JPH0595967A - レジン床義歯製造用のワツクスパターン埋没方法及びワツクスパターン埋没装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 気泡を混入させることなくワックスパターン
を容易に石膏スラリーに埋没させ、高精度のレジン床義
歯を製造するとともに作業性を改善する。 【構成】 レジン床義歯製造用のワックスパターン１個
を埋没させることが可能な石膏スラリーを調製するのに
要する石膏４ａを計量する石膏計量手段Ａと、石膏４ａ
と水とを混合して石膏スラリーを調製する、攪拌手段１
２及び調製後の石膏スラリーの全量を一度に通過させて
埋没フラスコＣに供給する開閉弁１３を具備する水・石
膏混合手段Ｂと、減圧下に石膏スラリーを注入すること
が可能な、１個のワックスパターンを収納する埋没フラ
スコＣとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願発明は、レジン床義歯製造用
のワックスパターンを石膏スラリー中に埋没させてレジ
ン床義歯製造用の型を作成するためのワックスパターン
埋没方法及びワックスパターン埋没装置に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
レジン床義歯を製造する場合、義歯をワックスに埋め込
んで形成したレジン義歯製造用のワックスパターンを、
例えば、石膏スラリーなどの埋没材に埋め込んでこれを
硬化させた後、ワックスを除去することによりレジン充
填用の型を作成している。

【０００３】すなわち、従来のレジン床義歯の製造方法
においては、例えば、上下に分割可能な埋没フラスコに
ワックスパターンを入れ、まず、下側フラスコに石膏ス
ラリーを注入して硬化させた後、上側フラスコに石膏ス
ラリーを入れてワックスパターンを石膏スラリーに埋没
させ、硬化後に石膏を２つに割って、レジン材料を充填
する型を作成し、この型にレジン材料を充填することに
よりレジン床義歯を製造している。

【０００４】しかし、上記従来の方法においては、埋没
時に石膏スラリー中に気泡が混入して不良を発生しやす
いという問題点がある。そして、石膏スラリーに気泡が
混入しないようにワックスパターンを埋没させるには、
熟練を要し、熟練者が手作業で石膏を練和しつつ注入す
ることが必要であり、生産効率が悪く製造コストが増大
するという問題点がある。

【０００５】また、石膏スラリーは、固まりやすく、大
量の石膏をまとめて水と混合しておくと、使用中に硬化
して作業に支障をきたすなど、作業性が悪いという問題
点がある。

【０００６】さらに、従来の方法では、フラスコ及び石
膏を割り開く必要があるため、継ぎ目が存在することや
その閉じあわせ面のずれなどに起因してレジン床義歯の
精度が低下するという問題点がある。

【０００７】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、熟練を必要とせず、気泡を混入させることなくワ
ックスパターンを容易に石膏スラリーに埋没させること
が可能で、かつ、石膏の型を割り開いたりする必要がな
く、高精度のレジン床義歯を製造することが可能なワッ
クスパターン埋没方法及びワックスパターン埋没装置を
提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明のレジン床義歯製造用のワックスパターン
埋没方法は、レジン床義歯製造用のワックスパターン１
個を埋没させることが可能な石膏スラリーを調製するの
に要する石膏を計量して水・石膏混合手段に移し、所定
量の水と混合することにより石膏スラリーを調製し、前
記石膏スラリーの全量を、前記ワックスパターン１個を
入れて減圧した埋没フラスコに注入することにより、前
記ワックスパターンを前記石膏スラリーに埋没させるこ
とを特徴とする。

【０００９】また、本願発明のワックスパターン埋没装
置は、レジン床義歯製造用のワックスパターン１個を埋
没させることが可能な石膏スラリーを調製するのに要す
る石膏を計量する石膏計量手段と、前記石膏と水とを混
合して石膏スラリーを調製する、攪拌手段及び調製後の
石膏スラリーの全量を一度に通過させて下記埋没フラス
コに供給する開閉弁を具備する水・石膏混合手段と、減
圧下に前記石膏スラリーを注入することが可能な、１個
のワックスパターンを収納する埋没フラスコとを具備す
ることを特徴とする。

【００１０】前記埋没フラスコとしては、石膏の硬化後
に脱ロウを行うための脱ロウ口とレジン注入口を有し、
かつ、前記脱ロウ口及びレジン注入口は、脱ロウ工程に
至るまではワックスにより封止されているような埋没フ
ラスコを用いることが好ましい。

【００１１】また、前記水・石膏混合手段の開閉弁とし
ては、弾性材料からなる中空の弁体及び気体供給ライン
を具備してなり、空気などの気体を供給圧入して弁体を
膨張させることにより石膏スラリーの通路を閉止すると
ともに、圧入した気体を排出して弁体を収縮させること
により、石膏スラリーの通路を開放するように構成され
た開閉弁を使用することが、石膏スラリーの溜まりを防
止しつつ石膏スラリーの全量を短時間で埋没フラスコに
注入するために好ましい。

【００１２】

【作用】本願発明のレジン床義歯製造用のワックスパタ
ーン埋没方法においては、ワックスパターン１個ずつ
に、それを埋没させるための石膏スラリーを調製するの
に必要な石膏が計量され、水と混合後に、その全量がワ
ックスパターンを入れた埋没フラスコに減圧下に供給、
注入されるため、使用中に石膏が固化するおそれがな
く、容易かつ確実にワックスパターンを石膏スラリーに
埋没させることが可能になり、信頼性が向上する。ま
た、減圧下に、埋没フラスコに石膏スラリーが注入され
るので、気泡が混入することがなく、良好なレジン充填
用の型を得ることができる。

【００１３】また、本願発明のワックスパターン埋没装
置においては、石膏計量手段によりワックスパターン１
個ごとに所定量の石膏が計量され、水・石膏混合手段に
供給され、ここで水と混合することにより石膏スラリー
が調整され、この石膏スラリーの全量が、減圧された埋
没フラスコに供給される。したがって、手作業を必要と
する工程がなく、容易かつ確実にワックスパターンを石
膏スラリーに埋没させることが可能になり、作業性が大
幅に向上する。

【００１４】また、脱ロウ口及びレジン注入口を備えた
埋没フラスコを用い、これにワックスパターンを入れて
石膏スラリーを注入することにより、石膏を割り開くこ
となく脱ロウするとともに、形成された空間にレジンを
充填することができるため、従来例のように、継ぎ目が
存在することやその閉じあわせ面のずれなどに起因して
レジン床義歯の精度が低下することがなく、精度の高い
レジン床義歯を製造することが可能になる。

【００１５】さらに、前記水・石膏混合手段の開閉弁と
して、弾性材料からなる中空の弁体と気体供給ラインを
具備してなる開閉弁を用いた場合、空気などの気体を圧
入することにより弁体が膨張して石膏スラリーの通路が
閉止されるとともに、圧入した気体を排出することによ
り弁体が収縮して石膏スラリーの通路が開放される。し
たがって、弁体に複雑な凹凸を設ける必要がなく、石膏
スラリーの溜まりを確実に防止し、かつ、石膏スラリー
の全量を短時間で埋没フラスコに注入することが可能に
なり、水・石膏混合手段において石膏が固化することを
防止して、信頼性を大幅に向上させることができる。

【００１６】

【実施例】以下に、本願発明の実施例を図に基づいて説
明する。

【００１７】図１は、本願発明の実施例にかかるレジン
床義歯製造用のワックスパターン埋没装置を示す図であ
る。この実施例のワックスパターン埋没装置は、レジン
床義歯を収納する埋没フラスコＣと、埋没フラスコＣに
収納されたレジン床義歯製造用のワックスパターン１個
（図示せず）を埋没させることが可能な石膏スラリーを
調製するのに必要な石膏を計量する石膏計量手段Ａと、
石膏計量手段Ａにより計量された石膏を入れて所定量の
水と一定時間混合して石膏スラリーを調製する水・石膏
混合手段Ｂとを具備している。

【００１８】石膏計量手段Ａは、下部に弁（図示せず）
が設けられた筒状容器１と、筒状容器を支持するロッド
６と、重量検出用のセンサ２と、石膏を水・石膏混合手
段Ｂに供給する際に筒状容器１を下方に移動させ、筒状
容器１の下部（石膏排出口）を水・石膏混合手段Ｂに挿
入させるシリンダ３とを備えており、石膏貯蔵容器４か
らフィーダ５を介して供給される石膏４ａの重量をセン
サ２により検出し、所定の重量になるまで石膏貯蔵容器
４から石膏４ａを供給する。

【００１９】また、水・石膏混合手段Ｂは、本体１１
と、本体１１内に配設された攪拌羽根（攪拌手段）１２
と、水と混合することにより調製された石膏スラリーを
埋没フラスコＣに供給する際に開かれる開閉弁１３とを
備えている。上記攪拌羽根１２は、ギア１４を介して本
体１１の外側に配設されてモータ（図示せず）により回
転駆動されるように構成されている。また、開閉弁１３
は、中空の弾性体（この実施例ではゴム）からなる弁体
１５と、弁体１５に圧縮空気を供給するエアライン（気
体供給ライン）１６とを備えており、エアライン１６か
ら圧縮空気を供給して弁体１５を膨張させることにより
本体１１の石膏スラリー排出口１７を閉じるとともに、
弁体１５から空気を排出して弁体を収縮させることによ
り石膏スラリー排出口１７を開くように構成されてい
る。なお、図１では、弁体１５が収縮した状態、すなわ
ち、石膏スラリー排出口１７が開放された状態を示して
いる。また、水・石膏混合手段Ｂは、シリンダ１８によ
り横方向に移動するように構成されており、移動した位
置で水供給手段１９から水（石膏スラリー調製用の定量
水や洗浄水）が供給され、その後、元の位置に戻るよう
に構成されている。この水供給手段１９は、注水部１９
ａと、注水時に注水部１９ａを降下させて水・石膏混合
手段Ｂの本体１１に注水部１９ａを挿入した状態で注水
させるためのシリンダ１９ｂとを備えている。

【００２０】さらに、埋没フラスコＣは、水・石膏混合
手段Ｂの下側に配設されており、その上蓋２１及び下蓋
２２と筒状本体２３とを組み合わせて構成され、減圧下
に石膏スラリーを注入することができるように真空ライ
ン２５が接続されている。また、埋没フラスコＣは、シ
リンダ２４により上下方向に移動させることにより、水
・石膏混合手段Ｂと係脱するように構成されている。さ
らに、埋没フラスコＣの底部（下蓋）２２には、ワック
スパターンを構成するワックスを溶融させて流出させる
脱ロウ口（図示せず）と、脱ロウ後の空洞にレジンを注
入するためのレジン注入口（図示せず）が設けられてお
り、この脱ロウ口とレジン注入口は、石膏スラリーの注
入工程においては、ワックスパターンと共通のワックス
により封止されている。

【００２１】次に、上記のワックスパターン埋没装置を
用いてワックスパターンを埋没する場合の工程について
説明する。

【００２２】ワックスパターンを埋没させるにあたって
は、まず、埋没フラスコＣにワックスパターンを収納す
る。それから、石膏計量手段Ａにより所定量の石膏を計
量する。そして、この石膏を、水供給手段１９から所定
量の水を注入した水・石膏混合手段Ｂに落とし入れる。

【００２３】水・石膏混合手段Ｂにおいて石膏と水とを
所定時間混合して石膏スラリーを調製した後、真空ライ
ン２５から吸引して埋没フラスコＣを減圧にした状態
で、水・石膏混合手段Ｂの開閉弁１３の弁体１５から空
気を排出させてこれを収縮させ、石膏スラリー排出口１
７から埋没フラスコＣに石膏スラリーを注入してワック
スパターンを石膏スラリーに埋没させる。

【００２４】そして、石膏スラリーの全量を埋没フラス
コＣに供給した後の水・石膏混合手段Ｂをシリンダ１８
により横方向に移動させ、注水部１９ａから本体１１内
に注水して本体１１内に付着した石膏スラリーを洗い落
として、石膏が本体１１内で固化することを防止すると
ともに、次の水・石膏混合工程に備える。

【００２５】一方、上記のようにしてワックスパターン
を埋没させた埋没フラスコＣは、硬化促進用の加熱炉に
送られて加熱される。そして、石膏が固化させた後、埋
没フラスコＣを脱ロウ用浴槽に浸漬して、例えば、約９
０℃の熱湯を樹脂注入口（別に熱湯注入口を設けるよう
にしてもよい）から埋没フラスコ内に注入し、ワックス
を溶融させて脱ロウを行う。この場合、埋没フラスコＣ
及びその内容物が加熱されているので、脱ロウは効率よ
く速やかに行われる。なお、埋没フラスコＣは順次、複
数段の浴槽を移動し、繰り返して熱湯が注入される。こ
うして、埋没フラスコＣからワックスを十分に洗い落と
した後、最終段では、新しい熱湯を注入することにより
石膏内の空洞を十分に洗浄する。

【００２６】次に、埋没フラスコＣを乾燥工程に送り、
乾燥、冷却を行った後、レジンとの離型性をよくするた
めの離型剤を注入する。そして、離型剤を流し出し、加
圧して離型剤を空洞壁に十分に付着させる。

【００２７】それから、埋没フラスコをレジン注入工程
に送り、空洞に樹脂を注入充填した後レジンを硬化させ
ることによりレジン床義歯が製造される。

【００２８】

【発明の効果】上述のように、本願発明のレジン床義歯
製造用のワックスパターン埋没方法によれば、ワックス
パターン１個ずつに、石膏が計量され、水と混合後に、
その全量が埋没フラスコに供給、注入されるため、使用
中に石膏が固化するおそれがなく、信頼性が向上すると
ともに作業性も改善される。さらに、減圧下に、埋没フ
ラスコに石膏スラリーを注入するので、石膏スラリー中
の気泡が確実に除去され、ワックスパターンを確実に埋
没させ、良好なレジン充填用の型を得ることができる。

【００２９】また、本願発明のワックスパターン埋没装
置によれば、石膏計量手段によりワックスパターン１個
ごとに所定量の石膏が計量され、水・石膏混合手段に供
給されて水と混合することにより石膏スラリーが調製さ
れた後、その全量が減圧された埋没フラスコに供給され
るため、手作業が必要となる工程がなく、容易かつ確実
にワックスパターンを石膏スラリーに埋没させることが
可能になるとともに、作業性が大幅に改善される。

【００３０】また、脱ロウ口及びレジン注入口を備えた
埋没フラスコを用いることにより、従来例のように閉じ
あわせ面のずれなどによりレジン床義歯の精度が低下す
ることがなく、精度の高いレジン床義歯を製造すること
ができる。

【００３１】さらに、水・石膏混合手段の開閉弁とし
て、弾性材料からなる中空の弁体及び気体供給ラインを
備えた開閉弁を用いることにより、石膏スラリーの溜ま
りを確実に防止し、かつ、石膏スラリーの全量を短時間
で埋没フラスコに注入することが可能になり、水・石膏
混合手段において石膏が固化することを防止して、信頼
性を大幅に向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明の一実施例にかかるレジン床義歯製造
用のワックスパターン埋没装置の構成を示す図である。

【符号の説明】

Ａ 石膏計量手段 Ｂ 水・石膏混合手段 Ｃ 埋没フラスコ ４ａ 石膏 １２ 攪拌手段（攪拌羽根） １３ 開閉弁 １５ 弁体 １６ 気体供給ライン

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レジン床義歯製造用のワックスパターン
   １個を埋没させることが可能な石膏スラリーを調製する
   のに必要な石膏を計量して水・石膏混合手段に移し、所
   定量の水と混合することにより石膏スラリーを調製し、
   前記石膏スラリーの全量を、前記ワックスパターン１個
   を入れて減圧した埋没フラスコに注入することにより、
   前記ワックスパターンを前記石膏スラリーに埋没させる
   ことを特徴とするレジン床義歯製造用のワックスパター
   ン埋没方法。
2. 【請求項２】 レジン床義歯製造用のワックスパターン
   １個を埋没させることが可能な石膏スラリーを調製する
   のに要する石膏を計量する石膏計量手段と、前記石膏と
   水とを混合して石膏スラリーを調製する、攪拌手段及び
   調製後の石膏スラリーの全量を一度に通過させて下記埋
   没フラスコに供給する開閉弁を具備する水・石膏混合手
   段と、減圧下に前記石膏スラリーを注入することが可能
   な、１個のワックスパターンを収納する埋没フラスコと
   を具備することを特徴とするワックスパターン埋没装
   置。
3. 【請求項３】 前記埋没フラスコが、石膏の硬化後に脱
   ロウするための脱ロウ口とレジン注入口を有し、かつ、
   前記脱ロウ口及びレジン注入口は、脱ロウ工程に至るま
   ではワックスにより封止されるような埋没フラスコであ
   ることを特徴とする請求項２記載のワックスパターン埋
   没装置。
4. 【請求項４】 前記水・石膏混合手段の開閉弁が、弾性
   材料からなる中空の弁体と気体供給ラインを具備してな
   り、空気などの気体を供給圧入して前記弁体を膨張させ
   ることにより前記石膏スラリーの通路を閉止するととも
   に、圧入した気体を排出して前記弁体を収縮させること
   により、前記石膏スラリーの通路を開放するように構成
   された開閉弁であることを特徴とする請求項２記載のワ
   ックスパターン埋没装置。