌剤を微量添加してもよい。
【0009】本発明に於いて、例えば、練和液としてク
エン酸の水溶液を使用する場合、リン酸四カルシウムの
カルシウムイオンとクエン酸のカルボキシル基が1:1
で反応してクエン酸カルシウムが生成するが、余剰のリ
ン酸四カルシウムは水と反応して水酸化カルシウムを生
ずる。この余剰のリン酸四カルシウムの量を、リン酸四
カルシウムの使用量、練和液の濃度及び粉液比から算出
し、その量に対して約0.33モル%量のリン酸八カル
シウムを使用する。このような量比によって練和硬化し
た硬化体のCa/Pは、通常、1.65〜1.70程度
の範囲となり、これは硬化体が実質的にハイドロキシア
パタイトのみからなることを裏付けている。
【0010】
【実施例】以下に実施例及び比較例によって、本発明を
更に詳しく説明する。以下の実施例及び比較例に於いて
ハイドロキシアパタイトへの転換率は、ハイドロキシア
パタイトを含む粉末混合物に、一定量の標準物質(α−
アルミナ)を添加し、この混合物のX線回折強度を測定
し、 粉末混合物中のハイドロキシアパタイトの含有量 :X ハイドロキシアパタイトを含む粉末混合物の回折強度 :IHAp α−アルミナの回折強度 :IS として、IHAp /IS の値を縦軸に、Xの値を横軸とし
た検量線を作成し、得られた硬化体の回折強度を測定し
て、この検量線から求めた。
【0011】製造例1 [リン酸四カルシウム粉末(以下、粉末Iとする)]リ
ン酸水素カルシウム二水和物と炭酸カルシウムとの等モ
ル混合物を均一になるように充分に混合し、1600℃
の温度で2時間焼成した後、外気中に取り出して急冷し
た。焼成物をボールミルで粉砕し、径が44ミクロン以
下の粉粒体とした。粉粒体のX線回折を測定し、リン酸
四カルシウムであることを確認した。 製造例2 [リン酸八カルシウム粉末(以下、粉末IIとする)]リ
ン酸水素カルシウム二水和物1モルと炭酸カルシウム
0.365モルとの混合物を均一になるように充分に混
合し、40℃の精製水中で24時間水和反応させ、濾過
後、数回水洗し乾燥した。生成物をボールミルで粉砕
し、径が44ミクロン以下の粉粒体とした。粉粒体のX
線回折を測定し、リン酸八カルシウムであることを確認
した。
【0012】実施例1から3 表1に示す割合の粉末I及び粉末IIの混合物に、練和液
としてクエン酸の45重量%水溶液を、粉液比1.5で
混合、練和し、得られた硬化体をHEPES緩衝液(人
工唾液)中に浸漬した。硬化体を3日後、10日後及び
30日後に緩衝液から取り出し、X線内部標準法により
ハイドロキシアパタイトへの転換率を測定した。結果を
表1に示す。実施例1及び2では転換率は99.6%、
実施例3では100%であり、硬化体は実質的にハイド
ロキシアパタイトのみからなるものであることが確認さ
れた。
【0013】
【表1】
【0014】製造例3 [β−リン酸三カルシウム(以下、粉末III とする)]
リン酸水素カルシウム二水和物を850℃で7時間焼成
して得られたβ−ピロリン酸カルシウム1モルと、炭酸
カルシウム1モルとの混合物を均一になるように充分に
混合し、1050℃の温度で24時間焼成した後、焼成
物をボールミルで粉砕し、径が44ミクロン以下の粉粒
体とした。粉粒体のX線回折を測定し、β−リン酸三カ
ルシウムであることを確認した。 比較例1 粉末I1モルと粉末III 1.25モルとの混合物に、練
和液としてクエン酸の45重量%水溶液を、粉液比1.
5で混合、練和し、得られた硬化体について実施例と同
様にしてハイドロキシアパタイトへの転換率を測定し
た。その結果、転換率は3日後で26.1%、10日後
で30.8%、30日後で66.6%と低いものであっ
た。
【0015】比較例2 比較例1に於いて、粉末III に替えてリン酸水素カルシ
ウム二水和物0.65モルを使用した他は同様にして硬
化体を得、ハイドロキシアパタイトへの転換率を測定し
た。その結果、転換率は3日後で52.9%、10日後
で79.6%、30日後で85.3%と低いものであっ
た。 比較例3 比較例1に於いて、粉末として粉末I1モルのみを用い
た他は同様にして硬化体を得、ハイドロキシアパタイト
への転換率を測定した。その結果、転換率は3日後で1
7.0%、10日後で22.1%、30日後で81.9
%と低いものであった。
【0016】
【本発明の効果】本発明のリン酸カルシウム系充填剤
は、局所的刺激をもたらすアルカリ性物質の生成がな
く、又、硬化体は、実質的にハイドロキシアパタイトの
みからなるため、非常に生体適合性が優れている。しか
も、アルミナ焼結体などのように、インプラント材とし
て以外適用できないものと違い、骨及び歯牙の欠損部或
いは空隙部への練性充填材や合着材として使用できるも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇根 成実 大阪府枚方市中宮北町3番10号 宇部興産 株式会社枚方研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム
    及び練和液からなるリン酸カルシウム系充填材であっ
    て、硬化体中に残存するリン酸四カルシウムに対して約
    0.33モル%のリン酸八カルシウムを使用することを
    特徴とするリン酸カルシウム系充填材。
JP4252961A 1992-09-22 1992-09-22 リン酸カルシウム系充填材 Pending JPH06100410A (ja)

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JP4252961A JPH06100410A (ja) 1992-09-22 1992-09-22 リン酸カルシウム系充填材

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JP4252961A JPH06100410A (ja) 1992-09-22 1992-09-22 リン酸カルシウム系充填材

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JP (1) JPH06100410A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009178225A (ja) * 2008-01-29 2009-08-13 Meiji Univ セメント組成物、セメントキット、セメント及びセメントの製造方法
US8552100B2 (en) * 2005-02-23 2013-10-08 The Regents Of The University Of California Flexible hydrogel-based functional composite materials
JP2015053981A (ja) * 2013-09-10 2015-03-23 HOYA Technosurgical株式会社 リン酸カルシウム硬化性組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8552100B2 (en) * 2005-02-23 2013-10-08 The Regents Of The University Of California Flexible hydrogel-based functional composite materials
JP2009178225A (ja) * 2008-01-29 2009-08-13 Meiji Univ セメント組成物、セメントキット、セメント及びセメントの製造方法
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