JPH05869A - 自己支持形セラミツク構造体の製造方法 - Google Patents

自己支持形セラミツク構造体の製造方法

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JPH05869A
JPH05869A JP3133752A JP13375291A JPH05869A JP H05869 A JPH05869 A JP H05869A JP 3133752 A JP3133752 A JP 3133752A JP 13375291 A JP13375291 A JP 13375291A JP H05869 A JPH05869 A JP H05869A
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composite
metal
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Birol Sonuparlak
ソヌパルラキ ビロル
Kenneth S Hatton
スコツト ハツトン ケネス
Dennis J Landini
ジエイムズ ランデイーニ デニス
Sylvia J Canino
ジヨセフイーナ カニーノ シルビア
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】形成体表面の少くとも一部分に保護表面領域を
有する自己支持形セラミック構造体の製造方法を提供す
る。 【構成】炭化珪素の一部が酸化されて生成したシリカ1
5〜20%を含む粉末を用いて、炭化珪素換算で74%
を含むスラリーを調製し、シリコンラバーよりなる型内
に注入し、型ごと凍結した後脱型し乾燥してプレフォー
ム14を得る。表面に塗膜12を施した合金インゴット
10を配置したボート18の中へ、塗膜12上にプレフ
ォーム14を配し、ボート18と内容物を980℃で焼
結し、過剰の合金を排出後全体を冷却する。ボートから
取り出した複合体をサンドブラスト処理して残留合金や
付着物を除いた後、アルミナ製ボートの底部にアルミナ
製ロッドを配置し、ロッド上に複合体を置き1700℃
で加熱処理して複合体の表層にAlSi13等の
保護膜を有するセラミックス構造体を得る方法よりな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は形成物体の表面の少なく
とも一部分に保護表面領域を有する自己支持形セラミッ
ク構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
従来は金属が使用されていた構造物用途にセラミックを
用いることへの関心が増大している。この関心の原動力
は、耐食性、硬度、耐摩耗性、弾性率、耐火性などのあ
る種の特性においてセラミックの方が金属よりも優れて
いることにある。
【0003】より高強度で、より信頼性があり、そして
より強靭なセラミック製品を製造しようとする努力は、
現在、主に(1)モノリシックセラミックの改善された
製造方法の開発と、(2)新規な材料組成物、特にセラ
ミックマトリックス複合体の開発に集中している。複合
構造体は、複合体の所望の特性を得るために2種以上の
異種の材料を密に複合させて製造した不均質材料、不均
質体又は不均質物品からなるものである。例えば、2つ
の異種材料を、一方を他方のマトリックスに埋め込んで
密に複合させることができる。セラミックマトリックス
複合構造体は、典型的には、微粒子、繊維、棒状物等の
一種以上の異なるフィラメント材料が組み込まれている
セラミックマトリックスからなっている。
【0004】金属の代用としてセラミックを用いるに
は、剥がれのバーサティリティー、複雑な形状の製造
性、最終用途で必要とされる特性を満足すること及びコ
スト等の公知の制限や困難がいくつかある。本出願と同
じ所有者に譲渡されたいくつかの特許出願及び発行され
た特許(以下、「本出願人による特許出願及び特許」と
称する)では、これらの制限や困難を克服し、そして複
合体を含むセラミック材料を信頼性よく製造するための
新規な方法を提供している。この方法は、一般的には、
本出願人による米国特許第4,713,360号〔発行
日:1987年12月15日、発明者:マーク・エス・
ニューカーク等(Marc S.Newkirket
al.)、発明の名称:新規なセラミック材料とその製
造方法(Novel Ceramic Materia
ls and Methods for Making
Same)〕に開示されている。この特許には、気相
酸化体と反応して酸化反応生成物を形成する溶融母材前
駆金属の酸化反応生成物として成長させた自己支持形セ
ラミック体の製造方法が開示されている。溶融金属は、
形成された酸化反応生成物を介して移動して酸化体と反
応することにより、必要に応じて連続金属成分を含むこ
とができるセラミック多結晶体を連続的に発達させる。
このプロセスは、母材金属と合金した一種以上のドーパ
ントを用いることにより増進することができる。例え
ば、アルミニウムを空気中で酸化する場合には、マグネ
シウムと珪素をアルミニウムと合金させてαアルミナセ
ラミック構造体を製造することが望ましい。この方法
は、本出願人による米国特許第4,853,352号
〔発行日:1989年8月1日、発明者:マーク・エス
・ニューカーク等(Marc S.Newkirket
al.)、発明の名称:自己支持形セラミック材料の
製造方法及び該方法によた製造された材料(Metho
dofMaking Self−Supporting
CeramicMaterials and Mat
erials Made Thereby)〕に記載さ
れているように、ドーパント材料を母材金属の表面に適
用することにより改善された。上記特許は、1984年
7月20日出願の米国特許出願第632,636号(現
在は放棄されている)の一部継続出願である1985年
6月25日出願の米国特許出願第747,788号(現
在は放棄されている)の一部継続出願である1985年
9月17日出願の米国特許出願第776,965号(現
在は放棄されている)の一部継続出願である1986年
1月27日出願の米国特許出願第822,999号(現
在は放棄されている)の一部継続出願である1988年
6月23日出願の米国特許出願第220,935号につ
いて発行されたものである。上記米国特許出願の全てに
ついて、発明者はマーク・エス・ニューカーク等であっ
て、発明の名称は「自己支持形セラミック材料の製造方
法(Method of Making Self−S
upporting CeramicMaterial
s)である。
【0005】本出願人による1988年11月1日出願
の米国特許出願第265,835号に記載されているよ
うに、同様の酸化現象を利用して酸化反応生成物をフィ
ラー材料中に成長させてセラミック複合体を製造した。
上記米国特許出願は、1985年2月4日出願の米国特
許出願第697,876号(現在は放棄されている)の
一部継続出願であった米国特許出願第819,397号
(現在は米国特許第4,851,375号)の継続出願
である。上記米国特許出願の全てについて、発明者はマ
ーク・エス・ニューカーク等であって、発明の名称は
「複合セラミック物品及びその製造方法(Compos
ite Ceramic Articles and
Methods of Making Same)」で
ある。具体的には、上記出願及び特許は、酸化反応生成
物を母材金属からフィラーの透過性素材(例えば、炭化
珪素粒状フィラー)に成長させることにより、セラミッ
クマトリックスをフィラーに浸透させることにより自己
支持形セラミック複合体を製造する新規な方法を開示し
ている。しかしながら、得られる複合体は、規定又は所
定の形状寸法、形状又は構成を有していない。
【0006】所定の形状寸法や形状を有するセラミック
複合体の製造方法は、1986年5月8日出願の米国特
許出願第861,025号(現在は放棄されている)の
本出願人による継続出願である1989年6月19日出
願の米国特許出願第368,484号に開示されてい
る。上記出願の両方とも、発明者はマーク・エス・ニュ
ーカーク等であって、発明の名称は「造形セラミック複
合体及びその製造方法(Shaped Ceramic
Composite and Methodsof
Making the Same)」である。対応ヨー
ロッパ特許出願は、1987年11月11日にEPO公
開第0245192号として公開された。この米国特許
出願に記載の方法によれば、発達した酸化反応生成物
は、形成された表面境界の方向にフィラー材料の透過性
プレフォーム(例えば、炭化珪素プレフォーム材料)に
浸透する。
【0007】高形状忠実性は、1986年5月8日出願
の米国特許出願第861,024号(現在では許可され
ている)の継続出願である本出願人による1989年1
月10日出願の米国特許出願第295,488号に開示
されているように、プレフォームにバリヤー手段を設け
ることによりより容易に達成される。上記出願の両方と
も、発明者はマーク・エス・ニューカーク等であり、そ
して対応ヨーロッパ特許出願は、1987年11月11
日にEPO公開第0245193号として公開された。
この方法では、境界又は表面を確立するために金属から
間隔を置いてあるバリヤー手段に対して母材金属の酸化
反応生成物を成長させることにより、造形セラミック複
合体をはじめとする造形自己支持形セラミック体が製造
される。雄形又は雄パターンの形状を逆に複製した内部
形状寸法のキャビティーを有するセラミック複合体が、
1989年5月9日発行の米国特許第4,828,78
5号の分割出願である本出願人による1989年3月2
8日出願の米国特許出願第329,794号(両方とも
発明者は、マーク・エス・ニューカーク等である)及び
本出願人による1986年8月13日出願の米国特許出
願第896,157号(発明者はマーク・エス・ニュー
カーク)に開示されている。
【0008】溜から追加の溶融母材金属が供給されるの
をうまく利用して、厚いセラミックマトリックス複合構
造体を製造した。特に、1986年9月16日出願の米
国特許出願第908,067号(現在では許可されてい
る)の一部継続出願である本出願人による1988年3
月15日出願の米国特許出願第168,358号(現在
では許可されている)〔両方とも発明者はマーク・エス
・ニューカークで、発明の名称は「セラミック複合構造
体の製造における溜供給法及び該方法により製造された
構造体(Reservoir Feed Method
of Making Ceramic Compos
ite Structures Made There
by)」である(対応ヨーロッパ特許出願は、1988
年3月30日にEPO公開第0262075号として公
開された)〕に開示されているように、溜供給法をうま
く適用してセラミックマトリックス複合構造体を形成し
た。このニューカーク等の発明の方法によれば、製造さ
れるセラミック体又はセラミック複合体は、母材金属と
酸化体との酸化反応により多結晶材料を形成することに
より得られるセラミックマトリックスを含む自己支持形
セラミック複合構造体からなっている。このプロセスを
実施する際、母材金属体と透過性フィラーを、酸化反応
生成物がフィラーの方向及びフィラー中で生じるように
互いに関連させて位置させる。母材金属は、第一源及び
溜として存在するとして記載されている。金属からなる
溜は、例えば、重力流れにより第一源と連通している。
溶融母材金属からなる第一源は酸化体と反応して、酸化
反応生成物を形成し始める。溶融母材金属からなる第一
源が消費されるにつれて、酸化反応生成物が継続して製
造され、そしてフィラーに浸透するので、母材金属の溜
から、好ましくは連続手段により補給される。このよう
に、溜は、酸化反応生成物が所望の程度まで成長するま
で十分な母材金属を供給してプロセスを継続させる。
【0009】さらに、1986年9月17日出願の米国
特許出願第908,454号(発明者はマーク・エス・
ニューカーク等、発明の名称は「セラミック品の金属成
分を現場調整する方法及び該方法により製造された物品
(Method for in situ Tailo
ring the Metallic Compone
nt of Ceramic Articles an
d ArticlesMade Thereb
y)」)」の一部継続出願であった本出願人による19
88年2月5日出願の米国特許出願第152,518号
(発明者はロバート・シー・カントナー等(Rober
t C.Kantner et al.)、発明の名称
は同じ)の継続出願である1988年11月9日出願の
米国特許出願第269,152号(発明者及び発明の名
称は、米国特許出願第152,518号と同じ)〔米国
特許出願第152,518号は、1989年4月4日に
米国特許第4,818,734号(発明者はロバート・
シー・カントナー等)として発行された〕には、セラミ
ック体及びセラミックマトリックス複合体の金属成分
(分離し、そして独立している)の構成をその形成中に
調整して得られる物体に一つ以上の所望の特性を付与す
ることが開示されている。したがって、外部源からか、
後成形法によるよりも、所望の金属成分を現場で取り込
むことによってセラミック体やセラミック複合体に所望
の性能特性が得られる。
【0010】上記の本出願人による特許出願及び特許に
述べられているように、新規の多結晶セラミック材料や
多結晶セラミック複合材料は、母材金属と酸化体(例え
ば、固体、液体及び/又は気体)との間の酸化反応によ
り製造される。上記の本出願人による特許出願及び特許
に開示されている一般的なプロセスによれば、母材金属
(例えば、アルミニウム)をその融点よりも高いが酸化
反応生成物の融点よりも低い高温に加熱して溶融母材金
属体を形成し、それが酸化体と接触すると反応して酸化
反応生成物を形成する。この温度で、酸化反応生成物又
は少なくともその一部分は、溶融母材金属体及び酸化体
と接触して溶融母材金属体と酸化体との間に延長し、そ
して溶融金属が、形成した酸化反応生成物を通って酸化
体の方向に引き寄せられる。輸送された溶融金属は、前
に形成された酸化反応生成物の表面で酸化体と接触して
さらに新たな酸化反応生成物を形成する。プロセスが継
続するにつれて、さらなる金属が多結晶酸化反応生成物
の形成を介して輸送されることにより、連続した微結晶
のセラミック構造体が絶えず「成長する」。得られるセ
ラミック体は、母材金属の非酸化成分等の金属成分及び
/又はボイドを含有していてもよい。酸化は、本出願に
おいて述べられている本出願人による特許及び特許の全
てにおいてその広義で用いられ、そして一種以上の元素
及び/又は化合物でよい酸化体に対する金属による電子
の損失又は電子の共有を意味する。したがって、酸素以
外の元素が酸化体としての役割を果たすことができる。
【0011】ある場合において、母材金属は、酸化反応
生成物の成長に好影響を及ぼすか、酸化反応生成物の成
長を容易にするために、一種以上のドーパントの存在が
必要のことがある。このようなドーパントは、酸化反応
生成物の成長中か成長前のある時点で母材金属と少なく
とも部分的に合金してもよい。例えば、母材金属がアル
ミニウムであり、そして空気が酸化体である場合には、
具体的にはマグネシウム及び珪素等のドーパントが挙げ
られるが、より広範囲のドーパント材料のうちの2つを
アルミニウムと合金し、そして生成した成長合金は母材
金属として利用される。このような成長合金の酸化反応
生成物は、アルミナ、典型的にはαアルミナを含んでい
る。
【0012】新規なセラミック複合構造体及びその製造
方法は、上記した本出願人によるセラミックマトリック
ス特許出願及び特許のあるものにも開示され、そして特
許請求の範囲に記載されている。これらの特許出願及び
特許では、酸化反応を利用して、多結晶セラミックマト
リックスが浸透した実質的に不活性なフィラー(場合に
よっては、反応性フィラー、例えば、進行している酸化
反応生成物及び/又は母材金属と少なくとも部分的に反
応するフィラーを用いることが望ましいことがある)か
らなるセラミック複合構造体を製造している。第一工程
として、自己支持形となるように造形及び/又は処理す
ることができる透過性フィラー(又はプレフォーム)素
材に隣接して母材金属を位置させる。次に、母材金属を
加熱して溶融母材金属体を形成し、それを上記したよう
に酸化体と反応させて、酸化反応生成物を形成する。上
記したように、酸化反応生成物が成長し、そして隣接す
るフィラー材料に浸透するにつれて、溶融母材金属が、
前に形成した酸化反応生成物を通って引き寄せられ、そ
して酸化体と反応して前に形成された酸化反応生成物の
表面にさらに新たな酸化反応生成物を形成する。得られ
る酸化反応生成物の成長物がフィラーに浸透するか、フ
ィラーを埋め込み、そしてフィラーを埋め込だ多結晶セ
ラミックマトリックスを含んだセラミック複合構造体が
形成される。また、上記でも説明したように、フィラー
(又はプレフォーム)にバリヤー手段を用いて、セラミ
ック複合構造体の境界又は表面を確立してもよい。
【0013】さらに、変性表面を有する新規なセラミッ
ク構造体及びセラミック複合構造体を形成する方法は、
他のいくつかの本出願人による特許出願及び特許に述べ
られている。米国特許出願第908,117号(現在1
989年6月6日発行の米国特許第4,837,232
号)の継続出願である1989年2月9日出願の米国特
許出願第308,889号〔両方の出願とも、発明者は
スタンレー・ラスツク等(Stanley Luszc
z et al.)であり、発明の名称は「高密度スキ
ンセラミック構造体及びその製造方法(Dense S
kin Ceramic Structure and
Method of Makingthe Sam
e)」である〕は、第一領域と末端領域を有し、特許請
求の範囲に記載の方法により末端領域が第一領域とは組
成と微細構造の少なくとも一つが異なる多結晶材料を含
んだ自己支持形セラミック構造体の製造方法を開示して
いる。特に、酸化反応生成物の第一領域を形成する方法
は、上記した本出願人による特許出願及び特許において
述べられているようにして行われる。酸化反応生成物の
末端領域は、形成物体からの溶融母材金属の輸送を減少
するか中断することにより形成され、そしてその後、連
続した溶融母材金属の少なくとも一部分を前記第一領域
から表面の方向に輸送するに十分な時間記載の温度範囲
内で反応を再開することにより、新たに形成した末端領
域として、第一領域の表面にさらに酸化反応生成物を形
成する。特許請求の範囲に記載されている発明の特定の
実施態様では、特許請求の範囲に記載の方法により形成
された自己支持形セラミック構造体又は自己支持形セラ
ミック複合構造体は、第一領域と、その第一領域と一体
となっている末端領域とを有する多結晶材料を含んでい
る。特許請求の範囲に記載の発明の別の態様では、末端
領域は外スキン層からなり、そして第一領域は上に末端
領域が位置している支持体からなっており、末端領域は
第一領域よりも微細な微細構造を有している。また、特
許請求の範囲に記載の発明の別の態様では、第一領域又
はその一部分は、その上に到達する第二段階を実施する
前に造形してもよく、そしてバリヤー手段を用いて第一
領域及び/又は末端領域が形成される程度を制限又は規
定してもよい。
【0014】さらに、高密度表面層を有する多孔性コア
からなるセラミック構造体又はセラミック複合構造体の
形成方法が、1986年9月16日出願の米国特許出願
第908,119号(現在では許可されている)の分割
出願である1989年9月28日出願の米国特許出願第
414,183号に開示されている。上記出願の両方と
も、発明者がラトネッシュ.ケー・ドウィベディ(Ra
tneshK.Dwivedi)であり、発明の名称は
「高密度表面を有する多孔性セラミック複合体(Por
ous Ceramic Composite Wit
h Dense Surface)である(対応ヨーロ
ッパ特許出願は、1988年3月23日にEPO公開第
0261050号として公開された)。特許請求の範囲
に記載の発明は、多孔性プレフォーム内に粒状母材金属
を取り込むことによる自己支持形セラミック複合品の形
成に関する。この場合の母材金属の体積%は、プレフォ
ーム内の総有効空間体積を超える体積の酸化反応生成物
を形成するに十分なものである。上記したように、粒状
母材金属を溶融し、そしてその後酸化体と反応させて酸
化反応生成物を形成する。酸化反応生成物は、プレフォ
ーム中及びプレフォームを介して成長することにより、
溶融母材金属を酸化体の方向にプレフォームの少なくと
も一方の表面まで輸送し、そこで前記少なくとも一方の
表面に酸化反応生成物の高密度表面層が形成される。母
材金属の酸化とそれに続く形成された酸化反応生成物内
への溶融母材金属の輸送のために、プレフォーム内が多
孔性となり、それにより、高密度スキン層により取り囲
まれた多孔性コアが生じる。
【0015】形成されたセラミック体及びセラミック複
合体を後処理して中に第二多結晶セラミック成分を取り
込んで含有又は有している自己支持形セラミック体を製
造する方法が、1986年9月17日出願の米国特許出
願第908,458号(現在では米国特許第4,80
6,508号として発行されている)の継続出願である
1988年11月16日出願の米国特許出願第272,
514号に開示されている。上記出願の両方とも、発明
者はラトネッシュ・ケー・ドウィベディ等であり、発明
の名称は「改質セラミック構造体及びその製造方法(M
odifiedCeramic Structures
and Methods of Making th
e Same)」である。具体的には、この発明の方法
により形成された第二セラミック成分は、最初に形成さ
れたセラミック体の特性を変更、改質又は提供するのに
十分である。この発明によれば、最初のセラミック体
は、上記した本出願人による特許出願及び特許に記載の
ようにして、酸化体による母材金属の酸化反応により成
長し、溶融金属は、前に形成した酸化反応生成物を通っ
て連続的に輸送される。セラミック体は、例えば、酸化
反応生成物の成長中に輸送された連続した金属の完全な
反応(即ち、枯渇)による連続した多孔を含んでいても
よい。もし酸化反応生成物の成長中に形成したこのよう
な連続した母材金属が、物体内に多孔を形成するほど十
分に酸化されないならば、このような母材金属を、酸抽
出等の後酸化処理により除去してもよい。さらに、形成
された物体中の多孔は、物体の少なくとも一方の外表面
から少なくとも部分的に開放されているか、接近できる
か、接近可能にできるようになっている。次に、第二セ
ラミック材料かその前駆体を、形成された物体における
連続した多孔の少なくとも一部分に浸透又は含浸するよ
うに、形成された物体の接近可能表面でセラミック体と
接触させる。
【0016】フィラー材料の透過性素材中への母材金属
の指向性酸化により形成した自己支持形セラミック複合
体を後成形加熱工程に附して、形成した複合体の残留非
酸化金属成分を除去又は酸化してもよい。具体的には、
1987年1月12日出願の米国特許出願第002,0
48号(現在では米国特許第4,874,569号とし
て発行されている)の分割出願である1989年9月2
8日出願の米国特許出願第414,198号〔両方の出
願とも、発明者はジャック・エー・クスツク等(Jac
k A.Kuszyk et al.)で、発明の名称
は「セラミック複合体とその製造方法(Ceramic
Composites and Methods o
f Making the Same)」である〕に
は、アルミニウム合金からなる溶融母材金属の酸化によ
り、少なくとも一種のフィラー材料を埋め込んだ少なく
とも一種の酸化体による母材金属の酸化反応生成物から
なる多結晶材料を製造することによりセラミック複合体
を形成することによって得られるセラミック体又はセラ
ミック複合体が開示されている。続く工程において、形
成された複合体を、酸素含有雰囲気、不活性雰囲気及び
真空からなる群から選ばれた少なくとも一種の環境にお
いて、酸化反応生成物が形成する温度よりは高いが、酸
化反応生成物の融点よりは低い第二温度に加熱して、規
定された表面境界を超えた酸化反応生成物の形成が実質
的になく母材金属の残留非酸化金属成分の少なくともか
なりの部分を除去するか酸化することにより、自己支持
形セラミック複合体を製造する。
【0017】本出願人による1988年2月18日出願
の米国特許出願第157,342号(現在では許可され
ている)の分割出願である1989年9月29日出願の
米国特許出願第415,090号〔両方の出願とも、発
明者はバージル・イリック・ジュニア等(Virgil
Irick,Jr.et al.)で、発明の名称は
「セラミック上に保護層を製造する方法及びセラミック
体を使用する方法(AMethod for Prod
ucing A Protective Layer
on a Ceramic Body and A M
ethodof Using A Ceramic B
ody)」である〕には、セラミック体又はセラミック
複合体上に保護層を製造する方法及び形成されたセラミ
ック又はセラミック複合体を、物体がガス種と反応して
保護層を形成する環境中で用いる方法が開示されてい
る。具体的には、すぐ上で説明した本出願人による特許
出願及び特許の方法により形成したセラミック体又はセ
ラミック複合体を、セラミック複合体の外表面の少なく
とも一部分に保護層が形成される環境に暴露する。好ま
しい実施態様では、母材金属を暴露する酸化体を変性す
ることにより、上記したセラミック複合体の成長を変化
させることができる。具体的には、固相酸化体か、液相
酸化体か、気相酸化体か、それらの組み合わせかとは無
関係に、酸化体を上記した保護層を生じるように変性す
ることができる。また、本発明の第二の実施態様におい
ては、上記したセラミック体又はセラミック複合体を完
全に形成し、そして続く工程で、異種の酸化体(例え
ば、セラミック体又はセラミック複合体を形成するのに
用いた酸化体とは異なるもの)に暴露することもでき
る。
【0018】このように、上記した本出願人によるセラ
ミックマトリックス特許及び特許出願は、容易に所望の
大きさ及び厚さに成長され、そして不可能ではないにし
ても従来のセラミック処理法では従来困難と思われてい
たセラミック体を製造するために改質することができる
る酸化反応生成物の製造について記載している。上記し
た本出願人によるセラミックマトリックス特許及び特許
出願全ての開示内容全体を、本発明に利用できる。
【0019】
【課題を解決するための手段、作用及び発明の効果】本
発明によれば、(i)母材金属の酸化により、必要に応
じてフィラー材料を埋め込んでいる多結晶材料を形成す
ることにより得られるセラミックマトリックスと、(i
i)セラミック構造体又はセラミック複合構造体の少な
くとも二成分の反応で形成し、そしてセラミック構造体
又はセラミック複合構造体の主要化学成分とは異なる主
要化学成分を有するセラミック構造体又はセラミック複
合構造体の少なくとも一部分に位置する保護表面層とを
含んでなる自己支持形セラミック構造体又はセラミック
複合構造体の製造方法が提供される。
【0020】一般的に、本発明は、上記した本出願人に
よるセラミックマトリックス特許及び特許出願に記載さ
れている金属(以下、「母材金属(Parentmet
al)」と称し、以下で定義する)の酸化から生じるセ
ラミック体又はセラミック複合体を、後成形工程におい
て改質して、セラミック体又はセラミック複合体の少な
くとも一部分に保護表面領域を形成することができるこ
との知見に基づいている。簡略化のために、本明細書で
は主にセラミック複合体について言及する。しかしなが
ら、セラミック体(即ち、フィラー材料を含まない物
体)についても、保護表面領域を上部に形成してもよい
ことを理解すべきである。
【0021】上記した本出願人によるセラミックマトリ
ックス特許及び特許出願に記載されているようにして形
成されたセラミック複合体の独特の構造(即ち、3次元
連続金属及びセラミック)により、形成された複合体の
少なくとも2成分の反応によりセラミックマトリックス
複合体上に表面層を形成できる。具体的には、セラミッ
ク支持体の少なくとも一成分の融点よりも高い温度で、
セラミック支持体の少なくとも2成分(例えば、異種の
金属成分、フィラー、セラミックマトリックス等)を、
複合支持体から(例えば、連続金属チャンネルを介し
て)引き出し、そして反応させて(例えば、互いに反
応、雰囲気の少なくとも一成分と反応、系に提供される
追加成分と反応及び/又はこれらの成分のいずれかの組
み合わせと反応)、外部雰囲気から複合体の内部構造を
分離する表面層を形成する。形成される表面層は、母材
セラミック複合支持体と適合(例えば、化学的及び/又
は物理的に)することが好ましい。
【0022】本発明によれば、セラミック複合体は、フ
ィラー材料を埋め込んだ酸化体による溶融母材金属(例
えば、アルミニウム)の酸化反応生成物の形成により製
造される。この際、フィラー材料は、未結合素材かプレ
フォームの形態に形成されている。次に、セラミック複
合体を、セラミック支持体の少なくとも一成分の融点よ
りも高い温度に加熱する。この高温で、セラミック複合
体の少なくとも2成分が反応して、セラミック複合体の
表面の少なくとも一部分に少なくとも一つの保護表面領
域を形成する。セラミック支持体の主要化学成分とは異
なる主要化学成分を有する保護表面領域は、形成された
セラミック複合支持体の酸化成分を含んでいる。具体的
には、形成されたセラミック複合体を、セラミック複合
体の未酸化成分(例えば、金属、フィラー等)が少なく
とも一種の酸化体と反応して、セラミック複合体の表面
の少なくとも一部分に少なくとも一つの保護領域を形成
できるに十分な温度に加熱する。
【0023】好ましい実施態様では、形成されたセラミ
ック複合体を、セラミック支持体の少なくとも一成分の
融点よりも高い温度に加熱する。この高温で、セラミッ
ク複合体の少なくとも2成分(例えば、未酸化金属、フ
ィラー材料等)が、例えば、互いに反応、雰囲気の少な
くとも一成分と反応、系に提供されるある種の外部材料
と反応及び/又はそれらの組み合わせと反応して、セラ
ミック複合体の表面の少なくとも一部分に少なくとも一
つの保護領域を形成することができる。
【0024】別の実施態様では、セラミック複合支持体
を保護層を形成するよりも高い温度に加熱する前に、セ
ラミック複合支持体を処理(例えば、熱エッチング又は
化学エッチング)に附して、支持体の表面でセラミック
複合支持体の金属成分の少なくとも一部分を除去するこ
とができる。続いて、セラミック複合支持体を高温で加
熱して、セラミック複合支持体の表面上及び/又は表面
内の深さまで保護表面領域を形成させる。セラミック複
合支持体内の保護表面領域の形成の深さは、例えば、複
合支持体の表面から除去される金属成分の程度、時間、
温度等を変化させることにより制御できる。
【0025】形成物体の保護表面領域は、セラミック支
持体に有害であるか損傷を与える環境に形成物体を暴露
するときに下に位置するセラミック支持体を保護する役
割を果たすことができる。例えば、保護表面領域を有し
ないセラミック複合体を、セラミック複合体の少なくと
も一種の金属成分が溶融する高温に暴露すると、セラミ
ック複合体内の溶融金属成分がブリードして、セラミッ
ク複合体の構造が弱まることがある。さらに、第1a図
及び第1b図に示すように、セラミック複合体の溶融金
属成分を酸化環境に暴露すると、金属成分が酸化してセ
ラミック複合体の表面上に溶融金属成分の酸化反応生成
物を形成して、セラミック複合体の構造を弱めるだけで
なく、セラミック複合体の寸法保全性に悪影響を及ぼす
ことがある。セラミック複合支持体上に保護表面領域を
形成して、保護表面領域によりセラミック複合支持体内
に溶融金属成分が保持されることにより溶融金属のブリ
ードの問題を軽減させるだけでなく、酸化環境からセラ
ミック複合支持体の溶融金属成分を分離して、セラミッ
ク複合体の表面を超えて酸化反応生成物が形成するのを
防止させることができる。
【0026】さらに、耐蝕性に関して、セラミック複合
支持体の少なくとも一部分に保護表面領域を形成するこ
とにより、セラミック複合支持体の金属成分に腐食作用
を及ぼす環境にセラミック複合体を暴露すると、保護表
面領域がセラミック複合体の金属成分を腐食環境から分
離して、セラミック複合支持体の腐食を抑制することが
できる。
【0027】定義 本明細書及び特許請求の範囲に使用されている用語の定
義は以下の通りである。本明細書で使用される用語「合
金側(Alloy side)」とは、溶融金属の酸化
反応生成物と酸化体がフィラー材料のプレフォーム又は
フィラー材料の素材に浸透する前に溶融金属に最初に接
触したセラミックマトリックス複合体の側を意味する。
【0028】本明細書で使用される用語「アルミニウム
(Aluminum)」等とは、実質的に純粋な金属
(例えば、比較的純粋で市販されている未合金アルミニ
ウム)又は鉄、珪素、銅、マグネシウム、マンガン、ク
ロム、亜鉛等の不純物及び/又は合金成分を有する市販
金属等の他のグレードの金属及び金属合金を意味し、そ
してそれらを含む。
【0029】本明細書で使用される用語「バリヤー(B
arrier)」又は「バリヤー手段(Barrier
means)」とは、プロセス条件下で、ある程度の
一体性を維持し、実質的に揮発せず(即ち、バリヤー材
はバリヤーとして機能しないほどには揮発しない)、そ
して好ましくは気相酸化体(もし利用するならば)透過
性があるとともに、酸化反応生成物の連続成長を局部的
に妨げ、有害作用を及ぼし、停止し、妨害し、防止等を
できる材料、化合物、要素、組成物等でよい。
【0030】本明細書で使用される用語「カーカス(C
arcass)」又は「母材金属カーカス(Paren
t Metal Carcass)」とは、セラミック
複合体の形成中に消費されずに残存し、そして典型的に
は形成物体と少なくとも部分的に接触して残存する最初
の母材金属体を意味する。また、カーカスは、典型的に
母材金属かマトリックス金属の酸化成分の一部及び/又
は第二金属若しくは外来金属を含んでいてもよいことは
理解されるべきである。
【0031】本明細書で使用される用語「セラミック
(Ceramic)」とは、古典的な意味、即ち、非金
属材料と無機材料からのみなるセラミック体には過度に
限定されず、組成か主要な特性の点で主にセラミックで
ある物体を意味する。但し、この場合の物体は、母材金
属に由来するか、酸化体かドーパントから還元される少
量又は相当量の一種以上の金属成分(物体を形成するた
めに使用されるプロセス条件に応じて分離及び/又は連
続している)を含有していてもよい。含有量は、典型的
には約1〜40体積%であるが、それ以上の金属を含ん
でいてもよい。
【0032】本明細書で使用される用語「セラミック複
合体(Ceramic Composite Bod
y)」又は「セラミックマトリックス複合体(Cera
micMatrix Composite)」とは、フ
ィラー材料を埋め込んでいるセラミックマトリックスを
意味する。
【0033】複合体の主要化学成分とは「異なる(Di
fferent)」化学成分とは、主要成分が複合体の
主要化学成分とは同じ主要化学成分からなっていない
か、同じ主要化学成分を含有しない化学成分を意味する
(例えば、複合体の主要化学成分がアルミナであるなら
ば、「異なる」化学成分は、例えば、シリカでよい)。
【0034】本明細書で使用される用語「ドーパント
(Dopant)」とは、母材金属と組み合わせて使用
したときに、酸化反応プロセスに好影響を及ぼすかその
プロセスを促進すること並びに/又は成長プロセスを変
更して生成物の微細構造及び/若しくは生成物の特性を
変える材料(合金成分か、フィラーと結合及び/又はフ
ィラーに含有及び/又はフィラー中若しくはフィラー上
に存在する成分)を意味する。ドーパントの作用につい
てはいずれの特定の理論や説明には縛られないが、ドー
パントのあるものは、母材金属とその酸化反応生成物と
の間に酸化反応生成物の形成を促進するような適当な表
面エネルギー関係が本質的に存在しない場合には、酸化
反応生成物の形成を促進するのに有効であると思われ
る。ドーパントは、(1)溶融母材金属による酸化反応
生成物の湿潤を増強するか誘発する好ましい表面エネル
ギー関係を生み出すこと、(2)合金、酸化体及び/又
はフィラーとの反応により成長表面に、(a)少なくと
も一層の保護・凝集酸化反応生成物層の形成を最小限に
抑えること、(b)溶融金属への酸化体の溶解度(した
がって、透過性)を増進できること及び/又は(c)酸
化性雰囲気から前駆体酸化物層を介して酸化体を輸送し
続いて溶融金属と結合して別の酸化反応生成物を形成す
る「前駆体層(precursorlayer)を形成
すること、(3)酸化反応生成物を形成したままか、そ
れ以後に微細構造を変性して酸化反応生成物の金属成分
組成及び特性を変えること、及び/又は(4)酸化反応
生成物の成長核形成及び成長の均一性を増進できる。
【0035】本明細書で使用される用語「フィラー(F
iller)とは、金属(例えば、母材金属)及び/又
は酸化反応生成物と実質的に反応せず及び/又はそれら
への溶解度が限られており、そして単相でも多相でもよ
い単一成分か成分の混合物を含むことを意図している。
フィラーは、粉末、フレーク、小板状物、微小球、ウイ
スカー、バブル等の多種多様の形態でよく、そして高密
度でも多孔性でもよい。また、「フィラー」は、繊維、
チョップトファイバー、粒状、ウイスカー、バブル、球
体、ファイバーマット等の形状のアルミナや炭化珪素等
のセラミックフィラーでもよく、そしてカーボンを、例
えば、溶融アルミニウム母材金属による攻撃から保護す
るためにアルミナか炭化珪素を塗布した炭素繊維等のセ
ラミック塗工フィラーでもよい。また、フィラーは金属
でもよい。
【0036】本明細書で使用される用語「成長合金(G
rowth Alloy)」とは、酸化反応生成物の成
長を生じるに十分な量の必要成分を(1)最初から含有
しているか、(2)プロセス中のある時点で得る合金を
意味する。
【0037】本明細書で使用される用語「液相酸化体
(Liquid−Phase Oxidant)又は
「液状酸化体(Liquid Oxidant)」と
は、上記液体がプロセス条件下で母材金属又は前駆体金
属の唯一か、主要か、少なくとも重要な酸化剤である酸
化体を意味する。
【0038】液状酸化体とは、酸化反応条件下で液体で
あるものを意味する。したがって、液状酸化体は、酸化
反応条件で溶融する塩等の固形前駆体を有していてもよ
い。また、液状酸化体は、フィラーの一部分か全体に含
浸し、そして酸化反応条件で溶融するか分解して適当な
酸化体成分を生成する液状前駆体(例えば、材料溶液)
を有していてもよい。本明細書で定義されている液状酸
化体としては、例えば、低融点ガラスが挙げられる。
【0039】もし液状酸化体を母材金属及びフィラーと
ともに使用する場合には、典型的には、フィラー層全体
か、所望のセラミック体を含んでいる部分に酸化体が含
浸する(例えば、酸化体を塗布するか酸化体に浸漬する
ことにより)。
【0040】本明細書で使用される用語「窒素含有ガス
酸化体(Nitrogen−Containing G
as Oxidant)」とは、利用する酸化性環境に
存在する条件下で窒素が母材金属又は前駆体金属の唯一
か、主要か、少なくとも重要な酸化剤である特定のガス
か蒸気を意味する。
【0041】本明細書において用いられる用語「酸化体
(Oxidant)」とは、一種以上の適当な電子受容
体か電子対を意味し、そして酸化反応条件で固体、液
体、ガス又はそれらの組み合わせ(例えば、固体とガ
ス)のものでよい。典型的な酸化体としては、酸素、窒
素、ハロゲン、イオウ、リン、砒素、炭素、硼素、セレ
ン、テルル及び/又はそれらの化合物及びそれらの組み
合わせ、例えば、シリカ又はシリケート(酸素源とし
て)、メタン、エタン、プロパン、アセチレン、エチレ
ン、プロピレン(炭素源としての炭化水素)、そして空
気、H/HO及びCO/CO(酸素源)等の混合
物が挙げられるが、これらには限定されない。後者の2
種(即ち、H/HO及びCO/CO)は、環境の
酸素活性を減少させるのに有効である。
【0042】本明細書で使用される用語「酸化反応生成
物(OxidationReaction Produ
ct)」とは、金属が、別の元素、化合物又はそれらの
組み合わせに電子を引き渡したか、別の元素、化合物又
はそれらの組み合わせとの共有電子を有する酸化状態に
ある一種以上の金属を意味する。したがって、この定義
における「酸化反応生成物」には、一種以上の金属と一
種以上の酸化体との反応の生成物が含まれる。
【0043】本明細書で使用される用語「酸素含有ガス
酸化体(Oxygen−Containing Gas
Oxidant)」とは、利用する酸化性環境におい
て存在する条件下で母材金属又は前駆体金属の唯一か、
主要か、少なくとも重要な酸化剤である特定のガスか蒸
気を意味する。
【0044】本明細書で使用される用語「母材金属(P
arent Metal)」とは、多結晶酸化反応生成
物の前駆体である金属(例えば、アルミニウム、珪素、
チタン、錫及び/又はジルコニウム)を意味し、そして
実質的に純粋な金属か、不純物及び/又は合金成分を有
する市販の金属か、金属前駆体が主要成分である合金の
形態である金属を含む。母材金属又は前駆体金属として
具体的な金属を取り上げるときに(例えば、アルミニウ
ム等)、特記のない限りは、上記の定義を心に留めてお
くべきである。
【0045】母材金属と「異なる(Differen
t)」金属とは、主要成分として母材金属とは同じ金属
を含有していない金属を意味する(例えば、もし母材金
属の主要成分がアルミニウムならば、「異なる」金属
は、例えば、ニッケルを主要成分とするものでよい)。
【0046】本明細書で使用される用語「プレフォーム
(Preform)」又は「透過性プレフォーム(Pe
rmeable Preform)」とは、成長する酸
化反応生成物の境界を実質的に形成する少なくとも一つ
の表面境界を用いて製造されるフィラー又はフィラー材
料の多孔性素材を意味する。このような素材は、成長す
るセラミックマトリックスが浸透する前に、寸法忠実性
を提供するに十分な形状保持性及び生強度を維持する。
この素材は、(1)気相酸化体(もし気相酸化体が使用
される場合)がプレフォームに透過して母材金属と接触
することができるにほどに十分に多孔性であり、そして
(2)酸化反応生成物の発達又は成長を受け入れるに十
分な程度に透過性である。プレフォームは、典型的に
は、均一若しくは不均一の状態で結着して充填又はは配
置されてなり、適当な材料(例えば、セラミック及び/
又は金属の粒子、粉末、繊維、ウイスカー透過性及びそ
れらの組み合わせ)からなっていてもよい。プレフォー
ムは、単独でも集成体で存在してもよい。
【0047】「反応性フィラー(Reactive F
iller)」とは、フィラーが溶融母材金属と相互作
用する(例えば、母材金属及び/又は酸化反応生成物に
より還元され、それにより、母材金属の組成を変え及び
/又は酸化反応生成物形成用酸化体を提供する)ことを
意味する。
【0048】本明細書で使用される用語「溜(Reve
rvoir)」とは、金属を溶融したときに流動して、
フィラー又はプレフォームと接触し、そして浸透するか
反応して酸化反応生成物を形成する母材金属の部分か、
セグメントか、源に母材金属を補充するか、ある場合に
は、最初に母材金属を提供し、続いて補充するフィラー
素材又はプレフォームと関連して位置させた別個の母材
金属体を意味する。
【0049】「第二金属(Second Meta
l)」又は「外来金属(ForeignMetal)」
とは、母材金属の未酸化成分の代わりか、それに加えて
か、それと組み合わせて形成セラミック体の金属成分に
含有せしめるか、含有せしめることが望ましい適当な金
属か、金属の組み合わせか、合金か、金属間化合物か、
それらの源を意味する。
【0050】本明細書で使用される用語「固相酸化体
(Solid−PhaseOxidant)」又は「固
体酸化体(Solid Oxidant)とは、プロセ
ス条件下で母材金属又は前駆体金属の唯一か、主要か、
少なくとも重要な酸化剤である酸化体を意味する。
【0051】固体酸化体を母材金属及びフィラーととも
に用いるときには、通常フィラー床全体か、酸化反応生
成物が成長する床の部分に分散する。この固体酸化体
は、例えば、フィラーと混合した粒状物か、フィラー粒
子状に塗膜の形態でよい。したがって、硼素又は炭素等
の元素か、二酸化珪素又は母材金属の硼化物反応生成物
よりも熱力学的安定性が低いある種の硼化物等の還元性
化合物をはじめとする適当な固体酸化体を用いることが
できる。例えば、硼素又は還元性硼化物をアルミニウム
母材金属用固体酸化体として使用するとき、得られる酸
化反応生成物は硼化アルミニウムを含有している。
【0052】ある場合には、母材金属の酸化反応は、固
体酸化体により非常に早く進行して、酸化反応生成物が
プロセスの発熱性のために融着する傾向がある。これが
起こると、セラミック体の微細構造の均一性が減少す
る。この急速な発熱反応は、過剰の熱を吸収する比較的
不活性なフィラーを組成物に混合することにより改善す
ることができる。このような適当な不活性フィラーとし
ては、例えば、意図する酸化反応生成物と同一又は実質
的に同一のものが挙げられる。
【0053】本明細書で使用される用語「気相酸化体
(Vapor−PhaseOxidant)」とは、酸
化体が特定のガス又は蒸気を含有するか、特定のガス又
は蒸気からなることを意味し、そしてさらに、そのガス
又は蒸気が、利用される酸化性環境において得られる条
件下において母材金属又は前駆体金属の唯一か、主要
か、少なくとも重要な酸化剤である酸化体を意味する。
例えば、空気の主要成分が窒素であるけれども、酸素が
窒素よりもかなり強い酸化体であるので、空気の酸素分
が母材金属の唯一の酸化剤である。したがって、空気
は、「酸素含有ガス酸化体」の範囲内ではあるが、「窒
素含有ガス酸化体」(窒素含有ガス酸化体の一例は、典
型的に窒素約96体積%と水素約4体積%を含有してい
る生成ガス(forming gas)である)の定義
の範囲には入らない。
【0054】本発明は、セラミック複合体の表面の少な
くとも一部分にセラミック複合体の主要化学成分とは異
なる化学成分を有する保護表面領域を上部に有するセラ
ミック複合体に関する。本発明のセラミック複合体は、
溶融母材金属体を酸化体と反応させて、少なくとも一種
のフィラー材料を少なくとも部分的を埋め込んでいる
(即ち、少なくとも一種のフィラー材料中に成長してい
る)酸化反応生成物を形成することにより製造される。
続く熱処理工程では、形成物体の成分の少なくとも一つ
の酸化によりセラミック複合体上に保護表面領域を形成
する。
【0055】本発明によれば、フィラー材料を埋め込ん
でいる酸化体による溶融母材金属(例えば、アルミニウ
ム)の酸化反応生成物の形成により、セラミック複合体
が製造される。この場合のフィラー材料は、未結合素材
かプレフォームの形態に形成されている。次に、そのま
まか、後処理工程において、セラミック複合体を、酸化
反応生成物の処理温度よりも高い温度に加熱する。この
温度で、セラミック複合体の少なくとも2成分が反応し
て、セラミック複合体の表面の少なくとも一部分に少な
くとも一つの保護表面領域を形成する。セラミック支持
体の主要化学成分とは異なる主要化学成分を有する保護
表面領域は、形成されたセラミック複合支持体の酸化成
分又は反応成分を含んでいる。具体的には、形成された
セラミック複合体を、セラミック複合体の未酸化成分又
は未反応成分(例えば、金属、フィラー等)が少なくと
も一種の材料(例えば、酸化体)と反応して、セラミッ
ク複合体の表面の少なくとも一部分に少なくとも一つの
保護領域を形成できるに十分な温度に加熱する。
【0056】好ましい実施態様では、形成されたセラミ
ック複合体を、その少なくとも一成分の融点よりも高い
温度に加熱する。この高温で、セラミック複合体の少な
くとも2成分(例えば、未酸化又は未反応金属、フィラ
ー材料等)が、例えば、互いに反応、雰囲気の少なくと
も一成分と反応、系に提供されるある種の外部材料と反
応及び/又はそれらの組み合わせと反応して、セラミッ
ク複合体の表面の少なくとも一部分に少なくとも一つの
保護領域を形成することができる。例えば、炭化珪素フ
ィラーを埋め込んでいる溶融アルミニウム合金の指向酸
化により形成した炭化珪素強化アルミナを含有するセラ
ミック複合体を、形成複合体の少なくとも一成分の融点
よりも高い温度に加熱することできる。この高温で、複
合体の連続した金属チャンネルに存在することのある、
例えば、アルミニウム合金の少なくとも2成分(例え
ば、アルミニウム、珪素等)が複合体支持体から引き出
されて、例えば、雰囲気中の空気と反応して、プロセス
条件、熱力学等に応じて、アルミナ、シリカ、コンプレ
ックスアルミノシリケート等を形成する。得られる空気
による珪素とアルミナの酸化反応生成物が、複合体支持
体の表面の少なくとも一部分に少なくとも一つの保護層
を形成できる。また、炭化珪素の少なくとも一部分が雰
囲気、金属相の成分、マトリックス等のうちの少なくと
も一つと反応して、少なくとも一種の反応生成物(例え
ば、シリカ、コンプレックスアルミノシリケート等)を
形成し、複合体支持体の少なくとも一部分に保護表面領
域を形成する。
【0057】別の実施態様では、セラミック複合支持体
を酸化反応生成物の処理温度よりも高い温度に加熱して
保護層形成する前に、セラミック複合支持体を処理(例
えば、熱エッチング又は化学エッチング)に附して、セ
ラミック複合支持体の表面に支持体の金属成分の少なく
とも一部分を除去することができる。続いて、セラミッ
ク複合支持体を、上記高温に加熱して、セラミック複合
支持体の表面上及び/又は表面内の深さまで保護表面領
域を形成させる。セラミック複合支持体内の保護表面領
域の形成の深さは、例えば、複合支持体の表面から除去
される金属成分の程度、時間、温度等を変化させること
により制御できる。形成した複合体から金属成分の少な
くとも一部分を除去するためには、種々の方法を用いる
ことができる。
【0058】連続した金属を除去する最初の方法は、ル
ツボや他の耐火容器内に入れた不活性床に第一セラミッ
ク体を配置することである。次に、この容器と内容物を
不活性雰囲気(例えば、アルゴン又は他のいずれかの非
反応ガス)を有する炉内に配置し、そして金属成分が高
い蒸気圧を有する温度に加熱する。この温度又は好まし
い温度範囲は、第一母材金属、加熱時間及び第一セラミ
ック体中の金属成分の最終組成等の因子により異なる。
適当な温度で、連続した金属がセラミック体から蒸発す
るが、不活性雰囲気なので追加の酸化反応生成物が形成
しない。これらの温度を維持することにより、連続した
金属が蒸発し続け、炉内の適当な通気手段により炉から
運び去られる。
【0059】連続した金属を除去する第二の方法又は手
段は、第一セラミック体を適当な浸出剤に浸漬して、連
続した金属を溶解するか、分散することである。浸出剤
は、金属組成、浸漬時間等の因子に応じて酸性液体若し
くはガス又はアルカリ性液体若しくはガスでよい。第一
母材金属としてアルミニウムを使用する場合、したがっ
て、連続金属にアルミニウムを有する場合には、HCl
は、適当な酸性媒体であることが判明した。もしセラミ
ック体が珪素を含有している場合には、NaOH及び/
又はKOH溶液をアルカリ媒体として用いることができ
る。浸出剤へのセラミックの浸漬時間は、金属成分の量
と種類、そして連続した金属が表面に位置しているかど
うかにより異なる。連続した金属が第一セラミック体に
深く入っているほど、そのような金属が浸出するか、エ
ッチングされるのに長い時間がかかり、そしてセラミッ
ク体に浸漬したままにしておくのに必要な時間が長くな
る。この抽出工程は、浸出剤を加熱するか、浸出剤浴を
撹拌することにより容易にすることができる。第一セラ
ミック体を浸出剤から除去した後、水で洗浄して残留浸
出剤を除去する。
【0060】保護表面層を形成する前に形成複合体から
金属成分の少なくとも一部分を除去することにより、保
護表面層を上に有するセラミック複合体の特性を増強で
きる。例えば、保護層を形成する前に形成複合体の金属
成分の少なくとも一部分を除去することにより、複合支
持体と表面層との間の結合(例えば、化学的、物理的、
機械的等)をより強くすることができる。金属成分を除
去すると、複合支持体中のセラミック層のより大きな表
面積が雰囲気に暴露し、したがって、保護層が化学的に
セラミック支持体に結合する表面積がより大きくなる。
さらに、複合支持体から金属成分の一部分を除去するこ
とにより、複合体内に保護表面層を形成することのでき
る複合体の表面内の有効体積が大きくなる。さらに、金
属成分が複合体表面から除去される深さに応じて、セラ
ミック支持体上にセラミック支持体のセラミック相によ
りある程度強化されている保護層を形成して、例えば、
保護層の耐摩耗性を増進させることができる。さらに、
形成した複合体の金属成分の少なくとも一部分をエッチ
ングすることにより、複合体の寸法表面保持性が維持さ
れる。具体的には、複合支持体の少なくとも2成分を反
応させて保護表面層を形成すると、保護層は、形成複合
体の表面内、そしてエッチングなしよりもより小さい程
度に形成複合体の表面を超えて形成し、形成複合体の寸
法保持性が維持される傾向がある。
【0061】特に好ましい実施態様においては、炭化珪
素強化アルミナを含有する形成セラミック複合体を、例
えば、フッ化水素酸約20体積%と硝酸約20体積%を
含有する水溶液にエッチングして、複合体の表面から大
部分の金属成分を所望の程度まで除去する。続いて、エ
ッチングした支持体を複合支持体の形成温度よりも高い
温度に加熱して、複合支持体の表面の少なくとも一部分
に保護表面領域を形成させることができる。
【0062】形成物体上の保護表面領域は、セラミック
支持体に有害であるか損傷を与える環境(例えば、腐食
性、高温等)に形成物体を暴露するときに下に位置する
セラミック支持体を保護する役割を果たすことができ
る。例えば、保護表面領域を有しないセラミック複合体
を、セラミック複合体の少なくとも一種の金属成分が溶
融する高温に暴露すると、セラミック複合体内の溶融金
属成分がブリードして、セラミック複合体の構造が弱ま
ることがある。さらに、セラミック複合体の溶融金属成
分を酸化性環境に暴露すると、金属成分が酸化してセラ
ミック複合体の表面上に溶融金属成分の酸化反応生成物
を形成して、セラミック複合体の構造を弱めるだけでな
く、セラミック複合体の寸法保全性に悪影響を及ぼすこ
とがある。セラミック複合支持体上に保護表面領域を設
けることにより、保護表面領域によりセラミック複合支
持体内に溶融金属成分が保持されることにより溶融金属
のブリードの問題が軽減するだけでなく、酸化環境から
セラミック複合支持体の溶融金属成分が分離して、セラ
ミック複合体の表面を超えて酸化反応生成物が形成する
のを防止させることができる。
【0063】さらに、耐蝕性に関して、セラミック複合
支持体の少なくとも一部分に保護表面領域を形成するこ
とにより、セラミック複合支持体の金属成分に腐食作用
を及ぼす環境にセラミック複合体を暴露すると、保護表
面領域がセラミック複合体の金属成分を腐食環境から分
離して、セラミック複合支持体の腐食を抑制することが
できる。
【0064】セラミック複合体を形成するための典型的
な製造又は実験セットアップを第1図に示す。母材金属
10(下記でより詳細に説明するようにドープすること
ができる)を、フィラー材料14の透過性未結合素材又
はプレフォームに隣接して位置させる。この場合、母材
金属インゴットとプレフォームとの間にはドーパント材
料12の層がサンドイッチされている。プレフォーム−
金属インゴットアセンブリーは、酸化反応生成物の成長
のバリヤーとして作用する耐火ボート18に入れた実質
的に非反応性の支持体材料16の床により取り囲まれて
いる。この系を、酸化体(例えば、気相酸化体)の存在
下で、透過性フィラー材料を埋め込む酸化反応生成物を
形成するのに十分な温度又は温度範囲に維持する。固体
酸化体か、液体酸化体か、気相酸化体か、これらの酸化
体の組み合わせを用いることもできる。例えば、典型的
な酸化体としては、酸素、窒素、ハロゲン、イオウ、リ
ン、砒素、炭素、硼素、セレン、テルル及び/又はそれ
らの化合物及びそれらの組み合わせ、例えば、シリカ
(酸素源として)、メタン、エタン、プロパン、アセチ
レン、エチレン、プロピレン(炭素源として)、そして
空気、H/HO及びCO/CO等の混合物が挙げ
られるが、これらには限定されない。後者の2種(即
ち、H/HO及びCO/CO)は、環境の酸素活
性を減少させるのに有効である。したがって、本発明の
セラミック構造体は、酸化物、窒化物、炭化物、硼化物
及びオキシニトリドの一種以上を含有する酸化反応生成
物を含むことができる。より具体的には、酸化反応生成
物は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、
炭化珪素、硼化珪素、硼化アルミニウム、窒化チタン、
窒化ジルコニウム、硼化チタン、硼化ジルコニウム、炭
化チタン、炭化ジルコニウム、窒化珪素、硼化ハフニウ
ム及び酸化錫の一種以上でよい。酸化反応には、通常、
気相酸化体を単独か、プロセス条件下で固体か液体であ
る酸化体とともに用いるものとして記載されているが、
セラミックマトリックス複合体を製造するには気相酸化
体の利用は必要ないことを理解すべきである。気相酸化
体を用いず、そしてプロセス条件下で固体か液体である
酸化体を用いるときには、プレフォームは周囲雰囲気透
過性である必要はない。しかしながら、プレフォーム
は、その構成や形状寸法を妨害するか、狂わすか、変化
させることなく、マトリックスとして酸化体が発達する
か成長するのを受け入れるのに十分な程度には透過性で
なければならない。
【0065】固体酸化体又は液体酸化体を使用すると、
プレフォームの外の環境よりも母材金属の酸化速度にと
って好ましいプレフォーム内の環境を作り出すことがで
きる。この増進環境は、プレフォーム内のマトリックス
の発達を境界まで促進させ、そして過成長を最小限に抑
制する利点がある。固体酸化体を用いるときには、プレ
フォーム全体に分散するか、粒状等の母材金属に隣接す
るプレフォームの一部分に分散し、そしてプレフォーム
と混合してもよいし、プレフォームを含む粒子上に塗膜
として利用してもよい。適当な固体酸化体としては、硼
素又は炭素等の適当な要素、二酸化珪素(酸素源とし
て)等の適当な還元性化合物又は母材金属の硼化物反応
生成物よりも熱力学的安定性が低いある種の硼化物が挙
げられる。
【0066】もし液体酸化体を用いるならば、液体酸化
体は、プレフォーム全体に分散するか、溶融母材金属に
隣接するその一部分に分散する。液体酸化体とは、酸化
反応条件下で液体であるものを意味し、したがって、液
体酸化体は、酸化反応条件で溶融するか液体である塩等
の固体前駆体を有することができる。また、液体酸化体
は、液体前駆体、例えば、プレフォームの多孔性表面の
一部分又は全体を被覆するのに使用し、そしてプロセス
条件で溶融するか分解して適当な酸化体成分を形成する
材料の溶液でよい。本明細書で定義されている液体酸化
体としては、例えば、低融点ガラスが挙げられる。
【0067】本出願人による特許出願及び特許に説明し
てあるように、例えば、アルミニウム母材金属とともに
ドーパント材料を添加することにより、酸化反応プロセ
スに好影響を及ぼすことができる。ドーパント材料の作
用は、ドーパント材料自体よりも多数の因子に依存して
いる。これらの因子としては、例えば、所望の最終生成
物、2種以上のドーパントを使用するときにはドーパン
トの特定の組み合わせ、合金化ドーパントと組み合わせ
て外部から適用するドーパントの使用、ドーパントの濃
度、酸化性環境及びプロセス条件が挙げられる。
【0068】母材金属とともに用いられる一種以上のド
ーパントは、(1)母材金属の合金成分として用いても
よく、(2)母材金属の表面の少なくとも一部分に適用
してもよく、(3)フィラー材料に添加してもよい。ま
た、方法(1)、(2)及び(3)を組み合わせて用い
てもよい。例えば、合金ドーパントは、外部から適用し
たドーパントと組み合わせて使用してもよい。ドーパン
ト源は、ドーパント粉末かドーパントの剛体を母材金属
表面の少なくとも一部分と接触させて配置することによ
り提供できる。例えば、珪素含有ガラスの薄シートをア
ルミニウム母材金属の表面に配置できる。珪素含有材料
を上に設けたアルミニウム母材金属(Mgで内部ドープ
してもよい)を酸化性環境中で加熱(例えば、アルミニ
ウムの場合には空気中で約850〜役1450℃、好ま
しくは約900〜約1350℃)するとき、多結晶セラ
ミック材料の成長が生じる。ドーパントをアルミニウム
母材金属の表面の一部分に外部から適用するとき、多結
晶酸化アルミニウム構造が一般的にドーパント層をかな
り超えて(即ち、適用したドーパント層の深さを超え
て)成長する。いずれにしても、一種以上のドーパント
を母材金属表面に外部から適用できる。さらに、母材金
属内で合金したドーパントの濃度欠陥は、母材金属に外
部から適用するそれぞれのドーパントの濃度を追加する
ことにより増加することができる。
【0069】アルミニウム母材金属に有用なドーパント
としては、特に酸化体が空気の場合には、例えば、マグ
ネシウム、亜鉛及び珪素を互いに組み合わせるか、以下
に述べる他のドーパントと組み合わせたものが挙げられ
る。これらの金属又は適当な金属源を、アルミニウム系
母材金属に得られるドープした金属の総重量に対して各
々約0.1〜10重量%の濃度で合金できる。この範囲
内の濃度では、セラミックの成長が開始し、金属輸送が
増進され、そして得られる酸化反応生成物の成長モルホ
ロジーに好影響を及ぼすと思われる。いずれのドーパン
トの濃度範囲も、ドーパントとプロセス温度との組み合
わせ等の因子により決まる。アルミニウム母材金属系か
らアルミナ多結晶酸化反応生成物を成長させるのを促進
するのに有効である他のドーパントとしては、例えば、
とりわけマグネシウムと組み合わせて使用するときに
は、ゲルマニウム、錫及び鉛が挙げられる。一種以上の
これらのドーパントか、これらのドーパントの適当な源
を、アルミニウム母材金属系に各々総合金の約0.5〜
約15重量%の濃度で合金する。しかしながら、総母材
金属合金の約1〜10重量%の範囲のドーパント濃度の
場合、より望ましい成長速度と成長モルホロジーが得ら
れる。ドーパントとして鉛を用いるときには、一般的に
アルミニウム系母材金属に、アルミニウムへの溶解度が
低いことを考慮して少なくとも1000℃の温度で合金
する。しかしながら、錫等の合金成分を添加すると、一
般的に、鉛の溶解度が増加し、したがって、合金材料を
低温度で添加できる。
【0070】母材金属がアルミニウムで、酸化体が空気
の場合、特に有用なドーパントの組み合わせとしては、
(a)マグネシウムと珪素の組み合わせか、(b)マグ
ネシウムと、亜鉛と、珪素との組み合わせが挙げられ
る。このような例において、好ましいマグネシウム濃度
は約0.1〜約3重量%、亜鉛については約1〜6重量
%、そして珪素については約1〜約20重量%である。
【0071】母材金属がアルミニウムの場合に有用なド
ーパントのさらなる例としては、ナトリウムとリチウム
が挙げられる。これらは、プロセス条件に応じて、単独
で用いてもよいし、一種以上の他のドーパントと組み合
わせて用いてもよい。ナトリウムとリチウムは、極微量
(ppmの範囲、典型的には約100〜200ppm)
で用いることができる。これらは、単独で用いても、一
緒に用いても、他のドーパントと組み合わせで用いても
よい。カルシウム、硼素、リン、イットリウム、そして
セリウム、ランタン、プロセオジウム、ネオジウム及び
サマリウム等の希土類元素も有用なドーパントであり、
そしてこの場合も他のドーパントと組み合わせて使用す
るととりわけ有用である。
【0072】ドーパント材料を外部で使用するときに
は、通常、母材金属の表面の一部分に均一な塗膜として
適用する。ドーパントの量は、ドーパントを適用する母
材金属の広範囲な量に対して効果的である量であり、そ
してアルミニウムの場合には、実験では使用可能な上限
や下限を求めることができなかった。例えば、酸化体と
して空気か酸素を用いて、アルミニウム系母材金属のド
ーパントとして母材金属の外部に適用する珪素を二酸化
珪素の形態で利用するとき、母材金属1グラム当たり
0.00003グラムといった少量の珪素、即ち、露出
した母材金属表面の1cm当たり約0.0001グラ
ムの珪素を、マグネシウムからなる第二ドーパント源と
ともに使用して、多結晶セラミック成長減少を生じさせ
た。また、ドーパントとしてMgOを、酸化されるべき
母材金属の1グラム当たりのMgが約0.0008グラ
ムを超え、そしてMgOを適用する母材金属表面の1c
当たりのMgが0.003グラムを超えるような量
で用いることにより、酸化体として空気か酸素を用いて
アルミニウム・珪素合金母材金属からセラミック構造体
が得られることも判明した。
【0073】母材金属がマグネシウムで内部ドープした
アルミニウムであり、そして酸化媒体が空気か酸素であ
る場合には、合金中のマグネシウムが、約820〜約9
50℃の温度で少なくとも部分的に酸化されることが観
察された。このようなマグネシウムをドープした系にお
いては、マグネシウムは酸化マグネシウム及び/又はア
ルミン酸マグネシウムスピネル相を溶融アルミニウム合
金の表面に形成し、そして成長プロセス中に、このよう
なマグネシウム化合物は、成長したセラミック構造体に
おける主に母材金属合金の初期酸化物表面(例えば、初
期表面)に残存する。したがって、このようなマグネシ
ウムでドープした系では、初期表面のアルミン酸マグネ
シウムスピネルの比較的薄い層とは別に、酸化アルミニ
ウム系構造が生成する。所望の場合には、多結晶セラミ
ック製品を用いる前に、研削、機械加工、研磨又はグリ
ットブラスト仕上げによりこの初期表面を容易に除去で
きる。
【0074】本発明の別の実施態様では、多結晶酸化反
応生成物の成長中に、異種の気相酸化体を導入すること
ができる。この文脈では、「異種(differen
t)」とは、最初の気相(又は固相)酸化体の成分とは
化学的に異なる組成を有することを意味するものとして
理解されなければならない。したがって、「異種」の気
相酸化体を用いて形成した第二の酸化反応生成物は、勾
配のある特性を有する互いに一体に結合した2つのセラ
ミック体かセラミック相を形成する(例えば、最初に形
成したセラミック複合体の上に層を形成できる)。
【0075】本発明のさらに別の実施態様では、セラミ
ック複合体の金属成分を、組成を変化させることにより
調整できる。具体的には、例えば、第二金属を、例え
ば、酸化反応生成物の成長中に母材金属と合金するか母
材金属中に拡散して組成、したがって、母材金属の機械
的特性、電気的特性及び/又は化学的特性を都合よく変
化させることができる。
【0076】造形セラミック複合体の形成を補助するた
めに、フィラー材料又はプレフォームと関連してバリヤ
ー手段を使用することができる。具体的には、本発明に
使用するのに適当なバリヤー手段は、酸化反応生成物の
成長や発達を妨げるか、抑制するか、終了させるいずれ
かの適当な手段でよい。適当なバリヤー手段は、本発明
のプロセス条件下で、ある程度の結着性を維持し、揮発
性でなく、そして好ましくは気相酸化体透過性(もし気
相酸化体を使用する場合)であるとともに、酸化反応生
成物の継続した成長を局部的に妨げ、有害作用を及ぼ
し、停止し、妨害し、防止等をできるいずれの材料、化
合物、要素、組成物等でよい。
【0077】バリヤー手段の一つのカテゴリーは、輸送
された溶融母材金属により実質的に湿潤されない種類の
材料であることは明らかである。この種のバリヤーは、
明らかに溶融金属に対して実質的にほとんど親和性示さ
ないので、バリヤー手段により成長が終結させられる
か、成長が阻害される。他のバリヤーは、輸送された溶
融金属と反応して、過剰に輸送された金属に溶解し、そ
して希釈するすることによるか、固体反応生成物(例え
ば、溶融金属輸送プロセスを妨害する金属間物)を形成
することによりさらなる成長を阻害する傾向がある。こ
の種のバリヤーは、酸化物若しくは還元性金属化合物等
のバリヤーの適当な前駆体や高密度セラミック材料をは
じめとする金属か金属合金でよい。この種のバリヤーに
よる成長阻害又は成長妨害プロセスの特性のため、成長
が、終結前にバリヤー中に延長するか、バリヤーを超え
て多少延長することがある。それでも、バリヤーによ
り、形成された酸化反応生成物に必要なことがある仕上
げの機械加工や研削が減少する。上記したように、バリ
ヤーは、透過性か多孔性であることが好ましく、したが
って、固体の不透過性壁を用いるときには、バリヤーを
少なくとも一つの領域を開放するか両端を開放して気相
酸化体が溶融母材金属に接触できるようにする。アルミ
ニウム母材金属を使用し、そして空気を酸化体として用
いる場合に本発明において特に有用な適当なバリヤー
は、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム及びりん酸三石灰
である。これらのバリヤーは、発達している酸化反応生
成物と局部的に反応して不透過性のアルミン酸カルシウ
ムを形成し、それにより酸化反応生成物のさらなる成長
を局部的に終結させると思われる。このようなバリヤー
は、典型的には、スラリーかペーストの形態で、好まし
くはプレフォームとして予め造形したフィラー材料の表
面に適用できる。また、バリヤー手段は、バリヤーの多
孔性や透過性を増加するために、加熱により取り除かれ
る適当な可燃性材料か揮発性材料や、加熱すると分解す
る材料も含むことができる。さらに、バリヤー手段は、
プロセス中に生じることのある収縮や亀裂の発生を減少
させるために適当な耐火性微粒子を含むことができる。
このような微粒子としては、充填材料床の膨張係数と実
質的に同じ膨張係数を有するものが望ましい。例えば、
もしプレフォームがアルミナを含み、そして得られるセ
ラミックがアルミナを含む場合、バリヤーをアルミナ微
粒子、望ましくは約20〜1000メッシュの大きさを
有するアルミナ微粒子と混合することができる。アルミ
ナ微粒子は、硫酸カルシウムと、例えば、約10:1〜
1:10の比、好ましくは1:1の比で混合してよい。
本発明の一実施態様においては、バリヤー手段は、硫酸
カルシウムの混和物(即ち、焼石膏とポートランドセメ
ント)を含む。ポートランドセメントは、焼石膏と1
0:1〜1:10の比、好ましくは1:3の比で混合す
ればよい。
【0078】別の実施態様では、母材金属がアルミニウ
ムで、空気を酸化体として用いるとき、シリカと理論量
で混和した焼石膏をバリヤーとして用いることを含む。
但し、この場合、焼石膏が過剰でもよい。処理中に焼石
膏とシリカが反応して珪酸カルシウムを形成し、実質的
に亀裂がない点で特に有利であるバリヤーが得られる。
さらに別の実施態様においては、焼石膏を約25〜40
重量%の炭酸カルシウムと混和する。加熱すると、炭酸
カルシウムが分解して二酸化炭素を発生することによ
り、バリヤー手段の多孔性が高まる。
【0079】アルミニウム系母材金属系用のバリヤーと
して有用な他の例として、第一鉄材料(例えば、ステン
レス鋼製容器)、酸化クロム、そしてフィラー材料床の
上に配置する壁や容器としてか、フィラー材料床の表面
の層として用いることのできる他の耐火性酸化物が挙げ
られる。バリヤーとして、さらに、アルミナ等の高密
度、焼結又は溶融セラミックが挙げられる。これらのバ
リヤーは、通常、不透過性であり、したがって、特別に
加工して多孔性とするか、開放端透過性の開放部を設け
る必要がある。バリヤー手段は、反応条件下で脆い生成
物を形成してもよく、そして研磨することにより除去し
てセラミック体を回復することができる。
【0080】バリヤー手段は、いずれの適当な形態、大
きさ及び形状に製造してもよく、そして気相酸化体透過
性であることが好ましい。バリヤー手段は、フィルム
か、ペーストか、スラリーか、透過性若しくは不透過性
のシートやプレートか、金属やセラミックのスクリーン
や布等の網状若しくは多孔性ウエブか、それらの組み合
わせの形態で適用するか利用する。また、バリヤー手段
は、多少のフィラー及び/又はバインダーを含有するこ
とができる。
【0081】バリヤーのサイズ及び形状は、セラミック
製品の所望の形状によって決まる。例えば、もしバリヤ
ー手段を母材金属から所定の距離に配置又は位置させる
と、セラミックマトリックスの成長が、バリヤー手段と
出会うところで局部的に停止するか阻害される。一般的
に、セラミック製品の形状は、バリヤー手段の形状の逆
である。例えば、もしくぼんだバリヤーを母材金属から
少なくとも部分的に離して配置するならば、多結晶成長
が、くぼんだバリヤーの境界と母材金属の表面部によっ
て形成された内部空間内に生じる。成長は、くぼんだバ
リヤー部で実質的に終結する。バリヤー手段を取り除い
た後のセラミック体は、バリヤー手段のくぼみによって
形成された突出部を少なくとも有したままである。多孔
性のバリヤー手段については、細隙を介して多少の多結
晶材料の成長があることがある。但し、このような成長
は、より効果的なバリヤー材料によって著しく制限され
るか無くなる。このような場合において、バリヤー手段
を成長した多結晶セラミック体から取り除いた後、多結
晶過成長部を研削、グリットブラスト仕上げ等によって
セラミック体から取り除いて、多結晶材料の過成長を残
存させずに所望のセラミック部品を製造する。さらに、
母材金属から離して配置し、そして金属の方向に円筒状
突起を有するバリヤー手段では、円筒状突起と同じ直径
と深さを逆に複製した円筒状くぼみを有するセラミック
体が製造される。
【0082】セラミック複合体の形成において多結晶材
料の過成長をほとんど生じさせないために、バリヤー手
段は、フィラー材料床かプレフォームの規定された表面
境界に近接させて配置するか位置させることができる。
床かプレフォームの規定された表面境界上にバリヤー手
段を配置することは、規定された表面境界にバリヤー手
段を層状に配置する等の適当な手段により行うことがで
きる。このようなバリヤー手段の層は、バリヤー手段を
液状、スラリー状又はペースト状で塗装、浸漬、シルク
スクリーニング、蒸発又は適用するか、蒸発性バリヤー
手段をスパッタリングするか、固体微粒子バリヤー手段
を単に付着させるか、固体薄シート状かフィルム状のバ
リヤー手段を規定された表面境界上に適用することによ
り適用できる。バリヤー手段を所定の位置に配置した状
態では、多結晶酸化反応生成物の成長は、プレフォーム
の規定表面境界に到達し、そしてバリヤー手段に接触す
ると終結する。
【0083】セラミックマトリックス複合体を製造する
ための好ましい実施態様においては、規定表面境界の少
なくとも一部分がバリヤー手段を有するか、規定表面境
界の少なくとも一部分の上にバリヤー手段が配置された
少なくとも一つの規定表面境界を有するフィラー材料の
透過性造形プレフォーム(以下でより詳細に説明する)
が形成される。用語「プレフォーム(Prefor
m)」は、最終的に一体の複合体に結合する別個の複数
のプレフォームのアセンブリーも包含することを理解す
べきである。プレフォームは、一種以上の母材金属の表
面か、母材金属の表面の一部分に隣接するか接触させて
配置する。この場合、少なくとも一部分にバリヤー手段
を有するかバリヤー手段を重ねた規定表面境界を、一般
的に、金属表面から離すか、金属表面の外側に配置し、
そして酸化反応生成物の形成がプレフォーム中で、そし
てバリヤー手段を有する規定表面境界の方向に生じるよ
うにプレフォームを配置する。透過性プレフォームはレ
イアップの一部分であり、そして炉中で加熱すると、母
材金属とプレフォームが気相酸化体に暴露されるか、気
相酸化体によって包囲される。この場合、気相酸化体は
固体酸化体又は液体酸化体と組み合わせて使用できる。
金属と酸化体が反応し、そして酸化反応生成物がプレフ
ォームに浸透し、バリヤー手段を有するかバリヤー手段
を重ねた規定表面境界と接触するまで反応プロセスが継
続する。もっとも典型的には、プレフォームの境界と多
結晶マトリックスの境界が実質的に一致するが、プレフ
ォームの表面での個々の成分はマトリックスから露出す
るか、マトリックスからはみでることがあり、したがっ
て、マトリックスによってプレフォームを完全に取り囲
むかカプセル化する観点では、浸透と埋め込みは完全で
はないことがある。バリヤー手段は、成長部がバリヤー
手段と接触すると成長を防止するか、阻害するか、終結
させ、そして多結晶材料の過成長が実質的に生じない。
得られるセラミック複合体製品は、プレフォームが、酸
化体による母材金属の酸化反応生成物と、任意成分とし
て、母材金属の非酸化成分又は酸化体の還元成分等の一
種以上の金属成分とから実質的になる多結晶材料を含ん
だセラミックマトリックスにより複合体の境界まで浸透
されるか埋め込まれている。
【0084】本発明に有用なフィラー材料は選択される
母材金属と酸化系により異なるが、例えば、酸化アルミ
ニウム、炭化珪素、シリコンアルミニウムオキシニトリ
ド、酸化ジルコニウム、硼化ジルコニウム、窒化チタ
ン、チタン酸バリウム、窒化硼素、窒化珪素、合金鉄、
例えば、鉄・クロム・アルミニウム合金、炭素、アルミ
ニウム及びそれらの混合物の一種以上が挙げられる。し
かしながら、本発明では、適当なフィラーを用いること
ができ、そして3種の有用なフィラー材料が確認されて
いる。
【0085】第一の種類のフィラー材料には、プロセス
の温度及び酸化条件下で、揮発性ではなく、熱力学的に
安定であり、そして溶融母材金属と反応しないか、溶融
母材金属に過度に溶解しない化学種が含まれる。母材金
属がアルミニウムで、そして空気か酸素を酸化体として
用いる場合には、このような基準を満足する多数の材料
が当業者において公知である。このような材料として
は、単一金属酸化物、例えば、アルミニウム酸化物Al
;セリウム酸化物CeO;ハフニウム酸化物H
fO;ランタン酸化物La;ネオジウム酸化物
Nd;プラセオジウムの種々の酸化物;サマリウ
ム酸化物Sm;スカンジウム酸化物Sc
トリウム酸化物ThO;ウラニウム酸化物UO;イ
ットリウム酸化物Y;そしてジルコニウム酸化物
ZrOが挙げられる。さらに、アルミン酸マグネシウ
ムスピネル、MgOAl、等の多数の二元、三元
及びそれよりも高次の金属化合物がこの種の安定な耐火
性化合物に含まれる。
【0086】第二の種類の適当なフィラー材料は、プロ
セスの酸化性で高温の環境中では本来安定ではないが、
分解反応速度が比較的遅いために、成長しているセラミ
ック体内にフィラー相として配合できるものである。セ
ラミックマトリックスがアルミナの場合の例としては、
炭化珪素が挙げられる。炭化珪素のさらなる酸化を制限
するために炭化珪素粒子を形成し、そして被覆している
酸化珪素からなる保護層がなければ、この材料は、本発
明に準じて酸素か空気でアルミニウムを酸化するのに必
要な条件下で完全に酸化するであろう。
【0087】適当なフィラー材料の第三の種類は、熱力
学や速度に関する理由で、本発明の実施に必要な酸化性
環境中や溶融金属への暴露で存在し続けることができな
いと思われるものである。このようなフィラー混合物
は、1)もし酸化環境の活性を小さくするか、2)塗膜
を適用してこの種を酸化環境中で速度論的に非反応性に
することにより本発明の方法に適合させることができ
る。この種のフィラーとしては、例えば、溶融アルミニ
ウム母材金属と関連させて用いられる種々のサイズの炭
素繊維が挙げられるであろう。もしアルミニウムを空気
か酸素で、例えば、1250℃で酸化させて繊維を組み
込んだマトリックスを生成する場合、炭素繊維はアルミ
ニウム(炭化アルミニウムを形成)と酸化性環境(CO
かCOを形成)の両方と反応する傾向がある。これら
の望ましくない反応は、炭素繊維を被覆(例えば、アル
ミナで)して母材金属及び/又は酸化体との反応を防止
することと、必要に応じて、アルミニウムを酸化するが
炭素繊維を酸化しない傾向のあるCO/CO雰囲気を
酸化体として用いることによって避けることができる。
フィラー材料を予備焼成すると有益なことがあるが、本
発明の方法によりセラミック複合体を形成するには必須
ではない。具体的には、非予備焼成フィラー材料を酸化
反応生成物で埋め込んで、セラミック複合体を形成して
もよい。フィラー材料の組成が、酸化反応生成物からな
る周囲のマトリックスよりも硬いときには、得られる高
充填セラミック複合体は、硬度、耐蝕性等の増加を示す
ことがある。さらに、この方法は、一種以上のドーパン
ト材料(例えば、好ましい実施態様では珪素含有ドーパ
ント)を成長合金に添加して、酸化反応生成物を形成さ
せるようにすることが必要なことがある。フィラー材料
を予備焼成しない場合に遭遇する可能性のある障害は、
アルミニウム母材金属が非予備焼成炭化珪素フィラーと
反応して炭化アルミニウムを形成することである。酸化
反応を行う温度と反応時間を用いて、例えば、酸化反応
を約950℃よりも低い温度で行うことにより炭化アル
ミニウムの形成を制御することができる。
【0088】さらなる実施態様においては、例えば、フ
ィラー材料の素材かプレフォームの領域の粒度、組成等
を所望の結果が得られるように変化させることにより勾
配のある特性を有するセラミックマトリックス複合体を
形成することが可能である。具体的には、フィラー材料
の実質的に均一な素材を埋め込むことにより形成したセ
ラミック複合体に特有の特性を少なくとも一部分に有
し、そして異なるサイズ及び/又は形状のフィラー材料
を含有するフィラー材料の素材を埋め込むことにより形
成したセラミック複合体に特有の特性を他の少なくとも
一部分に有するセラミックマトリックス複合体を形成す
ることができる。この方法では、セラミック複合体は、
特定の必要性を満足するための増強された特性を有する
ように調整できる。
【0089】
【実施例】実施例1 試料A 保護表面領域を上に有するセラミックマトリックス複合
体を本発明の方法に準じて形成した。
【0090】具体的には、500メッシュ(17ミクロ
ン)炭化珪素微粒子〔39クリストロン(39Crys
tolon)(米国マサチューセッツ州ウースターにあ
るノートン社製(Norton Co.)を、セラミッ
ク繊維紙〔ファイバーフラックス(Fiberfra
x)(商標);米国ニューヨーク州ナイアガラ・フォー
ルズにあるソハイオ/カーボランダム社製(SOHIO
/Carborundum Co.)〕で内張りした寸
法が約14インチ(356mm)×11インチ(279
mm)×6インチ(152mm)である耐火性ボートに
約3インチ(75mm)の深さまで入れた。ボートを、
空気雰囲気抵抗加熱電気炉内に配置し、約15時間で約
1325℃に加熱し、約1325℃で約24時間保持
後、室温まで冷却した。加熱すると、炭化珪素の一部分
が酸化されてシリカ(SiO)を形成した。酸化粉末
のシリカ含量は、粉末の総重量の約15%〜約25%で
あった。部分酸化粉末の微粉砕をジョークラッシャーに
より行った後、凝集物が約─200メッシュ(80ミク
ロン)に破砕されるまで篩にかけて、粉末を沈降注型
(sediment casting)できるようにし
た。
【0091】炭化珪素約74重量%と、脱イオン水約2
2重量%と、エルマーグルー(Elmer’s glu
e)約2重量%と、ウエソロク(Wesolok)(商
標)コロイドアルミナ〔米国デラウエア州ウイルミント
ンにあるウエスボンド社製(Wesbond Corp
oration)〕約2重量%と、コロイド581B脱
泡剤〔米国カリフォルニア州ノーウォークにあるアール
・テー・バンデルビルト社製(R.T.Vanderb
ilt Co.)〕約0.05%からなる組成を有する
スラリーを調製した。具体的には、予備焼成した炭化珪
素粉末をホバルトミキサー(Hobart mixe
r)(A200型、トロイ(Troy)、OH)に入れ
た後、上記液体をミキサーにゆっくりと添加し、そして
得られたスラリーを約5分間混合した。
【0092】型の内表面に、エタノールと1000メッ
シュ(7.6ミクロン)炭化珪素(39クリストロン;
米国マサチューセッツ州ウースターにあるノートン社
製)とを等重量部で混合した薄塗膜を塗装することによ
りシリコンラバー型を製造した。このラバー型を、振動
テーブル上に配置したサポートプレートの上に配置し
た。
【0093】次に、スラリーをゆっくりと型に注ぎ、そ
してスラリーの上表面を直線定規で平らにした。約1時
間後に、スラリー注型物の上表面に現れる過剰の水をス
ポンジか紙タオルで除去した。ドービング(daubi
ng)操作に続いて、振動をさらに45分間継続した。
プレフォームを型とサポートプレートを付けた状態で、
約10°Fのフリーザー中に配置し、そして少なくとも
8時間凍結させ、この時点で、プレフォームと型を、フ
リーザーからとりはずし、そしてプレフォームを型から
分離した。
【0094】凍結したプレフォームをただちに90メッ
シュ(160ミクロン)アルミナ(38アランダム(3
8Alundum);米国マサチューセッツ州ウースタ
ーにあるノートン社製)の床上に配置した。その後、こ
のプレフォームと床を、約15〜21℃で運転されてい
る強制空気乾燥器内に配置し、そして少なくとも24時
間乾燥させた。
【0095】耐火性ボートを以下のようにして製造し
た。まず、注型適性粉末〔キャスタブル3000;米国
ペンシルバニア州バリー・フォージュにあるシー・イー
・レフラクトリーズ社製(C−E Refractor
ies)〕と水からなる成形用混合物をホバルトミキサ
ー(A200型)中で調製した。この成形用素材を、概
略寸法が48インチ×36インチ×6インチ(高さ)で
あるステンレス鋼型のキャビティーに手で押し込んだ。
このとき、完成したボートの肉厚が約1インチとなるよ
うに十分な材料をキャビティーに押し込んだ。
【0096】このボートを室温で少なくとも16時間乾
燥後、ステンレス鋼型を取り外し、そして乾燥した耐火
性ボートを抵抗加熱空気雰囲気炉中に配置した。この炉
の温度を約2時間で約200℃に上昇させ、約200℃
で約2時間保持した後、約10時間で約1325℃に上
昇させ、そして約1325℃で約100時間保持した。
その後、炉を周囲温度に冷却し、そして耐火性ボートを
取り出した。
【0097】第1図は、本発明に使用されるレイアップ
の断面図である。レイアップは以下のようにして集成し
た。まず、380M母材合金インゴット10〔米国イン
ディアナ州のマンスターにあるユー・エス・リダクショ
ン社製(U.S.Reduction Co.)の表面
にリーコートLX−60(LeecoteLX−60)
WPSスラリー〔米国オハイオ州マディソンにあるアク
メ・レジン社製(Acme Resin Cor
p.)〕の塗膜12を塗装した。380Mの公称組成
は、Mg含量が約0.17〜0.18%であることを除
いて、アルミニウム・アソシエーション合金380.1
(Aluminum Association380.
1)と同じであった。合金インゴット20の他表面に、
水約50重量%と、焼石膏〔ボンデックス(Bonde
x);米国ミズーリー州セントルイスにあるボンデック
ス・インターナショナル社製(Bondex Inte
rnational,Inc.)約25重量%と、アル
ミナ〔米国ペンシルバニア州のピッツバーグにあるアル
コア社製(Alcoa Co.)〕約25%とからなる
スラリーを塗布した。次に、粗粒ウオラストナイト床1
6〔粗ファイバー−ニアドSP(Coarse fib
er−Nyad SP);米国ニューヨーク州ウイルス
ボロにあるニコ社製(NyCo Inc.)〕を、耐火
性ボート18中に、約1インチ(25mm)の深さに配
置した。次に、母材金属合金インゴットを、リーコート
塗膜12を含有している表面が露出されるように床の上
面に配置した後、プレフォーム14を、リーコート塗膜
12に接触するように合金インゴット20の上面に配置
した。次に、ボートに、プレフォーム14の上表面全体
が被覆されるまで追加の粗粒ウオラストナイト床を充填
した。
【0098】ボートとその内容物を、抵抗加熱空気雰囲
気炉内に配置し、そして炉の温度を約24時間かけて約
980℃に上昇させた。約980℃で約300時間保持
し、その後、炉を約750℃に冷却し、そしてその温度
に保持した。炉を開き、過剰の母材金属をレイアップか
ら排出させた。炉を閉じた後、炉とその内容物を約45
℃以下の温度に冷却させた。
【0099】形成した複合体(即ち、酸化反応生成物が
浸透したプレフォーム)を炉から取り出し、そしてサン
ドブラスティングして、残留付着ウオラストナイト及び
/又は母材金属合金を除去した。
【0100】次に、熱処理プロセスにより複合体の外表
面に保護表面層を形成した。具体的には、高密度アルミ
ナサポートロッド〔米国ペンシルバニア州ビーバー・フ
ォールズにあるマクダネル・レフラクトリー社製(Mc
Danel Refractory Co.)〕を高密
度アルミナボート(マクダネル・レフラクトリー社製)
の底部に配置し、そして複合体をサポートロッド上に配
置した。次に、ボートを抵抗加熱空気雰囲気炉内容物に
配置し、そして炉を約500℃/時間の昇温速度で約1
700℃に加熱した。炉を約1700℃で1時間保持し
た後、約500℃/時間の冷却速度で室温まで冷却し
た。ボートを炉から取り出した後、加熱処理複合体をボ
ートから取り出した。表1において試料Aとしてある加
熱処理複合体上に形成した表層を、光学顕微鏡とX線回
折(XRD)により特性決定した。
【0101】
【表1】
【表2】 備考::SiC強化Al複合体(500メッシ
ュSiC) :SiC強化Al複合体(500メッシュSi
C配合物:500#SiC5重量%、100#SiC7
5重量%、100GLSiC20重量%) :ガス流量:0.4リットル/分
【0102】熱処理複合体の断面の顕微鏡写真(×20
0)を第2図に示す。写真に示されている微細構造か
ら、多孔性多結晶領域22が炭化珪素強化粒子の端を規
定する想像線を超えて約225〜300ミクロン延長し
ていることが分かる。この層の上に厚さ約20〜30ミ
クロンの高密度層24がある。これらの2つの層は、両
方とも炭化珪素を含有する複合体26の部分よりも外に
ある。
【0103】表層の一部分をX線回折により分析した。
この試料は、表層の一部分をこすり落とすか削り取り、
そしてそれを乳鉢と乳棒で粉砕して微粉末とした。粉末
試料をディフラクトメーター〔D500型;ドイツ国ミ
ュンヘンにあるシーメンス社製(Siemens A
G)〕の試料室内に配置し、そしてフィルターを通さな
いCuαX線をエネルギー40KeVで走査した。カ
ウント時間は、2θの0.030°間隔で約2秒であっ
た。ムライト(AlSi13)が主要層として存
在することが判明した。αアルミナ、炭化珪素、アルミ
ニウム及び珪素も見出されたが、量は少なかった。
【0104】また、光学顕微鏡で表層に確認された2つ
の相について半定量分析も行った。この分析は、スペク
トルアナライザー〔米国ウイスコン州ミドルタウンにあ
るトラコア・ノーザン社製(Tracor North
ern,Inc.)〕に接続した走査型電子顕微鏡〔5
00型;オランダ国アインドホーベン(Eindhov
en)にあるフィリップス・グローリランペンファブリ
ーク社製(Philips Gloeilampenf
abriek)によりエネルギー分散X線分析(EDA
X)機能〔VZ15型;米国ニュージャージー州のプリ
ンストンにあるプリンストン・ガンマ・テクノロジー社
製(Princeton GammaTech.)を用
いて行った。電子顕微鏡により、厚くて多孔性層におけ
る多数相28において原子%比でアルミニウムと珪素が
検出され、ムライトであることを示唆している。また、
少数相30に珪素が検出され、シリカであることを示唆
している。シリカの結晶形態は、クリストバライトの形
態であることが確認された。但し、非晶質シリカの存在
は排除されない。光学顕微鏡により、高密度薄塗膜層に
おいては、多数層と少数層が逆転していることが分かっ
た。
【0105】実施例2 異なる組成を有する表層を炭化珪素強化複合体に形成で
きることを示すために、数種の熱処理を行った。
【0106】試料C 実施例1に記載の方法と実質的に同様の方法により製造
した炭化珪素強化セラミックマトリックス複合体を、実
施例1に記載の方法と実質的に同様の方法で高密度アル
ミナボート内に配置した。次に、ボートを抵抗加熱空気
雰囲気炉内に配置し、そして炉の温度を、昇温速度約6
00℃/時間で約1300℃に昇温した。炉を約130
0℃で約4時間保持後、冷却速度約1200℃/時間で
室温まで冷却した。ボートとそのレイアップを炉から取
り出し、そして熱処理した複合体(表1に示した試料
C)をボートから取り出した。
【0107】熱処理した複合体上に形成された表層を、
光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)及びX線回折
により特性決定した。熱処理した複合体の断面の光学顕
微鏡写真(×400)を第3a図に示す。微細構造か
ら、炭化珪素粒子34の境界線により示されるように、
最初の複合体の表面に暗色の不規則層32があることが
分かる。層の厚さは、約25〜50ミクロンの範囲であ
る。
【0108】第3b図の顕微鏡写真(×400)は、後
方散乱電子放出を用いて走査型電子顕微鏡により撮っ
た。第3b図から、表層は実際には2層(両方とも不規
則な形状をしている)からなっていることが明らかであ
る。外層36は、厚さが約5〜12ミクロンであり、内
層38は厚さが約12〜38ミクロンである。厳密に調
べてみると、第3a図において層が2重になっているこ
とが分かる。このことから、内層がある種の金属40と
細孔42を有しているのに対して、外層は金属を含まず
そして高密度であることも分かる。
【0109】電子顕微鏡分析から、この2重層に少なく
ともアルミニウムと亜鉛が存在することが明らかとなっ
た。この亜鉛の濃度は外層において高い。試料Cの表面
をX線回折によっても分析した。モノリシック複合体
を、ディフラクトメーターの試料室内に配置し、そして
試料Aに関して記載したのと実質的に同様の方法でデー
タの採取を行った。しかしながら、試料Cの場合、X線
コレクション時間は、各角度で約4秒であった。
【0110】X線回折分折により、少なくともアルミン
酸マグネシウム(MgAl)、シリマナイト(s
illimanite)(AlSiO)、αアルミ
ナ及び珪素が存在することが示された。アルミン酸マグ
ネシウムとアルミン酸亜鉛(ZnAl)は、ほと
んど同一のX線回折ピークを有しており、そして亜鉛
(マグネシウムでない)は電子マイクロプローブ分折に
より確認されたので、実際に存在する相は、アルミン酸
マグネシウムではなくアルミン酸亜鉛であると結論し
た。アルミン酸亜鉛塗膜の亜鉛は、複合体の金属成分に
由来するものであった。
【0111】試料D 炭化珪素強化アルミナマトリックス複合体を実施例1に
記載の方法と実質的に同様な方法で製造後、抵抗加熱空
気雰囲気炉を昇温速度約200℃/時間で約1300℃
の温度に加熱した以外は実施例1に記載の方法と実質的
に同様な方法で熱処理した。炉の温度を約1300℃で
約100時間保持した後、冷却速度約200℃/時間で
室温まで冷却した。
【0112】熱処理した試料(表1における試料D)の
断面の顕微鏡写真(×400)を第4a図に示す。微細
構造から、炭化珪素粒子の末端によって形成される境界
の外側にいくつかの相50、52及び54が存在するこ
とが明らかである。外相54(厚さ約3〜6.5ミクロ
ン)は連続しているように思われる。また、塗膜層に多
少の単離した細孔56が確認できる。
【0113】走査型電子顕微鏡のEDAX機能を用いて
表層材料についてのX線分布マップを作成した。二次電
子像を第4b図に示す。X線分布分析は、表層にマグネ
シウムとアルミニウムが互いに重なりあって存在してい
ることを示した。分布分析マップでは、カルシウムと亜
鉛が存在することが明らかとなった。マグネシウムと亜
鉛の源は、複合体における金属成分であり、そしてカル
シウムは成長プロセスをプレフォームの境界で止めるた
めに使用したバリヤー材料に由来するものと思われる。
【0114】試料B 配合炭化珪素強化セラミックマトリックス複合体を以下
のようにして製造した。まず、固形分が72重量%の炭
化珪素スリップを製造した。1ガロンのナルジーン(N
algene)(商標)〔米国ニューヨーク州ロチェス
ターにあるアルジェ社(Nalge Co.)容器に、
脱イオン水約1400グラム、ダーバン821A(Da
rvan821A)(米国カリフォルニア州ノーウォー
クにあるアール・テー・バンデルビルト社製)約1グラ
ムと、直径1/2インチ(13mm)×高さ1/2イン
チ(13mm)のブランダム(商標)円筒状粉砕媒体
〔米国ニュージャージー州マーワー(Mahwah)に
あるユー・エス・ストーンウエア社製(U.S.Sto
neware)2000グラムと、100GL(0.6
ミクロン)炭化珪素〔グレード059;米国イリノイ州
シカゴにあるスーペリア・グラファイト社製(Supe
rior Graphite Co.)〕約720グラ
ムと、500メッシュ(17ミクロン)の予備焼成した
炭化珪素(39クリストロン;米国マサチューセッツ州
ウースターにあるノートン社製)180グラムと、10
00メッシュ(6ミクロン)の予備焼成炭化珪素〔エク
ソロン−イー・エス・ケー(Exolon−ESK)、
米国ニューヨーク州トナワンダ〕約2700グラムとを
入れた。
【0115】スリップを約48時間微粉砕した後、粉砕
媒体を取り出し、そしてスリップをさらに約24時間微
粉砕した。(500メッシュ(17ミクロン)の炭化珪
素粉末を、実施例1に概要を説明した方法に実質的に準
じて予備焼成し、そして1000メッシュ(6ミクロ
ン)の炭化珪素を、約1250℃の温度で約3.5時間
ソーク(soak)してシリカ含量が約18重量%とな
るように炉のスケジュールを変更した以外に実質的に同
様の方法で予備焼成した。)
【0116】概略寸法が約3.125インチ(79m
m)×3.125インチ(79mm)×0.375イン
チ(10mm)(厚さ)である内部キャビティーを有す
る二分割石膏型を、水でわずかに湿らせて、組立て、そ
してゴムバンドで一緒に保持した。スリップを真空チャ
ンバー〔スーパー・バクマクモデル#160−015ス
エスト(Super VacMac Model#16
0−015Swest)、米国テキサス州〕内で約30
インチ(760mm)の真空で約5粉末間脱気し、そし
てRVT型ブルックフィールド粘度計〔米国マサチュー
セッツ州スタウトン(Stoughton)にあるブル
ックフィールド・エンジニアリング・ラボラトリーズ
(Brookfield Engineering L
aboratories,Inc.)〕(No.4スピ
ンドルを使用)によりスリップ粘度を測定した。許容粘
度は、約50〜100cPであった。
【0117】次に、スリップを型のキャビティー内に流
し込んだ。このとき、型の側面にゆっくりと注いでスリ
ップに空気が捕捉されないようにした。スリップの流し
込みにより型キャビティー全体が一杯になるまでに約3
0分かかった。注型後、プレフォームを型から取り出
し、そして周囲条件下において乾燥ラック上で少なくと
も12時間乾燥させた後、乾燥オーブン内に約40℃で
少なくとも6時間配置した。
【0118】次に、注型しそして乾燥したプレフォーム
をサンドペーパーで磨いて、注型型ラインのない清浄で
平滑な表面とした後、スロット耐火レンガの上面に配置
し、そして室温抵抗加熱空気雰囲気炉内に入れた。炉を
約8時間かけて約1025℃に加熱し、約1025℃で
約24時間保持した後、電源を切って室温まで冷却し
た。
【0119】次に、予備焼成したプレフォームの5面
に、微細ウオラストナイト(米国ニューヨーク州ウイル
スボロにあるニコ社製)約50重量%と、ワイケーシン
ナー(YK thinner)〔ゼット・ワイ・ピー・
コーティングズ(ZYP Coatings、オークリ
ッジ(Oak Ridge)、TN〕50重量%からな
るスラリー(約2時間ロール混合したもの)を塗布し
た。このスラリーは、乾燥したときに成長工程中にバリ
ヤーとしての役割を果たした。プレフォームの未塗工面
には、―325メッシュ(45ミクロン未満)の珪素金
属粉末〔ニュージャージー州バーゲンフィールドにある
アトランティック・イクイップメント・エンジニアーズ
製(Atlantic EquipmentEngin
eers)〕90重量%をエタノールに添加したスラリ
ーを塗布した。塗膜を強制空気乾燥オーブン中で約40
℃の温度で少なくとも6時間乾燥した。
【0120】母材金属又は成長合金(組成は表に記載し
てある)を研磨してインゴットの表面上の酸化物を取り
除いた。3.125インチ(79mm)×3.125イ
ンチ(79mm)×0.375インチ(10mm)(厚
さ)のプレフォームの成長の場合、母材金属合金インゴ
ットのサイズは約9インチ(229mm)×9インチ
(229mm)×1インチ(25mm)であり、インゴ
ント1個から4種のプレフォームが成長した。(簡略化
のために、操作の説明には単一プレフォームのみに言及
する。)
【0121】炉のレイアップを以下のようにして作製し
た。まず、粗粒ウオラストナイト(wollaston
ite)床材料(粗ファイバー─ニアドSP;米国ニュ
ーヨーク州ウイルスボロにあるニコ社製)を、耐火性ボ
ート中に、約1インチ(25mm)の深さに配置した。
次に、研磨表面を上に向けて、合金インゴットをウオラ
ストナイト床上に配置した。珪素金属塗膜を下に向け
て、乾燥プレフォームを合金インゴットの上面に配置し
た。次に、追加の粗粒ウオラストナイトを耐火性ボート
内に配置して、プレフォームの上面と同一平面となるよ
うにならした。次に、このレイアップを室温で抵抗加熱
空気雰囲気炉内に配置した。
【0122】炉を、約8時間かけて約940℃の温度に
加熱した。約940℃の温度で約100時間保持した
後、炉を約2時間かけて約750℃に冷却した。炉のド
アを開け、そして形成した複合体を母材金属合金プール
から取り出し、そしてウオラストナイトの床のサイドに
セットした。炉のドアを閉め、そし室温に冷却した。次
に、形成した複合体をサンドブラスティングして、外部
に付着した残留金属やバリヤー材料を除去した。
【0123】形成した複合体を網状アルミナのスラブ
〔米国ニューヨーク州アルフレッドにあるハイ・テク・
セラミックス社製(Hi−Tech Ceramic
s)〕の上に水平に配置し、そしてこのアセンブリーを
抵抗加熱空気雰囲気炉内に配置した。炉の温度を4時間
で約1400℃の温度に昇温後、約1400℃で約30
分間保持した。その後、電源を切り、そして炉を室温に
冷却した。加熱処理した複合体を取り出して分析に供し
た。
【0124】熱処理した複合体(表1に示した試料B)
の断面を取りつけ、そして研磨した。第5図は、研磨断
面の光学顕微鏡写真(×400)である。顕微鏡写真か
ら、高密度表層60が炭化珪素粒の端を超えて約5〜1
2ミクロン延長していることが分かる。
【0125】表層材料の一部分を含んだ熱処理複合体の
試料を取り出して、X線回折分折に供した。この試料を
XRD装置の試料チャンバー内に配置し、そして実施例
1に概略説明した手法に実質的に準じてX線を用いて走
査した。分析から、ムライト、シリマナイト(Al
iO)、αアルミナ、アルミニウム、珪素及び炭化珪
素の存在が明らかとなった。この特定の表層の非コヒー
レント性のために、最初の複合材料、即ち、αアルミ
ナ、炭化珪素、アルミニウム及び珪素の一部分が表層の
形成後でもまだ露出しており、したがって、X線ディフ
ラクトメーターにより検出された。
【0126】上記した試験から、セラミック複合体上に
種々の表面が形成でき、そして形成された表面の組成は
熱処理の時間と温度により決定できることが分かる。
【0127】試料CC 上記した試料Bの方法と実質的に同一の方法で、配合炭
化珪素強化セラミックマトリックス複合体を形成した。
次に、形成した複合体を網状アルミナのスラブ〔米国ニ
ューヨーク州アルフレッドにあるハイ・テク・セラミッ
クス社製(Hi−Tech Ceramics)〕の上
に水平に配置し、そしてこのアセンブリーを抵抗加熱空
気雰囲気炉内に配置した。炉の温度を6時間で約140
0℃の温度に昇温後、約1400℃で約50分間保持し
た。その後、電源を切り、そして炉を室温に冷却した。
加熱処理した複合体を取り出して分析に供した。熱処理
した複合体(表2に示した試料CC)の断面を取りつ
け、そして研磨した。第5a図は、研磨断面の光学顕微
鏡写真(×約1000)である。顕微鏡写真から、高密
度表層が炭化珪素粒子の端を超えて約85〜120ミク
ロン延長していることが分かる。
【0128】
【表3】
【表4】
【0129】実施例3 試料E、F、G、H及びI 炭化珪素強化セラミックマトリックス複合体(試料F、
G、H及びI)を、試料F、G及びHを製造するために
使用した母材金属合金が380Mからなり、そして試料
Iのために使用した合金がAl−6Zn−20Siから
なるものである以外は、試料Bに関して実施例2で説明
したのと実質的に同様の方法により製造した。試料E
は、試料Bを製造するのと実質的に同様の手法で製造し
た。
【0130】エッチングを行わなかった試料Iを除い
て、形成した炭化珪素強化セラミックマトリックス複合
体を、熱処理前に酸でエッチングした。エッチング処理
は、約20体積%のフッ化水素酸と約20体積%の硝酸
の水溶液に室温で約30分間浸漬して行った。
【0131】試料Iを除く全ての場合において、複合体
の温度を、抵抗加熱空気雰囲気炉内で約4時間で処理温
度に昇温した。試料Iについては、昇温時間は8時間で
あった。熱処理時間と浸漬温度を表2に記載する。各試
料を熱処理した後、炉の電源を切り、そして炉を室温に
冷却した。
【0132】エッチング処理により複合体の表面近くの
金属成分の一部分が除去されたので、続いて生成した塗
膜の一部分が複合体の内部に延長した(即ち、炭化珪素
粒子強化相の外端を超えて)。炭化珪素相に延びている
相と、炭化珪素相の外側の相の両方の厚さを、表2及び
4に示す。
【0133】試料F、G及びHは、得られる保護表面層
の厚さに及ぼす熱処理時間の増加の影響を示している。
炭化珪素強化領域の外側の表層の厚さは、試料F、G及
びHに対応する熱処理処理時間約2時間、10時間及び
20時間でそれぞれ約13ミクロン、13ミクロン及び
20ミクロンであった。この実施例は、熱処理時間を変
化させた熱処理プロセスにより、セラミックマトリック
ス複合体の保護表面層が形成できることを示している。
【0134】実施例4 表3は、種々の炭化珪素強化セラミックマトリックス複
合体を酸化性雰囲気中で熱処理処理して、複合体上に保
護表面領域を生成できることを示している。試料K 実施例1において試料Aのセラミックマトリックス複合
体を形成するのに使用した方法と実質的に同一方法で、
試料Kを製造した。
【0135】試料J2及び試料M 実施例2において試料Bのセラミックマトリックス複合
体を形成するのに使用した方法と実質的に同一方法で、
試料J2と試料Mを製造した。保護表面層を形成するた
めの熱処理の前に、試料Mをまず処理して形成複合体の
金属成分の組成を変えた。
【0136】実施例1においてボートを製造するのに使
用した方法と実質的に同様の方法で、注型適性耐火配合
物(キャスタブル3000)から製造した概略寸法が約
28インゴット(711mm)×13.5インチ(34
3mm)×6インチ(152mm)(高さ)である耐火
性ボートに、ウオラストナイト粗粒子を約1インチ(2
5mm)の深さまで充填した。異種の注型適性耐火配合
物〔キャストラストA−L(CastolastA−
L)〕を用いたことを除いて実施例4においてボートを
製造するために使用したのと実質的に同様の手法により
製造した6インチ(152mm)角で高さが約4インチ
(102mm)である第二の耐火性ボートを、第一ボー
ト内に、一端を離して配置した。約12インチ(305
mm)角のセラミック紙〔ファイバーフラックス(商
標)〕のシートを、大きな耐火性ボートの反対端のウオ
ラストナイト粒子の上面に配置した。形成した複合体
(試料M)を、セラミック紙の上面に配置した。約12
インチ角(305mm)のセラミック紙の第二シート
を、形成複合体の上面に配置した。大きなボートとその
内容物からなるこのセットアップを、抵抗加熱空気雰囲
気炉内に配置し、そして約5時間で約800℃に加熱し
た。炉が一旦約800℃に到達したら、炉を開放し、そ
してニッケル〔米国ペンシルバニア州ブルーベルにある
ヒックマン・ウイリアム社製(Hickman Wil
liams)〕約71重量%と、珪素〔米国オハイオ州
マリータにあるエルケム・メタルズ社製(Elkem
Metals)29重量%からなる溶融合金約2.5キ
ログラムをより小さなボート内に注いだ。セラミック紙
のトップシートを取り除いた後、複合体を溶融合金プー
ルの上面に配置した。黒鉛粉末〔グレードATJ;米国
ミシシッピー州のグリーンビルにあるグラファイト・エ
ンジニアリング・アンド・セールズ社製(Graphi
te Engineering and Sale
s)〕を、複合体と合金プールの上面に注いで、各々を
約0.5インチ(13mm)の深さまで被覆した。炉を
閉め、そして約2時間で約1100℃に加熱した。炉を
約1100℃に約48時間保持した後、約0.5時間で
約1000℃に冷却した。約1000℃で、炉を開放
し、そして変性複合体を、合金プールと黒鉛粉末が入っ
ている小さなボートから回収した。変性複合体を再びセ
ラミック紙の底シート上に配置し、そしてトップシート
を複合体上に配置した。炉を閉め、そして電源を切って
室温まで冷却した。炉から試料Mを回収後、処理複合体
をサンドブラスティングして、付着した変性合金や黒鉛
を除去した。
【0137】試料R 220メッシュ(75ミクロン)炭化珪素(39クリス
トロン;米国マサチューセッツ州ウースターにあるノー
トン社製)約55重量%と、280メッシュ(51ミク
ロン)炭化珪素〔エクソロン−イー・エス・ケー(Ex
olon−ESK)、米国ニューヨーク州トナワンダ〕
約5重量%と、800メッシュ(10ミクロン)炭化珪
素〔エクソロン−イー・エス・ケー、米国ニューヨーク
州トナワンダ〕約40重量%とからなる配合フィラー材
料を以下のようにして調製した。まず、成分炭化珪素粉
末をナルジーン(Nalgene)(商標)ジャーにお
いて約5〜10分間ロール混合した。次に、配合粉末
を、マラーミキサー〔02型;米国イリノイ州シカゴに
あるナショナル・エンジニアリング社シンシナチ・マラ
ー・ディビジョン製(Cincinnati Mull
er Div.)〕混合チャンバー内に配置し、そして
粉末を約1分間混合した。次に、ダウXUS4030
3.00エクスペリメンタル・バインダー〔ミシシッピ
ー州ミドランドにあるダウ・ケミカル社製〕約40重量
%を含有する水溶液を、混合チャンバー内の粉末に添加
して、プレス配合物を形成し、このプレス配合物をさら
に20〜30分間混合した。
【0138】次に、プレス配合物を乾燥して最終湿分を
約0.4重量%とし、そして乾燥フレス配合物を20メ
ッシュスクリーンを通過させて、大きな凝集物を破砕し
た。プレス配合物を、概略内寸法が約4インチ(102
mm)×4インチ(102mm)×0.75インチ(1
9mm)(厚さ)であるプレス型内に入れ、次にこれを
フローティングダイ構成の100トン油圧プレス〔米国
ウイスコン州のメノメニー・ホールズにあるフレッド・
エス・カーバー社(Fred S.Carver,In
c.)〕の底部プラテン上に配置した。圧力を均一に約
10,000psiまで増加し、そしてその圧力で約2
0秒間保持した。圧力をゆっくりと均一に除去し、そし
てプレスしたプレフォームを取り出した。プレスしたプ
レフォームの生密度は約2.08g/cmであった。
【0139】次に、プレフォームの上面と4面に、微細
ウオラストナイト粉末約35重量%をエタノールに添加
して調製したスラリーを塗布した。また、プレフォーム
の底部に、珪素金属約90重量%をエタノールに添加し
て調製したスラリーを塗布した。次に、プレス成分を、
厚さ約0.25インチ(6mm)のアルミニウムプレー
ト上に配置した鋳物砂の床上に配置した。アセンブリー
を強制空気乾燥オーブン内に配置し、そして少なくとも
16時間約50℃の温度で乾燥した。炉の温度を昇温速
度約50℃/時間で約350℃に昇温し、その後直ちに
昇温速度約20℃/時間で約500℃に昇温し、その後
直ちに昇温速度100℃/時間で約1000℃の温度に
昇温し、そして約1000℃で約187時間保持した以
外は、プレス・塗工プレフォームを実施例3において製
造した試料について概略説明したのと実質的に同様な方
法により処理して、セラミック複合体を形成した。使用
した母材金属は、珪素金属をさらに約5重量%含有する
380M合金であった。
【0140】形成した複合体を、サンドブラスティング
して付着金属及び/又はバリヤー材料を除去した後、分
割して重量が3〜7gである長方形状の試験片とした。
試料を、フッ化水素酸化約20体積%と硝酸約20体積
%とを含有する室温の水溶液中で約40分間エッチング
して、複合体中に約30ミクロンの深さまで試料の表面
から大部分の金属成分を除去した。
【0141】エッチングした試料を、概略寸法が約10
インチ(254mm)×5インチ(127mm)×1イ
ンチ(25mm)であるムライトフォーム〔米国ニュー
ヨーク州アルフレッドにあるハイ・テクセラミックス社
製(Hi−Tech Ceramics)〕モノリスの
上面に配置し、そしてこのセットアップを抵抗加熱空気
雰囲気炉内に配置した。炉温を約4時間かけて約130
0℃まで昇温し、約1300℃で約20時間保持後、電
源を切って室温まで冷却した。
【0142】この熱処理複合体(表3における試料R)
の断面の顕微鏡写真(×約400)を第6図に示す。こ
の図から、約10〜15ミクロンの厚い層62が最初の
複合体材料64の外境界に形成したことが分かさらに、
複合体の端の約40ミクロン以内にはほとんど金属チャ
ンネルや金属ポケットが観察されない。
【0143】
【表5】
【表6】 備考::SiC強化Al複合体(500メッシ
ュSiC) :SiC強化Al複合体(500メッシュSi
C配合物:500#SiC5重量%、1000#SiC
75重量%、100GLSiC20重量%) :N−4%H(生成ガス)中で後成長処理 :71Ni−29Si合金中で後成長処理 :SiC強化Al複合体(220メッシュSi
C配合物:220#SiC55重量%、280#SiC
5重量%、800#SiC40重量%)
【0144】試料L 実施例1における試料Aについて概略説明したのと実質
的に同一の方法により製造したセラミックマトリックス
複合体を、熱処理の前に生成ガス雰囲気に暴露した。
【0145】具体的には、耐火性ボートとそのカバー
を、ボートとカバーを製造するのに原料としてキャスト
ラストA−L(CastolastA−L)(商標)
〔米国ペンシルバニア州ピッツバーグにあるドレッサー
・インダストリー社製(Dreser Industr
ies,Inc.)〕注型適性耐火物を水と混合して使
用した以外は実施例1に記載の耐火性ボートを製造する
のに使用した方法と実質的に同一の方法により製造し、
そして耐火性ボートとカバーを抵抗加熱空気雰囲気炉中
で、炉温を約8時間で約121℃に昇温後、約121℃
で約24時間保持し、約8時間で約121℃から約26
0℃に昇温し、約260℃で約5時間保持後、約20時
間で約260℃から約540℃に昇温し、約540℃で
約10時間保持後、約21時間で約540℃から約90
0℃に昇温後、約900℃で約5時間保持後、約16時
間で約900℃から約1100℃に昇温し、1100℃
で約6時間保持後、約10時間で室温まで温度を低下さ
せて焼成した。
【0146】形成した複合体(各側面の概略寸法が1イ
ンチ(25mm)で重量が約17グラム)を、上記した
耐火ボート内に配置した。ファイバーフラックス(Fi
berfrax)(商標)〔米国ペンシルバニア州イー
ストンにあるソハイオ/マクネイル・レフラクトリーズ
社製(Sohio,McNeil Refractor
ies)〕ガスケットで内張りしたトップカバーを、ボ
ートの上面に配置し、そしてボートを抵抗加熱空気雰囲
気炉内に配置した。耐火性管〔米国ペンシルバニア州ビ
ーバー・フォールズにあるマクダネル・レフラクトリー
社製〕をボートのトップカバーを通して挿入し、さらに
炉の上面を通して延ばして、耐火性ボート内に生成ガス
雰囲気を提供した。水素約4%と残部が窒素との混合物
からなる生成ガスを、炉内に約0.5リットル/分の流
量で流した。
【0147】炉のドアを閉め、そして炉温を約16時間
かけて約1100℃に昇温した。1100℃で約1時間
保持した後、炉の電源を切り、そして炉を室温まで冷却
した。炉から複合体を取り出して観察したところ、肉眼
では、複合体の表面の金属成分の大部分が除去されたよ
うであった。
【0148】その後、複合体を、概略寸法が10インチ
(254mm)×5インチ(127mm)×1インチ
(25mm)であるアルミナフォーム材料(米国ニュー
ヨーク州アルフレッドにあるハイ・テク・セラミックス
社製)の上に配置し、それを次に抵抗加熱静止大気雰囲
気炉内に配置した。炉温を、約4時間で約1400℃に
上昇し、約1400℃で約30分間保持後、電源を切
り、そして炉を室温まで冷却した。この熱処理複合体を
試料Lとして表3に示した。熱処理複合体試料の断面の
顕微鏡写真(×約400)を第7図に示す。微細構造か
ら、複合体68の表面に厚さ約5〜15ミクロンの層6
6が形成していることが分かる。本実施例から、種々の
強化複合体上に表層を生成できることが明らかである。
【0149】実施例5 形成複合体の最初の境界の外側に保護層を付着すること
に加えて、形成複合体の境界内に保護表面領域層を付着
できることを示すために、種々のエッチング剤を用いて
複合体の表面に隣接する領域における複合体の金属成分
の少なくとも一部分を除去する一連の実験を行った。表
4に、形成工程と、金属成分の少なくとも一部分を除去
するための熱処理工程との間に、複合体をエッチングす
るのに用いたエッチング法を示す。
【0150】試料P、Q及びS 試料P、Q及びSを、母材金属が上記した380Mと称
するアルミニウム合金で、追加成分として珪素金属を約
5重量%有するものであったこと以外は実施例4におい
て試料Rについて記載したのと実質的に同一の方法で加
工した。また、各複合体のエッチング時間を、表4に示
すように変えた。
【0151】エッチングプロセスに続いて、抵抗加熱静
止大気雰囲気炉において各試料を約1300℃の温度で
約20時間熱処理した。セットアップと炉温スケジュー
ルは、実施例4において試料Rについて説明したものと
実質的に同一であった。複合体上に保護層を形成するた
めの熱処理に続いて、試料を分割し、取りつけ、そして
研磨して顕微鏡観察に供した。形成した複合体の表面
は、炭化珪素粒子の境界を超えた延びた高密度層を有し
ていた。これらの層は、実質的に金属を含まず、下に位
置するセラミック複合体とよく結合し、そして少なくと
も部分的に多結晶であるように思われた。
【0152】複合体の炭化珪素強化部分に延びているの
は、実質的に金属を含まない高密度内層であった。この
内層の厚さは、表4に示すように、エッチング処理時間
により異なっていた。
【0153】
【表7】
【表8】 備考::SiC強化Al複合体(500メッシ
ュSiC配合物:500 #SiC5重量%、1000#SiC75重量%、10
0GLSiC20重量%) :SiC強化Al複合体(220メッシュSi
C配合物:220#SiC55重量%、280#SiC
5重量%、800#SiC40重量%) :塗膜はMgAlとCaAlを含有して
いた。
【0154】試料U 実施例3において試料Iを形成するのに使用した方法と
実質的に同一の方法で、炭化珪素強化セラミックマトリ
ックスを形成した。次に、この複合体(試料U)を生成
ガスに暴露して、複合体の金属成分の一部分を除去し
た。生成ガスエッチングプロセスは、実施例4において
試料Lについて使用したのと実質的に同じであった。
【0155】エッチング後に、実施例2において試料B
について行ったのと実質的に同一の操作により試料Uを
熱処理して、保護表層を形成した。研磨した断面の光学
鏡検法では、複合体の表面に厚さ約5〜15ミクロンの
塗膜が存在することが分かったが、炭化珪素で強化した
複合体の部分には延びていなかった。
【0156】試料T 実施例3において試料Fを形成するのに使用したのと実
質的に同様の手法により、炭化珪素強化セラミックマト
リックス複合体を形成した。次に、保護表層を形成する
前に、複合体の金属成分の一部分を除去する目的で、こ
の複合体(試料T)を真空下で熱エッチング処理に附し
た。
【0157】真空熱エッチング処理のセットアップは以
下のようにして作製した。即ち、まず、粉末黒鉛〔グレ
ードKSIO;米国ニュージャージー州フェァー・ロー
ンにあるロンザ社製(Lonza,Inc.)〕を、寸
法が約4インチ(102mm)×約2インチ(51m
m)×約1.5インチ(38mm)(高さ)である高密
度アルミナボート(マクダネル・レフラクトリー社製)
に約0.5インチ(13mm)の深さまで注いだ。この
複合体を黒鉛粉末上に配置し、そして約0.5インチ
(13mm)の深さまで黒鉛粉末を追加して被覆した。
次に、このセットアップを、抵抗加熱空気雰囲気炉の内
部から延びているムライトレトルト内に配置した。
【0158】次に、このレトルトの開放端を荒引きポン
プ〔デュオシール真空ポンプ(Duoseal Vac
uum Pump);米国イリノイ州スコキーにあるサ
ージェント・ウエルチ社製(Sargent Welc
h Inc.)〕に接続し、そしてこのレトルトを、約
40ミリトルの圧力まで排気した。炉の電源を入れ、そ
して約9時間で約900℃の温度に加熱した。炉を、約
900℃で約20時間保持後、約24時間で室温に冷却
した。レトルトを大気圧に戻し、そして複合体をボート
から回収した。複合体の重量損失を記録し、そして重量
損失、熱力学的及び速度論的検討に基づいて、複合体の
金属成分における亜鉛約91%とマグネシウム約23%
を揮発により除去されたことが推定された。
【0159】次に、試料Tを空気中で熱処理して、保護
表層を形成した。この熱処理は、試料を約1400℃で
約0.5時間の代わりに約1100℃で約50時間保持
した以外は、実施例2において試料Bについて行ったの
と実質的に同様の手順で行った。炉を室温に冷却した
後、試料を炉から回収し、ダイヤモンドソーで分割後、
取りつけ、そして研磨して光学鏡検法及び走査電子鏡検
法により供した。
【0160】光学鏡検法により、複合体の表面に厚さが
約6〜10ミクロンの塗膜があることが明らかとなっ
た。また、EDAXでは、塗膜中にマグネシウム、カル
シウム及びアルミニウムが存在することが明らかとなっ
た。EDAXの結果と熱力学的検討に基づき、表層がア
ルミン酸マグネシウムとアルミン酸カルシウムを含有し
ていると結論した。
【0161】試料O 炭化珪素強化セラミック複合体を、試料Tについて記載
したのと実質的に同様の手法により作製した。形成した
複合体(試料O)を、フッ化水素酸約5体積%と硝酸約
5体積%を含有する水溶液中で約10分間室温でエッチ
ングした。次に、試料Oを空気中で加熱処理して表層を
形成した。炉シケジュールが、試料Oを約7.5時間で
約1200℃に加熱し、約1200℃で約1時間保持
し、そして炉の電源を切って室温に冷却することからな
っていた以外は、熱処理プロセスは、試料Bについての
熱処理と実質的に同様であった。本実施例は、複合支持
体上に保護表層を形成する前に、炭化珪素強化セラミッ
ク複合体を種々の方法によりエッチングできることを示
している。
【0162】実施例6 保護表層の実用性を示すために、曲げ強さの測定を、高
温処理前後の複合材料の試料について行った。
【0163】試料V及びW 実施例2において試料Bについて概略説明したのと実質
的に同様の手順により、概略寸法が3.125インチ
(79mm)×3.125インチ(79mm)×0.3
75インチ(10mm)である炭化珪素強化セラミック
マトリックス複合体を製造した。概略寸法が約0.1イ
ンチ(3mm)×0.24インチ(6mm)×2インチ
(51mm)である曲げ強さバーを、ダイヤモンドソー
〔107555型;イリノイ州レーク・ブラフにあるベ
ーラー社製(Buehler Company)〕を用
いて複合体から切断した。次に、分割した試験バーを、
320グリットダイヤモンド研削砥石〔米国ニュージャ
ージー州リビングストンにあるファンタスティック社製
(Fantastic Tool,Inc.)〕を用い
て研削仕上げを行った。試験バーは、バーの長手に対し
て平行となるように研削仕上げした。
【0164】試料試験バーの機械的強度を、ユニバーサ
ル試験機〔マサチューセッツ州スタウトンにあるシンテ
ク社製(Syntech)〕により室温での4点曲げ負
荷で測定した。クロスヘッド速度は約0.02インチ/
分(0.5mm/分)であった。試験は、空気雰囲気中
において周囲大気圧下で行った。保護表層のない複合材
料(表5における試料V)の強度は、約477MPaで
あることが判明した。
【0165】次に、切断して曲げ強度バーとしなかった
残りの複合材料を約1500℃の温度で約100時間加
熱した。複合体上に保護層を形成するための熱処理の
後、追加の曲げ強度試験バーを複合体から機械加工し、
そして試験した。これらのバーは、いっしょに試料Wと
して表5に示してある。平均曲げ強さは、187MPa
であった。
【0166】
【表9】
【表10】 備考::SiC強化Al複合体(500メッシ
ュSiC配合物:500#SiC5重量%、1000#
SiC75重量%、100GLSiC20重量%)
【0167】試料JI、J2及びJ3 概略寸法が3.125インチ(79mm)×3.125
インチ(79mm)×0.375インチ(10mm)で
ある炭化珪素強化複合体を、複合体を形成するのに用い
た母材金属合金は亜鉛約6%、珪素約10%で残部がア
ルミニウムであることを除いて、実施例2において試料
Bについて説明したのと実質的に同様な方法で製造し
た。
【0168】曲げ強度試験バーを、複合体(保護層な
し)の一つから機械加工し、そして試料Vについて記載
したのと実質的に同様な方法で強度試験を行った。これ
らの試料は表5においてまとめて試料JIとして示して
ある。平均4点曲げ強度を測定したところ、約484M
Paであった。
【0169】追加の曲げ強度試験バーを複合体から切り
取り、そしてフッ化水素酸約20%と硝酸約20%を水
に溶解して調製した酸水溶液中で30分間エッチングし
た。このエッチングプロセスにより、試験バーの外表面
近くの複合材料の金属成分のかなりの部分が除去され
た。曲げ強度試験バーを、寸法が約10インチ(254
mm)×約5インチ(127mm)×約1インチ(25
mm)で、網状ムライトフォーム(米国ニューヨーク州
アルフレッドにあるハイ・テク・セラミックス社製)か
らなる長方形の支持片上に配置した。次に、網状ムライ
ト支持片と曲げ強度バーを抵抗加熱空気雰囲気炉内に入
れ、そして約6時間かけて約1400℃に加熱した。約
1400℃で約0.5時間保持した後、炉の電源を切
り、そして炉を室温に冷却した。熱処理試験バーの外部
に高密度層が観察された。これらの試験バーは、表5に
まとめて試料J2として示してある。試験バーを4点負
荷で機械的に試験したところ、記録された平均曲げ強度
は約331MPaであった。
【0170】次に、試料J2について第一熱処理を施し
た残りの曲げ強度バーを、1500℃の温度で約100
時間加熱した。これらのバーを表5においてまとめて試
料J3として示してある。この第二熱処理に続いて、試
験バーを試験したところ、4点曲げ強度が約272MP
aであることが判明した。この実施例から、熱処理して
保護層を形成するセラミックマトリックス複合体は、室
温強度に対する高温で長時間暴露した後の保持率が大き
いことを示している。
【0171】実施例7 保護層により付与される耐蝕性を示すために、保護層の
ついたものと保護層のないものの両方に関して炭化珪素
強化セラミックマトリックス複合材料の試料について電
気化学的測定を行った。2つの500メッシュ(25ミ
クロン)炭化珪素強化セラミックマトリックス複合材料
を、実施例1において試料Aについて概略説明したのは
実質的に同一の方法で製造した。一つの複合体(試料X
と称する)は、熱処理を行わなかったので、保護層を有
していなかった。他の複合体(試料Y)は、実施例2に
おいて試料Bについて説明したのと実質的に同一の方法
で熱処理した。各サイドの寸法が約0.625インチ
(16mm)である試験片立方体を、試料X及びYの各
複合体から機械加工した。各被試験片立方体の面は、ダ
イヤモンド含浸金属砥石〔米国イリノイ州レーク・ブラ
フにあるべーラー社製〕を用いて軽く研削し、約30ミ
クロン仕上げを行った。この際、試料Yの表層を研磨し
て除去しないように注意した。次に、分割しそして研磨
した試験片を、室温で約15分間メタノール中で超音波
洗浄した。次に、試料を強制空気乾燥オーブン内に約1
50℃の温度で約30分間配置して試料を完全に乾燥
後、直ちに室温でデシケーター内に15分間配置して冷
却した。
【0172】腐食試験を行う試料を、電気化学セル(2
73型ポテンショスタット/ガルバノスタットのフラッ
トセル(Flat Cell of Model273
Potentiostat/Galvanosta
t);米国ニュージャージー州プリンストンにあるイー
ジー・アンド・ジープリンストン・アプライドリサーチ
製(EG&G Prinston Applied R
esearch)内に配置した。硫酸を含んだ腐食試験
媒体(pH約2)を以下のようにして調製した。まず、
1000mlナルジーン(商標)ビーカーに蒸留水約6
00mlを満たした。pHメーターの電極(220型;
米国カリフォルニア州パロ・アルトにあるコーニング・
メディカル・アンド・サイエンティフィック・カンパニ
ー(Corning Medical and Sci
entific Company)の電極をビーカー内
に下げた。pH1の緩衝液で前もって較正した上記メー
ターの電源を入れ、そして溶液を攪拌しながら濃硫酸を
ゆっくりとビーカーに添加した。pHが一旦約2に低下
したら添加を停止できるように、酸を添加中pHの目盛
りを連続して監視した。この時点で、この溶液の濃度
は、約0.1体積%硫酸であった。次に、試料を取りつ
けた電気化学的セルをこの希酸溶液で満たした。
【0173】飽和カロメル参照電極をセルの上面に挿入
した。ポテンショスタット〔273型)からの電気リー
ド線を、加工物、カウンター及びセルの参照電極に取り
つけた。
【0174】パソコン〔デスクプロ286(DeskP
ro286);テキサス州のヒューストンにあるコンパ
ク社製(Compaq Corporation)〕と
付属のソフトウエア〔342C型ソフトコアー・コロー
ジョン・ソフトウエア(Softcorr Corro
sion Software);米国ニュージャージー
州プリンストンにあるイージー・アンド・ジープリンス
トン・アプライドリサーチ製〕を用いて、試験中ポテン
シオスタットを制御した。コンピューターとポテンシオ
スタットをプログラムして、開回路電位に関して1mV
/秒の速度で約1mVの間隔で、試料と参照電極緩衝液
との間に印加されるポテンシャルを約−100mVから
約+250mVまで変化させた。電流は、印加した各電
位でポテンシオスタットにより測定した。
【0175】試料XとYについて、電流と印加電位との
関係を第8図に示す。電気化学的腐食試験において、腐
食速度は電流に正比例した。試料Yについてのプロット
は、試料Xについてよりも約1けた小さい腐食電流を示
した。したがって、試料Yは試料Xよりもはるかに遅い
速度で腐食した。このことは、保護層が複合体の腐食抵
抗を増強したことを示している。
【0176】実施例8 実施例3において試料Iを製造するのに使用したのと実
質的に同様の寸法を有し、そして同様の方法により形成
した複合体をエッチング後、空気中で熱処理して保護表
層を生成した。エッチング処理は、実施例3における試
料Eと実質的に同一であった。次に、複合体を、実施例
2における試料Bの熱処理と実質的に同様の方法で熱処
理した。エッチングと熱処理の後に、試料を約160時
間かけて約1490℃に加熱した。第9a図及び9b図
は、高温暴露後の試料の写真である。複合体の一部分は
わずかに変色を示しているが、複合体の表面上の過成長
は、前の熱処理において形成された保護表層により実質
的に抑制された。したがって、試料の寸法はそのまま維
持されていた。
【0177】実施例8は、保護表層を上に有する複合体
は、高温で酸化性雰囲気に暴露される複合体の表面から
酸化反応生成物が過成長することに対して耐性がある。
このように、保護表層を形成すると、形成複合体が高温
環境に暴露したときの寸法保全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によりセラミックマトリックス複
合体を形成するのに用いられるアセンブリーのレイアッ
プの断面図である。
【図2】約1000℃で約24時間加熱した保護表層の
ないセラミックマトリックス複合体の結晶構造を示す図
面に代る写真である。
【図3】約1000℃で約24時間加熱した保護表層の
ないセラミックマトリックス複合体の結晶構造を示す図
面に代る写真である。
【図4】実施例1において試料Aとして形成したセラミ
ックマトリックス複合体の結晶構造を示す図面に代る光
学顕微鏡写真(×約200)である。
【図5】実施例2において試料Cとして形成したSiC
強化セラミックマトリックス複合体の結晶構造を示す写
真に代る光学顕微鏡写真(×約400)である。
【図6】実施例2における試料Cの同様なセラミックス
マトリックス複合体の結晶構造を示す図面に代る後方散
乱電子顕微鏡写真(×約400)である。
【図7】実施例2において試料Dとして形成したSiC
強化セラミックマトリックス複合体の結晶構造を示す図
面に代る光学顕微鏡写真(×約400)である。
【図8】実施例2における試料Dの同様なセラミックス
マトリックス複合体の結晶構造を示す図面に代る走査型
電子顕微鏡写真(×約2000)である。
【図9】実施例5において試料Bとして形成したセラミ
ックマトリックス複合体の結晶構造を示す図面に代る光
学顕微鏡写真(×約1000)である。
【図10】実施例2において試料CCとして形成したセ
ラミックマトリックス複合体の結晶構造を示す図面に代
る光学顕微鏡写真(×約400)である。
【図11】実施例4において試料Rとして形成したセラ
ミックマトリックス複合体の結晶構造を示す図面に代る
光学顕微鏡写真(×約400)である。
【図12】実施例4において試料Lとして形成したセラ
ミックマトリックス複合体の結晶構造を示す図面に代る
光学顕微鏡写真(×約400)である。
【図13】実施例7における試料X及び試料Yのターフ
ェルプロットである。
【図14】実施例9に準じて約1490℃で約100時
間加熱した保護表層を上に有するセラミックマトリック
ス金属複合体の結晶構造を示す図面に代る写真である。
【図15】実施例9に準じて約1490℃で約100時
間加熱した保護表層を上に有するセラミックマトリック
ス金属複合体の結晶構造を示す図面に代る写真である。
【符号の説明】
12 塗膜 14 プレフォーム 16 非反応性支持材料 18 耐火性ボート 22 多孔性結晶領域 24 高密度層 26 複合体 28 多数層 30 少数層 32 暗色不規則層 34 炭化珪素粒子層 36 外層 38 内層 50、52、54 外層 56 細孔 60 高密度層 62 厚膜層 64 複合材料 66 厚膜層 68 複合体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ケネス スコツト ハツトン アメリカ合衆国,デラウエア 19808,ウ イルミントン,ダイアナ ドライブ 5511 (72)発明者 デニス ジエイムズ ランデイーニ アメリカ合衆国,デラウエア 19702,ニ ユーアーク,ジヨナサン ドライブ 16 (72)発明者 シルビア ジヨセフイーナ カニーノ アメリカ合衆国,デラウエア 19711,ニ ユーアーク,カントリー ヒルズ ドライ ブ 12

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 (i)母材金属の酸化により多結晶材
    料を形成することにより得られるセラミック支持体と、
    (ii)前記セラミック支持体の表面の少なくとも一部
    分に位置し、その主要化学成分がセラミック支持体の主
    要化学成分とは異なる保護表面領域とを含んでなる自己
    支持形セラミック構造体の製造方法であって、 (a)母材金属を酸化体の存在下で前記母材金属の融点
    よりも高いが前記酸化反応生成物の融点よりも低い温度
    に加熱して溶融母材金属体を形成し; (b)前記溶融母材金属体を前記酸化体と前記温度で反
    応させて前記酸化反応生成物を形成させ; (c)前記酸化反応生成物の少なくとも一部分を、前記
    溶融母材金属及び前記酸化体と接触状態に維持するとと
    もに前記溶融母材金属と前記酸化体の間に延長させ、そ
    して前記温度で溶融母材金属を前記酸化反応生成物を介
    して前記酸化体の方向に漸次引き寄せて、前記酸化体と
    前に形成した酸化反応生成物との界面で新たな酸化反応
    生成物を形成し続けることにより前記セラミック支持体
    を形成し;そして (d)前記セラミック支持体を、前記セラミック支持体
    の少なくとも二成分が反応してセラミック支持体表面の
    少なくとも一部分に少なくとも一つの保護表面領域を形
    成するに十分な温度である第二温度まで加熱して前記セ
    ラミック構造体を形成することを特徴とする自己支持形
    セラミック構造体の製造方法。
JP3133752A 1990-01-12 1991-01-14 自己支持形セラミツク構造体の製造方法 Pending JPH05869A (ja)

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