JPH058878Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案に係る醗酵装置用温度制御装置は、各
種研究所、或は醗酵製品を製造する工場等に於い
て使用する醗酵装置に組み込んだ醗酵槽内の温度
を、醗酵を行なうのに都合の良い温度に維持する
のに利用する。

（従来の技術） バイオテクノロジーの進歩により、酵母菌等の
各種微生物の醗酵を効率良く行なわせる為の醗酵
装置が各種考えられている。

醗酵装置によつて微生物の醗酵を効率良く行な
わせる場合、醗酵の初期に於いては醗酵槽中に投
入した微生物を含む培地（微生物の繁殖に必要な
栄養分を含んだ培養液）を加温して、微生物の活
動を活発化させる事が必要となるが、醗酵が進ん
だ場合、醗酵に伴なつて発生する熱で微生物の活
動が緩慢になつたり、或は微生物が死滅したりす
る事を防止する為、上記培地を冷却しなければな
らない。

この様に醗酵槽中に投入された培地を加温、或
は冷却する為の温度制御装置として、従来は第２
図に示した様な構造のものが使用されていた。

即ち、底面に撹拌翼１を設けた醗酵槽２内にス
テンレス鋼等の伝熱性の良好な金属管を竪方向に
ジグザグに曲げ形成し、或はコイル状に形成して
成る伝熱管３を配設し、この伝熱管３の内側に低
温或は高温の水を送り込み自在としていた。

即ち、伝熱管３の入口側端部に一端を接続した
送給管４の他端部を電気或は高温蒸気によつて加
熱されるヒータ５を有する加温器６の出口に接続
し、この加熱器６の入口を、途中にポンプ７と開
閉弁８とを有する給水管９を介して水道等の給水
施設に接続している。

又、伝熱管３の出口側端部に一端を接続し、他
端を下水等の排水施設に通じさせた排水管１０の
途中に一端を接続した分岐管１１の他端は、上記
給水管９の開閉弁８とポンプ７との間の部分に接
続している。

この様に構成される従来の温度制御装置によつ
て醗酵装置を構成する醗酵槽２内の温度を上昇さ
せる場合、まず開閉弁８を開いて伝熱管３、加温
器６、排水管１０、及び分岐管１１内に水を充満
させる。その後、排水管１０の途中に設けられた
開閉弁（図示省略）を閉じた状態で、加温器６の
ヒータ５に通電すると共にポンプ７を運転し、伝
熱管３内に加温された水を循環させ、この伝熱管
３が配設された醗酵槽２内の培地を加温する。

又、醗酵槽２内を冷却する場合は、ヒータ５へ
の通電或は高温蒸気の送り込みを停止した状態
で、送給管４の途中の開閉弁８と排水管１０の途
中の開閉弁とを開き、ポンプ７を運転して、伝熱
管３内に低温の水を流通させる。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上述の様に構成され作用する従来の
醗酵装置用温度制御装置に於いては、次に述べる
様な不都合を生じる。

即ち、醗酵装置を使用するのに先立つて、醗酵
槽２内を図示しない加熱装置によつて例えば120
℃程度に加熱し、この発酵槽２内を滅菌状態に保
持しておかなくてはならないが、前述の様に、竪
方向にジグザグに曲げ形成したり、或はコイル状
に曲げ形成された伝熱管内の水を完全に排出する
事は難しく、この伝熱管内に水が残留する事は避
けられない。この為、滅菌状態時に、伝熱管内に
残留する水が加熱されて、この水の一部が蒸発す
る事が避けられず、蒸発潜熱を奪われる事による
熱損失が大きくなるだけでなく、水（水道水）中
に含まれる物質が次第に濃縮されてしまう。

水中に含まれる塩素イオンが濃縮された場合、
各管３，４，１０，１１を内面から腐食させる原
因となるだけでなく、その他の不純物がスケール
として伝熱管３の内面に付着すると、この伝熱管
３内を流れる水と伝熱管３外に存在する培地との
熱伝達が不良となつてしまう。

本考案の醗酵装置用温度制御装置は、上述の様
な不都合を何れも解消するものである。

ｂ 考案の構成 （問題を解決するための手段） 本考案の醗酵装置用温度制御装置は、第１図に
示す様に構成されている。

即ち、醗酵装置を構成する醗酵槽２の内側に、
ステンレス鋼等の伝熱性の良好な金属管により造
られた伝熱管３を配設している。この伝熱管３の
入口を、内部に水道水等の低温の液体を流通させ
る冷却管１２等の冷却装置と、ヒータ５等の加温
装置とを付設した、調温装置１３のジヤケツト１
４の出口に、接続管１５を介して接続している。

又、上記伝熱管３の出口は、このジヤケツト１
４の入口に、接続管１６を介して接続している。
両接続管１５，１６の内の一方の接続管１６の途
中には送液ポンプ７を設けている。

上述の様な、本考案の醗酵装置用温度制御装置
を構成する各部材、即ち、伝熱管３と接続管１
５，１６と調温装置１３のジヤケツト１４との内
側には、シリコンオイル等の様に、沸点が滅菌作
業時に醗酵槽の内側を加熱する温度である120℃
を越える液状の熱媒体を充填している。

又、図示の例に於いては、一方の接続管１６の
途中に分岐管１７を介してリザーブタンク１８を
接続し、温度制御装置内の熱媒体が減少した場合
に、この減少分を補充出来る様にしている。

（作用） 上述の様に構成される本考案の醗酵装置用温度
制御装置によつて醗酵槽２内の培地を加温する場
合、調温装置１３のジヤケツト１４内のヒータ５
によつて熱媒体を加温し、ポンプ７を運転して、
昇温した熱媒体を伝熱管３内に流通させる。

又、上記培地を冷却する場合、ヒータ５への通
電或は高温蒸気の送り込みを停止した状態で冷却
管１２内に低温の水道水等を流通させ、熱媒体を
冷却した状態でポンプ７を運転して、低温の熱媒
体を伝熱管３内に流通させる。

ｃ 考案の効果 本考案の醗酵装置用温度制御装置は、以上に述
べた様に構成され作用する為、伝熱管等の内側に
有害な高濃度の塩素イオンが蓄積されたり、スケ
ールが付着したりする事がなく、醗酵装置の運転
を長期間に亘つて安定して行なう事が出来る。

又、使用する熱媒体は高沸点のものである為、
醗酵槽２内を滅菌処理する際に蒸発潜熱を奪われ
る事も少なく、醗酵槽２内を滅菌処理する場合に
要する熱量も少なくて済む。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の、第２図は従来の、それぞれ
醗酵装置用温度制御装置を示す略断面図である。 １……撹拌翼、２……醗酵槽、３……伝熱管、
４……送給管、５……ヒータ、６……加温器、７
……ポンプ、８……開閉弁、９……給水管、１０
……排水管、１１……分岐管、１２……冷却管、
１３……調温装置、１４……ジヤケツト、１５，
１６……接続管、１７……分岐管、１８……リザ
ーブタンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 醗酵装置を構成する醗酵槽の内側に、伝熱性の
   良好な金属管により造られた伝熱管を配設し、こ
   の伝熱管の入口を冷却装置と加温装置とを付設し
   た調温装置のジヤケツトの出口に、伝熱管の出口
   をこのジヤケツトの入口にそれぞれ接続管を介し
   て接続し、この接続管の途中に送液ポンプを設け
   ると共に、伝熱管と接続管とジヤケツトとの内側
   に、沸点が120℃を越える液状の熱媒体を充填し
   て成る醗酵装置用温度制御装置。