JPH059489A - 電子計算機軸受用グリース組成物 - Google Patents

電子計算機軸受用グリース組成物

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JPH059489A
JPH059489A JP16027091A JP16027091A JPH059489A JP H059489 A JPH059489 A JP H059489A JP 16027091 A JP16027091 A JP 16027091A JP 16027091 A JP16027091 A JP 16027091A JP H059489 A JPH059489 A JP H059489A
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oil
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scattering
bearing
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JP16027091A
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Michiharu Naka
道治 中
Yukari Kondo
ゆかり 近藤
Atsushi Kuraishi
淳 倉石
Koyo Ozaki
幸洋 尾崎
Tetsuo Tsuchiya
哲夫 土谷
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NSK Ltd
Showa Shell Sekiyu KK
Original Assignee
NSK Ltd
Showa Shell Sekiyu KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】飛散性と音響性能とトルク性能がともに優れ
た、長寿命の電子計算機軸受用グリース組成物を提供す
る。 【構成】本発明のグリース組成物は、40℃において8
〜180cStの動粘度を有する鉱油,合成炭化水素油
およびポリフェニルエーテル油の群から選ばれた少なく
とも1種の基油70〜80重量%と、化学構造式中に水
酸基を含まないC 12〜C24高級脂肪酸のリチウム塩20
〜30重量%とを含有する。これにより、例えば図5に
示すような低飛散量のグリース組成物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子計算機軸受用グ
リース組成物に関し、特にグリースの飛散性,摩擦トル
ク性能,音響性能の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】電子計算機の記録媒体装置に組み込まれ
ている軸受または軸受ユニットに用いられるグリースに
対する最大の要求性能は、飛散量いわゆるアウトガスの
少ないこととされている。軸受から飛散するアウトガス
で記録媒体が汚損されるとエラーの原因となるためであ
る。また、ブックタイプ,ラップトップ等の小型コンピ
ュータの普及に伴い、それに使用される軸受は益々小さ
くなり、そのため軸受の摩擦トルク性能の向上(トルク
値やその変動値の抑制)と、音響性能の向上(低振動,
低騒音)が求められている。更に、軸受寿命を左右する
グリースの寿命に対する要求も益々長くなり、5〜10
年が要求されるようになっている。
【0003】従来、電子計算機軸受用グリースとして
は、アンドックC(商品名)として良く知られたナトリ
ウム石けん系グリース(鉱油を基油とし、増ちょう剤に
ナトリウムコンプレックス石けんを用いたナトリウムコ
ンプレックス石けん−鉱油系グリース)が、その飛散性
を評価されて20年以上にわたり殆ど独占的に使用され
てきた。
【0004】しかし、ナトリウム石けん系グリースは音
響性能が良くないため、特に低騒音,低振動性が重視さ
れる場合には、リチウム石けん−エステル系グリースに
代表される低騒音,低トルクグリースが使用されてい
る。その場合、グリースの飛散は磁性流体シールを併用
して抑制している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ナトリ
ウムコンプレックス石けん−鉱油系グリースは、石けん
分のグリース中での分散性が悪いため、それが夾雑物に
なって騒音(いわゆるゴミ音と呼ばれる初期音)が発生
し、振動性能も悪い。さらに、ナトリウムコンプレック
ス石けんの潮解性のため水分を吸収し易く、時間の経過
とともに表面が硬化して軸受中での流動性が悪くなり、
潤滑不良を来して保持器音が発生し易くなる。そのた
め、従来の電子計算機軸受用グリースとしてのナトリウ
ムコンプレックス石けん−鉱油系グリースは、しばしば
音響,振動に起因するトラブルを引き起こすという問題
点があった。
【0006】一方、従来のリチウム石けん−エステル系
グリースにあっては、リチウム石けんの分散性が良好で
音響,振動に関しては問題ない。しかし反面で、グリー
スが飛散し易く、そのまま使用した場合は記録媒体を汚
損するおそれが大きい。そこで飛散を防止するため高価
な磁性流体シールを併用しなければならず、製品のコス
トアップを招くとともに、磁性流体シールの取付スペー
スが必要で小型化の妨げになるという問題点があった。
【0007】そこで本発明の課題は、上記従来の問題点
を解決することにあり、飛散性と音響性能とトルク性能
がともに優れた、長寿命の電子計算機軸受用グリース組
成物を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のグリース組成物
は、40℃において8〜180cStの動粘度を有する
鉱油,合成炭化水素油およびポリフェニルエーテル油の
群から選ばれた少なくとも1種の基油70〜80重量%
と、化学構造式中に水酸基を含まないC12〜C 24高級脂
肪酸のリチウム塩20〜30重量%とを含有する。
【0009】さらに、スルホン酸塩,ナフテン酸塩の群
から選ばれた少なくとも1種の防錆添加剤0.01〜
1.0重量%を添加することができる。また、本発明の
グリース組成物のちょう度は200〜270とすること
ができる。
【0010】
【作用】上記の組成は、増ちょう剤にリチウム石けんを
用いたため音響性能が良い。しかも同程度のちょう度の
通常のリチウム石けん系グリースと比べて、増ちょう剤
量が多く、かつ短繊維構造としたため、飛散しにくい。
また、基油としては高精製度鉱油や耐熱性に優れた合成
炭化水素油,ポリフェニルエーテル油を用いているため
耐久性も良い。
【0011】以下、さらに詳細に説明する。本願発明者
らは、従来の課題を解決して良好な飛散性と音響性能と
を兼ね備えた電子計算機軸受用グリース組成物を提供す
べく鋭意研究を重ねた結果、リチウム石けん系グリース
の増ちょう剤量を通常の量より多くするとともに、短繊
維構造とすることが有効であることを見出して本発明を
なすに至ったものである。
【0012】本発明のグリース組成物に使用される基油
としては、鉱油系潤滑油,合成炭化水素油,ポリフェニ
ルエーテル油のいずれかを、単独にまたは混合して用い
ることができる。混合する場合の混合比率は任意でよ
い。鉱油は石油からの高度精製油が望ましいが、粘度指
数は問わない。合成炭化水素油としてはポリαオレフィ
ン、液状ポリブテンなどのオレフィン重合油およびアル
キル芳香族油のいずれも使用できる。その中では、ポリ
αオレフィン例えば1−Decene(CH3(CH2) 7CH=CH
2 ) のオリゴマーやエチレンとポリαオレフィンとの共
重合体などが好ましい。ポリフェニールエーテルとして
は、芳香環数が2〜5環のものが市販されており、いず
れも使用できるが、環数が増えるに従い低温性能が低下
し且つ価格も高価になる。したがって、2環でしかもア
ルキル置換基により低温性能を向上させたモノアルキル
ジフェニールエーテルやジアルキルジフェニールエーテ
ルが最も実用的である。ちなみに、エステル油やシリコ
ーン油等は不適当であり、特に一般にグリース基油とし
てよく使用されているエステル油は、微量混入してもグ
リース組成物の飛散性を大きく増加せしめることが本発
明者らの研究により確認されている。また、シリコーン
油はリチウム石けんとの相溶性が悪く、油分離しやす
く、飛散量も多い。また音響性能にも劣る。
【0013】本発明のグリース組成物に用いる基油の粘
度については、40℃において8〜180cStの動粘
度を有するものが使用可能である。8cSt未満では低
すぎて蒸発しやすく、耐久性能に難点があり、一方、1
80cStを超えると摩擦トルクを増大させるだけでな
く飛散量も増加する。もっとも、本発明者らの研究によ
れば、どちらかといえば基油粘度は低い方が飛散性の点
でより一層効果があがることが確認されており、その点
を考慮すれば40℃において16〜100cSt程度が
好ましいといえる。
【0014】本発明のグリース組成物に使用される増ち
ょう剤は、分散性が良く良好な音響性能が得やすい水酸
基を含まない高級脂肪酸のリチウム塩である。中でもス
テアリン酸リチウム、および牛脂脂肪酸のリチウム塩が
適している。両者は基油の種類は問わず、鉱油系潤滑
油,合成炭化水素油,ポリフェニルエーテル油のいずれ
にも使用できる。研究の結果、リチウム石けん系グリー
スの増ちょう剤として一般によく使われている12−ヒ
ドロキシステアリン酸リチウムやヒマシ硬化脂肪酸のリ
チウム塩は、飛散量を増加させるので不適当であること
が判明した。
【0015】一方、飛散性の点では問題ないとされ、ナ
トリウム石けん系グリースの増ちょう剤として用いられ
るナトリウムテレフタラメート,ナトリウムコンプレッ
クス石けんなどの増ちょう剤はいずれも音響性能が悪
く、本発明のグリース組成物には使用できないことが実
験の結果明白になった。本発明は、更に増ちょう剤の配
合量が、グリース組成物の飛散性に影響を及ぼすとい
う、発明者らの研究の結果あきらかにされた事実に基づ
いてなされている。すなわち、従来のリチウム石けん系
グリースの場合の増ちょう剤の配合量は、8〜20重量
%が一般的である。これに対して本発明の場合は、上記
増ちょう剤の混合量を20〜30重量%の範囲に規定す
る。好ましくは、23〜27重量%である。リチウム石
けん系増ちょう剤の配合量をこのように制御することに
より、飛散性が少なく、しかも音響性能良好という従来
なかったグリース組成物が実現できる。20重量%未満
であるとグリース組成物の飛散抑制効果が小さすぎて、
電子計算機の記録媒体汚染を阻止するという本発明の目
的が達成されない。一方、30重量%を超えるとグリー
ス組成物が硬くなりすぎて、軸受の内部でのグリースの
流動性が悪くなり、その結果、保持器音が出易くなって
音響性能を悪化させる。
【0016】グリースの飛散は軸受の回転により発生し
たグリースの微粒子が飛び散るためである。グリースの
硬さが飛散性の一つの因子になると思われるが、反面、
硬いほど軸受内部での流動性が悪く保持器音が発生し易
いことから、硬さは音響性能の一因子でもある。かくし
て、本発明者らはグリース組成物のちょう度の臨界的意
義についても検討を重ねた結果、ちょう度の下限を20
0、上限を280とすることが望ましいとの結論を得
た。ちょう度が200未満であると硬すぎて音響性能が
顕著に悪化する。一方、ちょう度が280を超えると飛
散量が増加して、電子計算機の記録媒体が汚損される。
【0017】本発明のグリース組成物にあっては、更に
添加剤として酸化防止剤及び防錆剤を必要に応じて用い
ることができる。本発明者らは、公知のフェニルαナフ
チルアミン,ジフェニルアミン,フェノチアジン,p,
p´−ジオクチルジフェニルアミンなどのアミン系およ
び2,6-ジ-t- ブチル-p- クレゾール,4,4 ´- メチレ
ンビス-2,6- ジ- t-ブチルフェノールなどのフェノール
系の酸化防止剤を添加した場合の飛散性に関して実験的
に検討したが、特に影響は認められなかった。これに対
し防錆剤については、石油スルホン酸やジノニルナフタ
レンスルホン酸のナトリウム,カルシウム,マグネシウ
ム,バリウム,亜鉛塩などのスルホン酸塩と亜鉛や鉛の
ナフテン酸塩を用いて検討した結果、添加量0.01〜1.0
重量%では問題ないが、一般的な防錆剤添加量の下限値
とされている1.0重量%を超えるとグリース組成物の飛
散が急激に多くなることが認められた。添加量0.01重量
%未満では、防錆効果がほとんど認められなかった。
【0018】
【実施例】次に、本発明の実施例と比較例について説明
する。表1に示す実施例1〜18の添加剤を入れないグ
リースと、表2に示す実施例19〜25の添加剤を入れ
たグリース、及び表3に示す比較例1〜18の組成を有
するグリースを用いて、ちょう度並びに、飛散量,軸受
音響,摩擦トルクを測定した。測定結果を各表下欄に併
記した。ちょう度は不混和ちょう度と混和ちょう度とを
JIS K2220(5.3)により求めたものであ
る。また、飛散量,軸受音響,摩擦トルクの各物性値の
測定は、被検体のグリース組成物を有機溶媒により完全
に脱脂した内径5mm,外径14mmの非接触ゴムシール付
単列深みぞ玉軸受に19mg封入し、常温で予圧1.5 Kg
fの条件下で行った。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】飛散量測定装置の略図を図1に示す。グリ
ース組成物を封入した軸受Aを3,600rpmで20
分間回転させながら、図1に示す容器B中に清浄空気を
流し、0.01 cubic feet (cF)の体積の空気量毎にその中
の0.3 μm以上のパーティクルカウント数を測定した。
表1,2,3には軸受回転10分後の飛散量を示した。
【0023】軸受の音響測定は、アンデロンメータを用
いて、1800rpmで被検体軸受を回転させたときの
保持器音の有無を聴覚にて判定したものである。表1,
2,3には、保持器音が発生しないときに◎、ほとんど
発生しないときに○、ときどき発生するとき△、絶えず
発生するときあに×で表示した。摩擦トルク測定装置の
略図を図2に示す。被検体軸受Aを3600rpmで1
0分間回転させて、その間のトルク値の変動をストレイ
ンゲージCを用いてレコーダに記録した。なお、図2に
おいて、Dはエアスピンドル、Eはアーバ、Fはアルミ
キャップ、Gはエアベアリングである。
【0024】図3に実施例のグリースの摩擦トルク変動
の一例を、図4に比較例のグリースの摩擦トルク変動の
一例を示す。表1,2,3には、回転約10分後でトル
クがほぼ安定したときの値を示した。実施例1〜25の
グリースは、どのグリース組成物も全て飛散性,音響性
能ともに良好であったのに対して、比較例1〜18のグ
リースは飛散性,音響性能の少なくともいずれかに問題
があった。
【0025】図5に示すように、基油の粘度に関して
は、ステアリン酸リチウム25重量%と、40℃におけ
る動粘度が8〜180cStの範囲内にある鉱油75重
量%とからなる実施例1〜4に対して比較例2を対比す
ると、基油の動粘度が200cStまで高くなると飛散
量が飛躍的に増加し、かつ音響性能も良くないことが明
らかで、グリース性状に及ぼす基油粘度の影響が認めら
れ、更に、実施例4,実施例7の場合、40℃における
基油動粘度が180cStと他の実施例に比較して高い
が、これらは飛散量が他の実施例より比較的大きくなっ
ており、やはり飛散性に対する基油粘度の関与を示唆し
ている。しかし現在、電子計算機軸受に多く使用されて
いるアンドックCグリース(商品名)の上記測定方法に
よる飛散量が、最大のもので300程度であるので、こ
れを基準として判定すると、40℃での動粘度が180
cStまでの基油は良好なグリース組成物が得られると
考えられる。
【0026】一方、基油の種別に関しては、増ちょう剤
がステアリン酸リチウムで基油にジエステルを用いた比
較例3、及びポリオールエステルを用いた比較例4,6
と、増ちょう剤の種類と量は同じで基油のみ異なる実施
例1〜11とを対比すると、比較例のものはいずれも飛
散量が実施例のものに比して桁違いに多くなっている。
この結果から、エステル系油はは電子計算機軸受用グリ
ース組成物の基油としては用い得ないことが明白であ
る。また、比較例5は、リチウム石けんグリースの基油
としてシリコーン油を用いると油分離を生じやすく、ま
た音響性能の劣るグリース組成物しか得られないことを
示す。これに対して動粘度が上記の範囲内にある限り、
鉱油,ポリα−オレフィン油,ポリフェニルエーテル油
は本発明のリチウム石けんグリースの基油として好適な
ことが、各実施例の性状から明白である。
【0027】増ちょう剤の種別に関しては、比較例1か
ら、ナトリウムコンプレックス石けんを用いると音響性
能が極端に悪化することがわかる。ナトリウムコンプレ
ックス石けんグリースは、その吸湿性によりグリースの
硬化を生じ保持器音を発生しやすくなる。また、比較例
13のナトリウムテレフタラメートを用いたグリース
は、増ちょう剤量が20重量%でもちょう度が小さく音
響性能が悪いことがわかる。また、比較例8には、12
−ヒドロキシステアリン酸を主成分とするヒマシ硬化脂
肪酸をけん化したリチウム石けんグリースは音響性能は
悪くないが飛散量を増加させることが示されている。比
較例7,9,12では、増ちょう剤に12−ヒドロキシ
ステアリン酸リチウムを用いているが、これらのグリー
スの飛散量は極端に大きくなっている。しかもグリース
のちょう度もステアリン酸リチウムや牛脂脂肪酸のリチ
ウム塩を増ちょう剤としたものに比し小さく、したがっ
て音響性能も悪化している。すなわち、12−ヒドロキ
システアリン酸リチウムはグリースの飛散性も音響性能
も共に悪化させることが明らかで、本発明のグリース組
成物には全く使用できない。
【0028】図6に示すように、増ちょう剤の量に関し
ては、ステアリン酸リチウムの場合も牛脂脂肪酸のリチ
ウム塩の場合も、その含有量が全組成物量に対し20〜
30重量%とされた実施例では、飛散性も音響性能も良
好である。これに対して、ステアリン酸リチウムの含有
量を18重量%に減らした比較例10では、音響性能は
良好であるが、飛散量が実施例に比し大幅に増加してい
る。反対にステアリン酸リチウムの含有量を33重量%
に増加させた比較例11では、飛散性は良好であるが、
音響性能は悪化している。すなわち、本発明の場合は、
増ちょう剤の配合量を20〜30重量%の範囲に規定す
ることが必要で、リチウム石けんの配合量をこのように
制御することにより、飛散性も音響性能も良好なグリー
ス組成物が実現できることが明らかである。増ちょう剤
量が20重量%未満の比較例10では、ちょう度が28
0を超えて柔らかくなっており、飛散し易くなったこと
を示唆している。一方、増ちょう剤量が30重量%を超
えている比較例11では、ちょう度が200未満に減少
しており、グリース組成物が硬くなりすぎて、音響性能
が悪化したことを示唆している。
【0029】添加剤の影響に関しては、実施例18〜2
5および比較例14〜18に示される。アミン系および
フェノール系の酸化防止剤の添加の影響を、無添加の実
施例2と、添加の実施例18,19との対比でみると、
添加量の多少にかかわらず酸化防止剤はグリースの飛散
性にも音響性能にも全く関与しないことがわかる。これ
に対し防錆剤については、グリースの飛散性への影響が
認められた。もっともスルフォン酸塩とナフテン酸塩に
ついては、実施例21〜25の結果に示されるように、
添加量が1.0 重量%以内であれば飛散量は0.3μm以上
の粒子数が200個/0.01cF以下となり、実用上問題と
される程ではない。しかし、1.0 重量%を超えるとグリ
ース組成物の飛散が急激に多くなることが比較例14,
15に示されている(図8)。また、防錆剤として硫化
物(比較例18)やコハク酸アミド(比較例16やアミ
ン塩(比較例17)を用いた場合には、その添加量が0.
2 重量%と少量であっても飛散量は大幅に増加すること
が確認されている。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明の電子計算機
軸受用グリース組成物は、基油として40℃において8
〜180cStの動粘度を有する鉱油,耐熱性に優れた
合成炭化水素油,ポリフェニルエーテル油のうちの少な
くとも1種を70〜80重量%用い、増ちょう剤として
音響性能が良いリチウム石けんを用い、その増ちょう剤
量を20〜30重量%と多くし、かつ飛散しにくい短繊
維構造とした。そのため、飛散性と音響性能とトルク性
能がともに優れた、長寿命の電子計算機軸受用グリース
組成物が得られる。
【0031】また添加剤としてスルホン酸塩,ナフテン
酸塩の群から選ばれた少なくとも1種の防錆添加剤0.
01〜1.0重量%を含有することにより、上記性能を
損なわずに優れた防錆作用が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】飛散量測定装置の概略図である。
【図2】摩擦トルク測定装置の概略図である。
【図3】実施例のグリースの摩擦トルクの一例を示すグ
ラフである。
【図4】比較例のグリースの摩擦トルクの一例を示すグ
ラフである。
【図5】飛散量に及ぼす粘度の影響を示すグラフであ
る。
【図6】飛散量に及ぼす増ちょう剤量の影響を示すグラ
フである。
【図7】飛散量に及ぼすちょう度の影響を示すグラフで
ある。
【図8】飛散量に及ぼす防錆剤量の影響を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
A (被検用)軸受
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 117:02) C10N 20:02 30:04 40:06 50:10 (72)発明者 倉石 淳 神奈川県藤沢市辻堂7263−5 (72)発明者 尾崎 幸洋 東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 昭 和シエル石油株式会社内 (72)発明者 土谷 哲夫 東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 昭 和シエル石油株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 40℃において8〜180cStの動粘
    度を有する鉱油,合成炭化水素油およびポリフェニルエ
    ーテル油の群から選ばれた少なくとも1種の基油70〜
    80重量%と、化学構造式中に水酸基を含まないC12
    24高級脂肪酸のリチウム塩20〜30重量%とを含有
    してなる電子計算機軸受用グリース組成物。
  2. 【請求項2】 スルホン酸塩,ナフテン酸塩の群から選
    ばれた少なくとも1種の防錆添加剤0.01〜1.0重
    量%を含有してなる請求項1記載の電子計算機軸受用グ
    リース組成物。
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